JP2002310329A - バルブポジショナ - Google Patents

バルブポジショナ

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JP2002310329A
JP2002310329A JP2001115126A JP2001115126A JP2002310329A JP 2002310329 A JP2002310329 A JP 2002310329A JP 2001115126 A JP2001115126 A JP 2001115126A JP 2001115126 A JP2001115126 A JP 2001115126A JP 2002310329 A JP2002310329 A JP 2002310329A
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Japan
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hysteresis
stem
control system
pressure
control valve
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JP2001115126A
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English (en)
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Takumi Hashizume
匠 橋詰
Tetsuya Wakui
徹也 涌井
Masatoshi Hatakeyama
正俊 畠山
Tsuyoshi Nishijima
剛志 西島
Akira Inoue
晃 井上
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Waseda University
Yokogawa Electric Corp
Original Assignee
Waseda University
Yokogawa Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】位置制御系に圧力制御系を付与して制御信号に
対する作動空気圧の追従性を確保した上で、補償要素を
付加することにより、調節弁本体部の大きなヒステリシ
スに起因する長いむだ時間を低減し、制御性能の向上を
図ったバルブポジショナを提供する。 【構成】調節弁本体部のステム位置を制御する位置制御
系に、該位置制御系出力信号を圧力設定値として取り込
みかつ調節弁駆動部の作動空気圧を制御する圧力制御系
を付加したバルブポジショナにおいて、調節弁本体部の
ヒステリシスと同量のヒステリシス補償信号を位置制御
系の出力信号に加えるヒステリシス補償器を有してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】この発明は空気圧式駆動部
を持った調節弁の弁開度を信号に応じた値に制御するバ
ルブポジショナに関し、特に調節弁本体部のバルブステ
ムを封止するパッキン類の締付力の増大に起因して大き
なヒステリシスを持つ調節弁に付帯した場合において、
制御性能の向上を図るための制御器の演算方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】調節弁の構造は一般に、流体管路の開閉
および流量の制御を行う弁体部分および該弁体部分から
伸長したバルブステム並びにその封止部分(グランドパ
ッキン)等からなる本体部と、ダイアフラム室に導入さ
れる作動空気圧によりステム位置を操作する駆動部とか
ら成っている。また調節弁の基本的な動作を確保するた
めに前記ステムの位置制御を行うバルブポジショナが必
需品的に調節弁に付帯されるのが普通である。図1を参
照して代表的な調節弁の構造を簡単に説明する。
【0003】管路13,14の中途部に形成された弁座
に気密的に接触、開離する弁体15が設けられ、弁体1
5からステム10が延在して上部のダイアフラム室17
のダイアフラム11に連結されている。ステム10は本
体ケーシング18にグランドパッキン19によって封止
状態に軸支されている。ダイアフラム室17内でダイア
フラム11の片面側には圧縮ばね12が配置され、この
圧縮ばね12のばね圧とダイアフラム11の他方の片面
側にもたらされる作動空気圧とによりステム10の上下
位置が変化し、前記弁座に対する弁体15の開度が制御
される。
【0004】図1に示した様な調節弁の制御には、ダイ
アフラム室17の作動空気圧の加減調整のためにステム
位置を検出してフィードバックする位置制御系が通常用
いられるが、この位置制御系のみでは正確な制御が出来
ないため、ダイアフラム室17の作動空気圧自体を検出
してフィードバックする圧力制御系を前記位置制御系に
付加することが提案されている。図2および図3を参照
して位置制御系と圧力制御系を併設した制御器を説明す
る。
【0005】ステム10の中途部に位置検出レバー9が
取り付けられ、ステム10の変位が該レバー9の角度変
位に変換されて角度センサ16により検出され、A/D
変換器25を介して電子式ポジショナの離散演算部22
に入力される。離散演算部22内で離散演算処理が行わ
れ、圧力制御系の設定値信号が出力される。
【0006】ダイアフラム室17内の圧力は圧力センサ
26により検出され、これに基いてセンサ信号としてA
/D変換器27を介して電子式ポジショナの離散演算部
22に入力される。離散演算部22内で、圧力制御系の
設定値に基づき演算処理が行われ、出力された制御信号
8は、後続のD/A変換器23、V/I変換器24を介
して電流信号として電磁アクチュエータ21に入力され
る。
【0007】図3は、上述の角度センサによる位置制御
系に加えて圧力センサ26による圧力制御系を併設した
制御器のブロック線図である。位置制御系では、調節弁
7のステム変位が位置センサ28からのA/D変換器2
5を経てPIDコントローラ32にフィードバックされ
る。その出力信号は圧力設定信号として圧力コントロー
ラ29に取り込まれる。圧力制御系では、圧力センサ2
6からA/D変換器27を経て圧力コントローラ29に
ダイアフラム室圧力(作動空気圧)がフィードバックさ
れ、制御信号8が出力される。制御信号8はD/A変換
器23、V/I変換器24を介して電流信号として電磁
アクチュエータ21に入力される。電磁アクチュエータ
21はこの電流信号に基づいてノズル背圧を変化させ、
パイロットリレー20により増幅された後、調節弁駆動
部のダイヤフラム室17に作動空気圧として入力され、
ダイヤフラム11を介してステム10が変位する。
【0008】一般に、I/P変換要素(電磁アクチュエ
ータ21)は磁性体としてのヒステリシスを持ち、パイ
ロットリレー20は不感体を有している。そのため制御
信号と作動空気圧との間には大きな非線形性が存在し、
制御信号に対する作動空気圧の追従性が悪くなる。しか
し、前述の如く、位置制御系に圧力制御系を付加して圧
力制御系のループゲインを十分大きくすることで、I/
P変換要素、パイロットリレーが持つ非線形性が十分に
小さくなり、ほぼ線形要素と見做すことができ、制御信
号に対する作動空気圧の追従性が向上する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この種の調節弁の特徴
を細かく考察すると、ステム10とこれを軸支する本体
ケーシング18との間には調節弁本体部の管路13,1
4(図1)と駆動部を遮断するパッキン、例えばグラン
ドパッキン19が設けられる。グランドパッキン19は
対象とするプラントでの使用条件により、高温、高圧、
高流速下など厳しい流体条件下にさらされるものであ
り、このような厳しい条件下においてもパッキンとして
の機能を十分果たすために前記パッキンに大きな締付力
が加えられ、ステムの摩擦力が増大する。そのため、ス
テムの動作方向の履歴に依存して、同一のストローク値
でも作動空気圧が大きく異なる。例えば、ステム変位の
履歴とステムの動作方向の2方向が順方向(前進モー
ド)の場合、ヒステリシスの影響は小さく、逆方向(戻
りモード)の場合にはヒステリシスの影響は大きく現れ
る。ヒステリシスの影響が大きい場合、作動空気圧が変
化してもステムが変化せず、長いむだ時間が生じる。
【0010】そこで本発明者は、上述した調節弁のヒス
テリシスに起因して生じるむだ時間を低減する対策とし
て、目標値入力に対してヒステリシスを相殺してステム
が速やかに変化するように作動空気圧を変化させるフィ
ードフォワード補償的な制御を付与するという着想を得
たものである。しかし、位置制御系のみによる場合に
は、制御信号に対する作動空気圧の追従性が悪いために
補償要素を加味しても必ずしも十分な効果は得られない
ことが判明した。
【0011】したがって本発明は位置制御系に圧力制御
系を付与して制御信号に対する作動空気圧の追従性を確
保した上で、前述の補償要素を付加することにより、調
節弁本体部の大きなヒステリシスに起因する長い無駄時
間を低減し、制御性能の向上を図ったバルブポジショナ
を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明によれば、調節
弁本体部のステム位置を制御する位置制御系に、該位置
制御系の出力信号を圧力設定値として取り込み、かつ、
調節弁駆動部の作動空気圧を制御する圧力制御系を付加
したバルブポジショナにおいて、前記調節弁本体部のヒ
ステリシスと同量のヒステリシス補償信号を前記位置制
御系の出力信号に加えるヒステリシス補償器を有するバ
ルブポジショナが提供される。
【0013】また、この発明によれば、調節弁本体部の
ステム位置を制御する位置制御系に、該位置制御系の出
力信号を圧力設定値として取り込みかつ調節弁駆動部の
作動空気圧を制御する圧力制御系を付加したバルブポジ
ショナにおいて、前記調節弁本体部のヒステリシス特性
曲線における調節弁の動作点の位置に応じた補償量のヒ
ステリシス補償信号を前記位置制御系の出力信号に加え
るヒステリシス補償器を有するバルブポジショナが提供
される。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、この発明の好適な実施形態
について図面を参照して説明する。図4(1),(2)
は調節弁のヒステリシスと目標値入力に対する動作点P
の移動の様相を示した模式図である。ヒステリシス補償
を加えるのは目標値とステム位置に偏差が生じ、かつ戻
りモードとなるときである。ただし、ステム位置を検出
する角度センサの出力信号には通常ノイズを伴なうた
め、目標値とステム位置の間には常に偏差を生じる。そ
こで補償の入力に或る幅(ステムのフルスパンに対して
±0.5%)の許容範囲を設けて、偏差がその範囲を越
えた場合にのみ補償を加える。
【0015】ヒステリシス補償として、戻りモード時に
ステムがすぐに動き出すように作動空気圧をヒステリシ
ス分変化させる補償信号を圧力設定値(後述の如く位置
制御系の出力信号)に加えるが、本発明の1つの形態で
は、その補償量は、その調節弁のヒステリシスと同等の
量とする。
【0016】既に述べたように、ヒステリシス補償は戻
りモード時に加えるが、前進モードと戻りモードの判
別、即ち使用されているパッキンの状態判別について説
明する。図4(1),(2)において、ヒステリシス特
性曲線の中心値(図中破線Dで示すように調節弁にヒス
テリシスがない場合の理想的な動作点)で2等分し、ス
テムが整定している場合の動作点と、目標値入力に対す
る動作点Pの移動の様相に着目すれば、整定後の調節弁
はパッキンの履歴が上昇方向の場合は図4(1)におけ
る直線(A)上に、下降方向の場合は同図(2)におけ
る直線(B)上に動作点Pを持つ。
【0017】また、ステムが変位する際には上昇時はヒ
ステリシス特性曲線の直線(A)を、下降時は直線
(B)を動作点Pが移動する。これにより目標値とステ
ム位置との偏差が±0.5%(前述の如く設定した許容
範囲)より大きくなった場合に、上記2直線が同一直線
であれば、前進モードで従来通りの制御動作を行い、異
なる場合には戻りモードと判断してヒステリシス補償を
加える。
【0018】なお、上述で戻りモードと判断してヒステ
リシス補償を加えた場合、作動空気圧が変化して動作点
Pがヒステリシス特性曲線の中心値(図4の破線D)を
越えたときに、戻りモードから前進モードへと状態判別
が切り替わり、補償量が0になることが予想される。そ
こで、ヒステリシス補償を加えることで作動空気圧が変
化した場合、ヒステリシス特性曲線の前記中心値を越え
るときに補償量をすべて積分器に受け渡し、制御信号の
出力値を保持することとする。
【0019】図6は本発明の実施例に係るヒステリシス
補償器34を付加したバルブポジショナの制御器のブロ
ック線図である。ステム位置の目標値Xspと実際のス
テム位置Xsとの偏差信号Errが位置制御系33の調
節器(PIDコントローラ)32に入力され、そこから
圧力設定値Pspが出力される。ヒステリシス補償器3
4のコンペンセータ30では、ステム位置と作動空気圧
Pdiaとにより調節弁の動作点を認識し、目標値Xs
pとステム位置Xsとの偏差信号Errによりステムの
変化方向を判断してヒステリシス補償用圧力設定値Pc
omが出力される。この2つの圧力設定値Psp、Pc
omに基づき新たな圧力設定値Psp′が算出され、こ
の圧力設定値Psp′と作動空気圧Pdiaとの偏差信
号が圧力制御系35の調節器、即ちPDコントローラ3
1に入力される。前記PDコントローラ31の出力信号
は図2に示した電磁アクチュエータおよびパイロットリ
レーを介して作動空気圧として調節弁駆動部のダイアフ
ラム室へ導入される。
【0020】上述した実施形態で目標値入力変化幅10
%および1.0%の単一ステップ応答で実験を行った結
果は、戻りモード時に作動空気圧が速やかに調節弁のヒ
ステリシス分変化するために、ステムの応答に見るむだ
時間が短く、前進モードと大きな差が見られなかった。
【0021】しかし、微小連続ステップ応答では、戻り
モード時にステム位置を検出する角度センサのノイズの
影響で偏差がギャップ幅を断続的に越え、ヒステリシス
補償量がインパルス状に入力される。この時点ではヒス
テリシス補償量は積分器に受け渡さないため、積分器出
力信号は偏差に応じて徐々に変化するに留まるが、作動
空気圧が理想的な動作点(図4における破線D)に到達
すると補償量が積分器に受け渡されて、作動空気圧が急
激に変化する。これにより、ステムの応答にはオーバー
シュートを生じる。その後、すぐに逆方向へのヒステリ
シス補償による訂正動作が行われるが、目標値変化に対
して再度戻りモードとなり、その後も作動空気圧がヒス
テリシス分変化するまで長い時間を要する同様の挙動を
とる。この動作を繰り返すと、目標値に対するステムの
追従性が悪くなる。
【0022】微小連続ステップ応答のように、目標値入
力の変化に対する作動空気圧の変化量が小さい場合に
は、これまでヒステリシス特性曲線上に存在すると仮定
していた調節弁の動作点は前記特性曲線の内側へ徐々に
移行する。その場合に、ヒステリシスと同量の固定され
た補償量を加えると、作動空気圧は必要分以上に変化
し、ステムはオーバーシュートを生じる。この不具合を
解消するために、本発明の他の実施形態では、調節弁の
動作点とヒステリシス特性曲線の位置関係に応じて補償
量を決定し、それを補償信号として加えるようにする。
【0023】図5は本発明の上記他の実施形態における
ヒステリシス特性曲線に対する動作点の移行形態を示し
た概略図である。制御信号は目標値とステム位置の偏差
によって決まるが、調節弁の大きなヒステリシスによ
り、同じステム位置でも作動空気圧の値が異なるため、
前進モードと認識した場合でも目標値入力が変化した時
に、ステムの応答に大きなむだ時間を生じることがあ
る。そこで、前進モード、戻りモードに関係なく、調節
弁の動作点からステムが動き出すまでに必要な作動空気
圧の変化量C1,C2を算出してヒステリシス補償とし
て加えることによって、目標値の入力変化に対してステ
ムを良好に応答させることができる。
【0024】ステムが整定しているときには訂正動作が
行われないため、その時のステムと作動空気圧の関係を
みると、調節弁の動作点はヒステリシス特性曲線上にあ
る。図5に見られる如く、調節弁の動作点Pはステム上
昇時には直線A上を、下降時には直線B上を動く。そこ
で、目標値とステム位置との偏差が補償の加わらない±
0.5%の幅を越えたときに、作動空気圧−ステム位置
線図上における現在の動作点Pの位置を検出し、制御動
作によりステムが直ちに動き出すように動作点Pを直線
AもしくはB上に移動させるような補償信号を加える。
具体的には、図5において、制御動作により動作点Pが
動く直線(ステムの変化が上昇なら直線A、下降なら直
線B)を判別し、その直線上で現在のステム位置に対応
する作動空気圧PAもしくはPBを求める。
【0025】この求めた圧力値PA,PBと、現在の圧力
値P0との差分を制御信号量に変換してヒステリシス補
償量とし、位置制御系の出力信号に圧力設定値として加
える。このように補償量を固定量でなく可変とすること
により、任意の動作点Pからステムが動き出すまでに必
要な補償量を決定でき、反復する微小連続ステップ応答
の場合でも、ステムの応答がオーバーシュートしない最
適の補償が加わり、ステムの良好な応答性、整定性が得
られ、調節弁の制御性能の向上が図られる。
【0026】以上は調節弁の管路に実際の流体が流れて
いない状態(以下乾燥下と称する)の場合について検討
したものであるが、弁に実際に流体が流れる場合(以下
実流下と称する)について、流体反力の影響をも考慮し
たヒステリシス特性を調べ、それに対する制御アルゴリ
ズムの改善を行う。前記実流下においても乾燥下と同様
の制御アルゴリズムを適用し、かつ位置制御系に圧力制
御系を付与することにより、制御信号に対する作動空気
圧の追従が良好になり、ステムの応答性、整定性が向上
することが確められる。しかし、実流下では、調節弁の
ヒステリシスに起因する長いむだ時間を低減するため、
ヒステリシス補償を導入しても、乾燥下と同様の制御ア
ルゴリズムでは適切な補償量が得られない。実験の結果
によれば、戻りモードの場合の単一ステップ応答の場
合、目標値の上昇変化ではヒステリシス補償が加わら
ず、むだ時間の低減効果は期待できない。また目標値下
降変化に対しては、加わる補償量が大きく、ストローク
は顕著なオーバーシュートを生じる(なお、下降変化の
場合、前進モードでも大きな補償量が加わり、同様の挙
動を示す)。このようにステムが動作するのに必要な補
償量が適切に得られないことからも乾燥下と実流下では
ヒステリシス特性に違いがあることが分かる。
【0027】ヒステリシス補償を導入するために、実流
下におけるヒステリシス特性について検討する。図7は
実流下でステム位置50%における弁上流圧(Pu)を
パラメータとした時の、ステム位置と作動空気圧(ダイ
ヤフラム圧)との関係を示した図である。実線Aは乾燥
下のヒステリシス曲線、BはPu=0.10[MPa]
での実流下の場合のヒステリシス曲線、CはPu=0.
30[MPa]での実流下の場合のヒステリシス曲線で
ある。乾燥下に比べると、ヒステリシス特性曲線は弁開
度が小さいと作動空気圧に対するステム位置のゲインが
小さくなり、また弁上流圧Puが大きい程その傾向が顕
著になることが分かる。このような特性には管路の流体
反力が大きく影響している。ステム位置が大きい(調節
弁の開度が小さい)場合、弁前後の差圧ΔPが増加する
ことで流体反力も増大する。その結果、乾燥下に比べ
て、実流下では同一のステム位置であっても、作動空気
圧が大きくなり、作動空気圧に対するステム位置のゲイ
ンが小さくなる。弁上流圧が高くなる場合も同様であ
り、同一のステム位置であっても弁上流圧が大きい程弁
作動空気圧ΔPが大となる。それにより、流体反力が増
加して、作動空気圧に対するステム位置のゲインが小さ
くなる。このように流体反力の増加でヒステリシス特性
曲線の傾きが減少する。そのためステムが整定している
時の調節弁の動作点は、乾燥下の場合と比較すると、作
動空気圧が高くなる。そのため、乾燥下で構築したヒス
テリシス補償をそのまま実流下に適用すると、ヒステリ
シス補償量はストローク上昇変化では0(補償量負の場
合も含む)となり、下降変化では必要以上の大きな値と
なる。その結果上昇時にはむだ時間は低減できず、下降
時には顕著なオーバーシュートを生じる。
【0028】図8は実流下と乾燥下におけるヒステリシ
ス特性曲線を示した図であり、破線は乾燥下の場合、実
線は実流下の場合である。図中H、Lで示す部分が管路
流体による流体反力である。この図に示すように、ステ
ムに作用する流体反力を作動空気圧の増加分に換算した
値と、乾燥下でのヒステリシス特性とにより、実流下で
のヒステリシス特性を把握できる。実流下の場合も、乾
燥下と同様に、調節弁の動作点はヒステリシス特性曲線
上に存在する。したがって、同一のステム位置における
実流下と乾燥下での作動空気圧の差分ΔPを調べること
によって作動空気圧に換算した流体反力PFを求めるこ
とができる。図9は実流下でのヒステリシス特性曲線と
動作点Pとの関係を示した図である。この図からも分か
るように、作動空気圧に換算した流体反力と調節弁の管
路前後の差圧ΔPとの間には比例関係がある。したがっ
て、圧力センサにより弁前後の差圧を測定して流体反力
を算出し、その上で次式(1)〜(4)により実流下で
のヒステリシス特性曲線を算出し、ステムが動き出す作
動空気圧(PA′,PB′)を求め、それにより必要な補
償量を決定するように制御アルゴリズムを改善する。
【0029】ΔP=Pu−Pd・・・(1) PF=kfΔP・・・(2) PA′=PA+PF・・・(3) PB′=PB+PF・・・(4) ここでkfは定数、Pu,Pdはそれぞれ管路前後(上流
側、下流側)の流体圧、PA,PBはそれぞれ乾燥下でス
テムが動き出す作動空気圧である。
【0030】以上のように、アルゴリズムに改善を加え
たヒステリシス補償を導入しての実験結果については、
単一ステップ応答において前進モードと戻りモードを比
較すると、戻りモードでは補償信号が加わり、作動空気
圧が速やかにヒステリシスを相殺するように変化する。
そのため、調節弁のヒステリシスに起因して生じた長い
むだ時間は低減され、前進モードとほぼ同様の応答が得
られる。また、連続ステップ応答においては、前進モー
ドであっても、訂正動作により動作点Pがヒステリシス
特性曲線の内側にある時には、目標値変化に応じてヒス
テリシス補償が加わり良好な値が得られる。さらに、微
小連続ステップ応答においては、偏差が±0.5%の幅
を越えると、ステムが動き出すのに必要なヒステリシス
補償が加わることで、ストロークの応答は極めて良好に
なる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
調節弁の持つ大きなヒステリシスに起因して目標値変更
の前後で調節弁ステムの動作方向が逆方向となる場合、
従来は作動空気圧がヒステリシス分を変化するまでに長
いむだ時間を生じていたが、前記ステムと作動空気圧と
により動作点を認識し、目標値とステムの偏差から前記
ステムの動作方向を判別して補償要素を付加することに
より、ヒステリシスの影響を無視できるような応答性が
得られ、生じていたむだ時間は著しく低減され、ヒステ
リシスの大きな調節弁にポジショナを付帯した場合の制
御性能の向上が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイアフラムを有する空気圧式調節弁の縦断面
図である。
【図2】位置制御系と圧力制御系を併設したバルブポジ
ショナ及び調節弁の概略図である。
【図3】位置制御系と圧力制御系を併設したバルブポジ
ショナの制御器のブロック線図である。
【図4】調節弁のヒステリシスと目標値入力に対する動
作点Pの移動の様相を示した模式図である。
【図5】本発明の実施形態におけるヒステリシス特性曲
線に対する動作点の移行形態を示した概略図である。
【図6】本発明の実施形態に係るヒステリシス補償器を
付加したバルブポジショナの制御器のブロック線図であ
る。
【図7】実流下でステム位置50%における弁上流圧を
パラメータとした時のステム位置と作動空気圧の関係を
示した概略図である。
【図8】実流下と乾燥下におけるヒステリシス特性曲線
を示した概略図である。
【図9】実流下でのヒステリシス特性曲線と動作点Pと
の関係を示した概略図である。
【符号の説明】
10 ステム 11 ダイヤフラム 16 角度センサ 20 パイロットリレー 21 電磁アクチュエータ 22 離散演算部 26 圧力センサ 30 コンペンセータ 33 位置制御系 34 ヒステリシス補償器 35 圧力制御系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 涌井 徹也 東京都新宿区喜久井町17 早稲田大学理工 学総合研究センター内 (72)発明者 畠山 正俊 東京都新宿区喜久井町17 早稲田大学理工 学総合研究センター内 (72)発明者 西島 剛志 東京都武蔵野市中町2−9−32 横河電機 株式会社内 (72)発明者 井上 晃 東京都武蔵野市中町2−9−32 横河電機 株式会社内 Fターム(参考) 3H056 AA02 BB44 CA07 CB01 CD04 3H086 CA04 CB13 CB15 CC06 CD09 3H106 EE04 EE14 GA30 KK04 5H004 GA05 HA07 HB03 HB07 KA43 KA47 KB02 KB04 KB06 KB39 LA07 LA17 MA41 MA42 MA43

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 調節弁本体部のステム位置を制御する位
    置制御系に、該位置制御系の出力信号を圧力設定値とし
    て取り込み、かつ、調節弁駆動部の作動空気圧を制御す
    る圧力制御系を付加したバルブポジショナにおいて、前
    記調節弁本体部のヒステリシスと同量のヒステリシス補
    償信号を前記位置制御系の出力信号に加えるヒステリシ
    ス補償器を有することを特徴とするバルブポジショナ。
  2. 【請求項2】 調節弁本体部のステム位置を制御する位
    置制御系に、該位置制御系の出力信号を圧力設定値とし
    て取り込み、かつ、調節弁駆動部の作動空気圧を制御す
    る圧力制御系を付加したバルブポジショナにおいて、前
    記調節弁本体部のヒステリシス特性曲線における調節弁
    の動作点の位置に応じた補償量のヒステリシス補償信号
    を前記位置制御系の出力信号に加えるヒステリシス補償
    器を有することを特徴とするバルブポジショナ。
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