JP2002326151A - レジンボンドワイヤソー - Google Patents
レジンボンドワイヤソーInfo
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Abstract
の接着力を高めて、切断加工中における砥粒の脱落を防
止する。 【解決手段】 ピアノ線1aにCu−Zn合金をメッキ
した芯線1に砥粒2bとともに被覆したボンド層2aが
硬化した後の砥粒層2を、加圧ローラにより押圧するこ
とによってメッキ層1bに砥粒2bの一部を埋設させて
いる。これにより、砥粒2bの一部がメッキ層1bに食
い込んだかたちとなり、ワイヤソー使用による切断加工
時のボンド層2aの磨耗や振動などによっても砥粒2b
が脱落しないようになる。
Description
る固定砥粒タイプのワイヤソーに係り、特に切断加工中
における砥粒の脱落防止機能を高めたレジンボンドワイ
ヤソーに関する。
配線パターンの微細化による性能向上が図られてきた
が、配線パターンの微細化だけでは多機能化に追いつけ
ず、近来ではチップ自身を大型化することで対応してい
る。このようなチップの大型化に伴い、歩留り向上の点
からシリコンウエハも大口径のものが使用されるように
なり、その前工程であるシリコンインゴットからの切り
出し法も従来の内周刃切断法から大口径化に対応しやす
いワイヤソーカット法へ移行されつつある。
われていたものの一つとして、スラリーを用いた遊離砥
粒方式がある。この遊離砥粒方式は、ピアノ線や超高強
度合金線をシリコンインゴットに強く接触させた状態で
走行させ、ピアノ線や超高強度合金線が接触している部
分にWAやGCなどの遊離砥粒を含有した潤滑油を注入
しながら切断するというものである。しかしながら、潤
滑油の飛散による作業環境の劣化やワークの汚染を伴う
ほか、被加工材への砥粒の食い込み深さを一様に保てる
ように制御できないことから切断効率に限界があるとさ
れている。
WAやGCまたはダイヤモンド、CBNなどの砥粒を固
着させたワイヤソーを使用する固定砥粒方式が提案され
た。この固定砥粒方式に用いるワイヤソーとしては、電
着により砥粒を固着させる電着ワイヤソーや樹脂(レジ
ン)を結合剤として砥粒を固着させるレジンボンドワイ
ヤソーが知られている。これらの電着ワイヤソーやレジ
ンボンドワイヤソーでも、遊離砥粒方式と同様に被加工
材に強く接触させながら走行させることで砥粒による切
断が可能である。
るメッキ処理の工程に時間を費やすため、数十〜数百k
mの芯線に砥粒を電着させることが事実上不可能である
という製造上の問題と、破断ねじり強度や曲げ強度が低
いため加工時に断線しやすいという使用上の問題が以前
から指摘されていた。そこで、このような電着ワイヤソ
ーの欠点を改善したものとして、レジンボンドワイヤソ
ーが開発されたという経緯がある。
は、たとえば特開平10−138114号公報に記載さ
れたものがある。この公報に記載のレジンボンドワイヤ
ソーは、高抗張力金属線を芯線として用い、ポリアミド
イミド樹脂を結合剤としてこれに砥粒を分散含有させた
もので芯線を被覆するという構成としたものである。こ
のようなレジンボンドワイヤソーによれば、電着ワイヤ
ソーでは困難であった長距離のワイヤソーを製造するこ
とができる。
を使用してシリコンインゴットなどの切断加工を行う際
に、被加工物との接触による樹脂層の磨耗や振動などに
より砥粒が脱落しやすいという問題がある。この問題に
対して、芯線の表面に細かい凹みを形成し砥粒をこの凹
みに入り込ませて芯線に固着させたワイヤソーが特開平
10−328932号公報にて提案されている。
ラストあるいはショットピーニングなどの機械的処理や
化学研磨あるいは電解研磨などの電気化学的処理によっ
て芯線表面に無数の梨地状の凹みを形成し、砥粒と結合
剤の混合物を芯線の表面に塗布し、これをダイスで絞っ
て砥粒を凹みに入り込ませて外径を均一化し、焼き付け
により砥粒と結合剤を芯線に固着する方法によって製造
されるものである。このようなワイヤソーとすることに
より、切断加工時における被加工物の反作用力が砥粒に
作用してもこの反作用力に充分耐えることができるとさ
れている。
においては、凹み形成により芯線の表面積が増大するこ
とによる芯線と樹脂層の接着力増加は期待できるもの
の、砥粒はたんに凹みに入り込んでいるだけであるの
で、砥粒そのもの脱落を防止する効果はあまり期待でき
ない。また、機械的処理による凹みの形成では、芯線に
損傷を与え、切断加工中にワイヤソーが断線するおそれ
がある。電気化学的処理では芯線に損傷を与えることは
少ないが、砥粒の脱落を防止できるほどの十分な凹みを
形成することは難しい。
表面に砥石の下地層に相当する接着用の特殊層を形成す
る、もしくはカップリング処理など表面改質剤を使用し
て芯線と樹脂層との間に接着層を挟み込む方法も考えら
れる。しかしこの方法でも、芯線材質と樹脂の材質の相
性によりその効果がまちまちで、かつ効果自体もわずか
である。
ワイヤソーにおいて、芯線に対する砥粒の接着力を高め
て、切断加工中における砥粒の脱落を防止することにあ
る。
樹脂を結合剤として砥粒を固着させたレジンボンドワイ
ヤソーにおいて、芯線に施した軟質金属メッキ層に砥粒
の一部を埋設させたことを特徴とする。
高抗張力金属線や表面に銅や銅合金などの軟質金属によ
るメッキが施された高抗張力金属線が使用されるが、本
発明においては、表面に銅や銅合金などの軟質金属によ
るメッキが施された高抗張力金属線を使用し、このメッ
キされた軟質金属層に砥粒の一部を強制的に埋設させ
る。これにより、砥粒はその一部が芯線表面の軟質金属
メッキ層に食い込んだかたちとなり、切断加工時の樹脂
層の磨耗や振動などによっても砥粒が脱落しないように
なる。
mとするのが望ましい。軟質金属メッキ層の厚さが5μ
mより小さいと砥粒の埋設深さが小さすぎて脱落防止効
果が期待できない。また10μmより大きいと外径寸法
を従来品と同じくした場合、金属メッキされた芯線径に
対し芯材の高抗張力金属線が細くなりすぎ、芯線に必要
な強度を下回る結果となるので、前記範囲が好適であ
る。メッキ金属は銅や銅合金以外に金、錫、亜鉛やその
合金などを用いることができる。この軟質金属メッキ層
のみに砥粒の一部を埋設することにより、芯線本体であ
る高抗張力金属線には何ら損傷を与えることがないの
で、ワイヤソーの断線のおそれもない。
張力金属線に軟質金属メッキを施した芯線を一定の速度
で送りながら、液状樹脂と砥粒の混合物を貯留した被覆
槽を通過させて芯線に液状樹脂と砥粒の混合物を被覆す
る工程と、前記被覆した液状樹脂を硬化させて芯線に砥
粒層を固着させる工程と、硬化後の砥粒層を加圧ローラ
により押圧して砥粒の一部を芯線の軟質金属メッキ層に
埋設させる工程とを含む製造方法により製造することが
できる。
を用いるのが望ましい。光硬化型樹脂を用いることによ
り、液状樹脂の硬化時間を短縮して生産能率を高めるこ
とができ、また樹脂硬化の工程において硬化反応を制御
し、いったん硬度の低い仮硬化の状態をつくりだすこと
により、砥粒の埋設を効率的に行うことも可能になる。
また前記加圧ローラとして、前記高抗張力金属線より硬
度の低い材質のローラを用いるのが望ましい。加圧ロー
ラにより砥粒層を押圧したとき、砥粒の一部が軟質金属
メッキ層を貫通して芯線本体の高抗張力金属線に当接し
たときに、加圧ローラとして高抗張力金属線より低い硬
度のものを用いることにより、それ以上の押圧を加えた
ときでも高抗張力金属線に砥粒が食い込むことがなく、
高抗張力金属線を損傷することがなくなる。
ワイヤソーの部分正面図、図2は図1のA−A線矢視に
よる縦断面図である。
層2を固着させたもので、芯線1は、線径0.15mm
のピアノ線1aにCu−Zn合金をメッキしたものであ
り、メッキ層1bは厚さ7μmの軟質金属層である。砥
粒層2は、ボンド層2aにより砥粒2bを固着させたも
のである。ボンド層2aは光ラジカル発生剤を添加した
アクリレート樹脂にフィラー材を混合したレジンボンド
であり、砥粒2bは平均粒径が25μmのダイヤモンド
砥粒である。
は、芯線1のメッキ層1bに砥粒2bの一部を埋設させ
ている。砥粒2bのメッキ層1bへの一部埋設は、芯線
1に砥粒2bとともに被覆したボンド層2aが硬化した
後の砥粒層2を、加圧ローラにより押圧することによっ
て行う。この際、加圧ローラとしてピアノ線1aより硬
度の低い材質のローラを用いることにより、図2に示す
ように、ピアノ線1aに砥粒2bが食い込むことがな
く、かつ確実にメッキ層1bに砥粒2bの一部を埋設さ
せることができる。これにより、砥粒2bの一部がメッ
キ層1bに食い込んだかたちとなり、ワイヤソー使用に
よる切断加工時のボンド層2aの磨耗や振動などによっ
ても砥粒2bが脱落しないようになる。
の説明図である。製造方法の主要工程は以下の通りであ
る。図示しないリールから捲き戻した芯線1を一定の速
度で送り出し、この芯線1を砥粒と液状樹脂の混合物2
1を貯留する貯留槽20内を通過させて、芯線1の表面
に砥粒と液状樹脂を被覆する。貯留槽20を通過した被
覆ワイヤ10の被覆厚さをダイス22により均一化し、
その後、紫外線照射装置23により被覆層の液状樹脂を
硬化させる。樹脂硬化後のワイヤ11に対し、加圧ロー
ラ24によりワイヤ全周を加圧して、図2に示すよう
に、砥粒2bの一部を芯線1のメッキ層1bに埋設させ
たワイヤソー製品12を得る。
粒径が25μmのダイヤモンド砥粒とフィラー材を混合
した混合物21が貯留されている。ダイス22は、被覆
後のワイヤ10に余分に付着した混合物を除去して外径
を調整するためのもので、本実施形態の場合、ダイス2
2通過後の仕上がり外径は0.21mm±10μmであ
る。紫外線照射装置23は、ワイヤ10がダイス22を
通過後5秒以内に到達するようにダイス22との距離お
よびワイヤ送り速度を設定してワイヤ10を紫外線照射
装置23に送り込み、紫外線を照射して被覆層中の樹脂
を硬化させて砥粒層2を形成させる。
外径に対応した寸法の半円形の溝を周面に形成した2個
の回転ローラを対向配置したもので、ワイヤ11を押圧
して被覆層中の砥粒の一部を芯線1のメッキ層1aに埋
設させる。加圧ローラ24は、ワイヤソーの芯線1のピ
アノ線1aより硬度の低い樹脂製であり、加圧ローラ2
4でワイヤ11を押圧したときに砥粒2bがピアノ線1
aを損傷するおそれはない。
に、上記実施形態のワイヤソーで芯線1のメッキ層厚さ
を5μmとした発明品1と、メッキ層厚さを10μmと
した発明品2、および加圧ローラによる押圧を施さない
従来品の各ワイヤソーを使用して、以下の試験条件で切
断試験を行った。 切断装置:単線切断装置 ワイヤ速度:平均400m/min ワイヤテンション:19.5N 被加工物:シリコンインゴット
ヤソーの砥粒の脱落状況と所定の加工精度で切り出しが
可能であった総切り出し枚数を示す。
ヤソー1mm長さにおける砥粒脱落個数である。
来品に比して砥粒の脱落が少なく、総切り出し枚数は従
来品の2〜4倍であった。メッキ層厚さの影響は、メッ
キ層厚さが厚いほど砥粒の埋設量が大きくなって砥粒保
持力が高くなるので、砥粒の脱落が少なくなることが確
認された。
属メッキ層に砥粒の一部を強制的に埋設させることによ
り、砥粒はその一部が芯線表面の軟質金属層に食い込ん
だかたちとなって切断加工時の樹脂層の磨耗や振動など
によっても砥粒が脱落しないようになり、ワイヤソーの
長寿命化が図れる。
正面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 芯線の表面に樹脂を結合剤として砥粒を
固着させたレジンボンドワイヤソーにおいて、芯線に施
した軟質金属メッキ層に砥粒の一部を埋設させたことを
特徴とするレジンボンドワイヤソー。 - 【請求項2】 前記軟質金属メッキ層の厚さが5〜10
μmである請求項1記載のレジンボンドワイヤソー。 - 【請求項3】 高抗張力金属線に軟質金属メッキを施し
た芯線を一定の速度で送りながら、液状樹脂と砥粒の混
合物を貯留した被覆槽を通過させて芯線に液状樹脂と砥
粒の混合物を被覆する工程と、前記被覆した液状樹脂を
硬化させて芯線に砥粒層を固着させる工程と、硬化後の
砥粒層を加圧ローラにより押圧して砥粒の一部を芯線の
軟質金属メッキ層に埋設させる工程とを含むことを特徴
とするレジンボンドワイヤソーの製造方法。 - 【請求項4】 前記液状樹脂として光硬化型樹脂を用い
る請求項3記載のレジンボンドワイヤソーの製造方法。 - 【請求項5】 前記加圧ローラとして前記高抗張力金属
線より硬度の低い材質のローラを用いる請求項3記載の
レジンボンドワイヤソーの製造方法。
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