JP2002311020A - 臭気評価方法およびこの方法を利用した対象物の品質管理方法 - Google Patents

臭気評価方法およびこの方法を利用した対象物の品質管理方法

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工 荒木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的簡単に、短時間に多数の対象物の臭気
を客観的に評価できる方法を提供する。 【解決手段】 対象物から発生する1種以上の揮発性物
質を同定および定量して各揮発性物質のピーク面積又は
濃度(Cn)を求め、該各揮発性物質のピーク面積又は
濃度(Cn)を各揮発性物質に固有の臭気閾値(Sn)
で除して各揮発性物質の臭気値(Cn/Sn)を求め、
この臭気値(Cn/Sn)に基づいて、前記対象物の臭
気を評価する。また、前記各揮発性物質の臭気値(Cn
/Sn)を合計して前記対象物から発生する総臭気値
(ΣCn/Sn)を求め、この総臭気値(ΣCn/S
n)により、前記対象物の臭気を評価してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂、木材、
金属、陶器、ガラスなどの各種材料、その複合材料ある
いは該各種材料から成形された成形品の臭気評価方法お
よびこの方法を利用した対象物の品質管理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成樹
脂や、木材、金属、ガラス、陶器等を用いた複合材料な
どは、各種成形品に成形されて様々な分野で使用されて
いる。例えば、熱可塑性樹脂では、食品分野、医療分野
などにおいて、包装用のフィルムや、プラスチック、紙
などと積層した積層体、バッグ、容器などに成形され、
野菜、肉、乳製品、果汁、お茶、調味料、牛乳、乳製
品、食用油、飲料水等の食品の包装や、飲料用容器等と
して使用されている。特にポリオレフイン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂
は、安価であり、成形性が良好であるなどの利点を有す
るため、押出成形、射出成形、ブロー成形、回転成形等
の種々の成形方法によって成形され、上記成形品として
広く用いられている。
【0003】ところが、ポリオレフィン系樹脂などの熱
可塑性樹脂を加熱、溶融して成形すると、ポリオレフィ
ン系樹脂中の低分子量成分の一部が酸化劣化したり、配
合されている様々な添加剤の一部が分解したりする場合
があった。その結果、臭気の原因となる物質が生成し、
得られた成形品が臭気を発生する場合があった。このよ
うな傾向は、熱可塑性樹脂が高温成形される場合、特に
高温で樹脂を溶融して基材上に押し出し、積層する押出
ラミネーションで成形された積層体において顕著であ
る。このように臭気を発生する成形品は衛生面から、食
品分野、医療分野への使用には適さない。よって、得ら
れた成形品がこれらの分野への使用可能かどうかを判断
するために、熱可塑性樹脂成形品等から発生する臭気の
程度を適切に判定する方法が検討されてきた。
【0004】従来、臭気の程度を判定する方法の1つと
して、選ばれた複数人のパネラーが熱可塑性樹脂成形品
等の対象物から発生する臭気の程度を嗅覚で判定する方
法が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複数人
のパネラーによる方法では、多くのパネラーの協力が必
要であるうえ、人間の嗅覚によるものなので、短時間に
多数のサンプルを評価することができない。また、臭気
は個人の感覚によるところが大きいため、得られた評価
結果の客観性が低いという問題があった。また、分析機
器を使用して、熱可塑性樹脂成形品から揮発する物質を
同定および定量することはできるが、単に揮発する成分
量が多ければ臭気も高くなるとは限らず、得られた分析
結果と臭気の程度との関連性は一義的でなく、分析結果
と実際に感じる臭気との間に明確な相関が認められない
場合もあった。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、比較的簡単に、短時間に多数の材料やその成形品な
どの臭気を客観的に評価できる方法、および該方法を用
いて対象物の品質を管理する方法を提供することを課題
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の臭気評価方法
は、対象物から発生する1種以上の揮発性物質を同定お
よび定量して各揮発性物質のピーク面積又は濃度(C
n)を求め、該各揮発性物質のピーク面積又は濃度(C
n)を各揮発性物質に固有の臭気閾値(Sn)で除して
各揮発性物質の臭気値(Cn/Sn)を求め、この臭気
値(Cn/Sn)に基づいて、前記対象物の臭気を評価
することを特徴とする。前記各揮発性物質の臭気値(C
n/Sn)を合計して前記対象物から発生する総臭気値
(ΣCn/Sn)を求め、この総臭気値(ΣCn/S
n)より、前記対象物の臭気を評価することもできる。
前記対象物は、合成樹脂であることが好ましく、特に熱
可塑性樹脂であることが好ましい。本発明の対象物の管
理方法は、上記臭気評価方法を利用して前記対象物の品
質を管理することを特徴とし、対象品としては、例え
ば、フィルム、シート、積層体、袋、容器などの成形品
が挙げられ、食品包装材、食品容器、紙容器、バッグイ
ンボックス、医療容器・医療用バッグなどへの応用に最
適である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の臭気評価方法の対象物は、熱可塑性樹脂、熱硬
化性樹脂などの合成樹脂、木材、金属、陶器、ガラス、
織布、不織布およびこれらを用いた複合材料などの材料
やその成形品が挙げられる。さらには食品なども挙げら
れ、材料その物自体の熱劣化、酸化、腐食等による臭気
や、金属容器、ガラス容器等に付着した付着物の臭気な
どを評価できるが、特に熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂な
ど、熱履歴を受け、変質しやすい合成樹脂に好適に適用
される。該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹
脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−
ボネート系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケンカ
物などが挙げられ、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
また、これら樹脂と木材、フィラーなどを配合した樹脂
組成物、これら等の複合材料なども例示できる。成形品
としてはフィルム、シート、袋、容器のほか、紙、金属
箔、不織布、織布と樹脂との積層体等各種成形品が挙げ
られる。また、容器としても、押出成形、射出成形、中
空成形、回転成形、圧空成形、真空成形等によって成形
された容器、ボトル、カップ等特に限定されない。
【0009】本発明の臭気評価方法においては、上記対
象物の一定量を試料として使用するが、ここでは熱可塑
性樹脂成形品を対象物とし、その一部を試料とした場合
を例示して本発明を説明する。まず、熱可塑性樹脂から
なるフィルム、シートなどの一定量を試料とし、これを
試料容器に入れて密封する。ついで、この試料容器内の
気体の一定量をサンプリングし、このサンプルガスを分
析機器で分析して、試料から発生した揮発性物質の種類
および量を特定する。ここで、発生する揮発性物質の種
類や量は、熱可塑性樹脂成形品の成形時を基準として時
間の経過に伴って変化する。また、その変化の様子や程
度は保管状況に依存する。したがって、成形されてから
試料として試料容器に投入されるまでの時間や保管状態
を各試料について統一しておく必要がある。例えば、成
形後、窒素雰囲気中に一定時間放置してから試料容器に
入れるようにする。また、試料を試料容器に入れてか
ら、試料容器内の気体をサンプリングするまでの時間も
各試料について統一することが好ましい。
【0010】分析機器としては、ガスクロマトグラフお
よびマススペクトロメータを好ましく使用できる。ガス
クロマトグラフによってサンプルガスに含まれる揮発性
物質を分離でき、ガスクロマトグラフによって分離され
た各揮発性物質をマススペクトロメータで同定できる。
また、各揮発性物質の濃度とこれら各揮発性物質による
クロマトグラムのピーク面積との相関関係を、あらかじ
め検量線として把握しておくことによって、得られたク
ロマトグラムのピーク面積からサンプルガス中の各揮発
性物質濃度を定量できる。このようなサンプルガスの同
定および定量には、試料容器内の気体を一定量サンプリ
ング可能なガスサンプラーと、ガスクロマトグラフと、
マススペクトロメーターとが連結した分析装置を使用す
ることが好ましい。このような分析装置を使用すること
によって、分析操作を簡便かつ連続的に行えるととも
に、得られる結果も精度の良いものとなる。また分析時
には、ガスサンプラー内やガスサンプラーとガスクロマ
トグラフとを結ぶ配管内で、サンプルガス中の揮発性物
質が凝縮しないように、ガスサンプラーおよび配管を一
定温度以上に保温しておくことが好ましい。なお、ガス
クロマトグラムにおける各揮発性物質の保持時間(リテ
ンションタイム)を特定しておくことにより、この保持
時間から各揮発性物質を同定することも可能である。こ
の場合には、必ずしもマススペクトロメータを使用しな
くてもよい。
【0011】こうして試料から発生した各揮発性物質を
同定および定量し、各揮発性物質のピーク面積又は濃度
(Cn)を算出する。そして、得られた各揮発性物質の
ピーク面積又は濃度(Cn)を、各揮発性物質に固有の
臭気閾値(Sn)でそれぞれ除して、各揮発性物質の臭
気値(Cn/Sn)を求める。なお、濃度は質量基準と
する。ここで臭気閾値(Sn)としては、表1に示すよ
うに日本環境衛生センターより報告されているものが使
用できる。臭気閾値(Sn)とは、ある一定の臭気を発
生するために要する各揮発性物質の量を規格化したもの
である。すなわち、一定量(濃度)で比較した場合、臭
気閾値(Sn)が小さい物質ほど大きな臭気を発生し、
一方、臭気閾値(Sn)が大きい物質ほど発生する臭気
が小さい。
【0012】
【表1】
【0013】このような臭気閾値(Sn)を使用し、こ
の値で各揮発性物質のピーク面積又は濃度(Cn)を除
し、各揮発性物質それぞれの臭気値(Cn/Sn)を求
めることにより、各揮発性物質が試料から実際に放って
いる臭気の程度を比較することができる。すなわち、臭
気値(Cn/Sn)が大きな揮発性物質ほど強い臭気を
放ち、試料から発生する臭気の大きな原因となっている
ことがわかる。一方、臭気値(Cn/Sn)が小さな揮
発性物質は、たとえサンプルガス中の濃度が大きくて
も、実際の臭気は弱いことがわかる。例えば、サンプル
ガス中に含まれるホルムアルデヒドの濃度C1 とアセ
トアルデヒドの濃度C2 が同じであっても、表1に示
すようにホルムアルデヒドの臭気閾値S1 は0.50
で、アセトアルデヒドの臭気閾値S2 は0.0015
であるので、アセトアルデヒドの臭気値(C1/S1)
はホルムアルデヒドの臭気値(C2/S2)の約333
倍となる。よって、同じ濃度であっても、アセトアルデ
ヒドはホルムアルデヒドに比べて非常に強い臭気を放っ
ていることがわかる。
【0014】このようにして各揮発性物質のピーク面積
又は濃度を求め、これを各揮発性物質の臭気閾値で除し
て臭気値(Cn/Sn)を求めるだけで、どんな揮発性
物質が試料から放たれる臭気の主原因になっているかな
ど、主に臭気の質についての情報を簡単に得ることがで
きる。そして、得られた情報をもとにその熱可塑性樹脂
成形品の用途を決定したり、得られた情報を成形条件、
例えば成形時の成形温度、配合する添加量の種類や量な
どを決定する際にフィードバックしたりでき、熱可塑性
樹脂成形品の用途、成形条件などを的確に管理できる。
また、各揮発性物質の臭気値(Cn/Sn)は、非常に
簡単な方法で求められるので、多くの試料についても短
時間で評価できる。さらに、得られた情報は客観性が高
く、信頼度も高い。
【0015】また、サンプルガスに含まれる各揮発性物
質の臭気値(Cn/Sn)を求めた後、これらの値を合
計することにより、試料から発生する総臭気値(ΣCn
/Sn)を求めることができる。総臭気値(ΣCn/S
n)の大きな試料ほど試料から放たれる臭気が強いと判
断できる。
【0016】このように試料の総臭気値(ΣCn/S
n)を指標として使用することにより、発生する揮発性
物質の種類や量が様々に異なる複数の試料について、臭
気の強さを相対的かつ客観的に比較、評価できる。ま
た、可能なかぎり臭気がないことが要求される食品包装
材、食品容器、紙容器、バッグインボックス、医療容
器、医療用バッグなどに使用可能な総臭気値(ΣCn/
Sn)の許容値をあらかじめ設定したうえで、成形品の
総臭気値(ΣCn/Sn)を求めることにより、これら
の用途の使用に適するかどうかを直ちに判断できる。さ
らに、熱可塑性樹脂としての総臭気値(ΣCn/Sn)
とともに、各揮発性物質の臭気値(Cn/Sn)をも合
わせて考察することにより、単に熱可塑性樹脂から発生
する臭気の大小だけでなく、臭気の質をも客観的に評価
できる。よって、熱可塑性樹脂成形品の臭気特性(大き
さ、質)に応じてその用途を適切に判断したり、得られ
た臭気に関する情報を成形条件の決定や配合する添加剤
の選択にフィードバックしたりもでき、熱可塑性樹脂成
形品の用途管理や成形条件管理などの品質管理を的確に
行うことができる。例えば、ラミネート成形において、
総臭気値(ΣCn/Sn)を一定レベルに抑えるため
に、成形温度の制御や、オゾン処理量等の表面処理条件
の設定、アンカー処理剤の適否等の運転条件等と結びつ
けて管理することが可能となる。
【0017】なお、対象物が木材や金属、ガラスおよび
その複合材料やあるいはその成形品自身、あるいは該成
形品内の内容物の場合にも同様に臭気値(Cn/Sn)
および総臭気値(ΣCn/Sn)を求めるだけで、どん
な揮発性物質が対象物から放たれる臭気の主原因になっ
ているか、また、全体としての臭気の強さはどの程度
か、などの情報を簡単に得ることができる。そして、得
られた情報をもとにその対象物の用途を決定したり、得
られた情報を対象物の製造条件を決定する際にフィード
バックしたりでき、対象物の用途、製造条件などを的確
に判断可能である。
【0018】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を具体的に説明
する。 [実施例1]メルトフローレイトが5.2(g/10m
in)、密度が0.921(g/cm3)である低密度ポ
リエチレンをTダイを備えた押出機に投入して、成形
温度315℃で厚さ30μmのポリエステルフィルム基
材上に押出ラミネートした。得られた積層フィルムから
剥がしたポリエチレンフィルムを窒素雰囲気中で12時
間放置したものを樹脂試料とし、試料容器(バイアル
瓶)にこの樹脂試料3gを充填した。この樹脂試料を充
填したバイアル瓶を複数個用意した。パーキンエルマー
社製ヘッドスペースサンプラー(以下、HSという)と島
津製作所製ガスクロマトグラフ(以下、GCという)と
マススペクトロメータ(以下、MSという)が連結され
た装置を用意した。上記樹脂試料を充填したバイアル瓶
1個を、HSにセットし、150℃で60分保持した
後、分析に供し、樹脂試料から発生する揮発性物質を分
離、同定した。次に、上記のHSとGCのみを連結した
装置を用意し、HSおよびGCの条件を上記と同様にし
た。上記HSとGCとMSを連結した装置により同定し
た揮発性物質中の成分化合物の純品を使用し、GCでの
保持時間(RT)および濃度を決定する為の検量線を作
成した。次に、上記で用意した樹脂試料を充填したバイ
アル瓶をHSとGCを連結した装置のHSにセットし、
樹脂試料から発生する揮発性物質を分離・定量した。同
定および定量した揮発性物質中の成分化合物と各物質の
GCにおける保持時間(表中にGC−RTと表示)、ピ
ーク面積、検量線から求めた各物質の濃度(Cn)、そ
して、表1に示した臭気閾値(Sn)を各物質に適用し
て算出した臭気値(Cn/Sn)、およびポリエチレンフ
ィルムの総臭気値(ΣCn/Sn)とを表2に示す。
【0019】[実施例2]メルトフローレートが7.6
(g/10min)、密度が0.918(g/cm2
である低密度ポリエチレンを使用した以外は実施例1
と同様にして、積層フィルムを調製した。そして、実施
例1と同様にして、同定および定量した揮発性物質と、
この揮発性物質のガスクロマトグラフィにおける保持時
間(GC−RT)、検出されたピーク面積、濃度(C
n)、そして、表1に示した臭気閾値(Sn)を各揮発
性物質に適用して算出した臭気値(Cn/Sn)、およ
び積層フィルムの総臭気値(ΣCn/Sn)とを求め
た。結果を表2に示す。
【0020】[実施例3]成形温度を320℃とした以
外は実施例1と同様にして、積層フィルムを調製した。
そして、実施例1と同様にして、同定および定量した揮
発性物質と、この揮発性物質のガスクロマトグラフィに
おける保持時間(GC−RT)、検出されたピーク面
積、濃度(Cn)、そして、表1に示した臭気閾値(S
n)を各揮発性物質に適用して算出した臭気値(Cn/
Sn)、および積層フィルムの総臭気値(ΣCn/S
n)とを求めた。結果を表3に示す。
【0021】[実施例4]成形温度を320℃とした以
外は実施例2と同様にして、積層フィルムを調製した。
そして、実施例1と同様にして、同定および定量した揮
発性物質と、この揮発性物質のガスクロマトグラフィに
おける保持時間(GC−RT)、検出されたピーク面
積、濃度(Cn)、そして、表1に示した臭気閾値(S
n)を各揮発性物質に適用して算出した臭気値(Cn/
Sn)、および積層フィルムの総臭気値(ΣCn/S
n)とを求めた。結果を表3に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】実施例1の積層フィルムの総臭気値(ΣC
n/Sn)は5447で、実施例2の積層フィルムの総
臭気値(ΣCn/Sn)は6363であり、実施例1の
積層フィルムの方が総臭気値(ΣCn/Sn)が小さ
く、低臭であることがわかった。また、実施例3の積層
フィルムの総臭気値(ΣCn/Sn)は7943で、実
施例4の積層フィルムの総臭気値(ΣCn/Sn)は9
027であり、実施例3の積層フィルムの方が総臭気値
(ΣCn/Sn)が小さく、低臭であることがわかっ
た。これらの結果から、低密度ポリエチレンの方が低
密度ポリエチレンよりも低臭であることが明らかとな
った。また、実施例1で使用した低密度ポリエチレン
および実施例2で使用した低密度ポリエチレンを、そ
れぞれ別々に厚さ30μmのアルミニウム基材上に31
0℃で押出ラミネートして2種類の積層フィルムを製造
し、得られた積層フィルムをそれぞれ使用して幅20c
m、深さ20cmの袋を製造した。そして、これら2種
の袋を70℃のオーブンで3時間養生し、さらに室温で
24時間放置した後、10人のパネラーによる官能評価
を実施した。その結果、10人中7人のパネラーが実施
例1の低密度ポリエチレンを用いた袋の方が実施例2
の低密度ポリエチレンを用いた袋に比べてより低臭で
あると判断した。よって、総臭気値(ΣCn/Sn)に
よる臭気の評価とパネラーによる臭気の評価に相関があ
ることがわかった。さらに、実施例1の積層フィルムは
実施例3の積層フィルムに比べて、総臭気値(ΣCn/
Sn)が小さく、同じ低密度ポリエチレンを使用して
も、成形温度が高くなると、臭気が強くなることがわか
った。また、実施例2および4から、低密度ポリエチレ
ンも同様に成形温度が高くなると、臭気が強くなるこ
とがわかった。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように本発明の臭気評価方
法によれば、対象物から発生する1種以上の揮発性物質
を同定および定量して各揮発性物質のピーク面積又は濃
度(Cn)を求め、該各揮発性物質のピーク面積又は濃
度(Cn)を各揮発性物質に固有の臭気閾値(Sn)で
除した臭気値(Cn/Sn)に基づいて臭気を評価する
ので、短時間で、多くの対象物の臭気を、臭気の程度お
よび質の両面から客観的に評価できる。また、本発明の
臭気評価方法を利用することにより、対象物の用途管
理、成形条件管理などの品質管理を的確に行うことがで
きる。本発明の対象物の管理方法は、特に臭気のないも
のが要求される食品包装材、食品容器、紙容器、バッグ
インボックス、医療容器・医療用バッグなどの管理に特
に有効である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象物から発生する1種以上の揮発性物
    質を同定および定量して各揮発性物質のピーク面積又は
    濃度(Cn)を求め、該各揮発性物質のピーク面積又は
    濃度(Cn)を各揮発性物質に固有の臭気閾値(Sn)
    で除して各揮発性物質の臭気値(Cn/Sn)を求め、
    この臭気値(Cn/Sn)に基づいて、前記対象物の臭
    気を評価することを特徴とする臭気評価方法。
  2. 【請求項2】 前記各揮発性物質の臭気値(Cn/S
    n)を合計して前記対象物から発生する総臭気値(ΣC
    n/Sn)を求め、この総臭気値(ΣCn/Sn)によ
    り、前記対象物の臭気を評価することを特徴とする請求
    項1に記載の臭気評価方法。
  3. 【請求項3】 前記対象物が合成樹脂であることを特徴
    とする請求項1または2に記載の臭気評価方法。
  4. 【請求項4】 前記合成樹脂が、熱可塑性樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の臭気評価方法。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹
    脂であることを特徴とする請求項4に記載の臭気評価方
    法。
  6. 【請求項6】 前記対象物が成形品であり、該成形品は
    フィルム、シート、積層体、袋、容器から選ばれるいず
    れか1種であることを特徴とする請求項1ないし5のい
    ずれかに記載の臭気評価方法。
  7. 【請求項7】 前記成形品が、食品包装材、食品容器、
    紙容器、バッグインボックス、医療容器・医療用バッグ
    から選ばれるいずれか1種に使用されるものであること
    を特徴とする請求項6に記載の臭気評価方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の臭
    気評価方法により前記対象物の臭気を評価し、その対象
    物の品質を管理することを特徴とする対象物の品質管理
    方法。
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