JP2002316052A - 複合金属酸化物触媒の製造方法 - Google Patents

複合金属酸化物触媒の製造方法

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JP2002316052A
JP2002316052A JP2001125211A JP2001125211A JP2002316052A JP 2002316052 A JP2002316052 A JP 2002316052A JP 2001125211 A JP2001125211 A JP 2001125211A JP 2001125211 A JP2001125211 A JP 2001125211A JP 2002316052 A JP2002316052 A JP 2002316052A
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composite metal
oxide catalyst
catalyst
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Yukio Koyasu
幸夫 小安
Hideto Tsuji
秀人 辻
Nobu Watanabe
展 渡辺
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低いSiO2含有量でも圧縮強度が高く、且
つ高い収率を示す複合金属酸化物触媒を提供する。 【解決手段】 Mo、V、Nb、X元素及び必要に応じ
てY元素の原料化合物を含む溶液又はスラリー(以下、
全金属含有液とする)を調製し、次いで、該全金属含有
液を順次、噴霧乾燥、焼成することにより複合金属酸化
物触媒を製造する方法において、該全金属含有液を調製
する際に使用するNb原料含有液として、少なくとも下
記式(2)で定義されるRamanスペクトルの相対強
度比αが0.1〜1の範囲内となる溶液を使用すること
を特徴とする。 α= h1/(h1+h2) (2) (式(2)において、h1は660〜685cm-1の間
で最大となるピークトップの高さを表し、h2は575
±5cm-1の間で最大となるピークトップの高さを表
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複合金属酸化物触媒の製
造方法に関するものである。より詳しくはアルカンの気
相接触酸化により不飽和ニトリル及び/又は不飽和カル
ボン酸を製造するのに用いる複合金属酸化物触媒の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】気相接触酸化によるアルカンからの不飽
和ニトリル製造において使用される触媒についてはこれ
まで多くの報告がある。例えば、プロパンとアンモニア
との気相接触酸化反応によるアクリロニトリルの製造に
対しては、本発明者が提案するMo、V、Teを必須成
分とした複合金属酸化物触媒(特開平2−257号公
報、特開平5−148212号公報、特開平5−208
136号公報)、およびMo、V、Sbを必須成分とし
た複合金属酸化物触媒(特開平9−157241号公
報)は優れた性能を示す。
【0003】アルカンの気相接触酸化反応は、発熱量が
大きいため、工業的に実施するには除熱効率の高い流動
層反応器が有利である。しかしながら、上記のMo−V
−Teおよび/またはSbを含む酸化物触媒は、流動触
媒としたときの強度に問題があり、強度を改善するため
にSiO2含有量を増やすと逆に収率が低下することが
知られている。
【0004】例えば、特開平8−141401号公報に
は、SiO2含有量を増やすと触媒の圧壊強度が増大す
ることが開示されており、圧壊強度30MPa以上を得
るにはSiO2が少なくとも30重量%必要であるとし
ている。しかしながら、SiO2含有量が増大すると、
逆にアクリロニトリル(AN)の収率が低下するため、
その低下を抑制する方法として触媒をシュウ酸水溶液で
洗浄し、再び焼成するという複雑な工程を必要としてい
る。また、触媒の流動性をもたせるためには、触媒の充
填密度を低くする必要があることが記載されている。
【0005】特開平11−47598号公報,特開平1
1−253801号公報には、特定のニオブ原料を用い
ることにより、SiO2含有率を増やした場合でも収率
低下の少ない触媒が調製できるとされている。また、特
開2000−126599号公報、特開2000−17
8242号公報には、SiO2に担持された強度に優れ
た触媒でスズ、ジルコニウム等を含む場合に更に高い収
率が得られるとされている。上述したいずれの従来技術
においても、SiO2含有量を30%以上として触媒に
強度を持たせる方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く、Mo−V
−Nb−Teおよび/またはSbを含む公知の酸化物触
媒は、良好な性能を示すが、流動触媒としたときの強度
に問題があり、強度を持たせるためにSiO2含有量を
増やすと収率が低下するという性質がある。このような
収率低下を改善する従来の方法としては、触媒の酸処理
工程を必要としたり、新たな金属成分を必要とする等、
工業的に採用するには工程が煩雑であったり再現性が不
十分であるという問題点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を考慮しつつ、Mo−V−Nb−Teおよび/または
Sbを含む公知の組成の酸化物触媒について鋭意検討し
た結果、触媒を調製する過程で使用するNb原料含有液
として特定のラマンスペクトルを示すものを使用し、且
つ噴霧乾燥により乾燥することにより、SiO2を多量
に使用しなくても触媒の流動性を低下させることなく、
高い触媒性能を示し且つ強度に優れることを見いだし本
発明の完成に至った。
【0008】即ち、本発明の要旨は、Mo、V、Nb、
X元素及び必要に応じてY元素の原料化合物を含む溶液
又はスラリー(以下、全金属含有液とする)を調製し、
次いで、該全金属含有液を順次、噴霧乾燥、焼成するこ
とにより、下記組成式(1)で表される複合金属酸化物
触媒を製造する方法において、該全金属含有液を調製す
る際に使用するNb原料含有液として、少なくとも下記
式(2)で定義されるRamanスペクトルの相対強度
比αが0.1〜1の範囲内となる溶液又はスラリーを使
用することを特徴とする複合金属酸化物触媒の製造方
法、に存する。
【0009】
【化4】 MoabNbcdfn (1) (式(1)において、Xはテルルおよび/またはアンチ
モンを表し、Yは周期表の1〜16族の元素のうち、M
o,V,Nb、X、O以外から選ばれる1種以上の元素
を表し、a=1.0、0.01<b≦1、0.01<c
≦1、0<d≦1、0≦f<1、nは他の元素の酸化状
態によって決まる値である。)
【0010】
【数4】 α= h1/(h1+h2) (2) (式(2)において、h1は660〜685cm-1の間
で最大となるピークトップの高さを表し、h2は575
±5cm-1の間で最大となるピークトップの高さを表
す。)
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (複合金属酸化物触媒の説明)本発明は、後述するよう
に複合金属酸化物触媒の製造方法に特徴を有するもので
あるが、本発明で得られる酸化物触媒は、下記組成式
(1)で表されるものである。
【0012】
【化5】 MoabNbcdfn (1) (式(1)において、Xはテルルおよび/またはアンチ
モンを表し、Yは周期表の1〜16族の元素で、Mo,
V,Nb、Te、O以外から選ばれる1以上の元素を表
し、a=1.0、0.01<b≦1、0.01<c≦
1、0<d≦1、0≦f<1、nは他の元素の酸化状態
によって決まる値である。 ) 本発明で得られる酸化物触媒は、高い強度を有するもの
であるが、本発明において触媒の強度とは、以下に説明
する圧縮強度により表すものとし、具体的には後述する
実施例に記載の方法に従うものとする。
【0013】球状試料の圧縮強度:σは平松の方法(日
本鉱業会誌 Vol.81、No.932,P.102
4、1965、「非整形試験片による岩石の引っ張り強
さの迅速試験」)によると、σ=2.8F/π/D2
表される。(ここで、D:積荷点間の距離であり、Fは
圧裂時の応力である。) そこで、本発明の圧縮強度I(MPa)は、JIS28
841−1993「圧縮強度」に従い、市販の微少圧縮
試験器を用い、ある粒径範囲の触媒粒子100個(粒
径:d(μm))に2点載荷を行い、粒子が破砕したと
きの応力:f(gf)の平均値から、式(3)により計
算される。
【0014】
【数5】 I=8740f/d2 (3) 本発明の複合酸化物触媒は、上述した圧縮強度が30M
Pa以上、好ましくは33MPa以上、更に好ましくは
35〜50MPaの強度を示すことが可能となる。
【0015】元素Xは、テルル及び/又はアンチモンで
あり、テルルとアンチモンの両方を含んでいてもよい。
元素Yは、周期表(IUPAC無機化学命名法1990年規則)
の1〜16族の元素であり、Mo,V,Nb、Te、O
以外から選ばれる1以上の元素であれば特に限定されな
いが、具体的には、希土類(スカンジウム、イットリウ
ム、ランタノイド)、ビスマス,タンタル、ガリウム、
ゲルマニウム、コバルト,マンガン,ニッケル,鉄、
鉛、タングステン、レニウム、ルテニウム、ロジウム、
亜鉛、スズ、チタン、ジルコニウム,ホウ素,インジウ
ム,クロム、リン、アルミニウム、アルカリ、アルカリ
土類金属から選ばれる1種以上の元素を表し、好ましく
はジルコニウム及び希土類から選ばれる1種以上の元素
であり、更に好ましくはイットリウムまたはセリウム等
の希土類である。
【0016】本発明の複合金属酸化物触媒の各元素の組
成について説明する。Moに対するVのモル比(b)
は、通常0.01よりも大きく、好ましくは0.05以
上であり、更に好ましくは0.1以上である。また上限
は通常1未満であり、好ましくは0.8以下、より好ま
しくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下である。
Moに対するNbのモル比(c)は、通常0.01より
大きく、好ましくは0.08よりも大きく、更に好まし
くは0.1よりも大きい。また、上限は通常1以下であ
り、好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.2以
下、特に好ましくは0.18以下の値である。Moに対
するXのモル比(d)は、通常0よりも大きく、好まし
くは0.02よりも大きく、更に好ましくは0.05よ
りも大きい。上限は通常1以下であり、好ましくは0.
5以下であり、更に好ましくは0.3以下、特に好まし
くは0.2以下である。Moに対するYのモル比(f)
は、通常0以上であり、好ましくは0.01以上、更に
好ましくは0.03以上であり、上限は通常1未満、好
ましくは0.5未満、好ましくは0.2未満である。
【0017】SiO2は、触媒の強度向上と、触媒粒子
が互いに凝集するのを防ぐ目的で添加してもよいが、全
触媒中のSiO2の含有量は、焼成後の酸化物全体に対
する重量比で好ましくは1〜50重量%であり、更に好
ましくは2〜25重量%、特に好ましくは3〜15重量
%以下である。本発明で得られる複合酸化物触媒は、見
かけ嵩密度(ABD)が通常1.20g/ml以上であり、
好ましくは1.22g/ml以上、更に好ましくは1.25
g/ml以上である。また、上限は好ましくは2.0g/ml以
下、更に好ましくは1.8g/ml以下、特には1.5g/ml
以下である。また、充填嵩密度(CBD)は、通常1.
35g/ml以上であり、好ましくは1.40g/ml以上であ
り、更に好ましくは1.42g/ml以上である。上限は好
ましくは2.0g/ml以下、更に好ましくは1.8g/ml以
下、特には1.6g/ml以下である。
【0018】本発明において、見かけ嵩密度(ABD)
とは、静止した一定容積のセルに規定の条件で試料を注
ぎ、擦り切りを行い、充填された試料の重量から求めら
れた密度である。また、充填嵩密度(CBD)とは規定
のタッピングを行った後のサンプルの容積とサンプルの
重量から求められた密度である。具体的は測定方法は下
記実施例に記載の方法に従うものとする。 (複合金属酸化物触媒の製造方法)上述した圧縮強度の
高い複合金属酸化物触媒は、所定量のMo、V、Nb、
X元素、Y元素の原料化合物およびSiO2ゾル溶液を含む
溶液またはスラリ−(以下、全金属含有液とする)を、各
々の金属元素の原子比が上述した所定の割合となるよう
な量比で調合し、次いで該全金属含有液について溶媒を
乾燥させた後、必要に応じて残った乾燥物を熱分解工程
に供し、最後に焼成することにより製造される。
【0019】本発明においては、該全金属含有液を調製
する際に使用するNb原料含有液として、少なくとも下
記式(2)で定義されるRamanスペクトルの相対強
度比αが0.1〜1の範囲内となる溶液を使用すること
が必要である。
【0020】
【数6】 α= h1/(h1+h2) (2) (式(2)において、h1は660〜685cm-1の間
で最大となるピークトップの高さを表し、h2は575
±5cm-1の間で最大となるピークトップの高さを表
す。)このようにRamanスペクトルの相対強度比α
が0.1〜1の範囲内となるNb原料含有液とは、例え
ばNbの酸化物や水酸化物等を含む溶液又はスラリーで
あり、通常は水系である。このようなNb原料含有液
を、全Nb原料含有液の一部又は全部として使用するこ
とにより、触媒の圧縮強度が向上する理由は充分には明
らかでないが、シュウ酸根、アンモニウム根等と触媒構
成元素の結合様式が変化し、乾燥時に触媒粒子に空洞が
生じにくくなったり、乾燥品の熱分解時に粒子の破壊が
起こりにくくなるためと推察される。
【0021】本発明のRamanスペクトルは、ニオブ
原料液を液体用セルに入れ、後方散乱配置で測定する。
Ramanスペクトル測定には、酸化ニオブ換算で3〜
10重量%のニオブ濃度が好ましい。必要に応じてニオ
ブ原料液は希釈・濃縮等を行うことができる。濃縮は5
0℃以下、好ましくは減圧下、40℃以下で行われる。
本発明のピーク強度比αは、励起波長:Ar+514.
5nm、照射径:100μm、測定波数範囲:486〜
1115cm−1、スリット:S1、S5=200μ
m、S2=24000μm、S1H=4mmの条件下で
得られるRamanスペクトルから、h1とh2を求
め、上記式(2)に従って求められる。
【0022】h1とh2の算出方法を図1を参照しつつ
説明する。まず、1100cm−1から500cm−1
の間に直線ベースライン(CD)を引く。ピーク1のピ
ークトップP1から、波数軸に垂線を下ろし、ベースラ
インCDとの交点をB1としたとき、線分P1B1の長
さh1をピーク1の高さと定義する。同様にピーク2の
ピークトップP2から波数軸に垂線を下ろし、ベースラ
インCDとの交点をB2としたとき、線分P2B2の長
さh2をピーク2の高さと定義する。
【0023】上記式(2)によって定義される相対強度
αが0.1より小さいと触媒の圧縮強度が下がる傾向に
あるため、相対強度αは、好ましくは0.2≦α≦1で
あり,更に好ましくは0.3≦α≦0.9、最も好まし
くは0.3≦α≦0.8である。本発明で用いられるN
b原料含有液は、上述したように、例えばNbの酸化物
や水酸化物等を含む溶液又はスラリーであるが、中で
も、少なくともカルボン酸基の配位していない化合物を
Nb原料として使用するのが好ましい。また、Nb原料
が均一に分散されたコロイド状態のNb原料含有液を使
用するのが好ましく、特には酸化ニオブゾルを使用する
のが好ましい。酸化ニオブゾルは、酸化ニオブの微粒子
が水溶液などの媒質中に分散した分散コロイドの一種で
ある。酸化ニオブゾルとしては、酸化ニオブの平均粒子
径が1nmから100nmのものが利用可能であるが、
ゾルとしての長期安定性、入手の容易さから平均粒径が
5±1nmのものが最も好ましい。Nb原料含有液は、
均一な混合状態を維持するため、安定性の観点から、p
Hは5未満であることが好ましく、更に好ましくは3以
上4.5以下である。
【0024】本発明では、特定のラマンスペクトルを示
すNb原料含有液を使用すれば、他のNb原料を併用し
てもよいが、上述した全金属含有液中のNb原料の10
mol%以上、好ましくは30mol%以上を酸化ニオ
ブゾルとして供給するのが好ましい。2種類以上のNb
原料を使用する場合には、各々をNb原料含有液として
別々に供給してもよいし、複数のNb原料を含むNb原
料含有液を調製し供給してもよいが、中でも、使用する
全てのNb原料化合物を含むNb原料含有液を調製し、
添加するのが好ましい。本発明では、上記全金属含有液
を調製するために使用する少なくとも1つのNb含有液
が本発明の特定のラマンスペクトルを示せばよい。
【0025】通常は、Nb原料としては、上記の酸化ニ
オブゾルに加えて、ニオブの水溶性ジカルボン酸塩類を
併用して使用する。ニオブの水溶性ジカルボン酸塩類と
しては、具体的にはシュウ酸ニオブアンモニウム、シュ
ウ酸ニオブ等、あるいは、これらの代わりに、含水酸化
ニオブ等を、アンモニウムイオンの共存あるいは非共存
下、シュウ酸などのジカルボン酸(ここでいうジカルボ
ン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、酒
石酸、リンゴ酸等であり、好ましくはシュウ酸、酒石酸
であり、特に好ましくはシュウ酸である)水溶液に溶解
したもの(以下シュウ酸ニオブアンモニウム等)が好ま
しい。シュウ酸ニオブアンモニウムは、例えばX3Nb
O(C243とX2NbO(OH)(C242の混合
物[ここで、X=NH4+又はH+]のように記述される
市販のもの使用できるが、この組成式で表されるもの以
外に、過剰のシュウ酸等のジカルボン酸、ジカルボン酸
アンモニウム塩を含有するものを使用しても良い。酸化
ニオブゾルとニオブの水溶性ジカルボン酸塩類を併用す
る場合には、全ニオブに対する酸化ニオブゾルのモル比
は、通常10〜100%、好ましくは10〜80%、更
に好ましくは30〜80%、最も好ましくは45〜75
%である。
【0026】本発明で用いられるNb原料含有液は、N
b原料を撹拌下に溶解・混合させて一旦均一な状態とな
った後は、上述した全金属含有液を調製するまでの間は
通常の撹拌を行い均一性を保つことが好ましい。ここで
均一とは、完全に透明な溶液状態にあることに限定され
るわけではなく、溶液内でニオブの分布に偏りがないこ
とを指す。
【0027】ニオブ原料含有液を調製してから、Ram
anスペクトルを測定するまでの時間は通常0.1時間
〜8時間、好ましくは0.1〜3時間である。Rama
nスペクトル測定にあたっては、照射径の範囲で均一性
が保たれていることが必要であり、ニオブ原料含有液中
に存在する粒子の大きさは、照射径より充分小さいこと
が好ましい。ニオブ溶液のRaman散乱強度が充分で
ない、あるいは照射径より大きな粒子が存在する等の理
由でニオブ液を直接Raman測定に共するのが困難な
場合に限り、均一なスラリー状態になったニオブ液を5
0℃以下の温度で乾燥して得た固体のRamanスペク
トルからも強度比をもってニオブ液のRamanスペク
トル強度比とする。この場合、ニオブ液をよく撹拌して
サンプリングし、50℃以下の出来るだけ低温で乾燥を
行った後、乾燥固体の粒径が照射径より充分小さくなる
まで粉砕を行うことが必要である。乾燥温度は好ましく
は30℃以下である。乾燥は空気中でもよいが、低温で
より短時間に乾燥するため、減圧状態にするか、あるい
は乾燥空気、乾燥窒素等を流通させるのが好ましい。固
体で測定を行う場合には、測定中に試料が局部的に加熱
されないように、試料を回転させることが好ましい。
【0028】上記のNb以外の触媒原料のうち、モリブ
デン(Mo)原料としては、パラモリブデン酸アンモニ
ウム塩、MoO3、MoCl5、Mo(OR)5、(Rは
炭素数1から5のアルキル基)、モリブデニルアセチル
アセトナート等が使用可能である。バナジウム(V)原
料としては、メタバナジン酸アンモニウム塩、VOSO
4、V25 ,V23 ,VCl4 ,VOCl3、 VO
(OR)3(Rは炭素数1から5のアルキル基)、等が
使用可能である。
【0029】X原料のテルル(Te)原料としては、テ
ルル酸、TeO2、単体のTe等が使用可能である。ま
た、アンチモン(Sb)原料にもTeと同様に単体のS
b粉末、酸化物原料が使用可能である。テルルとアンチ
モン原料は、必要に応じて、特開平11−226408
に記載されているオキソメタレートによる溶解法を用い
ても良い。
【0030】Y原料は、通常水中で分散性が良ければ特
に水溶性である必要はなく、これらの元素の酸化物ゾ
ル、水酸化物、水溶性オキソ酸またはその塩、カルボン
酸塩、硫酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、アルコキシ
ド、アセチルアセトナート、等が使用可能である。好ま
しくは酸化物ゾル、または水酸化物、酸化物等の微粉末
が用いられる。Y原料を他の触媒成分を含むスラリーに
添加する様式については様々な方法が選択しうる。しか
しながら、工業的に流動層で使用する平均粒径40〜6
0μmの球状の触媒を得るには、触媒成分を含むスラリ
ーを噴霧乾燥により微少球状の乾燥粒子に造粒する方法
がもっとも好適に実施される。このような工業的使用の
見地に立つならば、噴霧乾燥に供されるスラリー中に酸
素を除く触媒構成元素が全て含まれていることが好まし
い。
【0031】Y成分は、他の触媒成分と共存することに
よって、有用なニトリルの収率を向上させる効果を有す
るが、添加の様式によってはスラリー中で他の成分との
望ましくない相互作用の結果、効果を充分に発揮しない
こともあり得る。このようなスラリーとY成分との望ま
しくない相互作用を抑制する必要がある場合には、混合
後のスラリーをある温度以下に管理する、あるいは混合
から乾燥工程までの時間を短縮するラインミキシング等
の方式も採用できる。あるいは、添加するY成分とし
て、500℃以上、好ましくは1000℃以上の高温で
焼成された酸化物微粒子を用いる方法、平均粒径が0.
1μm以上40μm以下の酸化物粒子を用いる方法、あ
るいはBET法で測定した比表面積が0.1m2-1
上200m2-1以下、好ましくは0.1m2-1以上5
2-1以下の原料を用いる方法、灼熱減量が5%以
下、好ましくは1%以下である原料を用いる方法など、
媒質への分散性さえ満足されれば、Y成分として化学的
に不活性なものを選択することも可能である。ここで灼
熱減量とは大気中1000℃ 30分間保持した場合の
重量減少率である。
【0032】SiO2ゾルとしては、得られた酸化物触媒全
体に対するSiO2含有量が上述した範囲となるような量を
使用する。上述したこれらの各原料を水等の溶媒中で混
合して溶液またはスラリーを得る。原料として用いる各
元素成分の比率は、テルルを除いて、通常、上述したよ
うな最終的に得られる複合金属酸化物触媒の組成比と同
じとなるように配合される。各原料の混合時の温度は通
常30〜80℃であり、好ましくは40〜50℃であ
る。
【0033】各金属元素の原料化合物を含むスラリーに
は、スラリー状態、または熱分解工程あるいは焼成工程
において還元作用をもつ物質を含有させる。還元作用を
有する物質としては、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、リ
ンゴ酸、アスコルビン酸等の有機酸またはその塩、脂肪
族アルデヒド、芳香族アルデヒドのようなアルデヒド
類、ブタノール、ベンジルアルコールのようなアルコー
ル類あるいは、ブドウ糖のような還元糖類、ヒドロキシ
ルアミンのような無機アミン類およびその塩、有機アミ
ン類あるいはその塩、ヒドラジン類やその塩あるいはジ
イミドが用いられるが、好ましくは有機酸またはアルデ
ヒド、アルコールであり、更に好ましくはシュウ酸また
はクエン酸、最も好ましくはシュウ酸である。
【0034】これら還元作用を有する物質は、たとえば
シュウ酸ニオブアンモニウムにおけるシュウ酸根のよう
に、触媒構成元素の原料物質に含有される、あるいは化
合していても、別途シュウ酸二水和物のような形態で添
加してもよい。この還元作用を有する物質の量は、目的
とする複合金属酸化物の平均価数、原料化合物の平均価
数および還元剤の利用効率の兼ね合いにより決定される
ため、その好適な使用量は一概には決定できないが、通
常、Si等の担体成分を除く仕込みの金属元素合計モル
数に対して0.01〜10モル倍である。ここで平均価
数とは、元素の価数にその存在割合を乗じて加算した値
をいう。還元剤としてシュウ酸根を含有させる場合、シ
ュウ酸根のモル数は、仕込みの金属モル数に対して、通
常0.05〜1倍、好ましくは0.1〜0.5倍であ
る。
【0035】還元剤が作用した後の各構成元素の価数
は、Moが平均5以上6未満、Vが平均4以上5未満、
Teが平均4以上6未満、Sbは平均3以上5未満、N
bは5価であり、Si等の担体成分を除く構成元素の平
均価数は通常4以上6未満、好ましくは4.5以上5.
9以下、特に好ましくは5以上5.8以下である。各元
素の平均価数は、X線光電子分光法、X線近吸収端構造
解析法等により測定される。また構成元素の平均価数
は、元素分析により測定した金属元素の含有率から酸素
の含有率を求め、金属元素と酸素の含有率の比をとるこ
とによっても決定することが出来る。本発明において、
還元剤は、スラリー状態、熱分解、焼成のいずれの工程
で作用しても良いが、通常、熱分解あるいは焼成工程に
おいて還元剤が作用し、原子価の調節が行われるのが好
ましく、主に熱分解工程でこの調節が行われるのが特に
好ましい。
【0036】得られた溶液又はスラリーは、次いで溶媒
除去のための乾燥工程に送り、溶媒を除去して固形物と
する。乾燥工程に至るまでに溶液又はスラリーを保持す
る温度は、高温にすると生成した触媒の性能が低下する
傾向があるため、保持温度は通常80℃以下、好ましく
は60℃以下とする。またスラリーを低温で保持すると
結晶状固体が析出し生成した触媒性能を悪化させる傾向
があるので、保持温度は通常10℃以上、好ましくは3
0℃以上である。
【0037】溶液又はスラリーからの溶媒除去のための
乾燥は、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、真空乾燥法等の常法
に従えばよい。最終的に得られる複合金属酸化物触媒を
流動床用触媒として用いる場合には、上述したように噴
霧乾燥するのが好ましい。噴霧乾燥は常法に従って行え
ばよい。噴霧乾燥中はスラリーから固形分が沈降しない
ように絶えずスラリーの撹拌を行うのがよい。噴霧乾燥
法によれば、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測
定して、平均粒径40〜60μm程度の、流動床用触媒
として好適な球状触媒を容易に得ることが出来る。噴霧
乾燥工程の第一段階では、噴霧乾燥に供されるスラリー
は適当なアトマイザーを通過して、液状混合物の噴霧体
すなわち液滴を生じる。アトマイザーとしては、ディス
ク回転式あるいはノズル式アトマイザーが好適に用いら
れる。本発明のような平均粒径40〜60μm程度の球
状の触媒を得るには、ディスク回転式アトマイザーがよ
り好ましい。ディスク回転式アトマイザーを用いた場合
には、あるスラリーをある送液速度で噴霧して生じる液
滴の粒径はディスク回転数により概ね制御される。
【0038】噴霧乾燥を行う温度は、液滴に接触するガ
スの温度、流量によって概ね決定され、噴霧乾燥生成物
の物理的性質に大きな影響を及ぼす。乾燥温度が高すぎ
ると、空洞があったり、割れた球状でない粒子が生じや
すく、乾燥温度が低すぎると液滴が噴霧乾燥装置の壁面
あるいは排出点に到達する前に乾燥が完了せず、回収率
が低くなったり、液滴同士の合体により、球状でない粒
子が生じる。噴霧乾燥機に導入されるガス温度は入り口
で通常100〜400℃、好ましくは150〜300
℃、より好ましくは180〜280℃であり、出口ガス
温度は通常80〜200℃、好ましくは90〜250
℃、より好ましくは100〜200℃である。乾燥時間
は、通常0.01秒〜10分であり、好ましくは0.0
1秒〜5分であり、更に好ましくは0.05秒〜1分で
ある。
【0039】流動層触媒としての強度、および流動性の
観点から、中空ではなく、中実球の乾燥粒子が得られる
よう、送液量、入り口/出口ガス温度、乾燥ガス流量等
が選択される。通常、噴霧乾燥により得られた乾燥粒子
を含むガスは、サイクロン等に代表される分級装置へ導
かれ、粒子の捕集、分級が行われる。サイクロン内での
ガスの線速等の運転条件は、流動層での使用に適した平
均粒子径、粒径分布となるよう選択される。
【0040】乾燥工程で得られた固形物は、常法により
熱分解してアンモニアや炭酸ガス等の揮発性ガスを放出
させ、固体を得た後に焼成して複合金属酸化物とする。
熱分解の方法は各種の形態が採用可能であるが、工業的
にはロータリーキルン等によって連続的に行うのが有利
である。熱分解温度は150℃〜400℃が好適である
が、さらに好ましくは200〜300℃である。熱分解
工程の滞在時間は数秒から数十分の範囲で行うのが好適
である。ここでいう滞在時間とは、キルンの例でいうな
らば、触媒前駆体がキルンのレトルト上を移動する際
に、分解中の触媒前駆体の温度が、最高到達温度とそれ
より5℃低い温度の間であるような領域を通過していた
時間である。この滞在時間は更に好ましくは、2分から
10分の範囲である。 熱分解の際の触媒前駆体の昇温
速度は、触媒粒子の強度を再現性良く、高い値に保つた
め、2℃/min以上、40℃/min以下とするのが
好ましい。この場合の昇温速度とは、キルンを例にとる
と、キルン入り口のある点にあって分解が実質的に進行
しない100℃程度以下のある温度の触媒前駆体が、キ
ルンのレトルトを移動してより高温にさらされ分解が進
行する熱分解最高到達温度のある温度に到達するまでの
時間で、この間の温度差を除した値であり、代表的には
(前駆体の最高到達温度−キルン入り口での温度)/
(その間の前駆体の平均移動時間)である。この昇温速
度は好ましくは2〜30℃/minであり、更に好まし
くは10〜20℃/minである。熱分解の昇温速度は
得られる触媒の強度に大きな影響を与える。熱分解の昇
温速度が速すぎると、粒子内部での急激な分解ガスの発
生により粒子が破砕したり、亀裂が生じたりして強度が
低下する傾向がある。熱分解の昇温速度が遅すぎると、
触媒の活性が損なわれる他、触媒を生産する際の能率が
低くなる傾向がある。熱分解工程は、発生した分解ガス
の除去を迅速に行うため、通常はガス流通下で行う。
【0041】熱分解工程の雰囲気は、通常空気よりも酸
素濃度の低い雰囲気、好ましくは酸素濃度500ppm以下、
さらに好ましくは酸素濃度100ppm以下、もっとも好まし
くは実質上酸素を含まない窒素、アルゴン、ヘリウム、
CO2などの不活性ガス雰囲気である。ガスの流速は、
連続的に熱分解工程を行う場合は、供給前駆体1kgあ
たり、500〜10000Nlのガスを流通させる。好
ましくは1000〜6000Nlである。固定床で分解
を行う場合は、空間速度として通常 100〜1000
00hr-1が採用され、好ましくは、500〜8000
hr-1、更に好ましくは1000〜6000hr-1であ
る。流速・空間速度が大きすぎても触媒粒子の物理的性
質に悪影響はないが、経済的には好ましくない。
【0042】焼成方法は、固定床方式、流動層方式、ロ
ータリーキルン、トンネル炉等各種の形態を取りうる
が、工業的には流動層、ロータリーキルン等が有利であ
る。焼成温度は通常300〜700℃であり、好ましく
は550〜650℃、更に好ましくは580〜630℃
である。焼成時間は、通常5分〜20時間、好ましくは
30分〜6時間、特に好ましくは1〜3時間である。室
温から所定の焼成温度まで到達するのに要する時間は通
常3時間以下、好ましくは2時間以下である。焼成雰囲
気は、通常空気よりも酸素濃度の低い雰囲気、好ましく
は酸素濃度500ppm以下、さらに好ましくは酸素濃度100p
pm以下、もっとも好ましくは実質上酸素を含まない窒
素、希ガス、CO2などの不活性ガス雰囲気である。不
活性ガスは、好ましくは窒素、希ガス、更に好ましくは
窒素、アルゴン、ヘリウムである。また、特開平7−2
89907号公報に記載されているように焼成後に冷却
して酸素と接触させた後に再度酸素が500ppm以下
の窒素、アルゴン、ヘリウム、CO2等の不活性雰囲気
下で焼成するのも好ましい。
【0043】ガスの空間速度(SV)は、通常100〜
10000hr-1であり、好ましくは500〜6000
hr-1であり、更に好ましくは500〜6000hr-1
である。流動層方式で焼成する場合には、触媒層の温度
分布を計測するなどして触媒が流動状態にあることを確
認する。その際、不活性ガスの流速は、触媒が流動状態
にあり、かつ焼成装置で触媒が回収可能な範囲で選択さ
れる。通常、ガス流速は、焼成容器内でガスの線速(L
V)が所定の焼成温度において2cm/sec程度ある
いはそれ以上となるよう調節される。
【0044】焼成装置から触媒の飛散を防止するため
に、サイクロン等の分離装置を設置することも可能であ
る。焼成装置全体を加熱するなどして、器壁に付着した
揮発成分が触媒に落下して、触媒に混入しないようにす
ることもできる。乾燥、熱分解の工程の間に触媒を冷却
することも出来るし、冷却せず速やかに分解工程に移送
してもよい。移送、保存等に際し、熱分解前の固体が1
00℃以上の温度で30分以上保持されることは好まし
くない。熱分解後の固体は、焼成工程までに冷却するこ
とも可能である。焼成前の固体、あるいは触媒を、30
0℃以上の温度で、酸素濃度が500ppm以上である
雰囲気に30分以上保持することは好ましくない。焼成
に際しては、昇温開始までに、焼成装置内が不活性ガス
で充分置換され、残存酸素濃度が300ppm以下であ
ることが好ましい。 (気相接触酸化反応の説明)本発明の製造方法により得
られる複合金属酸化物触媒は、アルカンの接触酸化反応
による有機化合物の製造に利用される。アルカンとして
は、炭素数1〜10,好ましくは炭素数2〜6のアルカ
ンが挙げられる。アルカンの気相接触酸化反応とは、ア
ルカンを酸素と気相接触酸化させるものであるが、酸素
の他にアンモニアや尿素等の窒素源や水蒸気が反応系に
存在する反応も含まれ、含酸素有機化合物、脱水素化有
機化合物、ニトリル類等の各種の有機化合物の製造に利
用される。
【0045】本発明により得られた複合金属酸化物触媒
は、特に低級アルカンの気相酸化触媒またはアンモ酸化
触媒としてきわめて高い性能を有する。たとえば、n−
ブタンから無水マレイン酸、プロパンからアクリル酸、
プロパンからアクリロニトリル、プロパンからアクリル
酸とアクリロニトリル、エタンからエチレンあるいは酢
酸を製造する反応における触媒として有用である。
【0046】本発明の製造方法で得られる複合金属酸化
物触媒は500℃以下の比較的低温下においてもアルカ
ンの選択酸化活性が高いという特性を有するので、反応
温度は通常300〜500℃、好ましくは350〜48
0℃であり、ガス空間速度(SV)は通常100〜10
000hr-1、好ましくは300〜6000hr-1の範
囲である。反応の圧力はとくに制限されないが、通常1
気圧から3気圧、好ましくは1気圧から2気圧である。
また希釈ガスとして、窒素、ヘリウム、アルゴン、CO
2等の不活性ガスを用いることもできる。
【0047】反応は、固定床、流動層のいずれも採用で
きるが、流動層がより温度制御が容易であり好ましい。
また、反応に不活性な酸化物粒子を反応系内に存在させ
ることにより、流動層における反応熱の除去を更に容易
にすることができる。本発明の複合金属酸化物触媒は、
中でも、特にプロパンからのアクリロニトリルの製造に
有効である。この場合、反応供給ガスにおいて、酸素は
プロパンに対して0.2〜4モル倍、アンモニアはプロ
パンに対し0.1〜3倍モルの範囲が好適である。
【0048】本発明では、原料転化率を低く抑え、高い
生成物選択率を実現する場合には反応器出口の未反応原
料を分離してリサイクルし、再び原料として使用する方
法も採用することができる。本発明複合金属酸化物触媒
は、アルカンの部分酸化により不飽和カルボン酸、特に
プロパンの部分酸化反応により高収率でアクリル酸を得
ることもできる。反応原料ガスとしては、プロパン、酸
素含有ガスを使用するが、更に水蒸気を用いるのが好ま
しく、炭酸ガス等の生成を抑制しアクリル酸の選択率を
更に高めることができる。アクリル酸は、プロパン/水
蒸気/酸素/窒素のモル比が、1.0/0.1〜20/0.1〜10.0/
0〜50.0である反応ガスを、上述した空間速度SVの条
件で反応装置に供給することにより製造される。また、
特開平10−57813号公報に記載のように、触媒を
実質的に酸素不在下で焼成した後、更に酸素ガス含有気
流中、250〜500℃、好ましくは300〜400℃
で加熱処理することによりアクリル酸収率を向上させる
ことも出来る。
【0049】更には、本発明明の複合金属酸化物触媒
は、アンモニア存在下でのプロパンの部分酸化反応の反
応条件、特にプロパンに対するアンモニア、酸素のモル
比、反応温度などを制御することによりアクリロニトリ
ルとアクリル酸を同時に製造することも可能であり、プ
ロパン/アンモニア/酸素/窒素のモル比が、通常1.0/
0.1〜3.0/0.1〜10.0/0〜50.0である反応ガスを、上述し
た空間速度SVの条件で反応装置に供給することにより
製造される。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例、および比較例を挙げ
てさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨を越えな
い限り、これらの実施例に限定されるものではない。プ
ロパン(PPA)転化率、アクリロニトリル(AN)収
率、WWHは次のように計算する。
【0051】
【数7】プロパン転化率(%):反応したプロパンのモ
ル数/供給したプロパンのモル数×100 アクリロニトリル収率(%):生成アクリロニトリルの
モル数/供給プロパンのモル数×100 WWH(hr-1):1時間あたりプロパン供給量(k
g)/触媒量(kg) (実施例1)Mo10.25Nb0.16Te0.125Ce0.04On/SiO2
−10wt%の製造 イオン交換水 21740gを75℃に加温し、パラモ
リブデン酸アンモニウム 5782g、メタバナジン酸
アンモニウム 958g、テルル酸 1504gをこの
順番で投入し撹拌して溶解させた。この溶液を70℃に
放冷し、シリカゾル(触媒化成工業 S−20L:Si
2 20wt%) 4119gを加えて撹拌し、60
℃に保った。これをA液とする。別にイオン交換水52
92gを50℃に加温し、シュウ酸ニオブアンモニウム
(スタルク社製;X3NbO(C243とX2NbO
(OH)(C242の混合物 [ここで、X=NH4 +
又はH +],Nb:20.1 wt%,C24:51.
8 wt%,NH3:5.0 wt%)1322.9g
を加えて70℃まで加熱しながら撹拌して溶解させた。
この溶液を50℃まで放冷し、酸化ニオブゾル[多木化
学製 Nb25:10wt%、(NH3 +NH4 +)の含有
量:N/Nb=0.44(mol/mol)、(COO
H)2/Nb=0.338(mol/mol)] 31
57gとイオン交換水 872gを加え、60℃まで加
熱し10分間撹拌した後、40℃に保った。これをB液
とする。ニオブ液のRaman測定 B液をサンプリングして蛍光セルに満たし、日本分光製
NR1800を用いて、後方散乱配置でRamanスペ
クトルを測定した。測定条件は以下の通りであった。励
起波長:Ar+514.5nm、照射径:100μm、
測定波数範囲:486〜1115cm−1、スリット:
S1、S5=200μm、S2=24000μm、S1
H=4mm、露光時間×積算回数:200秒×2回、得
られたスペクトルを図1に示す。ピーク相対強度比の計測 1100cm−1から500cm−1の間に直線ベース
ラインを引き、ベースラインからピーク1のピークトッ
プまでの高さh1、ベースラインからピーク2のピーク
トップまでの高さh2を測定した。αは下記式(2)に
より求めた。
【0052】
【数8】 相対強度比αは0.375であった。
【0053】測定後、サンプリングしたニオブ液をB液
に戻し、B液をA液に速やかに加え、直ちにBET比表
面積 1.3 m2-1の酸化セリウム(CeO2:新日
本金属化学工業 酸化セリウム−100,1100℃焼
成、酸化物中のCeO2純度:99.9%以上、平均粒
径:6μm、灼熱減量:1 %以下)225.5gを加
え、酸化セリウム粒子が沈降しないように15分間撹拌
した後、噴霧乾燥した(ディスク型スプレードライヤー
使用、ディスクの回転数:6600rpm、送液量:7
L/hr、乾燥ガス(空気)流量:219Nm3/h
r、乾燥ガス(空気)入口温度:220℃、出口温度:
160℃)。噴霧乾燥後の固体は、直ちに室温に冷却さ
れた。
【0054】次いで、噴霧乾燥によって得られた固体を
キルン(259mmφx2170mm)に 1kg/h
rの速度で供給し、レトルト回転数:1rpm、窒素:
2580NL/hr流通下、245〜255℃に保持さ
れた時間:8 min、昇温速度20℃/minで熱分
解処理した。熱分解終了後、固体は直ちに室温に冷却さ
れた。次に、得られた触媒前駆体を以下の操作を3回繰
り返すことにより焼成した。円筒形の流動焼成装置(1
50mmφX520mm)に触媒前駆体3kgを充填
し、酸素濃度が300ppm以下である窒素気流中、室
温から600℃まで2時間で昇温し、600℃で2時間
保持し、その後室温まで放冷した。窒素の流速は、60
0℃において、流動焼成装置内で線速(LV)が2cm
/secとなるようにした。蛍光X線分析(XRF)に
より測定したところ、得られた触媒の組成は、Mo1
0.25Nb0.16Te0.125Ce0.04On/SiO2−10w
t%であった。
【0055】得られた触媒について、下記の方法に従
い、見かけ嵩密度(ABD)と充填嵩密度(CBD)及
び圧縮強度を測定した。密度測定に用いたメスシリンダ
ーはJIS規格品を容量補正したものを用いた。秤量は
感量0.01gの上皿天秤を用い、数値の表示方法はJ
ISZ8401に従った。[見かけ嵩密度(ABD)の測定] 触媒を磁性るつぼ(B−4型 容積150ml)に10
0ml採取した。重量のわかっている容積25mlのメ
スシリンダー(内径約20mm×約84mm)を、スタ
ンドに固定した漏斗(上部内径102mm、下部内径
9.5mm×104mm)の真下に設置した。メスシリ
ンダー上端から、漏斗の下端までは19mmとした。触
媒がメスシリンダーを完全に満たして、外に溢れるまで
触媒をるつぼから一定の速度で約30秒かけて漏斗に注
いだ。次にメスシリンダーに振動を加えずに、メスシリ
ンダー上部の触媒をステンレス製スパチュラで擦りきっ
た。刷毛を用いてメスシリンダー外側に付着した触媒を
除去し、その重量測定値から求めた触媒重量(2回の測
定値の平均値)、およびメスシリンダーの容積から見か
け嵩密度(ABD)を算出したところ、1.35g/m
lであった。結果を表1に示す。[充填嵩密度(CBD)の測定] 触媒を重量の分かっているシャーレに採取し、秤量(触
媒:B/g)後、触媒の厚みを均一にして室温で飽和水
蒸気圧としたデシケータ内で約30分間放置した。その
後、重量を測定(放置後触媒重量:D/g)した。この
触媒を重量の分かっている静止した容積25mlのメス
シリンダー(内径約20mm×約84mm)に約25m
l充填し、バイブレータ上で5分間振とう後、触媒の体
積を測定(v/ml)した。次に、触媒重量を測定(w
/g)した。次いで式(3)により、充填嵩密度(CB
D):d(g/ml)を算出した。
【0056】
【数9】 d= w/v × B/D (3) 上記の方法により、充填嵩密度を測定したところ、1.
54 g/mlであった。結果を表1に示す。[圧縮強度の測定] 触媒の圧縮強度:I(MPa)は、
JIS28841−1993「圧縮強度」に従い、以下
のように測定した。篩分した53〜63μmの触媒から
任意に採取した100個の粒子について、島津製作所製
「微少圧縮試験器 MCTM−500型」を用い、下記
の条件で測定し、その平均値を圧縮強度の測定値とし
た。 上部加圧圧子:ダイヤモンド製 直径500μm平面圧
子、下部加圧板:ステンレス鋼製、負荷速度:0.79
gf/sec 具体的には、上記の試験器を用いて、粒径 d/μmの
触媒粒子に2点載荷を行い、粒子が破砕したときの応
力:f/gfを測定し、平松の方法(日本鉱業会誌 V
ol.81、No.932,P.1024、1965
「非整形試験片による岩石の引っ張り強さの迅速試
験」)に従い、式(3)により算出される値を粒子10
0個について平均した値を圧縮強度とした。
【0057】
【数10】 I=8740f/d2 (3) 上記の方法により、圧縮強度を測定したところ、37.
9 MPaであった。結果を表1に示す。プロパンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製
上記のように製造した触媒550mgを、内径が6mm
であるパイレックス(登録商標)ガラス管に充填し、P
PA/NH3/O2/N2=1/1.2/3.15/1
1.85である混合ガスを、常圧、500Nml/hr
(WWH=0.082 kg-PPA/kg−cat/
hr、空間速度 SV約1000h-1)の流速で供給
し、反応温度440℃でプロパンのアンモ酸化反応を行
った。アクリロニトリル(AN)の収率は52.2%、
プロパン(PPA)の転化率は83.5%であった。結
果を表1に示す。 (実施例2)Mo10.25Nb0.16Te0.11On/SiO2−10wt
%の製造 酸化セリウムを添加しない以外は実施例1と同様にし
て、触媒を製造した。実施例1と同様に測定したRam
anスペクトル強度比α=0.375であった。実施例
1と同様に組成を分析したところ、Mo10.25Nb
0.16Te0.11On/SiO2−10wt%であった。
【0058】実施例1と同様に密度、強度を測定したと
ころ、ABD:1.31g/ml、CBD:1.49g
/ml、圧縮強度:38.8 MPaであった。結果を
表1に示す。プロパンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製
上記のように製造した触媒を使用したこと以外は、実施
例1と同様にプロパンのアンモ酸化反応を行った。反応
温度420℃でのアクリロニトリル(AN)の収率は4
9.1%、プロパン(PPA)の転化率は73.9%で
あった。結果を表1に示す。 (実施例3)Mo10.30Nb0.16Te0.14On/SiO2−10wt
%の製造 メタバナジン酸アンモニウムの量を1150gとした以
外は、実施例2と同様に触媒を製造した。実施例1と同
様に測定したRamanスペクトル強度比α=0.37
5であった。触媒の組成をXRFにより分析したとこ
ろ、Mo10.30Nb0.16Te0.14On/SiO2−10
wt%であった。実施例1と同様に密度、強度を測定し
たところ、ABD:1.32g/ml、CBD:1.4
9g/ml、圧縮強度:43.4 MPaであった。結
果を表1に示す。プロパンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製
上記のように製造した触媒を用いたこと以外は、実施例
1と同様に反応を行った。反応温度を420℃でのアク
リロニトリル(AN)の収率は50.0%、プロパン
(PPA)の転化率は77.1%であった。結果を表1
に示す。 (実施例4)Mo10.27Nb0.16Te0.12On/SiO2−10wt
%の製造 メタバナジン酸アンモニウムの量を1034gとした以
外は、実施例2と同様に触媒を製造した。実施例1と同
様に測定したRamanスペクトル強度比α=0.37
5であった。XRF法により組成を分析したところ、M
10.27Nb0 .16Te0.12On/SiO2−10wt%
であった。実施例1と同様に密度、強度を測定したとこ
ろ、ABD:1.26g/ml、CBD:1.42g/
ml、圧縮強度:44.7 MPaであった。結果を表
1に示す。プロパンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製
上記のように製造した触媒を用いたこと以外は、実施例
1と同様に反応を行った。反応温度を420℃でのアク
リロニトリル(AN)の収率は49.2%、プロパン
(PPA)の転化率は74.6%であった。結果を表1
に示す。 (実施例5)Mo10.30Nb0.12Te0.138On/SiO2−10w
t%の製造 イオン交換水 14399gを75℃に加温し、パラモ
リブデン酸アンモニウム 3531g、メタバナジン酸
アンモニウム 701.9g、テルル酸 918.6g
をこの順番で投入し撹拌して溶解させた。この溶液を7
0℃に放冷し、シリカゾル(触媒化成工業 S−20
L:SiO2 20wt%) 2463gを加えて撹拌
し、40℃まで放冷し、シュウ酸二水和物 438gを
加えて溶解させ、40℃に保った。これをA液とする。
B液として、五酸化ニオブゾル(多木化学製 Nb2O
5:10wt%、(NH3+NH4+)の含有量:N/
Nb=0.44(mol/mol)、(COOH)2/
Nb=0.338(mol/mol)) 3190gを
用いた。B液を露光時間×積算回数:20秒×5回とし
た以外は、実施例1と同様にRaman測定を行ったと
ころ、α=1であった。得られたスペクトルを図1に示
す。A液とB液を速やかに混合し、15分間撹拌した
後、実施例1と同様に乾燥、熱分解、焼成を経て触媒を
得た。実施例1と同様に分析したところ、触媒の組成は
Mo10.30Nb0.12Te0.138On/SiO2−10
wt%であった。
【0059】実施例1と同様に密度、強度を測定したと
ころ、ABD:1.33g/ml、CBD:1.50g
/ml、圧縮強度:45.2 MPaであった。結果を
表1に示す。プロパンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製
上記のように製造した触媒を用いたこと以外は、実施例
1と同様に反応を行った。反応温度430℃でのアクロ
ニトリル(AN)の収率は44.1%、プロパン(PP
A)の転化率は82.3%であった。結果を表1に示
す。 (実施例6)Mo10.23Nb0.16Te0.12On/SiO2−10wt
%の製造 メタバナジン酸アンモニウムの量を880gとした以外
は、実施例2と同様に触媒を製造した。実施例1と同様
に測定したRamanスペクトル強度比α=0.375
であった。XRF法により組成を分析したところ、Mo
10.23Nb0.1 6Te0.12On/SiO2−10wt%で
あった。実施例1と同様に強度を測定したところ、圧縮
強度は32.9 MPaであった。結果を表1に示す。プロパンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製
上記のように製造した触媒を用いたこと以外は実施例1
と同様に反応を行った。反応温度420℃でアクリロニ
トリル(AN)の収率は35.7%、プロパン(PP
A)の転化率は67.1%であった。結果を表1に示
す。 (実施例7)Mo10.30Nb0.12Te0.13On/SiO2−10wt
%の製造 実施例5において、A液を調合する際のシュウ酸二水和
物の量を100gとした。また、B液として、シュウ酸
ニオブアンモニウム 732gを50℃に加温したイオ
ン交換水 3000gに溶解し、酸化ニオブゾルを97
7gを加えたものを調合した。実施例1と同様にB液の
Raman測定を行ったところ、Ramanスペクトル
強度比 α=0.375であった。それ以外は実施例5
と同様に触媒を製造した。実施例1と同様に分析したと
ころ、触媒の組成はMo10. 30Nb0.12Te0.13On
/SiO2−10wt%であった。また、実施例1と同
様に強度を測定したところ、圧縮強度は36.2 MP
aであった。結果を表1に示す。プロパンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製
上記のように製造した触媒を用いて、実施例1と同様に
反応を行った。反応温度430℃でアクリロニトリル
(AN)の収率は49.1%、プロパン(PPA)の転
化率は87.3%であった。結果を表1に示す。 (実施例8)実施例7において、A液を調合する際のシ
ュウ酸二水和物の添加量を440gとし、B液を調合す
る際にシュウ酸ニオブアンモニウム 320gを加温し
たイオン交換水1300gに溶解し、酸化ニオブゾルを
2250gとし、露光時間×積算回数:20秒×5回と
した。実施例実施例7と同様にB液のRaman測定を
行ったところ、Ramanスペクトル強度比 α=0.
57であった。得られたスペクトルを図1に示す。それ
以外は実施例7と同様に触媒を製造した。実施例1と同
様に分析したところ、触媒の組成はMo10.30Nb
0.12Te 0.12On/SiO2−10wt%であった。ま
た、実施例1と同様に強度を測定したところ、圧縮強度
は42.2 MPaであった。結果を表1に示す。プロパンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製
造方法 上記のように製造した触媒を用いて、実施例1と同様に
反応を行った。反応温度430℃でアクリロニトリル
(AN)の収率は46.1%、プロパン(PPA)の転
化率は85.3%であった。結果を表1に示す。 (比較例1)Mo10.30Nb0.12Te0.13On/SiO2−10wt
%の製造 イオン交換水 21740gを75℃に加温し、パラモ
リブデン酸アンモニウム 5782g、メタバナジン酸
アンモニウム 1150g、テルル酸 1729gをこ
の順番で投入し撹拌して溶解させた。この溶液を70℃
に放冷し、シリカゾル(実施例1と同じものを使用)
4076gを加えて撹拌し、60℃に保った。これをA
液とする。別にイオン交換水5896gを50℃に加温
し、シュウ酸ニオブアンモニウム(実施例1と同じもの
を使用)1472gを加えて70℃まで加熱しながら撹
拌して溶解させ、透明な溶液を得た後、40℃に保っ
た。これをB液とする。これを、露光時間×積算回数:
20秒×5回とした以外は、実施例1と同様にRama
n測定を行ったところ、α=0であった。得られたスペ
クトルを図1に示す。B液とA液を速やかに混合し、直
ちに15分間撹拌した後、実施例1と同様に噴霧乾燥、
熱分解、焼成を行い触媒を製造した。実施例1と同様に
組成を分析したところ、Mo10.30Nb0.12Te0.13
On/SiO2−10wt%であった。また、実施例1
と同様に強度を測定したところ、圧縮強度は25.8
MPaであった。結果を表1に示す。プロパンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製
上記のように製造した触媒を用いたこと以外は、実施例
1と同様に反応を行った。反応温度420℃でアクリロ
ニトリル(AN)の収率は52.3%、プロパン(PP
A)の転化率は83.7%であった。結果を表1に示
す。
【0060】
【表1】
【0061】表1から明らかなように、SiO2含有量が少
ない本発明の複合酸化物触媒の場合は、ABD及び/又
はCBDが特定値以上に大きい場合は、AN収率を大幅
に低下させることなく、良好な強度を示すことが分か
る。 (実施例9)プロパンの選択酸化によるアクリル酸の製造 実施例1で製造した触媒1250mgを、内径が6mm
であるパイレックスガラス管に充填し、PPA/H2O/
2/N2=1/14/3.15/11.85である混合
ガスを、常圧、870Nml/hr(WWH=0.08
2 kg-PPA/kg−cat/hr、空間速度 S
V約832h-1)の流速で供給し、反応温度413℃で
プロパンの酸化反応を行った。1時間後、アクリル酸
(AA)の収率は35.3%、プロペン(PPY)の収
率は0.9%、プロパン(PPA)の転化率は75.3
%であった。結果を表2に示す。 (実施例10)プロパンの選択酸化によるアクリル酸の製造 実施例2で製造した触媒1100mgを使用し、混合ガ
スを空間速度 SV約879h−1で供給し、反応温度
397℃としたこと以外は実施例9と同様にでプロパン
の酸化反応を行った。1時間後、アクリル酸(AA)の
収率は36.5%、プロペン(PPY)の収率は1.4
%、プロパン(PPA)の転化率は62.0%であっ
た。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】本発明の方法によれば、低いSiO2
有量でも高い触媒性能を示し、且つ高い圧縮強度を有す
る複合金属酸化物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1,8及び比較例1で使用した
Nb原料含有液のラマンスペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 253/24 C07C 253/24 255/08 255/08 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 渡辺 展 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 4G069 AA02 AA08 BA02A BA02B BA37 BB04C BB06A BB06B BC01A BC08A BC15A BC20A BC26A BC29A BC34A BC38A BC43B BC54A BC54B BC55A BC55B BC55C BC59A BC59B BD10A BD10B CB07 CB53 DA05 EA01Y FA01 FB30 FB57 FC06 FC08 4H006 AA02 AC46 AC54 BA12 BA13 BA14 BA15 BA30 BA75 BA81 BE14 BE30 BS10 QN24 4H039 CA65 CA70 CC30 CL50

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mo、V、Nb、X元素及び必要に応じ
    てY元素の原料化合物を含む溶液又はスラリー(以下、
    全金属含有液とする)を調製し、次いで、該全金属含有
    液を順次、噴霧乾燥、焼成することにより、下記組成式
    (1)で表される複合金属酸化物触媒を製造する方法に
    おいて、該全金属含有液を調製する際に使用するNb原
    料含有液として、少なくとも下記式(2)で定義される
    Ramanスペクトルの相対強度比αが0.1〜1の範
    囲内となる溶液又はスラリーを使用することを特徴とす
    る複合金属酸化物触媒の製造方法。 【化1】 MoabNbcdfn (1) (式(1)において、Xはテルルおよび/またはアンチ
    モンを表し、Yは周期表の1〜16族の元素のうち、M
    o,V,Nb、X、O以外から選ばれる1種以上の元素
    を表し、a=1.0、0.01<b≦1、0.01<c
    ≦1、0<d≦1、0≦f<1、nは他の元素の酸化状
    態によって決まる値である。) 【数1】 α= h1/(h1+h2) (2) (式(2)において、h1は660〜685cm-1の間
    で最大となるピークトップの高さを表し、h2は575
    ±5cm-1の間で最大となるピークトップの高さを表
    す。)
  2. 【請求項2】 Nb原料含有液として、少なくともRa
    manスペクトルの相対強度比αが0.2〜1の範囲内
    となる溶液又はスラリーを使用する請求項1に記載の複
    合金属酸化物触媒の製造方法。
  3. 【請求項3】 Nb原料含有液として、Nb原料が均一
    に分散したコロイド溶液を使用する請求項1又は2に記
    載の複合金属酸化物触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 Nb原料含有溶液として、酸化ニオブゾ
    ルを含む溶液を使用する請求項2に記載の複合金属酸化
    物触媒の製造方法。
  5. 【請求項5】 全金属含有液中のNbの10mol%以
    上を酸化ニオブゾルとして供給する請求項1〜4のいず
    れかに記載の複合金属酸化物触媒の製造方法。
  6. 【請求項6】 式(1)の酸化物において、a=1.
    0、0.05<b≦0.8、0.02<c≦0.5 、
    0.02<d≦0.5、0≦f<0.5である請求項1
    〜5のいずれかに記載の複合金属酸化物触媒の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 式(1)の酸化物において、Xがテルル
    である請求項1〜6のいずれかに記載の複合金属酸化物
    触媒の製造方法。
  8. 【請求項8】 式(1)の酸化物において、Yが希土類
    元素である請求項1〜7のいずれかに記載の複合金属酸
    化物触媒の製造方法。
  9. 【請求項9】 複合金属酸化物触媒が2〜25重量%の
    SiO2を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の複
    合金属酸化物触媒の製造方法。
  10. 【請求項10】 Mo、V、Nb、X元素及び必要に応
    じてY元素の原料化合物を含む溶液又はスラリー(以
    下、全金属含有液とする)を調製し、次いで、該全金属
    含有液を順次、乾燥、焼成することにより、下記組成式
    (1)で表される複合金属酸化物とSiO2を含む触媒
    を製造する方法において、該全金属含有液を調製する際
    に使用するNb原料含有液として、少なくとも下記式
    (2)で定義されるRamanスペクトルの相対強度比
    αが0.1〜1の範囲内となる溶液又はスラリーを使用
    することを特徴とする複合金属酸化物触媒の製造方法。 【化2】 MoabNbcdfn (1) (式(1)において、Xはテルルおよび/またはアンチ
    モンを表し、Yは周期表の1〜16族の元素のうち、M
    o,V,Nb、X、O以外から選ばれる1種以上の元素
    を表し、a=1.0、0.01<b≦1、0.01<c
    ≦1、0<d≦1、0≦f<1、nは他の元素の酸化状
    態によって決まる値である。) 【数2】 α= h1/(h1+h2) (2) (式(2)において、h1は660〜685cm-1の間
    で最大となるピークトップの高さを表し、h2は575
    ±5cm-1の間で最大となるピークトップの高さを表
    す。)
  11. 【請求項11】 複合金属酸化物触媒が2〜25重量%
    のSiO2を含有する請求項10に記載の複合金属酸化
    物触媒の製造方法。
  12. 【請求項12】 Mo、V、Nb、X元素及び必要に応
    じてY元素の原料化合物を含む溶液又はスラリー(以
    下、全金属含有液とする)を調製し、次いで、該全金属
    含有液を順次、噴霧乾燥、焼成することにより製造され
    る下記組成式(1)で表される複合金属酸化物触媒にお
    いて、該全金属含有液を調製する際に使用するNb原料
    含有液として、少なくとも下記式(2)で定義されるR
    amanスペクトルの相対強度比αが0.1〜1の範囲
    内となる溶液又はスラリーを使用することを特徴とする
    複合金属酸化物触媒。。 【化3】 MoabNbcdfn (1) (式(1)において、Xはテルルおよび/またはアンチ
    モンを表し、Yは周期表の1〜16族の元素のうち、M
    o,V,Nb、X、O以外から選ばれる1種以上の元素
    を表し、a=1.0、0.01<b≦1、0.01<c
    ≦1、0<d≦1、0≦f<1、nは他の元素の酸化状
    態によって決まる値である。) 【数3】 α= h1/(h1+h2) (2) (式(2)において、h1は660〜685cm-1の間
    で最大となるピークトップの高さを表し、h2は575
    ±5cm-1の間で最大となるピークトップの高さを表
    す。)
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の複合金属酸化物触
    媒を用いて、アルカンを窒素源と気相接触酸化反応させ
    ることを特徴とする気相接触酸化反応方法。
  14. 【請求項14】 アルカンがプロパンである請求項13
    に記載の気相接触酸化反応方法。
  15. 【請求項15】 気相接触酸化反応によりα、β−不飽
    和ニトリル化合物が生成する請求項13又は14に記載
    の気相接触酸化反応方法。
  16. 【請求項16】 気相接触酸化反応によりα、β−不飽
    和カルボン酸が生成する請求項13又は14に記載の気
    相接触酸化反応方法。
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