JP2002310277A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP2002310277A
JP2002310277A JP2001114002A JP2001114002A JP2002310277A JP 2002310277 A JP2002310277 A JP 2002310277A JP 2001114002 A JP2001114002 A JP 2001114002A JP 2001114002 A JP2001114002 A JP 2001114002A JP 2002310277 A JP2002310277 A JP 2002310277A
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control
speed
downshift
shift
input shaft
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JP2001114002A
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English (en)
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Hiroyuki Katsuta
浩幸 勝田
Tetsuji Ozaki
哲司 小崎
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動変速機のダウンシフト時の変速ショック
を少なくする。 【解決手段】 ダウンシフト指令が出されると、変速機
構の解放側クラッチを解放してほぼニュートラル状態に
することで、変速機構の入力軸回転速度を上昇させると
共に、変速機構の係合側クラッチが係合力を発生する直
前の状態になるまで作動油の充填制御を行い、入力軸回
転速度が当該ダウンシフト先の変速段相当の回転速度に
上昇するタイミングに合わせて、係合側クラッチの係合
力を増加させてダウンシフトを完了する。このダウンシ
フト制御中に入力軸回転速度の上昇特性又は変速比の変
化特性に基づいて、充填制御による係合側クラッチへの
作動油充填量の過不足を学習し、その学習結果に基づい
て次回の当該変速段へのダウンシフト制御時の充填制御
の制御パラメータ(充填油圧又は充填制御時間)を補正
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダウンシフト時の
変速ショックを低減する機能を備えた自動変速機の制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用の自動変速機は、エンジンの動
力をトルクコンバータを介して変速機構の入力軸に伝達
し、この変速機構で変速して出力軸に伝達し、駆動輪を
回転駆動するようにしている。最も一般的な変速機構
は、入力軸と出力軸との間に複数の歯車を配列して、入
力軸と出力軸との間に変速比の異なる複数の動力伝達経
路を構成し、各動力伝達経路中にクラッチやブレーキ等
の摩擦係合要素を設けて、変速指令に応じて各摩擦係合
要素に作用させる油圧を個別に制御することで、各摩擦
係合要素の係合と解放を選択的に切り換えて、入・出力
軸間の動力伝達経路を切り換えて変速比を切り換えるよ
うにしている。
【0003】このような構成の自動変速機では、現在の
変速段からそれよりも低速の変速段へ変速するダウンシ
フトを行う場合は、現在の変速段を保持する摩擦係合要
素の油圧を低下させて、当該摩擦係合要素を解放してほ
ぼニュートラル状態に切り換えることで、入力軸の回転
速度を上昇させ、それによって、入力軸の回転速度が当
該ダウンシフト先の変速段相当の回転速度に上昇するタ
イミングに合わせて、当該ダウンシフト先の変速段の摩
擦係合要素に作用させる油圧を増加させて係合状態にす
ることでダウンシフトするようにしている。
【0004】以上のような変速制御を行うために、各変
速段の摩擦係合要素に作動油を供給する油圧回路中の油
圧制御弁を電子制御するようにしているが、部品の製造
ばらつき(特にクラッチのクリアランス)や動作環境の
変化によって、同じ油圧指令値でも、実際に摩擦係合要
素に充填される作動油充填量(摩擦係合要素の作動状
態)がばらついてしまい、常に最適な制御状態になると
は限らない。このため、ダウンシフト制御時に、入力軸
の回転速度が低速段相当の回転速度に上昇するタイミン
グに合わせて、低速段の摩擦係合要素に対する油圧指令
値を増加させても、低速段の摩擦係合要素が実際に係合
力を発生する状態に切り換わるタイミング(低速段の摩
擦係合要素への実際の作動油充填量が適正値に到達する
タイミング)がばらついてしまい、そのタイミングのず
れによって不快な変速ショックが発生してしまう。
【0005】この不具合を解消するために、特許第26
18624号公報に示すように、低速段の摩擦係合要素
を構成するクラッチピストンの位置を検出するセンサを
設け、ダウンシフト制御時に当該センサの出力に基づい
て低速段の摩擦係合要素に作用させる油圧(作動油充填
量)を、係合力を発生する直前の状態にフィードバック
制御し、入力軸の回転速度が低速段相当の回転速度に上
昇するタイミングに合わせて、低速段の摩擦係合要素に
対する油圧指令値を増加させて低速段の摩擦係合要素の
係合力を増加させることでダウンシフトするようにした
ものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報の構成では、クラッチピストンの位置を検出するセン
サを設ける必要があるため、コストアップする欠点があ
る。しかも、このセンサを配置する場所は、変速機本体
内の狭い場所で温度等の環境条件も厳しいため、センサ
を十分な信頼性を持って構成することは難しく、耐久性
に問題がある。その上、センサやその信号伝達経路に故
障が発生すると、変速不能になったり、変速ショックが
更に悪化したりする問題がある。
【0007】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、従ってその目的は、新たなセンサ類を設
けなくても、変速ショックの少ないダウンシフトを行う
ことができ、ダウンシフト時の変速ショック低減、信頼
性向上、低コスト化を同時に達成することができる自動
変速機の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1の自動変速機の制御装置は、ダウ
ンシフト制御手段により、現在の変速段からそれよりも
低速の変速段への変速(ダウンシフト)を開始するとき
に、現在の変速段の摩擦係合要素を解放してほぼニュー
トラル状態にすることで、入力軸の回転速度を上昇させ
ると共に、ダウンシフト先の変速段の摩擦係合要素が係
合力を発生する直前の状態になるまで作動油の充填制御
を行い、入力軸の回転速度が当該ダウンシフト先の変速
段相当の回転速度に上昇するタイミングに合わせて、当
該ダウンシフト先の変速段の摩擦係合要素の係合力を増
加させてダウンシフトを完了する。そして、学習補正手
段により、ダウンシフト制御中に入力軸の回転速度上昇
特性又は変速比(=入力軸回転速度/出力軸回転速度)
の変化特性に基づいて、充填制御によるダウンシフト先
の変速段の摩擦係合要素への作動油充填量の過不足を学
習し、その学習結果に基づいて次回の当該変速段へのダ
ウンシフト制御時の充填制御の制御パラメータを補正す
る。
【0009】ダウンシフト制御時に、ダウンシフト先の
変速段の摩擦係合要素が係合力を発生する直前の状態に
なるまで作動油の充填制御を行うときに、部品の製造ば
らつきや動作環境の変化によって、当該摩擦係合要素へ
の実際の作動油充填量が適正値より多くなると、入力軸
の回転速度がダウンシフト先の変速段相当の回転速度に
達する以前に、ダウンシフト先の変速段の摩擦係合要素
が係合力を発生する状態になってしまう。その結果、ダ
ウンシフトのタイミングが早くなりすぎて、ダウンシフ
ト時にエンジンブレーキが効く方向に不快な変速ショッ
クが発生してしまう。この場合は、ダウンシフト制御中
の入力軸の回転速度上昇率が適正値より大きくなると共
に、変速比(=入力軸回転速度/出力軸回転速度)の増
加率も適正値より大きくなる。
【0010】また、充填制御による実際の作動油充填量
が適正値より少ないと、入力軸の回転速度がダウンシフ
ト先の変速段相当の回転速度に上昇してから、実際に摩
擦係合要素が係合力を発生する状態になるまでに時間遅
れが生じて、ダウンシフトのタイミングが遅れてしま
う。その結果、入力軸の回転が吹き上がりすぎて、不快
な変速ショックが発生する。この場合は、入力軸回転速
度のピーク値がダウンシフト先の変速段相当の回転速度
よりもかなり高くなると共に、入力軸回転速度のピーク
時の変速比がダウンシフト先の変速段よりもかなり大き
くなる。
【0011】本発明は、このような作動油充填量と入力
軸回転速度(又は変速比)の変化特性との関係を考慮し
て、ダウンシフト制御中に入力軸の回転速度上昇特性又
は変速比の変化特性に基づいて、充填制御によるダウン
シフト先の変速段の摩擦係合要素への作動油充填量の過
不足を学習し、その学習結果に基づいて次回の当該変速
段へのダウンシフト制御時の充填制御の制御パラメータ
を補正するものである。このため、部品の製造ばらつき
や動作環境の変化による作動油充填量のばらつきを学習
補正により吸収することができて、常に最適な油圧制御
状態を維持することができる。その結果、新たなセンサ
類を設けなくても、変速ショックの少ないダウンシフト
を行うことができ、ダウンシフト時の変速ショック低
減、信頼性向上、低コスト化を同時に達成することがで
きる。
【0012】この場合、請求項2のように、ダウンシフ
ト制御中に入力軸回転速度の変化率(又は変速比の変化
率)が所定変化率以上になったときに、ダウンシフト先
の変速段の摩擦係合要素への作動油充填量が過大である
と判定して、次回の当該変速段へのダウンシフト制御時
の当該摩擦係合要素への作動油充填量を所定量だけ減少
させるようにしても良い。このようにすれば、入力軸回
転速度の変化率(又は変速比の変化率)に基づいて作動
油充填量が過大であるか否かを簡単に判定することがで
きると共に、作動油充填量が過大であるときの作動油充
填量の減量補正も簡単に行うことができる。この場合、
作動油充填量の補正量(所定量)は、演算処理の簡略化
のために固定値としても良いが、入力軸回転速度の変化
率(又は変速比の変化率)のピーク値等に応じてテーブ
ル又は数式等により補正量(所定量)を算出するように
しても良い。
【0013】一般に、摩擦係合要素に印加する油圧が低
くなるほど、摩擦係合要素への作動油充填量が減少す
る。また、作動油充填時間が短くなるほど、摩擦係合要
素への作動油充填量が減少する。
【0014】この特性を考慮して、請求項3のように、
学習補正による摩擦係合要素への作動油充填量の減少
を、当該摩擦係合要素に印加する油圧の低下又は充填制
御時間(作動油充填時間)の減少によって実現するよう
にしても良い。これにより、摩擦係合要素への作動油充
填量を確実に減少させることができる。
【0015】また、請求項4のように、ダウンシフト制
御中に入力軸の回転速度がダウンシフト先の変速段相当
の回転速度を越えて所定回転速度以上に上昇したとき
に、ダウンシフト先の変速段の摩擦係合要素への作動油
充填量が不足していると判定して、次回の当該変速段へ
のダウンシフト制御時の当該摩擦係合要素への作動油充
填量を所定量だけ増加させるようにしても良い。このよ
うにすれば、入力軸回転速度に基づいて作動油充填量が
不足しているか否かを簡単に判定することができると共
に、作動油充填量が不足しているときの作動油充填量の
増量補正も簡単に行うことができる。この場合も、作動
油充填量の補正量(所定量)は、演算処理の簡略化のた
めに固定値としても良いが、入力軸回転速度のピーク値
等に応じてテーブル又は数式等により補正量(所定量)
を算出するようにしても良い。
【0016】また、入力軸回転速度と変速比(=入力軸
回転速度/出力軸回転速度)との間に相関関係があるこ
とを考慮して、請求項5のように、ダウンシフト制御中
に、変速比がダウンシフト先の変速段の変速比を越えて
所定変速比以上に増加したときに、ダウンシフト先の変
速段の摩擦係合要素への作動油充填量が不足していると
判定して、次回の当該変速段へのダウンシフト制御時の
当該摩擦係合要素への作動油充填量を所定量だけ増加さ
せるようにしても良い。このようにしても、請求項4と
同じ効果を得ることができる。この場合も、作動油充填
量の補正量(所定量)は、演算処理の簡略化のために固
定値としても良いが、変速比のピーク値等に応じてテー
ブル又は数式等により補正量(所定量)を算出するよう
にしても良い。
【0017】また、請求項6のように、学習補正による
摩擦係合要素への作動油充填量の増加を、当該摩擦係合
要素に印加する油圧の増加又は充填制御時間の増加によ
って実現するようにしても良い。これにより、摩擦係合
要素への作動油充填量を確実に増加させることができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。まず、図1及び図2に基づいて自
動変速機11の概略構成を説明する。図2に示すよう
に、エンジン(図示せず)の出力軸には、トルクコンバ
ータ12の入力軸13が連結され、このトルクコンバー
タ12の出力軸14に、油圧駆動式の変速歯車機構15
(変速機構)が連結されている。トルクコンバータ12
の内部には、流体継手を構成するポンプインペラ31と
タービンランナ32が対向して設けられ、ポンプインペ
ラ31とタービンランナ32との間には、オイルの流れ
を整流するステータ33が設けられている。ポンプイン
ペラ31は、トルクコンバータ12の入力軸13に連結
され、タービンランナ32は、トルクコンバータ12の
出力軸14に連結されている。
【0019】また、トルクコンバータ12には、入力軸
13側と出力軸14側との間を係合又は切り離しするた
めのロックアップクラッチ16が設けられている。エン
ジンの出力トルクは、トルクコンバータ12を介して変
速歯車機構15に伝達され、変速歯車機構15の複数の
ギヤ(遊星歯車等)で変速されて、車両の駆動輪(前輪
又は後輪)に伝達される。
【0020】変速歯車機構15には、複数の変速段を切
り換えるための摩擦係合要素である複数のクラッチC
0,C1,C2とブレーキB0,B1が設けられ、図3
に示すように、これら各クラッチC0,C1,C2と各
ブレーキB0,B1の係合/解放を油圧で切り換えて、
動力を伝達するギヤの組み合わせを切り換えることによ
って変速比を切り換えるようになっている。尚、図3は
4速自動変速機のクラッチC0,C1,C2とブレーキ
B0,B1の係合の組合せを示すもので、○印はその変
速段で係合状態(トルク伝達状態)に保持されるクラッ
チとブレーキを示し、無印は解放状態を示している。例
えば、3速から2速にダウンシフトする場合は、3速で
係合状態に保持されていた2つのクラッチC0,C2の
うちの片方のクラッチC2を解放し、その代わりに、ブ
レーキB1を係合することで、2速にダウンシフトす
る。また、3速から4速にアップシフトする場合は、3
速で係合状態に保持されていた2つのクラッチC0,C
2のうちの片方のクラッチC0を解放し、その代わり
に、ブレーキB1を係合することで、4速にアップシフ
トする。
【0021】図1に示すように、変速歯車機構15に
は、エンジン動力で駆動される油圧ポンプ18が設けら
れ、作動油(オイル)を貯溜するオイルパン(図示せ
ず)内には、油圧制御回路17が設けられている。この
油圧制御回路17は、ライン圧制御回路19、自動変速
制御回路20、ロックアップ制御回路21、手動切換弁
26等から構成され、オイルパンから油圧ポンプ18で
汲み上げられた作動油がライン圧制御回路19を介して
自動変速制御回路20とロックアップ制御回路21に供
給される。ライン圧制御回路19には、油圧ポンプ18
からの油圧を所定のライン圧に制御するライン圧制御用
の油圧制御弁(図示せず)が設けられ、自動変速制御回
路20には、変速歯車機構15の各クラッチC0,C
1,C2と各ブレーキB0,B1に供給する油圧を制御
する複数の変速用の油圧制御弁(図示せず)が設けられ
ている。また、ロックアップ制御回路21には、ロック
アップクラッチ16に供給する油圧を制御するロックア
ップ制御用の油圧制御弁(図示せず)が設けられてい
る。
【0022】また、ライン圧制御回路19と自動変速制
御回路20との間には、シフトレバー25の操作に連動
して切り換えられる手動切換弁26が設けられている。
シフトレバー25がニュートラルレンジ(Nレンジ)又
はパーキングレンジ(Pレンジ)に操作されているとき
には、自動変速制御回路20の油圧制御弁への通電が停
止(OFF)された状態になっていても、手動切換弁2
6によって変速歯車機構15に供給する油圧が変速歯車
機構15をニュートラル状態とするように切り換えられ
る。
【0023】一方、エンジンには、エンジン回転速度N
eを検出するエンジン回転速度センサ27が設けられ、
変速歯車機構15には、変速歯車機構15の入力軸回転
速度Nt(トルクコンバータ12の出力軸回転速度)を
検出する入力軸回転速度センサ28と、変速歯車機構1
5の出力軸回転速度Noを検出する出力軸回転速度セン
サ29が設けられている。
【0024】これら各種センサの出力信号は、自動変速
機電子制御回路(以下「AT−ECU」と表記する)3
0に入力される。このAT−ECU30は、マイクロコ
ンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM
(記憶媒体)に記憶された図7乃至図13のプログラム
を実行することで、予め設定した図4の変速パターンに
従って変速歯車機構15の変速が行われるように、シフ
トレバー25の操作位置や運転条件(スロットル開度、
車速等)に応じて自動変速制御回路20の各油圧制御弁
への通電を制御して、変速歯車機構15の各クラッチC
0,C1,C2と各ブレーキB0,B1に作用させる油
圧を制御することによって、図3に示すように、各クラ
ッチC0,C1,C2と各ブレーキB0,B1の係合/
解放を切り換えて、動力を伝達するギヤの組み合わせを
切り換えることで、変速歯車機構15の変速比を切り換
える。
【0025】この際、AT−ECU30は、ダウンシフ
トを行う場合は、図5に示すように制御する。以下の説
明では、クラッチC0,C1,C2とブレーキB0,B
1を総称して単に「クラッチ」と簡略化して表記する。
また、ダウンシフト制御時に係合状態から解放状態に切
り換えるクラッチを「解放側クラッチ」と表記し、解放
状態から係合状態に切り換えるクラッチを「係合側クラ
ッチ」と表記する。
【0026】図5に示すように、ダウンシフトの変速指
令が出力された時点t0 で、解放側クラッチの油圧指令
値を初期油圧まで低下させた後、解放側クラッチの油圧
指令値を一定勾配で低下させる。これにより、解放側ク
ラッチの係合力が低下してエンジン負荷が軽減されるた
め、変速歯車機構15の入力軸回転速度Nt(トルクコ
ンバータ12の出力軸回転速度)が上昇し始める。
【0027】また、ダウンシフトの変速指令が出力され
た時点t0 で、係合側クラッチが係合力を発生する直前
の状態になるように、係合側クラッチの油圧指令値を、
後述する学習処理で補正された充填油圧Po に設定し
て、係合側クラッチに作動油を充填する充填制御を実行
する。この充填制御を所定時間tF だけ実行して係合側
クラッチが係合力を発生する直前の状態になった時点t
1 で、係合側クラッチの油圧指令値を待機油圧まで低下
させて充填制御を終了する。この後は、待機油圧によっ
て係合側クラッチが係合力を発生する直前の状態に保持
される。
【0028】その後、入力軸回転速度Ntの吹き上り
(Ntの変化率≧判定値)を検出した時点t2 で、入力
軸回転速度Ntの吹き上り勾配が所定値になるように解
放側クラッチの油圧をフィードバック制御する。そし
て、変速比(=入力軸回転速度Nt/出力軸回転速度N
o )が所定値Bに達した時点t3 で、係合側クラッチの
油圧指令値を一定勾配で増加させる。その後、変速比が
所定値Aに達した時点t4で、解放側クラッチの油圧指
令値を一定勾配で低下させる。
【0029】その後、変速比が所定値Cに達した時点t
5 で、係合側クラッチの油圧指令値を最高圧に設定し
て、係合側クラッチの油圧を最高圧まで増加させる。こ
のように制御することで、入力軸回転速度Ntがダウン
シフト先の低速段相当の回転速度に上昇するタイミング
に合わせて、係合側クラッチの係合力を増加させてダウ
ンシフトを完了する。
【0030】ところで、部品の製造ばらつき(特にクラ
ッチのクリアランスのばらつき)や動作環境の変化によ
って、同じ油圧指令値でも、実際に係合側クラッチに充
填される作動油充填量(係合側クラッチの作動状態)が
ばらついてしまい、常に最適な制御状態になるとは限ら
ない。例えば、係合側クラッチのクリアランスが適正値
よりも小さいと、充填制御時の係合側クラッチへの実際
の作動油充填量が適正値よりも多くなり、反対に、係合
側クラッチのクリアランスが適正値よりも大きいと、充
填制御時の係合側クラッチへの実際の作動油充填量が適
正値よりも少なくなる。
【0031】もし、充填制御時の係合側クラッチへの実
際の作動油充填量が適正値よりも多くなると、入力軸回
転速度Ntがダウンシフト先の低速段相当の回転速度に
達する以前に、係合側クラッチが係合力を発生する状態
になってしまう。その結果、ダウンシフトのタイミング
が早くなりすぎて、ダウンシフト時にエンジンブレーキ
が効く方向に不快な変速ショックが発生してしまう。こ
の場合は、図6に一点鎖線で示すように、ダウンシフト
制御中の入力軸回転速度Ntの上昇率が適正値よりも大
きくなると共に、変速比の増加率も適正値よりも大きく
なる。
【0032】また、充填制御による実際の作動油充填量
が適正値よりも少ないと、入力軸回転速度Ntがダウン
シフト先の低速段相当の回転速度に上昇してから、実際
に係合側クラッチが係合力を発生する状態になるまでに
時間遅れが生じて、ダウンシフトのタイミングが遅れて
しまう。その結果、図6に破線で示すように、入力軸回
転速度Ntが吹き上がりすぎて、係合側クラッチが係合
力を発生できる状態になると、入力軸側の回転部材の回
転が低速段回転数まで戻されることに伴って、不快な変
速ショックが発生する。この場合は、入力軸回転速度N
tのピーク値がダウンシフト先の低速段相当の回転速度
よりもかなり高くなると共に、入力軸回転速度Ntのピ
ーク時の変速比がダウンシフト先の低速段よりもかなり
大きくなる。
【0033】そこで、本実施形態では、このような作動
油充填量と入力軸回転速度Nt(又は変速比)の変化特
性との関係を考慮して、ダウンシフト制御中に入力軸回
転速度Ntの上昇特性又は変速比の変化特性に基づい
て、充填制御による低速段の係合側クラッチへの作動油
充填量の過不足を学習する。その結果、作動油充填量が
過大であると判定した場合は、次回の当該低速段へのダ
ウンシフト制御時の係合側クラッチの充填油圧Po を所
定量ΔPだけ減少させ、その反対に、作動油充填量が不
足していると判定した場合は、次回の当該低速段へのダ
ウンシフト制御時の係合側クラッチの充填油圧Po を所
定量ΔPだけ増加させる。
【0034】以上説明した本実施形態の変速制御及び学
習制御は、AT−ECU30によって図7乃至図13の
プログラムに従って実行される。以下、これら各プログ
ラムの処理内容を説明する。
【0035】[変速制御]図7の変速制御プログラム
は、エンジン運転中に所定時間毎(例えば8〜32ms
ec毎)に実行される変速制御のメインプログラムであ
る。本プログラムが起動されると、まずステップ100
で、変速指令が出力されたか否かを判定し、変速指令が
出力されていなければ、変速制御の必要がないため、以
降の処理を行うことなく、本プログラムを終了する。
【0036】一方、変速指令が出力されていれば、ステ
ップ200に進み、後述する図8の変速種類判定プログ
ラムを実行して、現在の変速指令に対応する変速種類を
判定する。この後、ステップ300に進み、変速種類に
応じた変速油圧制御プログラム(変速種類が後述するパ
ワーオンダウンシフトであれば図9の変速油圧制御プロ
グラム)を実行して、現在の変速指令に応じた変速段に
変速して本プログラムを終了する。
【0037】[変速種類判定]次に、図7の変速制御プ
ログラムのステップ200で実行される図8の変速種類
判定プログラムの処理内容を説明する。本プログラムが
起動されると、まずステップ201で、現在の変速指令
がアップシフトかダウンシフトかを判定し、次のステッ
プ202又は203で、自動変速機11に加わる負荷状
態がパワーオン(エンジン側から自動変速機11が駆動
される状態)かパワーオフ(駆動輪側から自動変速機1
1が駆動される状態)かを判定する。そして、この判定
結果に応じて、現在の変速指令に応じた変速種類がパワ
ーオンアップシフト(ステップ204)、パワーオフア
ップシフト(ステップ205)、パワーオンダウンシフ
ト(ステップ206)、パワーオフダウンシフト(ステ
ップ207)のいずれに該当するかを判別して、本プロ
グラムを終了する。
【0038】[変速油圧制御]図9の変速油圧制御プロ
グラムは、変速種類がパワーオンダウンシフトの場合に
実行される。本プログラムが起動されると、まずステッ
プ301で、後述する図10及び図11に示す解放側ク
ラッチ油圧制御プログラムを実行して、解放側クラッチ
の油圧を制御すると共に、次のステップ302で、後述
する図12及び図13に示す係合側クラッチ油圧制御プ
ログラムを実行して、係合側クラッチの油圧を制御す
る。
【0039】この後、ステップ303に進み、ダウンシ
フトが完了したか否かを、後述する制御段階フラグFl
ag1=5、且つ、Flag2=5であるか否かで判定
する。そして、ダウンシフトが完了した時点で、ステッ
プ304に進み、制御段階フラグFlag1とFlag
2を共に初期値「0」にリセットして、本プログラムを
終了する。
【0040】尚、以下に説明する図10及び図11の解
放側クラッチ油圧制御プログラムと図12及び図13の
係合側クラッチ油圧制御プログラムは、特許請求の範囲
でいうダウンシフト制御手段と学習補正手段としての役
割を果たす。
【0041】[解放側クラッチ油圧制御]次に、図9の
変速油圧制御プログラムのステップ301で実行される
図10及び図11の解放側クラッチ油圧制御プログラム
の処理内容を説明する。本プログラムが起動されると、
まずステップ401で、変速歯車機構15の入力軸(ト
ルクコンバータ12の出力軸14)のトルクTinをエ
ンジン運転条件やトルクコンバータ12の特性に基づい
て例えば次式により推定する。
【0042】Tin=C(e)×tr(e)×Ne2 C(e):トルクコンバータ容量係数 tr(e):トルク比 Ne:エンジン回転速度 ここで、トルクコンバータ容量係数C(e)とトルク比
tr(e)は、それぞれ速度比e(=Nt/Ne)に応
じてマップ又は数式等により算出される。
【0043】この他、エンジンから出力されるトルク
を、吸入空気量やスロットル開度を基にして算出し、こ
れに上記トルク比tr(e)を乗じて入力軸トルクTi
nとする方法を用いても良い。
【0044】入力軸トルクの推定後、ステップ402に
進み、制御段階フラグFlag1の値が0〜4のいずれ
であるか否かで、現在の解放側クラッチ油圧制御の段階
を判定する。この制御段階フラグFlag1は、解放側
クラッチ油圧制御の各段階に進む毎に1ずつ増加するフ
ラグであり、初期値は0で最大値は5である。従って、
解放側クラッチ油圧制御は、5段階のシーケンス制御と
なる。
【0045】解放側クラッチ油圧制御を開始する時点t
0 では、制御段階フラグFlag1は初期値(0)に設
定されているため、ステップ403に進み、制御段階フ
ラグFlag1を「1」にセットして、次のステップ4
04に進み、解放側クラッチの油圧指令値を初期油圧に
設定して、解放側クラッチに供給する油圧を初期油圧ま
で低下させる(第1段階の制御)。この後、ステップ4
05に進み、過充填フラグFlagXを過充填(作動油
充填量の過大)が検出されていないことを意味する初期
値(0)にリセットして、本プログラムを終了する。
【0046】次回の本プログラムの起動時には、既にF
lag1=1になっているため、ステップ406に進
み、図5の時刻t0 〜t2 に示すように、解放側クラッ
チの油圧指令値を一定勾配で低下させる(第2段階の制
御)。これにより、解放側クラッチの係合力が低下して
エンジン負荷が軽減されるため、変速歯車機構15の入
力軸回転速度Nt(トルクコンバータ12の出力軸回転
速度)が上昇し始める。
【0047】この解放側クラッチの油圧指令値を一定勾
配で低下させる制御(第2段階の制御)は、入力軸回転
速度Ntの吹き上り(Ntの変化率≧判定値)を検出す
るまで継続される(ステップ407)。そして、入力軸
回転速度Ntの吹き上りを検出した時点t2 で、ステッ
プ408に進み、制御段階フラグFlag1を「2」に
セットして、この第2段階の制御を終了し、第3段階の
制御に移行する。
【0048】第3段階の制御(図5の時刻t2 〜t4 )
では、まずステップ409で、入力軸回転速度Ntの吹
き上り勾配が所定値になるように解放側クラッチの油圧
をフィードバック制御する。この後、ステップ410に
進み、入力軸回転速度Ntの変化率ΔNtを算出し、次
のステップ411で、この入力軸回転速度変化率ΔNt
が急変判定値以上であるか否かを判定する。この際、急
変判定値は図6に示すように設定され、後述する係合側
クラッチの充填制御による作動油充填量が適正(正常)
又は不足する場合は、入力軸回転速度変化率ΔNtが急
変判定値よりも小さくなり、作動油充填量が過大(過充
填)である場合は、入力軸回転速度変化率ΔNtが急変
判定値よりも大きくなる。
【0049】もし、上記ステップ411で、入力軸回転
速度変化率ΔNtが急変判定値以上であると判定されれ
れば、ステップ412に進み、過充填フラグFlagX
を過充填を意味する「1」にセットして、ステップ41
3に進む。尚、入力軸回転速度変化率ΔNtが急変判定
値より小さい場合は、過充填フラグFlagXを「0」
に維持したままステップ413に進む。
【0050】このステップ413で、変速比(=入力軸
回転速度Nt/出力軸回転速度No)が所定値A(図5
参照)に達したか否かを判定し、変速比が所定値Aに達
するまで、この第3段階の制御(フィードバック制御)
を継続する。その後、変速比が所定値Aに達した時点t
4 で、ステップ414に進み、制御段階フラグFlag
1を「3」にセットして、この第3段階の制御を終了
し、第4段階の制御に移行する。
【0051】第4段階の制御(図5の時刻t4 以後)で
は、まず、図11のステップ415で、解放側クラッチ
の油圧指令値を一定勾配で低下させる。そして、次のス
テップ416で、解放側クラッチの油圧指令値が0以下
に低下したか否かを判定し、解放側クラッチの油圧指令
値が0以下に低下するまで、この第4段階の制御(油圧
減圧制御)を継続する。その後、解放側クラッチの油圧
指令値が0以下に低下した時点で、ステップ417に進
み、制御段階フラグFlag1を「4」にセットして、
この第4段階の制御を終了し、第5段階の制御に移行す
る。
【0052】第5段階の制御では、まずステップ418
で、解放側クラッチの油圧指令値を0に設定して、解放
側クラッチを完全に解放させた状態に維持する。そし
て、次のステップ419で、過充填フラグFlagXが
過充填を意味する「1」にセットされているか否かを判
定し、もし、FlagX=1(過充填)であれば、ステ
ップ420に進み、次回の当該低速段へのダウンシフト
制御時の係合側クラッチの充填油圧Po を所定量ΔPだ
け減少させる学習補正を行う。この所定量ΔPは演算処
理の簡略化のために固定値としても良いが、入力軸回転
速度変化率ΔNtのピーク値等に応じてテーブル又は数
式等により所定量ΔPを算出するようにしても良い。こ
の学習補正後、ステップ421に進み、制御段階フラグ
Flag1を「5」にセットして解放側クラッチ油圧制
御を終了する。
【0053】一方、上記ステップ419で、過充填フラ
グFlagXが「0」と判定されれば、充填油圧Po の
学習補正を行わずに、ステップ421に進み、制御段階
フラグFlag1を「5」にセットして解放側クラッチ
油圧制御を終了する。
【0054】[係合側クラッチ油圧制御]次に、図9の
変速油圧制御プログラムのステップ302で実行される
図12及び図13の係合側クラッチ油圧制御プログラム
の処理内容を説明する。本プログラムが起動されると、
まずステップ501で、制御段階フラグFlag2の値
が0〜4のいずれであるか否かで、現在の係合側クラッ
チ油圧制御の段階を判定する。この制御段階フラグFl
ag2は、係合側クラッチ油圧制御の各段階に進む毎に
1ずつ増加するフラグであり、初期値は0で最大値は5
である。従って、係合側クラッチ油圧制御は、5段階の
シーケンス制御となる。
【0055】係合側クラッチ油圧制御を開始する時点t
0 では、制御段階フラグFlag2は初期値(0)に設
定されているため、ステップ502に進み、係合側クラ
ッチが係合力を発生する直前の状態になるように、係合
側クラッチの油圧指令値を、前述した学習処理で補正さ
れた充填油圧Po に設定して、係合側クラッチに作動油
を充填する充填制御を実行する。そして、次のステップ
503で、制御段階フラグFlag2を「1」にセット
した後、ステップ504に進み、充填制御時間をカウン
トするタイマtを0にリセットして、本プログラムを終
了する。
【0056】次回の本プログラムの起動時には、既にF
lag2=1になっているため、ステップ505に進
み、充填制御時間タイマtをカウントアップして、現在
までの充填制御時間をカウントし、次のステップ506
で、充填制御時間タイマtの値が所定時間tF 以上にな
ったか否かを判定し、充填制御時間が所定時間tF にな
るまでは、係合側クラッチの油圧指令値を充填油圧Po
に保持して、充填制御を継続する(ステップ507)。
【0057】ここで、所定時間tF は、充填制御により
係合側クラッチが係合力を発生する直前の状態になるの
に要する標準的(平均的)な時間であり、予め実験又は
シミュレーション等により設定されている。
【0058】その後、充填制御時間が所定時間tF にな
った時点t1 (充填制御により係合側クラッチが係合力
を発生する直前の状態になった時点)で、ステップ50
8に進み、制御段階フラグFlag2を「2」にセット
し、次のステップ509で、係合側クラッチの油圧指令
値を待機油圧まで低下させて充填制御を終了する。この
後は、待機油圧によって係合側クラッチが係合力を発生
する直前の状態に保持される。
【0059】待機油圧に制御されるときには、制御段階
フラグFlag2が「2」になっているため、ステップ
510に進み、変速比(=入力軸回転速度Nt/出力軸
回転速度No )が所定値B(図5参照)に達したか否か
を判定し、変速比が所定値Bに達するまでは、係合側ク
ラッチの油圧指令値を待機油圧に保持する(ステップ5
11)。
【0060】その後、変速比が所定値Bに達した時点t
3 で、ステップ512に進み、制御段階フラグFlag
2を「3」にセットし、次のステップ513で、係合側
クラッチの油圧指令値を一定勾配で増加させる制御に移
行する。
【0061】この後、本プログラムが起動された時は、
制御段階フラグFlag2が「3」になっているため、
図13のステップ514に進み、変速比が所定値C(図
5参照)に達したか否かを判定し、変速比が所定値Cに
達するまでは、係合側クラッチの油圧指令値を一定勾配
で増加させる制御を継続する(ステップ515)。
【0062】その後、変速比が所定値Cに達した時点t
5 で、ステップ516に進み、制御段階フラグFlag
2を「4」にセットし、次のステップ517で、係合側
クラッチの油圧指令値を最高圧に設定して、係合側クラ
ッチの油圧を最高圧まで増加させる。このように制御す
ることで、入力軸回転速度Ntがダウンシフト先の低速
段相当の回転速度に上昇するタイミングに合わせて、係
合側クラッチの係合力を増加させてダウンシフトを完了
する。
【0063】この後、本プログラムが起動された時は、
制御段階フラグFlag2が「4」になっているため、
ステップ518に進み、変速比が吹き上り判定値以上で
あるか否かによって充填制御による作動油充填量が不足
しているか否かを判定し、変速比が吹き上り判定値より
も小さい場合(作動油充填量が不足していない場合)
は、ステップ519に進み、係合側クラッチ油圧制御の
終了時期を判定するために、制御段階フラグFlag2
が「4」にセットされてから所定時間経過したか否か
(つまり変速比が所定値Cに達してから所定時間経過し
たか否か)を判定し、その所定時間が経過した時点で、
ステップ520に進み、制御段階フラグFlag2を
「5」にセットして、係合側クラッチ油圧制御を終了す
る。
【0064】一方、上記ステップ518で、変速比が吹
き上り判定値以上である(つまり充填制御による作動油
充填量が不足している)と判定された場合は、ステップ
521に進み、次回の当該低速段へのダウンシフト制御
時の係合側クラッチの充填油圧Po を所定量ΔPだけ増
加させる学習補正を行う。この所定量ΔPは、演算処理
の簡略化のために固定値としても良いが、変速比のピー
ク値や入力軸回転速度Ntのピーク値等に応じてテーブ
ル又は数式等により所定量ΔPを算出するようにしても
良い。この学習補正後、ステップ522に進み、制御段
階フラグFlag2を「5」にセットして、係合側クラ
ッチ油圧制御を終了する。
【0065】尚、ダウンシフト前の変速段(高速段)の
変速比と、ダウンシフト後の変速段(低速段)の変速比
と、図10〜図13のプログラムで用いられる所定値
A,B,Cと、吹き上り判定値の大小関係は、次の通り
である。 高速段変速比<B<A<C<低速段変速比<吹き上り判
定値
【0066】以上説明した本実施形態では、図13のス
テップ518で、変速比が吹き上り判定値以上であるか
否かによって充填制御による作動油充填量が不足してい
るか否かを判定するようにしたが、変速比と入力軸回転
速度Ntとの間に相関関係があることを考慮して、ステ
ップ518に代えて、ステップ518aの処理を実行
し、入力軸回転速度Ntが吹き上り判定値(同期回転速
度+α)以上であるか否かによって充填制御による作動
油充填量が不足しているか否かを判定するようにしても
良い。
【0067】また、充填制御時に、係合側クラッチに印
加する油圧が低くなるほど、係合側クラッチの作動油充
填量が減少し、充填制御時間(作動油充填時間)が短く
なるほど、係合側クラッチの作動油充填量が減少すると
いう関係がある。従って、学習補正の対象となる制御パ
ラメータは、充填油圧Po に限定されず、充填制御時間
(作動油充填時間)を学習補正するようにしても良い。
【0068】充填制御時間(作動油充填時間)を学習補
正する場合は、充填制御による作動油充填量が過大であ
るときには、図11のステップ420に代えて、ステッ
プ420aの処理を実行し、充填制御時間tF を所定時
間Δtだけ短くし、作動油充填量が不足するときには、
図13のステップ520に代えて、ステップ520aの
処理を実行し、充填制御時間tF を所定時間Δtだけ長
くすれば良い。この所定時間Δtは、演算処理の簡略化
のために固定値としても良いが、入力軸回転速度変化率
ΔNtのピーク値、変速比のピーク値、入力軸回転速度
Ntのピーク値等に応じてテーブル又は数式等によって
所定時間Δtを算出するようにしても良い。
【0069】以上説明した本実施形態によれば、ダウン
シフト制御中に入力軸回転速度Ntの上昇特性又は変速
比の変化特性に基づいて、充填制御によるダウンシフト
先の変速段の係合側クラッチへの作動油充填量の過不足
を学習し、その学習結果に基づいて次回の当該変速段へ
のダウンシフト制御時の充填制御の制御パラメータ(充
填油圧Po 又は充填制御時間tF )を補正するようにし
たので、部品の製造ばらつきや動作環境の変化による作
動油充填量のばらつきを学習補正により吸収することが
できて、常に最適な油圧制御状態を維持することができ
る。その結果、新たなセンサ類を設けなくても、変速シ
ョックの少ないダウンシフトを行うことができ、ダウン
シフト時の変速ショック低減、信頼性向上、低コスト化
を同時に達成することができる。
【0070】尚、本発明は、上記実施形態に限定され
ず、例えば、解放側クラッチ油圧制御や係合側クラッチ
油圧制御を適宜変更しても良い等、種々変更して実施で
きることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における自動変速機全体の
概略構成を示す図
【図2】自動変速機の機械的構成を模式的に示す図
【図3】各変速段毎のクラッチC0〜C2とブレーキB
0,B1の係合/解放の組み合わせを示す図
【図4】変速パターンの一例を示す図
【図5】ダウンシフト制御の一例を示すタイムチャート
【図6】ダウンシフト制御時の入力軸回転速度Ntとそ
の変化率ΔNtの挙動を示すタイムチャート
【図7】変速制御プログラムの処理の流れを示すフロー
チャート
【図8】変速種類判定プログラムの処理の流れを示すフ
ローチャート
【図9】変速油圧制御プログラムの処理の流れを示すフ
ローチャート
【図10】解放側クラッチ油圧制御プログラムの処理の
流れを示すフローチャート(その1)
【図11】解放側クラッチ油圧制御プログラムの処理の
流れを示すフローチャート(その2)
【図12】係合側クラッチ油圧制御プログラムの処理の
流れを示すフローチャート(その1)
【図13】係合側クラッチ油圧制御プログラムの処理の
流れを示すフローチャート(その2)
【符号の説明】
11…自動変速機、12…トルクコンバータ、13…変
速歯車機構(変速機構)、16…ロックアップクラッ
チ、17…油圧制御回路、18…油圧ポンプ、19…ラ
イン圧制御回路、20…自動変速制御回路、21…ロッ
クアップ制御回路、26…手動切換弁、27…エンジン
回転速度センサ、30…AT−ECU(ダウンシフト制
御手段,学習補正手段)、C0〜C2…クラッチ(摩擦
係合要素)、B0,B1…ブレーキ(摩擦係合要素)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:44 F16H 59:44 59:74 59:74 63:12 63:12 Fターム(参考) 3J552 MA02 MA12 NA01 NB01 PA02 RA07 SA03 SA08 SA13 SB10 TA12 TB01 VA32 VA37 VA62 VB01 VC01 VC03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動源から回転力が伝達される入力軸
    と、この入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する変速
    機構と、この変速機構の複数の変速段に設けられた複数
    の摩擦係合要素とを備え、変速指令に応じて前記複数の
    摩擦係合要素に作用させる油圧を個別に制御すること
    で、各摩擦係合要素の係合と解放を選択的に切り換え
    て、前記変速機構の変速段を切り換える自動変速機の制
    御装置において、 現在の変速段からそれよりも低速の変速段への変速(以
    下「ダウンシフト」という)を開始するときに現在の変
    速段の摩擦係合要素を解放してほぼニュートラル状態に
    切り換えることで前記入力軸の回転速度を上昇させると
    共に、ダウンシフト先の変速段の摩擦係合要素が係合力
    を発生する直前の状態になるまで作動油の充填制御を行
    い、前記入力軸の回転速度が当該ダウンシフト先の変速
    段相当の回転速度に上昇するタイミングに合わせて当該
    ダウンシフト先の変速段の摩擦係合要素の係合力を増加
    させてダウンシフトを完了するダウンシフト制御手段
    と、 ダウンシフト制御中に前記入力軸の回転速度上昇特性又
    は変速比の変化特性に基づいて前記充填制御による前記
    ダウンシフト先の変速段の摩擦係合要素への作動油充填
    量の過不足を学習し、その学習結果に基づいて次回の当
    該変速段へのダウンシフト制御時の充填制御の制御パラ
    メータを補正する学習補正手段とを備えていることを特
    徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記学習補正手段は、ダウンシフト制御
    中に前記入力軸の回転速度の変化率又は変速比の変化率
    が所定変化率以上になったときに前記ダウンシフト先の
    変速段の摩擦係合要素への作動油充填量が過大であると
    判定して、次回の当該変速段へのダウンシフト制御時の
    当該摩擦係合要素への作動油充填量を所定量だけ減少さ
    せることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制
    御装置。
  3. 【請求項3】 前記学習補正手段は、学習補正時の前記
    摩擦係合要素への作動油充填量の減少を、当該摩擦係合
    要素に印加する油圧の低下又は充填制御時間の減少によ
    って実現することを特徴とする請求項2に記載の自動変
    速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記学習補正手段は、ダウンシフト制御
    中に前記入力軸の回転速度が前記ダウンシフト先の変速
    段相当の回転速度を越えて所定回転速度以上に上昇した
    ときに前記ダウンシフト先の変速段の摩擦係合要素への
    作動油充填量が不足していると判定して、次回の当該変
    速段へのダウンシフト制御時の当該摩擦係合要素への作
    動油充填量を所定量だけ増加させることを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれかに記載の自動変速機の制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記学習補正手段は、ダウンシフト制御
    中に変速比が前記ダウンシフト先の変速段の変速比を越
    えて所定変速比以上に増加したときに前記ダウンシフト
    先の変速段の摩擦係合要素への作動油充填量が不足して
    いると判定して、次回の当該変速段へのダウンシフト制
    御時の当該摩擦係合要素への作動油充填量を所定量だけ
    増加させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    に記載の自動変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記学習補正手段は、学習補正時の前記
    摩擦係合要素への作動油充填量の増加を、当該摩擦係合
    要素に印加する油圧の増加又は充填制御時間の増加によ
    って実現することを特徴とする請求項4又は5に記載の
    自動変速機の制御装置。
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