JP2002332572A - 被膜形成装置 - Google Patents
被膜形成装置Info
- Publication number
- JP2002332572A JP2002332572A JP2002019280A JP2002019280A JP2002332572A JP 2002332572 A JP2002332572 A JP 2002332572A JP 2002019280 A JP2002019280 A JP 2002019280A JP 2002019280 A JP2002019280 A JP 2002019280A JP 2002332572 A JP2002332572 A JP 2002332572A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- discharge
- discharge space
- purge gas
- electrode
- gas
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
- Chemical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】5〜150Torrの中圧力において被膜を形
成する装置を提供する。 【構成】 5〜150Torrの圧力に保持可能な放電
空間、前記放電空間を包むように配置したパージガスノ
ズル、前記放電空間に磁場を印加する手段及び基体にバ
イアス電界を印加する手段を有し、前記パージガスノズ
ルから吹き出したパージガスが前記放電空間を周辺雰囲
気より遮蔽し、前記パージガスを吹き出す方向は、外周
方向であり、前記パージガスノズルは、シールドの役割
を有する円筒状の外側電極であって、前記円筒状の外側
電極の中心に放電電極が配置され、前記放電空間は前記
円筒状の外側電極と前記放電電極との間に形成されてい
ることを特徴とする。
成する装置を提供する。 【構成】 5〜150Torrの圧力に保持可能な放電
空間、前記放電空間を包むように配置したパージガスノ
ズル、前記放電空間に磁場を印加する手段及び基体にバ
イアス電界を印加する手段を有し、前記パージガスノズ
ルから吹き出したパージガスが前記放電空間を周辺雰囲
気より遮蔽し、前記パージガスを吹き出す方向は、外周
方向であり、前記パージガスノズルは、シールドの役割
を有する円筒状の外側電極であって、前記円筒状の外側
電極の中心に放電電極が配置され、前記放電空間は前記
円筒状の外側電極と前記放電電極との間に形成されてい
ることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は5〜150Torr
の中圧力雰囲気に於て被膜を形成することのできる被膜
形成方法と装置に関するものである。それにより、真空
ポンプ等の排気装置が簡略化され低コストの被膜形成装
置を提供することができる。被膜は硬質炭素、窒化珪
素、酸化珪素等の被膜を成膜することができ、これらの
被膜はプラスチック、ガラス、有機感光体等の表面硬質
化、表面改質、反射防止等に応用することができ、その
応用範囲は多岐にわたる。本発明はこれらの被膜を安価
に、大量に生産する方法と装置を提供するものである。
の中圧力雰囲気に於て被膜を形成することのできる被膜
形成方法と装置に関するものである。それにより、真空
ポンプ等の排気装置が簡略化され低コストの被膜形成装
置を提供することができる。被膜は硬質炭素、窒化珪
素、酸化珪素等の被膜を成膜することができ、これらの
被膜はプラスチック、ガラス、有機感光体等の表面硬質
化、表面改質、反射防止等に応用することができ、その
応用範囲は多岐にわたる。本発明はこれらの被膜を安価
に、大量に生産する方法と装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、硬質炭素、窒化珪素、酸化珪素等
の新機能材料被膜はプラズマCVD(化学気相合成法)
法を利用して作成される場合が多く、これらの方法のほ
とんどは1Torr以下の減圧状態を利用する。減圧状
態を用いることの主な利点としては、 大気中に含まれる酸素等の不純物の影響が取り除かれ
る。 プラズマの場合、安定なグロー放電が広い領域で得ら
れ易い。 平均自由行程が長いため膜厚均一性やステップガバレ
ッジを向上させ易い。 といった点が挙げられる。しかし、1Torr以下の減
圧状態を得るには高価な真空排気装置と真空状態に耐え
る充分な強度を有した真空容器が必要である。
の新機能材料被膜はプラズマCVD(化学気相合成法)
法を利用して作成される場合が多く、これらの方法のほ
とんどは1Torr以下の減圧状態を利用する。減圧状
態を用いることの主な利点としては、 大気中に含まれる酸素等の不純物の影響が取り除かれ
る。 プラズマの場合、安定なグロー放電が広い領域で得ら
れ易い。 平均自由行程が長いため膜厚均一性やステップガバレ
ッジを向上させ易い。 といった点が挙げられる。しかし、1Torr以下の減
圧状態を得るには高価な真空排気装置と真空状態に耐え
る充分な強度を有した真空容器が必要である。
【0003】一方1Torr以上の圧力、例えば50T
orr程度の圧力でプラズマを生成させることもできる
が、狭い反応空間に大きなエネルギーを投入する必要が
あり生産性やコスト、さらには使いやすさの点で問題が
ある。
orr程度の圧力でプラズマを生成させることもできる
が、狭い反応空間に大きなエネルギーを投入する必要が
あり生産性やコスト、さらには使いやすさの点で問題が
ある。
【0004】一般に不純物の混入を極度に嫌う半導体分
野では高純度を達成する必要があり、また付加価値の高
い製品の価格に高価な設備償却費を転嫁させやすい事情
もあるため、これら被膜は前述の如くプラズマCVD法
により作製されていた。一方、プラスチック、ガラス、
有機感光体等の表面硬質化、表面改質、反射防止等の目
的に薄膜を形成する場合にはさほどの高純度は要求され
ず、むしろ高価な設備を使用することによるコスト高が
問題となる。即ち、性能とコストを最適化する必要があ
る。
野では高純度を達成する必要があり、また付加価値の高
い製品の価格に高価な設備償却費を転嫁させやすい事情
もあるため、これら被膜は前述の如くプラズマCVD法
により作製されていた。一方、プラスチック、ガラス、
有機感光体等の表面硬質化、表面改質、反射防止等の目
的に薄膜を形成する場合にはさほどの高純度は要求され
ず、むしろ高価な設備を使用することによるコスト高が
問題となる。即ち、性能とコストを最適化する必要があ
る。
【0005】一方、真空排気装置を必要としないプラズ
マ処理は一部知られており、エッチングに応用したもの
には特願平2−286883がある。これは、送流状態
にあるヘリウムを主成分とするガスがほぼ大気圧に等し
い圧力で充満された空間に交流の電界を印加し、前記ガ
スと前記ガス中に添加されたハロゲン系エッチングガス
を電離して励起子を生成し、エッチングに供するもので
ある。また、ヘリウムを主成分とするガスの放電を薄膜
堆積に応用しようとする方法も知られている。(第37
回応用物理学関係連合講演会講演予稿集第2分冊28p
−ZH−10)しかしながらこの研究は反応空間をヘリ
ウムを主成分とするガスで置換する必要があるため、反
応空間を一度真空に排気する行程を経ねばならない。ま
たプラズマの発生が極めて狭い微少領域で行われるた
め、生産性に問題がある。さらにプラズマの発生が不安
定であるという問題がある。
マ処理は一部知られており、エッチングに応用したもの
には特願平2−286883がある。これは、送流状態
にあるヘリウムを主成分とするガスがほぼ大気圧に等し
い圧力で充満された空間に交流の電界を印加し、前記ガ
スと前記ガス中に添加されたハロゲン系エッチングガス
を電離して励起子を生成し、エッチングに供するもので
ある。また、ヘリウムを主成分とするガスの放電を薄膜
堆積に応用しようとする方法も知られている。(第37
回応用物理学関係連合講演会講演予稿集第2分冊28p
−ZH−10)しかしながらこの研究は反応空間をヘリ
ウムを主成分とするガスで置換する必要があるため、反
応空間を一度真空に排気する行程を経ねばならない。ま
たプラズマの発生が極めて狭い微少領域で行われるた
め、生産性に問題がある。さらにプラズマの発生が不安
定であるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プラズマ発
生装置において、 (1)大掛かりな真空排気装置を必要とないこと (2)大きな放電空間を得ること (3)プラズマを有効に利用すること を実現することを目的とする。
生装置において、 (1)大掛かりな真空排気装置を必要とないこと (2)大きな放電空間を得ること (3)プラズマを有効に利用すること を実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、放電空間をパ
ージガスで包むように覆い、該放電空間と基体の間にス
パッタを生じるようなバイアスを印加し、さらに、プラ
ズマ中の各種粒子が基体の方向に引き出されるように磁
場を印加したことを特徴とする。
ージガスで包むように覆い、該放電空間と基体の間にス
パッタを生じるようなバイアスを印加し、さらに、プラ
ズマ中の各種粒子が基体の方向に引き出されるように磁
場を印加したことを特徴とする。
【0008】本発明の被膜形成方法は、5〜150To
rrの中圧力で行うことによりコストの低減を計るもの
であり、簡単な真空排気装置、さらには簡単な真空容器
で実用になるという特徴がある。
rrの中圧力で行うことによりコストの低減を計るもの
であり、簡単な真空排気装置、さらには簡単な真空容器
で実用になるという特徴がある。
【0009】本発明においてはプラズマを生成させるガ
スとして稀ガスを用いることが特徴である。この稀ガス
として、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン、
ネオンを用いることができる。
スとして稀ガスを用いることが特徴である。この稀ガス
として、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン、
ネオンを用いることができる。
【0010】またこの稀ガスに各種原料ガスを添加する
ことにより、成膜、エッチング、アッシング等の各種プ
ラズマ処理を行うことができる。原料ガスの濃度は希ガ
スに対して5%以下、好ましくは1%以下がよい。
ことにより、成膜、エッチング、アッシング等の各種プ
ラズマ処理を行うことができる。原料ガスの濃度は希ガ
スに対して5%以下、好ましくは1%以下がよい。
【0011】原料ガスは、行われるプラズマ処理の種類
によって決められる。例えば、硬質炭素膜を形成する場
合はメタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、メチル
ベンゼン等の炭化水素系ガス、及び4弗化炭素、4塩化
炭素、フロロベンゼン、クロロベンゼン等のハロゲン化
炭素、ハロゲン化炭化水素系ガス、エタノール、メタノ
ール等アルコール類等炭素を含むガスを用いることがで
きる。
によって決められる。例えば、硬質炭素膜を形成する場
合はメタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、メチル
ベンゼン等の炭化水素系ガス、及び4弗化炭素、4塩化
炭素、フロロベンゼン、クロロベンゼン等のハロゲン化
炭素、ハロゲン化炭化水素系ガス、エタノール、メタノ
ール等アルコール類等炭素を含むガスを用いることがで
きる。
【0012】また、一分子中の炭素原子の多いものほど
反応速度が速いという傾向があるので、メタンよりはエ
チレン、エチレンよりはアセチレンの方が望ましく、ベ
ンゼン等芳香族系分子がより望ましい。
反応速度が速いという傾向があるので、メタンよりはエ
チレン、エチレンよりはアセチレンの方が望ましく、ベ
ンゼン等芳香族系分子がより望ましい。
【0013】さらに、成膜速度は原料ガスにハロゲン系
元素が含まれる場合に大きくなる。これは、ハロゲン系
元素例えば弗素が、触媒的に作用し、炭化水素分子の水
素をHFの形で引き抜き、よって、炭化水素分子が活性
化されやすくなるためである。ハロゲン系元素は4弗化
炭素、4塩化炭素、フロロベンゼン、クロロベンゼン等
の炭素化合分子として供給されても、また、3弗化窒
素、6弗化硫黄、6弗化タングステン、弗素ガス等の状
態で供給されてもよい。
元素が含まれる場合に大きくなる。これは、ハロゲン系
元素例えば弗素が、触媒的に作用し、炭化水素分子の水
素をHFの形で引き抜き、よって、炭化水素分子が活性
化されやすくなるためである。ハロゲン系元素は4弗化
炭素、4塩化炭素、フロロベンゼン、クロロベンゼン等
の炭素化合分子として供給されても、また、3弗化窒
素、6弗化硫黄、6弗化タングステン、弗素ガス等の状
態で供給されてもよい。
【0014】尚、原料ガス中に窒素、ボロン、リン等の
III-V族元素を含んだガスを添加すると、硬質炭素膜は
若干の導電性を示すようになり、静電気対策に有用な被
膜を得ることができる。例えば、エチレン、メチルベン
ゼン等炭化水素ガスに3弗化窒素を添加すると成膜速度
の高い、半絶縁体の(即ち静電対策の施された)硬質炭
素膜を得ることができる。また、原料ガス中に水素を混
合すると硬質炭素膜中の未結合手に水素がターミネート
され、また、未反応のsp、sp2結合が水素の作用に
よりsp3結合になり易く、そのため硬質炭素膜はより
硬く、透明度も高くなる。
III-V族元素を含んだガスを添加すると、硬質炭素膜は
若干の導電性を示すようになり、静電気対策に有用な被
膜を得ることができる。例えば、エチレン、メチルベン
ゼン等炭化水素ガスに3弗化窒素を添加すると成膜速度
の高い、半絶縁体の(即ち静電対策の施された)硬質炭
素膜を得ることができる。また、原料ガス中に水素を混
合すると硬質炭素膜中の未結合手に水素がターミネート
され、また、未反応のsp、sp2結合が水素の作用に
よりsp3結合になり易く、そのため硬質炭素膜はより
硬く、透明度も高くなる。
【0015】形成する被膜が窒化珪素の場合は原料ガス
としてシラン、ジシラン等シラン系ガス及び窒素ガス、
アンモニアガス等窒素源を用いることができる。酸化珪
素の場合はシラン系ガス及び酸素、N2 O等を用いるこ
とができる。
としてシラン、ジシラン等シラン系ガス及び窒素ガス、
アンモニアガス等窒素源を用いることができる。酸化珪
素の場合はシラン系ガス及び酸素、N2 O等を用いるこ
とができる。
【0016】また、反応中の成膜前駆体の衝突確率を低
下させ、これにより粉の発生を抑制する目的で原料ガス
に水素ガスを緩衝ガスとして混合することもできる。
下させ、これにより粉の発生を抑制する目的で原料ガス
に水素ガスを緩衝ガスとして混合することもできる。
【0017】これら原料ガスは反応空間に稀ガスととも
に導入され、プラズマ化した反応ガスによって活性化さ
れる。反応空間は1個もしくは複数個の電極が存在し、
該電極と外側に配置されたシールドとの間には絶縁体が
配置された構成となっている。前記電極にはシールドと
の間に20kHz以上の交流電界を印加し、前記電極と
絶縁体を介したシールドとの間にプラズマを発生させ
る。このプラズマはグロー放電もしくはコロナ放電によ
り発生する。前記絶縁体と20kHz以上の周波数はア
ーク放電防止の為である。低い周波数で電力を多く投入
しようとするとアーク放電が発生する。アーク放電が発
生すると電極及び絶縁体が損傷し、また、電子温度が低
下する。よって、正常な被膜形成ができなくなる。アー
ク放電に移行させずより大きな電力を投入するには、電
源周波数を上げればよい。これは高周波コロナにおいて
高い電力が投入されることと同じ原理である。即ち、空
間の静電容量を通して高周波電流が流れ、等価回路的に
は直列に接続された抵抗体であるプラズマにおいて損失
が発生(実効電力が消費)することに相当する。
に導入され、プラズマ化した反応ガスによって活性化さ
れる。反応空間は1個もしくは複数個の電極が存在し、
該電極と外側に配置されたシールドとの間には絶縁体が
配置された構成となっている。前記電極にはシールドと
の間に20kHz以上の交流電界を印加し、前記電極と
絶縁体を介したシールドとの間にプラズマを発生させ
る。このプラズマはグロー放電もしくはコロナ放電によ
り発生する。前記絶縁体と20kHz以上の周波数はア
ーク放電防止の為である。低い周波数で電力を多く投入
しようとするとアーク放電が発生する。アーク放電が発
生すると電極及び絶縁体が損傷し、また、電子温度が低
下する。よって、正常な被膜形成ができなくなる。アー
ク放電に移行させずより大きな電力を投入するには、電
源周波数を上げればよい。これは高周波コロナにおいて
高い電力が投入されることと同じ原理である。即ち、空
間の静電容量を通して高周波電流が流れ、等価回路的に
は直列に接続された抵抗体であるプラズマにおいて損失
が発生(実効電力が消費)することに相当する。
【0018】電源周波数として、一般に13.56 MHzが
利用されるが、マイクロ波の領域まで周波数を高くする
と更に効率よく電力を投入することができる。ただしマ
イクロ波を用いた場合、導波路や電極に工夫をする必要
がある。即ち、放電空間自体を損失の存在する導波路と
みなし、各接続点で反射が発生しない様にインピーダン
スの整合をとるような形状、材質等を選ばねばならな
い。
利用されるが、マイクロ波の領域まで周波数を高くする
と更に効率よく電力を投入することができる。ただしマ
イクロ波を用いた場合、導波路や電極に工夫をする必要
がある。即ち、放電空間自体を損失の存在する導波路と
みなし、各接続点で反射が発生しない様にインピーダン
スの整合をとるような形状、材質等を選ばねばならな
い。
【0019】また、放電空間に供給する電力はパルスも
しくは矩形波変調された高周波であってもかまわない。
デューティーが50%以下であると、放電開始初期のプ
ラズマとアフターグローの影響が大きくなって、連続放
電時とは違った性質を発生する。放電開始初期はプラズ
マのインピーダンスが高く、(放電開始初期の過渡期は
まだプラズマと言えるかどうか確かではないが、ここで
は暗流以上の放電電流が流れたときよりプラズマ化する
としている。)よって、空間中に掛かる電圧は高くな
る。即ち、プラズマ中の電子1個当りの得るエネルギー
が大きく、電子温度は高くなる。この時プラズマ空間中
に存在する原料ガスは効率よく励起される。次に、印加
電力が停止したときよりプラズマはアフターグローとな
るが、この時、空間に印加される外部電界は存在せず、
空間内に存在する内部電界のみとなる。この内部電界も
アフターグロー中のイオンと電子の再結合により急速に
消滅してしまう。連続放電では基体表面の微小な突部の
電界集中により、選択的に膜成長が起こり、ピンホール
やボイドの原因となっていたのがアフターグロー放電に
おいては基体表面の微小な突部への電界集中は起こら
ず、よって、ピンホールやボイドのない良質な被膜が形
成される。即ち、パルスもしくは矩形波変調された高周
波を用いると効率よく活性化されたクラスター等成膜前
駆体が均一に基体表面に付着するため、成膜速度の高い
良質な被膜を得ることができる。尚、パルス周期はアフ
ターグローの消滅する時間に等しい数ミリ秒程度が適当
である。
しくは矩形波変調された高周波であってもかまわない。
デューティーが50%以下であると、放電開始初期のプ
ラズマとアフターグローの影響が大きくなって、連続放
電時とは違った性質を発生する。放電開始初期はプラズ
マのインピーダンスが高く、(放電開始初期の過渡期は
まだプラズマと言えるかどうか確かではないが、ここで
は暗流以上の放電電流が流れたときよりプラズマ化する
としている。)よって、空間中に掛かる電圧は高くな
る。即ち、プラズマ中の電子1個当りの得るエネルギー
が大きく、電子温度は高くなる。この時プラズマ空間中
に存在する原料ガスは効率よく励起される。次に、印加
電力が停止したときよりプラズマはアフターグローとな
るが、この時、空間に印加される外部電界は存在せず、
空間内に存在する内部電界のみとなる。この内部電界も
アフターグロー中のイオンと電子の再結合により急速に
消滅してしまう。連続放電では基体表面の微小な突部の
電界集中により、選択的に膜成長が起こり、ピンホール
やボイドの原因となっていたのがアフターグロー放電に
おいては基体表面の微小な突部への電界集中は起こら
ず、よって、ピンホールやボイドのない良質な被膜が形
成される。即ち、パルスもしくは矩形波変調された高周
波を用いると効率よく活性化されたクラスター等成膜前
駆体が均一に基体表面に付着するため、成膜速度の高い
良質な被膜を得ることができる。尚、パルス周期はアフ
ターグローの消滅する時間に等しい数ミリ秒程度が適当
である。
【0020】本発明の放電空間の形状は最も簡単なもの
で同心円筒状とすることができる。これは円筒状の接地
された外側電極と該円筒電極の中心に配置された円柱電
極の間に円筒状絶縁体を配し、前記中心部の円柱電極と
前記接地された外側電極の間に交流電界を印加して、前
記円筒状絶縁体と前記中心円柱電極間の隙間にプラズマ
を発生させるものである。前記円筒状絶縁体と前記中心
円柱電極間の隙間は5mm〜50mm程度とすればよ
い。同心円筒状は例えて言えば点光源の如きもので、移
動させることによって被膜が形成される。よって広い面
積の基体に被膜を均一に成膜しようとすれば、基体もし
くは被膜形成装置を移動させる必要がある。基体が平面
の場合は2軸駆動装置(X−Yテーブル)を組み合わせ
ればよい。更にあと1軸追加して(X−Y−Zテーブ
ル)、コンピューター等で制御すれば任意の曲面に成膜
することが可能である。
で同心円筒状とすることができる。これは円筒状の接地
された外側電極と該円筒電極の中心に配置された円柱電
極の間に円筒状絶縁体を配し、前記中心部の円柱電極と
前記接地された外側電極の間に交流電界を印加して、前
記円筒状絶縁体と前記中心円柱電極間の隙間にプラズマ
を発生させるものである。前記円筒状絶縁体と前記中心
円柱電極間の隙間は5mm〜50mm程度とすればよ
い。同心円筒状は例えて言えば点光源の如きもので、移
動させることによって被膜が形成される。よって広い面
積の基体に被膜を均一に成膜しようとすれば、基体もし
くは被膜形成装置を移動させる必要がある。基体が平面
の場合は2軸駆動装置(X−Yテーブル)を組み合わせ
ればよい。更にあと1軸追加して(X−Y−Zテーブ
ル)、コンピューター等で制御すれば任意の曲面に成膜
することが可能である。
【0021】他の形状としては直線状、ドーナツ状等が
ある。直線状放電装置は前記同心円筒状(点状)装置を
アレイ状に配置しても良いし、また、直線状電極に隙間
を絶縁体および外側電極(接地電位)との間に設け、該
隙間を直線状放電空間としても良い。基体が平面の場
合、直線状放電装置であれば基体もしくは被膜作製装置
の移動は一軸のみでよい。基体がドラム状態の場合はド
ーナツ状被膜形成装置が都合がよい。ドーナツ状被膜形
成装置は前記直線状放電装置の両端を閉じて構成され
る。
ある。直線状放電装置は前記同心円筒状(点状)装置を
アレイ状に配置しても良いし、また、直線状電極に隙間
を絶縁体および外側電極(接地電位)との間に設け、該
隙間を直線状放電空間としても良い。基体が平面の場
合、直線状放電装置であれば基体もしくは被膜作製装置
の移動は一軸のみでよい。基体がドラム状態の場合はド
ーナツ状被膜形成装置が都合がよい。ドーナツ状被膜形
成装置は前記直線状放電装置の両端を閉じて構成され
る。
【0022】使用するパージガスとしては、非酸化性の
気体が使用される。例えば、窒素、アルゴン、ヘリウ
ム、クリプトン等が代表的である。これら気体の役目は
放電領域と周辺雰囲気との遮蔽である。このパージガス
の導入方法としては放電領域を取り囲むように例えば前
述の点状の膜の形成の場合では、外側電極を取り囲むよ
うにその外側に導出用のノズルまたは導出口を設け、放
電領域を取り囲むようにパージガスを導入する。この
際、パージガスの量は放電雰囲気ガスより相当多く導入
され、かつパージガス自身が放電しないように、高めの
圧力で導入することがよい。
気体が使用される。例えば、窒素、アルゴン、ヘリウ
ム、クリプトン等が代表的である。これら気体の役目は
放電領域と周辺雰囲気との遮蔽である。このパージガス
の導入方法としては放電領域を取り囲むように例えば前
述の点状の膜の形成の場合では、外側電極を取り囲むよ
うにその外側に導出用のノズルまたは導出口を設け、放
電領域を取り囲むようにパージガスを導入する。この
際、パージガスの量は放電雰囲気ガスより相当多く導入
され、かつパージガス自身が放電しないように、高めの
圧力で導入することがよい。
【0023】プラズマを有効利用するためには、イオ
ン、ラジカル、膜前駆体等を被膜表面に積極的に輸送す
る必要がある。大気圧放電によりできた放電雰囲気ガス
のプラズマ中の活性種を被膜形成用基体まで確実に輸送
する為の工夫として、本発明では基体へのバイアス電界
の印加と放電プラズマへの磁界の印加を行う。プラズマ
に対して磁界を印加する手段としては種々の方法があ
る。例えば、放電装置に対抗した位置の被膜形成用基体
の背面に一般に知られている永久磁石を設置したり、放
電装置の放電領域近傍にソレノイドコイルを設け磁界を
印加すること、およびそれらの組み合わせがある。いず
れの場合にも、印加される磁界の方向は放電によりでき
た放電雰囲気ガスのプラズマ中の活性種を被膜形成用基
体まで確実に輸送するようにこれらの磁場発生手段が設
けられる。このプラズマへの磁場の印加は主として、ス
ピンを持ったラジカル種、電子およびイオン化した活性
種を基体の被膜形成面にまで到達させる作用として機能
する。これにより、基体表面付近の活性種の密度が高め
られる。磁場の強さは強い方が良く、200ガウス以
上、好ましくは500ガウス以上が良い。
ン、ラジカル、膜前駆体等を被膜表面に積極的に輸送す
る必要がある。大気圧放電によりできた放電雰囲気ガス
のプラズマ中の活性種を被膜形成用基体まで確実に輸送
する為の工夫として、本発明では基体へのバイアス電界
の印加と放電プラズマへの磁界の印加を行う。プラズマ
に対して磁界を印加する手段としては種々の方法があ
る。例えば、放電装置に対抗した位置の被膜形成用基体
の背面に一般に知られている永久磁石を設置したり、放
電装置の放電領域近傍にソレノイドコイルを設け磁界を
印加すること、およびそれらの組み合わせがある。いず
れの場合にも、印加される磁界の方向は放電によりでき
た放電雰囲気ガスのプラズマ中の活性種を被膜形成用基
体まで確実に輸送するようにこれらの磁場発生手段が設
けられる。このプラズマへの磁場の印加は主として、ス
ピンを持ったラジカル種、電子およびイオン化した活性
種を基体の被膜形成面にまで到達させる作用として機能
する。これにより、基体表面付近の活性種の密度が高め
られる。磁場の強さは強い方が良く、200ガウス以
上、好ましくは500ガウス以上が良い。
【0024】一方、基体へのバイアス電界印加の方法と
しては、基体と放電電極間に直流または高周波の電源に
よりバイアスを印加する方法を挙げることができる。こ
のバイアス電界によりプラズマ中のイオン活性種が基体
側に引き寄せられ、基体付近では高エネルギーのイオン
の密度が高められる。そしてこのイオンより原料ガスが
エネルギーを受取りラジカル種の密度が基体付近で高め
られることになる。
しては、基体と放電電極間に直流または高周波の電源に
よりバイアスを印加する方法を挙げることができる。こ
のバイアス電界によりプラズマ中のイオン活性種が基体
側に引き寄せられ、基体付近では高エネルギーのイオン
の密度が高められる。そしてこのイオンより原料ガスが
エネルギーを受取りラジカル種の密度が基体付近で高め
られることになる。
【0025】また、このバイアス電界により、イオンが
基体に衝突することになる。この衝突によりイオンより
基体にエネルギーが渡され、基体のごく表面に近い部分
の温度が高くなり、被膜の基体との密着性が向上し、基
体表面での膜形成の反応が促進される。即ち、バイアス
電界により基体に移動されたイオンによって、基体加熱
と同じ効果を実現することができる。尚、基体と放電電
極間の距離が変化すると基体に加わるバイアス電界の効
果は著しく変化する。その為、基体と放電電極間の距離
は常に一定に保たれる必要がある。よって距離測定装置
及び距離制御機構が必要である。
基体に衝突することになる。この衝突によりイオンより
基体にエネルギーが渡され、基体のごく表面に近い部分
の温度が高くなり、被膜の基体との密着性が向上し、基
体表面での膜形成の反応が促進される。即ち、バイアス
電界により基体に移動されたイオンによって、基体加熱
と同じ効果を実現することができる。尚、基体と放電電
極間の距離が変化すると基体に加わるバイアス電界の効
果は著しく変化する。その為、基体と放電電極間の距離
は常に一定に保たれる必要がある。よって距離測定装置
及び距離制御機構が必要である。
【0026】バイアス電界の周波数はプラズマ中のイオ
ン密度で決まるイオンプラズマ周波数より低い周波数で
ある必要がある。イオンプラズマ周波数より低い周波数
であればバイアス電界によりイオンは振動し、その運動
エネルギーを基板に伝えられるからである。一般に1M
Hz以下が適当である。
ン密度で決まるイオンプラズマ周波数より低い周波数で
ある必要がある。イオンプラズマ周波数より低い周波数
であればバイアス電界によりイオンは振動し、その運動
エネルギーを基板に伝えられるからである。一般に1M
Hz以下が適当である。
【0027】これらの工夫により空間中で発生したラジ
カルは基板表面に確実に輸送され、また、基板表面での
反応は促進される。
カルは基板表面に確実に輸送され、また、基板表面での
反応は促進される。
【0028】
【実施例】〔実施例1〕本実施例では点状装置と該装置
による被膜形成方法について述べる。図1に装置断面図
およびガス系、電気系の系統図を同時に示す。中心導体
(1)、円筒絶縁体(2)、パージガスノズル(3)は
同軸に配置され、中心導体(1)は絶縁支持体(4)に
支持されている。中心導体(1)、パージガスノズル
(3)はステンレス、円筒絶縁体(2)は石英ガラス、
絶縁支持体(4)はテフロン(登録商標)で構成されて
いる。パージガスノズル(3)は同軸円筒2重構造にな
っており、2重構造の間にパージガスを導入し、吹き出
し口(6)よりパージガスを噴出させる。吹き出し口
(6)は外周方向に吹き出すように外向きになってい
る。中心導体(1)と円筒絶縁体(2)の間で放電が発
生し、ラジカルを生成する。発生したラジカルは基板
(71)の方向にガス流によって運ばれるが、本発明で
は更にソレノイド(61)及び永久磁石(62)を各々
装置外周及び基板ホルダー(70)裏側に配し、ラジカ
ルを磁束に沿って基板(71)の方向に引き出してい
る。中心導体(1)の外径は5mm、円筒絶縁体(2)
の内径及び外径は各々20mm、21mmである。ま
た、放電空間の長さは40mmである。基板(71)は
ポリカーボネートを用い、常磁性体であるステンレス製
の基板ホルダー(70)の上に設置した。基板(71)
は積極的に加熱していない。放電空間端から基板表面ま
での距離は1mmとした。
による被膜形成方法について述べる。図1に装置断面図
およびガス系、電気系の系統図を同時に示す。中心導体
(1)、円筒絶縁体(2)、パージガスノズル(3)は
同軸に配置され、中心導体(1)は絶縁支持体(4)に
支持されている。中心導体(1)、パージガスノズル
(3)はステンレス、円筒絶縁体(2)は石英ガラス、
絶縁支持体(4)はテフロン(登録商標)で構成されて
いる。パージガスノズル(3)は同軸円筒2重構造にな
っており、2重構造の間にパージガスを導入し、吹き出
し口(6)よりパージガスを噴出させる。吹き出し口
(6)は外周方向に吹き出すように外向きになってい
る。中心導体(1)と円筒絶縁体(2)の間で放電が発
生し、ラジカルを生成する。発生したラジカルは基板
(71)の方向にガス流によって運ばれるが、本発明で
は更にソレノイド(61)及び永久磁石(62)を各々
装置外周及び基板ホルダー(70)裏側に配し、ラジカ
ルを磁束に沿って基板(71)の方向に引き出してい
る。中心導体(1)の外径は5mm、円筒絶縁体(2)
の内径及び外径は各々20mm、21mmである。ま
た、放電空間の長さは40mmである。基板(71)は
ポリカーボネートを用い、常磁性体であるステンレス製
の基板ホルダー(70)の上に設置した。基板(71)
は積極的に加熱していない。放電空間端から基板表面ま
での距離は1mmとした。
【0029】また装置は簡単な真空容器に入れられてお
り、放電空間における圧力が5〜150Torr、本実
施例では100Torrとなるように真空排気が行われ
ている。この真空容器は多少のリークがあるのでもよ
い。特に本実施例の構成においては、パージガスの作用
によって、反応生成物が成膜される領域を囲まれる構成
となるので、リークによる空気の混入に起因する膜質の
低下を防ぐことができる。
り、放電空間における圧力が5〜150Torr、本実
施例では100Torrとなるように真空排気が行われ
ている。この真空容器は多少のリークがあるのでもよ
い。特に本実施例の構成においては、パージガスの作用
によって、反応生成物が成膜される領域を囲まれる構成
となるので、リークによる空気の混入に起因する膜質の
低下を防ぐことができる。
【0030】放電空間内に導入されるガスは原料ガスボ
ンベ(11)より調圧器(21)により調圧され、スト
ップバルブ(31)を介して流量制御器(41)により
流量を制御された原料ガスと、同様にヘリウムガスボン
ベ(12)より調圧器(22)により調圧され、ストッ
プバルブ(32)を介して流量性制御器(42)により
流量を制御されたヘリウムガスが混合され、放電空間内
に導入される。原料ガスボンベ(11)には水素ガスで
バランスされた10%メタンガスが充填されている。ヘ
リウムと原料ガスの混合比は99対1とした(原料ガス
1%)。ヘリウムと原料ガスの総流量は100sccm
である。
ンベ(11)より調圧器(21)により調圧され、スト
ップバルブ(31)を介して流量制御器(41)により
流量を制御された原料ガスと、同様にヘリウムガスボン
ベ(12)より調圧器(22)により調圧され、ストッ
プバルブ(32)を介して流量性制御器(42)により
流量を制御されたヘリウムガスが混合され、放電空間内
に導入される。原料ガスボンベ(11)には水素ガスで
バランスされた10%メタンガスが充填されている。ヘ
リウムと原料ガスの混合比は99対1とした(原料ガス
1%)。ヘリウムと原料ガスの総流量は100sccm
である。
【0031】中心導体(1)に供給される電力はブロッ
キングコンデンサ(53)を介して高周波電源(51)
より供給される。電源周波数は13.56MHz、実効
投入電力は50Wである。また、本発明の特徴であるバ
イアス電圧をバイアス電源(52)より高周波阻止コイ
ル1(55)、高周波阻止コイル2(56)を介して印
加した。バイパスコンデンサ(54)は高周波阻止コイ
ル1(55)を通過した高周波電力を逃がし、バイアス
電源(52)を保護する役割を持っている。本実施例で
は印加したバイアスは直流とし、電圧は基板ホルダーに
対して−100Vとした。このバイアス電源は交流とす
るこもできる。
キングコンデンサ(53)を介して高周波電源(51)
より供給される。電源周波数は13.56MHz、実効
投入電力は50Wである。また、本発明の特徴であるバ
イアス電圧をバイアス電源(52)より高周波阻止コイ
ル1(55)、高周波阻止コイル2(56)を介して印
加した。バイパスコンデンサ(54)は高周波阻止コイ
ル1(55)を通過した高周波電力を逃がし、バイアス
電源(52)を保護する役割を持っている。本実施例で
は印加したバイアスは直流とし、電圧は基板ホルダーに
対して−100Vとした。このバイアス電源は交流とす
るこもできる。
【0032】パージガスはボンベ(13)より調圧器
(23)により調圧され、ストップバルブ(33)を介
して流量制御器(43)により流量を制御されてパージ
ガスノズルに供給される。本実施例ではパージガスは窒
素を用いた。流量は1000sccmである。
(23)により調圧され、ストップバルブ(33)を介
して流量制御器(43)により流量を制御されてパージ
ガスノズルに供給される。本実施例ではパージガスは窒
素を用いた。流量は1000sccmである。
【0033】前述のような装置と方法によりポリカーボ
ネート基板(71)上に硬質炭素膜が成膜された。被膜
の成膜速度は放電領域開口部の直下で0.1μm/mi
nとでありながら、粉の発生は殆ど無く、ピンホールの
少ない良質な膜であった。尚、微小押し込み硬度計によ
る硬度測定値は約3000kgf/mm2 であり、分光
透過率測定における可視域での透過率は90%以上とほ
ぼ透明に近いものであった。また、FT−IR、ラマン
分光測定等によれば、sp3結合とsp2結合の比は
1.6対1とダイヤモンドに近い構造を有していること
が分かった。
ネート基板(71)上に硬質炭素膜が成膜された。被膜
の成膜速度は放電領域開口部の直下で0.1μm/mi
nとでありながら、粉の発生は殆ど無く、ピンホールの
少ない良質な膜であった。尚、微小押し込み硬度計によ
る硬度測定値は約3000kgf/mm2 であり、分光
透過率測定における可視域での透過率は90%以上とほ
ぼ透明に近いものであった。また、FT−IR、ラマン
分光測定等によれば、sp3結合とsp2結合の比は
1.6対1とダイヤモンドに近い構造を有していること
が分かった。
【0034】尚、本実施例では被膜形成装置を移動させ
ることはしなかったが、平面上を等速度で走査させれ
ば、大面積の基板にも均一に被膜を形成できることは言
うまでもない。
ることはしなかったが、平面上を等速度で走査させれ
ば、大面積の基板にも均一に被膜を形成できることは言
うまでもない。
【0035】『比較例1』本比較例では実施例1におけ
る磁場のない場合について述べる。成膜等の条件は磁場
のないことを除き実施例1と同じである。この方法によ
る形成された被膜は比較例1と比べて硬度測定値、透過
率は殆ど変わらないものの、成膜速度は若干小さくな
り、粉の発生が多く見られた。
る磁場のない場合について述べる。成膜等の条件は磁場
のないことを除き実施例1と同じである。この方法によ
る形成された被膜は比較例1と比べて硬度測定値、透過
率は殆ど変わらないものの、成膜速度は若干小さくな
り、粉の発生が多く見られた。
【0036】『比較例2』本比較例では実施例1におけ
るバイアスのない場合について述べる。成膜等の条件は
バイアスのないことを除き実施例1と同じである。この
方法による形成された被膜は比較例1と比べて硬度は減
少し、透過率は向上した。また、粉の発生は『比較例
1』同様多く見られた。成膜速度の変化は見られなかっ
た。
るバイアスのない場合について述べる。成膜等の条件は
バイアスのないことを除き実施例1と同じである。この
方法による形成された被膜は比較例1と比べて硬度は減
少し、透過率は向上した。また、粉の発生は『比較例
1』同様多く見られた。成膜速度の変化は見られなかっ
た。
【0037】『比較例3』本比較例では実施例1におけ
るパージガスのない場合について述べる。成膜等の条件
はパージガスのないことを除き実施例1と同じである。
この方法による形成された被膜は放電領域開口部の直下
に被膜が形成されたのみで、成膜速度は半分以下に低下
した。これは外部から混入した酸素により外周部近傍の
被膜がエッチングされたものと思われる。尚、硬度、透
過率に変化は見られなかった。
るパージガスのない場合について述べる。成膜等の条件
はパージガスのないことを除き実施例1と同じである。
この方法による形成された被膜は放電領域開口部の直下
に被膜が形成されたのみで、成膜速度は半分以下に低下
した。これは外部から混入した酸素により外周部近傍の
被膜がエッチングされたものと思われる。尚、硬度、透
過率に変化は見られなかった。
【0038】
【実施例2】本実施例では円筒状基体に硬質炭素膜を形
成する場合を述べる。図2に装置の外観を図示する。架
台(4)に固定された上下機構(3)に被膜形成装置
(2)が取りつけられ、被膜形成装置(2)の内側に円
筒状基体(1)が設置されている。被膜形成装置内部の
放電開口部は内周に向かっており、よって、基体表面に
被膜が形成される。上下機構(3)は成膜速度に応じた
速度で等速度に上下に運動する。図3に基体と被膜形成
装置の断面図を示す。放電電極(1)、絶縁体(2)、
パージノズル(3)及び電極支持対(4)を有した構造
となっており、基本的には実施例1と同じである。磁石
(61)によりラジカルを基板(70)の表面に輸送す
る。ガス比、ガス流量、電源周波数、バイアス電圧を実
施例1と同じにし、投入電力を2W/mm(円周40m
mの場合は80W)とした。得られた被膜の硬度、透過
率、sp3対sp2比、成膜速度等の被膜特性は実施例
1とほぼ同じであり、また、粉の発生も見られなかっ
た。
成する場合を述べる。図2に装置の外観を図示する。架
台(4)に固定された上下機構(3)に被膜形成装置
(2)が取りつけられ、被膜形成装置(2)の内側に円
筒状基体(1)が設置されている。被膜形成装置内部の
放電開口部は内周に向かっており、よって、基体表面に
被膜が形成される。上下機構(3)は成膜速度に応じた
速度で等速度に上下に運動する。図3に基体と被膜形成
装置の断面図を示す。放電電極(1)、絶縁体(2)、
パージノズル(3)及び電極支持対(4)を有した構造
となっており、基本的には実施例1と同じである。磁石
(61)によりラジカルを基板(70)の表面に輸送す
る。ガス比、ガス流量、電源周波数、バイアス電圧を実
施例1と同じにし、投入電力を2W/mm(円周40m
mの場合は80W)とした。得られた被膜の硬度、透過
率、sp3対sp2比、成膜速度等の被膜特性は実施例
1とほぼ同じであり、また、粉の発生も見られなかっ
た。
【0039】
【発明の効果】5〜150Torrno減圧下において
ヘリウムを主成分とするガスを放電せしめ、該ガス中に
原料となるガス(硬質炭素膜の場合はメタン、水素等)
を混合し、同時に該放電を包むように窒素等でパージを
行い、磁場とバイアス電圧を加えることにより、従来粉
の発生が著しくまた成膜速度が遅かったのが、粉の発生
もなく、成膜速度の高い良質の被膜を形成することが可
能となった。
ヘリウムを主成分とするガスを放電せしめ、該ガス中に
原料となるガス(硬質炭素膜の場合はメタン、水素等)
を混合し、同時に該放電を包むように窒素等でパージを
行い、磁場とバイアス電圧を加えることにより、従来粉
の発生が著しくまた成膜速度が遅かったのが、粉の発生
もなく、成膜速度の高い良質の被膜を形成することが可
能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】同軸円筒状被膜形成装置の断面図とガス及び電
気系の系統図を示す。
気系の系統図を示す。
【図2】円筒基体成膜用装置の外観図を示す。
【図3】円筒基体成膜用装置の放電部の断面を示す。
1 中心導体 2 円筒絶縁体 3 パージガスノズル 4 絶縁支持体 61 ソレノイド磁石 62 永久磁石 11 原料ガスボンベ 12 ヘリウムボンベ 13 パージガスボンベ 51 高周波電源 52 バイアス電源 61 ソレノイド磁石 62 永久磁石 70 基板ホルダー 71 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 舜平 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社半 導体エネルギー研究所内 Fターム(参考) 4G075 AA24 AA30 BC04 BC06 BC10 CA14 CA15 CA18 CA42 CA47 DA02 DA18 EC10 EC21 4K030 BA27 CA07 EA04 EA11 FA03 HA06 JA09 KA20 KA28 KA30 KA34
Claims (3)
- 【請求項1】5〜150Torrの圧力に保持可能な放
電空間、前記放電空間を包むように配置したパージガス
ノズル、前記放電空間に磁場を印加する手段及び基体に
バイアス電界を印加する手段を有し、 前記パージガスノズルから吹き出したパージガスが前記
放電空間を周辺雰囲気より遮蔽し、 前記パージガスを吹き出す方向は、外周方向であり、 前記パージガスノズルは、シールドの役割を有する円筒
状の外側電極であって、 前記円筒状の外側電極の中心に放電電極が配置され、 前記放電空間は前記円筒状の外側電極と前記放電電極と
の間に形成されていることを特徴とする被膜形成装置。 - 【請求項2】5〜150Torrの圧力に保持可能な放
電空間、前記放電空間を包むように配置したパージガス
ノズル、前記放電空間に磁場を印加する手段及び基体に
バイアス電界を印加する手段を有し、 前記放電空間の中心に配置された放電電極に電力を供給
する第1の電源及び前記基体にバイアス電界を印加する
ための第2の電源を有し、 前記パージガスノズルは、噴出し口から外周方向にパー
ジガスを吹き出し、 前記パージガスノズルは、シールドの役割を有する円筒
状の外側電極であって、 前記円筒状の外側電極の中心に放電電極が配置され、 前記放電空間は前記円筒状の外側電極と前記放電電極と
の間に形成されていることを特徴とする被膜形成装置。 - 【請求項3】請求項1又は請求項2において、 前記放電空間に磁場を印加する手段の一つは、ソレノイ
ドコイルであることを特徴とする被膜形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002019280A JP2002332572A (ja) | 2002-01-28 | 2002-01-28 | 被膜形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002019280A JP2002332572A (ja) | 2002-01-28 | 2002-01-28 | 被膜形成装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6015970A Division JPH07211657A (ja) | 1994-01-14 | 1994-01-14 | 被膜形成装置及び被膜形成方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007068012A Division JP2007191797A (ja) | 2007-03-16 | 2007-03-16 | 被膜形成装置及び被膜形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002332572A true JP2002332572A (ja) | 2002-11-22 |
Family
ID=19192125
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002019280A Withdrawn JP2002332572A (ja) | 2002-01-28 | 2002-01-28 | 被膜形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002332572A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005029926A1 (ja) * | 2003-09-18 | 2005-03-31 | Pearl Kogyo Co., Ltd. | プラズマ処理方法及びその装置 |
JP2005166458A (ja) * | 2003-12-03 | 2005-06-23 | Fujisawa Pharmaceut Co Ltd | プラズマ表面処理方法及びその装置 |
WO2005107341A1 (ja) * | 2004-02-17 | 2005-11-10 | Pearl Kogyo Co., Ltd. . | プラズマ処理方法及びその装置 |
JP2008532760A (ja) * | 2005-03-17 | 2008-08-21 | カン ホ アン | 超微粒子製造装置および方法 |
-
2002
- 2002-01-28 JP JP2002019280A patent/JP2002332572A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005029926A1 (ja) * | 2003-09-18 | 2005-03-31 | Pearl Kogyo Co., Ltd. | プラズマ処理方法及びその装置 |
JP2005166458A (ja) * | 2003-12-03 | 2005-06-23 | Fujisawa Pharmaceut Co Ltd | プラズマ表面処理方法及びその装置 |
WO2005107341A1 (ja) * | 2004-02-17 | 2005-11-10 | Pearl Kogyo Co., Ltd. . | プラズマ処理方法及びその装置 |
JP2008532760A (ja) * | 2005-03-17 | 2008-08-21 | カン ホ アン | 超微粒子製造装置および方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2840699B2 (ja) | 被膜形成装置及び被膜形成方法 | |
US5578130A (en) | Apparatus and method for depositing a film | |
JP4025636B2 (ja) | 誘導結合プラズマ装置 | |
KR100554116B1 (ko) | 멀티슬롯 안테나를 이용한 표면파 플라즈마 처리장치 | |
CN111247617A (zh) | 线性高能射频等离子体离子源 | |
US20080173402A1 (en) | Microwave plasma processing apparatus | |
EP1895565A1 (en) | Plasma processing apparatus and method | |
JP2003073835A (ja) | プラズマcvd装置およびプラズマcvd膜の形成方法 | |
JP2840700B2 (ja) | 被膜形成装置及び被膜形成方法 | |
JP2002332572A (ja) | 被膜形成装置 | |
US20220170158A1 (en) | Film forming device | |
JPH07211657A (ja) | 被膜形成装置及び被膜形成方法 | |
JP2007191797A (ja) | 被膜形成装置及び被膜形成方法 | |
JP2004336069A (ja) | アッシング装置及びアッシング方法 | |
JP2007321175A (ja) | 成膜装置及び成膜方法 | |
JP2004328008A (ja) | エッチング装置及びエッチング方法 | |
Inoue et al. | Properties of silicon oxide films deposited by plasma-enhanced CVD using organosilicon reactants and mass analysis in plasma | |
JP2007521614A (ja) | 膨張熱プラズマを誘導結合するシステム及び方法 | |
JPH07130494A (ja) | マイクロ波プラズマ処理装置 | |
Mishin et al. | Plasmachemical synthesis in low-temperature atmospheric pressure plasma | |
JPH0627340B2 (ja) | ハイブリッドプラズマによる薄膜合成法及び装置 | |
Bugaev et al. | Deposition of highly adhesive amorphous carbon films with the use of preliminary plasma-immersion ion implantation | |
JPH07211655A (ja) | プラズマ発生装置 | |
KR101559104B1 (ko) | 냉음극 플라즈마를 이용한 실리카 박막의 제조 방법 | |
JPH0629231A (ja) | グロー放電方法及びグロー放電装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050920 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051031 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070206 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090623 |