JP2002321956A - 人工大理石の製造方法 - Google Patents

人工大理石の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物性を低下させることなく、従来の人工大理
石には見られなかった、繊細且つ優美な外観を呈する意
匠性の優れた人工大理石の製造方法を提供する。 【解決手段】 メタクリル酸メチルを主成分とする重合
性成分(A)20〜75質量%と、無機充填材(B)2
0〜75質量%と、前記重合性成分(A)20〜75質
量%及び前記無機充填材(B)20〜75質量%から成
る厚さ0.001〜0.2mm、面積1〜500mm2
の重合硬化物薄片(C)0.01〜5質量%とを混合攪
拌し、重合硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来の人工大理石
には見られない繊細で優美な外観を呈し、且つ物性の優
れた人工大理石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から様々な人工大理石が開発されて
おり、優れた強度及び耐候性、優美な質感、施工及び加
工の容易性などから、その使用量は年々増加してきてい
る。その中で花崗岩調人工大理石は、重合性成分と無機
充填材から成るマトリックスに、該マトリックスとほぼ
同組成の着色もしくは半透明の粉砕粒子を添加すること
により製造されており、また特開2000−21095
6号公報には熱硬化性樹脂に熱硬化性樹脂製の鱗片状薄
片柄材を混合した樹脂コンパウンドを注型成形して天然
大理石に類似した人工大理石を製造する方法が開示され
ている。
【0003】このような重合性成分と無機充填材から成
るマトリックスに、該マトリックスとほぼ同組成の柄材
を添加することによって加工性、強度、耐候性等の物性
を低下させることなく花崗岩調の人工大理石を製造する
ことは出来るが、従来マトリックスに添加されていた柄
材は、攪拌混合しても崩れない程硬い粒子又は厚い薄片
であり、マトリックス中に添加混合してもそれ自体の形
状に変化が無く、外観上は花崗岩調の域を出ず、人工大
理石としては目新しいものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の問題点を解消し、物性を低下させることなく、従来の
人工大理石には見られなかった、繊細且つ優美な外観を
呈する意匠性の優れた人工大理石の製造方法の提供を課
題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は、メタクリル
酸メチルを主成分とする重合性成分(A)20〜75質
量%と、無機充填材(B)20〜75質量%と、前記重
合性成分(A)20〜75質量%及び前記無機充填材
(B)20〜75質量%から成る厚さ0.001〜0.
2mm、面積1〜500mm2の重合硬化物薄片(C)
0.01〜5質量%とを混合攪拌し、重合硬化させるこ
とを特徴とする人工大理石の製造方法により解決され
る。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いるメタクリル酸メチ
ルを主成分とする重合性成分(A)としては、メタクリ
ル酸メチルまたはメタクリル酸メチルと分子内にビニル
基1つ有する他のビニル単量体との単量体混合物、或い
はその部分重合体シラップが用いられる。具体的にはメ
タクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチル70質量%
以上と30質量%以下のメタクリル酸メチルと共重合可
能な分子内に1個のビニル基を有するビニル単量体、例
えばスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、又はメ
タクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
ラリウル、メタクリル酸2−エチルヘキシエル、メタク
リル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラ
リウル等の(メタ)アクリル酸エステルなどのα、β−
エチレン性不飽和化合物の1種又は2種以上の単量体混
合物、或いは部分重合体シラップである。
【0007】この重合性成分(A)は人工大理石の質量
を基準として20〜75質量%の範囲で使用される。2
0質量%未満になると人工大理石の成形が困難になり、
質感、外観、物性上の点からも好ましくない。また75
質量%を越える場合は、質感、外観上の点から好ましく
ない上、難燃性が低下する。
【0008】この重合性成分(A)としては、予備重合
させたシラップを用いることが好ましい。シラップを製
造するには、メタクリル酸メチルを重合させ、途中で重
合を停止させる方法、または塊状重合や懸濁重合によっ
てあらかじめ重合したメタクリル酸メチルを主成分とす
る重合体を、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体
に溶解する方法等が用いられる。シラップは25℃にお
ける粘度が20〜300cp(センチポイズ)を有する
ようなものであることが好ましい。
【0009】本発明に用いる無機充填材(B)として
は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウム、炭酸カルシウム、粉末タルク、粉末石英、
微細シリカ、珪藻土、石膏、粉末ガラス、粘度鉱物質、
粉末チョーク、大理石、石灰岩、コロイド状アスベス
ト、ステアリン酸アルミニウム、ムライト、珪酸カルシ
ウム、珪酸アルミニウムなどが挙げられるが、これらの
なかでも水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水
酸化カルシウム、炭酸カルシウムから選ばれる少なくと
も1種が好ましく、その中でも水酸化アルミニウムが特
に好ましい。これらの水酸化物は、高温時結晶水を放出
し、人工大理石の難燃性改善にも有効に作用し、また加
工性の向上にも寄与する。
【0010】無機充填材(B)のサイズは通常平均粒子
径が1〜150μmの範囲のものが用いられる。これは
平均粒子径を1μm以上にすることによって成形性が良
好になり、得られる成型品の意匠性が人工大理石特有の
ものとなる傾向に有り、また150μm以下にすること
によって無機充填材がマトリックスに均一に分散される
ためである。より好ましくは20〜80μmである。
【0011】無機充填材(B)は人工大理石の質量を基
準としたときに20〜75質量%の範囲で使用される。
好ましくは30〜70質量%である。無機充填材(B)
の含有量が20質量%未満の場合は、外観、質感の点か
ら好ましくなく、その上難燃性も低下する。また75質
量%を越える場合は成形が困難になり、外観、質感の点
からも好ましくない。この無機充填材(B)の表面を例
えばシラン系カップリング剤、チタネート系カップリン
グ剤、ステアリング酸などで処理したものも同様に用い
ることができる。
【0012】本発明の人工大理石を構成する(A)及び
(B)からなるマトリックスには外観を損ねない程度に
種々の添加剤を加えても良い。添加剤としては、例えば
紫外線吸収剤、難燃剤、抗菌剤、離型剤、流動化剤、増
粘剤等が挙げられる。また、着色顔料を添加することも
でき、着色顔料としてはチタン白、亜鉛華、鉛白、カー
ボンブラック、ベンガラ、朱、カドミウム赤、黄色鉛、
群青、コバルト青、コバルト紫等の無機顔料、またはア
ゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキ
ノン系、フタロシアニン系等の有機顔料が挙げられる。
【0013】本発明に用いる薄片(C)は、メタクリル
酸メチルを主成分とする重合性成分(A)20〜75質
量%及び無機充填材(B)20〜75質量%から成る混
合物を重合硬化させた硬化物を用いて製造する。薄片
(C)に用いる重合性成分(A)及び無機充填材(B)
は、マトリックスに用いる重合性成分(A)及び無機充
填材(B)と同じである。また薄片(C)にはマトリッ
クスと同様種々の添加剤や着色顔料を添加することがで
きる。
【0014】薄片(C)を構成する組成物を重合硬化さ
せる方法としては、通常は硬化触媒を併用する。この硬
化触媒としては、ターシャリーブチルパーオキシマレイ
ン酸、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、
ターシャリーブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペル
オキシド、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、アゾビ
スイソブチルニトリルなどが好ましい例として挙げられ
る。常温で重合硬化させる場合は、例えば過酸化物とア
ミン類、過酸化物とスルフィン酸類、過酸化物とコバル
ト化合物との組み合わせ、ターシャリーブチルパーオキ
シマレイン酸などのパーオキシル化合物とエチレングリ
コールギメチルカプトアセテート等のメルカプタン化合
物との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
【0015】薄片(C)を製造する方法としては、
(A)及び(B)からなる組成物をフィルムに非常に薄
く塗布し、重合硬化後フィルムをはずして粉砕切断する
方法、マトリックスをトリマーやカンナで削り、そのく
ずを利用する方法等が挙げられる。
【0016】本発明で用いる薄片(C)は、厚さが0.
001〜0.2mm、面積が1〜500mm2 であり、
この薄片(C)がマトリックス中で折れ曲がったり切れ
たりすることにより、繊細且つ優美で意匠性に富んだ人
工大理石としては全く新しい“和紙”のような外観を作
り出すことが出来る。薄片(C)の厚みが0.2mmを
越えると、マトリックスと混合攪拌しても薄片自体の形
状が変化せず、0.001mm未満であると、薄すぎるた
め攪拌中に壊れて粉状になってしまう。また面積が1mm2
未満であると添加されていても外観が従来の人工大理石
と変わらず、500mm2を越えると大きすぎて外観上
好ましくない。
【0017】また薄片(C)は、人工大理石の質量を基
準として0.01〜5質量%の範囲で混合するのが好ま
しく、より好ましくは約0.2〜2質量%である。0.
01%未満もしくは5%を越えると外観上から好ましく
ない。
【0018】本発明の人工大理石は、(A)、(B)及
び(C)からなる組成物を重合硬化して得られる。上記
組成物を重合硬化させる方法としては、薄片(C)の場
合と同様に通常は硬化触媒を併用する。この硬化触媒と
しては、ターシャリーブチルパーオキシマレイン酸、過
酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、ターシャ
リーブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシ
ド、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、アゾビスイソ
ブチルニトリルなどが好ましい例として挙げられる。常
温で重合硬化させる場合は、例えば過酸化物とアミン
類、過酸化物とスルフィン酸類、過酸化物とコバルト化
合物との組み合わせ、ターシャリーブチルパーオキシマ
レイン酸などのパーオキシル化合物とエチレングリコー
ルギメチルカプトアセテート等のメルカプタン化合物と
の組み合わせが好ましい例として挙げられる。
【0019】成型方法としては、バッチ式注型法、バッ
チ式プレス成型法、連続キャスト成型法等のいずれでも
良い。成形された人工大理石はその表面を研削すること
により、よりクリアーな商品価値の高い外観を得ること
が出来る。表面研削は0.1mm以上の深さで行うこと
が好ましい。
【0020】
【実施例】以下実施例に従い本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例において、シラップにはメタクリル酸
メチル80質量%とメタクリル酸メチル重合体20質量
%を混合したものを使用した。
【0021】[半透明薄片(C1)の製造]表1の配合
例1に記載の組成物を混合し、攪拌しつつ真空脱気し
た。この真空脱気された混合物を、ポリエステルフィル
ムを貼り、塩化ビニルのガスケットで囲んだガラスセル
内に注入した。このガラスセルを65℃に加温した温水
浴の中に入れて放置することによりシート状硬化物を得
た。この硬化物をトリマーで削り厚さ0.05〜0.1
mm、面積20〜200mm2の半透明薄片(C1)を得
た。
【0022】
【表1】
【0023】[白薄片 (C2−1),(C2−2)の
製造]表1の配合例2に記載の組成物を混合し、C1と
同様な方法でシート状硬化物を得た。この硬化物をトリ
マーで削り、厚さ0.05〜0.1mm、面積10〜20
0mm2の白薄片(C2−1)、厚さ0.2〜0.4m
m、面積10〜200mm2の薄片(C2−2)を得
た。
【0024】[焦げ茶薄片(C3)の製造]表1の配合
例3に記載の組成物を混合し、C1と同様な方法でシー
ト状硬化物を得た。この硬化物をトリマーで削り0.0
5〜0.1mm、面積20〜200mm2の焦げ茶薄片薄
片(C3)を得た。
【0025】[ベージュ薄片(C4)の製造]表1の配
合例4に記載の組成物を混合し、C1と同様な方法でシ
ート状硬化物を得た。この硬化物をトリマーで削り0.
05〜0.1mm、面積20〜200mm2のベージュ薄
片(C4)を得た。
【0026】[薄茶薄片(C5)の製造]表1の配合例
5に記載の組成物を混合し、C1と同様な方法でシート
状硬化物を得た。この硬化物をトリマーで削り0.05
〜0.1mm、面積20〜200mm2の薄茶薄片(C
5)を得た。
【0027】(実施例1)表2の配合例6に記載の、
、、から成る組成物を混合しミキサーで攪拌し
た。得られた混合スラリーを真空容器内で脱泡した後、
さらに(C1)を添加して攪拌した混合物を、ポリエス
テルフィルムを貼り、塩化ビニルのガスケットで囲んだ
ガラスセル内に注入した。このガラスセルを65℃に加
温した温水浴の中に入れ、放置することにより、薄片が
全面に均一に分散している13.5mm厚のシート状硬化
物を得た。次に、このシート状硬化物の表面を、木工用
プレーナーで深さ0.5mm以上に研削し、更に120
番、400番、600番のサンドペーパーで順次研磨す
ることにより、約13*200*200mmのクリアー
な人工大理石を得た。得られた人口大理石は、黒の下地
に半透明の薄片が散らばっており、従来の人工大理石に
は見られなかった全く新しい外観を有していた。
【0028】
【表2】
【0029】(実施例2)表2の配合例7に記載の、
、、、、から成る組成物を混合しミキサーで
攪拌した。得られた混合スラリーを真空容器内で脱泡し
た後、さらに(C2−1)を添加して攪拌し、実施例1
と同様な方法で13.5mm厚のシート状硬化物を得た。
このシートの表面を実施例1と同様、研磨することによ
り約13*200*200mmのクリアーな人工大理石
を得た。得られた人口大理石は、透明感のあるベージュ
の下地に白の薄片が散らばっており、従来の人工大理石
には見られなかった全く新しい外観を有していた。
【0030】(実施例3)表2の配合例8に記載の、
、、、、から成る組成物を混合しミキサーで
攪拌した。得られた混合スラリーを真空容器内で脱泡し
た後、さらに(C3),(C4),(C5)を添加して
攪拌したあと、実施例1と同様な方法でシート状硬化物
を得た。このシートの表面を実施例1と同様、研磨する
ことにより約13*200*200mmのクリアーな人
工大理石を得た。得られた人口大理石は、ベージュの下
地に茶系やベージュの薄片が散らばっており、従来の人
工大理石には見られなかった全く新しい外観を有してい
た。
【0031】(比較例1)表2の配合例9に記載の、
、、、から成る組成物を混合しミキサーで攪拌
した。得られた混合スラリーを真空容器内で脱泡した
後、さらに(C2−2)を添加して攪拌し、実施例1と
同様な方法で13.5mm厚のシート状硬化物を得た。こ
のシートの表面を実施例1と同様、研磨することにより
約13*200*200mmのクリアーな人工大理石を
得た。得られた人工大理石は、薄片が変形することなく
樹脂中にそのままの形状で散りばめられており、特に目
新しい外観のものではなかった。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、マトリックスと同組成
で、且つマトリックスと混合攪拌することにより、折れ
曲がったり少し切れたりするくらい薄い薄片を用いるこ
とにより、物性を低下させることなく、従来の人工大理
石に見られなかった、繊細且つ優美な外観を呈する意匠
性の優れた人工大理石を得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 14:36 C04B 14:28 14:28 16:04 16:04 16:12 16:12) 111:54 111:54 Fターム(参考) 4J011 GA05 PA07 PA69 PB02 PB22 PB25 PC02 PC08 4J026 AA45 AC29 BA27 DA05 DB05 FA01 GA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸メチルを主成分とする重合
    性成分(A)20〜75質量%と、無機充填材(B)2
    0〜75質量%と、前記重合性成分(A)20〜75質
    量%及び前記無機充填材(B)20〜75質量%から成
    る厚さ0.001〜0.2mm、面積1〜500mm2
    の重合硬化物薄片(C)0.01〜5質量%とを混合攪
    拌し、重合硬化させることを特徴とする人工大理石の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 薄片(C)の含有量が0.2〜2質量%
    である請求項1記載の人工大理石の製造方法。
  3. 【請求項3】 無機充填材(B)が、水酸化アルミニウ
    ム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び炭酸
    カルシウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1
    又は2記載の人工大理石の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010018450A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Du Pont-Mrc Co Ltd 意匠性に優れる人工大理石の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010018450A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Du Pont-Mrc Co Ltd 意匠性に優れる人工大理石の製造方法

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