JP2002321998A - タングステン酸鉛単結晶 - Google Patents

タングステン酸鉛単結晶

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JP2002321998A
JP2002321998A JP2001125243A JP2001125243A JP2002321998A JP 2002321998 A JP2002321998 A JP 2002321998A JP 2001125243 A JP2001125243 A JP 2001125243A JP 2001125243 A JP2001125243 A JP 2001125243A JP 2002321998 A JP2002321998 A JP 2002321998A
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JP2001125243A
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Yoshiyuki Usu
善行 薄
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Furukawa Co Ltd
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Furukawa Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度で、蛍光の減衰時間が短く、光量が大
で、医療用の放射線検出に有用なシンチレータ材料とな
るタングステン酸鉛単結晶を得る。 【解決手段】 三酸化タングステン及び酸化鉛、又はタ
ングステン酸鉛を主原料として使用し製造されるタング
ステン酸鉛単結晶であって、分子式Pb1-X Cd X WO
4 におけるXの値が0.01以上、0.30以下となる
ようカドミウムを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陽子射出断層撮影
(PET:Positron Emission Tomography)等の医療用
の放射線検出に有用なシンチレータ材料であるタングス
テン酸鉛単結晶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PET等に使用されるγ線等の放射線を
検出するためのシンチレータには、時間分解能にすぐれ
た材料、すなわち放射線によって励起され、そのエネル
ギーを放出する際に発生する光の減衰時間の短いもの
(好ましくは数ナノ秒以下)が要求される。さらに、空
間分解能がすぐれた材料、すなわち単位体積当たりの放
射線の吸収能力を高める高密度の材料が要求される。一
方、測定器の感度の点からは、光量(p.e./Me
V:p.e.はフォトエレクトロン)が大きい程有利と
なる。
【0003】上記の要求を満たすための材料として、従
来Bi4 Ge3 12が使用されていた。しかし、近年医
療用機器の高性能化に対応するため、より高密度で、蛍
光の減衰時間が短い材料を求めて種々の物質の探索が行
われてきた。現在、Gd2 SiO5 :Ce、Lu2 Si
5 :Ce、PbWO4 等を使用してPETを作る試み
が行われている。表1にこれらのシンチレータ材料の特
性を示している。これらシンチレータ材料は、通常単結
晶で使用される。
【0004】
【表1】
【0005】このうち、Gd2 SiO5 :CeやLu2
SiO5 :Ceは高い光量を示す反面、密度が十分に高
いとはいえず、さらなる高密度に対する要求がある。P
bWO4 単結晶は、一般に回転引上法(チョクラルスキ
ー法)で製造される。すなわち、PbO及びWO3 、又
はPbWO4 を出発原料とし、白金坩堝中で加熱溶融
し、チョクラルスキー法で単結晶を製造する。
【0006】PbWO4 は高密度で減衰時間が短いが、
同じ強さの放射線が当たった時の光量は、相対値でBi
4 Ge3 12に対し1/25、 Gd2 SiO5 に対し1
/50、 さらにLu2 SiO5 :Ceに対し1/188
と極めて小さいため、PET用には不適であった。とこ
ろが近年は、光検出器としてフォトダイオードの性能が
飛躍的に向上したことによって少量の光量でも検出が可
能になっており、検出可能な最低限の光量は従来のPb
WO4 の2倍あれば良いとされている。
【0007】そこで、PbWO4 の高密度で蛍光の減衰
時間が短いという利点を生かしつつその光量を増加させ
るために、種々の試みがなされている。その方法の一例
は、Moの添加である。PbWO4 にMoを添加する
と、放射線の弱い領域では光量が増加したように見える
が、放射線の強い領域では無添加の結晶と同じ光量であ
り、しかもMoの添加で蛍光の減衰時間を悪化させる。
【0008】また、希土類のTb、Pr、Eu、Smを
添加すると光量の増加が認められるが、減衰時間の遅い
成分の光量が増加し、減衰時間の早い成分の光量は増加
しないという欠点がある。このように、蛍光の減衰時間
が短く、かつ大きな光量を示すようなPbWO4単結晶
の製造は未だに成功が得られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとくPbWO
4 単結晶は、光量の増加が要求されている。光量は、従
来のPbWO4 単結晶と比較して少なくとも2倍以上必
要である。本発明は、上記問題を解決するものであっ
て、蛍光の減衰時間を犠牲にすることなしに光量を大と
し、PET等の医療用の放射線検出に有用なシンチレー
タ材料となるタングステン酸鉛単結晶を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のタングステン酸
鉛単結晶は、三酸化タングステン及び酸化鉛、又はタン
グステン酸鉛を主原料として使用し製造されるタングス
テン酸鉛単結晶であって、分子式Pb1-X CdX WO4
におけるXの値が0.01以上、0.30以下となるカ
ドミウムを含有することを特徴とする。
【0011】本発明者は、蛍光の減衰時間が短く、かつ
大きな光量を発するタングステン酸鉛単結晶を求めて鋭
意研究した結果、従来のPbWO4 単結晶の光量が30
p.e./MeVであるのに対し、Pbの一部をCdに
置換したPb1-X CdX WO 4 単結晶の光量は、Cd量
Xの増加とともに上昇し、Cd量Xの少ない組成領域で
は蛍光の減衰時間が従来のPbWO4 単結晶と変わらな
いという現象を見出し、この知見に基づき本発明のタン
グステン酸鉛単結晶を得るに至った。
【0012】0.01≦X≦0.3の領域におけるPb
1-X CdX WO4 の特性を表2に示す。
【0013】
【表2】
【0014】PbWO4 単結晶は、X<0.01では光
量が30p.e./MeVと小さく、また、X>0.3
0では蛍光の減衰時間が急激に増加するためシンチレー
タの時間分解能が低下する。従って、0.01≦X≦
0.30とすることでシンチレータとして最適な特性が
得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】PbO及びWO3 、又はPbWO
4 を出発原料とし、白金坩堝中で加熱溶融し、チョクラ
ルスキー法でPb1-X CdX WO4 単結晶を製造する。
Cd量Xは0.01≦X≦0.30とする。Cd量X=
0.01は2475ppmに相当し、Pb1-X CdX
4 単結晶の組成を精密に制御するために、PbO及び
WO3 、又はPbWO4 は、Cd含有量を極力低下させ
たものを使用する必要がある。したがって出発原料とし
て用いるPbO及びWO3 、又はPbWO4 中のCd含
有量は、3×10-7モル以下とし、また、PbO及びW
3 、又はPbWO4 に含まれるCdを除く不純物の総
量は1×10-4モル以下、好ましくは10-5モル以下と
する。
【0016】出発原料はこれら酸化物が最適であるが、
目的とするPb1-X CdX WO4 単結晶が製造できるも
のであれば他の原料の使用も可能である。得られた単結
晶を所定の大きさに切断し、鏡面研磨した後に60Co源
のγ線を照射した時の光量は、最大70p.e./Me
V、また蛍光の減衰時間は10ナノ秒を維持し、シンチ
レータとして極めて良好な特性を示す。
【0017】
【実施例】純度99.99%のPbO及びCdOの所定
量の混合粉に対しWO3 粉末を等モル計量し混合した
後、これを直径70mm、高さ70mmの白金坩堝に入
れ、高周波加熱により混合粉末原料を溶融し、その融液
からチョクラルスキー法で直径35mm、長さ65mm
のPb1-X CdX WO4 単結晶を製造した。
【0018】ここでCdOはCd量が表3に示す所定の
X値になるようにそれぞれ計量した。また、PbOとW
3 粉末中のCd含有量は3×10-7モル以下であっ
た。得られたPb1-X CdX WO4 単結晶を1×1×2
cmの大きさに切断し、鏡面研磨して、1cmの厚さの
方向から60Co源のγ線を照射した時の光量及び蛍光の
減衰時間をそれぞれ測定した。
【0019】
【表3】
【0020】結果を図1に示す。図1はカドミウム量X
と光量及び蛍光の減衰時間の関係を示している。光量
は、X=0.01で上昇し始め、0.10≦X≦0.3
0でPbWO4 単結晶の約2倍の70p.e./MeV
となり、その後Xの増加とともに上昇する。一方、蛍光
の減衰時間は、X≦0.30では10ナノ秒をいじして
おり、X>0.30で悪化し始める。
【0021】従って、0.01≦X≦0.30のPb
1-X CdX WO4 単結晶は、従来のPbWO4 単結晶よ
り光量が大きく、さらに傾向の減衰時間が極めて短いた
め、PET等の医療用の放射線を検出するシンチレータ
として十分実用に耐えるものとなる。
【0022】
【発明の効果】このように、本発明のタングステン酸鉛
単結晶は、密度が高く、光量が大きく、かつ蛍光の減衰
時間が短いため、PET等の医療用の放射線検出に有用
なシンチレータ材料とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はカドミウム量Xと光量及び蛍光の減衰時
間の関係を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年5月30日(2001.5.3
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】結果を図1に示す。図1はカドミウム量X
と光量及び蛍光の減衰時間の関係を示している。光量
は、X=0.01で上昇し始め、0.10≦X≦0.3
0でPbWO4 単結晶の約2倍の70p.e./MeV
となり、その後Xの増加とともに上昇する。一方、蛍光
の減衰時間は、X≦0.30では10ナノ秒を維持して
おり、X>0.30で悪化し始める。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三酸化タングステン及び酸化鉛、又はタ
    ングステン酸鉛を主原料として使用し製造されるタング
    ステン酸鉛単結晶であって、 分子式Pb1-X CdX WO4 におけるXの値が0.01
    以上、0.30以下となるカドミウムを含有することを
    特徴とするタングステン酸鉛単結晶。
JP2001125243A 2001-04-24 2001-04-24 タングステン酸鉛単結晶 Withdrawn JP2002321998A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100398701C (zh) * 2006-09-15 2008-07-02 嘉兴学院 晶体生长原料处理方法
US20150018195A1 (en) * 2012-03-13 2015-01-15 Joris Laarman Studio Bv Ceramic foam

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Legal Events

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Effective date: 20080701