JP2002322161A - ビスヘテロ五員環化合物 - Google Patents

ビスヘテロ五員環化合物

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JP2002322161A
JP2002322161A JP2001127229A JP2001127229A JP2002322161A JP 2002322161 A JP2002322161 A JP 2002322161A JP 2001127229 A JP2001127229 A JP 2001127229A JP 2001127229 A JP2001127229 A JP 2001127229A JP 2002322161 A JP2002322161 A JP 2002322161A
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JP2001127229A
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Setsuya Sasho
摂也 佐粧
Kazunori Komatsu
和典 小松
Yumiko Kobayashi
由美子 小林
Nobunori Yamashita
順範 山下
Akiyoshi Asai
章良 浅井
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KH Neochem Co Ltd
Original Assignee
Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 テロメラーゼ活性に関連した疾患(例えば悪
性腫瘍等)の治療に有用なビスヘテロ五員環化合物、ま
たはその薬理学的に許容される塩を提供すること。 【解決手段】 【化15】 [式中、Wは一般式(II)(式中、Xは−NR1−ま
たは−CR23−を表し、Yは−CH2−O−、−CH2
−CH2−、−CH=CH−、または単結合を表す)、
一般式(III)(式中、R4は水素原子または低級ア
ルキルを表し、Zは酸素原子または硫黄原子を表す)、
または一般式(IV)を表し、PおよびQは同一または
異なって、酸素原子、硫黄原子、またはNHを表す] 一般式(I)で表されるビスヘテロ五員環化合物または
その薬理学的に許容される塩を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テロメラーゼ活性
に関連した疾患(例えば悪性腫瘍等)の治療に有用なビ
スヘテロ五員環化合物、またはその薬理学的に許容され
る塩に関する。
【0002】
【従来の技術】真核生物の染色体末端に存在するテロメ
アは染色体の安定化に重要な領域であることが知られて
おり、ヒトの場合その配列は5’末端からTTAGGGの繰り
返し配列からなる。一部の例外を除いて、通常、正常細
胞では分裂回数に依存してテロメア短縮が起こり、これ
がある長さにまで短縮すると細胞は老化細胞となり分裂
を停止する(M1期)。しかし、p53遺伝子等の癌抑
制遺伝子の変異によりこの分裂停止機構が正常に働かな
い場合には、細胞はさらに分裂を繰り返す。その結果、
極限までテロメアが短縮し、染色体の不安定化をきたし
細胞は死滅する(M2期)[プロシーディング・オブ・
ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ
・ザ・ユー・エス・エー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A)、89巻、10114頁(1992年)、トレンズ・イン・セル
・バイオロジー(Trends in Cell Biology)、5巻、293
頁(1995年)]。一方、種々の癌細胞の80%以上で、テ
ロメアを伸長する酵素テロメラーゼが発現している[ジ
ャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インス
ティテュート(Journal of the NCI)、87巻、884頁(1
995年)]。テロメラーゼは、RNAを鋳型としてテロメア
を伸長する逆転写酵素であり、鋳型となるRNA(hTR)と
触媒サブユニットであるタンパク質(hTERT)から構成
されている。従って、癌細胞では、テロメラーゼの働き
によりテロメア短縮が抑制され、テロメアが安定に維持
されるため不死化細胞として無限増殖が可能となると考
えられている(テロメア仮説)[プロシーディング・オ
ブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・
オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc. Natl. Acad. Sci.
USA)、89巻、10114頁(1992年)]。このテロメア仮
説の証明としては、hTRに対するアンチセンス[サイエ
ンス(Science)、269巻、1236頁(1995年)]、野生型
テロメラーゼを阻害するドミナントネガティブな変異型
hTERT[ジーンズ・アンド・デベロップメント(Genes &
Development)、13巻、2388頁(1999年)、ネイチャー
・メディスン(Nature Medicine)、5巻、1164頁(1999
年)]の発現が癌細胞に対してテロメア短縮を伴った細
胞死を誘導するという実験結果が報告されている。従っ
て、テロメラーゼを特異的に阻害する物質(テロメラー
ゼ阻害剤)はテロメア短縮を誘導することにより癌細胞
に寿命を与える新しいタイプの抗腫瘍剤になり得ると期
待されている。さらに、テロメラーゼは、生殖細胞等一
部の例外を除いて癌組織のみに発現していることから、
正常組織にはほとんど影響を与えない低毒性な抗腫瘍剤
となることが期待されている。
【0003】インビトロ(in vitro)でテロメラーゼを
阻害する低分子物質としては、例えばAZTTP、ddGTP[モ
レキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol. C
ell.Biol.)、16巻、53頁(1996年)]、7−デアザ−d
GTP[バイオケミストリー(Biochemistry)、35巻、156
11頁(1996年)]等の核酸アナログ、ヘテロ5員環縮合
ピリジン誘導体(米国特許第5656638号、同第5760062
号)、ベンゾチオフェン誘導体(米国特許第5703116
号)、フェニルイソチアゾール誘導体(WO99/08679)等
が知られている。また、WO01/02377にはテロメラーゼ阻
害作用を有するチアゾリジンジオン誘導体が開示されて
いる。さらにその他のチアゾリジンジオン骨格を含むテ
ロメラーゼ阻害剤として、インドール誘導体(WO01/023
94)、カルボキサミド誘導体(WO01/07020)等が報告さ
れている。
【0004】一方、1分子中にチアゾリジンジオン構造
を複数有する化合物としては、米国特許第5063240号、W
O92/00967およびWO93/03021に、血糖低下作用を有する
チアゾリジンジオン誘導体が開示されている。また、RT
ECS[レジストリー・オブ・トキシック・エフェクツ・
オブ・ケミカル・サブスタンス(Registry of Toxic Ef
fects of Chemical Substances)]データベース中に以
下の化合物(A)が記載されている。
【0005】
【化5】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、テロ
メラーゼ活性に関連した疾患(例えば悪性腫瘍等)の治
療に有用なビスヘテロ五員環化合物、またはその薬理学
的に許容される塩を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の(1)〜
(7)に関する。 (1)一般式(I)
【0008】
【化6】
【0009】{式中、Wは一般式(II)
【0010】
【化7】
【0011】[式中、Xは−NR1−(式中、R1は水素
原子、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もし
くは非置換のアラルキル、または置換もしくは非置換の
ヘテロアリールアルキルを表す)、または−CR23
(式中、R2およびR3は、同一または異なって、水素原
子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ、または置換もし
くは非置換のアラルキルオキシを表す)を表し、Xが−
NR1−(式中、R1は前記と同義である)であるとき、
Yは−CH2−O−、−CH2−CH2−、−CH=CH
−、または単結合を表し、Xが−CR23−(式中、R
2およびR3はそれぞれ前記と同義である)であるとき、
Yは−CH2−CH2−を表す]、一般式(III)
【0012】
【化8】
【0013】(式中、R4は水素原子または低級アルキ
ルを表し、Zは酸素原子または硫黄原子を表す)、また
は一般式(IV)
【0014】
【化9】
【0015】を表し、Qは酸素原子、硫黄原子、または
NHを表し、Wが一般式(II)もしくは一般式(II
I)であるか、またはWが一般式(IV)であり、Qが
NHであるとき、Pは酸素原子、硫黄原子、またはNH
を表し、Wが一般式(IV)であり、Qが硫黄原子また
は酸素原子であるとき、Pは硫黄原子またはNHを表
す}で表されるビスヘテロ五員環化合物またはその薬理
学的に許容される塩。
【0016】(2)Wが一般式(II)で表される上記
(1)記載のビスヘテロ五員環化合物またはその薬理学
的に許容される塩。 (3)Wが一般式(III)または一般式(IV)で表
される上記(1)記載のビスヘテロ五員環化合物または
その薬理学的に許容される塩。 (4)Pが硫黄原子を表し、Qが酸素原子を表す上記
(1)〜(3)のいずれかに記載のビスヘテロ五員環化
合物またはその薬理学的に許容される塩。
【0017】(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記
載のビスヘテロ五員環化合物またはその薬理学的に許容
される塩を有効成分として含有する医薬。 (6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のビスヘテ
ロ五員環化合物またはその薬理学的に許容される塩を有
効成分として含有するテロメラーゼ阻害剤。 (7)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のビスヘテ
ロ五員環化合物またはその薬理学的に許容される塩を有
効成分として含有する抗腫瘍剤。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、一般式(I)で表される化
合物を化合物(I)という。他の式番号で表される化合
物についても同様である。一般式(I)の各基の定義に
おいて、 (a)低級アルキルおよび低級アルコキシにおけるアル
キル部分としては、直鎖または分岐状の炭素数1〜6
の、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
ブチル、ペンチル、ヘキシル等があげられる。
【0019】(b)低級アルケニルとしては、直鎖また
は分岐状の炭素数2〜6の、例えばビニル、アリル、1
−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、
3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、ヘキ
セニル等があげられる。 (c)ヘテロアリールアルキルにおけるヘテロアリール
部分は、ヘテロアリールに含まれるヘテロ原子の種類お
よび個数は特に限定されないが、例えば窒素原子、硫黄
原子、酸素原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1
または2以上含んでいてもよく、より具体的には、例え
ばピリジル、ピリミジニル、キノリル、トルアゾリル、
テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フリル等が
あげられる。
【0020】(d)アラルキルおよびアラルキルオキシ
におけるアラルキル部分としては、炭素数7〜11の、
例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエ
チル、1−ナフチルメチル、2−フェニルプロピル、3
−フェニルプロピル、2−ナフチルメチル等があげられ
る。 (e)ヘテロアリールアルキルにおけるアルキレン部分
は、前記の低級アルキル(a)から水素原子を1つ除い
たものと同義である。 (f)置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、置換低
級アルケニル、置換アラルキル、置換アラルキルオキ
シ、置換ヘテロアリールアルキルにおける置換基は、同
一または異なって、置換数1〜置換可能な数の、好まし
くは置換数1〜2の、例えばハロゲン(ハロゲンは臭
素、塩素、またはフッ素を表す)、トリフルオロメチ
ル、トリフルオロメトキシ等であるか、または2つの置
換基が一緒になって、例えばジフルオロメチレンジオキ
シ等を形成する。
【0021】(g)一般式(III)および一般式(I
V)における三環系ヘテロ環の置換位置としては、例え
ば2位、3位、4位等があげられる。化合物(I)の薬理
学的に許容される塩は、酸付加塩、金属塩、アンモニウ
ム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等を包含す
る。化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩とし
ては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無
機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸
塩等の有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属
塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアル
カリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカ
リ土類金属塩のほか、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげ
られ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、
例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩
があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩と
しては、例えばジエチルアミン、トリエチルアミン、モ
ルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、薬理学的
に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばグリシ
ン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グル
タミン酸等の付加塩があげられる。
【0022】次に化合物(I)の製造方法を記す。な
お、以下に示した製造方法において、定義した基が実施
方法の条件下で変化するか、または方法を実施するのに
不適切な場合、有機合成化学で常用される方法、例えば
官能基の保護、脱保護[例えば、プロテクティブ・グル
ープス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective
Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T. W. Gr
eene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコ
ーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981年)
等]等の手段に付すことにより容易に製造を実施するこ
とができる。また、必要に応じて置換基導入等の反応工
程の順序を変えることもできる。化合物(I)は、以下
に示す一連の反応工程により製造することができる。
【0023】製造法1 化合物(I)のうち、Wが前記一般式(II)または前
記一般式(III)で表される化合物(Ia)は、次の
反応工程により製造することができる。
【化10】 [式中、PおよびQはそれぞれ前記PおよびQと同義で
あり、Waは前記一般式(II)または前記一般式(I
II)を表す]
【0024】工程1:化合物(Ia)は、化合物(V)
と化合物(VI)を塩基の存在下、溶媒中で縮合させる
ことにより、得ることができる。塩基としては、例えば
ピペリジン、酢酸ナトリウム、β−アラニン、水酸化リ
チウム等があげられ、該塩基は化合物(VI)に対して
0.1〜10当量用いられる。溶媒としては、例えばメタノ
ール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エ
ーテル、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)、
1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル
類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化
水素類、ぎ酸、酢酸等の有機酸類等が単独または混合し
て用いられる。
【0025】化合物(V)は、化合物(VI)に対して
2〜10当量用い、反応は室温から用いる溶媒の沸点の間
で行われ、1〜48時間で終了する。なお、原料化合物
(V)は、市販品としてまたは既知の方法[例えば、オ
ーガニック・シンセシス・コレクティブ・ボリューム
(Org. Synth. Col l. Vol.)、3巻、751頁(1947
年)、欧州公開特許第0343643号、米国特許第4584385号
等]に準じて得ることができ、原料化合物(VI)は、
後述の参考例に記載された方法等に準じて得ることがで
きる。
【0026】製造法2 化合物(I)のうち、PおよびQがNHである化合物
(Ic)は、前記製造法1または後述の製造法4により
得ることができるが、次の反応工程によっても製造する
ことができる。
【化11】 (式中、Wは前記と同義である)
【0027】工程2:化合物(Ic)は、化合物(I)
のうちPがNHでありQが硫黄原子である化合物(I
b)の硫黄原子を適当な酸化剤、例えば過酸化水素、te
rt−ブチルヒドロペルオキシド等の有機過酸化物、過安
息香酸、メタクロロ過安息香酸、モノペルオキシフタル
酸等の有機過酸等により酸化し、次いでアンモニア水
を、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類中
等、0℃から室温の間で、6〜24時間作用させることによ
り得ることができる。また、上記と同様の反応条件下、
酸化剤とアンモニア水を同時に添加しても、化合物(I
c)を得ることができる。なお、原料化合物(Ib)は
前記製造法1もしくは後述の製造法4により、またはそ
れらに準じて得ることができる。
【0028】製造法3 化合物(Ia)のうち、PおよびQが酸素原子である化
合物(Ia−2)は、前記製造法1により得ることがで
きるが、次の反応工程によっても製造することができ
る。
【化12】 (式中、Waは前記と同義である)
【0029】工程3:化合物(Ia−2)は、化合物
(Ia)のうち、Pが酸素原子であり、Qが硫黄原子で
ある化合物(Ia−1)を、例えばエーテル、THF、ジ
オキサン等のエーテル類中、アセトニトリル、N,N−
ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)、ジメチル
スルホキシド(以下、DMSOと略す)等の非プロトン性極
性溶媒中等、またはこれらの混合溶媒中、必要により適
当な塩基、例えば炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナ
トリウム等のアルカリ金属炭酸塩、トリエチルアミン、
トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有
機アミン類等の存在下、1〜10当量の適当なメチル化
剤、例えばジメチル硫酸、ヨウ化メチル等と、0℃から
用いる溶媒の沸点の間で1〜48時間反応させ、次いで適
当な条件下で加水分解することにより得ることができ
る。
【0030】加水分解の条件としては、例えば水中、ジ
オキサン、THF等のエーテル類中、メタノール、エタノ
ール等のアルコール類中等、またはこれらの混合溶媒
中、例えば塩酸、硫酸等の無機酸等で室温から用いる溶
媒の沸点の間で0.5〜48時間処理する方法、または上記
無機酸の代わりに、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等のアルカリ金属水酸化物等で処理する方法等が
あげられる。なお、原料化合物(Ia−1)は前記製造
法1またはそれに準じて得ることができる。
【0031】製造法4 化合物(I)のうち、Wが前記一般式(IV)で表され
る化合物(Id)は、次の反応工程により製造すること
ができる。
【化13】
【0032】[式中、R5は低級アルキル(該低級アル
キルは前記低級アルキルと同義である)、アリール(該
アリールは前記アリールと同義である)、または置換ア
リール(該アリールは前記アリールと同義であり、置換
アリールの置換基は前記置換アリールの置換基と同義で
ある)を表し、PおよびQはそれぞれ前記と同義であ
り、QがNHであるとき、Pdは酸素原子、硫黄原子ま
たはNHを表し、Qが硫黄原子または酸素原子であると
き、Pdは硫黄原子またはNHを表す]
【0033】工程4−1:化合物(VIII)は、化合
物(VII)を適当なアシル化剤、例えば塩化アセチ
ル、無水酢酸、塩化ベンゾイル等で、アシル化すること
により得ることができる。反応は、例えばジクロロメタ
ン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類中、TH
F、ジオキサン等のエーテル類中、DMF、アセトニトリル
等の非プロトン性極性溶媒中等、必要ならば適当な塩
基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルア
ミン、ピリジン、コリジン、ルチジン、N,N−ジメチ
ルアミノピリジン等の存在下、0℃から用いる溶媒の沸
点の間で行うことができ、通常、0.5〜48時間で終了す
る。なお、原料化合物(VII)は、例えば欧州公開特
許第549352号等に記載の方法に準じて得ることができ
る。
【0034】工程4−2:化合物(X)は、上記工程4
−1に記載した方法に準じて、工程4−1で得られる化
合物(VIII)と化合物(IX)とから得ることがで
きる。なお、原料化合物(IX)は、既知の方法[例え
ば、ルビュ・ルメンヌ・ドゥ・シミ(Revue Roumaine d
e Chimie)、25巻、1097頁(1980年)、ケミカルアブス
トラクト登録番号(CAS番号)85:160021、同73:8684
3、同91:157642等]に準じて得ることができる。
【0035】工程4−3:化合物(XI)は、工程4−
2で得られる化合物(X)から、溶媒中、適当な塩基の
存在下、アシル基を除去することにより得ることができ
る。反応は、0℃から溶媒の沸点の間で、通常、1〜48時
間で終了する。溶媒としては、例えば水、メタノール、
エタノール等のアルコール類、アセトニトリル、DMF、D
MSO等の非プロトン性極性溶媒、またはこれらの混合溶
媒等があげられ、塩基としては、例えばナトリウムメト
キシド、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウ
ム等のアルカリ金属アルコキシド類、炭酸セシウム、炭
酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエ
チルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機アミ
ン類等があげられる。
【0036】工程4−4:化合物(XII)は、工程4
−3で得られる化合物(XI)のヒドロキシメチル基
を、溶媒中、適当な酸化剤で処理することにより得るこ
とができる。酸化剤としては、例えば二酸化マンガン、
クロム酸、DMSO[モファット酸化(Moffatt酸化)、ス
ワン酸化(Swern酸化)等として知られている方法で使
用]等があげられ、溶媒としては、例えばクロロホル
ム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭
化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素類、またはこれらの混合溶媒等があげられる。反
応は、-78℃から溶媒の沸点の間で、通常、0.5〜72時間
で終了する。
【0037】工程4−5:化合物(Id)は、工程4−
4で得られる化合物(XII)と化合物(Vd)を、製
造法1に記載した方法に準じて縮合することにより、得
ることができる。 製造法5 化合物(Ia)のうち、Wが前記一般式(II)で表さ
れ、Xが−CH2−である化合物(Ia−4)は、前記
製造法1で得ることもできるが、次の反応工程によって
も製造することができる。
【0038】
【化14】 (式中、PおよびQは、それぞれ前記と同義である)
【0039】工程5:化合物(Ia−4)は、化合物
(Ia)のうち、Wが前記一般式(II)で表され、X
が−CH(OH)−である化合物(Ia−3)を、例え
ば水中、THF、ジオキサン等のエーテル類中、メタノー
ル、エタノール等のアルコール類中等、またはこれらの
混合溶媒中に溶解し、適当な酸、例えば塩酸、硫酸、硝
酸、またはリン酸等の存在下に、室温から溶媒の沸点の
間で、1〜24時間処理することにより得ることができ
る。なお、原料化合物(Ia−3)は、前記製造法1ま
たはそれに準じて得ることができる。上記製造法におけ
る中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用され
る精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再
結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製する
ことができる。また、中間体においては特に精製するこ
となく次の反応に使用することも可能である。
【0040】本発明における化合物(I)の中には、種
々の立体異性体、位置異性体、互変異性体等が存在し得
るものがある。本発明はこれらの可能な全ての異性体お
よびそれらの混合物を包含し、その混合比についても任
意の比率でよい。化合物(I)の塩を取得したいとき、
化合物(I)が塩の形で得られるときはそのまま精製す
ればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物
(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、適当な酸また
は塩基を加えることにより塩を形成させ単離、精製すれ
ばよい。
【0041】また、化合物(I)またはその薬理学的に
許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存
在することもあるが、これら付加物も本発明に包含され
る。上記製造法で得られる化合物(I)の具体例を第1
表〜第3表に示すが、本発明の化合物はこれらに限定さ
れることはない。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】次に、化合物(I)の薬理活性について試
験例で説明する。 試験例1 In vitroテロメラーゼ阻害活性 化合物(I)のテロメラーゼ阻害活性を、既知の方法
(米国特許第5760062号)に従って測定した。すなわ
ち、試験化合物のDMSO溶液を、基質となるオリゴデオキ
シヌクレオチド、デオキシヌクレオチド三りん酸存在下
でHEK293細胞由来の核抽出液から部分精製して得たテロ
メラーゼと混合し、インキュベーションした。得られた
反応生成物(テロメア配列を有するDNA)を膜上に吸着
させ、テロメア配列に対して相補的配列を有するラベル
化オリゴヌクレオチドプローブを用いて、ハイブリダイ
ゼイションを行った。試験化合物非存在下(コントロー
ル)における膜上ラベルのシグナル強度に対する試験化
合物存在下でのシグナル強度の比から阻害率を算出し
た。また、コントロールに対して酵素活性を50%阻害す
る化合物濃度をIC50とした。結果を第4表に示す。
【0047】
【表5】
【0048】試験例2 In vivoテロメラーゼ阻害活性 ヒト腎臓癌細胞株Caki-1に試験化合物を3日間接触させ
た後、既知の方法(米国特許第5629154号)で細胞抽出
液を調製し酵素活性の測定を行った。すなわち、0.5%C
HAPS{3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモ
ニオ]−1−プロパンスルホン酸}を含む緩衝液を用い
て細胞抽出液を調製した。該抽出液を用いて、in vitro
でTRAP(Telomeric Repeat Amplification Protocol)
アッセイを行った(Intergen社製、TRAPEZE TM ELISA Te
lomerase Detection Kit)。試験化合物無処理細胞から
の抽出液の酵素活性値に対する、試験化合物処理細胞か
らの抽出液の酵素活性値の比率(%)を算出した。上記
の方法により、本発明中の化合物1,2,3,12,2
3,25は、30μmol/Lでテロメラーゼ活性を50%以上
阻害した。
【0049】化合物(I)またはその薬理学的に許容さ
れる塩は、その薬理作用およびその投与目的に応じ、そ
のまま単独で、または各種の製薬形態で使用することが
できる。本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として有
効な量の化合物(I)またはその薬理学的に許容される
塩を単独で、または任意の他の治療のための有効成分と
の混合物として含有することができる。また、それら医
薬製剤は、活性成分と薬理学的に許容される担体を混合
し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の
方法により製造できる。この担体は投与に対して望まし
い製剤の形態に応じて、広い範囲の形態をとることがで
きる。
【0050】投与経路は、治療に際し最も効果的なもの
を使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内等
の非経口をあげることができる。投与形態としては、例
えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、注射剤等がある。錠剤
の調製にあたっては、例えば乳糖、グルコース、ショ
糖、マンニット、メチルセルロース等の賦形剤、デンプ
ン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロー
スカルシウム、結晶セルロース等の崩壊剤、ステアリン
酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ゼラチン、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、メチルセルロース等の結合剤、ショ
糖脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル等の界面
活性剤等を常法に従って用いればよい。錠剤1個あたり1
〜300mgの活性成分を含有する錠剤が好適である。
【0051】顆粒剤の調製にあたっては、例えば乳糖、
ショ糖等の賦形剤、デンプン等の崩壊剤、ゼラチン等の
結合剤等を常法により用いればよい。カプセル剤の調製
にあたっては、例えば、ゼラチン、水、ショ糖、アラビ
アゴム、ソルビット、グリセリン、結晶セルロース、ス
テアリン酸マグネシウム、タルク等を常法により用いれ
ばよい。カプセル1個あたり1〜300mgの活性成分を含有
するカプセル剤が好適である。
【0052】注射剤の調製にあたっては、水、生理食塩
水、植物油(例えばオリーブ油、落花生油等)、オレイ
ン酸エチル、プロピレングリコール等の溶剤、安息香酸
ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ウレタン等の可溶
化剤、食塩、グルコース等の等張化剤、フェノール、ク
レゾール、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、クロロブ
タノール等の保存剤、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナト
リウム等の抗酸化剤等を常法により用いればよい。
【0053】化合物(I)またはその薬理学的に許容さ
れる塩は、経口的方法または注射等の非経口的方法で投
与可能である。その有効用量および投与回数は投与形
態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常一
日当たり、0.01〜20mg/kgを1〜4回投与するのが好まし
い。
【0054】
【実施例】以下に、参考例および実施例により、本発明
を詳細に説明する。下記参考例および実施例中の各化合
物の物理化学データは、以下の機器類によって測定し
た。 1 H NMR:JEOL JNM-EX270 ESI,APCI-MS:Micromass Quattro FAB-MS:JEOL SX102AQQ 実施例1(化合物1) 参考例1の工程5で得られたN−(2,6−ジフルオロ
ベンジル)−2,8−ジホルミル−10,11−ジヒド
ロジベンズ[b,f]アゼピン(390mg,1.0mmol)、
2,4−チアゾリジンジオン(363mg,3.1mmol:市販
品)、およびピペリジン(0.30mL,4.1mmol)をエタノ
ール(20mL)中で5.5時間加熱還流した。反応液を室温
まで冷却し、2mol/L塩酸水溶液を加え、析出した結晶を
濾取することにより、化合物1(390mg,66%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.08(s,4H),
5.14(s,2H),6.99(t,J = 7.9Hz,2H),7.20-7.50
(m,7H),7.65(s,2H),12.5(bs,2H) ESI-MS m/z 574 (M-H)- C29H19F2N3O4S2 = 575 以下の実施例2〜17および実施例19に記載した化合
物2〜17および化合物19は、実施例1の方法に準じ
てそれぞれ合成した。ただし、参考例1または参考例2
に記載した方法に準じてそれぞれ合成したアルデヒド
を、実施例1に記載のN−(2,6−ジフルオロベンジ
ル)−2,8−ジホルミル−10,11−ジヒドロジベ
ンズ[b,f]アゼピンの代わりに、それぞれ用い、実
施例1に記載の2,4−チアゾリジンジオンの代わり
に、実施例14ではチオヒダントイン(市販品)を、実
施例15ではヒダントイン(市販品)を、実施例16で
はロダニン(市販品)を、実施例17では2−イミノチ
アゾゾリジン−4−オンを、実施例19では2−チオキ
ソ−4−オキサゾリジノンを、それぞれ用いた。
【0055】なお、2−イミノチアゾゾリジン−4−オ
ンは、既知の方法[例えば、オーガニック・シンセシス
・コレクティブ・ボリューム(Org. Synth. Coll. Vo
l.)、3巻、751頁(1947年)等]に準じて、2−チオキ
ソ−4−オキサゾリジノンは、既知の方法(欧州公開特
許第343643号)に準じて、それぞれ合成した。 実施例2(化合物2)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.14(s,4H),
4.50(d,J = 5.9Hz,2H),5.13(d,J = 11Hz,1
H),5.23(d,J = 18Hz,1H),5.65-5.85(m,1H),
7.27(d,J = 8.6Hz,2H),7.36(s,2H),7.37(d,
J = 8.6Hz,2H),7.66(s,2H),12.5(bs,2H) ESI-MS m/z 488 (M-H)- C25H19N3O4S2 = 489 実施例3(化合物3)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.22(s,4H),
5.08(s,2H),7.25-7.45(m,8H),7.65(s,3H),
12.5(bs,2H) ESI-MS m/z 607 (M)- C29H19Cl2N3O4S2 = 607 実施例4(化合物4)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.23(s,4H),
5.18(s,2H),7.25-7.45(m,6H),7.55-7.75(m,6
H),12.5(bs,2H) ESI-MS m/z 606 (M-H)- C30H20F3N3O4S2 = 607 実施例5(化合物5)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.11(s,4H),
5.29(s,2H),7.15-7.45(m,7H),7.60(d,J = 8.
6Hz,2H),12.5(bs,2H) ESI-MS m/z 606 (M-H)- C29H19Cl2N3O4S2 = 607 実施例6(化合物6)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.27(s,4H),
5.03(s,2H),7.10-7.40(m,7H),7.45-7.70(m,5
H),12.1(bs,2H) APCI-MS m/z 616 (M-H)- C29H20BrN3O4S2 = 617 実施例7(化合物7)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.27(s,4H),
5.10(s,2H),7.16(d,J = 8.6Hz,2H),7.25-7.35
(m,4H),7.48(d,J = 8.6Hz,2H),7.63 (s,2
H),8.09 (s,2H),12.3 (bs,2H) APCI-MS m/z 622 (M-H)- C30H20F3N3O5S2 = 623 実施例8(化合物8)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.21(s,4H),
5.27(s,2H),7.25-7.45(m,6H),7.65(s,2H),
7.87(s,1H),8.09(s,2H),12.5(bs,2H) APCI-MS m/z 674 (M-H)- C31H19F6N3O4S2 = 675 実施例9(化合物9)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.16(s,4H),
5.21(s,2H),7.20-7.50(m,9H),7.65(s,2H),
12.5(bs,2H) APCI-MS m/z 624,(M-H)- C30H19F4N3O4S2 = 625 実施例10(化合物10)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.22(s,4H),
5.44(s,2H),7.30-7.45(m,6H),7.66(s,2H),
12.5(bs,2H) FAB-MS m/z 532 (M+H)+ C24H17N7O4S2 = 531 実施例11(化合物11)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.90-3.20(m,4
H),7. 15-7.45(m,5H),7.55-7.70(m,3H),12.4
(bs,2H) ESI-MS m/z 448 (M-H)- C22H15N3O4S2 = 449 実施例12(化合物12)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.21(s,4H),
5.06(s,2H),7.27-7.44(m,9H),7.63(s,2H),
12.48(bs,2H) FAB-MS m/z 620 (M+H)+ C30H19F2N3O6S2 = 619 実施例13(化合物13)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)5.07(s,2H),
6.73(s,2H),6.97(t,J = 8.1Hz,2H),7.25(d,
J = 2.0Hz,3H),7.37(d,J = 8.6Hz,2H),7.50(d
d,J = 2.0,8.6Hz,2H),7.64(s,2H),12.53(b
s,2H) APCI-MS m/z 572 (M-H)- C29H17F2N3O4S2 = 573 実施例14(化合物14)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.10(s,4H),
5.10(s,2H),6.37(s,2H),7.00(t,J = 7.9Hz,
2H),7.15-7.30(m,1H),7.27(d,J = 7.9Hz,2
H),7.40-7.55(m,4H),12.1(bs,1H),12.3(b
s,1H) APCI-MS m/z 572 (M-H)- C29H21F2N5O2S2 = 573 実施例15(化合物15)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.08(s,4H),
5.07(s,2H),6.29(s,2H),6.98(t,J = 8.1Hz,
2H),7.20-7.45(m,7H),10.4(bs,2H),11.1(b
s,2H) APCI-MS m/z 540 (M-H)- C29H21F2N5O4 = 541 実施例16(化合物16)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.11(s,4H),
5.17(s,2H),7.03(t,J = 8.1Hz,2H),7.20-7.55
(m,9H) ESI-MS m/z 606 (M-H)- C29H19F2N3O2S4 = 607 実施例17(化合物17)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.09(s,4H),
5.12(s,2H),6.99(t,J = 8.2Hz,2H),7.20-7.50
(m,9H),9.04(bs,2H),9.33(bs,2H) FAB-MS m/z 574 (M+H)+ C29H21F2N5O2S2 = 573
【0056】実施例18(化合物18) 実施例14で得られた化合物14(0.10g,0.17mmmol)
をメタノール(7mL)に溶解し、ここへアンモニア水溶
液(28%,1.7mL)、および70%tert-ブチルハイドロパ
ーオキサイド水溶液(0.14mL)を加え、室温で19時間攪
拌した。生じた沈殿を濾取することにより、化合物18
(100mg,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.01(s,4H),
5.03(s,2H),6.14(s,2H),6.95-7.26(m,9H),
7.57(bs,2H),7.82(bs,2H) APCI-MS m/z 540 (M+H)+ C29H23F2N7O2 = 539 実施例19(化合物19)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.06(s,4H),
5.15(s,2H),6.63(s,2H),7.00(t,J = 8.2Hz,
2H),7.25-7.31(m,1H),7.45(d,J = 8.7Hz,2
H),7.54(d,J = 1.5Hz,2H),7.66(dd,J = 1.5,
8.4Hz,2H) APCI-MS m/z 574 (M-H)- C29H19F2N3O4S2 = 575
【0057】実施例20(化合物20) 工程1: N−(2,6−ジフルオロベンジル)−10,
11−ジヒドロ−2,8−ビス(2−メチルチオ−4−
オキソ−5H−オキサゾール−5−イリデンメチル)−
5H−ジベンズ[b,f]アゼピン 実施例19で得られた化合物19(0.86g,1.49mmol)
をTHF(10mL)に溶解し、氷冷下、トリエチルアミン
(0.48mL,3.4mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。
ここへヨウ化メチル(0.89mL,14mmol)を加え、室温で
3時間攪拌した。生じた沈殿を濾取して除き、濾液を減
圧留去し、メタノールでトリチュレーションすることに
より、標記化合物(630mg,69%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.73(s,6H),
3.05(s,4H),5.14(s,2H),6.81(s,2H),6.99
(t,J = 8.2Hz,2H),7.23-7.34(m,1H),7.43
(d,J = 8.4Hz,2H),7.54(d,J = 2.0Hz,2H),7.
62(dd,J = 2.0,8.7Hz,2H) APCI-MS m/z 604 (M+H)+ C31H23F2N3O4S2 = 603 工程2:実施例20の工程1で得られた化合物(0.44
g,0.73mmol)をジオキサン(9mL)、水(3mL)の混合溶
媒に溶解し、ここへ濃塩酸(0.9mL)を添加後、室温で30
分間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し
た。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール = 15
/1)にて精製し、クロロホルムとn−ヘキサンの混合溶
媒でトリチュレーションすることにより、化合物20
(150mg,38%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.04(s,4H),
5.10(s,2H),6.58(s,2H),6.93-7.01(m,2H),
7.24-7.57(m,7H) APCI-MS m/z 542 (M-H)- C29H19F2N3O6 = 543
【0058】実施例21(化合物21) 参考例3の工程8で得られた5−(2,6−ジフルオロ
ベンジル)−2,8−ジホルミル−5,11−ジヒドロ
ジベンズ[b,e][1,4]オキサゼピン(140mg,
0.37mmol)、2,4−チアゾリジンジオン(130mg,1.1
mmol)、およびピペリジン(0.15mL,1.5mmol)をエタ
ノール(8mL)中で3時間加熱還流した。反応液を室温
まで冷却し、2mol/L塩酸水溶液を加え、析出した結晶を
濾取することにより、化合物21(180mg,82%)を得
た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)5.20(s,2H),
5.22(s,2H),6.95-7.15(m,4H),7.25-7.40(m,2
H),7.45-7.65(m,4H),7.70(s,1H),12.4(bs,
1H),12.5(bs,1H) APCI-MS m/z 576 (M-H)- C28H17F2N3O5S2 = 577 以下の実施例22〜25に記載した化合物22〜25
は、参考例3に記載した方法に準じてそれぞれ合成した
アルデヒドを、5−(2,6−ジフルオロベンジル)−
2,8−ジホルミル−5,11−ジヒドロジベンズ
[b,e][1,4]オキサゼピンの代わりに用い、実
施例21に準じてそれぞれ合成した。 実施例22(化合物22)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)5.25(s,2H),
5.38(s,2H),7.00-7.10(m,2H),7.15-7.35(m,2
H),7.45-7.80(m,8H),12.4(bs,1H),12.5(b
s,1H) APCI-MS m/z 608 (M-H)- C29H18F3N3O5S2 = 609
【0059】実施例23(化合物23)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)5.34(s,2H),
5.39(s,2H),7.05-7.15(m,2H),7.25(d,J = 8.
6Hz,2H),7.37(d,J = 8.6Hz,2H),7.45-7.60
(m,2H),7.62(s,1H),7.70(s,1H),7.92(s,
1H),8.10(s,2H),12.5(bs,2H) APCI-MS m/z 676 (M-H)- C30H17F6N3O5S2 = 677 実施例24(化合物24)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)5.16(s,2H),
5.37(s,2H),7.00-7.65(m,11H),7.70(s,1
H),12.5(bs,2H) APCI-MS m/z 619 (M-H)- C28H18BrN3O5S2 = 620 実施例25(化合物25)1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)5.19(s,2H),
5.37(s,2H),7.00-7.10(m,2H),7.18(d,J = 8.
6 Hz,1H),7.25-7.35(m,3H),7.45-7.55(m,4
H),7.61(s,1H),7.70(s,1H),12.4(bs,1
H),12.5(bs,1H) APCI-MS m/z 624 (M-H)- C29H18F3N3O6S2 = 625
【0060】実施例26(化合物26) 参考例4の工程8で得られた2,8−ジホルミルジベン
ゾスベロール(190mg,0.70mmol)、2,4−チアゾリ
ジンジオン(274mg,2.1mmol)、およびピペリジン(0.
17mL,1.7mmol)をエタノール(7mL)中で5時間加熱還
流した。反応液を室温まで冷却し、2mol/L塩酸水溶液を
加え、析出した結晶を濾取することにより、化合物26
(196mg,60%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.95-3.50(m,4
H),6.24(s,2H),7.35(s,2H),7.38(d,J = 7.
9Hz,2H),7.66(s,2H),7.67(d,J = 7.9Hz,2
H),12.5(bs,2H) ESI-MS m/z 464 (M+) C23H16N2O5S2 = 464
【0061】実施例27(化合物27) 実施例26で得られた化合物26(120mg,0.26mmol)
をジオキサン(5.2mL)に溶解し、濃硫酸(0.055mL,1.
0mmol)を加え、100℃で6時間攪拌した。反応液を減圧
濃縮し、残さに水、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加
え、酢酸エチルで洗浄した。この水層に2mol/L塩酸水溶
液を加え酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層
を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。溶媒を減圧留去し、アセトンで再結晶し、化合物2
7(81mg,70%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.19(s,4H),
4.22(s,2H),7.25-7.50(m,6H),7.68(s,2H),
12.6(bs,2H) ESI-MS m/z 447 (M-H)- C23H16N2O4S2 = 448
【0062】実施例28(化合物28) 化合物28は、参考例5の工程2で得られた2,8−ジ
ホルミル−10,11−ジヒドロ−5−メチル−5H−
ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オールを用
い、実施例26に準じて合成した。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)1.81(s,3H),
3.00-3.50(m,4H),6.13(s,1H),7.35(s,2H),
7.42(d,J = 8.3Hz,2H),7.71(s,2H),7.99(d,
J = 8.3Hz,2H),12.6(bs,2H) ESI-MS m/z 477 (M-H)- C24H18N2O5S2 = 478
【0063】実施例29(化合物29) 化合物29は、参考例6の工程2で得られた2,8−ジ
ホルミル−5−メトキシ−5−メチル−10,11−ジ
ヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテンを用
い、実施例26に準じて合成した。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)1.77(s,3H),
2.91(s,3H),3.10-3.50(m,4H),7.40(s,2H),
7.48(d,J = 8.6Hz,2H),7.72(s,2H),7.76(d,
J = 8.6Hz,2H),12.6(bs,2H) FAB-MS m/z 493 (M+H)+ C25H20N2O5S2 = 492
【0064】実施例30(化合物30) 化合物30は、参考例4の工程9で得られた5−(2,
6−ジフルオロベンジルオキシ)−2,8−ジホルミル
−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シ
クロヘプテンを用い、実施例26に準じて合成した。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.05-3.20(m,2
H),3.30-3.50(m,2H),4.58(s,2H),5.86(s,1
H),7.10(t,J = 7.9Hz,2H),7.35-7.50(m,5
H),7.56(d,J = 8.6Hz,2H),7.70(s,2H),12.5
(bs,2H) APCI-MS m/z 589 (M-H)- C30H20F2N2O5S2 = 590
【0065】実施例31(化合物31) 化合物31は、2,6−ジフルオロベンジルアルコール
の代わりに、3,4−ジクロロベンジルアルコールを用
い、参考例4の工程9に準じた方法により合成した5−
(3,4−ジクロロベンジルオキシ)−2,8−ジホル
ミル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,
d]シクロヘプテンを用いて、実施例26に準じて合成
した。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.10-3.50(m,4
H),4.61(s,2H),5.92(s,1H),7.35-7.45(m,5
H),7.55-7.65(m,4H),7.71(s,2H),12.5(bs,
2H) APCI-MS m/z 661 (M-H)- C30H20Cl2N2O5S2 = 662
【0066】実施例32(化合物32) 参考例8で得られたN−(3,4−ジクロロベンジル)
−3,6−ジホルミルカルバゾール(38.3mg,0.1mmo
l)、2,4−チアゾリジンジオン(59.5mg,0.51mmo
l)および水酸化リチウム(22.9mg,0.95mmol)をエタ
ノール(10mL)中で1.5時間加熱還流した。反応液を室
温まで冷却した後、1mol/L塩酸を加え、不溶物を濾取、乾
燥し、メタノールでトリチュレーションすることによ
り、化合物32(16.6mg,29%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)5.78(s,2H),
7.03(dd,J = 2.0,8.4Hz,1H),7.52(d,J = 8.4H
z,1H),7.57(d,J = 2.0Hz,1H),7.74(dd,J =
2.0,8.7Hz,2H),7.87(d,J = 8.7Hz,2H),7.99
(s,2H),8.55(bs,2H),12.52(bs,2H)
【0067】実施例33(化合物33) 参考例9で得られたN−[3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ベンジル]−3,6−ジホルミルカルバゾール
(62.5mg,0.14mmol)と、2,4−チアゾリジンジオン
(102mg,0.867mmol)および水酸化リチウム(35.9mg,
1.50mmol)より、実施例32に準じて化合物33(14.5
mg,16%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)5.98(s,2H),
7.75(dd,J = 2.0,8.9Hz,2H),7.84(s,2H),7.8
7(d,J = 8.9Hz,2H),8.00(s,2H),8.04(s,1
H),8.57(d,J = 2.0Hz,2H),12.55(bs,2H)
【0068】実施例34(化合物34) 参考例7の工程9で得られた(E)−6,11−ジヒド
ロ−2−メチル−11−(2−オキソエチリデン)ジベ
ンゾ[b,e]オキセピン−4−カルボアルデヒド(27
3mg,0.98mmol)、2,4−チアゾリジンジオン(345m
g,2.9mmol)、およびピペリジン(0.3mL,3.0mmol)を
エタノール(20mL)に溶解し、1.5時間加熱還流した。
反応液を放冷後、2mol/L塩酸を加え、析出した淡黄色固
体を濾取することにより化合物34(454mg,97%)を
得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.30(s,3H),
5.15(bs,1H),5.40(bs,1H),6.73(d,J = 11.9H
z,1H),7.14(d,J = 11.9Hz,1H),7.17(bs,1
H),7.27(m,1H),7.41(bs,1H),7.48(m,2
H),7.60(m,1H),7 .84(s,1H) ESI-MS m/z 475 (M-H)- C24H16N2O5S2 = 476
【0069】実施例35(化合物35) 化合物35は、参考例7の工程7において、(E)−1
1−エトキシカルボニルメチレン−2−メチル−6,1
1−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン−4−カル
ボン酸エチルエステルを得たときに生じた濾液から得ら
れた(Z)−11−エトキシカルボニルメチレン−2−
メチル−6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセ
ピン−4−カルボン酸エチルエステルを用い、参考例7
の工程8および工程9、ならびに実施例34に準じて合
成した。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.28(s,3H),
5.32(bs,2H),6.34(d,J = 12.0Hz,1H),7.12
(d,J = 1.8Hz,1H),7.27(s,1H),7.43(m,5
H),7.89(s,1H),12.53(bs,2H) ESI-MS m/z 475 (M-H)- C24H16N2O5S2 = 476
【0070】実施例36(化合物36) 化合物36は、既知の方法[例えば、ジャーナル・オブ
・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.)、43
巻、4892頁(1978年)等]に準じて合成した、6,11
−ジヒドロ−11−オキソジベンゾ[b,e]チエピン
−3−カルボン酸メチルエステルから、参考例7の工程
7〜9の方法に準じて合成した、6,11−ジヒドロ−
11−(2−オキソエチリデン)ジベンゾ[b,e]オ
キセピン−3−カルボアルデヒドを用い、実施例34に
準じて合成した。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.80-4.80(br
m,2H),6.31(d,J = 11.7Hz,1H),7.26(d,J = 1
2.0Hz,1H),7.29-7.44(m,7H),7.68(s,1H) APCI-MS m/z 477 (M-H)- C23H14N2O4S3 = 478
【0071】実施例37(化合物37) 化合物37は、既知の方法[例えば、ジャーナル・オブ
・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.)、35
巻、3394頁(1992年)等]に準じて合成した6,11−
ジヒドロ−11−オキソジベンゾ[b,e]オキセピン
−2−カルボン酸メチルエステルから、参考例7の工程
7〜9の方法に準じて合成した、6,11−ジヒドロ−
11−(2−オキソエチリデン)ジベンゾ[b,e]オ
キセピン−2−カルボアルデヒドを用い、実施例34に
準じて合成した。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)5.00-5.60(br
m,2H),6.34(d,J = 11.9Hz,0.4H),6.80(d,J =
12.2Hz,0.4H),6.98(d,J = 8.6Hz,0.6H),7.06
(d,J = 8.7Hz,0.6H),7.31-7.81(m,7H),7.75
(s,0.4H),7.85(s,0.6H),12.56(bs,2H) APCI-MS m/z 461 (M-H)- C23H14N2O5S2 = 462
【0072】実施例38(化合物38) 工程1:欧州特許第549352号に記載の方法で合成した1
0,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピ
ン−2−イルメタノール(1.47g,6.52mmol)をジクロ
ロメタン(70mL)に溶解し、0℃でトリエチルアミン
(1.03mL,7.39mmol)、アセチルクロライド(0.53mL,
7.4mmol)を添加した後、室温で1時間半攪拌した。反
応液に1mol/L塩酸水溶液を加え、クロロホルムで抽出し
た。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩
水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を
減圧留去し、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ
[b,f]アゼピン−2−イルメチルアセテート(1.77
g,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.94(s,4H),
4.90(s,2H),6.62-6.68(m,1H),6.92-7.05(m,7
H)
【0073】工程2:既知の方法[ルビュ・ルメンヌ・
ドゥ・シミ(Revue Roumaine de Chimie)、25巻、1097
頁(1980年)]で合成した5−カルボキシメチリデンチ
アゾリジン−2,4−ジオンを、THF中、過剰量の塩化
チオニルを加え2.5時間加熱還流することにより、酸塩
化物へと変換した。上記工程1で得られた化合物(2.49
g,9.31mmol)をトルエン(100mL)に溶解し、そこへ、
上記で得られた酸塩化物(2.24g,11.6mmol)を少量のT
HFに溶解したものを添加した。反応液を80℃で45分間攪
拌した。室温へ冷却後、反応液に2mol/L塩酸水溶液を加
え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で
洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧
留去し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製し、[5
−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデンアセ
チル)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,
f]アゼピン−2−イルメチル]アセテート(1.20g,
見かけの収率30%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.04(s,3H),
2.06(s,3H),2.70-2.90(m,2H),3.20-3.40(m,2
H),5.02(s,1H),5.07(s,1H),6.78(s,0.5
H),6.81(s,0.5H),7.22-7.49(m,7H),12.64(b
s,1H)
【0074】工程3:工程2で得られた化合物(1.20
g,2.8mmol)をメタノール(15mL)に溶解し、ナトリウ
ムメトキサイド(28%メタノール溶液、3.0mL)を添加
後、室温で1時間攪拌した。反応液へ2mol/L塩酸水溶液
を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩
水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を
減圧留去し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(クロロホルム/メタノール=80/1〜60/1)にて精製
し、5−[2−(10,11−ジヒドロ−2−ヒドロキ
シメチル−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−5−イ
ル)−2−オキソエチリデン]チアゾリジン−2,4−
ジオン(0.44g,41%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.70-2.90(m,2
H),3.20-3.40(m,2H),4.44(s,1H),4.50(s,1
H),5.10-5.30(m,1H),6.79(s,0.5H),6.82
(s,0.5H),7.11-7.47(m,7H),12.67(bs,1H)
【0075】工程4:工程3で得られたアルコール(0.
40g,1.05mmol)をクロロホルム(10mL)に溶解し、活
性二酸化マンガン(1.83g,21mmol)を加えた後、室温
で一晩攪拌した。さらに反応液へ二酸化マンガン(1.83
g,21mmol)を加えた後、3.5時間加熱還流した。反応液
をセライトに通して濾過後、濾液を減圧濃縮し、残さを
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/
メタノール=80/1)にて精製することにより、5−
(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデンアセチ
ル)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,
f]アゼピン−2−カルボアルデヒド(210mg,53%)
を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.70-3.00(m,2
H),3.20-3.40(m,2H),6.78(s,1H),7.28-7.92
(m,7H),9.95(s,0.5H),10.00(s,0.5H),12.6
9(bs,1H)
【0076】工程5:工程4で得られたアルデヒド(21
0mg,0.55mmol)、2,4−チアゾリジンジオン(88m
g,0.75mmol)、およびピペリジン(0.074mL,0.75mmo
l)をエタノール(6mL)中で15.5時間加熱還流した。反
応液を室温まで冷却し、水、2mol/L水酸化ナトリウム水
溶液を加え、酢酸エチルで洗浄した。この水層に2mol/L
塩酸水溶液を加え酸性とした後、酢酸エチルで抽出し
た。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残さをシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=2
0/1)にて精製し、アセトニトリルで再結晶することに
より、化合物38(30mg,11%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.75-2.95(m,2
H),3.20-3.40(m,2H),6.77(s,0.5H),6.80
(s,0.5H),7.28-7.67(m,7H),7.71(s,0.5H),
7.77(s,0.5H),12.66(bs,2H) APCI-MS m/z 476 (M-H)- C23H15N3O5S2 = 477
【0077】参考例1:N−(2,6−ジフルオロベン
ジル)−2,8−ジホルミル−10,11−ジヒドロジ
ベンズ[b,f]アゼピン 工程1:2,8−ジブロモイミノジベンジル 市販のイミノジベンジル(9.9g,50mmol)をジクロロメ
タン(500mL)に溶解し、ここへN−ブロモスクシンイ
ミド(9.0g,50mmol)、シリカゲル(50g)を加え、遮
光下室温にて1.5時間攪拌した。反応液へ、N−ブロモ
スクシンイミド(9.0g,50mmol)、シリカゲル(50g)
を加え、さらに遮光下室温にて2時間15分間攪拌した。
反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮し、標記化合物(17
g,95%)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.01(s,4H),5.
94(bs,1H),6.35(d,J = 9.2Hz,2H),7.10-7.20
(m,4H)
【0078】工程2:N−tert−ブトキシカルボニル−
2,8−ジブロモ−10,11−ジヒドロジベンズ
[b,f]アゼピン 工程1で得られた2,8−ジブロモイミノジベンジル
(5.0g,14mmol)をTHF(50mL)に溶解し、ここへジ−t
ert−ブチルジカルボナート(3.4g,16mmol)および
N,N−ジメチルアミノピリジン(2.3g,18mmol)を加
え、室温で一終夜攪拌した。反応液にジ−tert−ブチル
ジカルボナート(1.5g,7.0mmol)およびN,N−ジメ
チルアミノピリジン(0.86g,7.0mmol)を加え、さらに
2時間後ジ−tert−ブチルジカルボナート(1.5g,7.0mm
ol)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(0.86g,
7.0mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液に水を
加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減
圧留去し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)にて精製し、標記化合
物(6.3g,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)1.35(s,9H),
2.70-2.95(m,2H),3.10-3.45(m,2H),7.25(d,J
= 8.2Hz,2H),7.37(dd,J = 2.3,8.2Hz,2H),7.
45(d,J = 2.3Hz,2H)
【0079】工程3:N−tert−ブトキシカルボニル−
2,8−ジホルミル−10,11−ジヒドロジベンズ
[b,f]アゼピン アルゴン雰囲気下、工程2で得られたN−tert−ブトキ
シカルボニル−2,8−ジブロモ−10,11−ジヒド
ロジベンズ[b,f]アゼピン(4.1g,9.3mmol)をTHF
(210mL) に溶解し、-78℃に冷却した。ここへ、n−
ブチルリチウム(1.59mol/Lヘキサン溶液;15mL,23mmo
l)、次いでDMF(14mL)を内温-60℃以下で滴下し、0℃
まで昇温しながら15分間攪拌した。反応液に水を加え、
酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去
し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキ
サン/酢酸エチル=4/1〜3/1)にて精製し、標記化合物
(1.6 g,47%)を得た。 1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)1.42(s,9H),
3.00-3.50(m,4H),7.52(d,J = 8.6Hz,2H),7.70
-7.75(m,4H),9.96(s,2H)
【0080】工程4:2,8−ジホルミルイミノジベン
ジル 工程3で得られたN−tert−ブトキシカルボニル−2,
8−ジホルミル−10,11−ジヒドロジベンズ[b,
f]アゼピン(1.5g,4.2mmol)をジクロロメタン(31m
L)に溶解し、ここへトリフルオロ酢酸(10mL)を加
え、室温で2時間攪拌した。反応液に飽和重曹水をゆっ
くり加え、クロロホルムで抽出した。有機層を水、飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶
媒を減圧留去し、標記化合物(1.1g,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.20(s,4H),5.
13(s,2H),6.77(d,J = 7.1Hz,1H),6.80(d,J
= 7.1Hz,1H),7.05-7.20(m,1H),7.37(d,J = 8.
6Hz,2H),7.64(d,J = 2.0Hz,2H),7.67(dd,J =
2.0,8.6Hz,2H),9.85(s,2H)
【0081】工程5:N−(2,6−ジフルオロベンジ
ル)−2,8−ジホルミル−10,11−ジヒドロジベ
ンズ[b,f]アゼピン 工程4で得られた2,8−ジホルミルイミノジベンジル
(200mg,0.80mmol)をDMF(4mL)に溶解し、氷冷下、
水素化ナトリウム(60% in oil;38mg,0.96mmol)を
加え、室温で30分間攪拌した。ここへ2,6−ジフルオ
ロベンジルブロミド(0.20g,0.96mmol) を加え、室温
で1.5時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで
抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、標記化合
物(310mg,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.05(s,4H),4.
90(s,2H),6.75(d,J = 8.1Hz,2H),6.78(d,J
= 8.1Hz,2H),7.00-7.25(m,5H)
【0082】参考例2:N−(2,6−ジフルオロベン
ジル)−2,8−ジホルミルジベンズ[b,f]アゼピ
ン 工程1:N−tert−ブトキシカルボニル−2,8,10
−トリブロモ−10,11−ジヒドロジベンズ[b,
f]アゼピン 参考例1の工程2で得られたN−tert−ブトキシカルボ
ニル−2,8−ジブロモ−10,11−ジヒドロジベン
ズ[b,f]アゼピン(1.47g,3.24mmol) を四塩化炭
素(70mL)に溶解し、ここへN−ブロモスクシイミド
(0.94g,5.3mmol)、α,α’−アゾビスイソブチロニ
トリル(触媒量)を加え、27時間加熱還流した。反応液
を室温まで冷却後、濾過し、濾液を減圧濃縮し、標記化
合物(1.93g,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)1.32(s,9H),
3.61-3.64(m,2H),5.74(bs,1H),6.23(bs,1
H),7.47-7.67(m,6H)
【0083】工程2:N−tert−ブトキシカルボニル−
2,8−ジブロモジベンズ[b,f]アゼピン 参考例2の工程1で得られたN−tert−ブトキシカルボ
ニル−2,8,10−トリブロモ−10,11−ジヒド
ロジベンズ[b,f]アゼピン(1.9 g,3.2 mmol) を
エタノール(5mL)に溶解し、ここへ50%水酸化カリウ
ム水溶液(9.7mL,9.6mmol)を加え、60℃で2時間加熱
攪拌した。反応液を室温まで冷却後、水を加え、生じた
沈殿を濾過して除き、濾液を酢酸エチルで抽出した。有
機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残さをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=30/1)
にて精製し、標記化合物(0.80g,55%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)1.28(s,9H),
7.02(s,2H),7.39(d,J = 8.4Hz,2H),7.63(d
d,J = 2.3,8.4Hz,2H),7.68(d,J = 2.1Hz,2H)
【0084】工程3:N−tert−ブトキシカルボニル−
2,8−ジホルミルジベンズ[b,f]アゼピン アルゴン雰囲気下、参考例2の工程2で得られたN−te
rt−ブトキシカルボニル−2,8−ジブロモジベンズ
[b,f]アゼピン(800mg,1.8mmol)をTHF(30mL)
に溶解し、-78℃に冷却した。ここへ、n−ブチルリチ
ウム(1.59mol/Lヘキサン溶液;2.8mL,4.4mmol)、次
いでDMF(2.8mL,35.5mmol)を内温-60℃以下で滴下
し、0℃まで昇温しながら15分間攪拌した。反応液に水
を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩
水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を
減圧留去し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1〜4/1)にて精製し、標
記化合物(280mg,45%) を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)1.36(s,9H),7.
04(s,2H),7.56(d,J = 8.2Hz,2H),7.85(d,J
= 1.8Hz,2H),7.93(dd,J = 1.8,8.2Hz,2H)
【0085】工程4:2,8−ジホルミルイミノジスチ
ルベン 参考例2の工程3で得られたN−tert−ブトキシカルボ
ニル−2,8−ジホルミルジベンズ[b,f]アゼピン
(280mg,0.57mmol)をジクロロメタン(4.3mL)に溶解
し、ここへトリフルオロ酢酸(1.4mL)を加え、室温で2
時間攪拌した。反応液に飽和重曹水をゆっくり加え、ク
ロロホルムで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去
し、標記化合物(0.16g,80%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)5.76(s,2H),
6.53(d,J = 8.2Hz,2H),7.07(d,J = 2.0Hz,2
H),7.37(dd,J = 2.0,8.2Hz,2H),8.02(s,1
H),9.58(s,2H)
【0086】工程5:N−(2,6−ジフルオロベンジ
ル)−2,8−ジホルミルジベンズ[b,f]アゼピン 参考例2の工程4で得られた2,8−ジホルミルイミノ
ジスチルベン(280mg,0.57mmol)をDMF(4mL)に溶解
し、氷冷下、水素化ナトリウム(60% in oil;39mg,
0.96mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。ここへ2,
6−ジフルオロベンジルブロミド(0.20g,0.96mmol)
を加え、室温で6時間攪拌した。反応液に水を加え、酢
酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去
し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキ
サン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、標記化合物(210m
g,87%)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)5.06(s,2H),6.
70(s,1H),6.78(t,J = 8.1Hz,2H),7.24(d,J
= 8.4Hz,2H),7.50(d,J = 2.0Hz,2H),7.76(d
d,J = 2.0,8.4Hz,2H),9.86(s,2H)
【0087】参考例3:5−(2,6−ジフルオロベン
ジル)−2,8−ジホルミル−5,11−ジヒドロジベ
ンズ[b,e][1,4]オキサゼピン 工程1:4−ブロモ−3−ブロモメチル安息香酸メチル
エステル 4−ブロモ−3−メチル安息香酸メチルエステル(5.1
g,22mmol)を四塩化炭素(124mL)に溶解し、ここへN
−ブロモスクシンイミド(4.0g,22mmol)およびα,
α’-アゾビスイソブチロニトリル(触媒量)を加え、5
時間50分間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、析
出物を減圧濾過により取り除いた。濾液を減圧留去し、
標記化合物(7.1g,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.93(s,3H),4.
62(s,2H),7.66(d,J = 8.2Hz,1H),7.81(dd,J
= 2.1,8.2Hz,1H),8.12(d,J = 2.1Hz,1H)
【0088】工程2:3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息
香酸メチルエステル 3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸(5.0g,27mmol)
をメタノール(54mL)に溶解し、ここへ濃硫酸(1.5m
L,27mmol)を加え、2.5時間加熱還流した。反応液を減
圧濃縮し、残さへ水を加え、酢酸エチルで抽出した。有
機層を飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、標記化
合物(5.9g,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.97(s,3H),7.
62(dd,J = 1.9,8.6Hz,1H),7.83(d,J = 8.6Hz,
1H),8.18(d,J = 1.9Hz,1H)
【0089】工程3:3−(2−ブロモ−5−メトキシ
カルボニルベンジルオキシ)−4−ニトロ安息香酸メチ
ルエステル 参考例3の工程1で得られた4−ブロモ−3−ブロモメ
チル安息香酸メチルエステル(6.9g,23mmol)および参
考例3の工程2で得られた3−ヒドロキシ−4−ニトロ
安息香酸メチルエステル(4.9g,25mmol)をDMF(115m
L)に溶解し、ここへ炭酸カリウム(3.7g,27mmol)を
加え、90℃で1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸
エチルで抽出した。有機層を水、次いで飽和食塩水で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留
去し、標記化合物(8.6g,90%)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.83(s,3H),3.
91(s,3H),5.46(s,2H),7.71(dd,J = 1.6,8.2
Hz,1H),7.86(d,J = 1.3Hz,2H),7.92(d,J =
1.6Hz,1H),8.04(d,J = 8.2Hz,1H),8.21(s,1
H)
【0090】工程4:4−アミノ−3−(2−ブロモ−
5−メトキシカルボニルベンジルオキシ)安息香酸メチ
ルエステル 参考例3の工程3で得られた3−(2−ブロモ−5−メ
トキシカルボニルベンジルオキシ)−4−ニトロ安息香
酸メチルエステル(7.9g,19mmol)をエタノール(186m
L)に溶解し、ここへ濃塩酸(17mL)および塩化スズ・二
水和物(17g,75mmoL)を加え、60℃で50分間攪拌し
た。反応液を冷却し、飽和重曹水をゆっくり加えた。酢
酸エチルで抽出し、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留
去し、標記化合物(16g) を得た。 1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.73(s,3H),
3.85(s,3H),5.20(s,2H),5.66(bs,2H),6.68
(d,J = 8.2Hz,1H),7.35-7.45(m,2H),7.75-7.9
5(m,2H),8.13(s,1H)
【0091】工程5:2−(2−ブロモ−5−メトキシ
カルボニルベンジルオキシ)−4−メトキシカルボニル
ホルムアニリド 参考例3の工程4で得られた4−アミノ−3−(2−ブ
ロモ−5−メトキシカルボニルベンジルオキシ)安息香
酸メチルエステル(1 5g)をギ酸(57mL)に溶解し、こ
こへギ酸ナトリウム(5.2g,76mmol)を加え、120℃で
1.5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、水にゆっ
くりと添加した。この水溶液を酢酸エチルで抽出し、有
機層を水、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、標
記化合物(6.5g,2工程通算収率85%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.83(s,3H),
3.86(s,3H),5.35(s,2H),7.55-7.70(m,2H),
7. 85-7.95(m,2H),8.19(s,1H),8.35-8.45(s,
2H),9.89(s,1H)
【0092】工程6:5,11−ジヒドロ−2,8−ジ
メトキシカルボニルジベンズ[b,e][1,4]オキ
サゼピン 参考例3の工程5で得られた2−(2−ブロモ−5−メ
トキシカルボニルベンジルオキシ)−4−メトキシカル
ボニルホルムアニリド(6.5g,15mmol)をDMF(30mL)
に溶解し、ここへ銅(410mg,6.5mmol)および炭酸カリ
ウム(3.2g,23mmol)を加え、150℃で4時間攪拌した。
反応液を室温まで冷却し、水、酢酸エチルを加えた。こ
の溶液を濾過し、濾液を分液後、有機層を水、次いで飽
和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
溶媒を減圧留去し、標記化合物(3.8g,72%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.78(s,3H),
3.79(s,3H),5.04(s,2H),7.10(d,J = 8.2Hz,
1H),7.14(d,J = 8.2Hz,1H),7.43(d,J =1.6H
z,1H),7.55(d,J = 8.2Hz,1H),7.75-7.85(m,2
H),9.64(s,1H)
【0093】工程7:5−(2,6−ジフルオロベンジ
ル)−5,11−ジヒドロ−2,8−ジメトキシカルボ
ニルジベンズ[b,e][1,4]オキサゼピン 参考例3の工程6で得られた5,11−ジヒドロ−2,
8−ジメトキシカルボニルジベンズ[b,e][1,
4]オキサゼピン(300mg,0.96mmol)をDMF(10mL)に
溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(60% in oil;46m
g,1.1mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。ここへ
2,6−ジフルオロベンジルブロミド(297mg,1.4mmo
l)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液に水を加え、
酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去
し、標記化合物(490mg,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.75(s,3H),
3.80(s,3H),5.18(s,2H),5.21(s,2H),6.95-
7.55(m,7H),7.90(d,J = 8.6Hz,1H),7.93(s,
1H)
【0094】工程8:5−(2,6−ジフルオロベンジ
ル)−2,8−ジホルミル−5,11−ジヒドロジベン
ズ[b,e][1,4]オキサゼピン アルゴン雰囲気下、水素化リチウムアルミニウム(97m
g,2.6mmol)をTHF(12mL)に懸濁し、氷冷下、参考例
3の工程7で得られた5−(2,6−ジフルオロベンジ
ル)−5,11−ジヒドロ−2,8−ジメトキシカルボ
ニルジベンズ[b,e][1,4]オキサゼピン(280m
g,0.64mmol)のTHF溶液(10mL)を滴下し、0℃で30分
間、次いで室温で1時間攪拌した。反応液に硫酸ナトリ
ウム・十水和物を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を
セライト濾過し、濾液を減圧濃縮した。残さをクロロホ
ルム(20 mL)に溶解し、ここへ二酸化マンガン(1.1
g,13mmol)を加え、室温で15時間15分間攪拌した。反
応液を減圧濾過し、濾液を減圧濃縮した。残さをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル
=4/1〜2/1)にて精製し、標記化合物(140mg,38%)
を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)5.16(s,2H),5.
27(s,2H),6.81(d,J = 8.1Hz,1H),6.84(d,J
= 8.1Hz,1H),7.10-7.25(m,1H),7.29(d,J = 8.
4Hz,1H),7.32(d,J = 1.8Hz,1H),7.36(d,J =
8.2Hz,1H),7.41(dd,J = 1.8,8.4Hz,1H),7.76
(d,J = 1.8Hz,1H),7.80(dd,J = 1.8,8.2Hz,1
H),9.78(s,1H),9.91(s,1H)
【0095】参考例4:5−(2,6−ジフルオロベン
ジルオキシ)−2,8−ジホルミル−10,11−ジヒ
ドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン 工程1:4−ブロモ−2−メチル安息香酸メチルエステ
ル 4−ブロモ−2−メチル安息香酸(23g,110mmol)をDM
F(110mL)に溶解し、ここへヨウ化メチル(10mL,160m
mol)および炭酸カリウム(15g,110mmol)を加え、室
温で1時間45分間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エ
チルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、標記化
合物(23g,95%)を得た。1 H NMR (270 MHz,CDCl3)δ(ppm) 2.58 (s,3
H),3.88 (s,3H),7.38(d,J = 8.4Hz,1H),7.
41 (s,1H),7.78 (d,J = 8.4Hz,1H)
【0096】工程2:4−ブロモ−2−ブロモメチル安
息香酸メチルエステル 参考例4の工程1で得られた4−ブロモ−2−メチル安
息香酸メチルエステル(23g,100mmol)を四塩化炭素
(100mL)に溶解し、ここへN−ブロモスクシンイミド
(20g,110mmol)およびα,α’-アゾビスイソブチロニ
トリル(触媒量)を加え、4時間35分間加熱還流した。
反応液にN−ブロモスクシンイミド(1.8g,10mmol)を
加え、さらに2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷
却し、析出物を減圧濾過により取り除いた。溶媒を減圧
留去し、標記化合物(34g,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.94(s,3H),4.
89(s,2H),7.50(dd,J = 1.9,8.4Hz,1H),7.63
(d,J = 1.9Hz,1H),7.84(d,J = 8.4Hz,1H)
【0097】工程3:[(5−ブロモ−2−メトキシカ
ルボニルフェニル)メチル]トリフェニルホスホニウム
ブロミド 参考例4の工程2で得られた4−ブロモ−2−ブロモメ
チル安息香酸メチルエステル(14g,45mmol)をアセト
ニトリル(70mL)に溶解し、ここへトリフェニルホスフ
ィン(12g,45mmol)を加え2時間40分間加熱還流した。
反応液を減圧濃縮することにより、標記化合物(19g,7
3%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.43(s,3H),
5.48(d,J = 16Hz,2H),7.45-7.65(m,7H),7.70-
7.80(m,6H),7.85-7.95(m,4H)
【0098】工程4:4−ブロモ−2−[2−(3−ブ
ロモフェニル)エテニル]安息香酸 参考例4の工程3で得られた[(5−ブロモ−2−メト
キシカルボニルフェニル)メチル]トリフェニルホスホ
ニウムブロミド(19g,33mmol)をアセトニトリル(41m
L)に溶解し、ここへ3−ブロモベンズアルデヒド(3.9
mL,33mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.
0]−7−ウンデセン(5.0mL,33mmol)を加え、4時間
20分間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、残さにクロ
ロホルム、水を加えた。有機層を2mol/L塩酸水溶液で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去
した。この残さをメタノール(79mL)および水(16mL)
に溶解し、ここへ水酸化カリウム(4.7g,83mmol)を加
え、1.5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、残さ
へ2mol/L塩酸水溶液および水を加え、酢酸エチルで抽出
した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)にて
精製し、標記化合物(11g,85%)を得た。
【0099】工程5:4−ブロモ−2−[2−(3−ブ
ロモフェニル)エチル]安息香酸 参考例4の工程4で得られた4−ブロモ−2−[2−
(3−ブロモフェニル)エテニル]安息香酸(11g,28m
mol)をトルエン(190mL)に溶解し、ここへ酸化プラチ
ナ(1.1g)を加え、水素雰囲気下7時間攪拌した。反応
液を減圧濾過し、濾液を減圧濃縮することにより、標記
化合物(6.1g,56%)を得た。1 H NMR(270 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.79(d,J = 11
Hz,1H),2.82(d,J =8.6Hz,1H),3.14(d,J = 8.
6Hz,1H),3.16(d,J = 11Hz,1H),7.15-7.20(m,
2H),7.37(dt,J = 2.0,8.4Hz,1H),7.45(s,1
H),7.50(dd,J= 2.0,8.4Hz,1H),7.57(d,J =
2.0Hz,1H),7.76(d,J = 8.4Hz,1H),13.1(bs,1
H)
【0100】工程6:2,8−ジブロモジベンゾスベロ
ン 参考例4の工程5で得られた4−ブロモ−2−[2−
(3−ブロモフェニル)エチル]安息香酸(6.0g,16mm
ol)に、ポリリン酸(35g)を加え、150℃で5時間加熱
した。反応液を80℃まで冷却し、氷水にあけた。酢酸エ
チルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、次いで無
水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、標
記化合物(5.4g,94 %)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.16(s,4H),7.
41(d,J = 2.0Hz,2H),7.47(dd,J = 2.0,8.4Hz,
2H),7.90(d,J = 8.4Hz,2H)
【0101】工程7:2,8−ジブロモジベンゾスベロ
ール 参考例4の工程6で得られた2,8−ジブロモジベンゾ
スベロン(3.0g,8.2mmol)をメタノール(82mL)に溶
解し、ここへ水素化ホウ素ナトリウム(370mg,9.8mmo
l)を加え、室温で1時間50分間攪拌した。反応液に水素
化ホウ素ナトリウム(370mg,9.8mmol)を加え、さらに
3時間25分間攪拌した。反応液へ飽和重曹水を少量加
え、さらに水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機
層を飽和食塩水で洗浄、次いで無水硫酸マグネシウムで
乾燥した。溶媒を減圧留去し、標記化合物(2.9g,96
%)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.00-3.20(m,2
H),3.20-3.45(m,2H),5.92(s,1H),7.25-7.40
(m,6H)
【0102】工程8:2,8−ジホルミルジベンゾスベ
ロール アルゴン雰囲気下、参考例4の工程7で得られた2,8
−ジブロモジベンゾスベロール(8.0g,22mmol)をTHF
(400mL)に溶解し、-78℃に冷却した。ここへ、n−ブ
チルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液;55mL,86mmo
l)、次いでDMF(33mL)を内温-60℃以下で滴下し、0℃
まで昇温しながら15分間攪拌した。反応液に水を加え、
酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去
し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/
酢酸エチル=3/1)にて精製し、標記化合物(900mg,26
%)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.20-3.45(m,4
H),6.39(s,1H),7.66(s,2H),7.72(d,J = 7.
9Hz,2H),7.79(d,J = 7.9Hz,2H),9.96(s,2H)
【0103】工程9:5−(2,6−ジフルオロベンジ
ルオキシ)−2,8−ジホルミル−10,11−ジヒド
ロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン 参考例4の工程8で得られた2,8−ジホルミルジベン
ゾスベロール(430mg,1.6mmol)をジクロロメタン(30
mL)に溶解し、ここへ2,6−ジフルオロベンジルアル
コール(0.21mL,1.9mmol)およびメタンスルホン酸
(0.12mL,1.9mmol)を加え、室温で1時間25分間攪拌し
た。反応液に飽和重曹水、次いで水を加え、クロロホル
ムで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチ
ル=3/1)にて精製し、標記化合物(370mg,58%)を得
た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)3.20-3.55(m,4
H),4.69(s,2H),5.84(s,1H),6.89(d,J = 7.
6Hz,1H),6.92(d,J = 7.6Hz,1H),7.20-7.35
(m,1H),7.60-7.75(m,6H),9.95(s,2H)
【0104】参考例5:2,8−ジホルミル−10,1
1−ジヒドロ−5−メチル−5H−ジベンゾ[a,d]
シクロヘプテン−5−オール 工程1:2,8−ジブロモ−10,11−ジヒドロ−5
−メチル−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−
5−オール アルゴン雰囲気下、参考例4の工程6で得られた2,8
−ジブロモジベンゾスベロン(1.0g,3.1mmol)をTHF
(31mL)に溶解し、-78℃に冷却した。ここへ、メチル
リチウム(1.14mol/Lヘキサン溶液;8.2mL,9.3mmo
l)、次いでDMF(3mL)を内温-60℃以下で滴下し、0℃
まで昇温しながら15分間間攪拌した。反応液に水を加
え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で
洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧
留去し、標記化合物(1.1g,定量的)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)1.84(s,3H),2.
95-3.10(m,2H),3.20-3.35(m,2H),7.26(d,J =
2.1Hz,2H),7.36(dd,J = 2.1,8.7Hz,2H),7.79
(d,J = 8.7Hz,2H)
【0105】工程2:2,8−ジホルミル−10,11
−ジヒドロ−5−メチル−5H−ジベンゾ[a,d]シ
クロヘプテン−5−オール アルゴン雰囲気下、参考例5の工程1で得られた2,8
−ジブロモ−10,11−ジヒドロ−5−メチル−5H
−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オール(30
0mg,0.79mmol)をTHF(16mL)に溶解し、-78℃に冷却
した。ここへ、n−ブチルリチウム(1.59mol/Lヘキサ
ン溶液;4.9mL,7.9mmol)、次いでDMF(3mL)を内温-6
0℃以下で滴下し、0℃まで昇温しながら15分間攪拌し
た。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層
を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、
標記化合物(40mg,18%)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)1.95(s,3H),3.
05-3.25(m,2H),3.35-3.55(m,2H),7.61(d,J =
2.9Hz,2H),7.71(dd,J = 2.9,8.2Hz,2H),8.13
(d,J = 8.2Hz,2H),9.92(s,2H)
【0106】参考例6:2,8−ジホルミル−5−メト
キシ−5−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベ
ンゾ[a,d]シクロヘプテン 工程1:2,8−ジブロモ−5−メトキシ−5−メチル
−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シ
クロヘプテン 参考例5の工程1で得られた2,8−ジブロモ−10,
11−ジヒドロ−5−メチル−5H−ジベンゾ[a,
d]シクロヘプテン−5−オール(800mg,2.1mmol)を
DMF(21mL)に溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(60
% in oil;100mg,2.5mmol)を加え、室温で30分間攪
拌した。ここへヨウ化メチル(0.2mL,3.1mmol)を加
え、室温で1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エ
チルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、標
記化合物(760mg,91%)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)1.75(s,3H),2.
94(s,3H),3.03(s,4H),7.26(d,J = 2.3Hz,2
H),7.39(dd,J = 2.3,8.6Hz,2H),7.58(d,J =
8.6Hz,2H)
【0107】工程2: 2,8−ジホルミル−5−メトキ
シ−5−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベン
ゾ[a,d]シクロヘプテン アルゴン雰囲気下、参考例6の工程1で得られた2,8
−ジブロモ−5−メトキシ−5−メチル−10,11−
ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン
(750mg,1.9mmol)をTHF(7mL)に溶解し、-78℃に冷
却した。ここへ、n−ブチルリチウム(1.59mol/Lヘキ
サン溶液;7.0mL,11mmol)、次いでDMF(3mL)を内温-
60℃以下で滴下し、0℃まで昇温しながら15分間攪拌し
た。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層
を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、
標記化合物(81mg,15%)を得た。1 H NMR(270 MHz,CDCl3)δ(ppm)1.85(s,3H),3.
00(s,3H),3.22(s,4H),7.65(d,J = 2.0Hz,2
H),7.80(dd,J = 2.0,8.3Hz,2H),7.94(d,J =
8.3Hz,2H),10.01(s,2H)
【0108】参考例7:(E)−6,11−ジヒドロ−
2−メチル−11−(2−オキソエチリデン)ジベンゾ
[b,e]オキセピン−4−カルボアルデヒド 工程1:4−ブロモ−2−メチル−6H−ジベンゾ
[b,e]オキセピン−11−オン ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. M
ed. Chem.)、35巻、3394頁(1992年)等に記載されて
いる方法に準じて合成した2−メチル−6H−ジベンゾ
[b,e]オキセピン−11−オン(40g,178mmol)、
鉄(1g)、ヨウ素(1g)にクロロホルム(400mL)を加
えた。臭素(15mL,290mmol)を滴下した後、60℃で1時
間加熱した。反応液を放冷後、飽和重曹水(50 0mL)に
注ぎ、室温で一晩攪拌した。有機層を分離後、チオ硫酸
ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残さをn−ヘキ
サン/イソプロピルエーテルでトリチュレーションする
ことにより、淡黄色結晶物の標記化合物(51.8g,96
%)を得た。
【0109】工程2:4−ブロモ−6,11−ジヒドロ
−11−ヒドロキシ−2−メチルジベンゾ[b,e]オ
キセピン 参考例7の工程1で得られた4−ブロモ−2−メチル−
6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−オン(25
g,82mmol)をメタノール(300mL)に溶解し、氷冷
下、水素化ホウ素ナトリウム(6.9g,160mmol)を添加
した。反応混合物を室温で1.5時間攪拌した後、再度氷
冷し、アセトンを加えた。反応液を減圧濃縮し、残さを
酢酸エチルで抽出した。有機層を水、次いで飽和食塩水
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減
圧留去し、残さをn−ヘキサン/イソプロピルエーテル
でトリチュレーションすることにより、淡黄色結晶物の
標記化合物(23.6g,94%)を得た。
【0110】工程3:4−ブロモ−6,11−ジヒドロ
−11−メトキシ−2−メチルジベンゾ[b,e]オキ
セピン 参考例7の工程2で得られた4−ブロモ−6,11−ジ
ヒドロ−11−ヒドロキシ−2−メチルジベンゾ[b,
e]オキセピン(13g,43mmol)、トシル酸一水和物
(0.4g,2.1mmol)にメタノール(300mL)を加え、0.5
時間加熱還流した。溶媒を減圧留去し、残さを酢酸エチ
ルに溶解後、飽和重曹水、水の順で洗浄した。有機層を
無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。
残さをn−ヘキサンでトリチュレーションし、淡黄色結
晶物の標記化合物(12.6g,92%)を得た。
【0111】工程4:6,11−ジヒドロ−11−メト
キシ−2−メチルジベンゾ[b,e]オキセピン−4−
カルボン酸 参考例7の工程3で得られた4−ブロモ−6,11−ジ
ヒドロ−11−メトキシ−2−メチルジベンゾ[b,
e]オキセピン(20g,63mmol)のTHF溶液(250mL)を
−72℃に冷却し、ここにn−ブチルリチウム(1.65 mol
/Lヘキサン溶液,39mL)を滴下した。3.5時間攪拌した
後、反応液を大過剰のドライアイスに注いだ。反応混合
物を室温まで昇温し、溶媒を減圧留去した。残さに水、
次いで10mol/L水酸化ナトリウムを加え、pHを1 2に調製
した。酢酸エチルで洗浄した後、濃塩酸でpHを3.4と
し、析出した固体を濾取した。この固体をジクロロメタ
ンに溶解し、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。溶媒を減圧留去し、残さをn−ヘキサン/イソプロ
ピルエーテルでトリチュレーションすることにより、標
記化合物(12.8g,72%)を淡黄色結晶物として得た。
【0112】工程5:6,11−ジヒドロ−11−メト
キシ−2−メチルジベンゾ[b,e]オキセピン−4−
カルボン酸メチルエステル 参考例7の工程4で得られた6,11−ジヒドロ−11
−メトキシ−2−メチルジベンゾ[b,e]オキセピン
−4−カルボン酸(5.05g,17.8mmol)をDMF(20mL)に
溶解し、炭酸カリウム(5g,36mmol)、ヨウ化メチル
(2.2mL,35mmol)を加えた後、室温で2.5時間攪拌し
た。反応液をエーテル/水で分配し、有機層をさらに飽
和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を減圧留去し、標記化合物を黄色油状物として得
た。本化合物は精製することなく、以下の反応に用い
た。
【0113】工程6:6,11−ジヒドロ−2−メチル
−11−オキソジベンゾ[b,e]オキセピン−4−カ
ルボン酸メチルエステル 参考例7の工程5で得られた6,11−ジヒドロ−11
−メトキシ−2−メチルジベンゾ[b,e]オキセピン
−4−カルボン酸メチルエステル(2.33g,7.8mmol)を
ジクロロメタン(70mL)/水(7mL)に溶解し、2,3−
ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン
(3.6g,15mmol)を加えた。室温で二晩攪拌した後、
2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾ
キノン(1.8g,7.7mmol)を追加し、さらに二晩攪拌し
た。反応液をセライトに通して濾過し、濾液を飽和重曹
水、次いで飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残さをイソプロピル
エーテルでトリチュレーションすることにより、標記化
合物(1.63g,74%)を白色結晶物として得た。1 H NMR(CDCl3)δ(ppm)2.38(s,3H),3.91(s,3
H),5.26(s,2H),7.37(d,J = 7.6Hz,1H),7.47
(m,1H),7.56(m,1H),7.73(d,J = 2.6Hz,1
H),7.92(dd,J = 1.3,7.6Hz,1H),8.20(d,J =
2.6Hz,1H)
【0114】工程7:(E)−11−エトキシカルボニ
ルエチリデン−6,11−ジヒドロ−2−メチルジベン
ゾ[b,e]オキセピン−4−カルボン酸エチルエステ
ル トリエチルホスホノアセテート(3.6mL,18mmol)をTHF
(50mL)に溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(60% i
n oil;725mg,18mmol)を加えた。室温で0.5時間攪拌
後、参考例7の工程6で得られた6,11−ジヒドロ−
2−メチル−11−オキソジベンゾ[b,e]オキセピ
ン−4−カルボン酸メチルエステル(1.7 g,6mmol)の
THF溶液(20 mL)を添加し、2時間加熱還流した。反応
液を放冷後、溶媒を減圧留去し、残さに氷水を加えた。
トルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残さ
をn−ヘキサンでトリチュレーションすることにより、
標記化合物(970mg,44%)を淡黄色結晶物として得
た。1 H NMR(CDCl3)δ(ppm)1.14(t,J = 7.3Hz,3H),
1.35(t,J = 7.3Hz,3H),2.28(s,3H),4.07(q,
J = 7.3Hz,2H),4.32(q,J = 7.3Hz,2H),5.1-5.5
(m,2H),6.31(s,1H),7.1-7.5(m,6H)
【0115】工程8:(E)−2−(6,11−ジヒド
ロ−4−ヒドロキシメチル−2−メチルジベンゾ[b,
e]オキセピン−11−イリデン)エタノール 参考例7の工程7で得られた(E)−11−エトキシカ
ルボニルエチリデン−6,11−ジヒドロ−2−メチル
ジベンゾ[b,e]オキセピン−4−カルボン酸エチル
エステル(914mg,2.5mmol)のジクロロメタン溶液(45
mL)を、−68℃に冷却し、ここへ水素化ジイソブチルア
ルミニウム(1m ol/Lトルエン溶液,25mL)をゆっくり
と滴下した。1.5時間攪拌した後、飽和酒石酸カリウム
ナトリウム水溶液を加え、室温にて1.5時間攪拌した。
有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで
乾燥し、溶媒を減圧留去した。残さをイソプロピルエー
テルでトリチュレーションし、標記化合物(632mg,90
%)を白色結晶物として得た。1 H NMR(CDCl3)δ(ppm)1.47(bs,1H),1.59(bs,
1H),2.26(s,3H),4.23(d,J = 6.9Hz,2H),4.5
7(bs,2H),5.1 -5.4(m,2H),6.22(t,J =6.9H
z,1H),7.00(bs,1H),7.09(bs,1H),7.17(m,
1H),7.34(m,3H)
【0116】工程9:(E)−6,11−ジヒドロ−2
−メチル−11−(2−オキソエチリデン)ジベンゾ
[b,e]オキセピン−4−カルボアルデヒド 参考例7の工程8で得られた(E)−2−(6,11−
ジヒドロ−4−ヒドロキシメチル−2−メチルジベンゾ
[b,e]オキセピン−11−イリデン)エタノール
(311mg,1.1mmol)をクロロホルム(30mL)に溶解し、
活性二酸化マンガン(3.9g,45mmol)を加えた後、室温
で一晩攪拌した。反応液をセライトに通して濾過後、濾
液を減圧濃縮することにより、標記化合物(286mg,93
%)を淡黄色結晶物として得た。1 H NMR(CDCl3)δ(ppm)2.32(s,3H),5.10(bs,1
H),5.58(bs,1H),6.61(d,J = 7.9Hz,1H),7.3
-7.5(m,5H),7.67(d,J = 2.3Hz,1H),9.63(d,
J = 7.9Hz,1H),10.72(s,1H)
【0117】参考例8:N−(3,4−ジクロロベンジ
ル)−3,6−ジホルミルカルバゾール ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミ
ストリー(Eur. J. Med. Chem.)、32巻、781頁(1997
年)等に記載されている方法で合成することができる
3,6−ジホルミルカルバゾール(42mg,0.12mmol)を
DMF(5mL)に溶解し、水素化ナトリウム(60% in oi
l;31.3mg,0.783mmol)を加え、室温で1時間攪拌した
後、臭化3,4−ジクロロベンジル(0.2mL)を加え、
さらに同温度で3時間攪拌した。反応液に水を加え、ク
ロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、分
取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/
1)にて精製し、標記化合物(42.5mg,59%)を得た。1 H NMR(CDCl3)δ(ppm)5.56(s,2H),6.92(dd,J
= 2.3,8.2Hz,1H),7.20-7.30(m,1H),7.37(d,
J = 8.2Hz,1H),7.48(d,J = 8.6Hz,2H),8.07(d
d,J = 1.3,8.6Hz,2H),8.72(d,J = 1.3Hz,2
H),10.15(s,2H)
【0118】参考例9:N−[3,5−ビス(トリフル
オロメチル)ベンジル]−3,6−ジホルミルカルバゾ
ール 参考例8と同様にして、3,6−ジホルミルカルバゾー
ル(41.6mg,0.186mmol)、水素化ナトリウム(60% in
oil;33.2mg,0.83mmol)および臭化3,5−ビス(ト
リフルオロメチル)ベンジル(0.2mL,1.1mmol)より、
標記化合物(66.8mg,80%)を得た。1 H NMR(CDCl3)δ(ppm)5.72(s,2H),7.46(d,J
= 8.6Hz,2H),7.57(s,2H),7.84(s,1H),8.09
(dd,J = 1.6,8.6Hz,2H),8.75(d,J = 1.6Hz,2
H),10.17(s,2H)
【0119】
【発明の効果】本発明により、テロメラーゼ活性に関連
した疾患(例えば悪性腫瘍等)の治療に有用なビスヘテ
ロ五員環化合物、またはその薬理学的に許容される塩が
提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07D 417/14 C07D 417/14 // A61K 31/427 A61K 31/427 31/55 31/55 31/553 31/553 (72)発明者 山下 順範 静岡県駿東郡長泉町下土狩1188 協和醗酵 工業株式会社医薬総合研究所内 (72)発明者 浅井 章良 静岡県駿東郡長泉町下土狩1188 協和醗酵 工業株式会社医薬総合研究所内 Fターム(参考) 4C033 AD01 AD03 AD17 AD20 4C063 AA03 BB06 CC23 CC52 CC62 DD19 DD57 EE01 4C086 AA01 AA02 AA03 BC32 BC75 BC82 GA10 MA01 MA04 NA14 ZB26 ZC20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 {式中、Wは一般式(II) 【化2】 [式中、Xは−NR1−(式中、R1は水素原子、置換も
    しくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の
    アラルキル、または置換もしくは非置換のヘテロアリー
    ルアルキルを表す)、または−CR23−(式中、R2
    およびR3は、同一または異なって、水素原子、ヒドロ
    キシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしく
    は非置換の低級アルコキシ、または置換もしくは非置換
    のアラルキルオキシを表す)を表し、Xが−NR1
    (式中、R1は前記と同義である)であるとき、Yは−
    CH2−O−、−CH2−CH2−、−CH=CH−、ま
    たは単結合を表し、Xが−CR23−(式中、R2およ
    びR3はそれぞれ前記と同義である)であるとき、Yは
    −CH2−CH2−を表す]、一般式(III) 【化3】 (式中、R4は水素原子または低級アルキルを表し、Z
    は酸素原子または硫黄原子を表す)、または一般式(I
    V) 【化4】 を表し、Qは酸素原子、硫黄原子、またはNHを表し、
    Wが一般式(II)もしくは一般式(III)である
    か、またはWが一般式(IV)であり、QがNHである
    とき、Pは酸素原子、硫黄原子、またはNHを表し、W
    が一般式(IV)であり、Qが硫黄原子または酸素原子
    であるとき、Pは硫黄原子またはNHを表す}で表され
    るビスヘテロ五員環化合物またはその薬理学的に許容さ
    れる塩。
  2. 【請求項2】 Wが一般式(II)で表される請求項1
    記載のビスヘテロ五員環化合物またはその薬理学的に許
    容される塩。
  3. 【請求項3】 Wが一般式(III)または一般式(I
    V)で表される請求項1記載のビスヘテロ五員環化合物
    またはその薬理学的に許容される塩。
  4. 【請求項4】 Pが硫黄原子を表し、Qが酸素原子を表
    す請求項1〜3のいずれかに記載のビスヘテロ五員環化
    合物またはその薬理学的に許容される塩。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のビスヘ
    テロ五員環化合物またはその薬理学的に許容される塩を
    有効成分として含有する医薬。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載のビスヘ
    テロ五員環化合物またはその薬理学的に許容される塩を
    有効成分として含有するテロメラーゼ阻害剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載のビスヘ
    テロ五員環化合物またはその薬理学的に許容される塩を
    有効成分として含有する抗腫瘍剤。
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