JP2002313411A - 制御弁式鉛蓄電池 - Google Patents
制御弁式鉛蓄電池Info
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Abstract
御弁式鉛蓄電池において、過放電放置による正極格子表
面に生成する腐食層は、電解液に浸潰した部分よりも電
解液が浸潰されていない部分の方が高抵抗となり、充電
回復性に差があるので、この問題点を解決する。 【解決手段】 正極格子体の表面の少なくとも一部に正
極格子体に含まれるよりも高濃度の錫を含有した高濃度
錫含有層を設け、正極板の電解液に浸潰された部分にお
ける正極活物質量に対する前記高濃度錫含有層に含有さ
れる錫量の比率を比率A、前記正極板の前記電解液から
露出した部分における前記正極活物質量に対する前記高
濃度錫含有層に含有される錫量の比率を比率Bとした場
合において、比率A<比率Bとする。
Description
関するものである。
びに水素ガスの発生が極めて少なく、補水の必要がない
等の利点を有し、様々な用途に広く用いられている。
るために、負極において酸素ガスを吸収する機構を設け
る必要があるので、電解液の殆どを正極,負極ならびに
セパレータに含浸させるようにした構成であった。その
ため流動できる電解液が豊富な液式の鉛蓄電池に比べ
て、活物質量に対する電解液中の硫酸量が少ない構成と
なっている。従って、制御弁式鉛蓄電池は過放電される
と、活物質よりも硫酸が先に消費されて、電解液が中性
の水になってしまう。このような状態で放置されると、
正極において格子体と活物質の界面に高抵抗の腐食層が
生成することになり導電性が低下してしまい、充電でき
ないか、または充電しても容量等の特性が回復しないと
いった課題がある。このような課題を解決する方法とし
て、正極格子の表面に高濃度の錫を含有した層を設ける
技術が開示されている。
上する目的で、極板群下部のみを電解液に浸潰した構成
が従来から提案されているが、このような構成の電池の
場合、過放電されると正極格子表面に生成する腐食層
は、電解液に浸潰した部分よりも電解液が浸潰されてい
ない部分の方が高抵抗となっており、充電による回復性
に差が見られることがわかってきた。
点に鑑み、高濃度の錫を含有する層を正極格子の表面全
体に均一に配設するのでなく、充電による電池容量等の
特性の回復において、最も適切な位置でかつ特定な条件
で効率的に高濃度の錫を含有する層を配設し、もって従
来の課題を解決し、併せて高価な錫の使用量を合理的に
することを目的とするものである。
ために、請求項1に記載の発明は、正極板,負極板およ
びセパレータからなる極板群の一部が電解液に浸漬され
るとともに、前記極板群の他の部分が電解液から露出し
た制御弁式鉛蓄電池であって、前記正極板は正極活物質
と正極格子体を備え、前記正極格子体は鉛−錫合金もし
くは鉛−錫−カルシウム合金もしくは鉛−カルシウム合
金から構成されていて、前記正極格子体の表面の少なく
とも一部に正極格子体に含まれる錫濃度よりも高濃度の
錫を含有した高濃度錫含有層を設け、前記正極板の前記
電解液に浸漬された部分における前記正極活物質量に対
する前記高濃度錫含有層に含有される錫量の比率を比率
A、前記正極板の前記電解液から露出した部分における
前記正極活物質量に対する前記高濃度錫含有層に含有さ
れる錫量の比率を比率Bとした場合において、比率A<
比率Bとすることを示すものである。
は、請求項1の構成を備えた制御弁式鉛蓄電池におい
て、前記比率Aを0.003質量%〜0.03質量%と
するものである。
または鉛−錫−カルシウム合金または鉛−カルシウム合
金を圧延加工することで連続したシート状とし、これに
複数のスリットを入れて引き伸ばす所謂エキスパンド加
工によって網目状に展開することによって形成される。
または鉛−錫−カルシウム合金または鉛−カルシウム合
金をシート状に圧延加工する際、上記鉛合金シート1の
錫濃度よりも高濃度の錫を含む鉛−錫合金からなる連続
した箔2を表面に配設して、ともに圧延加工することに
より、正極格子体の表面に高濃度の錫を含有する高濃度
錫含有層を備えることができる。さらに、これをエキス
パンド加工する際、鉛合金シートの幅方向においてスリ
ットの間隔を変化させて網目状に展開することで、正極
板の活物質量に対する格子体表面層の錫量の比率を正極
板の上下方向で変化させることができる。すなわち図2
に示すように、電解液に浸潰される部分に相当する鉛合
金シートの部位に入れるスリット間隔、例えばW1より
も、電解液から露出した部分に相当するスリット間隔、
例えばW2を広くすることにより、電解液に浸潰された
部分よりも電解液から露出した部分における正極活物質
量に対する格子体表面層の錫量の比率を高くした正極板
3が得られる。
については溶射等、種々の方法も用いることができる。
さらに正極格子の電解液の浸潰された部分と電解液から
露出した部分とで活物質量に対する錫量を変化させる手
法として含錫層の厚みを変化させたり、濃度を変化させ
ることも可能であるが、表面に含錫層を形成した鉛シー
トをエキスパンド加工して正極格子を得る際に切幅を電
解液から露出した部分を電解液に浸潰された部分よりも
大きく構成する方が簡便に得ることができる。
に電解液に浸潰された部分における正極活物質量に対す
る格子体の表面層の錫量の比率を少なくとも0.003
質量%以上に構成することが好ましい。但し0.3質量
%を超えて多量としてもそれ以上の効果は得られないの
で、この比率を0.003質量%〜0.3質量%とする
ことが好ましい。
4およびセパレータ5を用いて、図3に示すように、極
板群の一部が電解液6に浸潰された制御弁式鉛畜電池を
構成する。
も電解液の浸透速度が大きいものを用いることが好まし
い。このような構成にすれば電解液から露出したセパレ
ータ5中の電解液量は比較的多くなるので活物質量に対
する錫量を多くしたことと相まって過放電時の回復性を
さらに改善することができる。
す。
厚の鉛−カルシウム0.07質量%−錫0.5質量%合
金の表面に、厚み0.2mmの錫7質量%−鉛合金の箔
2を配設して圧延し、厚み1.0mmの鉛合金シート1
を作製し、これをエキスパンド加工して正極板を得た。
この際、鉛合金シートへのスリット間隔を電解液に浸潰
される部分(すなわち正極板の下部に対応する部分)よ
りも電解液から露出した部分(すなわち正極板の上部に
対応する部分)を広くして作製した正極板2種類と、ス
リット間隔を均一にして作製した正極板および電解液に
浸潰される部分を電解液から露出した部分よりも広くし
て作製した正極板の4種類を準備した。なお、正極板1
枚当たりの活物質量ならびに錫7質量%−鉛合金箔の含
有量は、すべての種類の正極板で同一である。
レータをそれぞれ組み合わせて、セル当たり正極板5
枚,負極板6枚からなる極板群とし、極板群の一部を電
解液に浸潰させた構成の公称電圧12V容量48Ahの
制御弁式鉛蓄電池を表1のように2種類作製した。
放置試験を実施した。40℃雰囲気にて10Ωの抵抗負
荷を接続して1ヵ月間放置した後、開路状態で2週間放
置した。その後、充電回復性を評価するため、14Vに
て定電圧充電を4時間実施した後の電池容量を測定し
た。その試験結果を表1に示す。なお、比率Aは、正極
板の電解液に浸潰された部分における正極活物質量に対
する正極格子体の表面層に含有される錫量の比率を示し
ており、比率Bは、正極板の電解液から露出した部分に
おける正極活物質量に対する正極格子体の表面層に含有
される錫量の比率を示している。
2、すなわちいずれも比率A<比率Bの電池は、他の従
来例の電池、すなわち比率A=比率Bならびに比率A>
比率Bと比較して正極格子体表面層の錫量は同一である
にもかかわらず、本発明例1および2の方が過放電放置
後の充電回復性に優れていることが明らかである。これ
は、電解液に浸潰した部分に比べて、電解液が浸潰され
ていない部分では、過放電に伴う硫酸の消費が早期に進
むことで電解液が中性になりやすいことが考えられる。
このため、正極格子体表面に生成する腐食層は、電解液
に浸潰した部分よりも電解液が浸潰されていない部分の
方が高抵抗となるが、上記の本発明例のように、劣化を
受けやすい部分に高濃度の錫層を効率的に配設すること
で、充電回復性が向上したものと推察される。
質量%,7質量%,21質量%,35質量%と変えた錫
−鉛合金箔を用いて、前述の本発明例と同様に表2に示
すような制御弁式鉛蓄電池を各々作製した。これら5種
類の電池について上記と同様に過放電放置後の充電回復
性を容量回復率によって評価した。その結果を図4に示
す。比率Aが0.003質量%よりも少なくなると容量
回復率は低下し、一方、0.03質量%を超えても容量
回復率は殆ど変化がなかった。これらのことから、高価
な錫の使用量を考慮すると、効果的な充電回復性が得ら
れる範囲として、比率Aを0.003質量%〜0.03
質量%とすることが特に好ましい。
の一部が電解液に浸潰された構成の制御弁式鉛蓄電池に
おいて、過放電放置による充電回復性の劣化を受けやす
い部分の正極格子体に高濃度の錫を効率的に配設するこ
とで、低コスト且つ過放電回復性に優れた制御弁式鉛蓄
電池を得ることが可能となる。
加工を示す説明図
略図
Claims (2)
- 【請求項1】 正極板,負極板およびセパレータからな
る極板群の一部が電解液に浸漬されるとともに、前記極
板群の他の部分が電解液から露出した制御弁式鉛蓄電池
であって、前記正極板は正極活物質と正極格子体を備
え、前記正極格子体は鉛−錫合金もしくは鉛−錫−カル
シウム合金もしくは鉛−カルシウム合金から構成されて
いて、前記正極格子体の表面の少なくとも一部に正極格
子体に含まれる錫濃度よりも高濃度の錫を含有した高濃
度錫含有層を設け、前記正極板の前記電解液に浸漬され
た部分における前記正極活物質量に対する前記高濃度錫
含有層に含有される錫量の比率を比率A、前記正極板の
前記電解液から露出した部分における前記正極活物質量
に対する前記高濃度錫含有層に含有される錫量の比率を
比率Bとした場合において、比率A<比率Bとしたこと
を特徴とする制御弁式鉛蓄電池。 - 【請求項2】 前記比率Aを0.003質量%〜0.0
3質量%としたことを特徴とする請求項1に記載の制御
弁式鉛蓄電池。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001119277A JP4765190B2 (ja) | 2001-04-18 | 2001-04-18 | 制御弁式鉛蓄電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2001119277A JP4765190B2 (ja) | 2001-04-18 | 2001-04-18 | 制御弁式鉛蓄電池 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2002313411A true JP2002313411A (ja) | 2002-10-25 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS56159065A (en) * | 1980-05-13 | 1981-12-08 | Yuasa Battery Co Ltd | Grid for lead acid battery |
JP2000195524A (ja) * | 1998-12-24 | 2000-07-14 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 密閉形鉛蓄電池 |
-
2001
- 2001-04-18 JP JP2001119277A patent/JP4765190B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS56159065A (en) * | 1980-05-13 | 1981-12-08 | Yuasa Battery Co Ltd | Grid for lead acid battery |
JP2000195524A (ja) * | 1998-12-24 | 2000-07-14 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 密閉形鉛蓄電池 |
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JP4765190B2 (ja) | 2011-09-07 |
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