JP2002322266A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
芳香族ポリカーボネートの製造方法Info
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Abstract
トを早い重合速度で製造する。 【解決手段】 芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエ
ステルを原料としたエステル交換法による芳香族ポリカ
ーボネートの製造方法において、芳香族ジヒドロキシユ
ニットが1〜18の繰返し数であり末端が炭化水素基で
ある末端封止剤を用いることを特徴とする芳香族ポリカ
ーボネートの製造方法。
Description
シ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換法による芳
香族ポリカーボネート製造方法に関するものであり、さ
らに詳しくは末端の水酸基が封止された芳香族ポリカー
ボネートの製造方法に関する。
どの機械的特性に優れている上、透明性にも優れた樹脂
であり、幅広い分野で利用されている。このポリカーボ
ネートの工業的製法としては、ビスフェノールA等の芳
香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを塩化メチレン溶
媒中で反応させる界面重合法が一般的であるが、この方
法は工業的に取り扱いの難しいホスゲンや塩化メチレン
を用いる必要があることから、近年、これらの化合物を
用いず、ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化
合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルと
を原料に、無溶媒下、エステル交換反応によりポリカー
ボネートを製造する方法が一部工業化されている(例え
ば、特開昭63−51429号、特開平2−15392
5号及び特開昭63−23926号公報等参照)。しか
し、後者の方法で生成する芳香族ポリカーボネートは通
常、末端水酸基濃度が高くなり、色相、耐熱性が悪化す
るという問題があった。
製造方法が提案されている。例えば、特開平4−366
128号公報では、ポリカーボネートを炭酸ジエステル
で処理することにより末端水酸基濃度が0.1モル%以
下のポリカーボネートを得ようとしている。また、特開
平6−157739号公報では、同様に炭酸ジエステル
やフェノール類を末端封止剤として、反応槽入口でのポ
リマーの極限粘度[η]が0.20dl/g以上である
反応槽に添加し、末端水酸基濃度低いポリカーボネート
を得ようとしている。しかしながら、これらの提案は、
末端封止剤として使用している化合物の沸点が低いため
に揮発してしまい、添加効果は少なく、またこの問題点
を克服するために、多量の末端封止剤を添加するとポリ
カーボネート中に多量の末端封止剤が残存し、色相、耐
熱性および耐加水分解性が悪化する傾向があった。
記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするも
のであり、末端が封止され、かつ色相や耐熱性に優れた
芳香族ポリカーボネートを、速い重合速度で製造する方
法を提供することを目的とする。
鑑み鋭意検討した結果、エステル交換法によるポリカー
ボネートの製造方法において、特定の末端封止剤を用い
ることにより、効果的に水酸基末端が封止され、かつ色
相や耐熱性に優れた芳香族ポリカーボネートを速い重合
速度で製造することができることを見い出し本発明を完
成するに至った。
ロキシ化合物及び炭酸ジエステルを原料とした芳香族ポ
リカーボネートの製造方法において、下記式(1)で表
される末端封止剤を用いることを特徴とする芳香族ポリ
カーボネートの製造方法に存する。
いてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環
状の2価の炭化水素基、又は、−O−、−S−、−CO
−若しくは−SO2−で示される2価の基であり、X及
びYは各々独立して、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の
炭化水素基であり、p及びqは各々独立して0、1又は
2であり、B1及びB2は各々独立して炭化水素基であ
る。また、nは、1〜18の整数である。)
ネートの製造方法について、さらに具体的に説明する。
本発明の製造方法においては、芳香族ジヒドロキシ化合
物及び炭酸ジエステルを原料とし、エステル交換法によ
り芳香族ポリカーボネートを製造する。両原料は、好ま
しくは原料混合槽に供給され、あらかじめ混合されて、
得られた原料混合物は反応槽に連続的に供給される。原
料混合槽は、1基でも2基以上でもよいが、反応槽へ供
給する原料は極力均一に混合されいるのが良いので、2
基以上直列の原料混合槽を用いるのが好ましい。また、
2基以上の原料混合槽を用いる場合は、少なくとも最終
の原料混合槽へは連続的に原料を供給するのが、反応槽
へ連続供給しやすく好ましい。
基以上でもよく、反応槽の形も特に制限はない。ただ
し、重合反応が進むに従い、反応物の分子量が増加し粘
度も増加するので、適宜、攪拌翼や、攪拌動力を変化さ
せるのが好ましく、従って、2基以上直列の反応槽を用
いるのが好ましく、3基以上の反応槽を用いるのが好ま
しい。反応を開始するための触媒(エステル交換触媒)
は、第一の反応槽へ直接供給しても良いし、最終の原料
混合槽から第一の反応槽の中途で、原料混合物中に供給
しても良い。
カーボネートは、通常、末端水酸基濃度が高くなり、色
相および耐熱性が悪化する傾向にある。そこで、芳香族
ポリカーボネートの末端水酸基濃度を低減するために
は、反応のいずれかの時点で末端封止剤を反応物に加え
る必要がある。本発明では、プレポリマーの粘度平均分
子量が比較的低い前重合段階においては、末端封止剤を
添加せずに、極めて速い速度で重縮合を促進させた後、
プレポリマーの粘度平均分子量が比較的高い後重合段階
にのみ封止剤を添加することにより芳香族ポリカーボネ
ートの末端を封止する。これにより、前重合段階におい
てはポリマーの重合が極めて速い速度で進行し、かつ後
重合段階においては末端封止剤により、色相および耐熱
性が優れた芳香族ポリカーボネートを得ることができる
ものである。また、本発明の製造方法では、反応槽が1
基の場合は末端封止剤は、通常、反応の中途で反応槽に
供給される。反応槽が2基またはそれ以上の場合には、
いずれの反応槽に供給しても良く、複数の反応槽に供給
しても良い。目的とする芳香族ポリカーボネートの重合
度にもよるが、なるべく後の反応槽に末端封止剤を供給
するのが好ましく、さらには最終反応槽に供給するのが
好ましい。反応槽への末端封止剤の供給方式は特に制限
はなく、末端封止剤そのもの、あるいは末端封止剤を溶
媒に溶解させたものを直接反応槽に供給することもで
き、反応槽が2基以上の場合には、反応物が反応槽と反
応槽の中途(通常は移送ライン)を移動する時点で反応
物に混合する形で供給することもできる。これらの内、
反応槽と反応槽の中途で末端封止剤を加えるのが好まし
く、最終反応槽とその直前の反応槽との中途の1カ所み
で加えるのが更に好ましい。
原料の一つである芳香族ジヒドロキシ化合物は、下記一
般式(2)で示される化合物である。
いてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環
状の2価の炭化水素基、又は、−O−、−S−、−CO
−若しくは−SO2−で示される2価の基であり、X及
びYは各々独立して、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の
炭化水素基であり、p及びqは各々独立して0、1又は
2である。)
は、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t
−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)
プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキ
シビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの芳香
族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合
して用いることができる。これらのなかでも、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビ
スフェノールA」と略す)が好ましい。
である炭酸ジエステルは、下記一般式(3)で示される
化合物である。
よい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価の
炭化水素基であり、2つのA’は、同一でも相互に異な
るものでもよい。) 代表的な炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニル
カーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカ
ーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカー
ボネート、ジベンジルカーボネート等のジアラルキルカ
ーボネート等が挙げられる。これらの炭酸ジエステル
は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができ
る。これらのなかでも、ジフェニルカーボネートが特に
好ましい。
エステルとのエステル交換の反応速度は、エステル交換
触媒の量、重合温度、真空度が同一条件の場合、ポリマ
ーの末端水酸基濃度により大きく影響を受ける。ポリマ
ーの末端水酸基濃度による影響は、該濃度が30〜40
%の時に、重合速度は最大となり、該濃度が30%より
小さい場合や40%より大きい場合は、重合速度は減少
する傾向にある。従って、前重合段階で、より速い重縮
合速度を達成するには、末端水酸基濃度を好ましくは2
0〜50%、より好ましくは25〜45%とする。上記
のような末端水酸基濃度は、炭酸ジエステルを芳香族ジ
ヒドロキシ化合物1モルに対して、好ましくは0.95
〜1.07モル、更に好ましくは0.97〜1.05モ
ル、特に好ましくは0.98〜1.03モルの量で用い
ることにより達成することができる。
芳香族ポリカーボネートを製造する際には、通常、触媒
が使用される。本発明のポリカーボネート製造方法にお
いては、触媒種に制限はないが、一般的にはアルカリ金
属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合
物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又は
アミン系化合物等の塩基性化合物が使用される。これら
は、1種類で使用してもよく、2種類以上を組み合わせ
て使用してもよい。触媒の使用量は、塩基性リン化合
物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の
塩基性化合物が使用される。これらは、1種類で使用し
てもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
触媒の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物又は炭酸ジ
エステル1モルに対して0.05〜5μモル、好ましく
は0.08〜4μモル、さらに好ましくは0.1〜2μ
モルの範囲で用いられる。
望の分子量のポリカーボネートを製造するのに必要な重
合活性が得られず、この量より多い場合は、ポリマー色
相が悪化し、またポリマーの分岐化も進み、成型時の流
動性が低下する。アルカリ金属化合物としては、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水
酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物、等の無機アルカリ金
属化合物、アルコール類、フェノール類、そして有機カ
ルボン酸類との塩等の有機アルカリ金属化合物等があ
る。これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化
合物が好ましく、具体的に最も好ましいセシウム化合物
を挙げれば炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セ
シウムである。
ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウ
ムの水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類金属化合
物、アルコール類、フェノール類、そして有機カルボン
酸類との塩等の有機アルカリ土類金属化合物等がある。
トラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピ
ルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ
素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホ
ウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホ
ウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジル
ホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホ
ウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニ
ルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素、等のナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシ
ウム塩、バリウム塩、又はストロンチウム塩等がある。
エチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、ト
リイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等
の3価のリン化合物、又はこれらの化合物から誘導され
る4級ホスホニウム塩等がある。
ば、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピルア
ンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウム
ヒドロキサイド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロ
キサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサ
イド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキサイ
ド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキサイド、ト
リエチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリエ
チルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチル
ベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチルフェ
ニルアンモニウムヒドロキサイド、テトラフェニルアン
モニウムヒドロキサイド、ベンジルトリフェニルアンモ
ニウムヒドロキサイド、メチルトリフェニルアンモニウ
ムヒドロキサイド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒ
ドロキサイド等がある。
ミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル
−4−アミノピリジン,4−ジエチルアミノピリジン、
2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−
メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、
2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカ
プトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキ
ノリン等がある。これらの触媒のうち、実用的にはアル
カリ金属化合物が望ましい。
される化合物である。
いてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環
状の2価の炭化水素基、又は、−O−、−S−、−CO
−若しくは−SO2−で示される2価の基であり、X及
びYは各々独立して、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の
炭化水素基であり、p及びqは各々独立して0、1又は
2であり、B1及びB2は各々独立して炭化水素基であ
る。また、nは、1〜18の整数である。)
り、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜12で
あり、単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用し
てもよい。nが18より大きくなると、該化合物の流動
性が低下し、添加し難くなる傾向がある。B1及びB2
は各々独立して炭化水素基を表すが、炭化水素基として
は、フェニル基、トリル基、メシチル基等のアリール
基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、メチ
ル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル
基等のアルキル基が好ましく、なかでもアリール基が更
に好ましく、フェニル基が特に好ましい。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物と同様の構造をもちい
るのが好ましい。例えば、原料の芳香族ジヒドロキシ化
合物としてビスフェノールAを用いる場合には、末端封
止剤は、式(1)において、Aが、ジメチルメチレン基
(プロパン−2,2−ジイル基)であり、p及びqが0
であるものを用いるのが好ましい。また、式(1)中の
B1、B2は、炭酸ジエステルの置換基と同じ物が好ま
しい。例えば、炭酸ジエステルとして炭酸ジフェニル
(ジフェニルカーボネート)を用いる場合には、末端封
止剤としてB1、B2が共にフェニル基であるものを用
いるのが好ましい。
い過酷な重合条件の反応槽および反応槽と反応槽の中途
に、上記化合物(1)より分子量が著しく小さく、沸点
の低いジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステル類を
末端封止剤として添加すると、揮発してしまい、添加効
果はなくなり好ましくない。また、添加効果を上げるた
めに大過剰量添加すると、過剰な末端封止剤がポリマー
中に残留し、物性を低下させる傾向にある。このため、
式(1)で表される従来より分子量が大きく、比較的沸
点の高い化合物が効果的である。
えば炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物を反応させて
得ることができる。この際、ジヒドロキシ化合物1モル
に対して、炭酸ジエステルを(n+1)/nモル使用し
た場合に、平均の繰り返し数nの末端封止剤が得られる
ので、所望の繰り返し数に応じて炭酸ジエステルとジヒ
ドロキシ化合物の量比を適宜選択すればよい。また、第
一の反応槽のような比較的前段寄りの反応槽で得られる
分子量の小さいオリゴマーに、炭酸ジエステルを上記化
合物になるように添加しても製造できる。なお、式
(1)中のnは、ゲルパーミエイションクロマトグラフ
ィー(GPC)、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)等により、容易に決定できる。
である芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して好まし
くは0.1〜10モル%、更に好ましくは0.2〜7モ
ル%、特に好ましくは0.5〜5モル%添加される。上
記の範囲で添加することにより、生成する芳香族ポリカ
ーボネートの水酸基末端が封止され、色相、耐熱性及び
耐加水分解性に十分に優れた芳香族ポリカーボネートが
得られる。該末端封止剤の添加量が0.1モル%未満で
は、水酸基末端を十分に封止できず好ましくなく、10
モル%を越える場合には、過剰な末端封止剤がポリマー
中に残留し、物性を低下させる傾向である。
応槽は、その入口でのプレポリマー(本明細書中、目的
の重合度に達していない芳香族ポリカーボネートをプレ
ポリマーと称する)の粘度平均分子量(Mv)が8,0
00以上であり、好ましくは9,000以上であり、特
に好ましくは10,000以上である。該粘度平均分子
量が8,000未満の反応槽であれば、末端封止剤の影
響により重合反応が抑制され生成するポリカーボネート
の重合度を高めることができない傾向にある。
平均分子量が上記範囲内にあれば、ある反応槽に所定量
をまとめて供給してもよく、また、必要に応じて複数の
反応槽に分散して供給してもよい。通常、好ましくは最
終反応槽のみにまとめて供給される。
子量が比較的低い前重合段階においては、末端封止剤を
添加せずに、極めて速い速度で重縮合を促進させた後、
プレポリマーの粘度平均分子量が比較的高い後重合段階
にのみ封止剤を添加することにより芳香族ポリカーボネ
ートの末端を封止する。これにより、前重合段階におい
てはポリマーの重合が極めて速い速度で進行し、かつ後
重合段階においては末端封止剤により、色相および耐熱
性が優れた芳香族ポリカーボネートを得ることができ
る。
上、通常3〜7段の多段工程で連続的に実施されること
が好ましい。具体的な反応条件としては、温度:150
〜320℃、圧力:常圧〜1.33Pa、平均滞留時
間:5〜150分の範囲とし、各反応槽においては、反
応の進行とともに副生するフェノールの排出をより効果
的なものとするために、上記反応条件内で、段階的によ
り高温、より高真空に設定する。なお、得られるポリカ
ーボネートの色相等の品質低下を防止するためには、で
きるだけ低温、低滞留時間の設定が好ましい。
置は、竪型、管型又は塔型、横型のいずれの形式であっ
てもよい。通常、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、
フルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製)、サンメラー
翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友
重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子
翼((株)日立製作所製)等を具備した1以上の竪型反
応槽に引き続き、円盤型、かご型等の横型一軸タイプの
反応槽やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業
(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)
製)、メガネ翼、格子翼((株)日立製作所製)、又は
メガネ翼とポリマーの送り機能を持たせた、例えばねじ
りやひねり等の入った翼及び/又は傾斜がついている翼
等を組み合わせたもの等を具備した、横型二軸タイプの
反応槽を用いることができる。
粘度平均分子量は、好ましくは12,000〜40,0
00の範囲であり、さらに好ましくは、13,000〜
32,000の範囲である。粘度平均分子量が低すぎる
と強度が実用上、耐えられなくなり、高すぎると成形
性,流動特性の点で十分な性能を得られなくなる。
る際には、エステル交換触媒を失活するために、失活剤
として酸性化合物又はその前駆体にはスルホン酸化合物
又はその前駆体を添加することが好ましく、より具体的
には、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン
酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等が特に好ま
しい。これらは、単独で使用しても、また、2種以上を
組み合わせて使用してもよい。
量は、重縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の
中和量に対して、0.1〜50倍モル、好ましくは0.
5〜30倍モルの範囲で添加する。酸性化合物又はその
前駆体を添加する時期としては、重縮合反応後であれ
ば、いつでもよく、添加方法にも特別な制限はなく、酸
性化合物又はその前駆体の性状や所望の条件に応じて、
直接添加する方法、適当な溶媒に溶解して添加する方
法、ペレットやフレーク状のマスターバッチを使用する
方法等のいずれの方法でもよい。
は、本発明の効果を損なわない範囲で、安定剤、紫外線
吸収剤、離型剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実
施例に限定されるものではない。なお、得られた芳香族
ポリカーボネートの分析は、下記の測定方法により行っ
た。 (a)粘度平均分子量(Mv) ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中20℃の極
限粘度[η]を測定し以下の式より粘度平均分子量(M
v)を求めた。 [η]=1.23×10-4×(Mv)0.83 (b)末端水酸基濃度(ppm) 四塩化チタン/酢酸法(Makromol. Chem. 88 215(196
5))により、比色定量を行った。
カーボネートを280℃で、100mm×100mm×
3mm厚のプレスシートを射出成形し、該プレスシート
をカラーテスター(スガ試験機株式会社製SC−1−C
H)で、色の絶対値である三刺激値XYZを測定し、次
の関係式により黄色度の指標であるYI値を計算した。 YI=(100/Y)×(1.28×X−1.06×
Z) このYI値が大きいほど着色していることを示す。 (d)耐熱性試験 上記100mm×100mm×3mm厚のプレスシート
を140℃のオーブン中で100時間保持した後、該プ
レスシートのYIを測定した。
ボネートの製造方法の実施態様を説明する。図1は、本
発明の製造方法の1例を示したフローシート図である。
図中、1は原料混合槽、2はDPC(ジフェニルカーボ
ネート)導入管、3はBPA(ビスフェノールA)導入
管、4はポンプ、5a,b,cは竪型反応槽、6は触媒
導入管、7は副生物排出管、8a,bは横型反応槽、9
は末端停止剤導入管である。
フェニルカーボネート融液、及び、窒素ガス雰囲気下計
量されたビスフェノールA粉末を、それぞれ、DPC導
入管2から199モル/時及びBPA導入管3から19
7モル/時(原料モル比1.01)の送量となるよう
に、マイクロモーション式流量計及びロスインウェイト
方式の重量フィーダーで計量し、窒素雰囲気下140℃
に調整された原料混合槽1に連続的に供給した。続い
て、原料混合液をポンプ4を介して容量100Lの第1
竪型撹拌反応槽5aに連続的に供給した。一方、上記混
合物の供給開始と同時に、触媒として2重量%の炭酸セ
シウム水溶液を、触媒導入管6を介して、1.3mL/
時(設定触媒量:ビスフェノールA1モルに対し、0.
4μモル)の流量で連続供給を開始した。
圧、窒素雰囲気下、220℃に制御し、さらに平均滞留
時間が60分になるように、槽底部のポリマー排出ライ
ンに設けられたバルブ開度を制御しつつ、液面レベルを
一定に保った。槽底より排出された重合液は、引き続
き、第2、第3の竪型撹拌反応槽(5b、5c:容量1
00L)、及び第4、第5の横型反応槽(8a、b:容
量150L)に逐次連続供給された。ここで第2〜第5
反応槽入口の粘度平均分子量(Mv)は、各々2,00
0、6,000、9,000、15,000であった。
また、第4反応槽8aと第5反応槽8bの中途の移送ラ
インに、末端停止剤導入管9より、nが3及び4が主体
であって、n=1〜6の混合物である下記式(1a)で
表される末端停止剤をビスフェノールAに対して4モル
%導入した。
れ、下記のように、反応の進行とともに高温、高真空、
低撹拌速度となるように条件設定した。
時間が30分となるように、液面レベルの制御を行い、
また、各反応槽においては、副生したフェノールを副生
物排出管7より除去した。以上の条件下で、1000時
間連続して運転した。なお、第4反応槽底部のポリマー
排出口から抜き出されたポリカーボネートは、溶融状態
のまま、3段ベント口を具備した2軸押出機に導入さ
れ、p−トルエンスルホン酸ブチルをポリカーボネート
に対して3ppm添加し、水添、脱揮した後、ペレット
化した。
量(Mv)及び末端OH基量は、それぞれ、21,50
0及び100ppmであった。このポリカーボネートを
用いて、280℃で射出成形したプレスシートの色相
は、1.4であり、140℃の耐熱性試験後のYIは
2.2であった。
a)の末端封止剤をビスフェノールAに対して5モル%
添加した他は、実施例1と同様にして芳香族ポリカーボ
ネートを得た。得られた芳香族ポリカーボネートの粘度
平均分子量(Mv)及び末端OH基量、また、該樹脂を
280℃で射出成形したプレスシートの色相と140℃
の耐熱性試験後のYIの値を第1表に示す。
a)の末端封止剤を第3反応槽5cと第4反応槽8aの
中途の移送ラインに添加した他は、実施例1と同様にし
て芳香族ポリカーボネートを得た。得られた芳香族ポリ
カーボネートの粘度平均分子量(Mv)及び末端OH基
量、該樹脂を280℃で射出成形したプレスシートの色
相と140℃の耐熱性試験後のYIの値を第1表示す。
としてn=1〜6の前記式(1)を第1反応槽5aと第
2反応槽5bの中途の移送ラインにビスフェノールAに
対して4モル%添加した他は、実施例1と同様にして芳
香族ポリカーボネートを得た。得られた芳香族ポリカー
ボネートの粘度平均分子量(Mv)及び末端OH基量、
該樹脂を280℃で射出成形したプレスシートの色相と
140℃の耐熱性試験後のYIの値を第1表に示す。
としてジフェニルカーボネート(DPC)をビスフェノ
ールAに対して4モル%添加した他は、実施例1と同様
にして芳香族ポリカーボネートを得た。得られた芳香族
ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)及び末端O
H基量、該樹脂を280℃で射出成形したプレスシート
の色相と140℃の耐熱性試験後のYIの値を第1表に
示す。
としてジフェニルカーボネート(DPC)をビスフェノ
ールAに対して8モル%添加した他は、実施例1と同様
にして芳香族ポリカーボネートを得た。得られた芳香族
ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)及び末端O
H基量、該樹脂を280℃で射出成形したプレスシート
の色相と140℃の耐熱性試験後のYIの値を第1表に
示す。
れ、かつ色相や耐熱性に優れた芳香族ポリカーボネート
を、速い重合速度で製造することができる。
図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエ
ステルを原料としたエステル交換法による芳香族ポリカ
ーボネートの製造方法において、下記式(1)で表され
る末端封止剤を用いることを特徴とする芳香族ポリカー
ボネートの製造方法。 【化1】 (式(1)中、Aは、単結合、置換されていてもよい炭
素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状の2価の炭
化水素基、又は、−O−、−S−、−CO−若しくは−
SO2−で示される2価の基であり、X及びYは各々独
立して、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の炭化水素基で
あり、p及びqは各々独立して0、1又は2であり、B
1及びB2は各々独立して炭化水素基である。また、n
は、1〜18の整数である。) - 【請求項2】 芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエ
ステルを原料混合槽内で混合し、得られた混合物を反応
槽に連続的に供給することを特徴とする請求項1に記載
の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 【請求項3】 反応槽が二基以上直列であり、各反応槽
の中途の少なくともいずれか1カ所において、末端封止
剤を加えることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳
香族ポリカーボネートの製造方法。 - 【請求項4】 末端封止剤を、最終反応槽と、その直前
の反応槽との中途の1カ所のみで加えることを特徴とす
る請求項3記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 【請求項5】 末端封止剤を加える時点でのプレポリマ
ーの粘度平均分子量が8,000以上であことを特徴と
するる請求項1乃至4のいずれかに記載の芳香族ポリカ
ーボネートの製造方法。 - 【請求項6】 式(1)中、B1及びB2が共にフェニ
ル基であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 【請求項7】 末端封止剤の使用量が、芳香族ジヒドロ
キシ化合物に対して0.1〜10モル%である請求項1
乃至6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製
造方法。
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JP2008519136A (ja) * | 2005-03-07 | 2008-06-05 | エルジー・ケム・リミテッド | ポリカーボネート樹脂の製造方法 |
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