JP2002327990A - 雰囲気炉のシーズニング方法および雰囲気炉 - Google Patents

雰囲気炉のシーズニング方法および雰囲気炉

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JP2002327990A
JP2002327990A JP2001132062A JP2001132062A JP2002327990A JP 2002327990 A JP2002327990 A JP 2002327990A JP 2001132062 A JP2001132062 A JP 2001132062A JP 2001132062 A JP2001132062 A JP 2001132062A JP 2002327990 A JP2002327990 A JP 2002327990A
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furnace
temperature
dew point
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atmosphere
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JP2001132062A
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Masatomo Nakamura
雅知 中村
Kenjiro Sato
健二郎 佐藤
Hirokazu Matsubara
寛和 松原
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Daido Steel Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 易酸化性部材の酸化消耗を殆ど生じさせるこ
となくシーズニングをおこなうことができる雰囲気炉の
シーズニング方法および雰囲気炉を提供する。 【解決手段】 炉内にカーボンなどの易酸化性部材を具
備し無酸化性雰囲気内で被処理物の加熱処理をおこなう
雰囲気炉において、シーズニング用ガスを炉内に供給し
つつヒータによる炉内の昇温を開始後、炉温を前記易酸
化性部材の酸化消耗が僅少量に抑制される所定炉温T
に保持し、この炉温保持中に炉内露点が前記易酸化性部
材の高温における酸化消耗が僅少量に抑制される所定露
点値D迄低下したら、炉内露点を所定露点値D以下
に維持しつつ炉温を所定炉温T以上に昇温させて、炉
温を操業開始時の使用炉温TB まで昇温させるととも
に、炉内露点を操業開始時の使用露点まで低下させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、雰囲気炉のシー
ズニング方法および雰囲気炉に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、無酸化性雰囲気(還元性雰囲気を
含む)で被処理材の熱処理や焼結などをおこなう雰囲気
炉においては、炉温の高温化などに伴い、ハースロール
やヒータなどの炉内部材として耐熱性に優れたカーボン
(黒鉛やC/Cコンポジットを含む)や、モリブデン系
材料を用いることが多くなった。
【0003】ところがこれらのカーボンやモリブデン系
材料は、無酸化性雰囲気内では高い高温強度や耐久性を
示すが、O,HO,CO等が存在するいわゆる酸
化性雰囲気内では特に高温で激しく酸化し消耗するもの
である。このためたとえば新設炉や炉補修工事のあとの
操業開始時におこなう炉体のシーズニングの際に、図7
に示すように一般の雰囲気炉と同様に10時間程度で使
用炉温に達するように炉内を昇温すると、シーズニング
用ガスとしてNなどの不活性ガスを用いても、炉体の
セラミックファイバなどの断熱材に吸着されていた酸素
や水蒸気が高温により急速に脱着されて炉内に開放され
るため、同図に示すように炉内露点が大巾に上昇し、炉
内の高温雰囲気と相まって前記カーボンやモリブデン系
材料の激しい酸化消耗を生じることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記の点に
かんがみてなされたもので、カーボンなどの易酸化性部
材(上記のカーボンやモリブデン系材料などの酸化しや
すい材料から成る部材)の酸化消耗を殆ど生じさせるこ
となくシーズニングをおこなうことができる雰囲気炉の
シーズニング方法およびこの方法の実施に好適な雰囲気
炉を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に発明者らは、後述の雰囲気炉1を実験炉として、シー
ズニング時における炉温、炉内露点、炉内酸素濃度の変
化状況と、炉内のカーボン部材(テストピース)の酸化
消耗状況との関係を詳細に測定・解析した結果、図3に
示すように、シーズニング開始後、炉温をカーボンの酸
化消耗が殆ど生じない所定炉温300℃に保持すること
により、炉内露点は炉内昇温初期にやや立上るものの、
その後は炉壁断熱材の吸着水分はゆるやかに放出される
ため炉内露点は徐々に低下すること、炉内酸素濃度はシ
ーズニング開始後短時間で低酸素濃度になること、高温
時においてもカーボンの酸化消耗の少ない所定露点−2
0℃以下に炉内露点を維持しつつであれば炉温を上記所
定炉温以上に昇温させてもよいこと、この昇温中に炉内
露点はある時点から急速に低下する現象が見られ、この
ときの炉壁断熱材外面部温度は水分蒸発温度以上に達し
ていたことから、この時点で炉壁断熱材に吸着していた
水分の脱着が完了し、以後は急速昇温しても炉内露点の
大巾上昇は生じ得ないこと、などを知見し、これらの知
見に基づいてこの発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、請求項1記載の雰囲気炉のシー
ズニング方法は、炉内にカーボンなどの易酸化性部材を
具備し無酸化性雰囲気内で被処理物の加熱処理をおこな
う雰囲気炉において、シーズニング用ガスを炉内に供給
しつつヒータによる炉内の昇温を開始後、炉温を前記易
酸化性部材の酸化消耗が僅少量に抑制される所定炉温に
保持し、この炉温保持中に炉内露点が前記易酸化性部材
の高温における酸化消耗が僅少量に抑制される所定露点
値迄低下したら、炉内露点を前記所定露点値以下に維持
しつつ炉温を前記所定炉温以上に昇温させて、炉温を操
業開始時の使用炉温まで昇温させるとともに、炉内露点
を操業開始時の使用露点まで低下させることを特徴とす
る。
【0007】また請求項2記載の雰囲気炉のシーズニン
グ方法は、炉内にカーボンなどの易酸化性部材を具備し
無酸化性雰囲気内で被処理物の加熱処理をおこなう雰囲
気炉において、シーズニング用ガスを炉内に供給しつつ
ヒータによる炉内の昇温を開始後、炉温を前記易酸化性
部材の酸化消耗が僅少量に抑制される所定炉温に保持
し、この炉温保持中に炉内露点が前記易酸化性部材の高
温における酸化消耗が僅少量に抑制される所定露点値迄
低下したら、炉内露点を前記所定露点値以下に維持しつ
つ炉温を前記所定炉温以上に昇温させ、この昇温中に炉
壁耐火物外面部の温度を検出し、この温度が水分蒸発温
度を越えたら、前記ヒータによる炉温の昇温を急速昇温
に切替えて、炉温を操業開始時の使用炉温まで昇温させ
るとともに、炉内露点を操業開始時の使用露点まで低下
させることを特徴とする。
【0008】また請求項3記載の雰囲気炉のシーズニン
グ方法は、炉内にカーボンなどの易酸化性部材を具備し
無酸化性雰囲気内で被処理物の加熱処理をおこなう雰囲
気炉において、シーズニング用ガスを炉内に供給しつつ
ヒータによる炉内の昇温を開始後、炉温を前記易酸化性
部材の酸化消耗が僅少量に抑制される所定炉温に保持
し、この炉温保持中に炉内露点が前記易酸化性部材の高
温における酸化消耗が僅少量に抑制される所定露点値迄
低下したら、炉内露点を前記所定露点値以下に維持しつ
つ炉温を前記所定炉温以上に昇温させ、この昇温中にお
ける炉内露点の時間に対する低下率の急増を検出した
ら、前記ヒータによる炉温の昇温を急速昇温に切替え
て、炉温を操業開始時の使用炉温まで昇温させるととも
に、炉内露点を操業開始時の使用露点まで低下させるこ
とを特徴とする。
【0009】また請求項4記載の雰囲気炉は、炉内にカ
ーボンなどの易酸化性部材を具備し無酸化性雰囲気内で
被処理物の加熱処理をおこなう雰囲気炉において、炉壁
耐火物の外側に、シーズニング時に炉壁耐火物外面部を
加熱するヒータおよび/または炉壁耐火物外面部からの
放熱を抑制する保温材を設け、シーズニングにより炉温
が操業開始時の使用炉温に到達したとき、炉壁耐火物外
面部の温度が水分蒸発温度以上に昇温するようにしたこ
とを特徴とする。
【0010】この発明において、カーボンなどの易酸化
性部材とは、カーボンやモリブデン系材料などの酸化し
やすい材料から成る、たとえばハースロールやヒータな
どの部材をいう。また上記カーボンとは、焼成温度が1
500℃程度の通常の炭素材を主体とするものの他、黒
鉛や炭素繊維複合炭素材であるC/Cコンポジット(以
下C/C材という)やAlやSiCをコーティン
グしたものやそれらを含浸させたものも含むものとす
る。
【0011】またこの発明において、無酸化性雰囲気と
は、ArやNなどの不活性ガスや、NXガスなどの酸
化成分の少ない変成ガスを炉内に供給することにより形
成される雰囲気のほか、COやHなどにより形成され
る還元性雰囲気も含むものとする。またこの無酸化性雰
囲気内で被処理物の加熱処理をおこなう雰囲気炉には、
バッチ炉と連続炉の両方が含まれ、この連続炉の場合
は、炉内全長にわたって無酸化性雰囲気に維持される雰
囲気炉はもとより、たとえば予熱ゾーンに続く高温処理
ゾーンなどの炉内の一部のゾーンが無酸化性雰囲気に維
持される雰囲気炉も含むものとする。
【0012】請求項1〜3記載の発明によれば、シーズ
ニングの初期においては、炉温は易酸化性部材の酸化消
耗が僅少量に抑制される所定炉温に保持され、炉内露点
が易酸化性部材の高温における酸化消耗が僅少量に抑制
される所定露点値迄低下したのちは、炉内露点をこの所
定露点値以下に維持しつつ炉温を昇温させるので、シー
ズニング時における易酸化性部材の酸化消耗は殆ど生じ
ない。
【0013】さらに請求項2,3記載の発明によれば、
炉壁耐火物外面部の温度が水分蒸発温度を越えたこと
(請求項2記載の発明)、および炉内露点の時間に対す
る低下率の急増(請求項3記載の発明)により、炉壁部
の水分脱着完了を検知したのち、炉内を急速昇温させる
ので、炉開放時間等によりシーズニング前の炉壁部への
水分の吸着量の異なる炉体に対しても水分脱着完了時点
を適確に検出して、炉内露点を上昇させることなく早期
に急速昇温を開始してシーズニング時間を短縮化するこ
とができる。
【0014】また請求項4記載の発明によれば、ヒータ
による加熱および/または保温材による放熱抑制によ
り、シーズニングにより炉温が使用炉温に到達したと
き、炉壁耐火物外面部は水分蒸発温度以上に昇温して水
分の脱着が完了しているので、さらに炉温を使用炉温に
長時間維持する必要はなく、シーズニング時間を短縮化
することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下図1〜図3に示す第1例によ
り、請求項1記載の発明の実施の形態を説明する。図
中、1はローラハース式の雰囲気炉であり、2は炉の入
口、3は炉の出口である。4は炉の入口2部に設けた前
室、5は炉の出口3部に設けた冷却室である。炉内に
は、炉内上部および下部に設けた炭化珪素製の電熱ヒー
タ6により炉温を制御される予熱ゾーン7と高温処理ゾ
ーン8が設けられ、高温処理ゾーン8においては炉温1
100℃で被処理物Wの熱処理や焼結などの加熱処理が
おこなわれ、予熱ゾーン7においては炉温800℃で被
処理物Wの予熱がおこなわれる。
【0016】高温処理ゾーン8部を形成する炉体11
は、図2にも示すようにセラミックファイバの積層体か
ら成る通気性を有する断熱材(炉壁耐火物)12を四角
筒状に形成したものの外側を、ガス流通用のガス空間1
3を介して鋼板製の外殻板14の四角筒状体で包囲した
二重構造を有するものである。15は外殻板14に設け
たガス排出口である。前室4から冷却室5に至る被処理
物搬送路に沿って搬送用のハースロールが設けられてい
るが、高温処理ゾーン8のハースロール21はカーボン
ロール(この例ではC/C材製ロール)から成る易酸化
性部材であり、他のハースロール22,23は金属製ロ
ールから成る。
【0017】また図2において、30はシーズニング時
における炉温を制御する制御装置で、31はガス排出口
15内を流出する排出ガスを所定時間ごとにサンプリン
グして、炉内露点Dを出力する露点計、32はカーボン
の高温における酸化消耗が僅少量に抑制される所定露点
値D(この例では−20℃)を設定する設定器、33
は炉内露点Dと所定露点値Dとを比較演算する演算器
で、シーズニング開始後、炉内露点が最初に所定露点値
よりも低露点となった時点で操作信号Sを切替ス
イッチ操作器34に与えて切替スイッチ35を閉じ(以
後は閉成状態が維持される)、その後炉内露点が所定露
点値D以上となったとき、プログラム設定器36に時
間軸停止指令Sを与えるものである。
【0018】プログラム設定器36は、シーズニング開
始時点からの時間tに対する炉温目標値TA を炉温調節
計37に出力するものであり、その昇温曲線Aとして
は、この例では図3に実線で示す実炉の炉内露点と炉内
温度の試験データから、炉内露点が破線で示すように所
定露点値D(−20℃)に維持されるときの昇温曲線
として推定される昇温曲線A(破線部以外は実線データ
と同じ)を用いる。この昇温曲線Aは、炉内に酸化性雰
囲気が一部残存する昇温初期においてもカーボンの酸化
消耗量が僅少量に抑制される所定炉温T(この例では
300℃)に炉温を保持する炉温保持部aを有してい
る。
【0019】炉温調節計37は、時間tの経過に応じて
プログラム設定器36の出力する炉温目標値TA と、熱
電対から成る炉温検出器38による検出炉温Tとの偏差
に応じて、電力調整器(サイリスタ)39に調節信号を
出力して、電熱ヒータ6に与える電力量を調節し、炉内
温度が炉温目標値TA となるよう制御する構成となって
いる。
【0020】先ず上記構成の雰囲気炉1の平常操業時に
おいては、雰囲気ガス供給口16から無酸化性雰囲気ガ
ス(この例ではArガス)を炉内に供給し、図示しない
制御装置により炉内各ゾーンの炉温を所定炉温に制御
し、被処理物Wを前室4を経て予熱ゾーン7から高温処
理ゾーン8へと間欠搬送しつつ加熱処理をおこない、冷
却室5を経て炉外へと送出する。そして雰囲気ガス供給
口16から炉内に供給されたArガスにより炉内は無酸
化性雰囲気に維持され、このArガスの一部は高温処理
ゾーン8の断熱材12を通過してガス空間13を経てガ
ス排出口15から炉外へ排出され、上記Arガスの残部
は炉内を流通し予熱ゾーン7の排ガス口17から炉外へ
流出する。
【0021】次に上記雰囲気炉1の補修工事などにより
炉内を大気中に開放したのち、炉の操業開始時にシーズ
ニングをおこなうには、雰囲気ガス供給口16からシー
ズニング用ガス(この例ではNガス)を炉内に供給
し、高温処理ゾーン8においては、制御装置30により
制御される電熱ヒータ6によって、炉内の昇温を開始す
る。炉内へ供給されたNガスは、炉内の空気をN
スに置換するとともに、炉壁の断熱材12に付着した水
分を伴って該断熱材12を通過してガス空間13を経て
ガス排出口15から炉外へ排出される。
【0022】なお上記Nガスの残部は炉内を流通し予
熱ゾーン7の排ガス口17から炉外へ流出し、予熱ゾー
ン7においても、図示しない制御装置により炉内の昇温
がおこなわれるが、予熱ゾーン7はカーボン部材を有し
ないため、従来法に準拠したシーズニング法を採用すれ
ばよいので(勿論高温処理ゾーン8と同じシーズニング
方法によってもよい)、以下高温処理ゾーン8における
シーズニング方法について述べる。
【0023】シーズニング開始によりプログラム設定器
36の昇温曲線Aに従った出力により、炉温は先ず所定
炉温T(300℃)まで昇温後該炉温に保持され、こ
れによって炉内露点は昇温初期にはやや上昇するがその
後ゆるやかに低下し、炉内露点Dが所定露点値D(−
20℃)より低下すると、演算器33の出力する操作信
号Sにより切替スイッチ35が閉じて常閉状態に切替
えられる。
【0024】その後プログラム設定器36の昇温曲線A
に従って300℃以上への炉内昇温が開始されるが、こ
の昇温によって炉内露点Dが所定露点値D以上になる
と演算器33の出力する時間軸停止指令Sがプログラ
ム設定器36に与えられて、プログラム設定器36の設
定出力値はその時点での炉温設定値に固定され、これに
よって炉温の昇温が一時停止するので、炉内露点Dは所
定露点値D以下に低下し、時間軸停止指令Sの出力
はなくなり、プログラム設定器36の時間軸固定は解除
される。以下同様にして炉内露点Dを所定露点値D
下に維持しつつ、昇温曲線Aに沿って炉内を昇温させ、
操業開始時の使用炉温TB (1100℃)、使用露点−
60℃の状態となったらシーズニングを終了する。
【0025】このようにシーズニングの初期において
は、炉温を所定炉温Tに保持し、炉内露点が所定露点
値D迄低下したのちは炉内露点をこの所定露点値D
以下に維持しつつ炉温を昇温させるので、炉内のカーボ
ンから成る易酸化性部材(この例ではハースロール2
1)の酸化消耗を殆ど生じさせることなく、シーズニン
グをおこなうことができるのである。
【0026】次に図4に示す第2例により、請求項2記
載の発明の実施の形態を説明する。この例のシーズニン
グ用の制御装置40は、前記第1例におけるプログラム
設定器36のかわりに、第1例と同じ昇温曲線Aと、操
業開始時の使用炉温TB (1100℃)を炉温目標値と
して出力する昇温曲線Bの2つのプログラムを切換可能
にセットしたプログラム設定器41を用いるとともに、
炉壁耐火物である断熱材12の外面部の温度Hを検出す
る熱電対からなる温度検出器42と、水分蒸発温度H
(100℃)を設定する設定器43と、上記温度Hと水
分蒸発温度Hとを比較演算しH>Hとなったときプ
ログラム切替指令Sを発して、プログラム設定器41
のプログラムを昇温曲線Aから昇温曲線Bに切替える演
算器44とをそなえたものである。その他の構成は前記
第1例の制御装置30と同じであるので、図2と同一部
分には図2と同一符号を付して、それらの部分の詳細な
説明は省略する。
【0027】この例の制御装置40を用いて雰囲気炉1
の高温処理ゾーン8のシーズニングをおこなうには、第
1例と同様にシーズニング用ガス(Nガス)を炉内に
供給しつつ、プログラム設定器41の昇温曲線Aにもと
づいて炉温の制御をおこない、炉内昇温開始後の炉温の
所定炉温Tへの保持、炉内露点低下後の所定露点値D
の維持状態での炉温の昇温等を、第1例と同様にして
おこなう。
【0028】そして炉内露点を所定露点値D以下に維
持しつつ昇温中に、炉体11の断熱材12に吸着されて
いた水分は高温の炉内側から脱着していき、脱着が断熱
材12の外面部まで達して水分脱着が完了すると、温度
検出器42の検出する断熱材12の外面部の温度Hは水
分蒸発温度Hを越えるので、演算器44は操作信号S
を発してプログラム設定器41を昇温曲線B側に切替
え、その出力により炉温は使用炉温TB まで急速昇温さ
れ、これによって炉内露点も使用露点まで急速低下す
る。
【0029】一般にシーズニング前の炉体の大気開放時
間の長短や大気の湿度などにより、炉体11(断熱材1
2)への水分の吸着量は大きく異なるものであるが、こ
の例のシーズニング方法によれば、上記のように断熱材
12の外面部の温度を検出してこの温度が水分蒸発温度
を越えたら炉温の昇温を急速昇温に切替えるので、断熱
材12の水分脱着完了を上記水分の吸着量に応じて適確
に検出して早期に急速昇温に切替えることができ、これ
によってシーズニング時間を短縮化することができるの
である。
【0030】次に図5に示す第3例により、請求項3記
載の発明の実施の形態を説明する。この例のシーズニン
グ用の制御装置50は、前記第2例と同じプログラム設
定器41を用いるとともに、炉内露点の時間に対する低
下率の水分脱着時における限界値Vを設定する設定器5
2と、露点計31の検出する炉内露点Dからその時間に
対する低下率ΔD/Δtを演算し、この演算値が限界値
Vを越えたときプログラム切替指令Sを発して、プロ
グラム設定器41のプログラムを昇温曲線Bに切替える
演算器53とをそなえたものである。その他の構成は前
記第1例の制御装置30と同じであるので、図2と同一
部分には図2と同一符号を付して、それらの部分の詳細
な説明は省略する。
【0031】なお上記の炉内露点の低下率の限界値V
は、該低下率の急増を判断するためのものであり、この
Vの値としては、たとえば前記図3における露点急低下
時の露点曲線の傾斜αに相当する低下率に近い値(たと
えばその7〜8割)とすればよい。
【0032】この例の制御装置50を用いてシーズニン
グをおこなうには、プログラム設定器41の昇温曲線A
を用いて前記第2例と同様に炉温の昇温をおこない、炉
温の急速昇温への切替えのみが、第2例と異なる。すな
わち、炉内露点を所定露点値D以下に維持しつつ昇温
曲線Aにより炉温の昇温中に、断熱材12に吸着した水
分の脱着が完了すると、露点計31により検出している
露点Dが急速低下を開始するため、演算器53は露点低
下率ΔD/Δtが限界低下率Vを越えたことを検知し
て、プログラム設定器41に切替指令Sを発して昇温
曲線Bによる昇温、すなわち急速昇温に切替え、炉温を
使用炉温TB まで急速に昇温させるのである。
【0033】この第3例においても、上記のように炉内
露点の時間に対する低下率の急増を検出したら、炉内の
昇温を急速昇温に切替えるので、水分吸着量の異なる断
熱材12の水分脱着を適確に検出して早期に急速昇温に
切替えることができ、これによってシーズニング時間を
短縮化することができるという、前記第2例と同じ効果
が得られるものである。なおこの第3例および前記第2
例のシーズニング方法においても、シーズニング初期に
おける炉温の所定炉温Tへの保持、およびその後の炉
内露点を所定露点値D以下に維持した状態での昇温に
より、易酸化性部材であるハースロール21の酸化消耗
を殆ど生じさせることなくシーズニングをおこなうこと
ができるという効果が得られる点は、前記第1例と同じ
である。
【0034】次に図6に示す第4例により、請求項4記
載の発明の実施の形態を説明する。この例の雰囲気炉6
0は、その高温処理ゾーン8における炉体11の外殻板
14の外周面部を、セラミックファイバなどの保温材6
1で被覆するとともに、炉壁耐火物である断熱材12と
外殻板14の間のガス空間13内に、断熱材12の外面
部加熱用の電熱ヒータ62を設けたものであり、その他
の構成は前記第1例と同じであるので、図2と同一部分
には同一符号を付してそれらの部分の詳細な説明は省略
する。
【0035】この雰囲気炉60においては、シーズニン
グ中に電熱ヒータ62に通電し、断熱材12の外面部を
加熱する。この加熱と、保温材61による断熱材12の
外面部からの(外殻板14を貫流する)放熱の抑制によ
り、断熱材12の外層部は昇温し、炉温を使用炉温まで
昇温させた時点で、断熱材12の外面部の温度を水分蒸
発温度以上に昇温させて、断熱材12の水分の脱着を完
了させることができる。
【0036】たとえば使用炉温が1000℃前後と低い
炉や、断熱材12の厚さが厚く、あるいは組織がち密で
通気性の低い断熱材12を用いた炉などにおいては、シ
ーズニング終了時に炉温が使用炉温に達しても断熱材1
2の吸着水分の脱着が終了しないため、炉内露点を使用
露点まで低下させるためにはさらに使用炉温に長時間保
持する必要があるが、この第4例の炉体構造とすること
により、上記のような水分の脱着速度の遅い各炉におい
ても、シーズニングにより炉温が使用炉温に昇温した時
点で断熱材12からの水分の脱着が完了した状態とする
ことができ、シーズニング時間を短縮化することができ
るのである。
【0037】なおこの例においては、炉壁耐火物外面部
からの放熱を抑制する保温材61と、炉壁耐火物外面部
加熱用の電熱ヒータ62の両方を用いたが、使用炉温や
炉壁部の構成などに応じていずれか一方を省略してもよ
い。
【0038】
【実施例】前記第1例の装置において、ハースロール2
1上にカーボン製のテストピース(5×15×220m
m、重量=27g)を5本、炉長方向に分散配置した状
態で載せ、炉内を大気に24時間解放した状態から前記
第1例の方法により高温処理ゾーン8部のシーズニング
をおこなったところ、使用Nガス総量=90Nm
所要時間=55時間でシーズニングを完了し、シーズニ
ング後の各テストピースの表面状態は昇温前の状態のま
まであり、また各テストピースの重量減少率および曲げ
強度低下率は、ともに測定器の誤差範囲内の値であり、
全く問題のないものであった。
【0039】この発明は上記各例に限定されるものでは
なく、たとえばシーズニングに用いる制御機器は上記以
外のものとしてもよく、またこの発明は、上記の断熱材
12(炉壁耐火物)と外殻板14との間に空間部を有す
る二重構造の炉体11以外の炉体構造を有する雰囲気炉
や、上記カーボン以外の酸化しやすい材料から成る易酸
化性部材を炉内に具備した雰囲気炉、バッチ式雰囲気炉
などにも適用できるものである。
【0040】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明のシーズニ
ング方法によれば、炉内に具備したカーボンなどの易酸
化性部材の酸化消耗を殆ど生じさせることなく、雰囲気
炉のシーズニングをおこなうことができる。
【0041】また上記の効果に加えて、請求項2および
請求項3記載の発明によれば、炉壁耐火物外面部の温度
が水分蒸発温度を越えたこと(請求項2記載の発明)、
あるいは炉内露点の低下率の急増(請求項3記載の発
明)により、炉壁部の水分脱着完了を検知して炉温を急
速昇温させるようにしたので、シーズニング時間を短縮
化することができる。
【0042】また請求項4記載の発明の雰囲気炉によれ
ば、シーズニングにより炉温が使用炉温に到達したと
き、炉壁の水分の脱着が完了した状態にあるので、シー
ズニング時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の第1例を示す雰囲気炉
の縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図(シーズニング制
御機器系統を含む)である。
【図3】図1の雰囲気炉のシーズニング時における実測
データ例および昇温曲線を示す線図である。
【図4】この発明の実施の形態の第2例を示す図2相当
図である。
【図5】この発明の実施の形態の第3例を示す図2相当
図である。
【図6】この発明の実施の形態の第4例を示す図2相当
図である。
【図7】従来の雰囲気炉のシーズニング時における実測
データ例および昇温曲線を示す線図である。
【符号の説明】
1…雰囲気炉、8…高温処理ゾーン、11…炉体、12
…断熱材(炉壁耐火物)、14…外殻板、30…制御装
置、31…露点計、36…プログラム設定器、37…炉
温調節計、38…炉温検出器、39…電力調整器、40
…制御装置、41…プログラム設定器、42…温度検出
器、43…設定器、44…演算器、50…制御装置、5
2…設定器、53…演算器、60…雰囲気炉、61…保
温材、62…電熱ヒータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松原 寛和 愛知県名古屋市熱田区六野一丁目2番5号 大同特殊鋼株式会社高蔵製作所内 Fターム(参考) 4K056 AA09 AA11 BB06 FA04 FA13 4K063 AA05 AA07 CA05 DA22 DA32 DA34

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉内にカーボンなどの易酸化性部材を具
    備し無酸化性雰囲気内で被処理物の加熱処理をおこなう
    雰囲気炉において、シーズニング用ガスを炉内に供給し
    つつヒータによる炉内の昇温を開始後、炉温を前記易酸
    化性部材の酸化消耗が僅少量に抑制される所定炉温に保
    持し、この炉温保持中に炉内露点が前記易酸化性部材の
    高温における酸化消耗が僅少量に抑制される所定露点値
    迄低下したら、炉内露点を前記所定露点値以下に維持し
    つつ炉温を前記所定炉温以上に昇温させて、炉温を操業
    開始時の使用炉温まで昇温させるとともに、炉内露点を
    操業開始時の使用露点まで低下させることを特徴とする
    雰囲気炉のシーズニング方法。
  2. 【請求項2】 炉内にカーボンなどの易酸化性部材を具
    備し無酸化性雰囲気内で被処理物の加熱処理をおこなう
    雰囲気炉において、シーズニング用ガスを炉内に供給し
    つつヒータによる炉内の昇温を開始後、炉温を前記易酸
    化性部材の酸化消耗が僅少量に抑制される所定炉温に保
    持し、この炉温保持中に炉内露点が前記易酸化性部材の
    高温における酸化消耗が僅少量に抑制される所定露点値
    迄低下したら、炉内露点を前記所定露点値以下に維持し
    つつ炉温を前記所定炉温以上に昇温させ、この昇温中に
    炉壁耐火物外面部の温度を検出し、この温度が水分蒸発
    温度を越えたら、前記ヒータによる炉温の昇温を急速昇
    温に切替えて、炉温を操業開始時の使用炉温まで昇温さ
    せるとともに、炉内露点を操業開始時の使用露点まで低
    下させることを特徴とする雰囲気炉のシーズニング方
    法。
  3. 【請求項3】 炉内にカーボンなどの易酸化性部材を具
    備し無酸化性雰囲気内で被処理物の加熱処理をおこなう
    雰囲気炉において、シーズニング用ガスを炉内に供給し
    つつヒータによる炉内の昇温を開始後、炉温を前記易酸
    化性部材の酸化消耗が僅少量に抑制される所定炉温に保
    持し、この炉温保持中に炉内露点が前記易酸化性部材の
    高温における酸化消耗が僅少量に抑制される所定露点値
    迄低下したら、炉内露点を前記所定露点値以下に維持し
    つつ炉温を前記所定炉温以上に昇温させ、この昇温中に
    おける炉内露点の時間に対する低下率の急増を検出した
    ら、前記ヒータによる炉温の昇温を急速昇温に切替え
    て、炉温を操業開始時の使用炉温まで昇温させるととも
    に、炉内露点を操業開始時の使用露点まで低下させるこ
    とを特徴とする雰囲気炉のシーズニング方法。
  4. 【請求項4】 炉内にカーボンなどの易酸化性部材を具
    備し無酸化性雰囲気内で被処理物の加熱処理をおこなう
    雰囲気炉において、炉壁耐火物の外側に、シーズニング
    時に炉壁耐火物外面部を加熱するヒータおよび/または
    炉壁耐火物外面部からの放熱を抑制する保温材を設け、
    シーズニングにより炉温が操業開始時の使用炉温に到達
    したとき、炉壁耐火物外面部の温度が水分蒸発温度以上
    に昇温するようにしたことを特徴とする雰囲気炉。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015031487A (ja) * 2013-08-06 2015-02-16 Jfeスチール株式会社 雰囲気熱処理炉

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