JP2002316147A - 油水系の油吸着剤 - Google Patents
油水系の油吸着剤Info
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Abstract
親油性を持ち合わせ、浮上油及び乳化又は懸濁油のいず
れに対しても高い吸油力を持つ油水系の油吸着剤を提供
する。 【解決手段】 難水溶性の無機及び有機多孔質体粒子か
ら選ばれる少なくとも1種に、融点40℃以上の難水溶
性親油有機化合物を均質に被覆又は沈着させて得られる
複合粒子から成ることを特徴とする油水系の油吸着剤。
更に、前記難水溶性親油有機化合物が、多孔質体粒子に
対して0.1〜50重量%である前記油水系の油吸着
剤。
Description
る混合系における油吸着剤に関するもので、より詳細に
は、水面上に浮遊し或いは水中に懸濁状態で存在する油
類からなる油水系から、油類を吸着して系外に除去する
油吸着剤に関する。
後を絶たず、流出した油類による環境汚染は深刻な問題
となっている。又、産業界においても含油排水の処理は
深刻な問題であり、活性汚泥等の生物処理の維持管理上
及び公害防止の観点から、油水混合系からの油類の除去
は重要である。
は、固形若しくはマット状の吸着剤として、ガラスウー
ルをシリコンと澱粉で疎水化したもの(特開平5−24
7981号公報)、不織油吸収性繊維のシートを重ねた
もの(特開平6−170359号公報)、天然繊維の不
織布マット間に発泡塩化ビニリデン樹脂を挟み込んだも
の(特開平7−33081号公報)等が、又粉末状の吸
着剤として、ポリエステルシート或いはアクリル樹脂紙
に合成樹脂ワニスを塗布したシートの粉末(特開昭50
−84481号公報)、発泡フェノール樹脂粉砕物又は
粉末(特公昭57−16873号公報)、無機多孔質体
粒子に油類を均一に付着させたもの(特開平9−299
789号公報)等が知られている。又、吸着剤以外の油
処理剤としては、界面活性剤を主材とした乳化剤や油分
解微生物を配合した油分解剤等が市販されている。
形若しくはマット状の吸着剤の場合、原則回収が必要と
なるが、回収作業は作業性が悪く不経済であると同時
に、使用場所や使用方法が限定されるという欠点があ
る。又、粉末状の吸着剤の場合、吸油性を高めるため疎
水性物質を主原料としたり、吸着基材に疎水性物質を多
量に混合又は吸着させている結果、吸着剤自体が強い疎
水性を示し水とは混和せず水上に強く浮上するため、浮
上油に対してはある程度の吸油性を示すものの、乳化又
は懸濁状態で存在する油水混合系の油類に対しては吸油
速度及び吸油量が非常に低く、実用的に満足できるもの
ではなかった。なお、特開平9−299789号公報で
示された無機多孔質体粒子に油類を均一に付着させたも
のは、吸着剤の油水系からの分離が完全でないと、吸着
剤自体に含まれた油が処理水中に流出することになり、
場合によっては逆に環境汚染の原因となる可能性が指摘
される。
れている界面活性剤による乳化は、根本的な対策とは言
えず、場合によっては二次汚染の可能性があり、又油分
解微生物による油の分解は、吸着剤による油吸着速度に
比べると分解速度が遙かに遅いため一次処理には適さ
ず、二次処理的な意味合いしかもたない。
剤又は油処理方法の欠点を補い、回収不要な粉末製剤で
あり、適度な親水性と親油性を持ち合わせ、浮上油及び
乳化又は懸濁油のいずれに対しても高い吸油力を持つ油
水系の油吸着剤を提供することである。
を達成するため鋭意研究を重ねた結果、難水溶性の無機
及び有機多孔質体粒子から選ばれる少なくとも1種に、
特定の融点40℃以上の難水溶性親油有機化合物を均質
に被覆又は沈着させることにより、優れた吸油力を持ち
且つ適度な親水性を保つ理想的な油水系の油吸着剤を得
ることを発見し、本発明を完成するに至った。
有機多孔質体粒子から選ばれる少なくとも1種に、融点
40℃以上の難水溶性親油有機化合物を均質に被覆又は
沈着させて得られる複合粒子から成ることを特徴とする
油水系の油吸着剤である。
物が、多孔質体粒子に対して0.1〜50重量%である
上記油水系の油吸着剤である。
化合物が、高級アルコール又は高級脂肪酸又は脂肪酸グ
リセロールエステル若しくはソルビタンモノステアレー
トである上記油水系の油吸着剤である。
無機多孔質体粒子としては、二酸化ケイ素、ケイ酸アル
ミニウム等のケイ酸塩、ゼオライト等のアルミノケイ酸
塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニウム等
の水酸化物、酸化アルミニウム等の金属酸化物、活性
炭、木炭、竹炭等の有機体炭化物、けい藻土、ベントナ
イト、カオリン、酸性白土等の天然鉱産物等が挙げられ
る。
は、米糠(又は脱脂糠)、モミガラ、大豆かす、コーヒ
ー豆抽出残渣、おが屑等が挙げられる。
吸着剤複合粒子の核を成すものであり、多孔質体粒子自
体の吸油性は高い程良い。多孔質体粒子の粒径としては
10〜1000μmの範囲であることが望ましい。又、
無機及び有機多孔質体粒子は一種類単独でも良いし、複
数を組み合わせて用いる事もできる。
子に均質に被覆又は沈着させる融点40℃以上の難水溶
性親油有機化合物としては、セチルアルコール、ステア
リルアルコール等の高級アルコール又はラウリン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸又は脂肪酸グ
リセロールエステル若しくはソルビタンモノステアレー
ト並びにこれらの組み合わせが挙げられる。なお、融点
40℃以上で難水溶性及び親油性を示す有機化合物であ
れば、上記以外でも本発明の目的に使用することができ
る。これらの難水溶性親油有機化合物は、無機及び/又
は有機多孔質体粒子に親油性を与え、複合粒子の吸油性
を飛躍的に高めるために必須のものである。融点40℃
以上としたのは、常温で固体である必要があるためで、
液体の場合本発明の効果は得られない。
溶性親油有機化合物の配合量は、選択する難水溶性親油
有機化合物の種類及びこれと組み合わせる多孔質体粒子
の種類及び粒径によってその値は異なるが、概ね多孔質
体粒子に対して0.1〜50重量%の量で存在するのが
望ましい。難水溶性親油有機化合物の量が0.1%より
少ないと、吸着剤複合粒子の親油性は低くなり、油水系
における十分な油吸着効果が発揮されない。一方、難水
溶性親油有機化合物の量が50%より多いと、多孔質体
粒子の多孔性が損なわれ、吸着剤複合粒子の油水系にお
ける油吸着力はやはり低下する。又、難水溶性親油有機
化合物の配合量が多すぎるのは、経済性の面でも好まし
くはない。なお、多孔質体粒子と難水溶性親油有機化合
物の組み合わせ及び配合割合により、生成する吸着剤複
合粒子の性質は異なり、油水系へ投入時に強く浮上し吸
油後沈降するもの、油水系へ投入時に浮上するが撹拌に
より油水系に容易に分散し、吸油後凝集し沈降するも
の、油水系へ投入時に直ぐに分散若しくは沈降し、吸油
後改めて凝集沈降するものなど使用目的に応じて種々の
性質を持つ吸着剤を調製できるのも、本発明の特徴であ
る。
0℃以上の難水溶性親油有機化合物を均質に被覆又は沈
着させる方法としては、まず多孔質体粒子と難水溶性親
油有機化合物を前述した割合で均一に混合する。これを
撹拌下、難水溶性親油有機化合物の融点以上の温度で加
熱し、難水溶性親油有機化合物を溶融すると同時に多孔
質体粒子に被覆又は含浸させ、その後冷却又は放冷する
ことにより行われる。或いは難水溶性親油有機化合物を
予め加熱溶融したものを、加温下の多孔質体粒子に混合
撹拌する方法でもよい。
明する。なお、本発明に使用した物質は表1の通りであ
る。
次の通りである。
24.2ヘキサン抽出物質なお、表3、4及び5中の
吸油量の値は、残液中の実測油分量及び添加した油の重
量より計算によって算出した。
融点40℃以上の難水溶性親油有機化合物を表2に示す
割合でビーカーに入れよく混合し、沸騰水浴上で加熱し
15分間撹拌を続ける。加熱を止め時折撹拌しながら放
冷し、本発明による油吸着剤No.1〜6を得る。又、
多孔質体粒子単独を加熱処理したものを比較品(比較油
吸着剤No.1〜3)として試験に供した。
mlを入れ、これに上記油吸着剤1.0gを添加する。
撹拌下にサラダ油の一定量(0.25ml〜4.0ml
で油膜の現れるまで)を滴下し、10分間撹拌−静置後
の油吸着剤の吸油沈降状態、液面の油膜の有無及び量、
吸着処理物の状態を目視により観察する。その結果を、
表2に示す。
融点40℃以上の難水溶性親油有機化合物を表3に示す
割合でビーカーに入れよく混合し、沸騰水浴上で加熱し
15分間撹拌を続ける。加熱を止め時折撹拌しながら放
冷し、本発明による油吸着剤No.7〜10を得る。
又、多孔質体粒子のみを加熱処理したものを比較品(比
較油吸着剤No.4〜7)として試験に供した。
0mlを入れ、これにサラダ油1.0mlを加える。こ
こに上記油吸着剤1.0gを添加し緩やかに混和後、沈
降した吸着処理物を分液ロート下部より除去する。残液
中の油分量(ノルマルヘキサン抽出物質量)を測定する
と同時に、油吸着剤の吸油沈降状態、液面の油膜の有無
及び量、吸着処理物の状態を目視により観察する。その
結果を、表3に示す。
水100mlを入れ、ここに本発明油吸着剤No.10
を1.0g添加し、エアーポンプを接続したガラス管を
挿入し、5分間曝気を行う。この液にサラダ油の一定量
(1〜3ml)を添加し、引き続き5分間曝気を行う。
曝気を停止し30分間静置後、沈降した吸着処理物を分
液ロート下部より除去する。残液中の油分量(ノルマル
ヘキサン抽出物質量)を測定すると同時に、油吸着剤の
吸油沈降状態、液面の油膜の有無及び量、吸着処理物の
状態を目視により観察する。その結果を、表4に示す。
で混合し、本発明油吸着剤No.10と同一条件で加熱
処理したものを比較品(比較油吸着剤No.8)とし、
同様な試験を行い吸油性能を比較評価した。
水100mlを入れ、これにサラダ油1.0ml及び台
所用中性洗剤0.02mlを添加する。エアーポンプを
接続したガラス管を挿入し、10分間曝気を行い油を乳
化させる。ここに本発明油吸着剤No.10を0.12
5〜0.5g添加し、引き続き10分間曝気を行う。曝
気を停止し30分間静置後、沈降した吸着処理物を分液
ロート下部より除去する。残液中の油分量(ノルマルヘ
キサン抽出物質量)を測定すると同時に、油吸着剤の吸
油沈降状態、液面の油膜の有無及び量、吸着処理物の状
態を目視により観察する。その結果を、表5に示す。
て、同様な試験を行い吸油性能を比較評価した。
分と水が混在する混合系における油吸着処理、例えば水
面上に浮遊し或いは水中に懸濁状態で存在する油類から
なる油水系から、油類を吸着して系外に除去する目的に
利用することができる。
た油類の吸着処理、レストラン等の厨房含油排水のグリ
ーストラップ内での油吸着処理、水産加工工場、食品工
場、畜産加工工場、化学工場等から排出される含油排水
の一次及び二次処理としての油吸着処理が挙げられる。
処理を含めた取扱いが容易であり、例えば流出した浮上
油の処理の場合、油上に油吸着剤を撒くだけで後は一定
量の油を吸着後自然沈降し、吸着された油は吸着剤中で
微生物による自然浄化が可能となる。又、工場等におけ
る含油排水処理の場合、含油排水に当該油吸着剤を一定
量添加混合することにより、排水中の油は吸着剤に吸着
され凝集し沈降する。この沈降した吸着処理物は、さら
さらとした状態であり、通常の汚泥処理と同様の方法
(脱水→焼却又は埋立て処理)により処理することがで
きる。
Claims (3)
- 【請求項1】 難水溶性の無機及び有機多孔質体粒子か
ら選ばれる少なくとも1種に、融点40℃以上の難水溶
性親油有機化合物を均質に被覆又は沈着させて得られる
複合粒子から成ることを特徴とする油水系の油吸着剤。 - 【請求項2】 前記難水溶性親油有機化合物が、多孔質
体粒子に対して0.1〜50重量%である請求項1記載
の油水系の油吸着剤。 - 【請求項3】 前記難水溶性親油有機化合物が、高級ア
ルコール又は高級脂肪酸又は脂肪酸グリセロールエステ
ル若しくはソルビタンモノステアレートである請求項1
又は2記載の油水系の油吸着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001123158A JP2002316147A (ja) | 2001-04-20 | 2001-04-20 | 油水系の油吸着剤 |
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JP2001123158A JP2002316147A (ja) | 2001-04-20 | 2001-04-20 | 油水系の油吸着剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001123158A Pending JP2002316147A (ja) | 2001-04-20 | 2001-04-20 | 油水系の油吸着剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
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---|---|---|---|---|
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-
2001
- 2001-04-20 JP JP2001123158A patent/JP2002316147A/ja active Pending
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