JP2002309345A - 焼入れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents
焼入れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
衝撃特性に優れる薄鋼板を提供する。 【解決手段】 mass%で、C:0.10〜0.37
%、Si:1.0%以下、Mn:2.5%以下、P:
0.10%以下、S:0.03%以下、sol.Al:
0.01〜0.10%、N:0.0005〜0.005
0%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.000
3〜0.0050%を含有し、またはさらに、mass
%で、Ni、Cr、Moの1種または2種以上を合計
で、1.0%以下を含有し、B(10.8/14)N*
≧0.0005%(N*=N−(14/48)Ti、但
し、右辺≦0の場合、N*=0)を満足し、鋼中析出物
であるTiNの平均粒径が0.06〜0.30μmであ
り、かつ焼入れ後の旧オーステナイト粒径が2〜25μ
mである焼入れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板。
Description
等に使用される薄鋼板およびその製造方法に関する。
ピラー等の自動車構造部品として、軽量かつ高耐久性の
観点から980MPa以上の高強度の鋼板が使用されて
いる。しかし、これらの部品は成形性が厳しいため、上
記高強度の鋼板を使用した場合、割れや形状不良の問題
が多く、また、素材コストも高い。
MPaレベルの低強度の薄鋼板を用いて成形を行い、高
周波焼入れ等により高強度化が図られている。このよう
な例として、「まてりあ、第37巻、第6号(199
8)」では、センターピラーリンフォースメントやフロ
ントクロスメンバー等において、それぞれ、440MP
a、390MPaの鋼板を用いて高周波焼入れにより高
強度化している。そして、表面が3次元形状をしている
部品に対し、高周波焼入れを行うに際して焼入れコイル
をロボットに支持させ、これを部品形状に沿って精密に
移動させながら焼入れを行う方法を新規に開発してい
る。
しては、特開昭60−238424号公報において、レ
ーザー照射による部分強化の方法が開示されている。
ネルギー密度ビーム照射により強化する技術が開示され
ている。
りあ、第37巻、第6号(1998)」に記載の技術
は、焼入れ条件の変動を小さくするため、莫大な設備投
資が必要となっている。
技術は、レーザ照射部は極く僅かであり、部材の強度上
昇には長時間を要する。また、設備投資も莫大となりコ
スト増を招く。
術は、局所的な強化を行うだけであるため、得られる強
度レベルも710MPa程度に過ぎない。
入れ後の衝撃特性に優れる鋼板は未だ提案されてないの
が現状である。
が小さく、焼入れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
達成するために、鋭意研究を重ねた結果、以下のことを
見出した。
℃以下での焼入れ性に対しては、成分組成が大きく影響
し、C、Bの添加が必須である。
の粒径、ミクロ組織の影響が大きく、Ti含有鋼におい
て、TiNの形態が加熱時のオーステナイト粒径を大き
く変化させ、TiNが微細に析出している場合、著しく
オーステナイト粒径が微細化するため、冷却時にフェラ
イトが部分的に生成してしまいフェライトとオーステナ
イト界面で亀裂が伸展しやすくなり衝撃特性が低下す
る。
の変動といった焼入れ条件の変動に対しては、B−(1
0.8/14)N*の影響が大きく、B−(10.8/
14)N*が小さい場合、高周波加熱後の冷却時にフェ
ライトが生成し、オーステナイト粒径が細粒化した場合
と同じくフェライトとオーステナイトとの界面で亀裂が
伸展しやすくなり衝撃特性が低下する。
で、鋼成分としてmass%で、C:0.10〜0.3
7%、Si:1%以下、Mn:2.5%以下、P:0.
1%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.0
1〜0.1%、N:0.0005〜0.0050%、T
i:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.
0050%を含有し、 B−(10.8/14)N*≧0.0005% (N*=N−(14/48)Ti、但し、右辺≦0の場
合、N*=0) を満足し、鋼中析出物であるTiNの平均粒径が0.0
6〜0.30μmであり、かつ焼入れ後の旧オーステナ
イト粒径が2〜25μmであることを特徴とする焼入れ
後の衝撃特性に優れる薄鋼板である。
mass%で、Ni、Cr、Moの1種以上を、合計で
1%以下含有することを特徴とする焼入れ後の衝撃特性
に優れる薄鋼板とすることもできる。
造方法の発明は、上記の鋼成分を有する鋼を、巻取温度
720℃以下で熱間圧延することを特徴とする焼入れ後
の衝撃特性に優れる薄鋼板の製造方法である。
した後、640℃以上Ac1変態点以下で球状化焼鈍す
ることを特徴とする焼入れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板
の製造方法とすることもできる。
冷圧率30%以上で冷間圧延を行い、その後、600℃
以上Ac1変態点以下で焼鈍することを特徴とする焼入
れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板の製造方法とすることも
できる。
明する。
980MPa以上を得るには少なくとも0.10%以上
が必要である。しかし、0.37%を超えて添加すると
強度は得られるものの衝撃特性が著しく低下する。従っ
て、本発明においてCの添加範囲は0.10%〜0.3
7%とする。優れた衝撃特性を得るには0.30%以下
が好ましい。
度を上昇させる元素である。しかし、1%を超えて添加
すると、熱延板において偏析帯であるバンド組織が著し
くなるため衝撃特性が劣化する。従って、本発明におい
てはSiの添加範囲は1%以下とする。また、優れた衝
撃特性を得るには0.5%以下が好ましい。また、優れ
た衝撃特性を得るには0.5%以下が好ましい。
度を上昇させる元素である。しかし、2.5%を超える
添加は、偏析帯であるマンガンバンドの生成が顕著とな
り衝撃特性が劣化する。従って、本発明においてMnの
添加範囲は2.5%以下とする。また、優れた衝撃特性
を得るには1.5%以下が好ましい。
を上昇させる元素である。しかし、Pは粒界に偏析し衝
撃特性を低下させる元素でもある。B添加により粒界偏
析は抑制されるが、それでもPの0.1%を超える添加
は粒界脆化を招き衝撃特性が劣化する。よって、本発明
においてはPの添加範囲は0.1%以下とする。また、
優れた衝撃特性を得るには0.05%以下が好ましい。
しなければならない元素である。含有量が0.03%を
超える場合、衝撃特性が著しく劣化するため、0.03
%以下に抑制しなければならない。よって、本発明にお
いてSの添加範囲は0.03%以下とする。なお、優れ
た衝撃特性を得るには0.02%以下が好ましい。
る元素である。0.01%未満の添加は、清浄度が低下
し介在物が増大し、衝撃特性を低下させる。一方、0.
1%を越える添加はAlNの形成が顕著となり、焼入れ
時のオーステナイトが微細化し冷却時にフェライトが生
成してしまい衝撃特性が劣化する。よって、本発明にお
いてsol.Alの添加範囲は0.01%〜0.1%と
する。なお、優れた衝撃特性を得るには0.03%〜
0.07%が好ましい。
抑制し衝撃特性を向上させる重要な元素であり、少なく
とも0.0005%以上が必要である。一方、0.00
50%を越える添加はTiNのみならずBN、AlNの
形成も顕著となり、焼入れ時のオーステナイトが微細化
し冷却時にフェライトが生成してしまい衝撃特性が劣化
する。よって、本発明においてNの添加範囲は0.00
05%〜0.0050%とする。
化を抑制し、衝撃特性を向上させる重要な元素である。
しかし、添加量が0.005%未満の場合、十分な効果
が得られず、0.05%を超える過剰な添加はTiCの
形成が顕著となり、低温短時間焼入れ時のオーステナイ
ト粒成長を著しく抑制し、加熱後の冷却時にフェライト
が生成し衝撃特性が劣化する。よって、本発明において
Tiの添加範囲は、0.005%〜0.05%とする。
イト生成を抑制し衝撃特性を向上させる重要な元素であ
る。しかし、添加量が0.0003%未満の場合、十分
な効果が得られない。一方、0.0050%を超える添
加は熱間圧延の負荷が高くなり操業性が低下するととと
もに、加工性が低下する。よって、本発明においてBの
添加範囲は、0.0003%〜0.0050%とする。
なお、極めて優れた効果を得るには0.0005%〜
0.0020%が好ましい。
0.0005% 有効Bは、焼入れ条件の変動に対して大きな影響を及ぼ
す比率である。
≦0の場合、N*=0) そこで、焼入れ後の衝撃特性に及ぼす有効B:B−(1
0.8/14)N*の影響について調査した。
i:0.02%、Mn:0.90%、P:0.020
%、S:0.015%、sol.Al:0.035%、
Ti:0.01%とし、N:0.0018〜0.003
0%、B:0〜0.0031%、B−(10.8/1
4)N*:0〜0.0017%の化学成分を有する鋼を
溶製し、次いで、加熱温度:1200℃、熱延仕上温
度:870℃、中間温度:700℃、巻取温度:620
℃で熱延し、酸洗後、冷圧率:50%、焼鈍温度:72
0℃で1.2mmtの冷延板を製造した。
焼入後の衝撃特性を評価した。高周波焼入れは、平板
(幅35mm×長さ300mm)に対し高周波コイルを
移動させながら加熱・焼入れを実施した。図1に高周波
焼入れの実施態様を示す。この時の加熱温度は、900
℃の低温とし、加熱時間は、900℃までの通電時間を
4秒とした。
て0.5秒と、焼入れ安定性を評価するために1.5
秒、3秒の3パターンを実施した。
ー衝撃試験を実施した。シャルピー衝撃試験は、図2に
示すような試験片形状にて、試験温度:−50℃、n=
3で行った。
−(10.8/14)N*が0.0005%以上で冷却
開始時間が3秒においても安定して高いシャルピー衝撃
吸収エネルギーが得られることがわかる。
0005%未満の場合、焼入れ加熱時の固溶B量が十分
確保されず、加熱後の冷却開始時間の遅れるような場
合、フェライトが生成し衝撃特性の劣化を招く。
て高い衝撃特性を得るために、本発明において、B−
(10.8/14)N*は0.0005%以上とする。
ただし、N*=N−(14/48)Tiであり、右辺≦
0の場合、N*=0である。
上を合計1%以下 Ni、Cr、Moは焼入れ性向上元素であり、1種以上
を添加しても良い。しかし、過剰な添加はコスト増を招
くため、Ni、Cr、Moの1種以上を合計で1%以下
とする。
ナイト粒の粗大化抑制のためにNbを0.1%以下、V
を0.1%以下、および延性向上のためにCaを0.0
1%以下添加しても良い。また、耐食性向上のためにC
uを1%を超えない範囲で添加しても良い。
質的にFeであり、本発明の作用効果を無くさない限
り、不可避不純物をはじめ、他の微量元素を含有するも
のが本発明の範囲に含まれ得ることを意味する。
る。
抑制する析出物である。TiN平均粒径が0.06μm
未満の場合、オーステナイト粒が極めて微細となり、加
熱後の冷却時にフェライトが生成し、衝撃特性が劣化す
る。一方、0.30μmを超える粗大な析出物の場合、
オーステナイトの粒成長を抑制することができない。よ
って、本発明においてTiN平均粒径は、0.06μm
〜0.30μmとする。
する。
される変態前の旧オーステナイト粒径は、衝撃特性に大
きな影響を及ぼす。旧オーステナイト粒径が2μm未満
の場合、加熱後冷却時に一部フェライトが生成しフェラ
イトとオーステナイト界面の応力集中に起因して衝撃特
性が低下する。一方、25μmを越えるような粗大粒の
場合、粒界脆化が顕著となり従来のJSC980Y(鉄
連規格)より衝撃特性が低下する。よって、本発明にお
いて焼入れ後の旧オーステナイト粒径は、2〜25μm
とする。
る。
パーライトのラメラ間隔が大きくなり、焼入性が低下す
るとともに、焼入時にセメンタイトが溶け残り衝撃特性
が低下する。よって、本発明において、熱間圧延での巻
取温度は720℃以下とする。
Ac1変態点以下 熱延鋼板を酸洗した後、セメンタイトを球状化し、優れ
た加工性と焼入性を得るため球状化焼鈍を行うことがで
きる。焼鈍温度が640℃未満の場合、セメンタイトの
球状化が不十分となり、効果が得られない。一方、焼鈍
温度がAc1変態点を超える場合、部分的にオーステナ
イト化して冷却中に粗大なパーライトを生成し、加工性
が低下するとともに、焼入性も低下する。また、焼入れ
時にセメンタイトが溶け残り衝撃特性が低下する。よっ
て、本発明において熱延後に球状化焼鈍を行う場合は、
焼鈍温度を640℃以上Ac1変態点以下とする。
であると焼鈍後に未再結晶部が残るとともに、セメンタ
イトの球状化が不十分となり、軟質化が得られず加工性
が劣化する。よって、冷間圧延を行う場合の冷圧率は、
30%以上とする。冷圧率の上限は、特に規定しない
が、圧延機への負荷が大きくならないように、80%以
下とするのが好ましい。
は600℃以上Ac1変態点以下 冷間圧延後の焼鈍については、熱延後の球状化焼鈍を省
略した場合は、ここで球状化焼鈍を行う。冷間圧延後の
球状化焼鈍の焼鈍温度は、前述の熱延後の球状化焼鈍と
同様、640℃以上Ac1変態点以下とする。
で再結晶焼鈍を行う。冷間圧延後の再結晶焼鈍の焼鈍温
度は、600℃未満では未再結晶部が残り加工性が低下
する。一方、焼鈍温度がAc1変態点を超える場合、部
分的にオーステナイト化して冷却中に粗大なパーライト
を生成し、加工性が低下するとともに、焼入性も低下す
る。また、焼入れ時にセメンタイトが溶け残り衝撃特性
が低下する。よって、本発明において冷間圧延後の再結
晶焼鈍を行う場合は、焼鈍温度を600℃以上Ac1変
態点以下とする。
板は、熱延鋼板あるいは冷延鋼板のいずれでも良い。本
発明鋼板を製造する場合、素材鋼は、例えば転炉、電気
炉等により溶製される。鋼片の製造は造塊−分塊圧延
法、連続鋳造法、薄スラブ鋳造法、ストリップ鋳造法の
いずれでも構わない。
法、連続鋳造後短時間の加熱処理を施してあるいは前記
加熱工程を省略して直ちに圧延する方法のいずれでもよ
いが、優れた表面品質を付与するためには、一次スケー
ルのみならず熱間圧延時に生成する二次スケールについ
ても十分に除去するのが好ましい。なお、熱間圧延中に
おいては、バーヒーターにより加熱を行ってもよい。
r3点以上とすることが好ましい。また、組織の均一化
を目的として、仕上圧延後1秒以内に200℃/秒以上
の急速冷却を行ってもよい。巻取温度は材質安定性の観
点から500℃以上とするのが好ましく、一方、上限は
スケール生成増大による酸洗性の低下から700℃以下
が好ましい。
合、冷間圧延時の圧延率(冷圧率)は80%以下とする
のが好ましい。冷圧率が80%を超えるような高い冷圧
率の場合、圧延負荷が高くなりすぎるため生産性を低下
させる。このときの冷間圧延はタンデム圧延、リバース
圧延のいずれでも良い。
続焼鈍、箱焼鈍、または溶融亜鉛めっき処理に先行する
連続熱処理のいずれでもよい。
宜、表面処理(化成処理、溶融亜鉛めっき、合金化溶融
亜鉛めっき)が施されて使用されてもよい。
学成分組成を有する鋼を溶製し、次いで表2に示す製造
条件に従って熱間圧延−焼鈍を行い、2.4mmtの熱
延板を製造した。
張試験(JIS5号、C方向(圧延方向に垂直))、T
iNの平均粒径測定および高周波焼入れ特性を調査し
た。
Nを抽出し、透過電子顕微鏡により析出物を撮影し、サ
ンプル数:500個をマイクロアナライザーを用いて測
定した。
300mm)に対し高周波コイルを移動させながら加熱
・焼入れを実施した。図1に高周波焼入れの実施態様を
示す。この時の加熱温度は900℃の低温とし、加熱時
間は900℃までの通電時間を4秒とした。
て0.5秒と、焼入れ安定性を評価するために3秒の2
パターンを実施した。
(JIS5号、C方向(圧延方向に垂直))、シャルピ
ー衝撃試験、旧オーステナイト粒径測定を実施した。シ
ャルピー衝撃試験は、図2に示すような試験片形状に
て、試験温度:−50℃、n=3で行った。また、熱延
板の板厚を1.2mmtに研削加工し、後述の冷延板と
同一形状とした。なお、シャルピー衝撃試験値は、同一
条件で試験を実施したJSC980Yレベルの0.4k
gm以上を合格とした。
断面を研磨・腐食後、光学顕微鏡にてミクロ組織を撮影
し、マイクロアナライザーを用いて平均粒径を測定し
た。
N*、TiN平均粒径、旧オーステナイト粒径が本範囲
内であるNo.A、B、C、E、Gは、焼入れ後の特性
として980MPa以上の強度を有し、焼入れ後の冷却
開始時間にかかわらず安定してJSC980Y以上
(0.4kgm以上)のシャルピー衝撃吸収エネルギー
が得られ、優れた衝撃特性が得られていることが明らか
となった。
ol.Alが0.03%〜0.07%、Bが0.000
5%〜0.0020%であるNo.A、B、Cはシャル
ピー衝撃吸収エネルギーが0.5kgm以上であり、極
めて優れた衝撃特性が得られていることがわかった。
強度が低く、Cが本発明範囲外で高いNo.Iと、S
i、Pが本発明範囲外で高いNo.Jと、Mn、Sが本
発明範囲外で高いNo.Kは、シャルピー衝撃吸収エネ
ルギーが低く、衝撃特性が劣化している。
o.Lは、旧オーステナイト粒径が本発明範囲外で小さ
く、冷却開始時間が遅い場合、シャルピー衝撃吸収エネ
ルギーが低く、衝撃特性が劣化している。
0.8/14)N*が本発明範囲外であるNo.Mは、
冷却開始時間が遅い場合、フェライトが生成し衝撃特性
が劣化している。
径が本発明範囲外で小さく、かつ、B−(10.8/1
4)N*が本発明範囲外であるNo.Nは、TiNの量
が少なくオーステナイト粒成長の抑制がなされず、シャ
ルピー衝撃吸収エネルギーが低く衝撃特性が劣化してい
る。
平均粒径が本発明範囲外で大きいNo.Oは、旧オース
テナイト粒径が小さく、冷却開始時間が遅い場合、シャ
ルピー衝撃吸収エネルギーが低く衝撃特性が劣化してい
る。
は、焼入時にセメンタイトが溶け残り、シャルピー衝撃
吸収エネルギーが低く衝撃特性が劣化している。
は、部分的にパーライトが生成し、シャルピー衝撃吸収
エネルギーが低く衝撃特性が劣化している。
化学成分組成を有する鋼を溶製し、次いで表4に示す製
造条件に従って熱間圧延−冷間圧延−焼鈍を行い、1.
2mmtの冷延板を製造した。
実施例1と同様に、引張試験、TiNの平均粒径測定、
および高周波焼入れ特性を調査した。結果を表5に示
す。
分、B−(10.8/14)N*、TiN平均粒径、旧
オーステナイト粒径が本範囲内であるNo.a、c、
d、e、hは、焼入れ後の特性として980MPa以上
の強度を有し、焼入れ後の冷却開始時間にかかわらず安
定してJSC980Y以上(0.4kgm以上)のシャ
ルピー衝撃吸収エネルギーが得られ、優れた衝撃特性が
得られていることが明らかとなった。
ol.Alが0.03%〜0.07%、Bが0.000
5%〜0.0020%であるNo.a、c、dはシャル
ピー衝撃吸収エネルギーが0.5kgm以上であり、極
めて優れた衝撃特性が得られていることがわかった。
さいあるNo.bは旧オーステナイト粒径が小さく、冷
却開始時間が遅い場合、シャルピー衝撃吸収エネルギー
が低く衝撃特性が劣化している。
強度が低く、Cが本発明範囲外で高いNo.jと、S
i、Pが本発明範囲外で高いNo.kと、Mn、Sが本
発明範囲外で高いNo.l(Lの小文字)は、シャルピ
ー衝撃吸収エネルギーが低く、衝撃特性が劣化してい
る。
o.mは、旧オーステナイト粒径が本発明範囲外で小さ
く、冷却開始時間が遅い場合、シャルピー衝撃吸収エネ
ルギーが低く、衝撃特性が劣化している。
0.8/14)N*が本発明範囲外であるNo.nは、
冷却開始時間が遅い場合、フェライトが生成し衝撃特性
が劣化している。
径が本発明範囲外で小さく、かつ、B−(10.8/1
4)N*が本発明範囲外であるNo.oは、TiNの量
が少なくオーステナイト粒成長の抑制がなされず、シャ
ルピー衝撃吸収エネルギーが低く衝撃特性が劣化してい
る。
平均粒径が本発明範囲外で大きいNo.pは、旧オース
テナイト粒径が小さく、冷却開始時間が遅い場合、シャ
ルピー衝撃吸収エネルギーが低く衝撃特性が劣化してい
る。
は、焼入時にセメンタイトが溶け残り、シャルピー衝撃
吸収エネルギーが低く衝撃特性が劣化している。
いNo.gは、部分的にパーライトが生成し、シャルピ
ー衝撃吸収エネルギーが低く衝撃特性が劣化している。
温短時間での焼入れ性に優れ、焼入れ条件による変動が
小さい焼入れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板を得ることが
できる。 さらに、上記薄鋼板が安定して低コストで得
られるため、高強度部材として工業的に有用な効果をも
たらし、例えば、自動車構造部品として最適である。
施態様を示す図。
始時間とB−(10.8/14)N*の影響を示す図。
Claims (6)
- 【請求項1】 鋼成分としてmass%で、C:0.1
0〜0.37%、Si:1%以下、Mn:2.5%以
下、P:0.1%以下、S:0.03%以下、sol.
Al:0.01〜0.1%、N:0.0005〜0.0
050%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.0
003〜0.0050%を含有し、 B−(10.8/14)N*≧0.0005% N*=N−(14/48)Ti、但し、右辺≦0の場
合、N*=0 を満足し、鋼中析出物であるTiNの平均粒径が0.0
6〜0.30μmであり、かつ焼入れ後の旧オーステナ
イト粒径が2〜25μmであることを特徴とする焼入れ
後の衝撃特性に優れる薄鋼板。 - 【請求項2】 鋼成分としてさらに、mass%で、N
i、Cr、Moの1種以上を、合計で1%以下含有する
ことを特徴とする請求項1記載の焼入れ後の衝撃特性に
優れる薄鋼板。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の鋼成分を有
する鋼を、巻取温度720℃以下で熱間圧延することに
より、請求項1又は請求項2記載の薄鋼板を得ることを
特徴とする焼入れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板の製造方
法。 - 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の鋼成分を有
する鋼を、巻取温度720℃以下で熱間圧延し、酸洗し
た後、640℃以上Ac1変態点以下で球状化焼鈍する
ことにより、請求項1又は請求項2記載の薄鋼板を得る
ことを特徴とする焼入れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板の
製造方法。 - 【請求項5】 請求項1又は請求項2記載の鋼成分を有
する鋼を、巻取温度720℃以下で熱間圧延し、酸洗し
た後、冷圧率30%以上で冷間圧延し、その後、640
℃以上Ac1変態点以下で焼鈍することにより、請求項
1又は請求項2記載の薄鋼板を得ることを特徴とする焼
入れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1又は請求項2記載の鋼成分を有
する鋼を、巻取温度720℃以下で熱間圧延し、酸洗し
た後、640℃以上Ac1変態点以下で球状化焼鈍し
て、冷圧率30%以上で冷間圧延し、その後、600℃
以上Ac1変態点以下で焼鈍することにより、請求項1
又は請求項2記載の薄鋼板を得ることを特徴とする焼入
れ後の衝撃特性に優れる薄鋼板の製造方法。
Priority Applications (7)
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