JP2002322257A - ポリエステル重合触媒、ポリエステルならびにポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステル重合触媒、ポリエステルならびにポリエステルの製造方法

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JP2002322257A
JP2002322257A JP2002043509A JP2002043509A JP2002322257A JP 2002322257 A JP2002322257 A JP 2002322257A JP 2002043509 A JP2002043509 A JP 2002043509A JP 2002043509 A JP2002043509 A JP 2002043509A JP 2002322257 A JP2002322257 A JP 2002322257A
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polyester
group
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acid
polymerization catalyst
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JP2002043509A
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Takahiro Nakajima
孝宏 中嶋
Kenichi Tsukamoto
健一 塚本
Shoichi Gyobu
祥一 形舞
Kazunori Sato
万紀 佐藤
Masahisa Matsuda
全央 松田
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アンチモン化合物およびゲルマニウム化合物以
外の成分を触媒主成分とし、触媒活性に優れ、溶融成形
したときの色調に優れたポリエステルを与えるポリエス
テル重合触媒を提供する。 【解決手段】アルミニウムおよびその化合物から選ばれ
る少なくとも1種を第1金属含有成分として含み、その
触媒を用いて重合したポリエチレンテレフタレートの色
差計を使用して測定したハンターのL、b値から求めた
カラーデルタLg値パラメータ(△Lg)は△Lg>−
2.0を、カラーデルタbg値パラメータ(△bg)は
Δbg<4.5をそれぞれ満たすポリエステル重合触媒
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル重合触
媒およびこれを用いて製造されたポリエステルならびに
ポリエステルの製造方法に関するものであり、さらに詳
しくは、ゲルマニウム、アンチモン化合物を触媒主成分
として用いない新規のポリエステル重合触媒、およびこ
れを用いて製造されたポリエステル、並びにポリエステ
ルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエス
テルは、機械的特性、及び化学的特性に優れており、そ
れぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば衣料用や
産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などのフィル
ムやシート、中空成形品であるボトル、電気・電子部品
のケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成
形品等の広範な分野において使用されている。
【0003】代表的なポリエステルである芳香族ジカル
ボン酸とアルキレングリコールを主構成成分とするポリ
エステルは、例えばポリエチレンテレフタレート(PE
T)の場合には、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジ
メチルとエチレングリコールとのエステル化もしくはエ
ステル交換によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレ
フタレートを製造し、これを高温、真空下で触媒を用い
て重縮合する重縮合法等により、工業的に製造されてい
る。
【0004】従来から、このようなポリエステルの重縮
合時に用いられるポリエステル重合触媒としては、三酸
化アンチモンが広く用いられている。三酸化アンチモン
は、安価で、かつ優れた触媒活性をもつ触媒であるが、
これを主成分、即ち、実用的な重合速度が発揮される程
度の添加量にて使用すると、重縮合時に金属アンチモン
が析出するため、ポリエステルに黒ずみや異物が発生す
るという問題点を有している。このような経緯で、アン
チモンを全く含まないか或いはアンチモンを触媒主成分
として含まないポリエステルが望まれている。
【0005】なおポリエステル中の上記の異物は例えば
以下のような問題を起こす。 (1)フィルム用のポリエステルにおいては、金属アン
チモンの析出は、ポリエステル中の異物となり、溶融押
し出し時の口金汚れの原因になるだけでなく、フィルム
の表面欠点の原因にもなる。また、中空の成形品等の原
料とした場合には、透明性の優れた中空成形品を得るこ
とが困難である。 (2)繊維用のポリエステル中の異物は、繊維中に強度
低下をもたらす異物となり、製糸時の口金汚れの原因と
なる。ポリエステル繊維の製造においては、主に操業性
の観点から、異物の発生のないポリエステル重合触媒が
求められる。
【0006】上記の問題を解決する方法として、触媒と
して三酸化アンチモンを用いて、かつPETの黒ずみや
異物の発生を抑制する試みが行われている。例えば、特
許第2666502号においては、重縮合触媒として三
酸化アンチモンとビスマスおよびセレンの化合物を用い
ることで、PET中の黒色異物の生成を抑制している。
また、特開平9−291141号においては、重縮合触
媒としてナトリウムおよび鉄の酸化物を含有する三酸化
アンチモンを用いると、金属アンチモンの析出が抑制さ
れることを述べている。ところが、これらの重縮合触媒
では、結局ポリエステル中のアンチモンの含有量を低減
するという目的は達成できない。
【0007】PETボトル等の透明性が要求される用途
について、アンチモン触媒の有する問題点を解決する方
法として、例えば特開平6−279579号公報では、
アンチモン化合物とリン化合物の使用量比を規定するこ
とにより透明性を改良される方法が開示されている。し
かしながら、この方法で得られたポリエステルからの中
空成形品は透明性が十分なものとはいえない。
【0008】また、特開平10−36495号公報に
は、三酸化アンチモン、リン酸およびスルホン酸化合物
を使用した透明性に優れたポリエステルの連続製造法が
開示されている。しかしながら、このような方法で得ら
れたポリエステルは熱安定性が悪く、得られた中空成形
品のアセトアルデヒド含量が高くなるという問題を有し
ている。
【0009】三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒に
代わる重縮合触媒の検討も行われており、テトラアルコ
キシチタネートに代表されるチタン化合物やスズ化合物
がすでに提案されているが、これらを用いて製造された
ポリエステルは溶融成形時に熱劣化を受けやすく、また
ポリエステルが著しく着色するという問題点を有する。
【0010】このような、チタン化合物を重縮合触媒と
して用いたときの問題点を克服する試みとして、例え
ば、特開昭55−116722号では、テトラアルコキ
シチタネートをコバルト塩およびカルシウム塩と同時に
用いる方法が提案されている。また、特開平8−735
81号によると、重縮合触媒としてテトラアルコキシチ
タネートをコバルト化合物と同時に用い、かつ蛍光増白
剤を用いる方法が提案されている。ところが、これらの
技術では、テトラアルコキシチタネートを重縮合触媒と
して用いたときのPETの着色は低減されるものの、P
ETの熱分解を効果的に抑制することは達成されていな
い。
【0011】チタン化合物を触媒として用いて重合した
ポリエステルの溶融成形時の熱劣化を抑制する他の試み
として、例えば、特開平10−259296号では、チ
タン化合物を触媒としてポリエステルを重合した後にリ
ン系化合物を添加する方法が開示されている。しかし、
重合後のポリマーに添加剤を効果的に混ぜ込むことは技
術的に困難であるばかりでなく、コストアップにもつな
がり実用化されていないのが現状である。
【0012】アルミニウム化合物は一般に触媒活性に劣
ることが知られている。アルミニウム化合物の中でも、
アルミニウムのキレート化合物は他のアルミニウム化合
物に比べて重縮合触媒として高い触媒活性を有すること
が報告されているが、上述のアンチモン化合物やチタン
化合物と比べると十分な触媒活性を有しているとは言え
ず、しかもアルミニウム化合物を触媒として用いて長時
間を要して重合したポリエステルは熱安定性や色調に劣
り、また異物の発生も顕著になるという問題点があっ
た。
【0013】アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物
を添加して十分な触媒活性を有するポリエステル重合触
媒とする技術も公知である。かかる公知の触媒を使用す
ると熱安定性に優れたポリエステルが得られるが、この
アルカリ金属化合物を併用した触媒は、実用的な触媒活
性を得ようとするとそれらの添加量が多く必要であり、
その結果、得られたポリエステル重合体中のアルカリ金
属化合物に起因して、少なくとも以下のいずれかの問題
を生じる。 1)異物量が多くなり、繊維に使用したときには製糸性
や糸物性が、またフィルムに使用したときはフィルム物
性などが悪化する。 2)異物の発生によりポリエステル重合体の結晶化が促
進され、中空ボトル等に使用したときに、成形品の白化
が起こり透明性が低下するという問題が発生する。 3)ポリエステル重合体の色調の不良、即ち重合体が黄
色く着色する現象が発生し、フィルムや中空ボトル等に
使用したときに、成形品の色調が悪化するという問題が
発生する。 4)溶融して成形品を製造する際のフィルター圧が異物
の目詰まりによって上昇し、生産性も低下する。 5)ポリエステル重合体の耐加水分解性が低下し、また
異物発生により透明性が低下する。
【0014】一方、アルミニウム化合物とコバルト化合
物を併用することで、触媒活性を持たせ、かつポリエス
テル重合体の黄みを抑える技術があるが、コバルト化合
物を十分な触媒活性を有する程度や十分に黄みを抑える
程度に添加すると、得られるポリエステル重合体の明る
さが低下するという問題が発生し、フィルム等に使用し
たときに成型品の色調が悪化するという問題が発生す
る。また、コバルト化合物を十分な触媒活性を有する程
度に添加すると得られるポリエステル重合体の熱安定性
や耐加水分解性が低下するという問題も発生する。
【0015】アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を
有しかつ上記の問題を有しないポリエステルを与える触
媒としては、ゲルマニウム化合物がすでに実用化されて
いるが、この触媒は非常に高価であるという問題点や、
重合中に反応系から外へ留出しやすいため反応系の触媒
濃度が変化し重合の制御が困難になるという課題を有し
ており、触媒主成分として使用することには問題があ
る。
【0016】また、ポリエステルの溶融成形時の熱劣化
を抑制する方法として、ポリエステルから触媒を除去す
る方法も挙げられる。ポリエステルから触媒を除去する
方法としては、例えば特開平10−251394号公報
には、酸性物質の存在下にポリエステル樹脂と超臨界流
体である抽出剤とを接触させる方法が開示されている。
しかし、このような超臨界流体を用いる方法は技術的に
困難である上に製品のコストアップにもつながるので好
ましくない。
【0017】以上のような経緯で、アンチモンおよびゲ
ルマニウム以外の金属成分を触媒の主たる金属成分とす
る重合触媒であり、触媒活性に優れ、かつ熱安定性や色
調に優れ、しかも異物量が少なく透明性に優れたポリエ
ステルを与える重合触媒が望まれている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アンチモン
化合物及びゲルマニウム化合物を触媒主成分として含ま
ず、アルミニウムを主たる金属成分とし、溶融成形した
ときの色調に優れたポリエステルを与えるポリエステル
重合触媒を提供する。
【0019】本発明はまた、前記触媒を使用した、フィ
ルム、ボトル等の中空成形品、繊維、エンジニアリング
プラスチック等の溶融成形を行う際の色調が改善されて
おり、品位に優れた製品が得られるポリエステル、並び
に前記ポリエステル重合触媒を使用したポリエステルの
製造方法を提供することにある。
【0020】本発明の別の目的は、アンチモン化合物及
びゲルマニウム化合物を触媒主成分として含まず、アル
ミニウムを主たる金属成分とし、溶融成形時のフィルタ
ー詰まりや延伸時の糸切れが改善されたポリエステルを
与えるポリエステル重合触媒を提供する。
【0021】本発明はまた、前記触媒を使用した、フィ
ルム、ボトル等の中空成形品、繊維、エンジニアリング
プラスチック等の溶融成形時のフィルター詰まりや延伸
時の糸切れが改善されており、従って成形品の生産性に
優れたポリエステル、並びに前記ポリエステル重合触媒
を使用したポリエステルの製造方法を提供することにあ
る。
【0022】本発明の別の目的は、アンチモン化合物及
びゲルマニウム化合物を触媒主成分として含まず、アル
ミニウムを主たる金属成分とし、フィルムや中空ボトル
等の溶融成形品の透明性に優れたポリエステルを与える
ポリエステル重合触媒を提供する。
【0023】本発明はまた、前記触媒を使用した、フィ
ルム、中空ボトル等の透明性が改善されており、品位に
優れた製品が得られるポリエステル、並びに前記ポリエ
ステル重合触媒を使用したポリエステルの製造方法を提
供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の筆者らは上記課
題の解決を目指して鋭意検討を重ねた結果、ポリエステ
ル重合触媒であって、アルミニウムおよびその化合物か
らなる群より選ばれる1種以上を金属含有成分として含
み、その触媒を用いて重合したポリエチレンテレフタレ
ート(PET)のカラーデルタLg値パラメータ(△L
g)は下記式(1)を、またカラーデルタbg値パラメ
ータ(△bg)は下記式(2)を、それぞれ満たすポリ
エステル重合触媒を見いだし、該触媒を用いて重合した
ポリエステルは溶融成形したときの色調に優れたものが
得られることを見いだし本発明に到達した。 (1)△Lg>−2.0 (上記式中、△Lgは所定量の触媒を用いて溶融重合し
た固有粘度が0.64〜0.66dl/gのPETレジ
ンチップを用い、色差計を使用して測定したハンターの
L値から、二酸化ゲルマニウムを触媒として用いた場合
のL値を引いた値を示す。ただし、二酸化ゲルマニウム
は生成ポリエチレンテレフタレート中の酸成分に対して
ゲルマニウム原子として0.03mol%添加する。) (2)Δbg<4.5 (上記式中、Δbgは所定量の触媒を用いて溶融重合し
た固有粘度が0.64〜0.66dl/gのPETレジ
ンチップを用い、色差計を使用して測定したハンターの
b値から、二酸化ゲルマニウムを触媒として用いた場合
のb値を引いた値を示す。ただし、二酸化ゲルマニウム
は生成ポリエチレンテレフタレート中の酸成分に対して
ゲルマニウム原子として0.03mol%添加する。)
【0025】また、本発明の筆者らは、ポリエステル重
合触媒であって、アルミニウムおよびその化合物からな
る群より選ばれる1種以上を金属含有成分として含み、
その触媒を用いて重合したポリエチレンテレフタレート
(PET)のDSCにおける昇温時結晶化のピーク温度
(Tc1)が下記式(3)を満たすことを特徴とするポ
リエステル重合触媒を見いだし、該触媒を用いて重合し
たポリエステルからなるフィルムや中空ボトル等の溶融
成形品は透明性に優れたものが得られることを見いだし
本発明に到達した。 (3)140(℃)<Tc1<180(℃) (上記式中、Tc1は溶融重合して得られる固有粘度が
0.64〜0.66dl/gのPETレジンチップを用
いて、DSCにおいて窒素雰囲気下室温から20℃/分
の昇温速度で昇温して行った時に観測される結晶化の発
熱ピークの極大部分の温度(℃)を示す。)
【0026】また、本発明の筆者らは、ポリエステル重
合触媒であって、アルミニウムおよびその化合物からな
る群より選ばれる1種以上を金属含有成分として含み、
その触媒を用いて重合したポリエチレンテレフタレート
(PET)の背圧上昇係数(k)が下記式(4)を満た
すことを特徴とするポリエステル重合触媒を見いだし、
該重合触媒を用いて重合したポリエステルは溶融成形時
のフィルター詰まりや延伸時の糸切れなどが改善され、
従って溶融成形品の生産性に優れることを見いだし本発
明に到達した。 (4)k<1.0 (上記式中、kは溶融重合して得られる固有粘度が0.
64〜0.66dl/gのPETレジンチップを真空乾
燥後、溶融押し出し機に供給し、紡糸温度285℃にて
20μmのフィルターを用いて紡糸試験を行った時の単
位時間当たりの背圧の上昇分△P(MPa/時間)と流
量Q(kg/時間)および濾過面積S(cm2)から次
式により算出される数値である。 k=△P/(Q/S) )
【0027】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル重合触媒
は、アルミニウムおよびその化合物からなる群より選ば
れる1種以上を金属含有成分として含み、その触媒を用
いて重合したポリエチレンテレフタレート(PET)の
カラーデルタLg値パラメータ(△Lg)は下記式
(1)を、またカラーデルタbg値パラメータ(△b
g)は下記式(2)を、それぞれ満たすことを特徴とす
る。
【0028】(1)△Lg>−2.0
【0029】(2)Δbg<4.5
【0030】ただし、△Lgは所定量の触媒を用いて溶
融重合した固有粘度が0.64〜0.66dl/gのP
ETレジンチップを用い、色差計を使用して測定したハ
ンターのL値から、二酸化ゲルマニウムを触媒として用
いた場合のL値を引いた値を示す。Δbgは所定量の触
媒を用いて溶融重合した固有粘度が0.64〜0.66
dl/gのPETレジンチップを用い、色差計を使用し
て測定したハンターのb値から、二酸化ゲルマニウムを
触媒として用いた場合のb値を引いた値を示す。ただ
し、二酸化ゲルマニウムは生成ポリエチレンテレフタレ
ート中の酸成分に対してゲルマニウム原子として0.0
3mol%添加する。
【0031】△Lg、Δbgの測定においては、純度9
7%以上の二酸化ゲルマニウム(市販品としては、例え
ばジェムコ社製)を使用して、二酸化ゲルマニウムを触
媒として用いた場合のL値、b値を求める。
【0032】上述のポリエステル重合触媒は、アンチモ
ン化合物及びゲルマニウム化合物を触媒主成分として含
まず、アルミニウムを主たる金属成分とし、フィルムや
ボトル等の溶融成形品の色調が良好となるポリエステル
を与えるものである。
【0033】△Lgは−1.0以上であることがより好
ましく、0.0以上であることが特に好ましい。Δbg
は3.5以下であることがより好ましく、2.5以下で
あることが特に好ましい。
【0034】別の本発明のポリエステル重合触媒は、ア
ルミニウムおよびその化合物からなる群より選ばれる1
種以上を金属含有成分として含み、その触媒を用いて重
合したポリエチレンテレフタレート(PET)のDSC
における昇温時結晶化のピーク温度(Tc1)が下記式
(3)を満たすことを特徴とする。
【0035】 (3)140(℃)<Tc1<180(℃)
【0036】ただし、Tc1は溶融重合して得られる固
有粘度が0.64〜0.66dl/gのPETレジンチ
ップを用いて、DSCにおいて窒素雰囲気下室温から2
0℃/分の昇温速度で昇温して行った時に観測される結
晶化の発熱ピークの極大部分の温度(℃)を示す。
【0037】DSC(Differential Scanning Calorime
try)を行う際は、アルミニウム製のサンプルパンを使
用し、所定量のPETサンプルを該アルミパンの中に封
入する。PETサンプルは、溶融重合で得られたレジン
チップを細かく切り刻むか冷凍粉砕したものを使用す
る。ポリエステル10.0mgをアルミパンに入れ、50℃/
分の昇温速度で280℃まで加熱し、280℃に達して
から1分間保持した後即座に、液体窒素中でクエンチす
る。その後、窒素雰囲気下で室温から20℃/分の昇温
速度で300℃まで昇温し、昇温時結晶化温度Tc1な
らびに融点Tmを求める。300℃に達してから2分間
保持した後に、10℃/分で降温し、降温時結晶化温度
Tc2を求める。Tc1,Tm、Tc2はそれぞれのピ
ークの極大部分の温度とする。
【0038】かかる構成のポリエステル重合触媒の使用
により、フィルムや中空ボトル等の溶融成形品の透明性
が良好になるようなポリエステルが得られる。Tc1が
140℃以下だとフィルムや中空ボトル等の溶融成形
時、とくにヒートセット時に白化が起こり透明性が低下
するという問題が生じる。Tc1が180℃以上だとポ
リエステルの結晶化速度が小さすぎて、フィルムや中空
ボトル等の溶融成形時、とくにヒートセットに要する時
間が長くなり生産性に乏しくなるという問題が生じる。
Tc1の好ましい範囲は、145℃〜175℃であり、
より好ましくは、150℃〜175℃であり、特に好ま
しくは、155℃〜170℃である。
【0039】別の本発明のポリエステル重合触媒は、ア
ルミニウムおよびその化合物からなる群より選ばれる1
種以上を金属含有成分として含み、その触媒を用いて重
合したポリエチレンテレフタレート(PET)の背圧上
昇係数(k)が下記式(4)を満たすことを特徴とす
る。
【0040】(4)k<1.0
【0041】ただし、kは溶融重合して得られる固有粘
度が0.64〜0.66dl/gのPETレジンチップ
を真空乾燥後、溶融押し出し機に供給し、紡糸温度28
5℃にて20μmのフィルターを用いて紡糸試験を行っ
た時の単位時間当たりの背圧の上昇分△P(MPa/時
間)と流量Q(kg/時間)および濾過面積S(c
2)から次式により算出される数値である。 k=△P/(Q/S)
【0042】なお、kの測定においては、押し出し機出
口圧は約1.96MPaで一定にコントロールして、フ
ィルター径は約14mmΦのフィルターを用いて、吐出
量は約6.0g/分で5時間以上の紡糸テストを行い単
位時間当たりの背圧の上昇分△P(MPa/時間)を求
める。紡糸ノズルには、孔径約0.23mmΦ、長さ約
0.3mmのオリフィスを10個以上有するものを使用
する。フィルターは、押し出し機出口側から順番に、約
100メッシュの金網、20μmのナスロンフィルタ
ー、約100メッシュの金網、および約50メッシュの
金網の構成のものを使用する。
【0043】かかる構成のポリエステル重合触媒の使用
により、溶融成形時のフィルター詰まりや延伸時の糸切
れなどが改善されたポリエステルが得られる。kが1.
0以上だと、該ポリエステル重合触媒を用いて得られる
ポリエステルを繊維やフィルム等に溶融成形する時のフ
ィルター詰まりや延伸時の糸切れなどが顕著になり、そ
の為、フィルターを頻繁に交換しなければならず生産性
が劣るという問題が生じる。kは0.7以下であること
が好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
【0044】本発明のポリエステル重合触媒は、上記の
カラーデルタLg値パラメータ(△Lg)およびカラー
デルタbg値パラメータ(△bg)と、DSCにおける
昇温時結晶化のピーク温度(Tc1)、ならびに背圧上
昇係数(k)のうち複数のものを同時に満たすものであ
ることが好ましい。
【0045】本発明のポリエステル重合触媒は、該触媒
を用いて重合したポリエチレンテレフタレート(PE
T)の熱安定性パラメータ(TS)が下記式(5)を満
たすことが好ましい。
【0046】(5)TS<0.30
【0047】ただし、TSは固有粘度([IV]i )が
0.64〜0.66dl/gのPET1gをガラス試験
管に入れ130℃で12時間真空乾燥した後、非流通窒
素雰囲気下で300℃にて2時間溶融状態に維持した後
の固有粘度([IV]f )から、次式により計算される
数値である。 TS=0.245{[IV]f -1.47 −[IV]i
-1.47
【0048】非流通窒素雰囲気とは、流通しない窒素雰
囲気を意味し、例えば、レジンチップを入れたガラス試
験管を真空ラインに接続し、減圧と窒素封入を5回以上
繰り返した後に100Torrとなるように窒素を封入
して封管した状態である。
【0049】かかる構成の触媒の使用によりフィルム、
ボトル、繊維等の成形品を製造する際等の加熱溶融に対
する溶融熱安定性にも優れ、着色や異物の発生の少ない
成形品を与えるポリエステルが得られるため好ましい。
【0050】TSは、0.25以下であることがより好
ましく、0.20以下であることが特に好ましい。
【0051】また本発明のポリエステル重合触媒は活性
パラメータ(AP)が下記式(6)を満たすことが好ま
しい。
【0052】(6)AP(min)<2T(min)
【0053】ただし、APは所定量の触媒を用いて27
5℃、0.1Torrの減圧度で固有粘度が0.65d
l/gのポリエチレンテレフタレートを重合するのに要
する時間(min)を示し、Tは三酸化アンチモンを触
媒として生成ポリエチレンテレフタレート中の酸成分に
対してアンチモン原子として0.05mol%となるよ
うに添加した場合のAPである。
【0054】本発明において比較の為に使用する三酸化
アンチモンは、純度99%以上の三酸化アンチモンを使
用する。例えば、市販品のAntimony (III) oxide(ALDR
ICHCHEMICAL 社製、純度99.999%)を使用する。
【0055】APの測定方法は、具体的には以下の通り
である。 1)(BHET製造工程)テレフタル酸とその2倍モル
量のエチレングリコールを使用し、エステル化率が95
%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(B
HET)及びオリゴマーの混合物(以下、BHET混合
物という)を製造する。 2)(触媒添加工程)上記のBHET混合物に所定量の
触媒を添加し、窒素雰囲気下常圧にて245℃で10分
間撹拌し、次いで50分間を要して275℃まで昇温し
つつオリゴマーの混合物の反応系の圧力を徐々に下げて
0.1Torrとする。 3)(重縮合工程)275℃、0.1Torrで重縮合
反応を行い、ポリエチレンテレフタレートの固有粘度
(IV)が0.65dl/gに到達するまで重合する。
なお、前記固有粘度(IV)が0.65dl/gに到達
したことは、重合系の攪拌トルクを重合開始時から連続
的に計測し、予めもとめておいて、段落番号0235に
基づく(IV)と攪拌トルクの関係から前記(IV)が
0.65dl/gに相当する攪拌トルクに到達すること
をもって確認した。 4)重縮合工程に要した重合時間をAP(min)とす
る。
【0056】これらは、バッチ式の反応装置を用いて行
う。
【0057】1)(BHET製造工程)におけるBHE
T混合物の製造は、公知の方法で行われる。例えば、テ
レフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコールを撹
拌機付きのバッチ式オートクレーブに仕込み、0.25
MPaの加圧下に245℃にて水を系外に留去しつつエ
ステル化反応を行うことにより製造される。
【0058】活性パラメータAPを上記範囲内とするこ
とにより、反応速度が速く、重縮合によりポリエステル
を製造する時間が短縮されるため好ましい。APは1.
5T以下であることがより好ましく、1.3T以下であ
ることがさらに好ましく、1.0T以下であることが特
に好ましい。
【0059】2)(触媒添加工程)における「所定量の
触媒」とは、触媒の活性に応じて変量して使用される触
媒量を意味し、活性の高い触媒では少量であり、活性の
低い触媒ではその量は多くなる。触媒の使用量は、テレ
フタル酸のモル数に対してアルミニウム化合物として最
大0.1モル%である。これ以上多く添加するとポリエ
ステル中の残存量が多く、実用的な触媒ではなくなる。
【0060】本発明において、Tc1、k、およびTS
を測定するために使用するPETレジンチップは、上記
1)〜3)の工程を経た後、溶融状態からの急冷によっ
て作製されたものを使用する。これらの測定に用いるレ
ジンチップの形状としては、例えば、長さ約3mm、直
径約2mmのシリンダー形状のレジンチップを使用す
る。またカラー測定用のレジンチップは、上記1)〜
3)の工程を経た後、溶融状態からの急冷によって作製
された実質的に非晶のものを使用する。実質的に非晶の
レジンチップを得る方法としては、例えば、溶融重合後
反応系からポリマーを取り出す際に、反応系の吐出口か
らポリマーを吐出させた直後に冷水にて急冷し、その後
十分な時間冷水中で保持した後チップ状にカットして得
る方法などが例示できる。このようにして得られたレジ
ンチップは外観上、結晶化による白化は認められず透明
なものが得られる。このようにして得られたレジンチッ
プは、約一昼夜室温にて濾紙等の上で風乾した後、カラ
ー測定に使用される。上述の操作の後も、レジンチップ
は外観上,結晶化による白化は認められず透明なままで
ある。カラー測定用に用いるレジンチップの形状として
は、例えば、長さ約3mm、直径約2mmのシリンダー
形状のレジンチップを使用する。
【0061】本発明の重縮合触媒を構成するアルミニウ
ムないしアルミニウム化合物としては、金属アルミニウ
ムのほか、公知のアルミニウム化合物は限定なく使用で
きる。
【0062】アルミニウム化合物としては、具体的に
は、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸
アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミ
ニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニ
ウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウ
ム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、
クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどの
カルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン
酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸
塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサ
イド、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムis
o-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アル
ミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサ
イド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウ
ムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセ
テート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso-プ
ロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリ
メチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有
機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、
酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカル
ボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、
これらの中でもさらに塩基性酢酸アルミニウム、塩化ア
ルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニ
ウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに
好ましい。
【0063】本発明のアルミニウムないしアルミニウム
化合物の使用量としては、得られるポリエステルのジカ
ルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構
成ユニットのモル数に対して0.001〜0.05モル
%が好ましく、さらに好ましくは、0.005〜0.0
2モル%である。使用量が0.001モル%未満である
と触媒活性が十分に発揮されない場合があり、使用量が
0.05モル%以上になると、熱安定性や熱酸化安定性
の低下、アルミニウムに起因する異物の発生や着色の増
加が問題になる場合が発生する。この様にアルミニウム
成分の添加量が少なくても本発明の重合触媒は十分な触
媒活性を示す点に大きな特徴を有する。その結果、熱安
定性や色調に優れ、しかも異物量が少なく透明性に優れ
たポリエステルが得られる。
【0064】本発明のポリエステル重合触媒は、リン化
合物を共存させたものであることが好ましい。
【0065】本発明で用いられるリン化合物としては特
に限定はされないが、ホスホン酸系化合物、ホスフィン
酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホ
ン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系
化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化
合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
これらの中でも、一種または二種以上のホスホン酸系化
合物を用いると触媒活性の向上効果がとくに大きく好ま
しい。
【0066】本発明で言うホスホン酸系化合物、ホスフ
ィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホ
スホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィ
ン系化合物とは、それぞれ下記式化8〜化13で表され
る構造を有する化合物のことを言う。
【0067】
【化8】
【0068】
【化9】
【0069】
【化10】
【0070】
【化11】
【0071】
【化12】
【0072】
【化13】
【0073】本発明のホスホン酸系化合物としては、例
えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジ
フェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホス
ホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベン
ジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル
などが挙げられる。本発明のホスフィン酸系化合物とし
ては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、
フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、
フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。本発
明のホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、
ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホ
スフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイ
ドなどが挙げられる。
【0074】ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサ
イド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸
系化合物、ホスフィン系化合物の中では、本発明のリン
化合物としては、下記式化14〜化19で表される化合
物を用いることが好ましい。
【0075】
【化14】
【0076】
【化15】
【0077】
【化16】
【0078】
【化17】
【0079】
【化18】
【0080】
【化19】
【0081】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく
好ましい。
【0082】また、本発明のリン化合物としては、下記
一般式化20〜化22で表される化合物を用いると特に
触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0083】
【化20】
【0084】
【化21】
【0085】
【化22】
【0086】(式化20〜化22中、R1、R4、R5
6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基また
はアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
2、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化
水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜
50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基はシクロ
ヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環
構造を含んでいてもよい。)
【0087】本発明のリン化合物としては、上記式化2
0〜化22中、R1、R4、R5、R6が芳香環構造を有す
る基である化合物がとくに好ましい。
【0088】本発明のリン化合物としては、例えば、メ
チルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニ
ル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸
ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホ
スホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、ジフ
ェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、
ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン
酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン
酸フェニル、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチル
ジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフ
ィンオキサイドなどが挙げられる。これらのうちで、フ
ェニルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチ
ルがとくに好ましい。
【0089】本発明のリン化合物としてはフェノール部
を同一分子内に有するリン化合物を用いることが好まし
い。フェノール部を同一分子内に有するリン化合物とし
ては、フェノール構造を有するリン化合物であれば特に
限定はされないが、フェノール部を同一分子内に有す
る、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホス
フィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜
ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群
より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると触
媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、
一種または二種以上のフェノール部を同一分子内に有す
るホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果が
とくに大きく好ましい。
【0090】また、本発明のフェノール部を同一分子内
に有するリン化合物としては、下記一般式化23〜化2
5で表される化合物を用いると特に触媒活性が向上する
ため好ましい。
【0091】
【化23】
【0092】
【化24】
【0093】
【化25】
【0094】(式化23〜化25中、R1はフェノール部
を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロ
ゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換
基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素
基を表す。R4,R5,R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜
50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアル
コキシル基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1
〜50の炭化水素基を表す。R2,R3はそれぞれ独立に水
素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコ
キシル基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素
基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロヘキ
シル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造
を含んでいてもよい。R2とR4の末端どうしは結合してい
てもよい。)
【0095】本発明のフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニ
ルホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメ
チル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p
−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p
−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒド
ロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒド
ロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキ
シフェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェ
ニルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェ
ニルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフ
ェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィ
ン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェ
ニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキ
サイド、トリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン
オキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メチルホ
スフィンオキサイド、および下記式化26〜化29で表
される化合物などが挙げられる。これらのうちで、下記
式化28で表される化合物およびp−ヒドロキシフェニ
ルホスホン酸ジメチルがとくに好ましい。
【0096】
【化26】
【0097】
【化27】
【0098】
【化28】
【0099】
【化29】
【0100】上記の式化28にて示される化合物として
は、SANKO-220(三光株式会社製)があり、使用可能で
ある。
【0101】これらのフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物をポリエステルの重合時に添加することに
よってアルミニウム化合物の触媒活性が向上するととも
に、重合したポリエステルの熱安定性も向上する。
【0102】本発明では、リン化合物としてリンの金属
塩化合物を用いることが好ましい。リンの金属塩化合物
とは、リン化合物の金属塩であれば特に限定はされない
が、ホスホン酸系化合物の金属塩を用いると触媒活性の
向上効果が大きく好ましい。リン化合物の金属塩として
は、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ金属塩などが含まれ
る。
【0103】また、上記したリン化合物の中でも、金属
塩の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、
Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用
いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの
うち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
【0104】本発明のリンの金属塩化合物としては、下
記一般式化30で表される化合物から選択される少なく
とも一種を用いると触媒活性の向上効果が大きく好まし
い。
【0105】
【化30】
【0106】(式化30中、R1は水素、炭素数1〜5
0の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコ
キシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水
素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50
の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の
炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボ
ニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1
以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4
以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1
以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂
環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造
を含んでいてもよい。)
【0107】上記のR1としては、例えば、フェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。R3
O-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイ
オン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなど
が挙げられる。
【0108】上記一般式化30で表される化合物の中で
も、下記一般式化31で表される化合物から選択される
少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0109】
【化31】
【0110】(式化31中、R1は水素、炭素数1〜5
0の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコ
キシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水
素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含
む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整
数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下であ
る。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。炭化水素基は
シキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナ
フチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0111】上記のR1としては、例えば、フェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。R3O-と
しては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、
アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げ
られる。
【0112】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく
好ましい。
【0113】上記式化31の中でも、Mが、Li,N
a、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、
Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果
が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgが
とくに好ましい。
【0114】本発明のリンの金属塩化合物としては、リ
チウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、
ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチ
ル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホス
ホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホ
スホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチ
ル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホ
スホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エ
チル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチ
ル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、
ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マ
ンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホ
スホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホス
ホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホス
ホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリ
ル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒド
ロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス
[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリ
ウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグ
ネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチ
ル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチ
ル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン
酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシ
ウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フ
ェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの
中で、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エ
チル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン
酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチ
ルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸
エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、
マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベン
ジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジ
ルホスホン酸]がとくに好ましい。
【0115】本発明の別の好ましいリン化合物であるリ
ンの金属塩化合物は、下記一般式化32で表される化合
物から選択される少なくとも一種からなるものである。
【0116】
【化32】
【0117】((式化32中、R1、R2はそれぞれ独立
に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、
水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアル
コキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜
50の炭化水素基を表す。R4O-としては例えば、水酸
化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンや
アセチルアセトンイオンなどが挙げられる。lは1以上
の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下
である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上
の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構
造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含
んでいてもよい。)
【0118】これらの中でも、下記一般式化33で表さ
れる化合物から選択される少なくとも一種を用いること
が好ましい。
【0119】
【化33】
【0120】(式化33中、Mn+はn価の金属カチオン
を表す。nは1,2,3または4を表す。)
【0121】上記式化32または化33の中でも、M
が、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、
Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活
性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、
Na、Mgがとくに好ましい。
【0122】本発明の特定のリンの金属塩化合物として
は、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチ
ル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチ
ル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウム
ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、スト
ロンチウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス[3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸
フェニル]、マンガンビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ニッケルビ
ス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホ
スホン酸エチル]、銅ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス
[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホス
ホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチ
ウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マ
グネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジルホスホン酸エチル]がとくに好ましい。
【0123】本発明では、リン化合物としてP-OH結合を
少なくとも一つ有するリン化合物を用いることが好まし
い。P-OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、
分子内にP-OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれ
ば特に限定はされない。これらのリン化合物の中でも、
P-OH結合を少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を
用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0124】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく
好ましい。
【0125】本発明のP-OH結合を少なくとも一つ有する
リン化合物としては、下記一般式化34で表される化合
物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の
向上効果が大きく好ましい。
【0126】
【化34】
【0127】(式化34中、R1は水素、炭素数1〜5
0の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコ
キシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水
素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50
の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水
素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニ
ルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0128】上記のR1としては、例えば、フェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
【0129】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく
好ましい。
【0130】本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有
するリン化合物としては、(1−ナフチル)メチルホス
ホン酸エチル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、
(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホ
スホン酸エチル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリ
ル)メチルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチ
ル、4−クロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミ
ノベンジルホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホ
スホン酸エチルなどが挙げられる。これらの中で、(1
−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホ
ン酸エチルがとくに好ましい。
【0131】また本発明で用いられる好ましいリン化合
物としては、P-OH結合を少なくとも一つ有する特定のリ
ン化合物が挙げられる。P-OH結合を少なくとも一つ有す
る特定のリン化合物とは、下記一般式化35で表される
化合物から選択される少なくとも一種の化合物のことを
言う。
【0132】
【化35】
【0133】(式化35中、R1、R2はそれぞれ独立に
水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水
素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコ
キシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。n
は1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等
の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環
構造を含んでいてもよい。)
【0134】これらの中でも、下記一般式化36で表さ
れる化合物から選択される少なくとも一種を用いること
が好ましい。
【0135】
【化36】
【0136】(式化36中、R3は、水素、炭素数1〜
50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む
炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシク
ロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチ
ル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0137】上記のR3としては例えば、水素、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の
脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニ
ル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基など
が挙げられる。
【0138】本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有
する特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メ
チル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸イソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸オクタデ
シル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸などが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エ
チル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸メチルがとくに好ましい。
【0139】好ましいリン化合物としては、化学式化3
7であらわされるリン化合物が挙げられる。
【0140】
【化37】
【0141】(式化37中、R1は炭素数1〜49の炭化
水素基、または水酸基またはハロゲン基またはアルコキ
シル基またはアミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素
基を表し、R2,R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜5
0の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭
素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構
造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0142】また、更に好ましくは、化学式化37中の
R1,R2,R3の少なくとも一つが芳香環構造を含む化合物で
ある。
【0143】本発明に使用するリン化合物の具体例を以
下に示す。
【0144】
【化38】
【0145】
【化39】
【0146】
【化40】
【0147】
【化41】
【0148】
【化42】
【0149】
【化43】
【0150】また、本発明で用いられるリン化合物は、
分子量が大きいものの方が重合時に留去されにくいため
効果が大きく好ましい。
【0151】本発明で使用する事が望ましい別のリン化
合物は、下記一般式化44で表される化合物から選ばれ
る少なくとも一種のリン化合物である。
【0152】
【化44】
【0153】(上記式化44中、R1、R2はそれぞれ独
立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3
4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50
の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水
素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニ
ルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0154】上記一般式化44の中でも、下記一般式化
45で表される化合物から選択される少なくとも一種を
用いると触媒活性の向上効果が高く好ましい。
【0155】
【化45】
【0156】(上記式化45中、R3、R4はそれぞれ独
立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基または
アルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表
す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構
造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいても
よい。)
【0157】上記のR3、R4としては例えば、水素、メ
チル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル等
の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換され
たフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CH2CH2
OHで表される基などが挙げられる。
【0158】本発明の特定のリン化合物としては、3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン
酸ジイソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタ
デシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。これらの中
で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホ
スホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルがとくに好ま
しい。
【0159】本発明で使用する事が望ましい別のリン化
合物は、化学式化46、化47で表される化合物から選
ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
【0160】
【化46】
【0161】
【化47】
【0162】上記の化学式化46にて示される化合物と
しては、Irganox1222(チバ・スペシャルテ
ィーケミカルズ社製)が市販されており、また化学式化
47にて示される化合物としてはIrganox142
5(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)が市販さ
れており、使用可能である。
【0163】本発明のリン化合物を併用することによ
り、ポリエステル重合触媒中のアルミニウムとしての添
加量が少量でも十分な触媒効果を発揮する触媒が得られ
る。
【0164】本発明のリン化合物の使用量としては、得
られるポリエステルのポリカルボン酸成分の全構成ユニ
ットのモル数に対して0.0001〜0.1モル%が好ましく、
0.005〜0.05モル%であることがさらに好ましい。リン
化合物の添加量が0.0001モル%未満の場合には添加効果
が発揮されない場合があり、0.1モル%を超えて添加す
ると逆にポリエステル重合触媒としての触媒活性が低下
する場合があり、その低下の傾向は、アルミニウムの使
用量等により変化する。
【0165】リン化合物を使用せず、アルミニウム化合
物を主たる触媒成分とする技術であって、アルミニウム
化合物の使用量を低減し、さらにコバルト化合物を添加
してアルミニウム化合物を主触媒とした場合の熱安定性
の低下による着色を防止する技術があるが、コバルト化
合物を十分な触媒活性を有する程度に添加するとやはり
熱安定性が低下する。従って、この技術では両者を両立
することは困難である。
【0166】本発明によれば、上述のリン化合物の使用
により、色調の悪化、熱安定性の低下、異物発生等の問
題を起こさず、しかも金属含有成分のアルミニウムとし
ての添加量が少量でも十分な触媒効果を有する重合触媒
が得られ、この重合触媒を使用する事によりポリエステ
ルフィルム、ボトル等の中空成形品、繊維やエンジニア
リングプラスチック等の溶融成形時のフィルター詰まり
や延伸時の糸切れなどや溶融成型品の色調や透明性や熱
安定性などが改善される。本発明のリン化合物の中でも
リン酸やトリメチルリン酸等のリン酸エステルを添加し
ても添加効果が見られないため、好ましくない。また、
本発明のリン化合物を本発明の添加量の範囲で従来のア
ンチモン化合物、チタン化合物、スズ化合物、ゲルマニ
ウム化合物等の金属含有ポリエステル重合触媒と組み合
わせて使用しても、溶融重合反応を促進する効果は認め
られない。
【0167】本発明のポリエステル重合触媒を構成する
アルミニウムおよびその化合物としては、リン化合物の
アルミニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種
を用いることが好ましい。リン化合物のアルミニウム塩
に他のアルミニウム化合物やリン化合物などを組み合わ
せて使用することも好ましい。
【0168】本発明のリン化合物のアルミニウム塩と
は、アルミニウム部を有するリン化合物であれば特に限
定はされないが、ホスホン酸系化合物のアルミニウム塩
を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン
化合物のアルミニウム塩としては、モノアルミニウム
塩、ジアルミニウム塩、トリアルミニウム塩などが含ま
れる。
【0169】上記したリン化合物のアルミニウム塩の中
でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の
向上効果が大きく好ましい。
【0170】本発明のリン化合物のアルミニウム塩とし
ては、下記一般式化48で表される化合物から選択され
る少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が大き
く好ましい。
【0171】
【化48】
【0172】(式化48中、R1は水素、炭素数1〜5
0の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコ
キシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水
素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50
の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の
炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボ
ニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1
以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは3で
ある。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘ
キシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等
の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0173】上記のR1としては、例えば、フェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。上記
のR3O-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラー
トイオン、エチレングリコラートイオン、アセテートイ
オンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
【0174】本発明のリン化合物のアルミニウム塩とし
ては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアル
ミニウム塩、(1−ナフチル)メチルホスホン酸のアル
ミニウム塩、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル
のアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸エチルのアルミ
ニウム塩、ベンジルホスホン酸のアルミニウム塩、(9
−アンスリル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム
塩、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミ
ニウム塩、2−メチルベンジルホスホン酸エチルのアル
ミニウム塩、4−クロロベンジルホスホン酸フェニルの
アルミニウム塩、4−アミノベンジルホスホン酸メチル
のアルミニウム塩、4−メトキシベンジルホスホン酸エ
チルのアルミニウム塩、フェニルホスホン酸エチルのア
ルミニウム塩などが挙げられる。これらの中で、(1−
ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、
ベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩がとくに好
ましい。
【0175】本発明のリン化合物のアルミニウム塩の使
用量としては、得られるポリエステルのポリカルボン酸
成分の全構成ユニットのモル数に対して0.0001〜0.2モ
ル%が好ましく、0.005〜0.1モル%であることがさらに
好ましい。
【0176】本発明のポリエステル重合触媒を構成する
アルミニウムおよびその化合物としては、下記一般式化
49で表される特定のリン化合物のアルミニウム塩から
選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。該リ
ン化合物のアルミニウム塩に他のアルミニウム化合物や
リン化合物などを組み合わせて使用することも好まし
い。
【0177】
【化49】
【0178】(式化49中、R1、R2はそれぞれ独立に
水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水
素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコ
キシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R
4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基また
はアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜5
0の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または
1以上の整数を表し、l+mは3である。nは1以上の整数
を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分
岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでい
てもよい。)
【0179】これらの中でも、下記一般式化50で表さ
れる化合物から選択される少なくとも一種を用いること
が好ましい。
【0180】
【化50】
【0181】(式化50中、R3は、水素、炭素数1〜
50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む
炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭
素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル
基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基
を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を
表し、l+mは3である。炭化水素基はシクロヘキシル等の
脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構
造を含んでいてもよい。)
【0182】上記のR3としては例えば、水素、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の
脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニ
ル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基など
が挙げられる。上記のR4O-としては例えば、水酸化物
イオン、アルコラートイオン、エチレングリコラートイ
オン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなど
が挙げられる。
【0183】本発明の特定のリン化合物のアルミニウム
塩としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル
のアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジルホスホン酸イソプロピルのアルミニウム
塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホ
スホン酸フェニルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のアルミニ
ウム塩などが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルの
アルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩がとくに
好ましい。
【0184】本発明の特定のリン化合物のアルミニウム
塩の使用量としては、得られるポリエステルのポリカル
ボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.0001〜
0.2モル%が好ましく、0.005〜0.1モル%であることが
さらに好ましい。
【0185】本発明のポリエステル重合触媒は、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物を
共存していないものであることが好ましい。
【0186】また一方で、本発明のポリエステル重合触
媒においてアルミニウムもしくはその化合物に加えて少
量のアルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物
から選択される少なくとも1種を第2金属含有成分とし
て共存させることが好ましい態様である。かかる第2金
属含有成分を触媒系に共存させることは、ジエチレング
リコールの生成を抑制する効果に加えて触媒活性を高
め、従って反応速度をより高めた触媒成分が得られ、生
産性向上に有効である。
【0187】アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物
又はアルカリ土類金属化合物を添加して十分な触媒活性
を有する触媒とする技術は公知である。かかる公知の触
媒を使用すると熱安定性に優れたポリエステルが得られ
るが、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物
を併用した公知の触媒は、実用的な触媒活性を得ようと
するとそれらの添加量が多く必要であり、アルカリ金属
化合物を使用したときはそれに起因する異物量が多くな
り、繊維に使用したときには製糸性や糸物性が、またフ
ィルムに使用したときはフィルム物性、透明性、熱安定
性、熱酸化安定性、耐加水分解性などが悪化する。さら
には繊維やフィルム等の溶融成形品の色調が悪化し、フ
ィルムや中空ボトル等の溶融成形品の透明性が悪化す
る。またアルカリ土類金属化合物を併用した場合には、
実用的な活性を得ようとすると得られたポリエステルの
熱安定性、熱酸化安定性が低下し、加熱による着色が大
きく、異物の発生量も多くなり、繊維に使用したときに
は製糸性や糸物性が、またフィルムに使用したときはフ
ィルム物性、透明性、熱安定性、熱酸化安定性、耐加水
分解性などが悪化する。さらには繊維やフィルム等の溶
融成形品の色調が悪化し、フィルムや中空ボトル等の溶
融成形品の透明性が悪化する。
【0188】アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにそ
の化合物を添加する場合、その使用量M(モル%)は、
ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモ
ル数に対して、1×10-6以上0.1モル%未満である
ことが好ましく、より好ましくは5×10-6〜0.05
モル%であり、さらに好ましくは1×10-5〜0.03
モル%であり、特に好ましくは、1×10-5〜0.01
モル%である。アルカリ金属、アルカリ土類金属の添加
量が少量であるため、熱安定性低下、異物の発生、透明
性の低下、着色等の問題を発生させることなく、反応速
度を高めることが可能である。また、耐加水分解性の低
下等の問題を発生させることなく、反応速度を高めるこ
とが可能である。アルカリ金属、アルカリ土類金属並び
にその化合物の使用量Mが0.1モル%以上になると熱
安定性や透明性の低下、異物発生や着色の増加、耐加水
分解性の低下等が製品加工上問題となる場合が発生す
る。Mが1×10-6モル%未満では、添加してもその効
果が明確ではない。
【0189】本発明において使用することが好ましいア
ルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Li,Na,
K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選
択される少なくとも1種であることが好ましく、アルカ
リ金属ないしその化合物の使用がより好ましい。アルカ
リ金属ないしその化合物を使用する場合、特にLi,N
a,Kの使用が好ましい。アルカリ金属やアルカリ土類
金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボ
ン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族
カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、ト
リクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、
クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、
炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リ
ン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水
素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンス
ルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホ
ン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機
硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso
−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなど
のアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレ
ート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げら
れる。
【0190】これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属
またはそれらの化合物のうち、水酸化物等のアルカリ性
の強いものを用いる場合、これらはエチレングリコール
等のジオールもしくはアルコール等の有機溶媒に溶解し
にくい傾向があるため、水溶液で重合系に添加しなけれ
ばならず重合工程上問題となる場合が有る。さらに、水
酸化物等のアルカリ性の強いものを用いた場合、重合時
にポリエステルが加水分解等の副反応を受け易くなると
ともに、重合したポリエステルは着色し易くなる傾向が
あり、耐加水分解性も低下する傾向がある。従って、本
発明のアルカリ金属またはそれらの化合物あるいはアル
カリ土類金属またはそれらの化合物として好適なもの
は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪
族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩、芳香族カ
ルボン塩、ハロゲン含有カルボン酸塩、ヒドロキシカル
ボン酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、リン酸水
素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、
塩素酸、臭素酸から選ばれる無機酸塩、有機スルホン酸
塩、有機硫酸塩、キレート化合物、および酸化物であ
る。これらの中でもさらに、取り扱い易さや入手のし易
さ等の観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金
属の飽和脂肪族カルボン酸塩、特に酢酸塩の使用が好ま
しい。
【0191】本発明の方法に従ってポリエステルを製造
する際には、さらに、コバルト化合物をコバルト原子と
してポリエステルに対して10ppm未満の量で添加す
る事が好ましい態様である。より好ましくは5ppm未
満であり、さらに好ましくは3ppm以下である。
【0192】コバルト化合物はそれ自体ある程度の重合
活性を有していることは知られているが、前述のように
十分な触媒効果を発揮する程度に添加すると得られるポ
リエステル重合体の明るさの低下や熱安定性の低下が起
こる。本発明によれば得られるポリエステルは、色調並
びに熱安定性が良好であるが、コバルト化合物を上記の
ような少量で添加による触媒効果が明確でないような添
加量にて添加することにより、得られるポリエステルの
明るさの低下を起こすことなく着色をさらに効果的に消
去できる。なお本発明におけるコバルト化合物は、着色
の消去が目的であり、添加時期は重合のどの段階であっ
てもよく、重合反応終了後であってもかまわない。
【0193】コバルト化合物としては特に限定はされな
いが、具体的には例えば、酢酸コバルト、硝酸コバル
ト、塩化コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナ
フテン酸コバルトおよびそれらの水和物等が挙げられ
る。その中でも特に酢酸コバルト四水塩が好ましい。
【0194】また、一方で本発明の方法に従ってポリエ
ステルを製造する際には、コバルト化合物を使用しない
ことが好ましい。
【0195】本発明によるポリエステルの製造は、触媒
として本発明のポリエステル重合触媒を用いる点以外は
従来公知の工程を備えた方法で行うことができる。例え
ば、PETを製造する場合は、テレフタル酸とエチレン
グリコールとのエステル化後、重縮合する方法、もしく
は、テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸のアルキ
ルエステルとエチレングリコールとのエステル交換反応
を行った後、重縮合する方法のいずれの方法でも行うこ
とができる。また、重合の装置は、回分式であっても、
連続式であってもよい。
【0196】本発明の触媒は、重合反応のみならずエス
テル化反応およびエステル交換反応にも触媒活性を有す
る。例えば、テレフタル酸ジメチルなどのジカルボン酸
のアルキルエステルとエチレングリコールなどのグリコ
ールとのエステル交換反応による重合は、通常チタン化
合物や亜鉛化合物などのエステル交換触媒の存在下で行
われるが、これらの触媒に代えて、もしくはこれらの触
媒に共存させて本発明の触媒を用いることもできる。ま
た、本発明の触媒は、溶融重合のみならず固相重合や溶
液重合においても触媒活性を有しており、いずれの方法
によってもポリエステルを製造することが可能である。
【0197】本発明の重合触媒は、重合反応の任意の段
階で反応系に添加することができる。例えばエステル化
反応もしくはエステル交換反応の開始前および反応途中
の任意の段階あるいは重縮合反応の開始直前あるいは重
縮合反応途中の任意の段階で反応系への添加することが
出きる。特に、アルミニウムないしその化合物は重縮合
反応の開始直前に添加することが好ましい。
【0198】本発明の重縮合触媒の添加方法は、粉末状
もしくはニート状での添加であってもよいし、エチレン
グリコールなどの溶媒のスラリー状もしくは溶液状での
添加であってもよく、特に限定されない。また、本発明
のポリエステル重合触媒の構成成分を予め混合したもの
を添加してもよいし、これらを別々に添加してもよい。
また、本発明のポリエステル重合触媒の構成成分を同じ
添加時期に重合系に添加しても良いし、それぞれを異な
る添加時期に添加してもよい。
【0199】本発明の重合触媒は、アンチモン化合物、
チタン化合物、ゲルマニウム化合物、スズ化合物等の他
の重合触媒を、これらの成分の添加が前述の様なポリエ
ステルの特性、加工性、色調等製品に問題が生じない添
加量の範囲内において共存させて用いることは、重合時
間の短縮による生産性を向上させる際に有利であり、好
ましい。
【0200】ただし、アンチモン化合物としては重合し
て得られるポリエステルに対してアンチモン原子として
50ppm以下の量で添加することが好ましい。より好まし
くは30ppm以下の量で添加することである。アンチモン
の添加量を50ppmより多くすると、金属アンチモンの析
出が起こり、ポリエステルに黒ずみや異物が発生するた
め好ましくない。
【0201】チタン化合物としては重合して得られるポ
リマーに対して10ppm以下の範囲で添加することが好ま
しい。より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは2ppm
以下の量で添加することである。チタンの添加量を10pp
mより多くすると得られるレジンの熱安定性が著しく低
下する。
【0202】ゲルマニウム化合物としては重合して得ら
れるポリエステル中にゲルマニウム原子として20ppm以
下の量で添加することが好ましい。より好ましくは10pp
m以下の量で添加することである。ゲルマニウムの添加
量を20ppmより多くするとコスト的に不利となるため好
ましくない。
【0203】本発明の重合触媒を用いてポリエステルを
重合する際には、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲ
ルマニウム化合物、スズ化合物を1種又は2種以上使用
できる。
【0204】本発明で用いられるアンチモン化合物、チ
タン化合物、ゲルマニウム化合物およびスズ化合物は特
に限定はない。
【0205】具体的には、アンチモン化合物としては、
三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモ
ン、アンチモングリコキサイドなどが挙げられ、これら
のうち三酸化アンチモンが好ましい。
【0206】また、チタン化合物としてはテトラ−n−
プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、
テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタ
ネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラ
シクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネー
ト、蓚酸チタン等が挙げられ、これらのうちテトラ−n
−ブトキシチタネートが好ましい。
【0207】そしてゲルマニウム化合物としては二酸化
ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、こ
れらのうち二酸化ゲルマニウムが好ましい。
【0208】また、スズ化合物としては、ジブチルスズ
オキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエ
チルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、トリエチル
スズハイドロオキサイド、モノブチルヒドロキシスズオ
キサイド、トリイソブチルスズアデテート、ジフェニル
スズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジ
ブチルスズサルファイド、ジブチルヒドロキシスズオキ
サイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸など
が挙げられ、特にモノブチルヒドロキシスズオキサイド
の使用が好ましい。
【0209】本発明の方法に従ってポリエステルを製造
する際にフェノール系化合物を添加すると、ポリエステ
ルの熱安定性が効果的に向上するため好ましい。また、
フェノール系化合物を添加することで、触媒活性の向上
効果も見られる。
【0210】本発明のフェノール系化合物としては、フ
ェノール構造を有する化合物であれば特に限定はされな
いが、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノー
ル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ
シクロヘキシル4-メチルフェノール、2,6-ジイソプロピ
ル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-アミル-4-メチル
フェノール、2,6-ジ-tert-オクチル-4-n-プロピルフェ
ノール、2,6-ジシクロヘキシル4-n-オクチルフェノー
ル、2-イソプロピル-4-メチル-6-tert-ブチルフェノー
ル、2-tert-ブチル-2-エチル-6-tert-オクチルフェノー
ル、2-イソブチル-4-エチル-6-tert-ヘキシルフェノー
ル、2-シクロヘキシル4-n-ブチル-6-イソプロピルフェ
ノール、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチル
フェニル)ブタン、トリエチレングリコール−ビス[3-
(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール−ビス[3-(3,
5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]、2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブ
チル-4,4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,
N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロ
キシ-ヒドロシンナミド)、1,3,5-トリス(2,6-ジメチ
ル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌ
レート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロ
キシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス[(3,
5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニ
ルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4-tert-
ブチル−2,6-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシ
アヌレート、2,4-ビス(n−オクチルチオ)-6-(4-ヒ
ドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリア
ジン、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-
ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、ビス[(3,
3-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチリ
ックアシッド)グリコールエステル、N,N'-ビス[3-
(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オニル]ヒドラジン、2,2'-オギザミドビス[エチル-3-
(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル-6-(3-ter
t-ブチル-5-メチル−2-ヒドロキシベンジル)フェニ
ル]テレフタレート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス
(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、3,9-ビス[1,1-ジメチル2-{β-(3-tert-ブチル-4
-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}
エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデ
カン、2,2-ビス[4-(2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒド
ロキシシンナモイルオキシ))エトキシフェニル]プロ
パン、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニ
ル)プロピオン酸アルキルエステル、テトラキス-[メチ
ル-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]メタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-
ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3-
トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニ
ル)ブタン、チオジエチレンービス[3-(3,5-ジ-tert-ブ
チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレ
ンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒ
ドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレン
ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、トリエチレングリコール-ビス-[-3-(3'-
tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)]プロピ
オネート、1,1,3-トリス[2-メチル-4-[3-(3,5-ジ-tert-
ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-5-
tert-ブチルフェニル]ブタンなどを挙げることができ
る。これらは、同時に二種以上を併用することもでき
る。これらのうち、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス
(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、テトラキス-[メチル-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、チオジエ
チレンービス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]が好ましい。
【0211】本発明のフェノール系化合物の添加時期は
特別の場合を除き重合の初期から重合を完結させるまで
の間に添加し、その使用量としては、重合して得られる
ポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカ
ルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して5X10-5
モル%から1モル%の範囲であることが好ましく、更に
好ましくは1X10-4モル%から0.5モル%の範囲であるこ
とである。また本発明は、アルミニウムおよびその化合
物からなる群より選ばれる1種以上を金属含有成分とし
て含む触媒を用いて重合したポリエステルであって、カ
ラーデルタLg値パラメータ(△Lg)は下記式(7)
を、またカラーデルタbg値パラメータ(△bg)は下
記式(8)を、それぞれ満たすことを特徴とするポリエ
ステルを提供する。 (7)△Lg>−2.0 (上記式中、△Lgはポリエステルレジンチップを用
い、色差計を使用して測定したハンターのL値から、二
酸化ゲルマニウムを触媒として用いて重合したポリエス
テルレジンチップのL値を引いた値を示す。ただし、二
酸化ゲルマニウムは生成ポリエチレンテレフタレート中
の酸成分に対してゲルマニウム原子として0.03mo
l%添加する。) (8)Δbg<4.5 (上記式中、Δbgはポリエステルレジンチップを用
い、色差計を使用して測定したハンターのb値から、二
酸化ゲルマニウムを触媒として用いて重合したポリエス
テルレジンチップのb値を引いた値を示す。ただし、二
酸化ゲルマニウムは生成ポリエチレンテレフタレート中
の酸成分に対してゲルマニウム原子として0.03mo
l%添加する。) △Lg、Δbgの測定においては、純度97%以上の二
酸化ゲルマニウム(市販品としては、例えばジェムコ社
製)を使用して、二酸化ゲルマニウムを触媒として用い
た場合のL値、b値を求める。かかる構成のポリエステ
ルの使用により、フィルムやボトル等の溶融成形品の色
調が良好となる。△Lgは−1.0以上であることがよ
り好ましく、0.0以上であることが特に好ましい。Δ
bgは3.5以下であることがより好ましく、2.5以
下であることが特に好ましい。また、本発明は、アルミ
ニウムおよびその化合物からなる群より選ばれる1種以
上を金属含有成分として含む触媒を用いて重合したポリ
エステルであって、DSCにおける昇温時結晶化のピー
ク温度(Tc1)が下記式(9)を満たすことを特徴と
するポリエステルを提供する。 (9)140(℃)<Tc1<180(℃) (上記式中、Tc1はポリエステルレジンチップを用い
て、DSCにおいて窒素雰囲気下室温から20℃/分の
昇温速度で昇温して行った時に観測される結晶化の発熱
ピークの極大部分の温度(℃)を示す。) かかる構成のポリエステルの使用により、フィルムや中
空ボトル等の溶融成形品の透明性が良好になる。Tc1
の好ましい範囲は、145℃〜175℃であり、より好
ましくは、150℃〜175℃であり、特に好ましく
は、155℃〜170℃である。また、本発明は、アル
ミニウムおよびその化合物からなる群より選ばれる1種
以上を金属含有成分として含む触媒を用いて重合したポ
リエステルであって、背圧上昇係数(k)が下記式(1
0)を満たすことを特徴とするポリエステルを提供す
る。 (10)k<1.0 (上記式中、kはポリエステルレジンチップを本文の記
載に基づき真空乾燥後、溶融押し出し機に供給し、紡糸
温度285℃にて20μmのフィルターを用いて紡糸試
験を行った時の単位時間当たりの背圧の上昇分△P(M
Pa/時間)と流量Q(kg/時間)および濾過面積S
(cm2)から次式により算出される数値である。 k=△P/(Q/S) ) かかる構成のポリエステルの使用により、溶融成形時の
フィルター詰まりや延伸時の糸切れなどが改善される。
kは0.7以下であることが好ましく、0.5以下であ
ることがさらに好ましい。本発明のポリエステルは、上
記のカラーデルタLg値パラメータ(△Lg)およびカ
ラーデルタbg値パラメータ(△bg)と、DSCにお
ける昇温時結晶化のピーク温度(Tc1)、ならびに背
圧上昇係数(k)のうち複数のものを同時に満たすもの
であることが好ましい。また、本発明のポリエステル
は、熱安定性パラメータ(TS)が下記式(11)を満
たすことが好ましい。 (11)TS<0.30 (上記式中、TSはポリエステルレジンチップ(固有粘
度([IV]i ))をガラス試験管に入れ130℃で1
2時間真空乾燥した後、非流通窒素雰囲気下で300℃
にて2時間溶融状態に維持した後の固有粘度([IV]
f )から、次式により計算される数値である。 TS=0.245{[IV]f -1.47 −[IV]i
-1.47 }) かかる構成のポリエステルの使用によりフィルム、ボト
ル、繊維等の成形品を製造する際等の加熱溶融に対する
溶融熱安定性にも優れ、着色や異物の発生の少ない成形
品が得られるため好ましい。TSは、0.25以下であ
ることがより好ましく、0.20以下であることが特に
好ましい。
【0212】本発明に言うポリエステルとは、ジカルボ
ン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成
性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコール
を含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上
とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこ
れらのエステル形成性誘導体から成るもの、または環状
エステルから成るものをいう。
【0213】ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン
酸、ドデカンジカルボン酸、 テトラデカンジカルボン
酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロブタン
ジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボン酸、
1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘ
キサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン
酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸な
どに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらの
エステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコ
ン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸または
これらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金属)スルホ
イソフタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフタレンジカ
ルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナ
フタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン
酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、4、4’ービフ
ェニルジカルボン酸、4、4’ービフェニルスルホンジ
カルボン酸、4、4’ービフェニルエーテルジカルボン
酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンーp,p’ージカ
ルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸など
に例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステ
ル形成性誘導体が挙げられる。
【0214】これらのジカルボン酸のうちテレフタル酸
およびナフタレンジカルボン酸とくに2,6ーナフタレ
ンジカルボン酸が、得られるポリエステルの物性等の点
で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を構成成分
とする。
【0215】これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸
として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン
酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメ
リット酸、トリメシン酸、3、4、3’、4’ービフェ
ニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性
誘導体などが挙げられる。
【0216】グリコールとしてはエチレングリコール、
1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレング
リコール、ジエチレングリ コール、トリエチレングリ
コー、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレン
グリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブ
チレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2
ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジ
オール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシク
ロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメ
タノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4
ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレ
ングリコール、1、12ードデカンジオール、ポリエチ
レングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコ
ール、ヒドロキノン、4, 4’ージヒドロキシビスフェ
ノール、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベン
ゼン、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニ
ル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p
−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビ
スフェノールC、2,5ーナフタレンジオール、これら
のグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコー
ル、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
【0217】これらのグリコールのうちエチレングリコ
ール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレ
ングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが
好ましい。
【0218】これらグリコール以外の多価アルコールと
して、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリ
セロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0219】ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ク
エン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒド
ロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー( 2ーヒ
ドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘ
キサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導
体などが挙げられる。
【0220】環状エステルとしては、ε-カプロラクト
ン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラク
トン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなど
が挙げられる。
【0221】多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボ
ン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキ
ルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられ
る。
【0222】本発明で用いられるポリエステルは主たる
酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体
もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形
成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレン
グリコールであるポリエステルが好ましい。
【0223】主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエ
ステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸ま
たはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルと
は、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル
形成性誘導体とナフタレンジカルボン酸またはそのエス
テル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリ
エステルであることが好ましく、より好ましくは80モル
%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは
90モル%以上含有するポリエステルである。
【0224】主たるグリコール成分がアルキレングリコ
ールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対し
てアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有す
るポリエステルであることが好ましく、より好ましくは
80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ま
しくは90モル%以上含有するポリエステルである。ここ
で言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂
環構造を含んでいても良い。
【0225】本発明で用いられるナフタレンジカルボン
酸またはそのエステル形成性誘導体としては、1,3ー
ナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボ
ン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタ
レンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、
またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
【0226】本発明で用いられるアルキレングリコール
としては、エチレングリコール、1、2ープロピレング
リコール、1、3ープロピレングリコール、1、2ーブ
チレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、
3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコー
ル、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサ
ンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ー
シクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメ
タノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4
ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサ
ンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、
1、12ードデカンジオール等があげられる。これらは
同時に2種以上を使用しても良い。
【0227】本発明のポリエステルとしてはポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
プロピレンテレフタレート、ポリ(1,4ーシクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレ
ート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフ
タレートおよびこれらの共重合体が好ましく、これらの
うちポリエチレンテレフタレートおよびこの共重合体が
特に好ましい。
【0228】また、本発明のポリエステルには公知のリ
ン化合物を共重合成分として含むことができる。リン系
化合物としては二官能性リン系化合物が好ましく、例え
ば(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸、
(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、9,
10−ジヒドロ−10−オキサ−(2,3−カルボキシ
プロピル)−10−ホスファフェナンスレン−10−オ
キサイドなどが挙げられる。これらのリン系化合物を共
重合成分として含むことで、得られるポリエステルの難
燃性等を向上させることが可能である。
【0229】本発明のポリエステルの構成成分として、
ポリエステルを繊維として使用した場合の染色性改善の
ために、スルホン酸アルカリ金属塩基を有するポリカル
ボン酸を共重合成分とすることは好ましい態様である。
【0230】共重合モノマーとして用いる金属スルホネ
ート基含有化合物としては、特に限定されるものではな
いが、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリ
ウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタ
ル酸、2−リチウムスルホテレフタル酸、5−カリウム
スルホイソフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル
酸、またはそれらの低級アルキルエステル誘導体などが
挙げられる。本発明では特に5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸またはそのエステル形成性誘導体の使用が好ま
しい。
【0231】金属スルホネート基含有化合物の共重合量
はポリエステルを構成する酸性分に対して、0.3〜10.0
モル%が好ましく、より好ましくは0.80〜5.0モル%で
ある。共重合量が少なすぎると塩基性染料可染性に劣
り、多すぎると繊維とした場合、製糸性に劣るだけでな
く、増粘現象により繊維として十分な強度が得られなく
なる。また、金属スルホネート含有化合物を2.0モル%
以上共重合すると、得られた改質ポリエステル繊維に常
圧可染性を付与することも可能である。また適切な易染
化モノマーを選択することで金属スルホネート基含有化
合物の使用量を適宜減少させることは可能である。易染
化モノマーとしては特に限定はしないが、ポリエチレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコールに代表され
る長鎖グリコール化合物やアジピン酸、セバシン酸、ア
ゼライン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸が挙げられ
る。
【0232】本発明の方法に従ってポリエステル重合を
した後に、このポリエステルから触媒を除去するか、ま
たはリン系化合物などの添加によって触媒を失活させる
ことによって、ポリエステルの熱安定性をさらに高める
ことができる。
【0233】本発明のポリエステル中には、有機系、無
機系、および有機金属系のトナー、並びに蛍光増白剤な
どを含むことができ、これらを1種もしくは2種以上含
有することによって、ポリエステルの黄み等の着色をさ
らに優れたレベルにまで抑えることができる。また他の
任意の重合体や制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染料、
顔料、艶消し剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、そ
の他の添加剤が含有されてもよい。酸化防止剤として
は、芳香族アミン系、フェノール系などの酸化防止剤が
使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エス
テル系等のリン系、イオウ系、アミン系などの安定剤が
使用可能である。これらの添加時期は主に重合初期から
重合が完結するまでの間に添加する。
【0234】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を実施例に基づい
て説明するが、本発明は、もとよりこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0235】1)固有粘度(IV) ポリエステルをフェノール/1,1,2,2−テトラク
ロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒80〜100℃
で加熱溶解し、ウベローデ粘度計を用いて、温度30℃
で測定した。濃度は、4g/lを中心にして数点測定
し、得られた還元粘度を濃度に対してプロットし、得ら
れる直線を濃度ゼロに外挿したとき還元粘度の値を固有
粘度(IV)とした。
【0236】2)カラーデルタLg値パラメータ(△L
g) PETの溶融重合で所定の撹拌トルクに到遠した時点で
オートクレーブに窒素を導入して常圧に戻し重縮合反応
を停止した。その後、微加圧下ポリマーを冷水にストラ
ンド状に吐出して急冷し、その後約20秒間冷水中で保
持した後カッティングして長さ約3mm、直径約2mm
のシリンダー形状のPETのレジンチップを得た。この
ようにして得られたレジンチップを、約一昼夜室温にて
濾紙の上で風乾した後、カラー測定に使用した。上記の
ようにして得られたIVが0.64〜0.66dl/g
のPETレジンチップを用い、Model TC−15
00MC−88色差計(東京電色(株)製)を使用し
て、ハンターのL値として測定し、二酸化ゲルマニウム
をPETの酸成分に対してゲルマニウム原子として0.
03mol%使用して重合したPETのL値を引いて求
めた。
【0237】3)カラーデルタbg値パラメ一夕(△b
g) 2)カラーデルタLg値パラメーターの測定に使用した
のと同様に溶融重合して得られたIVが0.64〜0.
66dl/gのPETレジンチップを用い、TC−15
00MC−88色差計(東京電色(株)製)を使用し
て、ハンターのb値として測定し、二酸化ゲルマニウム
をPETの酸成分に対してゲルマニウム原子として0.
03mol%使用して重合したPETのb値を引いて求
めた。
【0238】4)示差走査熱量分析(DSC) TAインスツルメント社製DSC2920を用いて測定
した。ポリエステル10.0mgを同社製オートサンプラ専用
アルミパンに入れて密封し、50℃/分の昇温速度で2
80℃まで加熱し、280℃に達してから1分間保持し
た後即座に、液体窒素中でクエンチした。その後、窒素
雰囲気下で室温から20℃/分の昇温速度で300℃ま
で昇温し、昇温時結晶化温度Tc1ならびに融点Tmを
求めた。300℃に達してから2分間保持した後に、1
0℃/分で降温し、降温時結晶化温度Tc2を求めた。
Tc1,Tm、Tc2はそれぞれのピークの極大部分の
温度とした。
【0239】5)背圧上昇係数(k) 溶融重合で得られたIVが0.64〜0.66dl/g
のPETレジンチップを140℃で16時間真空乾燥し
た後、溶融押し出し機に供給し、押し出し機出口圧を
1.96MPaにコントロールして、フィルター径14
mmΦのフィルターを用いて紡糸温度285℃にて、吐
出量6.0g/分で7時間紡糸テストを行った。紡糸ノ
ズルには、孔径0.23mmΦ、長さ0.3mmのオリ
フィスを12個有するものを使用した。フィルターは、
押し出し機出口側から順番に、100メッシュの金網、
20μmのナスロンフィルター、100メッシュの金
網、および50メッシュの金網の構成のものを用いた。
背圧上昇係数kは、7時間の紡糸テストを行った際の単
位時間当たりの背圧の上昇分△P(MPa/時間)と流
量Q(kg/時間)および濾過面積S(cm2)から次
式により算出した。 k=△P/(Q/S) 面積Sはフィルター径より算出、流量Qは吐出量から算
出した。
【0240】6)熱安定性パラメータ(TS) 溶融重合したIVが0.64〜0.66dl/gのPE
T(レジンチップ1gを内径約14mmのガラス試験管
に入れ130℃で12時間真空乾燥した後、ガラス試験
管を真空ラインに接続し、減圧と窒素封入を5回以上繰
り返した後に100Torrとなるように窒素を封入し
て封管した。この試験管を300℃の塩バスに浸漬して
2時間溶融状態に維持した後、サンプルを取り出して冷
凍粉砕し、真空乾燥後、IV(溶融試験後;IV)f
を測定した。この[IV]fと前記130℃乾燥処理お
よび溶融処理前のPETレジンのIV([IV]i)か
ら、下記計算式を用いてTSを求めた。式は、既報(上
山ら:日本ゴム協会誌第63巻第8号497頁1990
年)から引用した。 TS=0.245{[IV]f -1.47 −[IV]i
-1.47
【0241】7)フィルムの熱安定性 (i)フィルムの製膜 後述する各実施例および比較例において溶融重合で得ら
れたPETレジンチップを135℃で6時間真空乾燥し
た。その後、押出機に供給し、280℃でシート状に溶
融押し出しして、表面温度20℃に保った金属ロール上
で急冷固化し、厚さ1400μmのキャストフィルムを
得た。次に、このキャストフィルムを加熱されたロール
群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速
差のあるロール群で長手方向に設定倍率で3.5倍延伸
して一軸配向PETフィルムを得た。引き続いて、テン
ターで、120℃で幅方向に設定倍率で4.0倍に延伸
し、フィルム幅長を固定した状態で、260℃、0.5
秒間赤外線ヒーターで加熱し、さらに200℃で23秒
間3%の弛緩処理をし、厚さ100μmの二軸配向PE
Tフィルムを得た。 (ii)回収ペレットによるフィルムの製膜 上記(i)に記載の方法で得られたPETフィルムを短
冊状に裁断し、真空乾燥後、押出機に投入し、温度設定
280℃で溶融樹脂を径5mmのノズルから押し出した
後、水で冷却、切断することによって回収ペレットを得
た。溶融重合で得られたPETレジンチップと前述の回
収ペレットを50:50の重量比で混合し、135℃で
6時間真空乾燥した。その後、押出機に供給し、280
℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保
った金属ロール上で急冷固化し、厚さ1400μmのキ
ャストフィルムを得た。次に、このキャストフィルムを
加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加
熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に設定倍
率で3.5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。
続いて、テンターで、120℃で幅方向に設定倍率で
4.0倍に延伸し、厚さ100μmの二軸配向PETフ
ィルムを得た。 (iii)フィルムの熱安定性評価 得られたフィルムの外観を目視で観察し、フィルムの着
色の程度により、着色の少ないものほど良好として評価
した。 ○:着色がなく良好。 △:着色がやや認められる。 ×:着色が認められる。
【0242】8)フィルム色調の評価 上記7)(i)の方法で得られたフィルムを数枚積層し
たものを用いて、白色光の透過度を目視で観察した。白
色光の透過度が高いものを○、透過度が低いものを×と
した。
【0243】9)紡糸時の濾圧上昇および延伸時の糸切
れの評価 溶融重合で得られたPETレジンチップを乾燥後、溶融
押出機に供給し、フィルターとして20μmのものを使
用し、孔径0.14mmΦのオリフィスを108個有す
る紡糸口金から290℃で吐出させ、常法に従って冷
却、オイリング後、1720m/分で引き取った。引き
続き、予熱ローラー80℃、セット温度150℃で2.
127倍に延伸して47デシテックス、108フィラメ
ントのポリエステル延伸糸を得た。
【0244】紡糸時の濾圧上昇の程度により、以下のよ
うに評価した。 ○:濾圧上昇がほとんど認められない △:濾圧上昇が少し認められる ×:顕著に濾圧が上昇する
【0245】延伸時の糸切れの頻度により、以下のよう
に評価した。 ○:糸切れがほとんど起こらない △:糸切れが少し起こる ×:糸切れが多発する
【0246】10)耐熱中空成形体の透明性の評価 後述する各実施例および比較例で、溶融重縮合時間を短
縮する以外は同一条件で溶融重縮合して得られたIVが
0.52dl/gのポリエチレンテレフタレートを常法
に従ってチップ化した。このPETレジンチップを16
0℃でレジンチップ表面を結晶化させた後、静置固相重
合塔で窒素気流下、約160〜170℃で乾燥後205
℃で固相重合し、IVが0.75dl/gの固相重合P
ETを得た。次いで、該PETを脱湿窒素を用いた乾燥
機で乾燥し、各機製作所製M−150C(DM)射出成
型機により樹脂温度290℃、金型温度20℃でプリフ
ォ−ムを成形した。このプリフォ−ムの口栓部を、近赤
外線ヒ−タ−方式の自家製口栓部結晶化装置で加熱して
口栓部を結晶化した。次にこのプリフォ−ムをコ−ポプ
ラスト社製LB−01E延伸ブロ−成型機を用いて、縦
方向に約2.3倍、周方向に約3.8倍の倍率で二軸延
伸ブロ−し、引き続き約150℃に設定した金型内で約
6.5秒間熱固定し、容量が2000ccの中空成形体
(胴部は円形)を得た。なお延伸温度は100℃にコント
ロ−ルした。この中空成形体の胴部(肉厚約0.45m
m)より試料を切り取り、透明性を目視で観測し、濁り
が無く透明性が優れるもの程良好として評価した。 :透明性が高く良好。 △:やや濁りが認められる。 ×:濁りが認められる。
【0247】11)合成したリン化合物の1H-NMR測定 化合物をCDCl3またはd6-DMSOに溶解させ、室温下でVari
an GEMINI-200を使って測定した。
【0248】12)合成したリン化合物の融点測定 化合物をカバーガラス上にのせ、Yanaco MICRO MELTING
POINT APPARATUSを使って1℃/minの昇温速度で測定し
た。
【0249】13)合成したリン化合物の元素分析 リンの分析は、PETレジンチップを湿式分解後、モリ
ブデンブルー比色法により行った。その他の金属は、灰
化/酸溶解後、高周波プラズマ発光分析および原子吸光
分析により行った。 14)APの測定方法 本発明の触媒を所定量用いた場合のAPおよび三酸化ア
ンチモン(生成ポリエチレンテレフタレート中の酸成分
に対し0.05モル%)を用いた場合のAPは、温度2
75℃、減圧度13.3pa(0.1Torr)の重合
条件での重合において、重合開始時から重合系の攪拌ト
ルクを測定し、予め求めておいた段落番号0235に記
載の固有粘度(IV)と攪拌トルクとの関係から、前記
固有粘度(IV)が0.65dl/gに相当する攪拌ト
ルクに到達した時間として定めた。該トルクと(IV)
の関係は、重合組成ごとに求めた結果がAPの決定に用
いられることは勿論である。
【0250】(実施例1)撹拌機付きの電熱線ヒーター
式2リッターステンレス製オートクレーブを用いて、高
純度テレフタル酸とエチレングリコールから常法に従っ
て製造したビス(2 −ヒドロキシエチル)テレフタレー
ト及びオリゴマーの混合物に対し、重縮合触媒としてア
ルミニウムアセチルアセトネートの2.5g/lのエチ
レングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対して
アルミニウム原子として0.011mol%とIrga
nox1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ社
製)の10g/lのエチレングリコール溶液を酸成分に
対してIrganox1425として0.01mol%
加えて、窒素雰囲気下常圧にて245℃で10分間撹拌
した。次いで撹拌下50分間を要して275℃まで昇温
しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.
1Torr)としてさらに275℃、13.3Paにて
撹拌を行い重縮合反応を行った。IV0.65dl/g
に相当する撹拌トルクに到達した時点でオートクレーブ
に窒素を導入し常圧に戻し、重縮合反応を停止した。そ
の後、微加圧下ポリマーを冷水にストランド状に吐出
し、カッティングして長さ約3mm、直径約2mmのシ
リンダー形状のレジンチップを得た。
【0251】ポリエチレンテレフタレートのIVが0.
65dl/gに到達するまでに要した重合時間(AP)
は96分であり、重縮合触媒は実用的な触媒活性を有す
るものであった。
【0252】また、上記の方法で得られたIVが0.6
5dl/g相当のポリエチレンテレフタレート(PE
T)レジンチップのカラーL値とb値を測定した。L値
は68.5、b値は4.2であった。二酸化ゲルマニウ
ムを触媒として重合したPETレジンチッブは参考例2
に記載のようにL値は66.7、b値は1.3であり、
従って△Lg=1.8、△bg=2.9であった。
【0253】また、上記PETレジンチップを用いて溶
融試験を行いTSを求めた。また、DSCを行いTm,
Tc1,Tc2を求めた。また、背圧上昇係数(k)の
測定も行った。これらの結果を表1に示す。
【0254】また、上記PETレジンチップを用いてフ
ィルムの製膜、回収ペレットの作成、ならびに回収ペレ
ットによるフィルムの製膜を行った。フィルムの熱安定
性と色調を評価した結果を表2に示す。本発明のフィル
ムの熱安定性は良好であり、色調評価の結果も、透過度
が高く良好であった。
【0255】上記PETレジンチップを用いて、紡糸時
の濾圧上昇および延伸時の糸切れの評価を行った。評価
結果を表2に示す。本発明のPETレジンは紡糸操業性
にも優れるものであった。
【0256】また、上記10)の方法に従って耐熱ボト
ルの透明性の評価を行った。結果を表2に示す。本発明
のポリエステル重合触媒を用いて重合したPETからな
るボトルは透明性に優れたものであった。
【0257】(実施例2) (リン化合物の合成例) 下記式(51)で表されるリン化合物(リン化合物A)
の合成
【0258】
【化51】
【0259】1.Sodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4
-hydroxybenzylphosphonate)の合成 50%水酸化ナトリウム水溶液6.5g(84mmol)とメタノー
ル6.1mlの混合溶液中にdiethyl(3,5-di-tert-butyl-4-h
ydroxybenzyl)phosphonate(Irganox1222(チバ・スペシ
ャルティーケミカルズ社製)) 5g(14mmol)のメタノー
ル溶液6.1mlを加え、窒素雰囲気下24時間加熱還流を行
った。反応後、反応混合物を冷却しながら濃塩酸7.33g
(70mmol)を加え、析出物をろ取、イソプロパノールで
洗浄後、ろ液を減圧留去した。得られた残渣を熱イソプ
ロパノールに溶解させ、不溶分をろ取し、イソプロパノ
ールを減圧留去後、残渣を熱ヘプタンで洗浄、乾燥して
Sodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzylp
hosphonate) を3.4g(69%)得た。 形状:白色粉体 融点:294-302℃(分解) 1H-NMR(d6-DMSO,δ): 1.078(3H, t, J=7Hz), 1.354 (18
H, s), 2.711(2H, d), 3.724(2H, m, J=7Hz), 6.626(1
H, s), 6.9665(2H, s) 元素分析(カッコ内は理論値):Na 6.36%(6.56%), P
9.18%(8.84%)
【0260】2.O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydrox
ybenzylphosphonic acid(リン化合物A)の合成 室温で攪拌下のSodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-
hydroxybenzyl-phosphonate) 1g(2.8mmol)の水溶液20
mlに濃塩酸1.5gを加えて1時間攪拌した。反応混合物に
水150mlを加え、析出した結晶をろ取、水洗、乾燥してO
-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzylphosphonic
acidを826mg(88%)得た。 形状:板状結晶 融点:126-127℃ 1H-NMR(CDCl3,δ):1.207(3H, t, J=7Hz), 1.436(18H,
s), 3.013(2H, d), 3.888(2H, m, J=7Hz.), 7.088(2H,
s), 7.679-8.275(1H, br)
【0261】(ポリエステルの重合例)触媒を変更した
こと以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合し
た。触媒として用いた化合物と添加量を表1に示す。ア
ルミニウム化合物の添加量はポリエステル中の酸成分に
対するアルミニウム原子としての添加量を示し、リン化
合物Aの添加量はポリエステル中の酸成分に対するリン
化合物Aとしての添加量を示す。ポリエチレンテレフタ
レートのIVが0.65dl/gに到達するまでに要し
た重合時間(AP)および得られたPETレジンの各物
性を評価した結果を表1に示す。
【0262】また、上記PETレジンチップを用いてフ
ィルムの製膜を行い、フィルムの色調を評価した結果を
表2に示す。また、上記10)の方法に従って耐熱ボト
ルの透明性の評価を行った結果を表2に示す。
【0263】本発明のポリエステル重合触媒は触媒活性
に優れ、かつ色調に優れたフィルムや透明性に優れたボ
トルを与えるものである。
【0264】(比較例1)触媒として、アルミニウムア
セチルアセトネートの2.5g/lのエチレングリコー
ル溶液をポリエスチル中の酸成分に対してアルミニウム
原子として0.015mol%および酢酸リチウム二水
和物50g/lのエチレングリコール溶液を酸成分に対
してリチウム原子として0.06mol%加えた点以外
は実施例1と同様の操作を行った。
【0265】APは62分であったが、PETレジンチ
ップのカラーL値は68.0、b値は6.4であり、従
って△Lg=1.3、△bg=5.1であり、黄色みの
目立つものであった。
【0266】このPETレジンチップを用いてフィルム
の製膜を行った。フィルムは黄色く着色しており、フィ
ルム色調評価の結果は満足できるものではなかった。
【0267】また、上記PETレジンチップを用いてD
SCを行いTm,Tc1,Tc2を求めた。また、背圧
上昇係数(k)の測定も行った。これらの結果を表1に
示す。
【0268】上記PETレジンチップを用いて、紡糸時
の濾圧上昇および延伸時の糸切れの評価を行った。評価
結果を表2に示す。本PETレジンは実施例のものに比
べて紡糸操業性に劣るものであった。
【0269】また、上記10)の方法に従って耐熱ボト
ルの透明性の評価を行った。結果を表2に示す。ボトル
の透明性は実施例のものに比べて劣るものであった。
【0270】(比較例2)触媒として、アルミニウムア
セチルアセトネートの2.5g/lのエチレングリコー
ル溶液をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム
原子として0.015mol%および酢酸コバルト(I
I)四水和物の20g/lのエチレングリコ一ル溶液を
酸成分に対してコバルト原子として0.005mol%
加えた点以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0271】APは127分であり、触媒活性に若干劣
るものであった。PETレジンチップのカラーL値は6
3.2、b値は−0 .5であり、従って△Lg=−
3.5、△bg=−1.8であり、このレジンチップは
黒ずんで見えるものであった。
【0272】また、上記PETレジンチップを用いて溶
融試験を行いTSを求めた。結果を表1に示す。
【0273】また、上記PETレジンチップを用いてフ
ィルムの製膜、回収ペレットの作成、ならびに回収ペレ
ットによるフィルムの製膜を行った。フィルムの熱安定
性と色調を評価した結果を表2に示す。フィルムの色調
評価の結果は、透過度が低く満足できるものではなかっ
た。また、フィルムの熱安定性にも劣るものであった。
【0274】(参考例1)触媒として三酸化アンチモン
を、その添加量がPET中の酸成分に対してアンチモン
原子として0.05モル%となるように使用した以外は
実施例1と同様の操作を行った。三酸化アンチモンとし
ては、市販のAntimony (III) oxide(ALDRICH CHEMICAL
社製、純度99.999%)を使用した。三酸化アン
チモンは、濃度が約10g/lとなるようにエチレング
リコールに150℃で約1時間攪拌して溶解させた溶液
を使用した。ポリエチレンテレフタレートのIVが0.
65dl/gに到達するまでに要した重合時間(AP)
は65分であった。得られたPETレジンの各物性を評
価した結果を表1に示す。
【0275】(参考例2)撹拌機付きの電熱線ヒーター
式2リッターステンレス製オートクレーブを用いて、高
純度テレフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコー
ルを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3
mol%加え、二酸化ゲルマニウムの8g/lの水溶液
を酸成分に対してゲルマニウム原子として0.03mo
l%となるように添加し、0.25MPaの加圧下24
5℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を13
0分間行いエスチル化率が95%のビス(2−ヒドロキ
シエチル)テレフタレート(BHET)およびオリゴマ
ーの混合物を得た。引き続き、窒素雰囲気下常圧にて2
45℃で10分間撹拌した。次いで撹拌下50分間を要
して275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げ
て13.3Pa(0.1Torr)としてさらに275
℃、13.3Paにて撹拌を行い重縮合反応を行った。
所定の撹拌トルクに到達した時点でオートクレーブに窒
素を導入し常圧に戻し重縮合反応を停止した。その後、
微加圧下ポリマーを冷水にストランド状に吐出し、カッ
ティングして長さ約3mm、直径約2mmのシリンダー
形状のレジンチップを得た。APは53分であり、PE
TレジンチップのカラーL値は66.7、b値は1.3
であった。得られたPETレジンの各物性を評価した結
果を表1に示す。
【0276】二酸化ゲルマニウムとしては、市販品であ
るジェムコ社製の純度97%以上のものを使用した。二
酸化ゲルマニウムは、濃度が約8g/Lとなるように水
と混同し、80℃にて約1時間攪拌し、溶解して得られ
た溶液を使用した。
【0277】
【表1】
【0278】
【表2】
【0279】(評価結果)上記した実施例および比較例
から明らかなように、PETレジンのカラーデルタLg
値パラメータおよびカラーデルタbg値パラメータが本
発明の特許請求の範囲にあるポリエステル重合触媒は、
それを使用して重合したPETからなるフィルムは色調
に優れたものが得られる。一方、本発明の特許請求範囲
外のものは、色調に劣るフィルムしか得られないという
問題が生じる。
【0280】また、PETレジンのTc1が本発明の特
許請求の範囲にあるポリエステル重合触媒は、透明性に
優れたPETボトルを与えるが、本発明の特許請求範囲
外のものは、透明性に劣るPETボトルしか得られない
という問題が生じる。
【0281】また、PETレジンの背圧上昇係数kが本
発明の特許請求の範囲にあるポリエステル重合触媒は、
それを用いて重合したPETは紡糸操業性に優れるのに
対して、本発明の特許請求範囲外のものは、紡糸操業性
に劣るものしか得られないという問題が生じる。
【0282】
【発明の効果】本発明によれば、アンチモン化合物、ゲ
ルマニウム化合物以外の新規の重縮合触媒、およびこれ
を用いて製造されたポリエステル、ならびにポリエステ
ルの製造方法が提供される。本発明のポリエステルは、
例えば、衣料用繊維、カーテン、カーペット、ふとんわ
た等に代表されるインテリア・寝装用繊維、タイヤコー
ド、ロープ等に代表される産業資材用繊維、各種織物、
各種編物、短繊維不織布、長繊維不織布等の繊維、包装
用フィルム、工業用フィルム、光学用フィルム、磁気テ
ープ用フィルム、写真用フィルム、缶ラミネート用フィ
ルム、コンテンサ用フィルム、熱収縮フィルム、ガスバ
リアフィルム、白色フィルム、易カットフィルム等のフ
ィルム、非耐熱延伸ボトル、耐熱延伸ボトル、ダイレク
トブローボトル、ガスバリアボトル、耐圧ボトル、耐熱
圧ボトル等の中空成形体、A−PETやC−PET等の
シート、ガラス繊維強化ポリエステル、エラストマー等
に代表されるエンジニアリングプラスチックなどの各種
成形物、および塗料や接着剤などへの応用が可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 万紀 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 松田 全央 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J029 AE01 AE02 AE03 AE11 AE13 BA02 BA03 BA04 BA05 BB05A BB10A BB12A BB13A BB15A BC05A BD03A BF03 BF08 BF09 BF18 BF25 BH02 CA02 CA03 CA04 CA05 CA06 CB04A CB05A CB06A CB10A CB12A CC05A CC06A CC09 CD03 CF03 CH02 CH03 DB02 DB12 DC04 DC05 DC06 EA02 EB04 EC10 EG02 EG09 EH02 EH03 FC02 FC03 FC04 FC05 FC08 FC35 FC36 JB171 JB191 JC141 JC451 JC471 JC551 JC561 JC571 JC601 JF011 JF021 JF031 JF041 JF111 JF221 JF361 JF371 JF411 JF471 JF571

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル重合触媒であって、アルミニ
    ウムおよびその化合物からなる群より選ばれる1種以上
    を金属含有成分として含み、その触媒を用いて重合した
    ポリエチレンテレフタレート(PET)のカラーデルタ
    Lg値パラメータ(△Lg)は下記式(1)を、またカ
    ラーデルタbg値パラメータ(△bg)は下記式(2)
    を、それぞれ満たすことを特徴とするポリエステル重合
    触媒。 (1)△Lg>−2.0 (上記式中、△Lgは所定量の触媒を用いて溶融重合し
    た固有粘度が0.64〜0.66dl/gのPETレジ
    ンチップを用い、色差計を使用して測定したハンターの
    L値から、二酸化ゲルマニウムを触媒として用いた場合
    のL値を引いた値を示す。ただし、二酸化ゲルマニウム
    は生成ポリエチレンテレフタレート中の酸成分に対して
    ゲルマニウム原子として0.03mol%添加する。) (2)Δbg<4.5 (上記式中、Δbgは所定量の触媒を用いて溶融重合し
    た固有粘度が0.64〜0.66dl/gのPETレジ
    ンチップを用い、色差計を使用して測定したハンターの
    b値から、二酸化ゲルマニウムを触媒として用いた場合
    のb値を引いた値を示す。ただし、二酸化ゲルマニウム
    は生成ポリエチレンテレフタレート中の酸成分に対して
    ゲルマニウム原子として0.03mol%添加する。)
  2. 【請求項2】ポリエステル重合触媒であって、アルミニ
    ウムおよびその化合物からなる群より選ばれる1種以上
    を金属含有成分として含み、その触媒を用いて重合した
    ポリエチレンテレフタレート(PET)のDSCにおけ
    る昇温時結晶化のピーク温度(Tc1)が下記式(3)
    を満たすことを特徴とするポリエステル重合触媒。 (3)140(℃)<Tc1<180(℃) (上記式中、Tc1は溶融重合して得られる固有粘度が
    0.64〜0.66dl/gのPETレジンチップを用
    いて、DSCにおいて窒素雰囲気下室温から20℃/分
    の昇温速度で昇温して行った時に観測される結晶化の発
    熱ピークの極大部分の温度(℃)を示す。)
  3. 【請求項3】さらに前記PETのDSCにおける昇温時
    結晶化のピーク温度が下記式(3)を満たすことを特徴
    とする請求項1に記載のポリエステル重合触媒。 (3)140(℃)<Tc1<180(℃)
  4. 【請求項4】ポリエステル重合触媒であって、アルミニ
    ウムおよびその化合物からなる群より選ばれる1種以上
    を金属含有成分として含み、その触媒を用いて重合した
    ポリエチレンテレフタレート(PET)の背圧上昇係数
    (k)が下記式(4)を満たすことを特徴とするポリエ
    ステル重合触媒。 (4)k<1.0 (上記式中、kは溶融重合して得られる固有粘度が0.
    64〜0.66dl/gのPETレジンチップを本文の
    記載に基づき真空乾燥後、溶融押し出し機に供給し、紡
    糸温度285℃にて20μmのフィルターを用いて紡糸
    試験を行った時の単位時間当たりの背圧の上昇分△P
    (MPa/時間)と流量Q(kg/時間)および濾過面
    積S(cm2)から次式により算出される数値である。 k=△P/(Q/S) )
  5. 【請求項5】さらに前記PETの背圧上昇係数が下記式
    (4)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のポリエステル重合触媒。 (4)k<5
  6. 【請求項6】さらに前記PETの熱安定性パラメータ
    (TS)が下記式(5)を満たすことを特徴とする請求
    項1〜5のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。 (5)TS<0.30 (上記式中、TSは固有粘度([IV]i )が0.64
    〜0.66dl/gのPET1gをガラス試験管に入れ
    130℃で12時間真空乾燥した後、非流通窒素雰囲気
    下で300℃にて2時間溶融状態に維持した後の固有粘
    度([IV]f )から、次式により計算される数値であ
    る。 TS=0.245{[IV]f -1.47 −[IV]i
    -1.47 })
  7. 【請求項7】さらに、活性パラメータ(AP)が下記式
    (6)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    かに記載のポリエステル重合触媒。 (6)AP(min)<2T(min) (上記式中、APは所定量の触媒を用いて275℃、
    0.1Torrの減圧度で固有粘度が0.65dl/g
    のポリエチレンテレフタレートを重合するのに要する時
    間(min)を示し、Tは三酸化アンチモンを触媒とし
    て生成ポリエチレンテレフタレート中の酸成分に対して
    アンチモン原子として0.05mol%となるように添
    加した場合のAPである。)
  8. 【請求項8】アルカリ金属、アルカリ土類金属またはそ
    れらの化合物が添加されていないことを特徴とする請求
    項1〜7のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  9. 【請求項9】アルカリ金属、アルカリ土類金属およびそ
    れらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の
    第2金属含有成分を共存させることを特徴とする請求項
    1〜7のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  10. 【請求項10】前記第2金属含有成分が、アルカリ金属
    またはその化合物である請求項9に記載のポリエステル
    重合触媒。
  11. 【請求項11】前記アルカリ金属が、Li,Na,Kか
    ら選択される少なくとも1種である請求項10に記載の
    ポリエステル重合触媒。
  12. 【請求項12】ポリエステルを構成する全カルボン酸成
    分に対する前記第2金属含有成分の添加量が0.05m
    ol%以下であることを特徴とする請求項9〜11のい
    ずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  13. 【請求項13】さらにコバルト化合物を共存させること
    を特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のポリエ
    ステル重合触媒。
  14. 【請求項14】さらにリン化合物からなる群より選ばれ
    る少なくとも1種を共存させることを特徴とする請求項
    1〜13のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  15. 【請求項15】リン化合物が、ホスホン酸系化合物、ホ
    スフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、
    亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホス
    フィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種
    以上の化合物である請求項14に記載のポリエステル重
    合触媒。
  16. 【請求項16】リン化合物が、一種または二種以上のホ
    スホン酸系化合物である請求項14に記載のポリエステ
    ル重合触媒。
  17. 【請求項17】リン化合物が、芳香環構造を有する化合
    物であることを特徴とする請求項14〜16のいずれか
    に記載のポリエステル重合触媒。
  18. 【請求項18】リン化合物が、下記一般式化1〜化3で
    表される化合物からなる群より選ばれる一種または二種
    以上である請求項14に記載のポリエステル重合触媒。 【化1】 【化2】 【化3】 (式化1〜化3中、R1、R4、R5、R6はそれぞれ独立
    に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハ
    ロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭
    素数1〜50の炭化水素基を表す。R2、R3はそれぞれ
    独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基また
    はアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を
    表す。ただし、炭化水素基は脂環構造や芳香環構造を含
    んでいてもよい。)
  19. 【請求項19】上記式化1〜化3中のR1、R4、R5
    6が芳香環構造を有する基である請求項18に記載の
    ポリエステル重合触媒。
  20. 【請求項20】リン化合物が、フェノール部を同一分子
    内に有することを特徴とする請求項14〜19のいずれ
    かに記載のポリエステル重合触媒。
  21. 【請求項21】フェノール部を同一分子内に有するリン
    化合物が、下記一般式化4〜化6で表される化合物から
    なる群より選ばれる一種または二種以上である請求項2
    0に記載のポリエステル重合触媒。 【化4】 【化5】 【化6】 (式化4〜化6中、R1はフェノール部を含む炭素数1〜
    50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアル
    コキシル基またはアミノ基およびフェノール部を含む炭
    素数1〜50の炭化水素基を表す。R4、R5、R6はそ
    れぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸
    基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ
    基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2,R3
    それぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水
    酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化
    水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造や脂環構
    造や芳香環構造を含んでいてもよい。R2とR4の末端どう
    しは結合していてもよい。)
  22. 【請求項22】アルミニウムおよびその化合物が、リン
    化合物のアルミニウム塩からなる群より選ばれる少なく
    とも1種であることを特徴とする請求項1〜13のいず
    れかに記載のポリエステル重合触媒。
  23. 【請求項23】アルミニウムおよびその化合物が、下記
    一般式化7で表される化合物から選択される少なくとも
    1種であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか
    に記載のポリエステル重合触媒。 【化7】 (式化7中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1
    〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜
    50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む
    炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭
    素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル
    基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基
    を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を
    表し、l+mは3である。nは1以上の整数を表す。炭化水
    素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいても
    よい。)
  24. 【請求項24】請求項1〜23のいずれかに記載の触媒
    を用いて製造されたポリエステル。
  25. 【請求項25】ポリエステルを製造する際に、請求項1
    〜23のいずれかに記載の触媒を用いることを特徴とす
    るポリエステルの製造方法。
  26. 【請求項26】ポリエステルを製造する際に、アンチモ
    ン化合物をアンチモン原子としてポリエステルに対して
    50ppm以下の量で添加することを特徴とする請求項25
    記載のポリエステルの製造方法。
  27. 【請求項27】ポリエステルを製造する際に、ゲルマニ
    ウム化合物をゲルマニウム原子としてポリエステルに対
    して20ppm以下の量で添加することを特徴とする請求項
    25記載のポリエステルの製造方法。
  28. 【請求項28】アルミニウムおよびその化合物からなる
    群より選ばれる1種以上を金属含有成分として含む触媒
    を用いて重合したポリエステルであって、カラーデルタ
    Lg値パラメータ(△Lg)は下記式(7)を、またカ
    ラーデルタbg値パラメータ(△bg)は下記式(8)
    を、それぞれ満たすことを特徴とするポリエステル。 (7)△Lg>−2.0 (上記式中、△Lgはポリエステルレジンチップを用
    い、色差計を使用して測定したハンターのL値から、二
    酸化ゲルマニウムを触媒として用いて重合したポリエス
    テルレジンチップのL値を引いた値を示す。ただし、二
    酸化ゲルマニウムは生成ポリエチレンテレフタレート中
    の酸成分に対してゲルマニウム原子として0.03mo
    l%添加する。) (8)Δbg<4.5 (上記式中、Δbgはポリエステルレジンチップを用
    い、色差計を使用して測定したハンターのb値から、二
    酸化ゲルマニウムを触媒として用いて重合したポリエス
    テルレジンチップのb値を引いた値を示す。ただし、二
    酸化ゲルマニウムは生成ポリエチレンテレフタレート中
    の酸成分に対してゲルマニウム原子として0.03mo
    l%添加する。)
  29. 【請求項29】アルミニウムおよびその化合物からなる
    群より選ばれる1種以上を金属含有成分として含む触媒
    を用いて重合したポリエステルであって、DSCにおけ
    る昇温時結晶化のピーク温度(Tc1)が下記式(9)
    を満たすことを特徴とするポリエステル。 (9)140(℃)<Tc1<180(℃) (上記式中、Tc1はポリエステルレジンチップを用い
    て、DSCにおいて窒素雰囲気下室温から20℃/分の
    昇温速度で昇温して行った時に観測される結晶化の発熱
    ピークの極大部分の温度(℃)を示す。)
  30. 【請求項30】さらに前記ポリエステルのDSCにおけ
    る昇温時結晶化のピーク温度が下記式(9)を満たすこ
    とを特徴とする請求項28に記載のポリエステル。 (9)140(℃)<Tc1<180(℃)
  31. 【請求項31】アルミニウムおよびその化合物からなる
    群より選ばれる1種以上を金属含有成分として含む触媒
    を用いて重合したポリエステルであって、背圧上昇係数
    (k)が下記式(10)を満たすことを特徴とするポリ
    エステル。 (10)k<1.0 (上記式中、kはポリエステルレジンチップを本文の記
    載に基づき真空乾燥後、溶融押し出し機に供給し、紡糸
    温度285℃にて20μmのフィルターを用いて紡糸試
    験を行った時の単位時間当たりの背圧の上昇分△P(M
    Pa/時間)と流量Q(kg/時間)および濾過面積S
    (cm2)から次式により算出される数値である。 k=△P/(Q/S) )
  32. 【請求項32】さらに前記ポリエステルの背圧上昇係数
    が下記式(10)を満たすことを特徴とする請求項28
    〜30のいずれかに記載のポリエステル。 (10)k<5
  33. 【請求項33】さらに前記ポリエステルの熱安定性パラ
    メータ(TS)が下記式(11)を満たすことを特徴と
    する請求項28〜32のいずれかに記載のポリエステ
    ル。 (11)TS<0.30 (上記式中、TSはポリエステルレジンチップ(固有粘
    度([IV]i ))をガラス試験管に入れ130℃で1
    2時間真空乾燥した後、非流通窒素雰囲気下で300℃
    にて2時間溶融状態に維持した後の固有粘度([IV]
    f )から、次式により計算される数値である。 TS=0.245{[IV]f -1.47 −[IV]i
    -1.47 })
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