JP2002327082A - 機能性物質を含有する発泡体およびその製造方法 - Google Patents

機能性物質を含有する発泡体およびその製造方法

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JP2002327082A
JP2002327082A JP2001133646A JP2001133646A JP2002327082A JP 2002327082 A JP2002327082 A JP 2002327082A JP 2001133646 A JP2001133646 A JP 2001133646A JP 2001133646 A JP2001133646 A JP 2001133646A JP 2002327082 A JP2002327082 A JP 2002327082A
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Hiroyuki Nishimura
浩之 西村
Takeshi Iizuka
武史 飯塚
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Inoac Technical Center Co Ltd
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Inoue MTP KK
Inoac Corp
Inoac Technical Center Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾式抽出法を用いると共に、滑材として水溶
解性高分子化合物を用いて、熱可塑性樹脂中に所期の機
能を発現する機能性物質を大量にかつ均一に分散させ
て、水溶解性物質を抽出除去することにより、機能性物
質を含有する発泡体と、該機能性物質を含有する発泡体
の製造方法とを提供する。 【解決手段】 少なくとも1種類の熱可塑性樹脂12
と、この熱可塑性樹脂12が熱溶融する温度で熱的に安
定な水溶解性気泡形成材と、滑材として作用する水溶解
性高分子化合物と、最終製品たる発泡体に所期の機能を
付与する機能性物質14との加熱混合体から、前記水溶
解性気泡形成材および水溶解性高分子化合物が水により
抽出除去させることで気泡16が形成されると共に、前
記機能性物質14が均一に分散された発泡体10が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、機能性物質を含
有する発泡体に関し、更に詳細には、所望の熱可塑性樹
脂に対して、例えば導電性または電磁波シールド性等の
機能を発現させ得る機能性物質を大量にかつ均一に混合
させ、所期の機能を付与させると共に、容易に所要形状
とし得る機能性物質を含有する発泡体と、該機能性物質
を含有する発泡体を好適に製造し得る方法とに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年あらゆる分野において、これまでに
は考えられなかった新しい機能を付加した、所謂ハイブ
リッド部材が注目を集めている。例えば、伸張性を有す
るセラミックや導電性を有するプラスチックその他に代
表される、3大物質であるプラスチック、金属およびセ
ラミックの夫々が有する特徴を併有する物質が挙げられ
る。
【0003】例えばシート等の人間に直接的に接触し、
所要の触り心地等の触感および柔軟性が求められる部材
には、樹脂素材を発泡させて得られる各種発泡体が多用
されている。このような発泡体に前述した各種機能を付
与する場合、該機能を提供するフィラー、粉体その他の
機能性物質を該発泡体原料中に所要量混合し、発泡体と
する方法が一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、付加される
機能に応じて混合される前記機能性物質は、基本的に混
合元となる発泡体原料、所謂基材原料とは比重等の物性
が大きく異なっている場合が一般的であり、均一な混合
を行なうことは困難である。
【0005】また基材として発泡体を使用する場合に
は、最終的に得られる触感等の発泡体としての各種物
性を損なわないように前記機能性物質を混合する必要が
ある。すなわち発泡体の基材中に混合される機能性物質
によって該発泡体の発泡が妨げられ、所望の気泡(また
は気泡を画成する基材骨格)が得られないことが予想さ
れる。
【0006】前述のおよびの点を鑑み、発泡体を製
造し得る様々な製造方法について検討した場合、以下の
点が問題が夫々指摘される。 1.化学的発泡法の場合 例えば一般的なポリオレフィン等の如く原料中に混合さ
れる各種発泡剤や、またはポリウレタンの如く原料反応
時に発生するガスにより気泡を形成するため、発泡体原
料中に混合されている前記機能性物質により、該発泡が
阻害され、充分な発泡が困難である。また発泡体自体の
諸物性を決定する気泡径等の制御および均一化が難し
い。 2.機械的発泡法の場合 メカニカルフロス(機械攪拌)により、発泡体原料中に気
体を吹き込み攪拌することで気泡を形成するので、気泡
径を均一に制御し得る。しかし機械攪拌による方法で
は、50μm以下といった微細な気泡径にすることが難
しい。また前述の化学的発泡法と同様に、機能性物質の
介在により前記気泡の均一な分散および気泡径の制御が
困難となる。 3.湿式抽出法の場合 湿式抽出法は発泡体原料を良溶媒に溶解させ、これに気
泡形成材を混合・混練して均一に分散させた後に、所定
形状に成形した発泡体を得て、次いでこの主材料の貧溶
媒であって、かつ前記気泡形成材を溶解させ得る溶媒を
用いて該気泡形成材だけを溶解・除去する方法であり、
該発泡体原料が常温付近で良溶媒に溶解し得ることが条
件となるので種類が通常は限定されてしまい、オレフィ
ン等の熱可塑性樹脂には採用できない。また前記良溶媒
の代表例として挙げられるDMF(N,N−ジメチルホル
ムアミド)は、PRTR(化学物質の移動及び登録に関す
る法律)による規制物質であり、作業環境が劣悪となっ
てしまうと共に、混合された前記機能性物質をも溶解さ
せてしまう問題も内在している。
【0007】また前記1〜3の各方法については、夫々
の発泡体原料の性状は液状物等の流動体であって粘性が
低くいため、比重の異なる物質は該原料に浮かぶか、沈
むかして全体に均一に混合し得ない。攪拌等の物理的手
段により均一な混合をなし得た場合であっても、前記発
泡体原料を硬化させるに際しては、加熱または溶媒の除
去等の所定時間を要する硬化処理が必要であり、この硬
化処理の完了までに前述した均一な混合状態を維持し得
ず、結果として機能性物質を混合を効率的になし得ない
ことが明らかであり、このような所謂第3成分を混合し
た発泡体製品はなかった。
【0008】一方発泡体原料を加熱することで溶解状態
とし、これに気泡形成材を混合・混練して均一に分散さ
せ、所定形状に成形した発泡体とし、次いでこの発泡体
の貧溶媒であって、かつ該気泡形成材を溶解させ得る溶
媒を用いて該気泡形成材だけを溶解・除去する乾式抽出
法なる発泡体の製造方法が知られている。この方法の場
合、加熱により所定温度で溶融する発泡体原料であれ
ば、その使用原料は限定されない長所を有する。また前
記機能性物質の混合についても、加熱されて溶融流体状
態にある発泡体原料は冷却するだけで短時間に硬化する
ので、攪拌等の物理的手段により該機能性物質を均一混
合し、直ぐに充分な粘性を発現し得る温度まで冷却させ
ることで多量かつ均一な混合が可能である。この他充分
な混合・攪拌が可能な最低温度で加熱すれば、冷却の必
要もなくなる。
【0009】しかし前述の乾式抽出法においては、多く
の場合は発泡体原料および気泡形成材の二成分系であ
り、低分子材料である該気泡形成材の抽出、除去は容易
ではなく、そのため溶媒による抽出に先立ってロール、
プレス等によって押圧したり、遠心分離機によって遠心
力を加えたりして該気泡形成材の除去をより確実にする
必要があった。また発泡体原料および気泡形成材の混合
物は極めて粘度が高く、プレス成形以外の成形方法には
応用することができない。すなわち大量生産の容易な押
出成形や複雑形状の容易な射出成形が困難であり、製品
の付加価値が低く、使用用途が限定される問題を内在し
ていた。
【0010】
【発明の目的】この発明は、従来の機能性物質を含有す
る発泡体に内在している前記問題に鑑み、これを好適に
解決するべく提案されたものであって、乾式抽出法を用
いると共に、滑材として水溶解性高分子化合物を用い
て、熱可塑性樹脂中に所期の機能を発現する機能性物質
を大量にかつ均一に分散させて、水溶解性物質を抽出除
去することにより、機能性物質を含有する発泡体と、該
機能性物質を含有する発泡体の製造方法とを提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本願の発明に係る機能性物質を含
有する発泡体は、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂と、
この熱可塑性樹脂が熱溶融する温度で熱的に安定で形状
を維持し得る水溶解性気泡形成材と、滑材として作用す
る水溶解性高分子化合物と、最終製品たる発泡体に所期
の機能を付与する機能性物質との加熱混合体から、前記
水溶解性気泡形成材および水溶解性高分子化合物が水に
より抽出除去されて、前記機能性物質を均一に分散させ
た3次元連通気泡構造となっていることを特徴とする。
【0012】同じく前記課題を克服し、所期の目的を達
成するため、本願の別の発明に係る機能性物質を含有す
る発泡体の製造方法は、少なくとも1種類の熱可塑性樹
脂と、この熱可塑性樹脂が熱溶融する温度で熱的に安定
で形状を維持し得る水溶解性気泡形成材と、滑材として
作用する水溶解性高分子化合物と、最終製品たる発泡体
に所期の機能を付与する機能性物質とを加熱状態下で混
合し、得られた混合物を水に接触させて、前記水溶解性
気泡形成材および水溶解性高分子化合物を抽出除去する
ことで、3次元連通気泡構造であって前記機能性物質が
均一に分散されている機能性物質を含有する発泡体を製
造するようにしたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る機能性物質を
含有する発泡体につき、好適な実施例を挙げて、添付図
面を参照しながら以下説明する。本願の発明者は、任意
の配合割合とした熱可塑性樹脂、水溶解性気泡形成材、
水溶解性高分子化合物および機能性物質を加熱状態下で
混練して得られた加熱混合物からそのまま、または所定
形状に成形した後を水に浸漬して該水溶解性気泡形成材
および水溶解性高分子化合物を抽出・除去することで、
図1に示す如く、主成分である熱可塑性樹脂12からな
り、微細な気泡16が3次元的に連通する、所謂3次元
連通気泡構造を有する多孔体内に該機能性物質14が均
一に分散された機能性物質を含有する発泡体10が得ら
れることを知見したものである。
【0014】前記熱可塑性樹脂12としては、TPE
(ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリエーテルポリ
エステル系、スチレン系およびポリアミド系他)、オレ
フィン樹脂(PE(LD-PE,HD-PE,LL-PE、α
オレフィン化PE)、PPおよびTPO)、TPU、ポリ
アミド、ポリイミドまたはポリアセタールその他加熱す
ることで溶融する樹脂であれば、如何なる樹脂であって
も使用可能である。また溶融点の近似する熱可塑性樹脂
複数の使用も物性等を考慮すれば使用可能である。
【0015】前記水溶解性気泡形成材としては、水溶解
性であって、かつ前記熱可塑性樹脂12が熱溶融する際
に熱的に安定で形状を維持し得る物質であれば何れも使
い得る。例えば無機物としては、NaCl、KCl、C
aCl2、NH4Cl、NaNO3、NaNO2等が挙げら
れる。有機物としては、TME(トリメチロールエタ
ン)、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタ
ン、しょ糖、可溶性でんぷん、ソルビトール、グリシン
または各有機酸(リンゴ酸、クエン酸、グルタミン酸ま
たはコハク酸)のナトリウム塩等が挙げられる。
【0016】前記水溶解性高分子化合物としては、ポリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコールジアクリ
レート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエ
チレングリコールジアセテート等のポリエチレングリコ
ール誘導体その他、水に溶解し、前記熱可塑性樹脂12
の粘度を低下させる働きをする化合物であれば如何なる
ものであっても使用可能である。また前記熱可塑性樹脂
12の熱溶融温度において、熱分解等を起こさない熱的
な安定性も必要である。殊にポリエチレングリコール
は、メルトフローが高く、かつ水溶解性が高いので好適
に使用し得る。また水溶解性気泡形成材として有機系物
質を選択した場合は、該水溶解性気泡形成材の抽出・除
去を促進する作用も確認されている。更に成形を押出成
形方法で行なう場合、前記ポリエチレングリコールの分
子量は2,000〜30,000、好ましくは5,000
〜25,000、更に好ましくは15,000〜25,0
00の範囲が好適であるとの知見が得られている。
【0017】前記機能性物質14としては、制電性物
質、導電性物質または超電導物質、磁性物質,抗菌物
質、抗菌・防臭物質、消臭物質、形態安定・形状記憶物
質、透湿・吸水物質,透湿抑制・防水物質、感温・保温
・蓄熟・発熱・吸収物質、発光・蛍光物質或いは撥水・
吸油物質等が挙げられ、発現させる機能に応じて適宜選
択される。また形状としては、前記熱可塑性樹脂中に混
合できるものであれば何れのものでも採用可能である
が、押出成形または射出成形により所要形状に成形を施
す場合には、粉体または繊維状物が採用される。
【0018】この機能性物質14として、フェライト、
カーボンまたは導電性フィラーその他の導電性物質が使
用された場合には、静電気防止除去、通電または電磁遮
蔽可能な、所謂電磁波シールド性を発現する発泡体や、
所要の導電性を発現する発泡体が得られる。前述の導電
性を発現する発泡体は、静電写真技術により文字や画像
を紙等の記録媒体に記録する複写機、プリンタ、ファク
シミリ等の事務用機器に使用される転写ローラや現像ロ
ーラに好適に使用される。また前記機能性物質14とし
て、例えばエチレンオキサイドのように水酸基を含有す
る界面活性剤等の吸水性を発現する吸水物質が使用され
た場合には、発泡体が有している保水性を更に向上さ
せ、液晶表面やCRP(プリント基板)等のデリケートな
作業が必要とされる部材の表面研磨作業や、パチンコ機
のパチンコ玉やコイン洗浄等に好適に使用される吸水性
ローラが得られる。その他の例として、前記機能性物質
14として、磁性物質が使用されれば磁気を帯びて金属
物を吸着し得る発泡体が得られる。
【0019】また例えば熱可塑性樹脂12としてオレフ
ィン系樹脂を使用し、水溶解性高分子化合物として、該
オレフィン系樹脂に対して相溶性の低いポリエチレング
リコールを利用するような場合には、この低相溶性を利
用して該ポリエチレングリコールの粒径を制御すること
が可能になる。すなわち滑材としての水溶解性高分子化
合物を、水溶解性気泡形成材としても利用可能となるも
のである。
【0020】前記熱可塑性樹脂12と、その他の成分と
の混合割合は、vol%で10:90〜20:80の範
囲内が好適である。前記熱可塑性樹脂12の割合が10
vol%未満の場合には、水溶解性物質の抽出・除去時
に成形体自体が分離してしまう。一方、前記熱可塑性樹
脂12の割合が20vol%を越える場合には、得られ
た機能性物質を含有する発泡体10の硬度か高くなって
しまい、肌触り等の触感が悪化してしまう。
【0021】前記水溶解性気泡形成材と、その他の成分
との混合割合は、vol%で25:75〜80:21の
範囲内が好適である。前記水溶解性気泡形成材の割合が
25vol%未満の場合には、3次元的に連通した多孔
体構造が得られなくなったり、少ない量の該水溶解性気
泡形成材が前記熱可塑性樹脂12に被覆されて抽出除去
が困難になることが考えられる。また80vol%を越
える場合には、成形性が低下してしまう。
【0022】前記水溶解性高分子化合物と、その他の成
分との混合割合は、vol%で10:90〜25:75
の範囲内が好適である。前記水溶解性高分子化合物が1
0vol%未満の場合には、主材料である前記熱可塑性
樹脂12の滑りが悪化し、結果として成形性が低下して
しまい、25vol%を越える場合には、該水溶解性高
分子化合物過多のために、加熱時に混合物の粘度が低下
してやはり成形が困難となってしまう。
【0023】前記機能性物質14と、その他の成分との
混合割合は、vol%で1:99〜50:50の範囲
内、殊に20:80〜30:70の範囲内が好適であ
る。また同時に100重量部の前記熱可塑性樹脂12に
対して、10〜100重量部の範囲となるように設定さ
れる。これは最終製品として得られる発泡体10を構成
する前記熱可塑性樹脂12と機能性物質14との材質に
よって変動する比重等の物性を考慮した結果であり、前
述の何れかの条件が達成されていれば該発泡体10の成
形は可能である。すなわち前記機能性物質14とその他
の成分との混合割合が50vol%を越える、または1
00重量部の熱可塑性樹脂12に対して100重量部以
上の機能性物質14が混合されると、最終製品としての
発泡体の成形性が確保できない場合がある。また最終製
品たる発泡体10において、前記機能性物質14が少な
くとも10wt%含有されていれば、該機能性物質14
により所期の機能の発現が確認されることが経験的に確
認されている。なお前記機能性物質14の混合割合が3
0vol%を越える場合には、前述の成形性を充分に確
保することを目的として、該機能性物質14を繊維状物
とすることで、発泡体10の骨格部分を形成する熱可塑
性樹脂12の崩壊を防止してその結合力、すなわち成形
性を高めることが可能である。
【0024】前記熱可塑性樹脂12、水溶解性気泡形成
材、水溶解性高分子化合物および機能性物質14の混合
割合を上述の範囲に設定した場合、これら混合物を成形
した成形体を水に浸漬させることで、該水溶解性気泡形
成材および水溶解性高分子化合物は容易かつ充分に抽出
・除去可能である。すなわち、主材料である前記熱可塑
性樹脂12および触感等を向上させ得る機能性物質14
を均質に混合し、弾性および強度等を備える機能性物質
を含有する発泡体10が得られる。また前述の各成分の
混合割合を前述の好適な範囲に設定することで、500
μm以下の気泡径を有し、かつその気泡率が75〜85
vol%以上の発泡体10を得ることも可能である。更
に前記3者の混合割合を更に好適化することで、30μ
m以下の気泡径を有する発泡体10も製造し得る。この
際、前記気泡径は、水溶解性気泡形成材の抽出により形
成されるものであるので、前記機能性物質14が原料内
に存在していても形成される気泡径には影響されない。
【0025】また、前記機能性物質14として繊維状物
が採用され、かつ後述する製造方法において押出成形ま
たは射出成形が行なわれる場合、得られる成形体内に分
散されている該機能性物質4が該成形時に押出または射
出方向に沿って配向される。このため、例えば磁性物質
の繊維状物を使用した際には、前記発泡体10により強
い磁性を発現させ、また形態安定・形状記憶物質の繊維
状物を使用した際には、押出または射出方向に沿った形
状安定・形状記憶性を獲得し得る。
【0026】本発明に係る機能性物質を含有する発泡体
を製造するには、図2に示す如く、先ず原料となる熱可
塑性樹脂、水溶解性気泡形成材、水溶解性高分子化合物
および機能性物質を、所定の機器を使用して、混合・混
練して加熱混合物とし、これをそのまま、または押出機
等を使用して所定形状とされた成形体を水または所定温
度の温水に浸漬することで、前記水溶解性気泡形成材お
よび水溶解性高分子化合物を抽出・除去して、微細な気
泡が3次元連通気泡構造を有し、熱可塑性樹脂および機
能性物質からなり、機能性物質により所期の機能を発揮
し得る発泡体を得るものである。またここでの混合が高
い粘性等により困難である場合には、該混合に先立ち予
混合を施してもよい。
【0027】前述の熱可塑性樹脂、水溶解性気泡形成
材、水溶解性高分子化合物および機能性物質の混合・混
練には、1軸式または2軸式押出機、加圧式ニーダ、ニ
ーダ、コニーダ、バンバリーミキサ、ヘンシェル型ミキ
サ或いはロータ型ミキサその他の混練機等の機能性物質
を均一に分散させ得るものが好適に使用される。この混
練について、特殊な装置は必要なく、また混練速度等も
限定されない。混練時の温度は使用する熱可塑性樹脂等
の熱溶融点によって適宜設定されるが、本発明において
は、この熱可塑性樹脂の熱溶融点で前記水溶解性気泡形
成材や機能性物質等が溶融または昇華することがないの
で、如何なる温度であっても設定可能となっている。混
練時間は各種混合物の物性により左右されるが、該混合
物が充分に混合・混練されればよく、通常では30〜4
0分程度で充分である。この際に余りの長時間の混練
は、主材料である熱可塑性樹脂や機能性物質の劣化を引
き起こす原因となるので注意が必要である。混練された
原料は、物性的には押出、射出、プレスまたはローラー
等により所要形状に成形が可能であるが、殊に量産性が
高い押出または複雑形状を形成し得る射出による成形が
好適である。
【0028】各成分を混合して所要形状に成形された成
形体は、前記水溶解性気泡形成材および水溶解性高分子
化合物を、溶媒である水に所定時間(例えば24〜48
時間、成形体の形状・厚さ等にもよる)浸漬させること
で抽出・除去される。またこの際の浸漬は、どのような
方法であってもよいが、前記混合物全体を水に接触させ
る水中浸漬による抽出・除去が好適である。このとき使
用される水の温度についても、殊に限定がなく室温程度
のものであってもよいが、前記各水溶解性物質の効率的
な除去のために、15〜60℃の温水を利用してもよ
い。
【0029】
【実験例】以下に、本発明に係る機能性物質を含有する
発泡体の実験例を示す。この機能性物質を含有する発泡
体は、予め選択された熱可塑性樹脂、水溶解性気泡形成
材、水溶解性高分子化合物および機能性物質を以下の表
1に記載の割合で混合し、得られた混合物を汎用の熱プ
レス装置を使用して、温度100℃、時間60secの
条件で幅150mm、長さ150mm、厚さ2mmの試
験片とした後、水による24時間の抽出処理および熱風
乾燥機による乾燥処理を施して得られるものである。得
られた2つの試験片について、目視または各種測定機器
を使用して、前記機能性物質の重量含有率や機能性物質
を含有する発泡体に必要とされる各物性、すなわち成形
性、密度(g/cm3)、引張強度(kg/cm2)、伸び率(%)およ
びC硬度(C)と、電磁波シールド性(測定方法後述)とを
夫々観察・測定し、機能性物質を含有する発泡体として
の総合評価を下した。
【0030】
【表1】
【0031】電磁波シールド性の測定方法:KEC法準
拠のシールド効果測定治具に、各実験例の試験片を切り
出して取り付け、トラッキングジェネレータを備えるス
ペクトラムアナライザ(商品名 8560A;ヒューレッ
ト・パッカード製)により300KHz〜1GHzの周
波数帯域で入射波の強度に対する透過波の強度の減衰比
を電磁波シールド効果として、電界波および磁界波のシ
ールド特性を夫々測定した。電磁波シールド効果とその
品質との対照表を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】なお各実験例および比較例で使用される各
成分および機器等は以下の通りである。 熱可塑性樹脂:汎用のポリプロピレン樹脂 水溶性気泡形成材:NaCl(商品名 うずしお微粒M
鳴門塩業製) 水溶性高分子化合物:ポリエチレングリコール(商品名
PEG20000 三洋化成製) 機能性物質:汎用の炭素繊維 使用機器:押出機ラボプラストミル(東洋精機製)
【0034】(結果および考察)前述した各物性値につい
て、以下の表3および表4に記す。各実験例の各物性値
を比較して結果、前記機能性物質が混合されることで発
泡体としての基本的な物性を損なうことがないことを確
認した。また原料混合時には、前記機能性物質の含有量
(体積ベース)は1割前後と少ないが、製造において、体
積の大部分を占める水溶解性物質(水溶解性気泡形成材
および水溶解性高分子化合物)を抽出除去するので、最
終的には該機能性物質の含有量(重量ベース)が充分な量
となり、該機能性物質が発現する機能、すなわち電磁波
シールド性についても表4に示す如く、10MHz〜1
GHzで電子機器として充分に使用できるシールド効果
が確認された(表2参照)。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明に係る機能
性物質を含有する発泡体によれば、水を使用して気泡形
成材等を除去する乾式抽出法を用いることで、所期の機
能を付与する機能性物質を混合し、気泡径および気泡率
を制御すると共に、熱可塑性樹脂、水溶解性気泡形成材
および水溶解性高分子化合物を所定の混合割合とするこ
とで、押出成形または射出成形により成形可能な3次元
連通構造を有する機能性物質を含有する発泡体を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な機能性物質を含有する発泡体を
示す縦断断面図である。
【図2】本発明の好適な機能性物質を含有する発泡体の
製造方法を示す工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯塚 武史 神奈川県秦野市堀山下380番地5号 株式 会社イノアック技術研究所内 Fターム(参考) 4F074 AA24 AA76 AC02 AC13 AC17 AE04 AG08 CB03 CB14 CB17 DA13 DA47 4F212 AA11 AB02 AB07 AB10 AB16 AB18 AB20 AE03 UA09 UB01 UC05 UC07 UW32

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種類の熱可塑性樹脂と、こ
    の熱可塑性樹脂が熱溶融する温度で熱的に安定で形状を
    維持し得る水溶解性気泡形成材と、滑材として作用する
    水溶解性高分子化合物と、最終製品たる発泡体に所期の
    機能を付与する機能性物質との加熱混合体から、前記水
    溶解性気泡形成材および水溶解性高分子化合物が水によ
    り抽出除去されて、前記機能性物質を均一に分散させた
    3次元連通気泡構造となっていることを特徴とする機能
    性物質を含有する発泡体。
  2. 【請求項2】 前記機能性物質は、最終製品たる発泡体
    内に少なくとも10wt%以上含有される請求項1記載
    の機能性物質を含有する発泡体。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂として、ポリプロピレ
    ンが使用される請求項1または2記載の機能性物質を含
    有する発泡体。
  4. 【請求項4】 前記水溶解性気泡形成材として、無機物
    が使用される請求項1〜3の何れかに記載の機能性物質
    を含有する発泡体。
  5. 【請求項5】 前記水溶解性高分子化合物として、ポリ
    エチレングリコールが使用される請求項1〜4の何れか
    に記載の機能性物質を含有する発泡体。
  6. 【請求項6】 前記3次元連通気泡構造における気泡の
    径は500μm以下で、気泡率は75vol%以上であ
    る請求項1〜5の何れかに記載の機能性物質を含有する
    発泡体。
  7. 【請求項7】 前記機能性物質として、フェライトまた
    はカーボン等の導電性物質が使用され、これにより電磁
    波シールド性や導電性等の機能が付与される請求項1〜
    6の何れかに記載の機能性物質を含有する発泡体。
  8. 【請求項8】 前記機能性物質として、例えば界面活性
    剤等の水酸基を含有する吸水物質を使用し、これにより
    所要の吸水性が付与される請求項1〜6の何れかに記載
    の機能性物質を含有する発泡体。
  9. 【請求項9】 少なくとも1種類の熱可塑性樹脂と、こ
    の熱可塑性樹脂が熱溶融する温度で熱的に安定で形状を
    維持し得る水溶解性気泡形成材と、滑材として作用する
    水溶解性高分子化合物と、最終製品たる発泡体に所期の
    機能を付与する機能性物質とを加熱状態下で混合し、 得られた混合物を水に接触させて、前記水溶解性気泡形
    成材および水溶解性高分子化合物を抽出除去すること
    で、3次元連通気泡構造であって前記機能性物質が均一
    に分散されている機能性物質を含有する発泡体を製造す
    るようにしたことを特徴とする機能性物質を含有する発
    泡体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記混合物は、抽出除去に先立ち所要
    形状に成形される請求項9記載の機能性物質を含有する
    発泡体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記成形は、押出成形または射出成形
    により行なわれる請求項10記載の機能性物質を含有す
    る発泡体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記水溶解性気泡形成材および水溶解
    性高分子化合物を抽出除去するのに使用される水の温度
    は、15〜60℃である請求項9〜11の何れかに記載
    の機能性物質を含有する発泡体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004036973A1 (ja) * 2002-10-18 2004-04-29 Nisshinbo Industries, Inc. 導電性クッション材料及びその製造方法
JP2008174576A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Kenji Nakamura 抗菌樹脂成型物及びその製造方法

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