JP2002323611A - 光反射膜、反射型液晶表示素子および光反射膜用スパッタリングターゲット - Google Patents

光反射膜、反射型液晶表示素子および光反射膜用スパッタリングターゲット

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JP2002323611A JP2002017249A JP2002017249A JP2002323611A JP 2002323611 A JP2002323611 A JP 2002323611A JP 2002017249 A JP2002017249 A JP 2002017249A JP 2002017249 A JP2002017249 A JP 2002017249A JP 2002323611 A JP2002323611 A JP 2002323611A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高反射率を有し、耐久性に優れた光反射膜を
提供する。 【解決手段】 反射電極または反射板として用いられる
光反射膜であって、希土類元素を含むAg基合金から形
成されている光反射膜である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば反射型液晶
表示素子等に使用され、背面において、室内光や自然光
等を反射して光源とするための光反射膜に関し、詳細に
は、高反射率で耐酸化性等の耐久性に優れた光反射膜、
およびこの光反射膜を用いた明るくて見やすい反射型液
晶表示素子、ならびに光反射膜用スパッタリングターゲ
ットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子には反射型と透過型がある
が、透過型液晶表示素子では光源としてランプを内蔵す
る必要があり、このランプの消費電力が大きい等の問題
から、最近では、ランプを内蔵せず、消費電力の少ない
反射型液晶表示素子が注目されている。
【0003】この反射型液晶表示素子には、TFT液晶
パネルの液晶層背面に反射(金属)電極として、または
STN液晶パネルの透明電極背面に反射板として光反射
膜が必須的に設けられ、室内光や自然光等を反射して画
面形成のための光源とされる。このため、光反射膜の反
射率が高ければ高いほど、より明るく見やすい画面が形
成される。
【0004】従来は、この光反射膜として、反射率の高
いAlの薄膜が用いられてきたが、Alは塩分や水分等
で腐食し易く、反射率が徐々に低下してしまう。このこ
とから、最近ではAg主体の薄膜が光反射膜として用い
られるようになってきた。
【0005】しかし、Ag薄膜は、液晶表示素子の製造
工程で長時間空気中に曝された場合や、高温高湿下に曝
された場合等に、Ag薄膜表面が酸化されたり、Agの
結晶粒が成長したり、Ag原子が凝集する等の様々な要
因によって、反射率が低下してしまうという問題があ
り、Ag本来の高い反射率が得られないことがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、A
g本来の高い光反射率を維持しつつ、耐酸化性を向上さ
せて、さらにAgの結晶粒の成長や凝集を可及的に防ぐ
ことのできるAg基合金を見出すことにより、高性能な
反射型液晶表示素子用光反射膜、この反射膜を用いた反
射型液晶表示素子、および光反射膜用スパッタリングタ
ーゲットを提供することを課題として掲げた。
【0007】
【課題を解決する為の手段】上記課題を解決し得た本発
明は、反射電極または反射板として用いられる光反射膜
であって、希土類元素を含むAg基合金から形成されて
いるところに特徴を有するものである。
【0008】希土類元素を使用することにより、Ag本
来の高い反射率と同等レベルの反射率を有し、かつ、A
gの結晶粒成長の抑制やAgの凝集を抑制する効果が発
揮されて反射率の経時低下の少ない光反射膜を得ること
ができた。従って、この光反射膜は、反射型液晶表示素
子の反射電極として、あるいは反射板として使用するの
に好適である。また、希土類元素の少なくとも一種を合
計で0.1〜3.0%含むものであると、Agの結晶粒
成長の抑制やAgの凝集を抑制する効果が一層良好とな
るため好ましい。希土類元素としては、Ndおよび/ま
たはYが好ましく使用できる。
【0009】上記Ag基合金がさらにAuを0.1〜
1.5%含有する場合、またはさらにCuを0.1〜
2.0%含有すると、耐酸化性に優れた光反射膜を得る
ことができる。
【0010】本発明には、上記構成の光反射膜を備える
反射型液晶表示素子および上記構成の光反射膜を基板上
に形成するために用いられる上記Ag基合金で構成され
ている光反射膜用スパッタリングターゲットも含まれ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者等は、液晶表示素子製造
工程で空気中に光反射膜が曝された場合に起きる現象を
促進的に把握するため、80℃、90%相対湿度という
高温高湿度下で、Ag単独の光反射膜(厚さ1500
Å)を48時間放置したところ、放置試験前の初期反射
率(波長650nm)から比べると、7.0%程度減少
してしまうことを見出した。この反射率の経時低下の原
因は、Agの凝集、結晶粒成長、酸化等の要因によるも
のと考えられるが、Ag本来の高反射率を維持しなが
ら、反射率の経時低下を抑制するためには、合金成分の
種類が非常に重要である。
【0012】本発明では、希土類元素を含むAg基合金
を使用することによって、Ag本来の高反射率を維持し
ながら、Agの凝集や結晶粒成長を抑制して、反射率の
経時低下を抑制することに成功した。
【0013】従来から、光反射膜として純Agだけでは
なくAg基合金を使用する検討が行われているが、本発
明で規定するように、Agに希土類元素を添加し、Ag
の凝集や結晶粒の成長を抑制しようとする知見は従来技
術には認められない。一方、本発明では、希土類元素を
含むAg基合金を光反射膜として用いることで、反射率
の経時低下を抑制して高い光反射率を維持するものであ
るため、従来技術とは明確に区別される技術思想に基づ
くものである。なお、後述するように、希土類元素を含
むAg基合金に、さらに、耐酸化性を向上させる成分で
あるAuおよび/またはCuを含む三元または四元系以
上の合金を用いることもできる。以下、本発明を詳細に
説明する。
【0014】本発明では、例えば、反射型液晶表示素子
等に用いられる光反射膜においては、可視光の反射特性
が要求される点を考慮して、反射率を波長650nmで
測定して反射特性を検討した。また、以下の説明におい
て「初期反射率」とは、光反射膜を形成した後の反射率
(%)を意味し、この値の大小は、合金元素の種類と量
によって左右される。また、反射率の経時低下とは、初
期反射率(%)が経時的に何%低下するかという傾向を
意味し、経時変化量(%)がマイナスの場合は、初期反
射率が経時的に減少することを意味するものとする。
【0015】本発明者等は、光反射膜が希土類元素の少
なくとも一種を0.1〜3.0%(合金成分についての
「%」はいずれも原子%の意味)含有するAg基合金か
ら形成されると、Agの結晶粒の成長やAgの凝集が抑
制され、この結果、反射率の経時低下を著しく抑制でき
ることを見出した。特にスパッタリング法で形成される
薄膜は、原子空孔等の多くの欠陥を含むため、Ag原子
が移動・拡散し易く、その結果凝集するものと考えられ
るが、希土類元素はAgよりも大きな原子半径を有する
ため、Ag原子の拡散を抑制し、結晶粒の成長を抑制す
るものと考えられる。
【0016】希土類元素とは、3A族に属する元素で、
Sc、Yおよびランタノイド15元素、アクチノイド1
5元素が挙げられる。上記希土類元素は、1種類または
2種類以上用いることができ、コストや工業的流通量等
を考慮すると、特にNdおよび/またはYの使用が推奨
される。また、Ceも使用可能である。
【0017】希土類元素を合計で0.1%以上使用する
ことにより、Agの結晶粒の成長やAgの凝集を抑制す
る効果が発現する。ただし、3.0%よりも多量に添加
すると、これらの効果が飽和する一方で、初期反射率の
値自体がかなり小さくなる。すなわち、純Agの初期反
射率をIo(純Ag)、得られるAg基合金の光反射膜
の初期反射率をIo(Ag基合金)とすると、特に希土
類元素の量を2.0%以内にすれば、Io(Ag基合
金)−Io(純Ag)の値、すなわち、初期反射率の変
化量を−(マイナス)1.5%以内に収めることがで
き、純Agの有する高い反射率を維持することができ
る。従って、希土類元素量のより好ましい上限は2.0
%である。電気抵抗率を低くするという観点からは、
1.0%以下が好ましい。
【0018】一方、Agの結晶粒成長やAgの凝集が起
こり易い環境を再現して促進するために、光反射膜を8
0℃・90%RH(相対湿度)の高温・高湿環境で48
時間放置した場合、Ndが0.3%以上存在すれば、放
置前の反射率Io(%)と放置後の反射率Ia(%)と
の差を1.0%以下に抑えられることから、Ndのより
好ましい下限は0.3%である。またYの下限は1.0
%がより好ましく、反射率の経時低下を−1.3%以下
に抑えることができる。
【0019】本発明の光反射膜形成に用いられるAg基
合金には、さらに、Auおよび/またはCuが含まれて
いてもよい。AuおよびCuは、光反射膜の酸化を抑制
して、反射率の経時低下を抑制する作用を有する。また
Auは、特に、電解質水溶液中での耐食性を向上させる
作用も有する。
【0020】Ag基合金中のAuの量としては、Agと
希土類元素とAuとの三元系合金の場合あるいは四元系
以上の合金の場合いずれにおいても、0.1〜1.5%
が好ましい。0.1%より少ないと、耐酸化性向上効果
が小さく、結果的に、光反射膜の反射率の経時低下を抑
制する効果が不充分となることがある。しかし、Auの
量を増大させると、光反射膜の初期反射率の値自体が低
下していくため、Ag本来の高反射率の維持という目的
を達成するためには、1.5%以下に抑えることが好ま
しい。
【0021】Cuの量としては、0.1〜2.0%が好
ましい。上記したAuの場合と同様に、0.1%より少
ないと耐酸化性向上効果が充分でなく、2.0%を超え
ると光反射膜の初期反射率が小さくなるためである。
【0022】本発明の光反射膜は、希土類元素を含有
し、必要に応じてCuとAuとを含有し、残部は実質的
にAgであることが、高い初期反射率を得るために好ま
しい実施形態であるが、本発明の作用を損なわない範囲
であれば、上記成分以外の他の成分を添加しても良い。
例えば、Pd、Pt等の貴金属や遷移金属(前述したも
のを除く)を硬度向上等の特性付与を目的として積極的
に添加しても良い。また、O2,N2等のガス成分や、溶
解原料であるAg基合金に含まれている不純物も、許容
される。
【0023】本発明の光反射膜は、高い反射率を長時間
維持できるため、反射型液晶表示素子に用いるのが好適
である。また、本発明の光反射膜は、加熱時の結晶粒成
長等の構造変化に対する耐性に優れていることから、製
造工程中に通常200〜300℃の加熱工程を経る液晶
表示素子に特に適している。さらに、この光反射膜は導
電性を有しているので、反射型液晶表示素子の反射電極
として利用することができる。また、透明電極の背面に
反射板として設けてもよい。反射電極として利用する場
合の電極基板としては、ガラス基板、プラスチックフィ
ルム基板等、公知のものが利用可能である。反射板の基
材も同様である。さらに、反射膜と配線膜を兼ねるよう
に用いることもできる。
【0024】光反射膜を上記基板または基材上に形成す
るには、スパッタリング法が好ましい。Cuや希土類元
素は、平衡状態ではAgに対する固溶限が極めて小さい
(なお、Auは全率固溶する)が、スパッタリング法に
より形成された薄膜では、スパッタリング法固有の気相
急冷によって非平衡固溶が可能になるので、その他の薄
膜形成法でAg基合金薄膜を形成した場合に比べ、上記
合金元素がAgマトリックス中に均一に存在し易い。そ
の結果、耐酸化性が向上し、Agの凝集抑制効果が発揮
される。
【0025】光反射膜の膜厚は500〜3000Åが好
ましい。500Åより薄い膜では、光が通過し始めるた
め、反射率が低くなる。3000Åを超えても反射率に
関しては問題はないが、生産性、コスト面で不利とな
る。
【0026】スパッタリングの際には、スパッタリング
ターゲットとして、これまで説明した組成のAg基合金
を用いると、所望の化学組成の光反射膜を得ることがで
きる。ターゲットとしては、溶解・鋳造法で作製したA
g基合金を使用することが好ましい。溶製Ag基合金は
組織的に均一であり、スパッタ率や出射角度を一定にす
ることができるので、成分組成が均一な光反射膜を得る
ことができる。上記溶製Ag基合金ターゲットの酸素含
有量を100ppm以下に制御すれば、膜形成速度を一
定に保持し易くなり、光反射膜中の酸素量も低くなるた
め、反射率や耐酸化性、耐硫化性等が向上する。
【0027】本発明の反射型液晶表示素子は、本発明の
光反射膜を備えていればよく、その他の液晶表示素子と
しての構成は特に限定されず、液晶表示素子分野におい
て公知のあらゆる構成を採用することができる。
【0028】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発
明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て
本発明に含まれる。
【0029】実験例1 AgとNdからなる二元系合金におけるNdの量が、反
射率に及ぼす影響を検討した。表1に示す成分組成から
なるターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタリン
グにより、ガラス基板上に厚さ1500Åの光反射膜を
形成した。各試料の初期反射率を、可視紫外分光光度計
(島津製作所製)で測定した。表1にその結果を示す。
表1では、Agのみの反射膜(Ndが0%添加のとこ
ろ)の初期反射率をIo(純Ag)(%)、実測された
各試料の初期反射率をIo(Ag基合金)(%)とした
ときのIo(Ag基合金)−Io(純Ag)の値を初期
反射率の変化量(%)として示した。また、上記試料を
用い、Agの結晶粒成長やAgの凝集が起こり易い環境
での促進試験として、光反射膜が形成されたガラス基板
を80℃・90%RHの高温・高湿環境下で48時間放
置したときの放置後の光反射率Ia(%)を測定した。
表1では、放置前の初期反射率Io(%)との差Ia−
Ioを反射率の経時変化量(%)として示した。
【0030】
【表1】
【0031】Ndの添加量が増大するにつれて、初期反
射率の変化量もマイナス量が大きくなっていき、反射率
自体が低下していくことがわかる。しかし、Ndの量が
0%の場合、すなわちAgのみからなる光反射膜は、高
温・高湿環境に曝された結果、反射率が7.0%も低減
してしまったが、Ndを0.1%添加すると、1.3%
の低減に抑制された。また、0.3%以上添加すると、
変化量を1.0%以内に抑えられることがわかる。Ag
の結晶粒成長やAgの凝集を抑制する効果が発揮されて
いることが確認できた。
【0032】実験例2 AgとYの二元系合金についても、同様に実験を行い、
初期反射率の変化量と反射率の経時変化量を測定し、表
2に結果を示した。Ag−Nd系合金と同様の結果が得
られた。ただし、Yの経時変化を抑制する効果は、Nd
よりも弱いことがわかる。
【0033】
【表2】
【0034】実験例3 AgとCeの二元系合金についても、同様に実験を行
い、初期反射率の変化量と反射率の経時変化量を測定
し、表3に結果を示した。Ag−Nd系合金と同様の結
果が得られた。ただし、Ceの経時変化を抑制する効果
は、Ndよりも弱いことがわかる。
【0035】
【表3】
【0036】実験例4 Ag−Nd−Au三元系合金について、Auの添加量を
種々変化させ、実験例1と同様にして光反射膜を形成し
た。Ndは0.7%に固定した。実験例1と同様にし
て、初期反射率の変化量および高温・高湿環境での経時
変化量(%)を評価し、表4にその結果を示した。
【0037】
【表4】
【0038】実験例5 Ag−Nd−Cu三元系合金について、実験例4と同様
に、Ndは0.7%に固定し、Cuの影響を検討した。
実験例1と同様にして評価した初期反射率の変化率
(%)と反射率の経時変化量(%)を表5に示した。
【0039】
【表5】
【0040】実験例6 Ag−Cu−Au−Nd四元系合金を用いて、Ndの添
加量を種々変化させ、実験例1と同様にして光反射膜を
形成した。CuとAuはそれぞれ1.0%に固定した。
実験例1と同様にして、初期反射率の変化量(%)およ
び反射率の経時変化量(%)を測定し、表6にその結果
を示した。
【0041】
【表6】
【0042】Ndの添加量が増えると、初期反射率の変
化量が大きくなっており、反射率が低くなっていくこと
がわかるが、促進試験による経時変化量は小さくなって
いき、Agの結晶粒成長やAgの凝集を抑制する効果が
発揮されることが確認できた。
【0043】実験例7 Ag−Cu−Au−Y四元系合金を用いて、Yの添加量
を種々変化させ、実験例1と同様にして光反射膜を形成
した。CuとAuはそれぞれ1.0%に固定した。実験
例1と同様にして、初期反射率の変化量(%)および反
射率の経時変化量(%)を測定し、表7にその結果を示
した。
【0044】
【表7】
【0045】Yの添加量が増えると、初期反射率の変化
量が大きくなっており、反射率が小さくなっていくこと
がわかるが、経時変化量は小さくなっていき、Agの結
晶粒成長やAgの凝集を抑制する効果が発揮されること
が確認できた。
【0046】実験例8 純Ag、Ag−0.9Cu−1.0AuおよびAg−
0.3Nd−0.7Cuの各組成のターゲットを用い、
それぞれガラス基板上にスパッタリング法で厚さ100
nmの薄膜を形成した。各試料の成膜直後のもの、真空
下・100℃で10分間熱処理を行ったもの、真空下・
200℃で10分熱処理したもの、それぞれについて、
結晶粒の成長状況(結晶状態)を透過型電子顕微鏡(T
EM;日立製作所製;「HF−2000」)で観察し
た。TEM像を図1〜図3に示した。
【0047】図1〜2から明らかなように、Ndが含ま
れていない純AgおよびAg−0.9Cu−1.0Au
三元系合金の場合は、熱処理によって結晶粒径が増大し
ているが、図3のAg−0.3Nd−0.7Cu三元系
合金では、ほとんど粒径の変化がなく、Ndの添加によ
って、Agの結晶粒の成長が抑制されていることがわか
る。
【0048】また、各試料の成膜直後のもの、真空下・
100℃で10分間熱処理を行ったもの、真空下・20
0℃で10分熱処理したもの、それぞれについて、原子
間力顕微鏡(AFM;Topometrix社製;「TMX200
0」)で表面状態を観察した。AFM像を図4〜図6に
示した。なお、平均表面粗さRaを図に併記した。
【0049】図4〜5から明らかなように、Ndが含ま
れていない純AgおよびAg−0.9Cu−1.0Au
三元系合金の場合は、熱処理によって表面粗さが大きく
増大しているが、図6のAg−0.3Nd−0.7Cu
三元系合金では、ほとんど表面粗さの変化がなく、Nd
の添加によって、Ag原子の凝集が抑制されていること
がわかる。
【0050】
【発明の効果】本発明の光反射膜は、Agに希土類元素
を添加したAg基合金によって形成されているので、A
gの結晶粒成長やAgの凝集を抑制することができるた
め、Ag本来の高い反射率を維持したまま、反射率の経
時低下をかなり小さくすることができた。また、Cuお
よび/またはAuを併用すれば、耐酸化性が向上し、反
射率の経時低下を一層抑えることができる。従って、本
発明の光反射膜を反射型液晶表示素子に適用することに
より、明るく見やすい画像形成が可能である。また、本
発明のスパッタリングターゲットは、上記性能を有する
光反射膜を形成するために好適に使用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 純Ag薄膜の結晶状態を表すTEM像であ
る。
【図2】 Ag−0.9Cu−1.0Au三元系合金薄
膜の結晶状態を表すTEM像である。
【図3】 Ag−0.3Nd−0.7Cu三元系合金薄
膜の結晶状態を表すTEM像である。
【図4】 純Ag薄膜の表面状態を表すAFM像であ
る。
【図5】 Ag−0.9Cu−1.0Au三元系合金薄
膜の表面状態を表すAFM像である。
【図6】 Ag−0.3Nd−0.7Cu三元系合金薄
膜の表面状態を表すAFM像である。
フロントページの続き (72)発明者 大西 隆 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 高木 勝寿 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 2H042 DA01 DA09 DA11 DA12 DC02 2H091 FA14Y FA14Z FB08 FC02 GA01 GA02 KA10 LA04 LA06 LA12 LA16 LA18 LA30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反射電極または反射板として用いられる
    光反射膜であって、希土類元素を含むAg基合金から形
    成されていることを特徴とする光反射膜。
  2. 【請求項2】 反射型液晶表示素子の反射電極または反
    射板として用いられ、上記Ag基合金が希土類元素の少
    なくとも一種を合計で0.1〜3.0%(原子%の意
    味、以下同じ)含有するものである請求項1に記載の光
    反射膜。
  3. 【請求項3】 上記希土類元素がNdおよび/またはY
    である請求項1または2に記載の光反射膜。
  4. 【請求項4】 上記Ag基合金がCuを0.1〜2.0
    %含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の
    光反射膜。
  5. 【請求項5】 上記Ag基合金がAuを0.1〜1.5
    %含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の
    光反射膜。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の光反射
    膜を備えることを特徴とする反射型液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の光反射
    膜を基板上に形成するために用いられる請求項1〜5の
    いずれかに記載のAg基合金で構成されていることを特
    徴とする光反射膜用スパッタリングターゲット。
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