JP2002324335A - 光学記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光学記録媒体およびその製造方法

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JP2002324335A
JP2002324335A JP2001129338A JP2001129338A JP2002324335A JP 2002324335 A JP2002324335 A JP 2002324335A JP 2001129338 A JP2001129338 A JP 2001129338A JP 2001129338 A JP2001129338 A JP 2001129338A JP 2002324335 A JP2002324335 A JP 2002324335A
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dielectric film
film
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optical recording
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JP2001129338A
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Toru Abiko
透 安孫子
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Sony Corp
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    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/24Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material
    • G11B7/2403Layers; Shape, structure or physical properties thereof
    • G11B7/24035Recording layers
    • G11B7/24038Multiple laminated recording layers

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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板上に複数の誘電体膜を成膜する際に、腐
食の発生を抑制しつつ、マスクエッジ近傍における誘電
体膜の膜厚減少を防止して反射率の減少を抑制し、記録
領域を拡大して記憶容量を増加させるとともに、特性の
向上を図る。 【解決手段】 ディスク基板2の一主面2a上に、反射
膜3、下層誘電体膜4、記録膜5を順次形成した後、上
層誘電体膜6を形成する。上層誘電体膜6の形成におい
て、真空チャンバを2基用いる。まず、1基目の真空チ
ャンバにおいて、内周マスクと外周マスクとを用いてマ
スキングをし、第1の上層誘電体膜6aを成膜する。外
周マスクを取り外した後、2基目の真空チャンバ内にお
いて、第2の上層誘電体膜6bを成膜する。その後、接
着層8を介して、光透過保護層9を貼り合わせ、光ディ
スク1を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光学記録媒体お
よびその製造方法に関し、特に、複数の膜が順次積層さ
れ構成された誘電体膜が設けられた光学記録媒体に適用
して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、相変化記録材料を用いた書き換え
可能な光ディスクの実用例として、いわゆるDVD−R
W(Digital Versatile Disc - ReWritable)が市販さ
れている。このDVD−RWは、2枚の相変化型のディ
スク状光記録媒体(以下、光ディスク)を貼り合わせた
ものである。この貼り合わせ前の光ディスク101を図
8に示す。
【0003】図8に示すように、この貼り合わせ前の光
ディスク101においては、PCからなるディスク基板
202の一主面102a上に、誘電体からなる第1の誘
電体膜103、結晶相と非晶質相との相変化を利用して
情報信号が記録される相変化記録膜104、第2の誘電
体膜105、レーザ光を反射するための反射膜106お
よび、これらの第1の誘電体膜103から反射膜106
の積層膜を保護するための保護層107が順次積層され
て設けられている。
【0004】そして、図9Aに示すように、以上のよう
に構成された光ディスク101を2枚用意し、それらの
一主面102a側の保護層107どうしを、接着層10
8を介して貼り合わせることにより、両面記録構成のD
VD−RWを得ることができる。また、片面のみを記録
面とする場合には、図9Bに示すように、ディスク基板
202の一主面102a上に反射膜109および保護層
107が順次積層されて構成されたダミーディスクと、
図8に示す光ディスクとを、それらの保護層107側
を、接着層108を介して貼り合わせることにより、片
面記録構成のDVD−RWを得ることができる。
【0005】このようなDVD−RW101に対する記
録/再生時に用いられるレーザ光は、ディスク基板20
2側から相変化記録膜104に向けて照射される。そし
て、このDVD−RW101においては、線速が3.4
9m/s、記録ビット長が0.267μm/bit、ト
ラックピッチ(Tp)が0.74μm、レーザ光の波長
が約650μm、データ転送レートが11Mbps、記
録容量4.7GBが実現されている。
【0006】そして、このDVD−RW101を上回る
大容量化、高転送レート化を実現するためには、記録用
のレーザ光におけるスポットサイズ(スポット径)を小
さくし、記録線速の向上する方法が有効である。ここ
で、記録用のレーザ光におけるスポットサイズを小さく
するためには、具体的には、レーザ光を短波長化する方
法や、対物レンズの開口数(NA)を大きくする方法な
どを挙げることができる。
【0007】特に、レーザ光の短波長化と対物レンズの
高NA化とを併用すると、これらのそれぞれの方法を単
独に採用した場合に比べ、スポットサイズをより小さく
することができる。例えば、光源として、波長λが40
0nm付近のいわゆる青紫色レーザを用い、さらに対物
レンズのNAが0.85の対物レンズを用いると、理論
上、さらなる高密度記録が可能となる。
【0008】このように、記録密度を上げるためには、
NA/λの向上を図ることが不可欠となる。この場合、
記録容量として8GBを達成するためには、少なくとも
NAを0.70以上とし、さらにレーザ光の波長λを
0.68μm(680nm)以下にする必要がある。
【0009】そして、現状用いられている赤色レーザか
ら、将来普及が見込まれる青色レーザまで対応すること
を考慮すると、光透過層は10〜177μmに設定する
のが最適である。すなわち、一般的に、ディスクスキュ
ーマージンΘと、記録再生用光学ピックアップの光源波
長λ、開口数(NA)および、ディスクの光透過保護層
の膜厚tとは相関関係にある。そして、実用上、そのプ
レイヤビリティが十分に実証されているコンパクトディ
スク(CD)を基準として、これらのパラメータとディ
スクスキューマージンΘとの関係が、特開平3−225
650号公報(文献1)に示されている。
【0010】すなわち、文献1によれば、−84.11
5(λ/NA3/t)≦Θ≦84.115(λ/NA3
t)にする必要がある。ここで、ディスクを実際に量産
する場合のディスクスキューマージンΘの具体的な限界
値を考えると、0.4°とするのが妥当である。これ
は、量産を考えた場合、これより小さくすると製造歩留
まりが低下し、コストが増加してしまうからである。既
存の光学記録媒体についても、ディスクスキューマージ
ンΘの限界値は、CDにおいて0.6°、DVDにおい
て0.4°である。
【0011】そこで、Θ=0.4°として、レーザの短
波長化および高NA化により、光透過保護層の厚みをど
の程度に設定すべきかを計算すると、レーザ光の波長λ
がλ=0.65μm(赤色レーザ)である場合、NAは
0.78以上が要求される。また、レーザ光の短波長化
が進み、波長λが0.4μm程度の半導体レーザを用
い、NAを上述の0.78以上に固定した場合、ディス
クの光透過保護層の膜厚tは、177μm以下に小さく
する必要がある。他方、この光透過保護層の膜厚の下限
は、光記録膜を保護する光透過保護層の保護機能によっ
て決定される。さらに、信頼性や2群レンズの衝突など
の影響を考慮すると、光透過保護層の膜厚としては、1
0μm以上が望ましい。
【0012】ここで、光透過保護層が薄膜化された、上
述したような光学記録媒体(光ディスク)について説明
する。図10に、この光ディスク201を示す。
【0013】図10に示すように、光透過保護層が薄膜
化された光ディスク201は、ディスク基板202上
に、反射膜203、第1の下層誘電体膜204、記録膜
205および第2の上層誘電体膜206からなる情報信
号層207と、この情報信号層207上に、接着層20
8を介して光透過保護層209とが積層された構成を有
する。これらのうちディスク基板202は、これを単板
で構成する場合にある程度の剛性が要求される。そのた
め、ディスク基板202の厚さは、0.6mm程度であ
る。
【0014】ところで、上述したようなDVD−RW1
01や光ディスク201などの光学記録媒体において、
支持基板として用いられるポリカーボネート樹脂やポリ
オレフィン系樹脂は、溶融成型時に耐熱性を有しつつ、
成形しやすく、変質が少なく、さらに機械的特性も優れ
ているという利点を有している。そのため、光学記録媒
体の支持基板として有用な材料である。
【0015】また、2枚のディスクを貼り合わせて構成
されるものにおいては、支持基板上に記録用薄膜を形成
後、貼り合わせにより光透過保護層が形成される点が重
要である。このような2枚のディスクを貼り合わせて構
成される光ディスクは、この貼り合わせによって歩留ま
りや光学記録媒体の信頼性が左右されることも多い。
【0016】また、光ディスク201のような、ディス
ク基板に対して情報信号層が設けられた側からレーザ光
を照射することによって情報信号の記録/再生を行うよ
うに構成された光ディスクにおいて、波長が400nm
程度のレーザ光を用いた場合、上層誘電体膜206の膜
厚としては、140nm程度必要になる。そのため、光
ディスク201の情報信号層207における上層誘電体
膜206以外の膜の成膜時間とのかねあいから、製造時
におけるタクトタイムを向上させるために、この上層誘
電体膜206は、2つのチャンバ、もしくは3つのチャ
ンバを用いて成膜される。
【0017】すなわち、具体的に上層誘電体膜206を
2つのチャンバを用いて成膜する場合、図11に示すよ
うに、まず、ディスク基板202の一主面202a上
に、第1のスパッタリングチャンバを用いて反射膜20
3を成膜する。その後、第2のスパッタリングチャンバ
を用いて下層誘電体膜204を成膜し、第3のスパッタ
リングチャンバを用いて記録膜205を成膜する。そし
て、第4のスパッタリング装置を用いて第1の上層誘電
体膜206aを成膜し、さらに第5のスパッタリング装
置を用いて第2の上層誘電体膜206bを成膜する。
【0018】また、3つのチャンバを用いる場合におい
ても同様である。すなわち、まず、図12に示すよう
に、ディスク基板202上に、それぞれスパッタリング
チャンバを用いて、順次反射膜203、下層誘電体膜2
04、および記録膜205を形成する。その後、それぞ
れスパッタリングチャンバを用いて、第1の上層誘電体
膜206a、第2の上層誘電体膜206bおよび第3の
上層誘電体膜206cを順次積層することにより、上層
誘電体膜206を形成する。これによって、情報信号層
207が形成される。
【0019】このようなスパッタリングチャンバを用い
て、ディスク基板上にそれぞれの膜を成膜する場合、通
常、平面円環形状のディスク基板の内周部および外周部
に、それぞれマスキングを行う。すなわち、ディスク基
板の内周部を、内周マスクを用いてマスキングを行うと
ともに、外周部を、外周マスクを用いてマスキングを行
う。
【0020】このマスキングは、平面円環形状を有する
ディスク基板の内周端および外周端において、反射膜や
記録膜などが露出することを防止するためのものであ
る。このようなマスキングを行わないと、光ディスクの
製造プロセス中に反射膜や記録膜が露出してしまい、こ
れに起因して、これらの膜に腐食が発生してしまう。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このマ
スキングを行った場合、特に外周マスクの内周端近傍、
すなわち外周マスクのマスクエッジ近傍において、成膜
される膜の膜厚が所望の値ほど得られないという問題が
ある。これは、外周マスクによりスパッタ粒子の運動が
遮られ、材料の堆積が抑制されてしまうためである。こ
れにより、成膜される膜の膜厚として、所望の膜厚を得
ることができなくなってしまう。
【0022】また、情報信号の記録/再生に、波長が4
00nm程度の短波長のレーザ光を用いる光ディスクに
おいては、波長が650nm程度のレーザ光を用いる場
合に比べ、膜厚の変動に対して、その特性上の変化が大
きくなってしまう。そのため、波長が650nm程度の
レーザ光を用いて情報信号の記録/再生を行うようにし
た光ディスクに比べ、情報信号層におけるマスクエッジ
近傍の部分を、記録領域として使用することができなく
なるという問題があった。すなわち、上層誘電体膜の膜
厚が、光ディスクの外周端において所望の膜厚より小さ
くなってしまうため、反射率に影響が生じる。これによ
って、フォーカスやトラッキングが外れてしまい、情報
信号を得ることができなくなるという問題が生じる。
【0023】また、光ディスクの外周部は、その円周方
向の長さが内周部に比して約2.4倍程度大きい。これ
により、この外周部において、記録領域として使用する
ことができない円環形状の領域の半径方向に沿った幅の
大きさの変動は、内周部に比して、光ディスク全体の記
録容量に寄与する影響が大きい。そのため、光ディスク
の特に外周部において、記録領域として利用可能な領域
を可能な限り多く確保することが望まれていた。
【0024】したがって、この発明の目的は、ディスク
基板上に複数の膜からなる誘電体膜を積層する際に、反
射膜や記録膜の腐食の発生を抑制しつつ、マスクエッジ
近傍における誘電体膜の膜厚減少を防止することによっ
て、この領域における反射率の減少を抑制して、記録領
域を拡大し、光学記録媒体の記憶容量を大幅に増加させ
るとともに、記録特性などの特性を向上させることがで
きる光学記録媒体およびその製造方法を提供することに
ある。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の第1の発明は、ディスク基板の一主面上
に、少なくとも、レーザ光を反射可能に構成された反射
膜、誘電体材料からなる下層誘電体膜、情報信号を記録
可能に構成された記録膜、および誘電体材料からなる上
層誘電体膜が順次積層されて構成された光学記録媒体に
おいて、上層誘電体膜が、少なくとも2層の誘電体膜か
ら構成され、少なくとも、上層誘電体膜のうちの最表層
の誘電体膜が、最表層以外の誘電体膜の形成領域を覆う
ようにして設けられていることを特徴とするものであ
る。
【0026】この発明の第2の発明は、ディスク基板の
一主面上に、少なくとも、レーザ光を反射可能に構成さ
れた反射膜、誘電体材料からなる下層誘電体膜、情報信
号を記録可能に構成された記録膜、および誘電体材料か
らなる上層誘電体膜が順次積層されて構成され、上層誘
電体膜が、少なくとも2層の誘電体膜から構成された光
学記録媒体の製造方法であって、上層誘電体膜のうちの
少なくとも1層の誘電体膜を成膜した後、ディスク基板
の外周マスクを外し、少なくとも最上層の誘電体膜を成
膜するようにしたことを特徴とするものである。
【0027】この発明において、製造タクトを向上させ
るために、典型的には、複数層からなる膜は、第1の誘
電体膜と第2の誘電体膜とが順次積層されて構成されて
いる。そして、この発明において、好適には、第1の誘
電体膜と第2の誘電体膜とが互いに同種の材料から構成
されている。また、このときの材料としては、典型的に
は、窒化シリコン(SiN)、または硫化亜鉛と酸化シ
リコンとの混合体(ZnS−SiO2)である。また、
この発明において、典型的には、第1の誘電体膜および
第2の誘電体膜からなる積層膜は、レーザ光を透過可能
に構成されている。
【0028】この発明において、典型的には、複数層か
らなる膜は、第1の誘電体膜、第2の誘電体膜および第
3の誘電体膜が順次積層されて構成されている。そし
て、この発明において、好適には、第1の誘電体膜、第
2の誘電体膜および第3の誘電体膜が互いに同種の材料
から構成されている。また、このときの材料としては、
典型的には、窒化シリコン(SiN)、または硫化亜鉛
と酸化シリコンとの混合体(ZnS−SiO2)であ
る。また、この発明において、典型的には、第1の誘電
体膜、第2の誘電体膜および第3の誘電体膜からなる積
層膜は、レーザ光を透過可能に構成されている。
【0029】この発明において、成膜において、膜が島
状になるのを防止するために、最上層の誘電体膜の膜厚
は、典型的には、5nm以上である必要があり、さら
に、下層の記録膜や反射膜の腐食を防止するとともに、
膜厚に依存した反射率の変動を抑制しつつ、製造タクト
の短縮を図るために、典型的には、70nm以下、好適
には、50nm以下、より好適には、30nm以下であ
る必要がある。
【0030】この発明において、複数層からなる膜は、
第1の誘電体膜と第2の誘電体膜とが順次積層されて構
成されており、この第1の誘電体膜と第2の誘電体膜と
が互いに異なる材料から構成されている。また、このと
きの材料として、典型的には、窒化シリコン(Si
N)、または硫化亜鉛と酸化シリコンとの混合体(Zn
S−SiO2)である。
【0031】この発明において、典型的には、誘電体膜
を成膜する成膜手段は枚葉式である。また、この発明に
おいて、典型的には、誘電体膜を成膜する成膜手段は、
スパッタリングチャンバであり、スパッタリングチャン
バに設置されるスパッタリング用ターゲットが1つであ
る。そして、このようにスパッタリングチャンバに1つ
のターゲットを設置して、1枚のディスク基板に膜を成
膜する場合には、典型的には、ディスク基板とスパッタ
リング用ターゲットとを互いに対向させるとともに、デ
ィスク基板の一主面に垂直な方向のディスク基板の中心
軸と、スパッタリング用ターゲットの固着面に垂直な方
向のスパッタリング用ターゲットの中心軸とが互いに重
なるように配置した状態で、膜を成膜するように構成さ
れている。また、この発明において、誘電体膜を成膜す
る成膜手段として、複数のディスク基板に同時に成膜を
行うように構成されている成膜手段を用いることも可能
であり、好ましくは、少なくとも1つのターゲットを用
いて、少なくとも2枚のディスク基板に対して成膜を行
うようにした多数枚対応のスパッタリングチャンバを用
いることが可能である。
【0032】この発明において、典型的には、情報信号
層は、下層誘電体膜、情報信号を記録可能に構成された
記録膜、上層誘電体膜、および情報信号の記録/再生に
用いられるレーザ光を反射可能に構成された反射膜が順
次積層されて構成され、レーザ光をディスク基板側から
情報信号層に向けて照射することにより、情報信号を記
録可能および/または再生可能に構成されている。そし
て、光学記録媒体における反射率に大きな影響を及ぼ
し、より高い平坦性を保つことによってその成膜領域の
反射率を一定にすることを目的として、典型的には、こ
の複数層からなる膜は、上層誘電体膜である。
【0033】この発明において、典型的には、情報信号
層が、情報信号の記録/再生に用いられるレーザ光を反
射可能に構成された反射膜、下層誘電体膜、情報信号を
記録可能に構成された記録膜、および上層誘電体膜が順
次積層されて構成され、レーザ光をディスク基板側から
情報信号層に向けて照射することにより、情報信号を記
録可能および/または再生可能に構成されている。そし
て、この発明において、好適には、複数層からなる膜
は、上層誘電体膜である。この上層誘電体膜は、光学記
録媒体における反射率に大きな影響を及ぼすので、より
高い平坦性を保つことによって、その成膜領域の反射率
を一定にする必要があるためである。
【0034】この発明において、典型的には、複数層の
膜が、第1の誘電体膜と第2の誘電体膜との2層の誘電
体膜である。また、好適には、第1の誘電体膜と第2の
誘電体膜とが互いに同種の材料からなる。そして、この
材料は、窒化シリコン、または硫化亜鉛と酸化シリコン
との混合体であるが、その他の材料を用いることも可能
である。
【0035】この発明において、好適には、成膜手段が
スパッタリングチャンバであり、このスパッタリングチ
ャンバに設置されるスパッタリング用ターゲットは、好
適には1つである。そして、この発明において、典型的
には、ディスク基板とスパッタリング用ターゲットとを
互いに対向させるとともに、ディスク基板の一主面に垂
直な方向のディスク基板の中心軸と、スパッタリング用
ターゲットの固着面に垂直な方向のスパッタリング用タ
ーゲットの中心軸とが互いに重なるように配置した状態
で、膜を成膜する。
【0036】この発明において、典型的には、情報信号
層は、下層誘電体膜、情報信号を記録可能に構成された
記録膜、上層誘電体膜、および情報信号の記録/再生に
用いられるレーザ光を反射可能に構成された反射膜が順
次積層されて構成され、レーザ光をディスク基板側から
情報信号層に向けて照射することにより、情報信号を記
録可能および/または再生可能に構成されている。そし
て、この複数層からなる膜は、上層誘電体膜である。
【0037】この発明において、好適には、情報信号層
は、情報信号の記録/再生に用いられるレーザ光を反射
可能に構成された反射膜、下層誘電体膜、情報信号を記
録可能に構成された記録膜、および上層誘電体膜が順次
積層されて構成され、レーザ光をディスク基板側から情
報信号層に向けて照射することにより、情報信号を記録
可能および/または再生可能に構成されている。
【0038】この発明において、典型的には、情報信号
の記録/再生に用いられるレーザ光の波長は、400n
m以上650nm以下である。
【0039】この発明において、典型的には、情報信号
の記録/再生の際に用いられる対物レンズの開口数が
0.60以上0.85以下である。
【0040】この発明において、典型的には、情報信号
の記録/再生の際に用いられる対物レンズは、超半球状
レンズまたはソリッドイマージョンレンズである。
【0041】この発明において、反射膜を銀合金から構
成する場合、銀合金における熱伝導率の制御を容易に行
うとともに、十分な耐食性を確保するために、典型的に
は、添加物は、カルシウム(Ca)、マグネシウム(M
g)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)および銅(C
u)からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素で
あり、良好な信号特性と、十分な耐食性を確保するため
に、好適には、添加物の含有率は、0.5重量パーセン
ト以上3.3重量パーセント以下である。
【0042】この発明において、平面円環状の光学記録
媒体において、内周部の熱伝導率を増加させるととも
に、外周部の熱伝導率を内周部に比して低くするため
に、反射膜の外周部における添加物の添加量を、反射膜
の内周部における添加物の添加量より多くする。そし
て、角速度一定で情報信号の記録/再生を行う場合に良
好に信号特性を確保するために、好適には、この反射膜
に添加された添加物の添加量を、ディスク基板の半径方
向に沿って、反射膜の内周部から外周部に向けて増加さ
せる。
【0043】この発明において、従来のDVD−RWな
どの光学記録媒体よりも大容量化するために、典型的に
は、ディスク基板の一主面に凹凸の溝トラックが形成さ
れており、溝トラックのトラックピッチは0.74μm
以下である。また、溝トラックのトラックピッチは、照
射されるレーザ光のスポット径などによって決定され、
好適には、トラックピッチは、0.24μm以上であ
る。
【0044】この発明において、光学記録媒体を書換可
能または追記可能とするために、典型的には、記録膜
は、少なくとも2つの可逆的な状態の変化により情報信
号を記録可能に構成されており、好適には、記録膜は、
結晶相と非晶質相との相変化(相転移)により情報信号
を記録可能に構成された相変化材料からなる。
【0045】この発明において、650nm程度のレー
ザ光を用いて情報信号の記録および/または再生を行う
ために、具体的には、ディスク基板の一主面上に、下層
誘電体膜、記録膜、上層誘電体膜および反射膜が順次積
層されて構成された情報信号層が設けられ、ディスク基
板の一主面とは反対側の他主面から情報信号層に向けて
レーザ光を照射することにより、情報信号層に対して情
報信号を記録可能および/または再生可能に構成されて
いる。また、情報信号の記録/再生に寄与する情報信号
層を保護するために、典型的には、ディスク基板の一主
面上における情報信号層上に接着層を介して保護層が設
けられている。また、このように構成された光学記録媒
体を2枚用いて、それらの保護層側を、接着剤を介して
貼り合わせることにより、両面記録型の光学記録媒体を
構成することも可能である。また、上述のように構成さ
れた光学記録媒体と、記録/再生するための情報信号層
を有しないダミーディスクとを用いて、これらを貼り合
わせることにより、片面記録型の光学記録媒体を構成す
ることも可能である。
【0046】この発明において、レーザ光の波長がより
短波長化され、対物レンズがより高開口数(NA)化さ
れた光学ピックアップを用いて情報信号の記録/再生を
行うために、好適には、この第1および第2の発明によ
る光学記録媒体は、ディスク基板の一主面上に、反射
膜、下層誘電体膜、記録膜および上層誘電体膜が順次積
層されて構成された情報信号層が設けられ、ディスク基
板に対して情報信号層が存在する側から、この情報信号
層に向けてレーザ光を照射することにより、情報信号を
記録可能および/または再生可能に構成されている。ま
た、レーザ光の波長がより短波長化され、対物レンズが
より高開口数(NA)化された光学ピックアップを用い
て情報信号の記録/再生を行う際に、光学ヘッドから情
報信号層を保護するために、ディスク基板の一主面上に
おける情報信号層上に接着層を介して、少なくともレー
ザ光を透過可能な光透過保護層が設けられている。
【0047】この発明において、典型的には、光透過性
シートの材料として使用されるポリカーボネート樹脂
は、二価フェノール系(例えばビスフェノールA)を酸
結合剤(例えば水酸化ナトリウム(NaOH)など)の
存在下、ホスゲンと反応させることにより合成されるホ
スゲン法によって製造されるものであり、具体的には、
通常のポリカーボネート樹脂のほか、分岐化剤としてフ
ェノール性水酸基を有する分岐化ポリカーボネート、末
端停止剤として長鎖アルキル酸クロライドもしくは長鎖
アルキルエステル置換フェノールなどの末端長鎖アルキ
ルポリカーボネート樹脂、上述の分岐剤および末端停止
剤をともに用いた末端長鎖アルキル分岐ポリカーボネー
ト樹脂、さらにこれらの混合物などが使用される。そし
て、これらのポリカーボネート樹脂は、押し出し装置に
投入され、ヒータなどの加熱装置によって溶融してシー
ト状に押し出され、複数個の冷却ロールを用いることに
より、シート状に形成される。
【0048】この発明において、典型的には、記録膜の
全体もしくは部分を構成する記録材料は、レーザ光の照
射により可逆的な状態変化を生じる材料からなる。特
に、非晶質状態と結晶状態との間において、可逆的相変
化(相転移)を生じる相変化材料が好ましく、カルゴゲ
ン化合物または単体のカルゴゲンなどの、公知のものが
いずれも使用可能である。具体的には、テルル(T
e)、セレン(Se)、ゲルマニウム・アンチモン・テ
ルル(Ge−Sb−Te)、Ge−Te、Sb−Te、
インジウム・アンチモン・テルル(In−Sb−T
e)、銀・インジウム・アンチモン・テルル(Ag−I
n−Sb−Te)、金・インジウム・アンチモン・テル
ル(Au−In−Sb−Te)、ゲルマニウム・アンチ
モン・テルル・パラジウム(Ge−Sb―Te−P
d)、ゲルマニウム・アンチモン・テルル・セレン(G
e−Sb―Te−Se)、インジウム・アンチモン・セ
レン(In−Sb−Se)、ビスマス・テルル(Bi−
Te)、ビスマス・セレン(Bi−Se)、Sb−S
e、Ge−Sb−Te−Bi、ゲルマニウム・アンチモ
ン・テルル・コバルト(Ge−Sb−Te−Co)、ま
たはGe−Sb−Te−Auを含む系、あるいはこれら
の系に窒素(N)、酸素(O)などのガス添加物を導入
した系などを挙げることができる。これらのうち、特に
好ましいのは、Sb−Te系を主成分とするものであ
り、このSb−Te系を主成分としたものに、例えばS
e、Pd、Ge、またはInなどの任意の元素を添加し
たものを用いるのが好ましい。
【0049】また、この発明において、記録膜として相
変化記録膜を用いた場合、レーザ光の強弱により非晶質
(アモルファス)状態と結晶状態の間を可逆的に相変化
(相転移)させることができる。そして、この非晶質状
態と結晶状態との2つの状態変化による反射率などの光
学的変化を利用して、記録、再生、消去などを行った
り、消去を行わずに直接上書き(オーバーライト)など
を行ったりすることができる。通常、記録膜を成膜した
後、いったん結晶化して初期化(フォーマット)を行
い、その後に記録/再生を行うようにする。
【0050】この発明は、例えば、DVR(Digital Vid
eo Recording system)などの、薄い光透過層を有する光
ディスクに適用することができ、発光波長が650nm
程度の半導体レーザを用いて情報信号の記録や再生を行
うように構成された、いわゆるDVR−redや、発光
波長が400nm程度の半導体レーザを用いて情報信号
の記録や再生を行うように構成された、いわゆるDVR
−blueなどの光ディスクに適用することが可能であ
る。このDVRは、好ましくは、2個のレンズを直列に
組み合わせることによりNAを0.85以上にまで高め
た対物レンズを用いて、情報信号を記録可能に構成され
ており、具体的には、片面で22GB程度の記憶容量を
有する。また、このDVRなど、この発明の適用が好ま
しい光ディスクは、好適にはカートリッジに納められて
いるが、この発明の適用は、必ずしもカートリッジに納
められているものに限定されるものではない。
【0051】上述のように構成されたこの発明によれ
ば、ディスク基板上に成膜される誘電体膜を複数層から
構成する場合に、この複数層のうちの最上層の膜によっ
て、この最上層の膜より下層の膜を覆うことができる。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態
の全図においては、同一または対応する部分には同一の
符号を付す。
【0053】次に、この発明の一実施形態による光学記
録媒体について説明する。図1に、この一実施形態によ
る光ディスクを示す。
【0054】図1に示すように、この一実施形態による
相変化型の光ディスク1においては、ディスク基板2の
一主面上に、反射膜3、下層誘電体膜4、記録膜5およ
び上層誘電体膜6が順次積層されて構成された情報信号
層7が設けられている。また、このディスク基板2の一
主面上の情報信号層7における、ディスク基板2が存在
する側とは反対側の主面に、接着層8および光透過性シ
ート9が順次積層された光透過層10が設けられてい
る。以上のようにして、ディスク基板2の一主面上に情
報信号層7および光透過層10が順次設けられ、この一
実施形態による光ディスク1が構成されている。また、
この光ディスク1において、記録/再生用のレーザ光L
1は、ディスク基板2に対して光透過層10が設けられ
た側から照射される。また、この光ディスク1は、その
一主面に形成された凹凸の双方に情報信号が記録され
る、いわゆるランド・グルーブ記録方式を採用した光デ
ィスクである。
【0055】ディスク基板2は、例えばポリカーボネー
ト系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂など
の、低コスト化に優れたプラスチック材料からなる。こ
れらの材料のうち、ポリカーボネート(PC)を用いる
場合には、熱膨張係数が7.0×10-5程度で、曲げ弾
性率が2.4×104程度のものが用いられる。また、
シクロオレフィンポリマーなどの低吸水性のポリオレフ
ィン系樹脂(例えばゼオネックス(登録商標))を用い
る場合には、熱膨張係数が6.0×10-5程度で、曲げ
弾性率が2.3×104程度のものが用いられる。な
お、この一実施形態による光ディスク1は、ディスク基
板2に対して、薄い光透過層10が設けられた側からレ
ーザ光を照射することにより、情報信号の記録/再生を
行うように構成されている。そのため、ディスク基板2
としては、透過性を有するか否かを考慮する必要がない
ので、例えばAlなどの金属からなる基板を用いること
も可能である。また、このディスク基板2の作製は、例
えば、射出成形法や紫外線硬化樹脂を用いた2P法によ
り行われる。また、ディスク基板2の厚さは、0.3〜
1.3mmから選ばれ、この一実施形態においては、例
えば1.1mmに選ばれる。これは、ディスク基板の厚
さが0.3mmより小さいと、光ディスク1自体の強度
が下がったり、反りやすくなったりするためである。他
方、ディスク基板2の厚さが1.3mmより大きいと、
光ディスク1の厚みが、CDやDVDなどの光ディスク
の厚さ(約1.2mm)に比して大きくなってしまい、
CDやDVDと、この一実施形態による光ディスクとの
両方に対応する駆動装置の商品化を考慮すると、同じデ
ィスクトレイを共用できなくなる可能性があるためであ
る。
【0056】また、ディスク基板2は、その中央部にセ
ンターホール(図示せず)が形成された平面円環形状を
有する。そして、ディスク基板2の内径(センターホー
ルの径)は例えば15mm、外径は例えば120mmで
ある。なお、このディスク基板2の情報信号層7が形成
される一主面には、ランドおよびグルーブからなる凹凸
の溝トラック(図示せず)が形成されている。この凹凸
の溝トラックにおけるトラックピッチTpは、例えば
0.3μmである。また、溝トラックの形状において
は、スパイラル状、同心円状、ピット列などの様々な形
状とすることが可能である。そして、このような溝トラ
ックによる案内により、光ディスク1を回転させてレー
ザスポットを任意の位置に移動可能に構成されている。
【0057】また、反射膜3は、例えば金属や半金属か
らなる。そして、反射膜3における反射機能を考慮する
と、反射膜3の材料としては、記録再生用に用いられる
レーザ光の波長に対して反射能を有するとともに、熱伝
導率が例えば4.0×10-2〜4.5×102J/m・
K・s(4.0×10-4〜4.5J/cm・K・s)の
範囲内の値を有する金属元素、半金属元素、およびこれ
らの化合物または混合物からなることが好ましい。すな
わち、反射膜3の材料としては、具体的には、Al、A
g、Au、Ni、Cr、Ti、Pd、Co、Si、T
a、W、Mo、Geなどの単体、またはこれらの単体を
主成分とする合金を挙げることができる。そして、実用
性の面を考慮すると、これらのうちのAl系、Ag系、
Au系、Si系またはGe系の材料が好ましい。また、
反射膜3の材料として合金を用いる場合には、例えば、
AlCu、AlTi、AlCr、AlCo、AlMgS
i、AgPdCu、AgPdTi、AgCuTi、Ag
PdCa、AgPdMg、AgPdFe、AgまたはS
iBなどが好ましい。さらに、反射膜3の材料は、光学
特性および熱特性を考慮して設定される。すなわち、一
般的に、反射膜3の膜厚を、レーザ光L1が透過しない
程度の大きさ(例えば50nm以上)に設定すると、反
射率が高くなるとともに、放熱性が向上する。特に、A
l系の材料やAg系の材料は、波長λが400nm程度
の青色レーザ光の照射に対して、その反射率が80%以
上になるなど、レーザ光が短波長の場合においても高い
反射率を有するため、Alを主成分とした合金またはA
gを主成分とした合金が好ましい。以上のことから、こ
の一実施形態においては、反射膜3として、例えばAg
合金を用いる。また、反射膜3の膜厚は、記録膜5に生
じる熱の拡散、すなわち熱冷却特性を十分確保し、ジッ
ター特性を良好に保つとともに、反射膜3に生じる応力
により、スキューなどの機械的特性に与える影響を最小
限に抑える観点から設定され、具体的には、50〜20
0nmから選ばれ、この一実施形態においては、例えば
120nmに選ばれる。
【0058】また、下層誘電体膜4および上層誘電体膜
6は、記録再生用レーザ光に対して、吸収能が低い材料
から構成され、具体的には、消衰係数kの値が0.3以
下の材料から構成することが好ましい。この一実施形態
においては、下層誘電体膜4としては、例えばZnS−
SiO2(特に、モル比が約4:1)が用いられる。ま
た、この下層誘電体膜4の膜厚は、例えば14nmであ
る。
【0059】また、上層誘電体膜6は、ZnS−SiO
2膜、窒化シリコン(SiN)膜、またはZnS−Si
2膜とSiN膜との積層膜からなる。また、上層誘電
体膜6の膜厚は、反射膜3や記録膜5に腐食が生じない
範囲に選ばれ、具体的には、10nm以上に選ばれる。
また、製造のタクトタイムなどを考慮すると、上層誘電
体膜6は、140nm程度に選ばれる。
【0060】また、記録膜5は、この光ディスク1とし
て相変化型の光ディスクを採用する場合、相変化記録材
料からなり、この一実施形態においては、例えばSbT
e系材料、具体的にはSbTeからなる。また、記録膜
5の膜厚は、例えば12nmである。
【0061】また、情報信号層7上に設けられた接着層
8は、例えば感圧性粘着剤や紫外線硬化樹脂などからな
る。そして、情報信号層7の経時変化を防止するため
に、好ましくは、接着層8の半径方向における外周端
は、情報信号層7における半径方向の外周端より0.5
mm以上外周側になるように設けられる。
【0062】また、情報信号層7上に接着層8を介して
形成された光透過性シート9は、記録/再生に用いられ
るレーザ光に対して、吸収能が低い材料から構成するこ
とが好ましく、レーザ光の透過率が90%以上の材料か
ら構成することがより望ましい。具体的には、光透過性
シート9は、例えばポリカーボネート樹脂材料やポリオ
レフィン系樹脂から構成された平面円環状のシート状基
材からなる。具体的には、ポリカーボネート(PC)を
用いる場合、熱膨張係数が7.0×10-5程度、曲げ弾
性率が2.4×104程度の材料が用いられ、ポリオレ
フィン系樹脂(例えばゼオネックス(登録商標))を用
いる場合、熱膨張係数が6.0×10-5程度、曲げ弾性
率が2.3×104程度の材料が用いられる。また、こ
の光透過性シート9の厚さは、3〜177μmの範囲内
から選ばれ、この一実施形態においては、接着層8との
合計の厚さが例えば100μmになるように選ばれる。
また、このような薄い光透過層と、0.85程度の高N
A化された対物レンズとを組み合わせることによって、
高密度記録を実現することができる。なお、この一実施
形態による光透過性シート9は、ポリカーボネート樹脂
を押出機に投入し、このポリカーボネート樹脂をヒータ
(図示せず)を用いて250〜300℃の温度で溶融さ
せ、複数個の冷却ロールを用いてシート状に成形され、
ディスク基板2に合わせた形状に裁断することにより形
成されたものである。
【0063】また、以上のように構成された光ディスク
1の作成方法としては、大きく分けて、次の2つの方法
を用いることができる。
【0064】第1の方法は、案内溝が形成された支持基
板上に多層膜を積層し、最後に平滑な光透過保護層を形
成する方法である。光透過保護層の形成方法としては、
例えば厚さ100μm以下のポリカーボネート系樹脂や
ポリオレフィン系樹脂などからなる光学的に十分平滑な
光透過性のシート(フィルム)を、紫外線硬化樹脂を接
着剤とし紫外線照射により貼り合わせる方法、または粘
着性の機能を有する感圧性粘着剤を介し貼り合わせる方
法を用いることができる。
【0065】また、第2の方法は、案内溝が形成された
光透過保護層上に多層膜を積層し、最後に平滑なディス
ク基板2を形成する方法である。なお、厚さ100μm
以下の光透過保護層に凹凸の溝トラックを形成する方法
としては、射出成形法、2P法、または圧着および加圧
により凹凸を転写する方法などを用いることができる。
【0066】以上のような2つの方法のうち、光透過保
護層上に凹凸を形成する工程または多層膜を成膜する工
程は必ずしも容易ではないので、量産性を考慮すると第
1の方法を用いることが望ましい。以下に、上述の2つ
の方法のうちの、第1の方法による光ディスク1の製造
方法について説明する。まず、この第1の方法による成
膜に用いられるスパッタリング装置について説明する。
【0067】すなわち、この一実施形態による光ディス
ク1の製造に用いられるスパッタリング装置は、基板自
転可能な枚葉式の静止対向型スパッタリング装置であ
る。まず、ここで、図2に、この一実施形態による静止
対向型のDCスパッタリング装置を示す。また、この静
止対向型のスパッタリング装置は、1つのターゲットを
用い、1枚のディスク基板2上に薄膜を成膜する枚葉式
のスパッタリング装置である。
【0068】図2に示すように、この一実施形態による
スパッタリング装置においては、成膜室となる真空チャ
ンバ21、この真空チャンバ21内の真空状態を制御す
る真空制御部22、プラズマ放電用DC高圧電源23、
このプラズマ放電用DC高圧電源23と電源ライン24
を通じて接続されているスパッタリングカソード部2
5、このスパッタリングカソード部25と所定の距離を
持って対向配置されているパレット26、およびArな
どの不活性ガスや反応ガスといったスパッタガスを真空
チャンバ21内に供給するためのスパッタガス供給部2
7を有して構成されている。
【0069】スパッタリングカソード部25において
は、負電極として機能するAlCu合金や、SbTe合
金や、ZnS−SiO2などのターゲット材料からなる
ターゲット28、このターゲット28を固着するように
構成されたバッキングプレート29および、このバッキ
ングプレート29のターゲット28が固着される面とは
反対側の面に設けられた磁石系30から構成されてい
る。また、正電極として機能するパレット26と、負電
極として機能するターゲット28とから、一対の電極が
構成されている。パレット26上には、スパッタリング
カソード部25と対向して被成膜体であるディスク基板
2が内周マスク31と外周マスク32とにより、ディス
クベース33を間にはさんで取り付けられている。ここ
で、外周マスク32の内口径は、例えば119mmであ
る。すなわち、外周マスク32によって直径120mm
のディスク基板2は、その外周から0.5mm程度内側
までがマスキングされている。
【0070】また、パレット26のディスクベース33
が取り付けられる面とは反対側の面に、パレット26
を、ディスク基板2の面内方向に回転させ、これによっ
てディスク基板2を自転させるための基板自転駆動部3
4が連動可能に設けられている。
【0071】また、この一実施形態によるスパッタリン
グ装置20において、図3Aに示すような平面円環状を
有する被成膜体としてのディスク基板2と、図3Bに示
すような円板形状を有する成膜材料からなるターゲット
28とは、図3Cに示すように、それらの平面的な位置
関係において、ディスク基板2の中心Oと、ターゲット
28の中心O′とがほぼ一致するように配置される。ま
た、ディスク基板2は、図2に示す基板自転駆動部34
により、その中心Oの周りで自転させることができるよ
うに構成されている。
【0072】以上のようにして、この一実施形態におけ
る光ディスクの製造に用いられるスパッタリング装置2
0が構成されている。
【0073】上述した図2に示すDCスパッタリング装
置を使用する際においては、まず、真空制御部22によ
り、真空チャンバ21内を、スパッタリングに好ましい
所定の真空状態になるまで排気を行う。
【0074】次に、スパッタガス供給部27により、真
空チャンバ21内に、例えばArガスやN2ガスなどの
スパッタガスを、所定の圧力になるまで導入する。その
後、この状態において、プラズマ放電用DC高圧電源2
3より、バッキングプレート29に所定の負電位を印加
することによって、ターゲット28に所定の負電位を印
加する。これにより一対の電極を形成するパレット26
とバッキングプレート29との間に電界が生じ、グロー
放電が発生する。このグロー放電によって、イオン化し
たArガスがターゲット28をスパッタリングする。こ
れにより、ターゲット28からターゲット材料が原子な
どの状態となって叩き出される。この叩き出されたター
ゲット材料は、ターゲット28に対向して配置されたパ
レット26に取り付けられたディスク基板2表面に堆積
する。この堆積を所定の時間継続させることにより、デ
ィスク基板2上に所望の材料からなる薄膜が形成され
る。
【0075】この一実施形態による光ディスクの製造に
おいては、ディスク基板2上に反射膜3、下層誘電体膜
4、記録膜5、および2層の誘電体膜からなる上層誘電
体膜6を順次成膜する際には、それらの界面を清浄に保
つために、以上のように構成されたDCスパッタリング
チャンバを複数台、この一実施形態においては、6台の
第1〜第6のDCスパッタリングチャンバを用いて、情
報信号層7を構成する膜を順次成膜する。なお、以下の
製造プロセスにおいて、各層の成膜にそれぞれ用いられ
るスパッタリングチャンバの符号に関しては、上述した
DCスパッタリング装置20におけると同様の符号を用
いる。
【0076】さて、この一実施形態による光ディスクの
製造方法においては、まず、PC基板などのディスク基
板2を、真空チャンバ21に、例えばAgM(M:添加
物)からなるターゲット28が設置された第1のスパッ
タリング装置に搬入し、パレット26に固定する。次
に、スパッタガスとして例えばArガスを用いたスパッ
タリング法により、ディスク基板2の一主面上にAg合
金を成膜する。これにより、ディスク基板2の一主面上
にAg合金からなる反射膜3が形成される。また、並行
して、他のディスク基板2の一主面上に、第1のスパッ
タリング装置におけると同様の、Ag合金ターゲットが
設置された第2のスパッタリング装置を用いて、Ag合
金からなる反射膜3を形成する。
【0077】次に、反射膜3が形成されたディスク基板
2を、ZnS−SiO2からなるターゲット28が設置
された第2のスパッタリング装置に搬入し、パレット2
6に固定する。次に、真空チャンバ21内の圧力を、例
えば1.0×10-4Pa程度まで真空引きする。その
後、真空チャンバ21内に例えばArガスなどの不活性
ガスを導入しつつ、スパッタリングを行うことにより、
反射膜3上にZnS−SiO2を成膜する。これによ
り、反射膜3上に、ZnS−SiO2からなる下層誘電
体膜4が形成される。その後、このZnS−SiO2
らなるターゲット28が設置された真空チャンバ21か
ら、下層誘電体膜4が形成されたディスク基板2を搬出
する。
【0078】次に、反射膜3および下層誘電体膜4が形
成されたディスク基板2を、相変化記録材料としてのS
bTe合金からなるターゲット28が設置された真空チ
ャンバ21内に搬入し、パレット26に固定する。次
に、この真空チャンバ21内の圧力を、例えば1.0×
10-4Pa程度にまで真空引きする。その後、真空チャ
ンバ21内に例えばArガスなどの不活性ガスを導入し
つつ、下層誘電体膜4上にSbTeを成膜する。これに
より、下層誘電体膜4上にSbTe合金からなる記録膜
5が形成される。その後、SbTe合金ターゲットが設
置されている真空チャンバ21から、記録膜5まで形成
されたディスク基板2を搬出する。
【0079】その後、反射膜3から記録膜5まで順次積
層されたディスク基板2上に、スパッタリング法によ
り、例えばZnS−SiO2からなる上層誘電体膜6を
形成する。このとき、この上層誘電体膜6は、下層誘電
体膜4や記録膜5に比して、その膜厚が非常に大きいの
みならず、反射膜3を構成するAg合金などの成膜に比
べてもその成膜速度が小さい。そのため、上層誘電体膜
6を成膜する時間は、他の膜に比して非常に長くなり、
結果的に、ディスク基板2上における情報信号層7の形
成は、上層誘電体膜6の成膜時間に律速されてしまう。
そこで、上層誘電体膜6は、少なくとも2回に分けて成
膜するのが望ましい。このとき、各スパッタリング装置
において成膜する膜の膜厚は、互いにほぼ等しくなるよ
うに設定するのが好ましい。なお、上層誘電体膜6の所
望とする膜厚、その材料の成膜速度に応じて、これらを
最適化し、上層誘電体膜6を構成する複数の膜の成膜時
間が、情報信号層7における他の膜の成膜時間に近くな
るようにする。これにより、情報信号層7の形成に要す
る時間を最小限にすることができる。
【0080】すなわち、まず、反射膜3、下層誘電体膜
4および記録膜5が順次積層されたディスク基板2を、
ZnS−SiO2からなるターゲット28が設置された
真空チャンバ21内に搬入し、パレット26に固定す
る。次に、この真空チャンバ21内の圧力を、例えば
1.0×10-4Pa程度まで真空引きする。その後、真
空チャンバ21内に例えばArガスなどの不活性ガスを
導入しつつ、スパッタリングを行うことによって、記録
膜5上にZnS−SiO2を成膜する。これにより、記
録膜5上にZnS−SiO2からなる第1の上層誘電体
膜6aが形成される。このとき、第1の上層誘電体膜6
aは、所望とする上層誘電体膜6の膜厚に対して、ほぼ
中間の膜厚に成膜する。その後、真空チャンバ21か
ら、一主面上に反射膜3から第1の上層誘電体膜6aが
順次積層されたディスク基板2を搬出する。
【0081】その後、反射膜3、下層誘電体膜4、記録
膜5および第1の上層誘電体膜6aが順次積層されたデ
ィスク基板2を、ZnS−SiO2からなるターゲット
28が設置された真空チャンバ21内に搬入し、パレッ
ト26に固定する。次に、この真空チャンバ21内の圧
力を、例えば1.0×10-4Pa程度まで真空引きす
る。その後、真空チャンバ21内に例えばArガスなど
の不活性ガスを導入しつつ、スパッタリングを行うこと
によって、第1の上層誘電体膜6a上にZnS−SiO
2を成膜する。これにより、第1の上層誘電体膜6a上
にZnS−SiO2からなる第2の上層誘電体膜6bが
形成され、第1の上層誘電体膜6aおよび第2の上層誘
電体膜6bからなる上層誘電体膜6が形成される。その
後、真空チャンバ21から、一主面上に反射膜3から上
層誘電体膜6が順次積層されたディスク基板2を搬出す
る。
【0082】以上により、ディスク基板2の一主面上に
情報信号層7が形成される。
【0083】その後、例えばブロッキング現象や気泡混
入の防止が図られた所定の貼り合わせ装置を用いて、平
面円環形状の光透過性シートからなる光透過性シート9
の一面に感圧性粘着剤(PSA)からなる接着層8が被
着されたシートを、ディスク基板2の情報信号層7が形
成された一主面に、接着層8の面において貼り合わせ
る。これにより、ディスク基板2の情報信号層7を覆う
ようにして、光透過層10が形成される。
【0084】以上により、図1に示す光ディスク1が製
造される。
【0085】その後、必要に応じて、以上のようにして
製造された光ディスク1を2枚用意する。そして、それ
らのディスク基板2側が内側になるようにして、所定の
接着剤を用いて貼り合わせる。これにより、両面記録型
光ディスクが製造される。このように光ディスク1を2
枚用意して貼り合わせる場合においては、ディスク基板
2の厚さを0.5mm程度とし、2枚貼り合わせた状態
においてディスク基板2の厚さが1.0mm程度になる
ようにする。
【0086】ここで、本発明者は、上述した上層誘電体
膜6の膜厚の変動が光ディスクに及ぼす影響について実
験を行った。すなわち、ディスク基板2の一主面上の反
射膜3の膜厚を120nm、下層誘電体膜4の膜厚を1
4nm、および記録膜5の膜厚を12nmとし、上層誘
電体膜6の膜厚を140nmから±3%増減させた場合
における、光ディスクの特性のうちの反射率、ジッタ
ー、変調度(モジュレーション)、リソリューションの
測定結果を表1に示す。なお、この評価結果に用いられ
る記録発光パターンを図4に示す。
【0087】
【表1】
【0088】表1から、反射率に関しては、膜厚を3%
増加させて144.2nmとした場合に6.8%減少
し、膜厚を3%減少させて135.8nmとした場合に
13.7%も増加することが分かる。また、ジッターに
関しては、膜厚を3%増加させた場合に1.3%増加
し、膜厚を3%減少させた場合に3.8%減少すること
が分かる。また、モジュレーションに関しては、膜厚を
3%増加させた場合に5.0%増加し、膜厚を3%減少
させた場合に6.6%減少することが分かる。また、リ
ソリューションに関しては、膜厚を3%増加させた場合
に0.9%減少し、膜厚を3%減少させた場合に9.3
%増加することが分かる。
【0089】このように、上層誘電体膜6の膜厚を±3
%程度変動させることによって、反射率に関しては、1
0%以上変動してしまうことが分かる。すなわち、この
上層誘電体膜6の膜厚変動により、反射率、ジッター、
変調度(モジュレーション)、およびリソリューション
などの光ディスクの特性に大きな影響を及ぼすことがわ
かる。そのため、同一の光ディスクにおいて上層誘電体
膜6の膜厚変動を最小限に抑える必要が生じる。
【0090】次に、上述の一実施形態に基づいた第1か
ら第5の実施例、およびこの一実施形態による効果を比
較するための第1の比較例および第2の比較例について
説明する。
【0091】第1の実施例 この第1の実施例においては、スパッタリング装置とし
て、図2に示すと同様の、内周マスク31と外周マスク
32とを用いたスパッタリング装置20を用いる。ま
た、外周マスク32の内口径は、119mmである。ま
た、図3Cに示すように、このスパッタリング装置20
においては、ディスク基板2とターゲット28とは、図
3Aに示すディスク基板2の円環中心Oと、図3Bに示
すターゲット28の円の中心O′とが重なるようにして
配置されている。
【0092】また、ディスク基板2上に情報信号層7の
各膜を成膜するスパッタリング装置としては、真空チャ
ンバ21が6基設けられて構成されている。すなわち、
第1の真空チャンバ21と第2の真空チャンバ21とに
は、反射膜3を成膜するための、AgPdCu合金から
なるターゲット28が設けられている。また、第3の真
空チャンバ21には、下層誘電体膜4を成膜するための
ZnS−SiO2からなるターゲット28が設けられて
いる。また、第4の真空チャンバ21には、記録膜5を
成膜するためのSbTeからなるターゲット28が設け
られている。また、第5の真空チャンバ21および第6
の真空チャンバ21には、それぞれ第1の上層誘電体膜
6aおよび第2の上層誘電体膜6bを成膜するための、
ZnS−SiO2からなるターゲットが設けられてい
る。
【0093】そして、まず、第1から第4の真空チャン
バ21を用い、内周マスク31および外周マスク32を
用いたマスキングを行いつつ、ディスク基板2上に、膜
厚が120nmの反射膜3、膜厚が14nmの下層誘電
体膜4、および膜厚が12nmの記録膜5を順次成膜す
る。その後、第5の真空チャンバ21において、内周マ
スク31および外周マスク32を用いたマスキングを行
いつつ、ディスク基板2をその中心軸の周りで自転させ
ながら、記録膜5上にZnS−SiO2を成膜する。こ
れによって、記録膜5上に第1の上層誘電体膜6aが形
成される。ここで、この第1の実施例における第1の上
層誘電体膜6aの膜厚は、70nmである。次に、ディ
スク基板2を、第5の真空チャンバ21から搬出した
後、外周マスク32を取り外す。
【0094】続けて、外周マスク32が取り外されたデ
ィスク基板2を、ターゲット28としてZnS−SiO
2ターゲットが設置された第6の真空チャンバ21内に
搬入し、パレット26に固定する。その後、ディスク基
板2をその中心の周りで自転させるとともに、スパッタ
リングを行って第1の上層誘電体膜6a上にZnS−S
iO2を成膜する。これにより、ZnS−SiO2からな
る第2の上層誘電体膜6bが形成される。ここで、この
第1の実施例における第2の上層誘電体膜6bの膜厚
は、70nmである。以上により、第1の上層誘電体膜
6aおよび第2の上層誘電体膜6bからなる上層誘電体
膜6が形成される。
【0095】以上のようにして、ディスク基板2上に、
反射膜3、下層誘電体膜4、記録膜5および上層誘電体
膜6が積層され、情報信号層7が形成される。その後、
上述した一実施形態におけると同様に、貼り合わせ装置
を用いて、ディスク基板2の一主面2aと、光透過性シ
ート9に接着層8が被着された厚さ100μmのシート
とを貼り合わせ、第1の実施例による光ディスク1を製
造する。
【0096】第2の実施例 この第2の実施例においては、第1の実施例におけると
同様のスパッタリング装置20を用い、膜厚がそれぞれ
第1の実施例におけると同様の反射膜3、下層誘電体膜
4および記録膜5を順次成膜する。
【0097】その後、第5の真空チャンバ21におい
て、内周マスク31および外周マスク32を用いたマス
キングを行いつつ、ディスク基板2をその中心軸の周り
で自転させながら、記録膜5上にZnS−SiO2を成
膜する。これによって、記録膜5上に第1の上層誘電体
膜6aが形成される。ここで、この第2の実施例におけ
る第1の上層誘電体膜6aの膜厚は、30nmである。
次に、ディスク基板2を、第5の真空チャンバ21から
搬出した後、外周マスク32を取り外す。
【0098】続けて、外周マスク32が取り外されたデ
ィスク基板2を、ターゲット28としてZnS−SiO
2ターゲットが設置された第6の真空チャンバ21内に
搬入し、パレット26に固定する。その後、ディスク基
板2をその中心の周りで自転させるとともに、Arガス
などの所定のガスを用いたスパッタリングを行って第1
の上層誘電体膜6a上にZnS−SiO2を成膜する。
これにより、ZnS−SiO2からなる第2の上層誘電
体膜6bが形成される。ここで、この第2の実施例にお
ける第2の上層誘電体膜6bの膜厚は、110nmであ
る。以上により、第1の上層誘電体膜6aおよび第2の
上層誘電体膜6bからなる上層誘電体膜6が形成され
る。その後、第1の実施例におけると同様にして、光透
過層10を形成し、第2の実施例による光ディスク1を
製造する。
【0099】第3の実施例 この第3の実施例においては、第1の実施例におけると
同様にして、ディスク基板2上に、反射膜3、下層誘電
体膜4および記録膜5を順次成膜する。
【0100】その後、第5の真空チャンバ21におい
て、内周マスク31および外周マスク32を用いたマス
キングを行いつつ、ディスク基板2をその中心軸の周り
で自転させながら、記録膜5上にZnS−SiO2を成
膜する。これによって、記録膜5上に第1の上層誘電体
膜6aが形成される。ここで、この第3の実施例におけ
る第1の上層誘電体膜6aの膜厚は、10nmである。
次に、ディスク基板2を第5の真空チャンバ21から搬
出した後、外周マスク32を取り外す。
【0101】続けて、外周マスク32が取り外されたデ
ィスク基板2を、ターゲット28としてZnS−SiO
2ターゲットが設置された第6の真空チャンバ21内に
搬入し、パレット26に固定する。その後、ディスク基
板2をその中心の周りで自転させるとともに、スパッタ
リングを行って第1の上層誘電体膜6a上にZnS−S
iO2を成膜する。これにより、ZnS−SiO2からな
る第2の上層誘電体膜6bが形成される。ここで、この
第3の実施例における第2の上層誘電体膜6bの膜厚
は、130nmである。以上により、第1の上層誘電体
膜6aおよび第2の上層誘電体膜6bからなる上層誘電
体膜6が形成される。その後、第1の実施例におけると
同様にして、光透過層10を形成し、第3の実施例によ
る光ディスク1を製造する。
【0102】第4の実施例 この第4の実施例においては、第1の実施例におけると
同様にして、ディスク基板2上に、反射膜3、下層誘電
体膜4および記録膜5を順次成膜する。
【0103】その後、第5の真空チャンバ21におい
て、内周マスク31および外周マスク32を用いたマス
キングを行いつつ、ディスク基板2をその中心軸の周り
で自転させながら、記録膜5上にZnS−SiO2を成
膜する。これによって、記録膜5上に第1の上層誘電体
膜6aが形成される。ここで、この第4の実施例におけ
る第1の上層誘電体膜6aの膜厚は、5nmである。そ
の後、ディスク基板2を、第5の真空チャンバ21から
搬出した後、外周マスク32を取り外す。
【0104】続けて、外周マスク32が取り外されたデ
ィスク基板2を、ターゲット28としてZnS−SiO
2ターゲットが設置された第6の真空チャンバ21内に
搬入し、パレット26に固定する。その後、ディスク基
板2をその中心の周りで自転させるとともに、スパッタ
リングを行って第1の上層誘電体膜6a上にZnS−S
iO2を成膜する。これにより、ZnS−SiO2からな
る第2の上層誘電体膜6bが形成される。ここで、この
第4の実施例における第2の上層誘電体膜6bの膜厚
は、135nmである。以上により、第1の上層誘電体
膜6aおよび第2の上層誘電体膜6bからなる上層誘電
体膜6が形成される。その後、第1の実施例におけると
同様にして、光透過層10を形成し、第4の実施例によ
る光ディスク1を製造する。
【0105】第5の実施例 この第5の実施例においては、第1の実施例におけると
同様にして、ディスク基板2上に、反射膜3、下層誘電
体膜4および記録膜5を順次成膜する。
【0106】その後、第5の真空チャンバ21におい
て、内周マスク31および外周マスク32を用いたマス
キングを行いつつ、ディスク基板2をその中心軸の周り
で自転させながら、記録膜5上にZnS−SiO2を成
膜する。これによって、記録膜5上に第1の上層誘電体
膜6aが形成される。ここで、この第5の実施例におけ
る第1の上層誘電体膜6aの膜厚は、30nmである。
【0107】次に、ディスク基板2を、第5の真空チャ
ンバ21から搬出した後、外周マスク32を取り外すと
ともに、第5の真空チャンバ21におけるターゲット2
8をSiターゲットに交換する。その後、ディスク基板
2を第5の真空チャンバ21内に搬入して、パレット2
6に固定する。
【0108】続けて、外周マスク32が取り外されたデ
ィスク基板2を、ターゲット28としてSiターゲット
が設置された第5の真空チャンバ21内に搬入し、パレ
ット26に固定する。その後、ディスク基板2をその中
心の周りで自転させるとともに、N2ガスを用いたスパ
ッタリングを行うことによって、第1の上層誘電体膜6
a上にSiNを成膜する。これにより、第1の上層誘電
体膜6a上に第1のSiN膜が形成される。このSiN
膜の膜厚は、例えば15nmである。その後、ディスク
基板2を第5の真空チャンバ21から搬出する。
【0109】次に、第1の上層誘電体膜6a上に第1の
SiN膜が形成されたディスク基板2を、ターゲット2
8としてSiターゲットが設置された第6の真空チャン
バ21内に搬入して、パレット26に固定する。その
後、ディスク基板2をその中心の周りで自転させるとと
もに、N2ガスを用いたスパッタリングを行うことによ
って、第1のSiN膜上にSiNを成膜する。これによ
り、第1のSiN膜上に第2のSiN膜が形成される。
ここで、この第2のSiN膜の膜厚は、例えば15nm
である。そして、これらの第1のSiN膜および第2の
SiN膜の積層膜からなる、膜厚が30nmの第2の上
層誘電体膜6bが形成される。なお、この第2の上層誘
電体膜6bを2層のSiN膜から形成するのは、SiN
の成膜速度が非常に遅いためである。そのため、第2の
上層誘電体膜6bを、SiNの成膜を2回行うことによ
って形成しているので、光ディスク1の製造タクトタイ
ムを短縮することができる。
【0110】その後、第1の実施例におけると同様にし
て、光透過層10を形成し、第5の実施例による光ディ
スク1を製造する。
【0111】第1の比較例 この第1の比較例においては、実施例におけると同様
に、光ディスク1における上層誘電体膜6を2層のZn
S−SiO2膜から構成する。また、ディスク基板2上
に情報信号層7の各膜を成膜するスパッタリング装置と
しては、真空チャンバ21が6基設けられて構成されて
いる。すなわち、第1の真空チャンバ21と第2の真空
チャンバ21には、反射膜3を成膜するためのAgPd
Cu合金からなるターゲット28が設けられている。ま
た、第3の真空チャンバ21には、下層誘電体膜4を成
膜するためのZnS−SiO2からなるターゲット28
が設けられている。また、第4の真空チャンバ21に
は、記録膜5を成膜するためのSbTeからなるターゲ
ット28が設けられている。また、第5の真空チャンバ
21および第6の真空チャンバ21には、それぞれ第1
の上層誘電体膜6aおよび第2の上層誘電体膜6bを成
膜するための、ZnS−SiO2からなるターゲットが
設けられている。
【0112】この第1の比較例においては、第1の実施
例におけると同様にして、反射膜3、下層誘電体膜4お
よび記録膜5を順次成膜する。
【0113】その後、第5の真空チャンバ21におい
て、内周マスク31および外周マスク32を用いたマス
キングを行いつつ、ディスク基板2をその中心軸の周り
で自転させながら、記録膜5上にZnS−SiO2を成
膜する。これによって、記録膜5上に第1の上層誘電体
膜6aが形成される。ここで、この第1の比較例におけ
る第1の上層誘電体膜6aの膜厚は、70nmである。
その後、ディスク基板2を、第5の真空チャンバ21か
ら搬出する。
【0114】続けて、ターゲット28としてZnS−S
iO2ターゲットが設置された第6の真空チャンバ21
内に搬入し、パレット26に固定する。その後、ディス
ク基板2をその中心の周りで自転させるとともに、スパ
ッタリングを行って第1の上層誘電体膜6a上にZnS
−SiO2を成膜する。これにより、ZnS−SiO2
らなる第2の上層誘電体膜6bが形成される。ここで、
この第1の比較例における第2の上層誘電体膜6bの膜
厚は、70nmである。以上により、第1の上層誘電体
膜6aおよび第2の上層誘電体膜6bからなる上層誘電
体膜6が形成される。
【0115】その後、第1の実施例におけると同様にし
て、光透過層10を形成し、第1の比較例による光ディ
スク1を製造する。
【0116】第2の比較例 この第2の比較例においては、第1の比較例におけると
同様にして、ディスク基板2上に、反射膜3、下層誘電
体膜4および記録膜5を順次成膜する。なお、この第2
の比較例においては、第1の比較例におけると異なり、
外周マスク32を用いることなく、反射膜3、下層誘電
体膜4および記録膜5を順次形成する。
【0117】記録膜5まで成膜した後、ディスク基板2
を第5の真空チャンバ21において、内周マスク31の
みを用いて、ディスク基板2をその中心軸の周りで自転
させながら、記録膜5上にZnS−SiO2を成膜す
る。これによって、記録膜5上に第1の上層誘電体膜6
aが形成される。ここで、この第1の上層誘電体膜6a
の膜厚は70nmである。その後、ディスク基板2を、
第5の真空チャンバ21から搬出する。
【0118】続けて、ターゲット28としてZnS−S
iO2ターゲットが設置された第6の真空チャンバ21
内に搬入し、パレット26に固定する。その後、ディス
ク基板2をその中心の周りで自転させるとともに、スパ
ッタリングを行って第1の上層誘電体膜6a上にZnS
−SiO2を成膜する。これにより、ZnS−SiO2
らなる第2の上層誘電体膜6bが形成される。ここで、
この第2の比較例における第2の上層誘電体膜6bの膜
厚は、70nmである。以上により、第1の上層誘電体
膜6aおよび第2の上層誘電体膜6bからなる上層誘電
体膜6が形成される。
【0119】その後、第1の実施例におけると同様にし
て、光透過層10を形成し、第2の比較例による光ディ
スク1を製造する。
【0120】そして、以上のように第1から第5の実施
例による製造方法で製造された光ディスクと、第1の比
較例および第2の比較例による製造方法で製造された光
ディスクとに対して、それらの光ディスク1の記録領域
外周部における反射率の、マスクエッジからの距離依存
性の比較を行った。その比較結果を図5に示す。なお、
この反射率の測定における記録発光パターンは図4に示
す波形であり、レーザ光の波長は405nm、記録ビッ
ト長は0.13μm/bit、対物レンズのNAを0.
85とする。
【0121】図5から、光ディスクにおけるマスクエッ
ジの内周側の近い領域、すなわち、記録領域の外周部に
おいて、第1の実施例から第5の実施例による光ディス
クに比して、第1の比較例および第2の比較例による光
ディスクにおける反射率の減少が大幅に大きくなること
が分かる。
【0122】すなわち、第1の比較例においては、マス
クエッジから1.1mmの部分で、反射率が17%以下
になっていることが分かり、第2の比較例においては、
マスクエッジから0.8mmの部分で、反射率が17%
以下になっていることが分かる。そして、第1の比較例
および第2の比較例においては、マスクエッジから0.
8mmの部分、すなわち、マスクエッジから0.8mm
の帯状の円環状において、記録領域として使用すること
ができない領域であることが分かる。これらの第1の比
較例および第2の比較例に比して、第1の実施例におい
ては、マスクエッジの近傍(0mmの部分)において
も、反射率が17%以上であることが分かる。また、第
2から第5の実施例においても、マスクエッジからの距
離が0.4mm以上の部分で、十分な反射率を確保する
ことができることが分かる。
【0123】したがって、第1の実施例から第5の実施
例による光ディスクの全面において、その反射率をほぼ
均一化することができ、信号特性に優れた光ディスクを
得ることができることが分かる。特に、外周マスク32
を取り付けた段階で、30nm以下の膜厚まで成膜した
場合、すべての成膜に外周マスクを用いた比較例におけ
る反射率低下領域に比して、反射率低下領域が約半分に
抑制されている。そして、このように、反射率低下領域
が0.5mm程度抑制されることによって、光ディスク
1の外周部における記録領域が0.5mm程度の幅の帯
状範囲分だけ拡大される。なお、トラックピッチが0.
3μm、記録ビット長が0.13μm/bit、レーザ
光の波長が405nm、対物レンズのNAを0.85と
した、ランド・グルーブ記録方式を採用した光ディスク
において、0.5mm程度の幅の帯状範囲の拡大によっ
て、約0.5GB(512MB)程度の容量増加を図る
ことが可能となる。
【0124】また、本発明者は、第1および第2の比較
例による光ディスクと、第1〜第5の実施例による光デ
ィスクについて、温度が80°で湿度が85%の高温高
湿試験を400時間行った。その結果、第1の実施例か
ら第5の実施例による光ディスクの外周部に腐食が生じ
ないことが確認された。また、第1の比較例による光デ
ィスクにおいても、その外周部に腐食が生じないことが
確認されたが、第2の比較例による光ディスクにおいて
は、特に、記録膜や反射膜において、その外周部に腐食
の発生が見られた。したがって、この一実施形態による
光ディスクにおいては、腐食の発生を抑制することが可
能となることが分かる。
【0125】以上説明したように、この一実施形態によ
れば、光ディスク1における上層誘電体膜6を、少なく
とも2基の第5の真空チャンバ21と第6の真空チャン
バ21とを順次用いて成膜する際に、反射膜3や記録膜
5の腐食を抑制しつつ、光ディスク1を構成する上層誘
電体膜6におけるディスク基板2の半径方向に沿った膜
厚分布を、特にその外周部で均一にすることができ、光
ディスク1の半径方向に沿った上層誘電体膜6の膜厚分
布に依存する、光ディスク1における反射率の変動を抑
制することができる。これによって、ディスク基板上に
複数の膜からなる誘電体膜を積層する際に、反射膜や記
録膜の腐食の発生を抑制しつつ、マスクエッジ近傍にお
ける誘電体膜の膜厚減少を防止することができ、さらに
記録領域を拡大して、光学記録媒体の記憶容量の大幅に
増加させるとともに、記録特性などの特性を向上させる
ことができる。したがって、薄い膜からなる光透過層を
有し、ディスク基板に対してこの光透過層が設けられた
側からレーザ光を照射することにより情報信号の記録/
再生が行われる、高記録密度化された良好な信号特性を
有する光ディスクを得ることができる。
【0126】以上、この発明の一実施形態について具体
的に説明したが、この発明は、上述の一実施形態に限定
されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各
種の変形が可能である。
【0127】例えば、上述の一実施形態において挙げ
た、各膜の成膜方法、ディスク基板や保護層の材料はあ
くまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる成膜方
法を用いても良く、ディスク基板や保護層をこれら以外
の材料から構成することも可能である。
【0128】また、例えば上述の一実施形態において
は、DCスパッタリング装置として、1枚のディスク基
板に対して1つのターゲットとを対向させた、静止対向
型枚葉式スパッタリング装置を用い、それらの平面的な
位置関係を図3に示すようにしているが、この発明は、
必ずしも静止対向型枚葉式スパッタリング装置に限定さ
れるものではなく、図6Aに示すようにパレット26に
複数枚(図6A中、8枚)のディスク基板2を固定する
とともに、図6Bに示すように真空チャンバ21に複数
のターゲット28を固定し、図6Cに示す位置関係で矢
印b方向にパレット26を回転させつつ複数枚のディス
ク基板2に対して成膜を行うようにした、スパッタリン
グ装置に適用することも可能である。
【0129】例えば、上述の一実施形態における情報信
号層7として、図7に示すように、添加物の濃度がディ
スク基板の半径方向に沿って変化するように構成された
反射膜41、SiNやZnS−SiO2からなる下層誘
電体膜42、第1の記録膜43、第2の記録膜44、誘
電体からなる上層誘電体膜45を順次積層したもの、も
しくは逆順に積層したものから構成することも可能であ
る。ここで、第1の記録膜43と第2の記録膜44と
は、材料、組成、複素屈折率のいずれかが異なるような
ものが選ばれる。なお、この記録膜を3層以上の、材
料、組成、複素屈折率のいずれかが互いに異なる層から
構成することも可能である。
【0130】また、例えば上述の一実施形態において
は、誘電体材料として、ZnS−SiO2を用いたが、
記録/再生に用いられるレーザ光の波長に対して吸収能
のない材料であればどのような材料を用いることも可能
であり、具体的には、消衰係数kが0.3以下の材料を
用いることが望ましい。より具体的には、誘電体膜の材
料としては、Al、Si、Ta、Ti、Zr、Nb、M
g、B、Zn、Pb、Ca、La、Geなどの金属およ
び半金属などの元素の、窒化物、酸化物、炭化物、フッ
化物、硫化物、窒酸化物、窒炭化物、または酸炭化物な
どからなる材料や、これらを主成分とする材料を用いる
ことが可能である。また、より具体的には、下層誘電体
膜4および上層誘電体膜6の材料として、AlN
x(0.5≦x≦1、特に、AlN))、Al2
3-x(0≦x≦1、(特に、Al23))、Si 34-x
(0≦x≦1、(特に、Si34))、SiOx(1≦
x≦2、(特に、SiO2、SiO)、MgO、Y
23、MgAl24、TiOx(1≦x≦2、(特に、
TiO2))、BaTiO3、SrTiO3、Ta25-x
(0≦x≦1、(特に、Ta25))、GeOx(1≦
x≦2)、SiC、ZnS、PbS、Ge−N、Ge−
N−O、Si−N−O、CaF2、LaF、MgF2、N
aF、TiF4などを用いることも可能であり、さら
に、これらの材料を主成分とする材料や、これらの材料
の混合物、例えばAlN−SiO2を用いることも可能
である。
【0131】例えば、上述の一実施形態においては、デ
ィスク基板2を射出成形法やフォトポリマー法(2P
法)により作製しているが、これらの2つの方法以外で
あっても、所望の形状、すなわち、厚さが例えば1.1
mm、直径が例えば120mm程度のディスク形状と、
光学的に十分な基板表面の平滑性を得ることができる方
法であれば、どのような方法を用いることも可能であ
る。
【0132】また、例えば上述の一実施形態において
は、記録膜の材料として、SbTe系材料からなる相変
化材料を用いているが、相変化材料以外の材料に限定さ
れるものではなく、テルビウム・鉄(TbFe)系、T
bFeCo系、GdFe系、GdFeCo系の光磁気記
録材料を用いることも可能である。また、この発明を、
Al合金やAg合金を反射膜として用いた再生専用(R
OM)型ディスクや、有機色素からなる層を記録膜とし
て用いた光ディスクに適用することも可能である。
【0133】また、例えば上述の一実施形態において
は、反射膜3としてAgPdCu合金層の1層からなる
ものを用いているが、1層からなる反射膜の代わりに、
金属または半金属からなる、少なくとも2層の材料層か
ら構成することも可能である。このように反射膜を複数
の材料層から構成することにより、光学設計がしやすく
なるとともに、熱特性とのバランスも取りやすくなる。
【0134】また、上述の一実施形態においては、この
発明による成膜装置としてのスパッタリング装置を、光
ディスクの情報信号層を構成する上層誘電体膜の形成に
適用するようにしているが、この成膜装置は、例えば半
導体装置におけるSiN膜やSiO2膜などの誘電体膜
や絶縁膜の形成に用いることも可能であり、その他の誘
電体膜や絶縁膜の形成に用いることが可能である。
【0135】また、上述の一実施形態においては、真空
チャンバからディスク基板を搬出し、真空開放した後
に、外周マスク32を取り外すようにしているが、真空
チャンバ内で取り外すことも可能であり、このように真
空開放することなく外周マスク32を取り外すことがで
きる場合には、成膜面を清浄な状態に保ちつつ上層誘電
体膜6を成膜することができる。
【0136】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による光
学記録媒体の製造装置および光学記録媒体の製造方法に
よれば、ディスク基板上に複数の膜からなる誘電体膜を
積層する際に、反射膜や記録膜の腐食の発生を抑制しつ
つ、マスクエッジ近傍における誘電体膜の膜厚減少を防
止することができ、これによって、反射率の減少を抑制
し、記録領域を拡大して、光学記録媒体の記憶容量の大
幅に増加させるとともに、記録特性などの特性を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による光ディスクを示す
断面図である。
【図2】この発明の一実施形態による情報信号層を構成
する各層の成膜に用いられるDCスパッタリング装置を
示す略線図である。
【図3】この発明の一実施形態によるディスク基板と、
ターゲットと、これらの平面的な位置関係とを示す平面
図である。
【図4】この発明の一実施形態による光ディスクにおい
て、上層誘電体膜の膜厚を変化させた場合の、反射率、
ジッター特性、モジュレーション、およびリソリューシ
ョンを評価する際に用いられる記録発光パターンを示す
グラフである。
【図5】この発明の一実施形態に基づいた実施例と比較
するための比較例における示すグラフである。
【図6】この発明の一実施形態によるスパッタリング装
置における他の例を示す平面図である。
【図7】この発明による情報信号層の他の例を示す断面
図である。
【図8】従来のDVD−RWを構成する貼り合わせ前の
光ディスクを示す断面図である。
【図9】従来技術による両面記録型DVD−RWと片面
記録型DVD−RWとを示す断面図である。
【図10】薄い光透過層を有し、光透過層が設けられた
側からレーザ光を照射して情報信号の記録/再生を行う
高記録密度化された光ディスクを示す断面図である。
【図11】2層の誘電体膜から構成された上層誘電体膜
を有する光ディスクのディスク基板および情報信号層を
示す断面図である。
【図12】3層の誘電体膜から構成された上層誘電体膜
を有する光ディスクのディスク基板および情報信号層を
示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・光ディスク、2・・・ディスク基板、2a・・
・一主面、3・・・反射膜、4・・・下層誘電体膜、5
・・・記録膜、6・・・上層誘電体膜、6a・・・第1
の上層誘電体膜、6b・・・第2の上層誘電体膜、7・
・・情報信号層、8・・・接着層、9・・・光透過性シ
ート、10・・・光透過層、20・・・スパッタリング
装置、21・・・真空チャンバ、31・・・内周マス
ク、32・・・外周マスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/26 531 G11B 7/26 531

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスク基板の一主面上に、少なくと
    も、上記レーザ光を反射可能に構成された反射膜、誘電
    体材料からなる下層誘電体膜、上記情報信号を記録可能
    に構成された記録膜、および誘電体材料からなる上層誘
    電体膜が順次積層されて構成された光学記録媒体におい
    て、 上記上層誘電体膜が、少なくとも2層の誘電体膜から構
    成され、 少なくとも、上記上層誘電体膜のうちの最表層の誘電体
    膜が、最表層以外の上記誘電体膜の形成領域を覆うよう
    にして設けられていることを特徴とする光学記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記上層誘電体膜が、第1の誘電体膜と
    第2の誘電体膜とが順次積層された2層の誘電体膜から
    構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学記
    録媒体。
  3. 【請求項3】 上記第1の誘電体膜と上記第2の誘電体
    膜とが互いに同種の材料から構成されていることを特徴
    とする請求項2記載の光学記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記材料が、窒化シリコン、または硫化
    亜鉛と酸化シリコンとの混合体であることを特徴とする
    請求項3記載の光学記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記第1の誘電体膜と上記第2の誘電体
    膜とが互いに異なる材料から構成されていることを特徴
    とする請求項2記載の光学記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記材料が、窒化シリコン、または硫化
    亜鉛と酸化シリコンとの混合体であることを特徴とする
    請求項5記載の光学記録媒体。
  7. 【請求項7】 上記少なくとも2層の誘電体膜がすべて
    同一の材料からなることを特徴とする請求項1記載の光
    学記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記最表層の誘電体膜が、窒化シリコ
    ン、または硫化亜鉛と酸化シリコンとの混合体からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
  9. 【請求項9】 上記最上層の誘電体膜の膜厚が、5nm
    以上70nm以下であることを特徴とする請求項1記載
    の光学記録媒体。
  10. 【請求項10】 上記最上層の誘電体膜の膜厚が、5n
    m以上50nm以下であることを特徴とする請求項1記
    載の光学記録媒体。
  11. 【請求項11】 上記最上層の誘電体膜の膜厚が、5n
    m以上30nm以下であることを特徴とする請求項1記
    載の光学記録媒体。
  12. 【請求項12】 上記ディスク基板が平面円環形状を有
    するとともに、上記上層誘電体膜が平面円環形状を有
    し、上記上層誘電体膜における上記最上層の誘電体膜の
    外周が、最上層以外の誘電体膜の外周より大きくなるよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項1記載の光
    学記録媒体。
  13. 【請求項13】 上記記録膜が、可逆的に変化する少な
    くとも2つの状態の変化により上記情報信号を記録可能
    に構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学
    記録媒体。
  14. 【請求項14】 上記記録膜が、結晶相と非晶質相との
    相変化により上記情報信号を記録可能に構成された相変
    化材料からなることを特徴とする請求項1記載の光学記
    録媒体。
  15. 【請求項15】 上記レーザ光の波長が、390nm以
    上410nm以下であることを特徴とする請求項1記載
    の光学記録媒体。
  16. 【請求項16】 上記情報信号の記録に用いられる対物
    レンズの開口数が、0.60以上0.85以下であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
  17. 【請求項17】 上記情報信号の記録/再生の際に用い
    られる対物レンズが超半球状レンズまたはソリッドイマ
    ージョンレンズであることを特徴とする請求項1記載の
    光学記録媒体。
  18. 【請求項18】 ディスク基板の一主面上に、少なくと
    も、上記レーザ光を反射可能に構成された反射膜、誘電
    体材料からなる下層誘電体膜、上記情報信号を記録可能
    に構成された記録膜、および誘電体材料からなる上層誘
    電体膜が順次積層されて構成され、 上記上層誘電体膜が、少なくとも2層の誘電体膜から構
    成された光学記録媒体の製造方法であって、 上記上層誘電体膜のうちの少なくとも1層の誘電体膜を
    成膜した後、上記ディスク基板の外周マスクを外し、少
    なくとも最上層の誘電体膜を成膜するようにしたことを
    特徴とする光学記録媒体の製造方法。
  19. 【請求項19】 上記上層誘電体膜が、第1の誘電体膜
    と第2の誘電体膜とが順次積層された2層の誘電体膜か
    ら構成されていることを特徴とする請求項18記載の光
    学記録媒体の製造方法。
  20. 【請求項20】 上記第1の誘電体膜と上記第2の誘電
    体膜とが互いに同種の材料から構成されていることを特
    徴とする請求項19記載の光学記録媒体の製造方法。
  21. 【請求項21】 上記材料が、窒化シリコン、または硫
    化亜鉛と酸化シリコンとの混合体であることを特徴とす
    る請求項20記載の光学記録媒体の製造方法。
  22. 【請求項22】 上記第1の誘電体膜と上記第2の誘電
    体膜とが互いに異なる材料から構成されていることを特
    徴とする請求項19記載の光学記録媒体の製造方法。
  23. 【請求項23】 上記材料が、窒化シリコン、または硫
    化亜鉛と酸化シリコンとの混合体であることを特徴とす
    る請求項22記載の光学記録媒体の製造方法。
  24. 【請求項24】 上記最表層の誘電体膜が、窒化シリコ
    ン、または硫化亜鉛と酸化シリコンとの混合体からなる
    ことを特徴とする請求項18記載の光学記録媒体の製造
    方法。
  25. 【請求項25】 上記少なくとも2層の誘電体膜がすべ
    て同一の材料からなることを特徴とする請求項18記載
    の光学記録媒体の製造方法。
  26. 【請求項26】 上記最上層の誘電体膜を、5nm以上
    70nm以下の膜厚に形成するようにしたことを特徴と
    する請求項18記載の光学記録媒体の製造方法。
  27. 【請求項27】 上記最上層の誘電体膜を、5nm以上
    50nm以下の膜厚に形成するようにしたことを特徴と
    する請求項18記載の光学記録媒体の製造方法。
  28. 【請求項28】 上記最上層の誘電体膜を、5nm以上
    30nm以下の膜厚に形成するようにしたことを特徴と
    する請求項18記載の光学記録媒体の製造方法。
  29. 【請求項29】 上記レーザ光の波長が、390nm以
    上410nm以下であることを特徴とする請求項18記
    載の光学記録媒体の製造方法。
  30. 【請求項30】 上記記録膜が、可逆的に変化する少な
    くとも2つの状態の変化により上記情報信号を記録可能
    に構成されていることを特徴とする請求項18記載の光
    学記録媒体の製造方法。
  31. 【請求項31】 上記記録膜を、結晶相と非晶質相との
    相変化により上記情報信号を記録可能に構成された相変
    化材料から形成することを特徴とする請求項18記載の
    光学記録媒体の製造方法。
  32. 【請求項32】 上記情報信号の記録に用いられる対物
    レンズの開口数が、0.60以上0.85以下であるこ
    とを特徴とする請求項18記載の光学記録媒体の製造方
    法。
  33. 【請求項33】 上記情報信号の記録/再生の際に用い
    られる対物レンズが超半球状レンズまたはソリッドイマ
    ージョンレンズであることを特徴とする請求項18記載
    の光学記録媒体の製造方法。
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