JP2002317239A - 耐高面圧部材およびその製造方法 - Google Patents
耐高面圧部材およびその製造方法Info
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Abstract
水素の侵入による水素脆性的な早期剥離を防止すること
ができ、優れた転動疲労強度を備えた耐高面圧部材と、
このような耐高面圧部材の製造方法を提供する。 【解決手段】 例えば、C:0.15〜1.2%、C
r:0.8〜2.5%、Mo:0.15〜1.5%、S
i:0.05〜1.5%を含む機械構造用鋼からなる耐
高面圧部材の転動部における表面圧縮残留応力を700
MPa以上にすると共に、転動部表層に、Niを例え
ば、65〜85%含有する平均膜厚0.2μm以上20
μm以下の合金皮膜を形成する。
Description
いはトロイダル式無段変速機に使用される転動体などの
耐高面圧部材およびその製造方法に係わり、高面圧部材
の転動疲労強度の向上、特に転動中のオイル分解などに
より発生した水素が鋼中に侵入することによる水素脆性
的な短寿命剥離の抑制技術に関するものである。
基本構造を示すように、図外のハウジング内に、入力デ
ィスク3および出力ディスク12を備え、これらが同軸
上に相対向して設置されている。そして入力ディスク3
には、カム板2a,保持器2bおよびローラ2cからな
る押圧装置2を介して入力軸1が連結されていると共
に、出力ディスク12には出力軸13が固定されてい
る。
は、略同一形状をなしてそれぞれ対称に配置され、それ
らの対向面が軸方向断面でみて略半円となるようにトロ
イダル面に形成されている。そして、入力ディスク3お
よび出力ディスク12の両トロイダル面により形成され
るトロイダルキャビティ内には、入力ディスク3および
出力ディスク12に接触する一対のパワーローラ(内
輪)7,7が配設されている。
オン4に支持された外輪6に玉軸受8を介して圧接され
た状態で、同じくトラニオン4に取付けられた枢軸5に
ニードルベアリング9を介して回転自在に枢着されると
共に、入力ディスク3および出力ディスク12によって
形成される反円形断面をなすトロイダル面の中心となる
ピボット軸10を中心として、傾動自在に支持されてい
る。
ク12とパワーローラ内輪7,7との接触面には、粘性
摩擦抵抗の大きい潤滑油(トラクションオイル)が供給
され、入力ディスク3に入力される動力を潤滑油膜およ
びパワーローラ内輪7,7を介して出力ディスク12に
伝達するようになっている。
速機においては、入力軸1が回転すると、その動力がカ
ム板2a,保持器2b,ローラ2cからなる押圧装置2
を介して入力ディスク3に伝達されて入力ディスク3が
回転する。この入力ディスク3の回転により発生した動
力がパワーローラ7,7を介して出力ディスク12に伝
達され、出力ディスク12が出力軸13と共に一体回転
する。
ボット軸10を中心としてトラニオン4,4を所定角度
回動させ、パワーローラ7,7の傾きを変化させる。こ
れによってパワーローラ7,7が入力ディスク3および
出力ディスク12のトロイダル曲面3a,12a上を傾
転し、その結果、入力ディスク3および出力ディスク1
2のパワーローラ7,7との接触位置(半径)が変化
し、速度比が変わることによって、無段階の減速あるい
は増速が行われる。
される転動体として、炭素鋼に研削仕上げ加工を施した
ものが、例えば特開平7−71555号公報、特開平1
0−184836号公報などに開示されている。また、
特開2000−291757号公報には、パワーローラ
ベアリング溝部にショットピーニングによって圧縮残留
応力を付与することが記載されている。
けるオイル分解などにより発生した水素が鋼中に侵入す
ることによって生じる水素脆性的な短寿命剥離を効果的
に防止することはできず、このような水素の侵入を抑制
する目的の軸受として、グリース封入軸受に、黒染め処
理によって転動面に四三酸化鉄を形成させたものが特開
平2−190615号公報に記載されている。
ル式無段変速機においては、ディスクとパワーローラが
トラクションドライブをすることによって動力を伝達す
るようにしており、当該無段変速機を駆動した場合、デ
ィスク−パワーローラ間に高い押し付け荷重が加わるた
め、図2に拡大して示すように、例えばベアリング溝部
7a,6aには、最大接触面圧が3GPa以上にも達す
る高い接触圧力を生じる。このような高面圧下では、ヘ
ルツ接触により内部に発生するせん断応力がピークとな
る深さ近傍位置で、介在物あるいは転動疲労による内部
組織変化を起点とする転走面剥離に至ることがあり、寿
命低下を招く場合がある。
おいては、このような高面圧に加えて、通常の転がり軸
受とは異なり、トラクション力やラジアル方向荷重が負
荷されながら転動するため、ミクロ的な金属接触を生じ
たり、転がり摩擦抵抗が増したりすることにより表面接
線力が増大し、表層が起点となる剥離を生じ、結果とし
て、転動疲労寿命の低下を招く場合がある。
クロな金属接触によって転走面に形成された新生面が触
媒的な作用をして、グリース−転走表面間でのトライボ
ケミカル的な反応を促進し、化学分解により生成した水
素が鋼中に侵入することによって転動疲労剥離寿命が低
下する場合がある。この対策としては、前述のような黒
染め処理(130〜160℃の苛性ソーダ水溶液に浸
漬)が報告されているが、このような苛性ソーダ処理は
作業環境が劣悪であり、工業的に好ましくない。また、
黒染め処理により形成された表面の四三酸化鉄皮膜は、
高温・高面圧の過酷な条件下では皮膜の残存性が不十分
であり、十分な水素侵入抑制効果が発揮できない場合が
ある。
上、トロイダル式無段変速機などの無段変速機の大容量
化あるいは小型化には、転動面表層の圧縮残留応力を増
加させ、亀裂伝播抵抗向上などによって転動体の表層部
の転動疲労強度を向上し、かつ比較的簡便な表面処理な
どによって新生面生成を抑制、あるいは水素が透過しが
たい保護皮膜を形成し、鋼への水素侵入を低減すること
によって転動体の転動疲労寿命を向上させることが課題
として要求されていた。
段変速機用転動体など、従来の耐高面圧部材における上
記課題に着目してなされたものであって、表層部に高い
圧縮残留応力を有し、水素の侵入による水素脆性的な早
期剥離を防止することができ、優れた転動疲労強度を備
えた耐高面圧部材と、このような耐高面圧部材の製造方
法を提供することを目的としている。
る耐高面圧部材は、機械構造用鋼からなり、すべりを伴
うことなく、あるいはすべりを伴って転がり接触する転
動部を備えた耐高面圧部材において、前記転動部におけ
る表面圧縮残留応力が700MPa以上である共に、転
動部表層にNiを含む合金皮膜が平均膜厚0.2μm以
上20μm以下に形成されている構成としたことを特徴
としており、耐高面圧部材におけるこのような構成を前
述した従来の課題を解決するための手段としている。
として、請求項2に係わる耐高面圧部材においては、前
記表面圧縮残留応力が800MPa以上、前記合金皮膜
の平均膜厚が0.2〜5μmである構成とし、同じく好
適な実施形態として、請求項3に係わる耐高面圧部材に
おいては、質量比で、C:0.15〜1.2%、Cr:
0.8〜2.5%、Mo:0.15〜1.5%、Si:
0.05〜1.5%を含む機械構造用鋼からなる構成と
し、請求項4に係わる耐高面圧部材においては、合金皮
膜のNi含有量が質量比で65〜85%である構成とし
たことを特徴としている。
製造方法は、上記耐高面圧部材を製造するのに適したも
のであって、機械構造用鋼からなる基材の転動面に、N
iを含む合金粉末からなる投射材を投射して合金皮膜を
形成する構成としており、耐高面圧部材の製造方法にお
けるこのような構成を前述した従来の課題を解決するた
めの手段としたことを特徴としている。
好適な形態として、請求項6に係わる製造方法において
は、上記投射材のNi含有量を質量比で65〜85%と
することができ、請求項7に係わる製造方法において
は、上記投射材の平均粒径を0.1mm以下とすること
ができ、請求項8に係わる製造方法においては、合金皮
膜形成処理前の基材転動面の面粗度をRa0.05以上
とすることができる。また、同じく好適な実施形態とし
て、請求項9に係わる耐高面圧部材の製造方法において
は、合金皮膜形成処理前に、基材表面より硬い粉末を基
材表面に投射する表面活性化処理を施すことができ、請
求項10に係わる製造方法においては、質量比で、C:
0.15〜1.2%、Cr:0.8〜2.5%、Mo:
0.15〜1.5%、Si:0.05〜1.5%を含む
機械構造用鋼に浸炭または浸炭窒化処理を施した基材を
用いることができる。
係わる耐高面圧部材は、本発明に係わる耐高面圧部材の
上記構成を転がり軸受およびトロイダル式無段変速機用
の転動体にそれぞれ適用したことを特徴としている。
いては、すべりを伴うことなく転がり接触する、あるい
はすべりを伴いながら転がり接触する部材の転動部にお
ける表面圧縮残留応力が700MPa以上であることか
ら、表面接線力増大などによる表面起点剥離の亀裂発生
が抑制され、かつ内部のせん断応力により内部起点の亀
裂の表層への伝播が抑制され、転動疲労寿命が向上する
ことになる。そして、転動部表層には、平均膜厚0.2
μm以上20μm以下のNiを含む合金皮膜が形成され
ているので、転動中のオイル分解などによって発生した
水素が鋼中に侵入するのが抑制され、水素に基づく早期
剥離が防止され、転動疲労寿命が向上することになる。
aに満たないと、表面起点亀裂の発生および内部起点亀
裂の伝播を抑制する効果が低下することになる。また、
合金皮膜の膜厚が0.2μm未満であると、その効果が
十分に発揮されず、膜厚が20μmを上回ると、膜厚の
増加にしたがって増大する皮膜内の応力が大きくなり過
ぎてしまい、その結果として比較的早期に皮膜剥離を生
じ、耐フレーキング性の向上、つまりは転動疲労寿命向
上への寄与が減少することになる。さらに好ましくは、
表面圧縮残留応力が800MPa以上、合金皮膜の厚さ
が0.2〜5μmであることで、より一層の性能向上が
図れることとなる。
射材として、転動面に投射して形成することが望まし
い。このような投射を行なうことにより、転動面に圧縮
残留応力が付与されると共に、転動中の皮膜残存性が向
上する。なお、合金皮膜の形成処理は、上記投射の他
に、電解めっき、あるいは無電解めっきによって形成し
ても差し支えないが、めっき工程を追加することによる
コスト増を招くので、上記投射による方法が好ましいと
言える。
有量については、65〜85%(質量比)の範囲である
ことが好ましい。Ni含有量が65%を下回ると、水素
の侵入抑制効果が十分に得難くなり、逆に85%を上回
ると、皮膜形成性が低下して皮膜の形成が困難になる傾
向がある。
時の皮膜形成能および転動中における皮膜の残存性が向
上することから、その平均粒径が0.1mm以下である
ことが望ましい。
を行なう前の転動面については、その面粗度がRa0.
05(μm)以上であることが望ましい。Niを含む合
金皮膜の形成処理前の転動面粗度がRa0.05以上で
あると、皮膜形成処理時の皮膜形成能および転動中の皮
膜残存性が向上する。なお、合金皮膜は、Niを含む合
金粉末投射材の投射のみならず、例えば、前述のように
電解めっきや無電解めっきによって形成されていても構
わない。ただし、皮膜形成処理前の面粗度が、例えばR
a0.2を超えるような粗さの場合には、粉末投射によ
る皮膜形成性は良いものの、転動部での金属接触率が増
加し、転動部の温度上昇による素材の軟化や、相手材を
も含めた表面損傷による表面起点型の剥離によって転動
疲労寿命が低下する傾向があるので好ましくない。
る処理を行なう前に、基材表面にこれよい硬い粉末を投
射し、当該表面を活性化する処理を施すことが望まし
い。
より、表面に無数のミクロなディンプル(窪み)が形成
され、皮膜形成処理時の皮膜形成能および転動中の皮膜
残存性が向上する。また、ピーニング効果によって表面
に高い圧縮残留応力が付与され、表面の亀裂伝播抵抗が
向上することになる。さらに、硬い粉末を打ち付けるこ
とによって基材表面の酸化膜を除去することができ、処
理表面が活性化され、皮膜の密着性、皮膜形成能が向上
する。基材表面よりも軟らかい粉末を投射しても、この
ような効果を十分に得ることができない。
強度、焼戻し軟化抵抗、焼入れ性、加工性などの観点か
ら、C:0.15〜1.2%、Cr:0.8〜2.5
%、Mo:0.15〜1.5%、Si:0.05〜1.
5%(質量比)を含む機械構造用鋼に浸炭または浸炭窒
化処理を施した基材を用いることが好ましい。この範囲
の元素を含むことによって、必要な強度が確保され、焼
入れ性および焼戻し軟化抵抗が向上し、加工性が確保さ
れると共に、焼入れ時に芯部にフェライトが生成するこ
とを抑制して強度を確保することができる。
接触、あるいはすべりを伴いながら転がり接触をする転
がり軸受、あるいはディスク、パワーローラなどの転動
体としてトロイダル式無段変速機に適用することによ
り、水素脆性剥離を抑制し、しかも表面の亀裂伝播抵抗
の高い長寿命軸受、あるいは大容量のトロイダル式無段
変速機が実現する。
し、いくつかの実施例を挙げて、その有用性を比較例と
対比して示す。
面圧部材として、図2に示すようなトロイダル式無段変
速機用転動体であるパワーローラ内輪7および外輪6を
製造し、ベアリング溝部7aおよび6aの転動疲労寿命
を後述する試験によって評価した。
造用鋼を用いて鍛造および粗加工を行なった後、図3に
示す条件にて浸炭窒化焼入れ、焼戻し処理を行なって、
基材とした。次いで、当該基材の転がり接触をする部位
に、研削または研削超仕上げを施した。なお、このとき
熱処理後におけるベアリング溝部6a,7aの表面硬さ
がHv700〜720程度となるように配慮した。
アリング溝部6a,7aに、比較例に属する一部の試料
を除いて、以下に示す種々の表面処理を選択して施し
た。
0mm
グ) ・ 投射材:スチールビーズ(Hv720〜750) ・ 投射材平均粒径:約600μm ・ 投射圧:4kg/cm2 ・ 投射時間:50sec ・ ノズル位置:ワークに対して45°方向、距離15
0mm
射) ・ 投射材:Ni−Cr合金粉(ガスアトマイズ粉)、
組成は表2参照 ・ 投射材平均粒径:40〜80μm(粉末B1) 100〜200μm(粉末B1) ・ 投射圧:3〜5kg/cm2 ・ 投射時間:60〜120sec ・ ノズル位置:ワークに対して45°方向、距離10
0mm
Pめっき) 電気めっき法により実施した。
加熱(130〜160℃)の苛性ソーダ水溶液中に基材
を浸漬して四三酸化鉄皮膜を形成させた。このときの酸
化鉄皮膜厚さは、予備試験結果に基づいて処理時間との
関係によって求められ、ここでは処理時間を5分とし
て、酸化鉄皮膜は1.5μmであった。
わる各転動体(パワーローラ)における試験前のベアリ
ング溝部表面の特性値を製造工程の一覧と共に示す。な
お、当該実施例および比較例に係わる転動体の各種測定
値は、下記の方法によるものである。 [表面粗さ測定方法]上記方法によって作成した転動体の
ベアリング溝部6a,7aの表面粗さを市販の触針式表
面粗さ測定装置(JIS B 0651)を用い、カッ
トオフ値0.08mmで測定を行なった。 [皮膜厚測定方法]作成した転動体の皮膜形成部の断面を
SEM(走査型電子顕微鏡)観察により数箇所定量し、
その平均値をもって平均膜厚とした。 [残留応力測定方法]作成した転動体のベアリング溝部6
a,7aの残留応力を理学電気製微小部X線応力測定装
置を用いて、下記の条件のもとでX線残留応力測定法に
より測定した。表面残留応力は、ベアリング溝部表面を
電解研磨し、深さ10μm位置で測定した値を用いた。
なお、皮膜が形成されているものは、皮膜を磨き落とし
た後に電解研磨を施した。 ・ 特性X線:Cr−Kα線 ・ コリメータ径:1mmφ ・ 応力定数:−318MPa/deg ・ 測定モード:並傾法 ・ 研磨方法:電解研磨
動体(パワーローラ)試料を用いて、図4に示すような
軸受転動疲労試験機によってベアリング溝部の転動疲労
寿命を評価した。なお、特殊なトラクション油を用い
て、3L/minの強制潤滑下で、最大接触面圧が3.
5GPaとなるように試験条件を設定した。また、転動
疲労寿命については、振動センサーを使用して、パワー
のローラー内輪7または外輪6のベアリング溝部7a,
6aがフレーキングに至るまでの試験時間をもって疲労
寿命とした。これらの結果を表3に併せて示す。
近傍の転がり方向断面の組織写真を示す。これら断面組
織には、形態の異なる白色組織が観察されるが、上記の
試験条件では全ての試料の剥離部近傍に図5(a)に示
すようなAタイプ、または図5(b)に示すようなBタ
イプの組織変化が観察された。ここで、Aタイプの組織
変化は、表3の試験結果欄に併せて示すように、比較的
長寿命の転動体試料に観察される一方、Bタイプの組織
変化は比較的短寿命の試料に観察されることが判明し
た。
形態の異なる試料から転動部を切り出し、鋼中の拡散性
水素量を測定した結果を示すものである。なお、測定に
は昇温脱離ガス分析装置(日本真空技術(株)製UPM
−ST−200R型)を用い、加熱温度600℃以下に
て放出された水素量を拡散性水素量とした。
生じたBタイプの場合、Aタイプに比べて水素侵入量が
多いことがわかる。このことからBタイプは侵入水素に
起因する水素脆性的な剥離形態であると言うことができ
る。つまりは、侵入水素を抑制することによって組織変
化形態がBタイプからAタイプにシフトし、長寿命化す
るものと考えられる。
耐高面圧部材においては、転動疲労寿命試験の結果、A
タイプの組織変化形態を呈しており、比較例に対して転
動疲労寿命が大幅に向上していることが確認された。
高面圧部材は、転動部における表面圧縮残留応力が70
0MPa以上であるから、表面起点剥離の亀裂発生を抑
制することができ、しかも内部せん断応力によって内部
起点亀裂の表層への伝播を抑制することができる。そし
て、転動部表層には、平均膜厚0.2μm以上20μm
以下のNiを含む合金皮膜が形成されていることから、
転動中のオイル分解などによって発生した水素の鋼中へ
の侵入が抑制され、水素に基づく早期剥離を防止するこ
とができ、転動疲労寿命を大幅に向上させることができ
るという極めて優れた効果をもたらすものである。
方法においては、機械構造用鋼からなる基材の転動面
に、Niを含む合金粉末からなる投射材を投射して合金
皮膜を形成するようにしていることから、転動面に圧縮
残留応力を付与することができると共に、皮膜残存性に
優れた合金皮膜を形成することができ、転動疲労寿命に
優れた本発明に係わる耐高面圧部材を得ることができ
る。
イダル式無段変速機の基本構造および変速原理を示す断
面図である。
パワーローラ内外輪の拡大断面図である。
ーラ素材に施した熱処理条件を示す図である。
強度の評価に用いた軸受転動疲労試験機の構造を示す断
面図である。
較例において剥離部近傍に観察された組織変化形態を示
す組織写真である。
3)
Claims (12)
- 【請求項1】 機械構造用鋼からなり、すべりを伴うこ
となく、あるいはすべりを伴って転がり接触する転動部
を備えた耐高面圧部材において、前記転動部における表
面圧縮残留応力が700MPa以上である共に、転動部
表層にNiを含む合金皮膜が平均膜厚0.2μm以上2
0μm以下に形成されていることを特徴とする耐高面圧
部材。 - 【請求項2】 前記表面圧縮残留応力が800MPa以
上、前記合金皮膜の平均膜厚が0.2〜5μmであるこ
とを特徴とする請求項1記載の耐高面圧部材。 - 【請求項3】 質量比で、C:0.15〜1.2%、C
r:0.8〜2.5%、Mo:0.15〜1.5%、S
i:0.05〜1.5%を含む機械構造用鋼からなるこ
とを特徴とする請求項1または請求項2記載の耐高面圧
部材。 - 【請求項4】 合金皮膜のNi含有量が質量比で65〜
85%であることを特徴とする請求項1ないし請求項3
のいずれかに記載の耐高面圧部材。 - 【請求項5】 機械構造用鋼からなる基材の転動面に、
Niを含む合金粉末からなる投射材を投射して合金皮膜
を形成することを特徴とする請求項1ないし請求項4の
いずれかに記載の耐高面圧部材の製造方法。 - 【請求項6】 上記投射材のNi含有量が質量比で65
〜85%であることを特徴とする請求項5記載の耐高面
圧部材の製造方法。 - 【請求項7】 上記投射材の平均粒径が0.1mm以下
であることを特徴とする請求項5または請求項6記載の
耐高面圧部材の製造方法。 - 【請求項8】 合金皮膜形成処理前の基材転動面の面粗
度がRa0.05以上であることを特徴とする請求項5
ないし請求項7のいずれかに記載の耐高面圧部材の製造
方法。 - 【請求項9】 合金皮膜形成処理前に、基材表面より硬
い粉末を基材表面に投射する表面活性化処理を施すこと
を特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれかに記載
の耐高面圧部材の製造方法。 - 【請求項10】 質量比で、C:0.15〜1.2%、
Cr:0.8〜2.5%、Mo:0.15〜1.5%、
Si:0.05〜1.5%を含む機械構造用鋼に浸炭ま
たは浸炭窒化処理を施した基材を用いることを特徴とす
る請求項3ないし請求項9のいずれかに記載の耐高面圧
部材の製造方法。 - 【請求項11】 転がり軸受であることを特徴とする請
求項1ないし請求項4のいずれかに記載の耐高面圧部
材。 - 【請求項12】 トロイダル式無段変速機用の転動体で
あることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれ
かに記載の耐高面圧部材。
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