JP2002309178A - 剥離しにくい表面処理剤 - Google Patents

剥離しにくい表面処理剤

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JP2002309178A
JP2002309178A JP2001109316A JP2001109316A JP2002309178A JP 2002309178 A JP2002309178 A JP 2002309178A JP 2001109316 A JP2001109316 A JP 2001109316A JP 2001109316 A JP2001109316 A JP 2001109316A JP 2002309178 A JP2002309178 A JP 2002309178A
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JP2001109316A
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Toshiaki Matsunaga
俊明 松永
Tadayoshi Ukamura
忠慶 宇賀村
Akira Hattori
晃 服部
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材表面に施工して形成された表面処理膜が
打設時等に剥離することが抑制され、しかも、表面処理
膜が剥離した場合でも剥離面積を最小限に抑えることが
できる、水硬性混和物接着抑制剤、摩擦低減剤又は土付
着防止剤として用いる表面処理剤を提供する。 【解決手段】 吸水性樹脂(a)及びバインダー樹脂
(b)を必須成分とする表面処理剤であって、基材表面
に施工して表面処理膜を形成することにより、基材表面
と水硬性混和物との間の接着を抑制する水硬性混和物接
着抑制剤、基材表面と地盤(土)との間の摩擦を低減す
る摩擦低減剤又は基材表面と地盤(土)との間の付着を
抑制する土付着防止剤として用いてなり、該表面処理膜
の該基材表面への密着力(X)と該表面処理膜の破断強
度(Y)との比率(X/Y)は、0.5以上である表面
処理剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面処理剤に関す
る。更に詳しくは、水硬性混和物接着抑制剤、摩擦低減
剤又は土付着防止剤として用いる表面処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】建築分野や土木分野の基礎工事等におい
ては、工事を行うために設備や経費、日数等がかかるこ
とから、これらを抑制して効率よく行うことや、地盤中
に埋設された基礎構造物が破損すると、その修復等に多
大な労力を費やすことから、このような不具合の発生を
抑制することが切望されていた。これらを改善すること
ができれば、基礎工事等にかかる費用を抑え、かつ迅速
に工事を完了することが可能となる。
【0003】このような基礎工事等においては、例え
ば、H型鋼等の埋設物と水硬性混和物とで少なくとも構
成される土留め擁壁等の地盤基礎構造物等の施工を伴う
工事では、地盤基礎構造物等の基材表面が水硬性混和物
と接着することにより、工事の効率が低下するという問
題があった。地盤基礎構造物では、H型鋼等の埋設物が
コンクリート水和物等に埋め込まれた状態となるが、H
型鋼は工事終了後に他の地下工事等をする場合の妨げと
ならないように、また、再利用するためにコンクリート
水和物から引き抜かれることになる。このときにH型鋼
とコンクリート水和物とが強固に接着しているため、H
型鋼の引き抜き作業により工事の効率が低下することに
なる。
【0004】また、タンク類、貯水槽、ヒューム管、鋼
管、鋼管杭等を地中に埋設するための潜函工法、推進工
法等の工事では、土圧や土との摩擦により基礎構造物を
土中に沈下させたり押し進めたりすることが困難である
等の各種の問題があった。これら各種の工事により地下
に埋設された基礎構造物では、基礎構造物表面と周辺地
盤との間の摩擦(ネガティブフリクション)により破損
する等の問題もあった。
【0005】更に、土止め擁壁を利用した地下掘削、基
礎構造物埋設工法等でよく利用される鋼矢板等の仮設鋼
材等を用いる工事では、工事終了後の引抜き回収作業に
おいて土が付着してくることから、回収後、平行に積み
上げることができないので、回収後の仮置きが困難であ
るという問題や、仮設鋼材は回収後の再使用が前提であ
るので、工事業者から仮設鋼材のリース業者へ返却する
際に仮設鋼材の洗浄費用を払わなければならないという
問題等があった。
【0006】このような問題について、種々検討されて
いる。例えば、セメントから杭を引き抜きやすくする技
術として、特公平5−19612号公報には、吸水ポリ
マーと再湿性バインダーを混練して乾燥固化させた再湿
性潤滑層に関し、再湿性バインダーとしてポリビニール
アルコール(PVA)系糊等を用いることが開示されて
いる。また、ベントナイトモルタルや地盤と鋼材との摩
擦力を低減する技術として、特開昭63−165615
号公報には、揮発性膜形成樹脂と高吸水性樹脂を塗布し
て膜を形成することに関し、揮発性膜形成樹脂として天
然ゴムや合成ゴム、プラスチックを水に懸濁させたラテ
ックスを用いることが開示されている。更に、地盤と杭
等の基礎構造物との摩擦力を低減する技術として、特開
昭58−191816号公報には、実施例において吸水
膨潤性樹脂とポリビニルアルコール等の樹脂溶液又はポ
リプロピレングリコール等の非水系の液体に混合した分
散液が開示され、特開昭63−27619号公報には、
実施例においてポリビニルブチラールとゼラチン又は寒
天の微粉末が混入され、アルコールを溶剤とした水膨潤
性塗料が開示されている。
【0007】これらの技術では、基材表面に吸水性樹脂
が付着されることになるが、例えば、セメント硬化前に
吸水性樹脂が膨潤して基材表面からセメントを押し退
け、セメントが硬化すると共に水が徐々になくなるた
め、膨潤した吸水性樹脂が収縮し、硬化したセメントと
基材表面との間に隙間が形成されることによりセメント
との密着を抑制することを目的としている。また、基材
が地盤に埋め込まれるときや埋め込まれた後に吸水性樹
脂が膨潤、剥離することにより地盤との摩擦を低減する
ことを目的としている。
【0008】しかしながら、吸水性樹脂が適切に膨潤し
なかったり、基材の打設時に吸水性樹脂が基材表面から
剥がれてしまったり、一部が剥がれるときにその周辺も
剥がれてしまったりするという問題があった。基礎工事
では多くの場合に基材の打設を行うことになるため、こ
れらの用途で充分に効果を発揮することができるものを
研究する余地があった。また、従来では、基材表面と地
盤(土)との間の付着を抑制することができる有効な技
術がなかった。
【0009】ところで、特開平11−241339号公
報には、水膨潤性樹脂と、酸価が15mgKOH/g以
上であるアルカリ水可溶性樹脂とを含む表面処理剤が開
示されている。この表面処理剤を用いると、基材表面と
水硬性混和物との間の接着を抑制して基礎工事等を効率
化することが可能となるが、基材の打設時に表面処理剤
から形成された塗膜が基材表面から剥離しにくいものと
し、塗膜が剥離したとしても剥離面積がより小さくなる
ようにしたり、各種の工法や工事の条件等に対応しうる
ようにしたりして、適用用途をより広げるために工夫す
る余地があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、基材表面に施工して形成された表面処理膜が打設
時等に剥離することが抑制され、しかも、表面処理膜が
剥離した場合でも剥離面積を最小限に抑えることができ
る、水硬性混和物接着抑制剤、摩擦低減剤又は土付着防
止剤として用いる剥離しにくい表面処理剤を提供するこ
とを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、基材表面
に施工することにより、水硬性混和物接着抑制剤、摩擦
低減剤又は土付着防止剤として用いることができる表面
処理剤について検討するうち、吸水性樹脂(a)とバイ
ンダー樹脂(b)とを組み合わせたり、これら両方の性
質を併せもつ吸水性バインダー樹脂(c)を用いたりす
ると、これらの用途に適切に使用することができること
にまず着目した。また、基材表面に表面処理剤を施工す
ることにより形成された表面処理膜の密着力(X)と破
断強度(Y)の比率(X/Y)を特定すると、地盤への
打設時等に、表面処理膜が基材表面から剥離しにくいだ
けでなく、もし、密着力より大きな力を受けて表面処理
膜の一部が剥離した場合でも、基材表面への密着力に比
べて表面処理膜の強度が弱いことに起因して、力が加わ
った一部のみが剥離して、その周辺にある表面処理膜が
剥離しにくくなることから、剥離面積を最小限に抑える
ことができることを見いだし、上記課題をみごとに解決
することができることに想到し、本発明に到達したもの
である。
【0012】すなわち本発明は、吸水性樹脂(a)及び
バインダー樹脂(b)を必須成分とする表面処理剤であ
って、基材表面に施工して表面処理膜を形成することに
より、基材表面と水硬性混和物との間の接着を抑制する
水硬性混和物接着抑制剤として用いてなり、該表面処理
膜の該基材表面への密着力(X)と該表面処理膜の破断
強度(Y)との比率(X/Y)は、0.5以上である表
面処理剤である。
【0013】本発明はまた、吸水性樹脂(a)及びバイ
ンダー樹脂(b)を必須成分とする表面処理剤であっ
て、基材表面に施工して表面処理膜を形成することによ
り、基材表面と地盤(土)との間の摩擦を低減する摩擦
低減剤として用いてなり、該表面処理膜の該基材表面へ
の密着力(X)と該表面処理膜の破断強度(Y)との比
率(X/Y)は、0.5以上である表面処理剤でもあ
る。
【0014】本発明はまた、吸水性樹脂(a)及びバイ
ンダー樹脂(b)を必須成分とする表面処理剤であっ
て、基材表面に施工して表面処理膜を形成することによ
り、基材表面と地盤(土)との間の付着を抑制する土付
着防止剤として用いてなり、該表面処理膜の該基材表面
への密着力(X)と該表面処理膜の破断強度(Y)との
比率(X/Y)は、0.5以上である表面処理剤でもあ
る。すなわち具体的には基材表面への地盤(土)の付着を
抑制するための土付着防止剤として用いる表面処理剤で
ある。
【0015】本発明はまた、吸水性バインダー樹脂
(c)を必須成分とする表面処理剤であって、基材表面
に施工して表面処理膜を形成することにより、基材表面
と水硬性混和物との間の接着を抑制する水硬性混和物接
着抑制剤として用いてなり、該表面処理膜の該基材表面
への密着力(X)と該表面処理膜の破断強度(Y)との
比率(X/Y)は、0.5以上である表面処理剤でもあ
る。
【0016】本発明はまた、吸水性バインダー樹脂
(c)を必須成分とする表面処理剤であって、基材表面
に施工して表面処理膜を形成することにより、基材表面
と地盤(土)との間の摩擦を低減する摩擦低減剤として
用いてなり、該表面処理膜の該基材表面への密着力
(X)と該表面処理膜の破断強度(Y)との比率(X/
Y)は、0.5以上である表面処理剤でもある。
【0017】本発明はそして、吸水性バインダー樹脂
(c)を必須成分とする表面処理剤であって、基材表面
に施工して表面処理膜を形成することにより、基材表面
と地盤(土)との間の付着を抑制する土付着防止剤とし
て用いてなり、該表面処理膜の該基材表面への密着力
(X)と該表面処理膜の破断強度(Y)との比率(X/
Y)は、0.5以上である表面処理剤でもある。すなわ
ち具体的には基材表面への地盤(土)の付着を抑制するた
めの土付着防止剤として用いる表面処理剤である。以下
に本発明を詳述する。
【0018】本発明の表面処理剤は、基材表面に施工さ
れて表面処理膜(塗膜)を形成することにより、下記
(1)〜(5)の作用効果を発揮することになる。すな
わち(1)吸水性樹脂(a)又は吸水性バインダー樹脂
(c)が吸水性樹脂として機能することにより、水硬性
混和物接着抑制剤として用いる場合には、水硬性混和物
中の水(アルカリ水)を吸水することにより膨潤し、水
硬性混和物が水和するに従って膨潤した吸水性樹脂
(a)又は吸水性バインダー樹脂(c)が乾燥収縮し、
基材表面と水硬性混和物との間に隙間を形成することが
できることから、基材表面と、水硬性混和物やその水和
物(硬化物)との間の接着を抑制することが可能とな
る。また、摩擦低減剤や土付着防止剤として用いる場合
には、基材の地盤埋設時には基材表面と表面処理膜が密
着しており、打設時に剥がれることが抑制され、基材の
地盤放置時に地盤(土)中の水分を吸水膨潤して潤滑ゲ
ル層が形成され、基材の引き抜き時や地盤移動時に潤滑
ゲル層が潤滑剤として機能しながら、基材表面から剥が
れて土と共に地盤中に残ることから、基材表面と地盤
(土)との間の摩擦力が低減し、土の付着を抑制するこ
とが可能となる。
【0019】(2)バインダー樹脂(b)により吸水性
樹脂(a)が基材表面に密着されるか、又は、吸水性バ
インダー樹脂(c)が吸水機能と共にバインダー機能も
有して基材表面に密着されることになるが、このような
バインダー樹脂(b)又は吸水性バインダー樹脂(c)
として、基材表面に施工されて乾燥しているときには基
材表面への密着力が大きく、また、湿潤しているときに
は密着力が低下するものを使用することにより、例え
ば、基材を地盤中に埋設するとき等、乾燥時には表面処
理膜が剥離することが抑制されることになり、また、湿
潤時には潤滑ゲル層を形成し、該潤滑ゲル層の密着力が
低下して剥がれ易くなることから、地盤(土)との摩擦
や付着を防止して、上記(1)の作用効果を充分に発揮
させることが可能となる。
【0020】(3)表面処理膜の密着力(X)と破断強
度(Y)の比率(X/Y)が0.5以上となり、表面処
理膜の基材表面への密着力は大きいが、強度は大きくな
いように設定されていることから、大きな引っかき力に
より表面処理膜が剥離してしまうことを最小限に抑える
ことができる。
【0021】(4)溶剤を使用すると、塗布するときに
吸水性樹脂(a)又は吸水性バインダー樹脂(c)が吸
水膨潤することがないことから、均一に塗布することが
可能となり、粘度が低くスプレー塗布等も可能で塗布作
業が容易となる。 (5)上塗りとして耐水性付与剤層を活用することによ
り、基材を打設するときの表面処理膜の密着性維持(剥
離防止)と、吸水性樹脂(a)又は吸水性バインダー樹
脂(c)が水硬性混和物中のアルカリ水や地盤(土)中
の水分により吸水膨潤することをより充分に両立するこ
とができる。
【0022】本発明では、表面処理剤が基材表面に施工
されて表面処理膜を形成し、該表面処理膜の基材表面へ
の密着力(X)と該表面処理膜の破断強度(Y)との比
率(X/Y)が、0.5以上である。これについて先ず
説明する。一般に、各種の工事において使用する基材の
表面には大きな摩擦力を受ける場合がある。例えば、埋
設物と水硬性混和物とで少なくとも構成される地盤基礎
構造物等の施工するときには、埋設物の基材表面と水硬
性混和物との間で摩擦が生じることになり、また、基礎
構造物を各種の工事により地下に埋設するときや埋設し
た後には、基礎構造物の基材表面と地盤との間で摩擦が
生じることになり、更に、仮設鋼材等を地盤に埋設する
ときにも、仮設鋼材等の基材表面と地盤との間で摩擦が
生じることになる。これらの場合の摩擦力は、一定のも
のではなく、基材表面の部分によっては局所的に大きな
摩擦力を受けることになるため、基材表面に表面処理剤
により表面処理膜が形成されている場合、通常では、摩
擦力が大きな部分に形成されている表面処理膜が基材表
面から剥離する場合が生じることになる。また、基材表
面の一部分が大きな摩擦力を受けると、その部分が剥離
すると共に、その周辺の部分も剥離してしまうことか
ら、基材表面から大きな面積で表面処理膜が剥離してし
まうことになり、このような場合には表面処理剤による
作用が充分に発揮されないことになる。
【0023】本発明では、上記比率(X/Y)が、0.
5以上であることに起因して、表面処理剤により形成
される表面処理膜の基材表面に対する密着力が大きく、
特に乾燥時に大きくなり、また、一部の表面処理膜が剥
離した際に、その周りが追随して剥離しないように表
面処理膜の破断強度が弱くなる。従って、基材表面に大
きな摩擦力を受けたとしても、表面処理膜が剥離しにく
いだけでなく、もし、表面処理膜の一部が剥離した場合
でも、大きな摩擦力を受けた一部のみが剥離して、その
周辺にある表面処理膜が剥離しにくいことから、剥離面
積を最小限に抑えることができる。このような作用効果
をより発揮するためには、上記比率(X/Y)が、0.
7以上であることが好ましく、1.0以上であることが
最も好ましい。また、上記密着力(X)の大きさとして
は、例えば、100N/cm2以上であることが好まし
い。より好ましくは、300N/cm2である。
【0024】上記(X)/(Y)が、0.5未満である
と、表面処理剤により形成された表面処理膜の基材表面
への密着力(X)と比較して該表面処理膜の破断強度
(Y)が大きくなり、この場合には、一旦、表面処理膜
の剥離が生じたときに、その剥離が周辺の表面処理膜に
伝播し、大きな面積の剥離が生じることになり、表面処
理膜の性能が充分に発揮されないことになる。
【0025】本発明では、上記密着力(X)及び上記破
断強度(Y)の測定方法として、下記に示す方法を好適
に適用することができる。密着力(X)の測定方法 (1)50mm×50mmの基材に表面処理剤を施工す
る。例えば、表面処理剤の形態が塗料である場合には、
所望の膜厚になるように基材表面に塗布し、乾燥させ
る。また、表面処理剤の形態がフィルム(粘着剤付き)
である場合には、基材表面に貼付、養生しておく。 (2)次に、図6に示すような鋼材製の治具を、接着剤
〔例えば、エポキシ系接着剤として、アラルダイト(商
品名、チバガイギー社製)等〕を用いて、基材下面(表
面処理剤を施工していない面)と基材上面(表面処理剤
を施工した面、すなわち表面処理剤により形成された表
面処理膜上)に1個ずつ、計2個接着し、接着剤に指定
された硬化時間の間、養生して硬化させる。 (3)市販の引っ張り試験機を用いて、基材表面と表面
処理剤により形成された表面処理膜との間の密着強度
(剥離力)を25℃、引っ張り速度が10mm/分の条
件にて測定する。 (4)n数すなわち測定回数は、3〜5個とし、基材表
面と表面処理剤により形成された表面処理膜との間以外
で剥離したサンプルのデータは除いて、全データの平均
値を密着強度(X)とする。
【0026】破断強度(Y)の測定方法 表面処理剤により形成された表面処理膜の破断強度
(Y)は、基本的には、JIS K6301に準拠し
て、表面処理膜を3号型ダンベルに打ち抜き、市販の引
っ張り試験機を用いて、25℃、引っ張り速度が50m
m/分の条件にて測定する。n数は、3〜5個とし、全
データ(破断強度)の平均値を破断強度(Y)とする。
【0027】次に、本発明の表面処理剤における必須成
分について説明する。本発明の表面処理剤は、吸水性樹
脂(a)及びバインダー樹脂(b)、又は、吸水性バイ
ンダー樹脂(c)を必須成分として含むことになる。
【0028】本発明の表面処理剤を構成することができ
る吸水性樹脂(a)としては、水を吸水することによって
膨潤し、かつ自重に対するイオン交換水の吸水倍率が3
倍以上の樹脂であれば特に限定されるものではない。
【0029】上記吸水性樹脂(a)としては、例えば、
ポリ(メタ)アクリル酸架橋体、ポリ(メタ)アクリル
酸塩架橋体、スルホン酸基を有するポリ(メタ)アクリ
ル酸エステル架橋体、ポリオキシアルキレン基を有する
ポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリ(メタ)
アクリルアミド架橋体、(メタ)アクリル酸塩と(メ
タ)アクリルアミドとの共重合架橋体、(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸塩との共
重合架橋体、ポリジオキソラン架橋体、架橋ポリエチレ
ンオキシド、架橋ポリビニルピロリドン、スルホン化ポ
リスチレン架橋体、架橋ポリビニルピリジン、デンプン
−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体のケ
ン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸(塩)グラ
フト架橋共重合体、ポリビニルアルコールと無水マレイ
ン酸(塩)との反応生成物、架橋ポリビニルアルコール
スルホン酸塩、ポリビニルアルコール−アクリル酸グラ
フト共重合体、ポリイソブチレンマレイン酸(塩)架橋
重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。
【0030】上記吸水性樹脂(a)の好ましい形態とし
ては、ノニオン性基及び/又はスルホン酸(塩)基を有
する吸水性樹脂が挙げられ、より好ましくは、アミド基
又はヒドロキシアルキル基を有する吸水性樹脂が挙げら
れ、例えば、(メタ)アクリル酸塩と(メタ)アクリル
アミドとの共重合架橋体、(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シアルキルと(メタ)アクリル酸塩との共重合架橋体等
を例示することができる。また、特に好ましい形態とし
ては、ポリオキシアルキレン基を有する吸水性樹脂が挙
げられ、例えば、メトキシポリオキシアルキレン基を有
する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸
塩との共重合架橋体等を例示することができる。これら
の形態では、アルカリ水に対する吸水性が向上すること
になるが、メトキシポリオキシアルキレン基を有する吸
水性樹脂が特に優れている。
【0031】上記吸水性樹脂(a)としてはまた、水溶
性を有するエチレン性不飽和単量体と、必要に応じて架
橋剤を含む単量体成分を重合することによって得られる
樹脂を用いることができる。この場合、吸水性樹脂
(a)が水に対する吸水性に優れ、かつ一般的に安価と
なることから好ましい。このような吸水性樹脂を形成す
るエチレン性不飽和単量体と、必要に応じて用いられる
架橋剤とは特に限定されるものではないが、エチレン性
不飽和単量体としては、下記に例示する単量体の1種又
は2種以上が挙げられる。
【0032】(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイ
ン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、ビニルス
ルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−(メタ)ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−
(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)
アクリロイルプロパンスルホン酸、及び、これら単量体
のアルカリ金属塩やアンモニウム塩;N,N−ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、及び、その四級化
物;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N
−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アク
リロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類、及
び、これら単量体の誘導体;2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
ト;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ
(メタ)アクリレート;N−ビニル−2−ピロリドン、
N−ビニルスクシンイミド等のN−ビニル単量体;N−
ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムア
ミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチ
ルアセトアミド等のN−ビニルアミド単量体;ビニルメ
チルエーテル等。
【0033】上記エチレン性不飽和単量体の好ましい形
態としては、ノニオン性基及び/又はスルホン酸(塩)
基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられ、例え
ば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン
酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、
(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)
アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート等を例示することができる。ま
た、特に好ましい形態としては、ポリオキシアルキレン
基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。これ
らの形態のエチレン性不飽和単量体を用いると、吸水性
樹脂(a)のアルカリ水に対する吸水性が向上すること
になるが、メトキシポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレートを用いることが特に好ましい。
【0034】上記吸水性樹脂(a)を形成する単量体成
分としてエチレン性不飽和単量体を2種以上併用する場
合においては、吸水性樹脂(a)を形成する全単量体成
分100重量%に対して、ノニオン性基及び/又はスル
ホン酸(塩)基を有するエチレン性不飽和単量体の割合
を1重量%以上とすることが好ましい。1重量%未満で
あると、ノニオン性基及び/又はスルホン酸(塩)基を
有するエチレン性不飽和単量体により形成されることに
よる吸水性の効果が低くなるおそれがある。より好まし
くは、10重量%以上である。
【0035】上記エチレン性不飽和単量体を2種以上併
用する場合の組み合わせとしては特に限定されず、例え
ば、アクリル酸ナトリウム等の(メタ)アクリル酸アル
カリ金属塩とアクリルアミドとの組み合わせ、(メタ)
アクリル酸アルカリ金属塩とメトキシポリエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレートとの組み合わせ等が好
適である。
【0036】上記吸水性樹脂(a)を製造する際の重合
方法や、重合に使用する開始剤等の添加剤としては特に
限定されるものではなく、通常用いられている方法によ
り行うことができる。このように得られる吸水性樹脂
(a)の重量平均分子量や形状、平均粒子径等は、表面
処理剤の組成やアルカリ水のpH、作業環境等に応じて
適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例
えば、平均粒子径としては、30〜800μmであるこ
とが好ましい。800μmを超えると、バインダー樹脂
(b)の溶剤溶液に吸水性樹脂(a)を混合したときに
吸水性樹脂(a)の粒子が大き過ぎることによって粒子
が沈み易くなるおそれがあり、30μm未満であると、
吸水性樹脂(a)の粒子が小さ過ぎることによって微粉
として飛び散り易くなり、取扱いが困難となるおそれが
ある。より好ましくは、30〜600μmであり、更に
好ましくは、30〜400μmである。
【0037】本発明の表面処理剤を構成することができ
るバインダー樹脂(b)について説明する。本発明に利
用されるバインダー樹脂(b)は、バインダーとして、
吸水性樹脂(a)を基材に定着させる機能を有し、かつ
吸水性樹脂(a)等と混合され作製された表面処理膜の
基材表面への密着力(X)と表面処理膜の破断強度
(Y)との比率(X/Y)を0.5以上とするものであ
れば、他には特に限定されないが、例えば、親水性バイ
ンダー樹脂や非親水性バインダー樹脂等が挙げられ、親
水性バインダー樹脂としては、α、β−不飽和カルボン
酸系モノマーを共重合した(メタ)アクリル酸エステル
共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニルの
部分加水分解物、エチレン−ポリビニルアルコール共重
合体等が挙げられ、非親水性バインダー樹脂としては、
(メタ)アクリル酸エステル共重合体;スチレン−ブタ
ジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレ
ン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体
(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチ
レンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソプ
レン−スチレンブロック共重合体(SIS)等の熱可塑
性エラストマー等が挙げられ、これらの1種又は2種以
上の混合物を用いることができる。
【0038】バインダー樹脂(b)としては、本発明の
表面処理膜の基材表面への密着力(X)と表面処理膜の
破断強度(Y)の比率(X/Y)が0.5以上となるた
めには、まず、バインダー樹脂(b)のガラス転移温度
(Tg)は、−50〜80℃であることが好ましく、−2
0〜70℃であることが更に好ましく、0〜70℃であ
ることが最も好ましい。これは、あまりTgが低すぎる
(−50℃以下)と基材への密着力及びバインダーとし
ての機能が低くなり好ましくなく、Tgが高すぎるとや
はり基材への密着力が低下するため好ましくない。
【0039】次にバインダー樹脂(b)の酸価は30m
gKOH/g以上、300mgKOH/g以下が好まし
く、50mgKOH/g以上、200mgKOH/g以
下がより好ましい。酸価が低すぎると、基材との密着力
が低下し好ましくなく、また酸価が高すぎるとバインダ
ー樹脂が硬くなり、バインダー機能が低下したり、密着
力が低下するため好ましくない。
【0040】また、バインダー樹脂(b)の重量平均分
子量は、30000〜300000が好ましく、500
00〜150000がより好ましい。重量平均分子量が
小さくなりすぎると、バインダー機能が低下し好ましく
なく、大きくなりすぎると表面処理膜の破断強度が大き
くなりすぎ、剥離面積が大きくなりやすくなるので、好
ましくない。
【0041】これらの中では、本発明のバインダー樹脂
(b)としては、基材への密着力が高く、自身の塗膜強
度があまり強くない点から、アルカリ水可溶性樹脂
(d)が好ましい。アルカリ水可溶性樹脂(d)のアル
カリ水への溶解性であるが、本発明の特徴を阻害しない
限り、特に限定されることはない。例えば、0.4重量
%濃度のNaOH水溶液に溶解し、中性や酸性の水には
溶解しない樹脂であることが好ましい。このようなアル
カリ水可溶性樹脂(d)としては、上記の溶解性を有す
るものであれば特に限定はなく、例えば、α,β−不飽
和カルボン酸単量体と、それと共重合できる他の単量体
との共重合体等が挙げられる。
【0042】上記アルカリ水可溶性樹脂(d)のアルカ
リ水への溶解性は、例えば、以下のような溶解性テスト
におけるアルカリ水可溶性樹脂の重量減少率で評価する
こともできる。すなわち本発明で好ましく用いることが
できるアルカリ水可溶性樹脂(d)のアルカリ水への溶
解性は、例えば、アルカリ水可溶性樹脂の5mm以下の
形をした成形体(例えば、二軸押出機を用いて得ること
ができるような直径3mm、長さ3mmの円筒状のペレ
ット形状、ペレット化されていなくても、5mm以下の
大きさになるようにカットされた成形体等であればよ
い)10gを0.4重量%濃度のNaOHの水溶液50
0gに投入し、25℃にて、24時間攪拌を行った後の
アルカリ水可溶性樹脂の成形体におけるアルカリ水へ溶
解した重量の減少率で求めることができる。
【0043】上記アルカリ水への溶解性テストにおいて
は、24時間攪拌後に溶解せずに残った樹脂分があれ
ば、ろ別等を行い、水で洗浄し、乾燥後の重量を求め
る。そして、溶解性テストにかける前に元のアルカリ水
可溶性樹脂の重量からの減少率で求めることができる。
つまり、(元の重量−溶解性テスト後の重量)/(元の
重量)の比の%表示で求めることができる。
【0044】上記アルカリ水可溶性樹脂(d)として
は、上記アルカリ水への溶解性テストの値が、50〜1
00重量%であることが好ましい。より好ましくは、6
0〜100重量%である。更に好ましくは、70〜10
0重量%である。
【0045】本発明の表面処理剤を構成することができ
る吸水性バインダー樹脂(c)について説明する。本発
明における吸水性バインダー樹脂(c)としては、基材
表面に対するバインダー機能とアルカリ水や水に対する
吸水膨潤性を有し、かつ表面処理膜の基材表面への密着
力(X)と表面処理膜の破断強度(Y)との比率(X/
Y)を0.5以下とするものであれば、他には特に限定
されないが、例えば、イソシアネート基末端ウレタンプ
レポリマーを用いることが好ましい。これにより、イソ
シアネート基末端ウレタンプレポリマーが、湿気硬化し
て架橋することに起因して基材表面と強固に密着するこ
とになり、例えば、基材を地盤中に埋設するとき等、乾
燥時には表面処理膜が剥離することが抑制されることに
なる。また、湿潤時には潤滑ゲル層を形成し、該潤滑ゲ
ル層の密着力が低下して剥がれ易くなることから、地盤
(土)との摩擦や付着を防止して、本発明の表面処理剤
としての作用効果を充分に発揮させることが可能とな
る。
【0046】上記イソシアネート基末端ウレタンプレポ
リマーとしては、例えば、ポリエーテルポリオール及び
/又はポリエステルポリオールと有機ポリイソシアネー
トとを必須として反応させてなるポリマー等を用いるこ
とができる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。本発明では、上記イソシアネ
ート基末端ウレタンプレポリマーが水を吸水することに
よって膨潤することになるが、例えば、自重に対するイ
オン交換水の吸水倍率(吸水膨潤率)が3倍以上のポリ
マーであることが好ましい。
【0047】上記ポリエーテルポリオールとしては特に
限定されず、例えば、低分子ポリオール、多価フェノー
ル類及びアミン類からなる群より選択される少なくとも
一種に、アルキレンオキシドの1種又は2種以上が付加
したアルキレンオキシド付加物や、アルキレンオキシド
の開環重合物等が挙げられる。このようなポリエーテル
ポリオールの付加形態としては、例えば、ブロック状、
ランダム状等、特に限定されるものではない。
【0048】上記低分子ポリオールとしては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4一
ブタンジオール、ジエチレングリコール、シクロへキシ
レングリコール等の2官能ポリオール;グリセリン、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビ
トール、シュークローズ等の3官能以上のポリオール等
が挙げられ、上記多価フェノール類としては、例えば、
ビスフェノールA等が挙げられ、上記アミン類として
は、例えば、トリエタノールアミン、N−メチルジエタ
ノールアミン等のアルカノールアミン;エチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;トリ
レンジアミン、ジフエニルメタンジアミン等の芳香族ジ
アミン等が挙げられる。
【0049】上記アルキレンオキシドとしては、例え
ば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレン
オキシド等の炭素数2〜4のアルキレンオキシド等が挙
げられる。また、上記アルキレンオキシドの開環重合物
としては、例えば、テトラヒドロフランの開環重合、加
水分解により生成するポリテトラメチレンエーテルグリ
コールが挙げられる。
【0050】上記ポリエーテルポリオールの平均水酸基
当量としては特に限定されず、例えば、800〜400
0であることが好ましい。800未満であると、膨張率
が充分とはならないおそれがあり、4000を超える
と、吸水膨潤時の形状保持性等が低下するおそれがあ
る。より好ましくは、1000〜3000である。
【0051】上記ポリエーテルポリオールの中でも、好
ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール
やグリセリン等の2〜3価アルコールのエチレンオキシ
ド付加物(ポリオキシエチレンポリオール)、及び/又
は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの付加物
〔オキシエチレン/オキシプロピレン共重合系ポリエー
テルポリオール(共重合ポリエーテルポリオール)〕が
挙げられる。より好ましくは、共重合ポリエーテルポリ
オールである。なお、これら以外に、他のポリエーテル
ポリオール、例えば、ポリオキシプロピレンポリオール
等を併用することもできる。
【0052】上記ポリエーテルポリオールは、オキシエ
チレン基が30重量%以上であることが好ましい。すな
わちポリエーテルポリオールを形成する全アルキレンオ
キシドの合計重量100重量%に対して、エチレンオキ
シドの重量が30重量%以上であることが好ましい。こ
れにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー
の吸水膨潤率が大きくなり、本発明の作用効果をより充
分に発揮することが可能となる。
【0053】上記ポリエステルポリオールは、二塩基酸
とジオール類若しくは、二塩基酸無水物とオキシアルキ
レン化合物から製造される公知のポリエステルポリオー
ルであれば、特に限定されないが、例えば、二塩基酸と
しては、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族二塩基酸、フ
タル酸、テレフタル酸等の芳香族二塩基酸等、ジオール
類としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、これらの二
塩基酸とジオール類を組み合わせて反応させる(OH基
過剰条件で、末端OH基とする)ことにより得られる。
反応後のウレタンが吸水性を有するためには、ポリエス
テルポリオールも親水性が高い方が好ましく、二塩基酸
としては、芳香族二塩基酸よりは、脂肪族二塩基酸、そ
れもアジピン酸等炭素数が少ないものが好ましく、ジオ
ールとしては、エチレングリコール等が好ましい。
【0054】上記有機ポリイソシアネートとしては特に
限定されず、例えば、脂肪族系ポリイソシアネートや芳
香族系ポリイソシアネート等が挙げられる。上記脂肪族
系ポリイソシアネートとは、すべてのイソシアネート基
が非芳香族性炭化水素原子に結合しているポリイソシア
ネートであり、例えば、炭素数(イソシアネート基中の
炭素を除く)2〜12の脂肪族ポリイソシアネート、炭
素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜
12の芳香脂肪族(芳香核を有する脂肪族)ポリイソシ
アネート及びこれらのポリイソシアネートの変性物等が
挙げられる。変性物としては、例えば、カーボジイミド
基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ウレア基、ビュ
ーレット基及び/又はイソシアヌレート基を有する変性
物等が挙げられる。
【0055】上記脂肪族系ポリイソシアネートの具体的
な化学名としては、例えば、エチレンジイソシアネー
ト、テトラメチレンジイソシアネート、へキサメチレン
ジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシ
アネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネー
ト、2,2,4−トリメチルへキサンジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネー
トメチルカプロエート、ビス(2−イソシアネートエチ
ル)フマレート、ビス(2−イソシアネートエチル)カ
ーボネート、2−イソシアネートエチルー2,6−ジイ
ソシアネートへキサノエート;イソホロンジイソシアネ
ート(IPDl)、ジシクロへキシルメタンジイソシア
ネート(水添MDl)、シクロヘキシレンジイソシアネ
ート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添
TDI)、ビス(2−イソシアネートエチル)4一シク
ロへキセンー1,2−ジカルボキシレート;キシリレン
ジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネー
ト;HDIの水変性物、IPDIの三量化物等が挙げら
れる。これらの中でも、HDI、IPDI又は水添MD
Iを用いることが好ましい。
【0056】上記芳香族系ポリイソシアネートとは、す
べてのイソシアネート基が芳香族性炭化水素原子に結合
しているポリイソシアネートであり、具体的な化学名と
しては、例えば、トリレンジイソシアネート(TD
I)、4,4′ージフェニルメタンジイソシアネート
(TDI)、粗MDIや、特公昭55−27098号公
報に記載されているような、カーボジイミド基、ウレト
ジオン基、ウレトンイミン基等を有するように変性した
MDI等が挙げられる。これらの中でも、TDI又はM
DIを用いることが好ましい。
【0057】上記イソシアネート基末端ウレタンプレポ
リマーの製造形態としては、(1)ポリエーテルポリオ
ール及び/又はポリエステルポリオールと有機ポリイソ
シアネートとを反応させることにより、1段階で製造す
る形態、(2)脂肪族系ポリイソシアネートと過剰のポ
リエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオー
ルとから水酸基末端ウレタンプレポリマーを得た後に、
芳香族系ポリイソシアネートを反応させることにより、
2段階で製造する形態等が挙げられる。(2)の形態で
は、脂肪族系ポリイソシアネートに由来する脂肪族基が
ウレタン結合のNH基と結合し、芳香族系ポリイソシア
ネートに由来するイソシアネート基を有するイソシアネ
ート基末端ウレタンプレポリマーが得られることにな
る。
【0058】上記(1)の形態では、ポリエーテルポリ
オール及び/又はポリエステルポリオールと有機ポリイ
ソシアネートとにおけるイソシアネー卜基と水酸基との
モル比(NCO/OH比)としては、例えば、1.4/
1〜3/1とすることが好ましい。1.4/1未満であ
ると、表面処理膜の基材表面への密着力が充分でなくな
るおそれがあり、3/1を超えると、吸水膨潤率が充分
でなくなるおそれがある。より好ましくは、1.6/1
〜2.5/1である。また、反応条件としては、例え
ば、反応温度を60〜100℃とし、反応時間を4〜1
2時間とすることが好ましい。より好ましくは、70〜
90℃とし、6〜10時間とすることである。
【0059】上記(2)の形態では、水酸基末端ウレタ
ンプレポリマーを得る際に、イソシアネー卜基と水酸基
とのモル比(NCO/OH比)を1/1.2〜1/8と
することが好ましい。より好ましくは、1/1.5〜1
/4である。1/1.2を超えると、水酸基末端ウレタ
ンプレポリマーが高粘度となり、取り扱いにくくなるお
それがあり、1/8未満であると、耐アルカリ性が低下
するおそれがある。この場合、反応温度を60〜130
℃とし、反応時間を4〜20時間とすることが好まし
い。より好ましくは、70〜120℃とし、6〜15時
間とすることである。また、溶媒の使用量としては、例
えば、水酸基末端ウレタンプレポリマー100重量部に
対して、0〜120重量部とすることが好ましい。より
好ましくは、10〜80重量部である。得られる水酸基
末端ウレタンプレポリマーの平均水酸基当量としては、
例えば、900〜25000であることが好ましい。よ
り好ましくは、1300〜9300である。
【0060】上記(2)の形態ではまた、水酸基末端ウ
レタンプレポリマーと芳香族系ポリイソシアネートとに
おけるイソシアネー卜基と水酸基とのモル比(NCO/
OH比)としては、例えば、1.4/1〜3/1とする
ことが好ましい。より好ましくは、1.6/1〜2.5
/1である。また、水酸基末端ウレタンプレポリマーと
芳香族系ポリイソシアネートとの反応条件としては、例
えば、反応温度を60〜100℃とし、反応時間を4〜
12時間とすることが好ましい。より好ましくは、70
〜90℃とし、6〜10時間とすることである。
【0061】上記イソシアネート基末端ウレタンプレポ
リマーを得る反応では、溶媒中で行うこともできる。溶
媒としては、例えば、活性水素をもたない極性溶媒を用
いることが好ましく、例えば、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルセロ
ソルブ、メチルセロソルブアセテート等のエーテル化又
はエステル化されたセロソルブ系溶媒等の1種又は2種
以上を用いることができる。溶媒の使用量としては、上
記ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリ
オールと有機ポリイソシアネートとの合計100重量部
に対して、0〜70重量部とすることが好ましい。より
好ましくは、0〜50重量部である。
【0062】上記反応を進行させるために、触媒の存在
下で行うこともできる。このような触媒としては、一般
にイソシアネート基と活性水素化合物との反応を促進す
る従来公知の触媒を用いることができ、例えば、ジブチ
ル錫ジラウレート、オクチル酸鉛、スタナスオクトエー
ト等の有機金属触媒トリエチルアミン、トリエチレンジ
アミン等の3級アミン化合物等の1種又は2種以上が挙
げられる。
【0063】上記イソシアネート基末端ウレタンプレポ
リマーのNCO%としては、0.05〜7%であること
が好ましい。より好ましくは、0.1〜4%である。上
記(2)の形態によるイソシアネート基末端ウレタンプ
レポリマーでは、全ポリイソシアネート中の脂肪族系ポ
リイソシアネートと芳香族系ポリイソシアネートのモル
比としては、例えば、1/0.7〜1/20とすること
が好ましい。より好ましくは、1/0.8〜1/9であ
る。また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー
の固形分中の脂肪族基に結合したウレタン結合濃度とし
ては、例えば、2.5×10-5〜1.0×10-3mol
/gであることが好ましい。より好ましくは、7.0×
10-5〜6.5×10-1mol/gである。芳香核に結
合したウレタン結合濃度としては、例えば、5.5×1
-5〜3.0×10-3mol/gであることが好まし
い。より好ましくは、1.5×10-4〜2.0×10 -3
mol/gである。
【0064】上記イソシアネート基末端ウレタンプレポ
リマーを用いる場合、必要に応じて、他のイソシアネー
ト基末端ウレタンプレポリマーを併用することもでき
る。他のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと
しては、例えば、特開昭58−39088号公報に記載
のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー等が挙げ
られるが、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー
100重量%に対して、上記イソシアネート基末端ウレ
タンプレポリマーを20重量%以上使用することが好ま
しい。より好ましくは、50重量%以上である。
【0065】本発明の表面処理剤では、上記の必須成分
と共に溶剤(e)を含有させることが好ましい。このよ
うな溶剤(e)としては、上述した吸水性樹脂(a)及
びバインダー樹脂(b)を必須成分とする場合には、通
常の塗料等に用いられる公知の溶剤を用いることがで
き、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼ
ン、トルエン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等
の脂肪族エステル類、エチレングリコール、エチレング
リコールモノメチルエーテル等のエチレングリコール誘
導品、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプ
ロピレングリコール誘導品等の1種又は2種以上が挙げ
られる。また、上述した吸水性バインダー樹脂(c)と
してイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを必須
成分とする場合には、本発明の表面処理剤が湿気硬化し
て基材表面に表面処理膜を形成することを阻害しないも
のであることが好ましく、例えば、上述したイソシアネ
ート基末端ウレタンプレポリマーを得る反応で用いるこ
とができる溶媒等が挙げられる。本発明において、溶剤
(e)を用いると、表面処理剤の粘度が低くなり、スプ
レー塗布等も可能で塗布作業が容易となる。なお、本発
明では、溶剤(e)として、バインダー樹脂(b)や吸
水性バインダー樹脂(c)中に含まれる溶剤を利用する
こともできる。
【0066】上記溶剤(e)の中でも、基材表面へ塗布
するのに適した沸点、安全性等を有する溶剤を用いるこ
とが好ましい。低沸点の溶剤を選定すれば、速乾性があ
り、短時間で表面処理膜が形成できるために厚塗り等が
容易となり、また、高沸点の溶剤を選定すれば、乾燥速
度を調整して、夏場等の現場作業における作業性を好適
にすることができる。このように溶剤を使用することに
より、水を含む媒体を用いた場合に生じる吸水性樹脂
(a)や吸水性バインダー樹脂(c)の吸水による膨潤
はなく、ゲル状にならないために塗布作業が容易にな
り、本発明の作用効果の1つが発揮されることになる。
また、メチルエチルケトンやメタノール等の揮発性の大
きい溶剤を用いると、10分程度で乾燥し、水を媒体と
して用いる場合よりも非常に速く乾燥するために、次の
作業又は工程に迅速に移行することができ、工期又は基
材表面への塗布に要する時間を著しく短縮することがで
きる。
【0067】本発明の表面処理剤には、上述した必須成
分以外に、その作用効果を阻害しない範囲で、他の樹
脂、顔料、各種安定剤、各種充填材等の他の添加剤
(f)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。例
えば、表面処理膜が形成されていることが容易に判別可
能であるように、着色する目的で、顔料を混合したり、
必要に応じて他の用途の各種添加剤を混合したりしても
よい。
【0068】本発明の表面処理剤を構成する全成分10
0重量%に対する必須成分すなわち吸水性樹脂(a)及
びバインダー樹脂(b)の合計量、又は、吸水性バイン
ダー樹脂(c)の重量割合としては、例えば、表面処理
剤100重量%に対して、50重量%以上であること好
ましい。50重量%未満であると、本発明の作用効果が
阻害されるおそれがある。より好ましくは、70重量%
以上であり、特に好ましくは、80重量%以上である。
【0069】本発明の表面処理剤における各成分の重量
割合としては特に限定されないが、例えば、本発明の表
面処理剤の作用効果を確実に発揮するためには、表面処
理剤を100重量%とすると、吸水性樹脂(a)及びバ
インダー樹脂(b)を必須成分とする場合には、吸水性
樹脂(a)が5〜60重量%、バインダー樹脂(b)が
10〜70重量%、溶剤(e)が5〜70重量%、他の
添加剤(f)が0〜50重量%であることが好ましい。
より好ましくは、吸水性樹脂(a)が10〜50重量
%、バインダー樹脂(b)が10〜60重量%、溶剤
(e)が10〜60重量%、他の添加剤(f)が0〜3
0重量%である。また、吸水性バインダー樹脂(c)を
必須成分とする場合には、吸水性バインダー樹脂(c)
が30〜100重量%、溶剤(e)が0〜70重量%、
他の添加剤(f)が0〜50重量%であることが好まし
い。より好ましくは、吸水性バインダー樹脂(c)が5
0〜100重量%、溶剤(e)が0〜50重量%、他の
添加剤(f)が0〜30重量%である。
【0070】本発明の表面処理剤は、基材表面に施工す
ることにより表面処理膜を形成し、その作用効果を発揮
することになるが、基材表面に施工するとは、(1)基
材表面に本発明の表面処理剤を塗布して表面処理膜を形
成することや、(2)本発明の表面処理剤を塗布して表
面処理膜を形成させたシートを表面処理膜が外側になる
ように基材表面に貼り付けること、(3)フィルム状の
形態とした本発明の表面処理剤を基材表面に貼り付ける
こと等を意味する。
【0071】本発明の表面処理剤の塗布方法としては、
特に限定されず、例えば、通常用いられる塗料の塗布方
法を用いることができ、具体的には、はけ、ローラー等
を用いて塗装してもよいし、リシリガン等のスプレー器
具を用いて吹き付け塗装してもよい。また、基材表面と
水硬性混和物との接着を防止したい部分(場所)に対応
するように基材表面やシートに塗布することになるが、
その他の部分に塗布してもよい。塗布量としては特に限
定されず、例えば、40〜700g/m2 とすることが
好ましい。40g/m2 未満であると、本発明の作用効
果を充分に発揮することができないおそれがあり、70
0g/m2を超えると、塗布して乾燥させるまでの時間
が長くなり、経済的に不利となるおそれがある。より好
ましくは、50〜500g/m2であり、更に好ましく
は、70〜300g/m2 である。本発明の表面処理剤
において、吸水性バインダー樹脂(c)を必須成分とす
る場合には、表面処理膜を形成する際に湿気硬化するこ
とになるが、硬化条件としては特に限定されず、例え
ば、常温(25℃)で5時間〜2日間とすることが好ま
しい。なお、基材表面には、他の表面処理が施されてい
たり、下塗り等が塗装されていたりしてもよい。
【0072】本発明の表面処理剤をシートに塗布し、該
シートを基材表面に貼り付ける場合、例えば、布、紙、
プラスチックフィルム等のシートを用いることができ
る。この場合、シートの裏面に粘着剤を塗工しておく
と、基材表面への貼り付けが容易になるため好ましい。
粘着剤としては特に限定されず、例えば、グリース油等
を用いると、工事現場で貼り付けを誤ったときに剥離し
て再貼り付けすることが容易となるので好ましい。
【0073】本発明の表面処理剤により基材表面に表面
処理膜が形成されることになるが、この表面処理膜上
に、上塗り(トップコート)として、耐水性付与剤を塗
布することにより耐水性付与剤層を形成することができ
る。これにより、例えば、基材を保管しておく場合に、
吸水性樹脂(a)や吸水性バインダー樹脂(c)が雨や
夜露、地面からの水分等を吸水して膨潤してしまい、水
硬性混和物中や地盤中でその作用を充分に発揮すること
ができなくなることを抑制することが可能となると共
に、基材表面と表面処理膜との密着力の低下をより抑制
することが可能となる。すなわち地盤基礎構造体等の施
工において、施工前の基材の保管時も施工中にも、表面
処理膜の密着性維持(剥離防止)と、吸水性樹脂(a)
や吸水性バインダー樹脂(c)が水硬性混和物中のアル
カリ水や地盤中の水分により吸水膨潤することをより充
分に両立することができる。
【0074】上記耐水性付与剤としては、表面処理膜中
の吸水性樹脂(a)や吸水性バインダー樹脂(c)がそ
の作用を発揮する前に膨潤することを防止することがで
きる耐水性付与剤層を形成することができるものであれ
ば特に限定されず、例えば、上述のバインダー樹脂
(b);ワックスやシリコーン系撥水剤等の従来公知の
撥水剤等を用いることができる。また、耐水性付与剤の
塗布方法としては、上述した表面処理剤の塗布方法と同
様に行うことができる。この場合、耐水性付与剤の付着
量としては、50g/m2 程度あれば充分であるが、特
に限定されるものではない。
【0075】本発明の表面処理剤を利用すると、上述し
たような作用効果が発揮されることになるが、水硬性混
和物及び/又は地盤(土)に埋設する埋設物であって、
本発明の表面処理剤を施工してなる埋設物では、埋設物
の基材表面に本発明の表面処理剤による表面処理膜が形
成されることから、本発明の作用効果を発揮して各種の
基礎工事等における効率を向上させるために有効であ
る。このような埋設物も、本発明の好ましい実施形態の
1つである。
【0076】また、埋設物の基材表面と水硬性混和物と
の間の接着を抑制する埋設物の接着防止方法であって、
本発明の表面処理剤、及び/又は、本発明の好ましい実
施形態である埋設物を使用する埋設物の接着防止方法も
同様に、本発明の作用効果を発揮して各種の基礎工事等
における効率を向上させるために有効である。また、埋
設物の基材表面と地盤(土)との間の摩擦を低減する埋
設物の摩擦低減方法や、埋設物の基材表面と地盤(土)
との間の付着を抑制する埋設物の土付着防止方法につい
ても、本発明の表面処理剤、及び/又は、本発明の好ま
しい実施形態である埋設物を使用することにより、各種
の基礎工事等における効率を向上させるために有効な方
法となる。これらの埋設物の接着防止方法、埋設物の摩
擦低減方法及び埋設物の土付着防止方法も、本発明の好
ましい実施形態である。
【0077】上記埋設物とは、水硬性混和物及び/又は
地盤(土)に埋設される基材を意味し、その状態として
は、(1)水硬性混和物及び/又は地盤(土)に埋設さ
れる前の状態にある基材、(2)水硬性混和物及び/又
は地盤(土)に埋設された状態にある基材、(3)水硬
性混和物及び/又は地盤(土)から抜き出された状態に
ある基材等が挙げられる。すなわち上記埋設物とは、こ
れらの状態にある基材を意味するものである。また、埋
設物の全体が水硬性混和物及び/又は地盤(土)に埋設
される必要はなく、少なくとも一部分が水硬性混和物及
び/又は地盤(土)に埋設されることになればよい。
【0078】上記埋設物としては、その形状、長さ、材
質等が特に限定されるものではない。例えば、水硬性混
和物接着抑制剤として用いる場合には、H型鋼、I型
鋼、鉄柱、コンクリート杭、ポール等の柱状基体、筒状
のパイル(中空パイル)等の筒状の柱状基体、長尺板状
の杭である鋼矢板(シートパイル)や波板等が挙げられ
るが、これらの中では、鋼矢板、H型鋼、鋼管又は筒状
の柱状基体であることが好適である。また、摩擦低減剤
として用いる場合には、地下構造物、潜函工法や推進工
法に用いられる基体や基材であれば特に限定されず、鋼
管やヒューム管等の管類、鋼矢板、波板、H形鋼、I形
鋼、鋼管杭、鉄柱、コンクリート杭、ポール等の杭類、
潜函工法で用いられる各種タンク類、貯水槽等が挙げら
れる。更に、土付着防止剤として用いる場合には、土止
め壁等を構成するための引抜き回収を前提とする仮設鋼
材として用いられる基材であれば特に限定されず、鋼矢
板、波板、H形鋼、I形鋼、鋼管杭、鉄柱等の杭類等が
挙げられる。
【0079】本発明では、上記埋設物が土留め擁壁や土
台等の地盤基礎構造体等の構造体を構成し、該構造体が
少なくとも埋設物と水硬性混和物とにより構成される場
合、該構造体を構成する水硬性混和物としては、例え
ば、各種コンクリート、各種モルタル等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。このような水硬性混
和物の形態としては、水と、水によって硬化するセメン
ト等の材料とを含む混和物が挙げられ、より具体的に
は、水と、ポルトランドセメントや混合セメント等のセ
メントとを含むと共に、必要に応じて、砂や砂利等の骨
材、セメント混和材、混和剤、補強材等を含む混和物が
挙げられる。この場合、水硬性混和物に含まれるセメン
トや骨材、混和材、混和剤、補強材等の種類や組み合わ
せ、すなわち水硬性混和物の組成としては特に限定され
るものではない。
【0080】以下に本発明の実施形態について、図1〜
5を示して例示することにより説明する。なお、図1〜
5では、表面処理膜が吸水性樹脂(a)及びバインダー
樹脂(b)を必須成分とする場合の断面概念図を示し、
吸水性樹脂(a)及びバインダー樹脂(b)を必須成分
とする場合と吸水性バインダー樹脂(c)を必須成分と
する場合について説明しているが、吸水性バインダー樹
脂(c)を必須成分とする場合では、吸水性バインダー
樹脂(c)が吸水性樹脂(a)及びバインダー樹脂
(b)に代わって表面処理膜を形成してその機能を発揮
することになる。
【0081】図1〜4は、水硬性混和物接着抑制剤とし
て用いる本発明の表面処理剤の実施形態を例示した断面
概念図である。図1では、水硬性混和物2中に埋設され
た埋設物1における基材表面付近の一部の断面概念図を
示している。図1(1)では、水硬性混和物2はアルカ
リ水を含み、水和が進行していない状態であり、表面処
理膜3はアルカリ水を充分に吸水していない状態であ
り、(2)では、水硬性混和物2の水和が進行すると共
に、表面処理膜3中の吸水性樹脂(a)や吸水性バイン
ダー樹脂(c)の吸水膨潤も進行した状態であり、
(3)では、水硬性混和物2の水和が終了してアルカリ
水を含まない状態になると共に、吸水膨潤した吸水性樹
脂(a)や吸水性バインダー樹脂(c)が乾燥して表面
処理膜3と水和した水硬性混和物2との間に間隙が形成
された状態である。このように、図1(3)に示すよう
に形成された間隙により、基材表面と水硬性混和物2と
の間の接着が抑制され、埋設物1を水硬性混和物2の水
和物から容易に除去することが可能となる。また、
(2)に示す状態で埋設物1を水硬性混和物2から除去
する場合でも、埋設物1と水硬性混和物2との間に吸水
膨潤した表面処理膜3が存在することにより、容易に行
うことが可能となる。
【0082】図2(1)〜(3)では、地盤4中に形成
された地盤基礎構造体が例示されている。図2(1)の
地盤基礎構造体は、水硬性混和物2と埋設物1とで形成
され、埋設物1の基材表面には地盤基礎構造体の形成に
先立って表面処理剤が塗布されて表面処理膜3が形成さ
れている。この場合、地盤基礎構造体を形成する方法と
しては、例えば、地盤4に掘削孔を形成して埋設物1を
緩挿した後、埋設物1の周囲に水硬性混和物2を打設す
るか、又は、掘削孔に打設された水硬性混和物2に埋設
物1を埋め込むことにより行うことができる。このよう
な地盤基礎構造体では、埋設物1を水硬性混和物2やそ
の水和物から除去する作業が行われることになる。
【0083】図2(2)及び(3)の地盤基礎構造体
は、水硬性混和物2と筒状の埋設物1aとで形成され、
埋設物1aの内面における上部(杭頭部)の基材表面に
は地盤基礎構造体の形成に先立って表面処理剤が塗布さ
れて表面処理膜3が形成されている。この場合、地盤基
礎構造体を形成する方法としては、例えば、掘削孔に打
設された水硬性混和物2に埋設物1aを埋め込むことに
より行うことができる。このような地盤基礎構造体で
は、水硬性混和物2の水和後に、埋設物1aの内面にお
ける杭頭部2aから水硬性混和物2の水和物を剥離する
作業が行われ、後の基礎工事に供されることになる。な
お、図2(1)〜(3)では、表面処理膜3中の吸水性
樹脂(a)や吸水性バインダー樹脂(c)が吸水膨潤し
た状態が示されている。
【0084】本発明では、図2(1)〜(3)等の実施
形態において、表面処理膜3が上記図1(1)〜(3)
のように作用することにより、埋設物を水硬性混和物や
その水和物から引き抜く作業を効率的かつ簡便に行うこ
とが可能となる。
【0085】上記図1及び2に示した実施形態では、表
面処理膜3が表面から徐々に吸水するため、吸水性樹脂
(a)や吸水性バインダー樹脂(c)の吸水膨潤率が表
面処理膜3の表面付近では大きく、基材表面に近いとこ
ろでは小さくなる場合もあるが、この場合でも、基材表
面に近いところに存在する吸水性樹脂(a)や吸水性バ
インダー樹脂(c)も徐々に吸水膨潤することになる。
すなわち本発明では、表面処理膜3中に存在する吸水性
樹脂(a)や吸水性バインダー樹脂(c)が吸水膨潤す
るときに、その一部が吸水膨潤した状態となってもよ
く、全体が吸水膨潤した状態となってもよい。このこと
は以下の図3及び4に示す実施形態においても同様であ
る。また、概念図では表面処理膜3の厚さが乾燥時より
も吸水膨潤時の方が厚くなることを示しているが、吸水
性樹脂(a)や吸水性バインダー樹脂(c)が吸水膨潤
したときには、その吸水膨潤率が数倍から数十倍以上と
なるため、実際には表面処理膜3の厚さは吸水膨潤時が
乾燥時の数倍から数十倍以上となる。このことは以下の
実施形態等においても同様である。
【0086】上記のような各種構造体において、埋設物
を水硬性混和物から引き抜くと、構造体には埋設物の形
状と等しい形状の空洞(穴)が形成されることになる。
その空洞は、例えば、排水溝として利用したり、電線、
ガス管、水道管等を挿通する配管として利用したりする
ことができる。また、各種構造体は、道路標識等を設置
する際の土台であってもよい。すなわち設置を所望する
道路標識の埋設物を用いて構造体を形成した後、その埋
設物を引き抜いて道路標識を挿嵌することにより、道路
標識を設置することができる。
【0087】本発明の実施形態としてはまた、地面を開
削し、各種構造物を地表面下に設置又は構築した後に、
セメント系又は石灰系固化材が混合された埋め戻し材で
埋め戻すことによる地下構造物の建造方法であって、土
留壁又は土留壁を構成する部材と埋め戻し材との間に、
本発明の表面処理剤により形成される表面処理膜を存在
させてなる地下構造物の建造方法が挙げられる。このよ
うな地下構造物の建造方法は本発明の好ましい実施形態
の1つである。
【0088】上記地下構造物の建設方法においては、例
えば、前段階として溝を掘削する工事を行うが、掘削に
先立って、掘削域外の地盤の弛緩や崩壊を防ぐために掘
削域の外周に沿って鋼矢板等からなる土留壁を構築する
ことになる。その後、溝内部に各種地下構造物を構築
し、開削部を埋戻し材により埋め戻し、最後に土留壁を
引抜き等によって除去することが行なわれる。ここで、
土留壁又は土留壁を構成する部材と埋め戻し材との間に
は上記表面処理膜が存在しているので、吸水性樹脂
(a)や吸水性バインダー樹脂(c)が膨潤することに
よって土留壁又は土留壁を構成する部材と埋め戻し材と
の接着を防止することができると共に、土留壁又は土留
壁を構成する部材上の表面処理膜の剥離を防止すること
ができることから、このような地下構造物の建造方法に
おいても基礎工事等の効率を向上することが可能とな
る。
【0089】上記地下構造物の建造方法の概略につい
て、図3を用いて説明する。図3では、地下構造物5の
建造における基礎工事の様子を断面概念図として示して
いる。まず、鋼矢板等の構築部材1bの基材表面上に本
発明の表面処理剤により表面処理膜3を形成し、該構築
部材1bを地盤4中に建て込んで土留壁とした後に、そ
の土留壁の間の地盤4を掘削し、溝を形成する。その
後、地下埋設物5を掘削した地盤4中に設置し、セメン
ト系の埋め戻し材2bで埋め戻し、更に必要に応じて用
いられる土等の埋め戻し材6により埋め戻した後、表面
処理膜3が形成された鋼矢板等の構築部材1bを引き抜
き撤去することになる。このように、鋼矢板等の構築部
材1bに形成された表面処理膜3により、土留壁を構成
する鋼矢板等の構築部材1bを容易に地盤中に建て込む
ことや地盤中から引き抜き撤去することが可能となる。
【0090】本発明の実施形態としては更に、移動型型
枠を用いて水硬性混和物を打設し、水硬性混和物の硬化
後に、移動型型枠を水硬性混和物の硬化物表面に沿って
スライドさせる移動型型枠の離型方法であって、移動型
型枠と水硬性混和物との間に、本発明の表面処理剤によ
り形成される表面処理膜を存在させてなる移動型型枠の
離型方法が挙げられる。このような移動型型枠の離型方
法は本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0091】上記移動型型枠の離型方法においては、例
えば、煙突、橋脚又はトンネル、下水道のように水平又
は垂直方向に長く伸びるコンクリート構造物を構築する
際、単位長さずつ水硬性混和物を構築するために、移動
型型枠を用いてコンクリートを打設することになる。そ
して、ある程度の強度が得られた後、該移動型型枠をコ
ンクリートの硬化物の表面上を次のコンクリートを打設
する場所までスライドさせて離型し、生じた新しい空間
に新たにコンクリートを打設して、コンクリートを打ち
継いでコンクリート構造物を構築することが行なわれ
る。ここで、移動型型枠と水硬性混和物との間には上記
表面処理膜が存在しているので、型枠と地盤との接着を
防止したり、移動型型枠上の表面処理膜の剥離を防止し
たりすることができ、また、移動型型枠を容易にスライ
ドさせることが可能となる。
【0092】上記移動型型枠としては、水硬性混和物が
所定の強度を発現するまで形状を保持し、硬化後に硬化
物の表面をスライドさせて離型する移動型型枠であれば
特に限定されず、例えば、スリップフォーム工法用型
枠、ジャンプフォーム工法用型枠、各種シールド工法に
用いられる機械、その他滑動型型枠類が挙げられる。
【0093】上記移動型型枠の離型方法の概略につい
て、図4を用いて説明する。図4では、水硬性混和物構
造物を構築する工事の様子を断面概念図として示してい
る。まず、表面処理膜3が形成された移動型型枠1cを
用いて、打設し、硬化させた既設の水硬性混和物2cの
上部に移動型型枠1cをスライドさせた後、生じた新し
い空間に新たに水硬性混和物2dを打設している。この
ように、移動型型枠1cにおける表面処理膜3により、
移動型型枠と水硬性混和物との接着を抑制し、また、膨
潤したイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが湿
潤効果を発揮することにより移動型型枠を容易にスライ
ドさせることができるので、水硬性混和物を打ち継いで
水硬性混和物構造物を構築することが容易となる。
【0094】次に、摩擦低減剤や土付着防止剤として用
いる本発明の表面処理剤の実施形態について説明する。
本発明の表面処理剤を摩擦低減剤として用いる場合、埋
設物すなわち基体や基材の施工形態としては特に限定さ
れるものではない。例えば、地盤に穴を掘削し、クレー
ン等で基体である鉄鋼等を釣り下げ、設置し、埋設して
もよいし、基体を打設、押し込みながら施工する方法で
ある潜函工法や推進工法等を採用してもよい。また、杭
用ケーシングを地盤中に設置し、その内部に鉄筋を設け
た後に、コンクリートを打設しながら杭用ケーシングを
抜いていくことにより鉄筋コンクリートで構成された地
盤基礎構造物を施工する工法を用いる場合にも、杭用ケ
ーシングの外側に表面処理膜を形成させて行うと、土圧
による影響を抑えて杭用ケーシングを引き抜き易くする
ことができる。このように、本発明ではいずれの打設方
法においても基材表面から表面処理膜の全部が剥離して
しまうことなく本発明の作用効果を発揮することができ
ることから、周辺の地盤への影響を最小限に抑えなが
ら、基材表面と地盤(土)間の摩擦力を低減でき、工事
の速度、効率を著しく向上することができる。また、地
盤中に埋設後には、各種の地下基礎構造物の基材表面と
周辺地盤との摩擦をカットし、周辺地盤の変化が構造物
へ影響を与えることを抑制することができることから、
地下基礎構造物のネガティブフリクションカット工法に
好適に用いることができる。このように、本発明の表面
処理剤を摩擦低減剤として用いる地下基礎構造物のネガ
ティブフリクションカット工法や潜函工法、推進工法
も、本発明の好ましい実施形態である。
【0095】本発明の表面処理剤における特徴の1つと
して、摩擦低減剤として用いる場合に、表面処理膜が徐
放性を有することが挙げられる。徐放性とは、表面処理
膜中の表層部分にある吸水性樹脂(a)や吸水性バイン
ダー樹脂(c)から徐々に地盤(土)中の水分を吸水す
ることにより、吸水膨潤した吸水性樹脂(a)や吸水性
バインダー樹脂(c)を有する湿潤ゲル層を地盤(土)
と接触する面に徐々に供給する性質である。この場合、
表面処理膜中の表層部分に湿潤ゲル層が形成されること
になり、該湿潤ゲル層が潤滑剤として機能すると共に、
吸水膨潤した吸水性樹脂(a)や吸水性バインダー樹脂
(c)の密着力が低下することに起因して地盤(土)と
の間で摩擦力が生じると湿潤ゲル層が剥がれて摩擦を低
減することになる。そして表面処理膜中の表層部分に
は、新たな湿潤ゲル層が供給されることになる。このよ
うな徐放性の調節は、吸水性樹脂(a)や吸水性バイン
ダー樹脂(c)の親水性等を適宜設定することにより行
うことができる。これにより、様々な工事条件や地下基
礎構造体の要求性能に応じて表面処理膜の吸水速度を適
切に設定することが可能となり、基材表面に施工された
表面処理膜の表面から、地盤(土)中の水分を適当量吸
収させることにより、何日間にも渡って、つまり長期間
に渡って、新たな湿潤ゲル層(吸水膨潤層)を基材表面
に供給することが可能となる。
【0096】上記の徐放性について、具体的な1例とし
て図5を用いて説明する。図5(1)〜(4)では、埋
設物1における基材表面付近の一部の断面概念図を示し
ている。図5(1)に示すように埋設物1(例えば鋼
管)に本発明の表面処理剤を塗布して表面処理膜3を形
成し、(2)に示すようにその表面付近を吸水膨潤させ
て湿潤ゲル層を形成させた後、埋設物1を土中へ打設
(1日目)すると、埋設物1の基材表面と地盤4との間
で摩擦力が生じるが、湿潤ゲル層が潤滑剤として機能す
ると共に、(3)に示すように湿潤ゲル層が表面処理膜
3の表面から剥がれた状態となる。そして、次の日の工
事までに、表面処理膜3の表面付近は土中の水分を吸水
膨潤し、新たに湿潤ゲル層を形成して(4)に示すよう
な状態となる。2日目に、1日目と同様の方法で地面か
ら埋設物1を打設し、更に土中深くに押込む場合、湿潤
ゲル層は同様に潤滑剤として機能すると共に、表面処理
膜3の表面から剥げることになる。このように(3)と
(4)に示すような現象を繰り返すことにより、土中で
何日にも渡って打設が繰り返される推進工法等を行う場
合でも、本発明の表面処理剤を地上で1度埋設物に塗布
するだけで、工事中を通じてずっと土中で摩擦低減機能
を発揮することが可能になる。
【0097】本発明の表面処理剤により形成される表面
処理膜は、上記のように徐放性という性質を有すること
から、摩擦低減剤として用いる場合に、摩擦低減効果の
持続性に優れており、埋設後であっても長期間に渡って
摩擦低減効果が持続することになり、地盤等の変動が起
きても、地盤への埋設物の変動や変位を最小限に抑える
ことができる。その結果、地盤基礎構造物等の埋設物が
地盤中で安定化されることにより、その上に建造される
ビル等の建築物が安定化されることになる。例えば、地
盤基礎構造物をクレーン等で土中の穴に施工した場合で
も、長期間に渡って、基材表面と地盤(土)との間の摩
擦低減効果が持続することになるため、本発明の表面処
理剤を用いることにより、地盤基礎構造物のネガティブ
フリクションカット工法を行うことが可能となる。
【0098】本発明の表面処理剤を土付着防止剤として
用いる場合、仮設鋼材等の埋設物の施工形態としては、
上述した摩擦低減剤として用いる場合と同様に特に限定
されるものではない。この場合には、埋設物の基材表面
に形成される表面処理膜の厚みを工事条件等により適宜
調整することが好ましい。例えば、土中の水分量が少な
いときや仮設鋼材等の埋設期間が短いときには、表面処
理膜の厚みを薄くすることにより、比較的少量の水分で
も基材表面への密着力を低下させるようにすることが好
ましい。これにより、埋設物を地盤中に打設して湿潤し
たときに剥がれ易くすることができることから、基材表
面への土の付着を抑制することが可能となる。また、土
中の水分量が多いときや仮設鋼材等の埋設期間が長いと
きには、表面処理膜の厚みを厚くすることにより、比較
的多量の水があっても、埋設期間中、湿潤ゲル層の供給
を安定化させて基材表面への土の付着を防止することが
できる。このように、表面処理膜の厚みを調節したり、
上記摩擦低減剤として用いる場合と同様に吸水性樹脂
(a)や吸水性バインダー樹脂(c)の親水性等を調節
したりすることにより、各種現場の土質、埋設期間等に
合わせて、土付着防止能を発揮することが可能となる。
【0099】本発明の表面処理剤を土付着防止剤として
用いることにより、仮設鋼材等の埋設物の基材表面に表
面処理膜を形成する場合では、埋設物を引き抜くとき
に、周辺地盤を引き上げる等の悪影響が少なく、引抜き
後の埋設物にはほとんど土の付着がなく、埋設物の引抜
き後には地盤に生じる空隙が最小限(仮設鋼材自体の体
積とほぼ同じ)に抑えられるので、後処理(埋め戻し)
に必要な薬剤、土砂の使用量が最小限に抑えられること
になる。
【0100】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限
り「重量部」を意味する。
【0101】製造例1 吸水性樹脂(a)を以下の方法で以て調製した。即ち、
温度計とブレード(攪拌翼)とを備え、内面が三フッ化
エチレンでライニング処理された容量1.5Lの卓上型
ジャケット付きニーダーを反応器として用い、該反応器
に、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート
(分子量512)60.18g、メタクリル酸(分子量
86.09)3.76g、メタクリル酸ナトリウム(分
子量108)210.69g、架橋剤であるポリエチレ
ングリコールジアクリレート1.3g、及び、溶媒であ
るイオン交換水352.37gを仕込んだ。単量体成分
における架橋剤の割合は0.14モル%である。
【0102】ジャケットに50℃の温水を流すことによ
り、上記の水溶液を窒素ガス気流下、攪拌しながら50
℃に加熱した。次いで、重合開始剤である2,2′−ア
ゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(分子量2
71.27,和光純薬工業社製化成品V−50)の1
1.6重量%水溶液10gを添加して10秒間攪拌した
後、攪拌を停止して静置した。単量体成分に対する重合
開始剤の割合は0.2モル%である。
【0103】重合開始剤を添加した後、直ちに重合反応
が開始され、90分経過後に内温が100℃(ピーク温
度)に達した。その後、ジャケットに80℃の温水を流
しながら、内容物を更に30分間熟成させた。これによ
り、含水ゲルを得た。反応終了後、ブレードを回転させ
て含水ゲルを微細な状態になるまで解砕した後、反応器
を反転させて該含水ゲルを取り出した。得られた含水ゲ
ルを熱風循環式乾燥機を用いて140℃で3時間乾燥し
た。乾燥後、乾燥物を卓上簡易型粉砕機(協立理工社
製)を用いて粉砕した。これにより、平均粒子径160
μmの吸水性樹脂(1)を得た。
【0104】製造例2 バインダー樹脂(b)を以下の方法で以て調製した。即
ち、温度計と滴下装置とを備えた容量50Lの槽型反応
器に、アクリル酸0.50kg、アクリル酸エチル2.
4kg、メタクリル酸メチル0.10kg、重合開始剤
である2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)12g、及び、溶媒であるメチルアルコール
3kgを仕込んだ。また、滴下装置に、アクリル酸1.
15kg、アクリル酸メチル2.1kg、メタクリル酸
メチル3.75kg、2,2′−アゾビス−(2,4−
ジメチルバレロニトリル)28g、及び、メチルアルコ
ール7kgからなる混合溶液を仕込んだ。
【0105】上記のメチルアルコール溶液を窒素ガス雰
囲気下、攪拌しながら65℃に加熱し、20分間反応さ
せた。これにより、内容物の重合率を72%に調節し
た。続いて、内温を65℃に保ちながら、滴下装置から
上記の混合溶液を2時間かけて均等に滴下した。滴下終
了後、内容物を65℃で更に3時間熟成させた。反応終
了後、内容物にメチルアルコール10kgを混合するこ
とにより、バインダー樹脂(1)の33重量%メチルア
ルコール溶液を得た。
【0106】得られたバインダー樹脂(1)の重量平均
分子量は12万であり、酸価は130mgKOH/gで
あった。また、バインダー樹脂(1)の示差走査熱量測
定を行った結果、バインダー樹脂(1)は、ガラス転移
温度を−80℃〜120℃の範囲内に2つ有していた。
更に、得られたバインダー樹脂(1)のメチルアルコー
ル溶液を二軸押出機を用いて脱溶剤して直径3mm長さ
3mmの円筒形のペレットを得た。該ペレット10gを
ビーカーに入れた0.4重量%濃度の水酸化ナトリウム
水溶液500gに室温状態で投入し、マグネティックス
ターラーで撹拌した所、4時間後に完全に溶解した。
【0107】製造例3 ニューポールPE128〔商品名、三洋化成工業社製、
ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコール=
20/80(重量比)〕100部に対して、TDI−8
0(商品名、2,4−異性体と2,6−異性体の混合比
80/20のトリレンジイソシアネート)を8.9部
〔NCO/OH=2.4(モル比)〕を加え、80℃で
8時間反応させて、NCO%が1.5%のウレタンプレ
ポリマー(1)を得た。
【0108】実施例1 製造例1で製造した吸水性樹脂(1)50重量部と、製
造例2で製造したバインダー樹脂(1)の33重量%メ
チルアルコール溶液150重量部及び2−ブタノン50
部とを混合・分散することにより、本発明にかかる表面
処理剤(1)を得た。
【0109】(1)上記表面処理剤(1)に関して、下
記の方法により密着力(X)を測定し、その結果を表1
に示した。 50mm×50mm(厚み3mm)の鋼材に表面処理
剤(1)を乾燥時の塗布厚みが200μmになるように
塗布し、乾燥させた(n=3)。 次に図6に示すような鋼材製の治具を、エポキシ系接
着剤アラルダイトラピッド(チバガイギー社製)を用い
て、鋼材下面(止水剤施工なし面)と鋼材上面(表面処
理剤(1)塗布面、表面処理剤(1)上)に1個ずつ、
計2個接着し、25℃で3時間養生、硬化させた。 引っ張り試験機(インストロン社製 MODEL11
85、商品名)を用いて、基材/表面処理剤(1)間の
密着強度(剥離力)を測定した(25℃、引っ張り速
度:10mm/分)。 基材/止水剤間以外で剥離したサンプルのデータは除
いた全データの平均値を密着強度(X)とし、表1に示
した。
【0110】(2)上記表面処理剤(1)に関して、下
記の方法により破断強度(Y)を測定し、その結果を表
1に示した。 上記表面処理剤(1)をテフロン(登録商標)[ポリテ
トラフルオロエチレン]板上でフィルム化し、JIS
K6301の3号ダンベル型に打ち抜いた(n=5)。
ダンベルの厚みは平均200μmであった。 引っ張り試験機(インストロン社製 MODEL11
85、商品名)を用いて、の表面処理剤(1)フィル
ム(3号ダンベル)の破断強度(Y)を測定した(25
℃、引っ張り速度:50mm/分)。 全データの平均値を破断強度(Y)とし、表1に示し
た。
【0111】(3)爪で塗膜を剥がした際の剥がれ方 上記(1)で作製した表面処理剤(1)を塗布した鋼材
(50mm×50mm)(厚み3mm)の表面を爪で擦
った際の膜の剥がれ方を表1に示した。表1を見てわか
るように、表面処理剤(1)の密着強度(X)/破断強
度(Y)は0.79と0.5以上であり、更に膜の剥が
れ方も、爪で剥がした付近のみが小さく剥がれるのみ
で、剥離面積が小さく非常に良好であった。
【0112】実施例2 実施例1において、表面処理剤(1)の代わりに、製造
例1で製造した吸水性樹脂(1)50部、KRATON
D−1101(商品名、クレイトンジャパン社製スチ
レン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SB
S))40部及びトルエン100部とを混合・分散する
ことにより得られた表面処理剤(2)を使用する以外は
同様の操作を行い、表面処理剤(2)の密着力(X)及
び破断強度(Y)を測定し、その結果を表1にまとめ
た。
【0113】実施例3 実施例1において、表面処理剤(1)の代わりに、製造
例3で製造したウレタンプレポリマー(1)100部に
2−ブタノン50部を添加して得られた表面処理剤
(3)を使用する以外は同様の操作を行い、表面処理剤
(3)の密着力(X)及び破断強度(Y)を測定し、そ
の結果を表1にまとめた。
【0114】比較例1 実施例1において、表面処理剤(1)の代わりに、パイ
ルロックNS(商品名、日本化学塗料社製)を使用する
以外は同様の操作を行い、表面処理剤(3)の密着力
(X)及び破断強度(Y)を測定し、その結果を表1に
まとめた。
【0115】
【表1】
【0116】実施例4〜6、比較例2、3 上記表面処理剤(1)〜(3)及びパイルロックNS
(商品名、日本化学塗料社製)を、厚さ3mm、幅30
mm、長さ300mmの鋼板に乾燥時400g/m
塗布量で塗布後、室温で18時間乾燥し、セメントフリ
クションカット試験用鋼板(1)〜(3)及び比較用セ
メントフリクションカット試験用鋼板(1)(パイルロ
ックNS塗布品)を作成した。
【0117】次に、上記乾燥後のセメントフリクション
カット試験用鋼板(1)〜(3)及び比較用セメントフ
リクションカット試験用鋼板(1)(パイルロックNS
塗布品)の塗布表面を、幅5mmのネジ回しの先端(鋼
材製)で、試験用鋼板表面(両面)を鋼板長手方向に1
往復強く擦った。その際の塗膜剥離率{剥離面積〔両
面、目視(cm2)〕/180(cm2)、%}を表2に
示した。
【0118】次に、表2に記載した配合のセメントミル
クを直径80mm、高さ250mmのポリプロピレン製
円筒型容器に150mmの高さまで満たし、そこへ上記
セメントフリクションカット試験用鋼板(1)〜
(3)、比較用セメントフリクションカット試験用鋼板
(1)及び何も塗布していない鋼板を垂直に立て、室温
(約20℃)で7日間硬化させた。7日間硬化後、鋼板
を490Nのバネばかりを用いて人力で引抜き、引抜き
力を測定した。その結果を表3にまとめた。
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】実施例7〜9及び比較例4、5 上記表面処理剤(1)〜(3)及びパイルロックNS
(商品名、日本化学塗料社製)を、厚さ1mm、直径5
0mm、長さ500mmの鋼管の表面(内側、外側両
方)に乾燥時200g/m2の塗布量で塗布後、室温で
18時間乾燥し、表面処理剤塗布済み鋼管(1)〜
(3)及び比較用塗布済み鋼管(1)(パイルロックN
S塗布品)を作製した。
【0122】次に、上記乾燥後の表面処理剤塗布済み鋼
管(1)〜(3)及び比較用塗布済み鋼管(1)(パイ
ルロックNS塗布品)の塗布表面を、幅5mmのネジ回
しの先端(鋼材製)で、試験用鋼管表面(裏表)を鋼管
長手方向に1往復強く擦った。その際の塗膜剥離率{剥
離面積〔両面、目視(cm2)〕/180(cm2)、
%}を表4に示した。
【0123】次に、上記塗布済み鋼管を、まず、イオン
交換水中に10分浸漬した。浸漬後の鋼管表面は、吸
水、膨潤した摩擦低減剤層におおわれぬるぬるしてい
た。次にこの鋼管を、弊社敷地内(大阪府吹田市)の地
面に垂直に立てて、鋼管の上に厚さ3mm、60mm×
60mmの鋼板を乗せた上から、500gの金槌により
60cmの高さから、10回たたいて、鋼管を土中に打
設した。この時に地表から打設された深さを表4示し
た。更に、この鋼管を1日放置し、翌日、まず、鋼管表
面(内側、外側両方)に約500mlのイオン交換水を
掛け、約10分放置した。放置後の鋼管表面は、吸水、
膨潤した摩擦低減剤層におおわれぬるぬるしていた。次
に、1日目と同じ方法で鋼管を土中に打設した。この
時、地表から打設された深さを表4に示した。更に、こ
の鋼管を1日放置し、2日目と同じ操作で打設を行い、
地表から打設された深さを表4に示した。
【0124】
【表4】
【0125】上記実験における、地表から打設された深
さは3日間を通じて、表面処理剤塗布済み鋼管(1)〜
(3)は、パイルロックNSを塗布した比較用塗布済み
鋼管(1)及び何も塗布しないもの(比較例5)よりも
著しく大きく、またその深さは3日間を通じてほとんど
変化がなかった。この結果から見ても、本発明の表面処
理剤(1)〜(3)を基材表面に塗布することにより、
3日間に渡って基材表面に摩擦低減剤層が供給され、摩
擦低減効果が発揮されたことがわかる。
【0126】実施例10〜12、比較例6、7 表面処理剤(1)〜(3)及びパイルロックNS(商品
名、日本化学塗料社製)を、長さ8.1mのIV型鋼矢板
の下部7.5m(裏表両面)に乾燥時の厚さが200μ
mとなるように均一にはけ塗りし、乾燥することによ
り、土付着防止用鋼矢板(1)〜(3)及び比較用土付
着防止用鋼矢板(1)(パイルロックNS塗布品)を得
た。自然乾燥18時間後に、土付着防止用鋼矢板(1)
〜(3)及び比較用土付着防止用鋼矢板(1)の表面を
鉄へらで強くこすったところ、土付着防止用鋼矢板
(1)〜(3)については、ほとんど塗膜の剥離が見ら
れない、または、少し剥離する程度であったが、比較用
土付着防止用鋼矢板(1)については、かなり剥離が見
られた。
【0127】上記、土付着防止用鋼矢板(1)〜
(3)、比較用土付着防止用鋼矢板(1)(パイルロッ
クNS塗布品)及び何も塗布していない鋼矢板を、バイ
ブロを用いて東京都品川区(シルト層)の土中に埋設
し、1ヶ月後、同じくバイブロを用いて引抜きを行っ
た。引抜き後の土付着防止用鋼矢板(1)〜(3)、比
較用土付着防止用鋼矢板(1)及び何も塗布していない
鋼矢板の土及び塗膜の付着状況を表5にまとめた。
【0128】
【表5】
【0129】表5を見てわかるように、比較用土付着防
止用鋼矢板(1)及び何も塗布していない鋼矢板の土及
び塗膜の付着状況と比較して、土付着防止用鋼矢板
(1)〜(3)には、ほとんど土及び土付着防止剤用塗
料(1)塗膜の間で、その塗膜表面に土の付着はほとん
ど見られず、土付着防止能は非常に良好なものであるこ
とがわかる。
【0130】
【発明の効果】本発明の表面処理剤は、上述の構成より
なるので、基材表面に施工して形成された表面処理膜が
打設時等に剥離することが抑制され、しかも、表面処理
膜が剥離した場合でも剥離面積を最小限に抑えることが
でき、その用途として、基材表面と水硬性混和物との間
の接着を抑制する水硬性混和物接着抑制剤、基材表面と
地盤(土)との間の摩擦を低減する摩擦低減剤、又は、
基材表面と地盤(土)との間の付着を抑制する土付着防
止剤として用いることができることから、基礎工事等に
かかる費用を抑え、かつ迅速に工事を完了するためや、
地盤基礎構造物を保護するために有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理剤を水硬性混和物接着抑制剤
として用いる実施形態において、表面処理膜の作用効果
を説明するための断面概念図である。
【図2】本発明の実施形態を例示した断面概念図であ
り、本発明の表面処理剤を水硬性混和物接着抑制剤とし
て塗布してなる埋設物を用いた地盤基礎構造体を示す断
面概念図である。
【図3】本発明の実施形態を例示した断面概念図であ
り、地下構造物の建造方法を説明するための断面概念図
である。
【図4】本発明の実施形態を例示した断面概念図であ
り、移動型型枠の離型方法を説明するための断面概念図
である。
【図5】本発明の表面処理剤を摩擦低減剤や土付着防止
剤として用いる実施形態において、表面処理膜の作用効
果を説明するための断面概念図である。
【図6】本発明の表面処理剤の基材表面への密着力を測
定する際に用いられる引っ張り試験用治具の概略図であ
る。
【符号の説明】
1 埋設物 1a 筒状の埋設物 1b 鋼矢板等の構築部材 1c 移動型型枠 2 水硬性混和物 2a 杭頭部 2b セメント系の埋め戻し材 2c 既設の水硬性混和物 2d 新たに打設された水硬性混和物 3 表面処理膜 4 地盤 5 地下埋設物 6 必要に応じて用いられる土等の埋め戻し材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 服部 晃 大阪府大阪市中央区高麗橋4丁目1番1号 株式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4G053 AA15 DA11 4J038 CB031 CE011 CE022 CF021 CG001 CG032 CG062 CG092 CG142 CG172 CH122 CK042 CP012 CP032 CQ001 CQ011 DD001 DE001 DG001 DG111 DG131 DG271 DG281 DG291 GA03 GA06 GA11 GA13 NA06 NA10 NA11 PB05 PC02 PC04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸水性樹脂(a)及びバインダー樹脂
    (b)を必須成分とする表面処理剤であって、基材表面
    に施工して表面処理膜を形成することにより、基材表面
    と水硬性混和物との間の接着を抑制する水硬性混和物接
    着抑制剤として用いてなり、該表面処理膜の該基材表面
    への密着力(X)と該表面処理膜の破断強度(Y)との
    比率(X/Y)は、0.5以上であることを特徴とする
    表面処理剤。
  2. 【請求項2】 吸水性樹脂(a)及びバインダー樹脂
    (b)を必須成分とする表面処理剤であって、基材表面
    に施工して表面処理膜を形成することにより、基材表面
    と地盤(土)との間の摩擦を低減する摩擦低減剤として
    用いてなり、該表面処理膜の該基材表面への密着力
    (X)と該表面処理膜の破断強度(Y)との比率(X/
    Y)は、0.5以上であることを特徴とする表面処理
    剤。
  3. 【請求項3】 吸水性樹脂(a)及びバインダー樹脂
    (b)を必須成分とする表面処理剤であって、基材表面
    に施工して表面処理膜を形成することにより、基材表面
    と地盤(土)との間の付着を抑制する土付着防止剤とし
    て用いてなり、該表面処理膜の該基材表面への密着力
    (X)と該表面処理膜の破断強度(Y)との比率(X/
    Y)は、0.5以上であることを特徴とする表面処理
    剤。
  4. 【請求項4】 吸水性バインダー樹脂(c)を必須成分
    とする表面処理剤であって、基材表面に施工して表面処
    理膜を形成することにより、基材表面と水硬性混和物と
    の間の接着を抑制する水硬性混和物接着抑制剤として用
    いてなり、該表面処理膜の該基材表面への密着力(X)
    と該表面処理膜の破断強度(Y)との比率(X/Y)
    は、0.5以上であることを特徴とする表面処理剤。
  5. 【請求項5】 吸水性バインダー樹脂(c)を必須成分
    とする表面処理剤であって、基材表面に施工して表面処
    理膜を形成することにより、基材表面と地盤(土)との
    間の摩擦を低減する摩擦低減剤として用いてなり、該表
    面処理膜の該基材表面への密着力(X)と該表面処理膜
    の破断強度(Y)との比率(X/Y)は、0.5以上で
    あることを特徴とする表面処理剤。
  6. 【請求項6】 吸水性バインダー樹脂(c)を必須成分
    とする表面処理剤であって、基材表面に施工して表面処
    理膜を形成することにより、基材表面と地盤(土)との
    間の付着を抑制する土付着防止剤として用いてなり、該
    表面処理膜の該基材表面への密着力(X)と該表面処理
    膜の破断強度(Y)との比率(X/Y)は、0.5以上
    であることを特徴とする表面処理剤。
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