JP2002308819A - セルロースからカプロン酸を製造する方法およびセルロースの再資源化方法 - Google Patents

セルロースからカプロン酸を製造する方法およびセルロースの再資源化方法

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JP2002308819A JP2001114044A JP2001114044A JP2002308819A JP 2002308819 A JP2002308819 A JP 2002308819A JP 2001114044 A JP2001114044 A JP 2001114044A JP 2001114044 A JP2001114044 A JP 2001114044A JP 2002308819 A JP2002308819 A JP 2002308819A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロースを原料とし、有用な化合物へと変
換する新規な方法、ならびに、かかる方法を利用し、セ
ルロースの再資源化を効率的に行う方法の提供。 【解決手段】 セルロースを加水分解してグルコースを
得る工程、グルコースを酸化してグルコノラクトンまた
はグルコン酸を得る工程、ならびに、グルコノラクトン
またはグルコン酸を部分的に還元して、カプロン酸とす
る工程とを有するカプロン酸の製造方法、ならびに、こ
の方法を利用して、資源として利用可能なカプロン酸
(ヘキサン酸)にセルロースを変換することで、セルロ
ースの再資源化が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースを原料
として、カプロン酸を製造する方法、ならびに、前記方
法を利用して、セルロースの再資源化を図る方法に関す
る。より具体的には、主として、廃棄されたセルロース
から、有用な直鎖カルボン酸であるカプロン酸へと変換
することにより、セルロースの再資源化を図る方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】セルロースは、代表的な植物性繊維であ
って、構造材料、充填剤、食品添加物、さらには、接着
剤などの広範囲の用途で大量に利用されており、その生
産量は、年間に109〜1011トンに達している。その
利用範囲の拡大に伴い、廃セルロースの量もまた、年々
増加している。
【0003】廃棄されたセルロースの処分法として、過
去においては、焼却処分などが用いられていたが、この
廃セルロースを再資源化し、焼却などの最終処分量を減
ずる方法が探索されている。その一例として、セルロー
スを分解して再利用する技術として、例えば、セルロー
スからメタン、エタン等の炭化水素を取り出す方法(特
開平5―213778号公報)、微生物によってセルロ
ースからアルコールを生産する方法(特開平11―29
9479号公報)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、セルロー
スの再資源化を進める上では、将来的には、より多量の
廃セルロースを処理し、有用な化合物への変換を行うこ
とが望ましいという観点に立ち、従来のセルロースを再
利用する技術について検討を加えた。その結果、これら
従来の再利用方法も、小規模な処理においては、十分に
適用可能であるものの、廃セルロース量の今後の増加に
対処するためには、より効率的にセルロースの再資源化
を行える新規な技術の開発が必要であるとの認識を持っ
た。また、その過程で得られる再資源化生成物も、多く
の分野において、原料化合物として活用可能であるよう
な、新規な技術の開発がさらに望ましいと判断した。
【0005】本発明は、前記の課題を解決するもので、
本発明の目的は、セルロースの再資源化を進める上で利
用可能な、セルロースを原料とし、有用な化合物へと効
率的に、また、高い再現性で変換できる新たな方法を提
供することにある。より具体的には、セルロースを原料
とし、有用な化合物へと変換する新規な方法、ならび
に、かかる方法を利用して、多量のセルロースに対して
も、その再資源化処理を可能とするようなセルロースの
再資源化方法を提供することが、本発明の最終的な目的
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく、精力的な研究開発・検討を進めるに際
し、セルロース自体は、β−D−1,4−グルカンであ
り、D−グルコースを単位とする多糖類の一種であり、
このD−グルコース単位の炭素数を維持する有用な有機
化合物へと変換することが望ましいと判断した。その方
針に従って、鋭意研究を進めた結果、セルロース(β−
D−1,4−グルカン)を一旦D−グルコースに分解
し、このD−グルコースを中間原料として、グルコノラ
クトン(D−グルコノ−1,4−ラクトンまたはD−グ
ルコノ−1,5−ラクトン)あるいはD−グルコン酸に
変換し、さらに、部分還元して、カプロン酸に変換する
ことが可能であることを初めて見出した。加えて、本発
明者は、この方法によって、セルロースから得られるカ
プロン酸(ヘキサン酸)自体、中間原料D−グルコース
の炭素数を維持する直鎖の飽和カルボン酸であり、香料
の原料や合成中間体として、産業上の多くの分野で利用
できる可能性を有することから、本発明者が見出したセ
ルロースを原料として、カプロン酸を製造する方法は、
セルロースの効率的な再資源化の手段となることを確認
し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明のカプロン酸の製造方法
は、下記式(I):
【0008】
【化5】
【0009】で示されるカプロン酸をセルロースから製
造する方法であって、(i)セルロースを加水分解して
グルコースを得る工程、(ii)前記工程(i)で得られ
るグルコースを酸化してグルコノラクトンを得る工程、
および(iii)前記工程(ii)で得られるグルコノラク
トンを還元してカプロン酸を得る工程を有することを特
徴とするカプロン酸の製造方法、あるいは、下記式
(I):
【0010】
【化6】
【0011】で示されるカプロン酸をセルロースから製
造する方法であって、(i)セルロースを加水分解して
グルコースを得る工程、(ii)前記工程(i)で得られ
るグルコースを酸化してグルコン酸を得る工程、および
(iii)前記工程(ii)で得られるグルコン酸を還元し
てカプロン酸を得る工程を有することを特徴とするカプ
ロン酸の製造方法である。
【0012】また、本発明のセルロースの再資源化方法
は、前記の二種のカプロン酸の製造方法を利用して、セ
ルロースの再資源化を図る方法であり、より具体的に
は、セルロースを再資源化する方法であって、(i)セ
ルロースを加水分解してグルコースを得る工程、(ii)
前記工程(i)で得られるグルコースを酸化してグルコ
ノラクトンを得る工程、および(iii)前記工程(ii)
で得られるグルコノラクトンを還元して、下記式
(I):
【0013】
【化7】
【0014】で示されるカプロン酸を得る工程を有し、
資源として利用可能なカプロン酸にセルロースを変換す
ることを特徴とするセルロースの再資源化方法、あるい
は、セルロースを再資源化する方法であって、(i)セ
ルロースを加水分解してグルコースを得る工程、(ii)
前記工程(i)で得られるグルコースを酸化してグルコ
ン酸を得る工程、および(iii)前記工程(ii)で得ら
れるグルコン酸を還元して、下記式(I):
【0015】
【化8】
【0016】で示されるカプロン酸を得る工程を有し、
資源として利用可能なカプロン酸にセルロースを変換す
ることを特徴とするセルロースの再資源化方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のセルロースの再資源化方
法、ならびに、それに利用されるカプロン酸の製造方法
においては、セルロースを一旦加水分解してグルコース
とするが、この工程で生成されるグルコースを分離・回
収する際には、そのグルコースは、例えば、鎖状のD−
グルコースに対応する環状のα−D−グルコピラノース
などに互変異性化したものをも含むものであってもよ
く、この環状のα−D−グルコピラノースを含む中間原
料グルコースを用いる方法も、本発明の技術範囲に属す
るものである。
【0018】一方、本発明のセルロースの再資源化方法
において、有用な最終生成物として回収されるカプロン
酸は、天然では、乳脂やココナツ油などに含まれ、ある
いは、対応するヘキシルアルコールを酸化して、カルボ
ン酸とする方法でも得られる。なお、カプロン酸の化学
的な製造方法としては、対応するニトリル;シアン化ペ
ンチルを加水分解する方法、脱炭酸のため、ブチルマロ
ン酸を分解する方法、ヘキシルアルコールを硝酸で酸化
させる方法、さらには、臭化ペンチル、金属マグネシウ
ム、および二酸化炭素をグリニャール反応させる方法な
どが知られているものの、本発明の方法において、その
部分工程をなす、グルコノラクトンまたはグルコン酸を
還元してカプロン酸を得るという手段は、本発明者以外
は未だ見出していない。
【0019】次に、好ましい実施の形態を例示するとと
もに、本発明の方法をより詳細に説明する。
【0020】本発明にかかるカプロン酸の製造方法は、
下記する(i)〜(iii)の三段階の工程を経て、セル
ロースからカプロン酸への変換を行う方法である。
【0021】(i)セルロースを加水分解してグルコース
を得る工程 (ii)グルコースを酸化してグルコノラクトンまたはグ
ルコン酸を得る工程 (iii)グルコノラクトンまたはグルコン酸を還元して
カプロン酸を得る工程 工程(i)のセルロースを加水分解してグルコースを得
る際、原料として利用するセルロースとしては、勿論、
市販のセルロースを使用することができるものの、本発
明の本来の目的では、古紙類、廃材等の木材などを元
に、これらを適宜処理して得られる廃セルロースを出発
原料として使用する形態をとることが望ましい。従っ
て、出発原料として、廃セルロースを利用して、一旦グ
ルコースを中間原料として得る工程を設けるとともに、
本発明の方法における特徴的な工程、すなわち、工程
(iii)のグルコノラクトンまたはグルコン酸からカプ
ロン酸を合成する方法の確立によって、例えば、廃棄さ
れたコピー済み用紙など古紙類から回収される、廃セル
ロースの再資源化への新たな道筋を開く手段となるもの
である。
【0022】以下、本発明の方法に含まれる、上記の工
程(i)〜(iii)の各工程について説明する。
【0023】工程(i):セルロースからグルコースへ
の変換(セルロース→グルコース) セルロースからグルコースへの変換は、セルロース(β
−D−1,4−グルカン)の構成単位であるグルコース
間のグルコシド結合を、例えば、セルラーゼなどの酵素
により分解する方法、硫酸や塩酸などの酸による分解方
法、あるいは超臨界水による分解方法等を利用して、グ
ルコース単位に加水分解する手段が挙げられる。廃棄さ
れたコピー済み用紙など古紙類から回収される、廃セル
ロースは、通常、β−D−1,4−グルカンであり、得
られるグルコースもD−グルコースとなる。なお、その
グルコースは、例えば、鎖状のD−グルコースに対応す
る環状のα−D−グルコピラノースなどに互変異性化し
たものをも含むものであってもよい。また、セルラーゼ
は、D−グルコース二分子からなる還元性二糖であるセ
ロビオースをも生成するが、このセロビオースを更に加
水分解して、D−グルコースに変換する二段階の方法を
利用してもよい。
【0024】工程(ii):グルコースからグルコノラク
トンまたはグルコン酸への変換(グルコース→グルコノ
ラクトンまたはグルコン酸) 前工程(i)で得られた単糖のグルコースは、その立体
配置(光学活性)を保ったまま、対応するグルコノラク
トンまたはグルコン酸への変換がなされる。
【0025】グルコースからグルコノラクトンへの変換
は、グルコースを臭素酸化する方法やグルコース酸化酵
素であるノタチンを用いる方法などが挙げられる。
【0026】グルコースからグルコン酸への変換は、臭
素を飽和させた硫酸中でグルコースを酸化し、加水分解
する方法、グルコース溶液の電解酸化による方法、ある
いはペニシリウム属の細菌を用いたグルコン酸発酵によ
る方法などが挙げられる。
【0027】かかる選択的な酸化反応においては、鎖状
のD−グルコースに代えて、環状のα−D−グルコピラ
ノースを利用することができる。また、グルコノラクト
ン(D−グルコノ−1,4−ラクトンまたはD−グルコ
ノ−1,5−ラクトン)あるいはD−グルコン酸は、水
溶液中においては平衡混合物として存在するため、両者
の区分は必ずしも厳格なものとはならない。また、本発
明の方法においては、この種の反応は、水溶液中におい
て実施することも多く、二つの手段相互の区別は、初期
生成物が、グルコノラクトンであるか、グルコン酸であ
るか、この差異に従いなされるものである。
【0028】工程(iii):グルコノラクトンまたはグ
ルコン酸からカプロン酸への変換(グルコノラクトンま
たはグルコン酸→カプロン酸) 前記工程(ii)で得られるグルコノラクトンあるいはグ
ルコン酸は、中間原料となるD−グルコースあるいはα
−D−グルコピラノースの立体配置(光学活性)を保持
するものであるが、グルコノラクトンあるいはグルコン
酸からカプロン酸(ヘキサン酸)へと変換することによ
り、光学活性中心はなくなる。従って、本発明の方法に
おいては、工程(i)ならびに工程(ii)において、酵
素を用いた反応を利用する際、利用する酵素は、一般に
D−グルコースあるいはα−D−グルコピラノースを生
成する、ならびに、基質とするため、出発原料のセルロ
ース自体は、通常、β−D−1,4−グルカン型のセル
ロースが利用されるもの、その理由を除くならば、本発
明の方法は、本質的には、セルロースの立体配置に依存
しないものである。この工程(iii)に利用される部分
還元方法としては、グルコノラクトンまたはグルコン酸
を赤リンとヨウ化水素酸で還元する方法を挙げることが
できる。
【0029】本発明のセルロースの再資源化方法は、セ
ルロースを出発原料として、有用な有機化合物へと変換
して、再資源化を図る際、上述する本発明のカプロン酸
の製造方法を利用するものである。なお、出発原料に用
いるセルロースとして、廃棄されたコピー済み用紙など
古紙類から回収される、廃セルロースの利用がなされる
が、この廃セルロースの回収を行う手段は、従来から用
いられる手段を利用することができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により、本発明について、さら
に具体的に説明する。なお、以下にあげる実施例は、本
発明の最良の実施の形態の一例ではあるものの、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】(実施例1)セルロース(日本製紙製、KC
フロックW−100)500重量部を酵素溶液1505
0重量部に投入し、45℃で8時間撹拌した。酵素溶液
は、セルラーゼ(明治製菓製、メイセラーゼTP60)5
0重量部を酢酸/酢酸ナトリウム水溶液(pH4.5)15
000重量部に溶解したものを用いた。反応後、メタノ
ール1000重量部を加えた後、水溶性残渣を濾別し、
濾液を、さらにイオン交換樹脂カラム(オルガノ社製、
アンバライトIR−120B)を通過させた。次いで、回
収された混合液について、溶媒留去した。反応混合物を
分離精製して、グルコース300重量部を得た。
【0032】12%炭酸バリウム水溶液8000重量部
に二酸化炭素を飽和した後、ここへ臭素330重量部と
グルコース300重量部を加え、25℃で30分間撹拌
して、下記化学式(II):
【0033】
【化9】
【0034】で表されるグルコノラクトン(D−グルコ
ノ−1,5−ラクトン)250重量部を得た。
【0035】次いで、赤リンとヨウ化水素酸(ヨウ化水
素の水溶液)とを利用して、前記化学式(II)のグルコ
ノラクトンを部分還元して、対応する脂肪族カルボン酸
とした。具体的には、赤リン88重量部と前記化学式
(II)のグルコノラクトン250重量部をヨウ化水素酸
(d=1.6)12000重量部に加え、20時間加熱環
流を行った。反応混合物を濾過し、その濾液をエーテル
抽出した後、エーテル層を5%亜硫酸水素ナトリウム水
溶液で洗浄した。エーテルを留去後、減圧蒸留して脂肪
族カルボン酸147重量部を得た。
【0036】回収された脂肪族カルボン酸について、FT
−IR FTS135(BIO RAD製)を用いて、赤外吸収スペクト
ル(liquid film)を測定した。図1に、測定されたFT−
IRスペクトルを示す。図1に示す赤外吸収スペクトル
(liquid film)と、報告されているカプロン酸(ヘキサ
ン酸)の赤外吸収スペクトルとの対比により、生成物の
脂肪族カルボン酸は、カプロン酸(ヘキサン酸)である
ことが示唆された。
【0037】さらに、FT−NMR DPX400(Bruker製、40
0MHz)を用いて、1H−NMRを測定した。図2に示す、測
定された1H−NMRスペクトルでは、0.90、1.33、
1.64、2.35、11.2ppmのシグナルが観測され
た。
【0038】同様に、13C−NMRを測定したところ、図3
に示す13C−NMRスペクトルがえられ、炭素数6に対応し
て、13.9、22.4、24.5、31.4、34.2、
180.8ppmのシグナルが観測された。以上の1H−NM
R、13C−NMRの測定結果から、生成物の脂肪族カルボン
酸は、カプロン酸(ヘキサン酸)であることを確認し
た。
【0039】(実施例2)実施例1と同様にして得たグ
ルコース300重量部を臭素で飽和させた27Nの硫酸
2500重量部中で酸化、加水分解して下記化学式(II
I):
【0040】
【化10】
【0041】で表されるグルコン酸(D−グルコン酸)
290重量部を得た。
【0042】次いで、赤リンとヨウ化水素酸(ヨウ化水
素の水溶液)とを利用して、前記化学式(III)のグル
コン酸を部分還元して、対応する脂肪族カルボン酸とし
た。具体的には、赤リン102重量部とグルコン酸(II
I)290重量部をヨウ化水素酸(d=1.6)14000
重量部に加え、20時間加熱環流を行った。実施例1と
同様の後処理を行い、反応生成物として脂肪族カルボン
酸155重量部を回収した。
【0043】本実施例2で回収された脂肪族カルボン酸
について、赤外吸収スペクトルを測定した結果、図1に
示す実施例1の脂肪族カルボン酸の赤外吸収スペクトル
と同様のスペクトルが得られ、カプロン酸が得られてい
ることが示唆された。さらに、1H−NMRと13C−NMRを測
定したところ、実施例1に記載した図2、図3に示すス
ペクトルと同様の測定結果が得られていた。以上の赤外
吸収スペクトル、1H−NMRと13C−NMRの測定結果から、
カプロン酸が合成されたことが確認された。
【0044】(実施例3)PPC用再生紙(キャノン販売
会社、EN−500、A4)の使用済みのもの(片面に複
写機でコピー)を5mm角に裁断し、その500重量部を
酵素溶液15050重量部に投入し、45℃で10時間
撹拌した。酵素溶液は、セルラーゼ(明治製菓製、メイ
セラーゼTP60)50重量部を酢酸/酢酸ナトリウム水
溶液(pH4.5)15000重量部に溶解したものを用い
た。この酵素反応後、メタノール1000重量部を加え
た後、水溶性残渣を濾別した。濾液を、さらにイオン交
換樹脂カラム(オルガノ社製、アンバライトIR−120
B)を通過させ、溶媒留去した。反応混合物を分離精製
して、グルコース280重量部を得た。
【0045】12%炭酸バリウム水溶液7500重量部
に二酸化炭素を飽和した後、ここへグルコース280重
量部と臭素300重量部を加え、25℃で30分間撹拌
して、グルコノラクトン230重量部を得た。
【0046】赤リン80重量部とグルコノラクトン23
0重量部をヨウ化水素酸(d=1.6)11000重量部
に加え、20時間加熱環流を行った。反応混合物を濾過
し、その濾液をエーテル抽出した後、エーテル層を5%
亜硫酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。エーテルを留
去後、減圧蒸留して脂肪族カルボン酸135重量部を得
た。
【0047】回収された脂肪族カルボン酸について、赤
外吸収スペクトルを測定した結果、図1に示すFT-IRス
ペクトルと同様のスペクトルが得られ、カプロン酸が得
られていることが示唆された。さらに、1H−NMRと13C−
NMRを測定したところ、実施例1の図2ならびに図2と
同様の測定結果が得られ、以上の測定結果からカプロン
酸が合成されたことを確認した。
【0048】(実施例4)実施例3と同様にして、使用
済みPPC用再生紙から得たグルコース280重量部を臭
素で飽和させた27Nの硫酸2300重量部中で酸化、
加水分解してグルコン酸270重量部を得た。
【0049】赤リン95重量部とグルコン酸270重量
部をヨウ化水素酸(d=1.6)13000重量部加え、
20時間加熱環流を行った。実施例1と同様の後処理を
行い、脂肪族カルボン酸144重量部を得た。
【0050】回収された脂肪族カルボン酸について、赤
外吸収スペクトルを測定した結果、図1に示すFT-IRス
ペクトルと同様のスペクトルが得られ、カプロン酸が得
られていることが示唆された。さらに、1H−NMRと13C−
NMRを測定したところ、実施例1の図2ならびに図2と
同様の測定結果が得られ、以上の測定結果からカプロン
酸が合成されたことを確認した。
【0051】
【発明の効果】本発明のカプロン酸の製造方法は、出発
原料のセルロースから中間原料となるグルコースを経て
得られるグルコノラクトンまたはグルコン酸を部分的に
還元することによって、カプロン酸を製造する方法であ
り、出発原料のセルロース自体の起源には依らないもの
である。従って、本発明のカプロン酸の製造方法を利用
して、古紙類や使用済み充填材などに含有されるセルロ
ース、すなわち、回収された廃セルロースを出発物質と
して、工業製品の原料として有用なカプロン酸を得ると
いう、セルロースの再資源化を図る上で、効率的な方法
となる。この本発明のセルロースの再資源化方法は、今
後ますますその重要性を増す、セルロースの再資源化の
確立に道を開くものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を利用し、実施例1で合成された
脂肪族カルボン酸の赤外吸収スペクトルを示し、この脂
肪族カルボン酸の主成分がカプロン酸であることを示す
結果である。
【図2】本発明の方法を利用し、実施例1で合成した脂
肪族カルボン酸の1H−NMRを示す図である。
【図3】本発明の方法を利用し、実施例1で合成した脂
肪族カルボン酸の13C−NMRを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 11/10 B09B 3/00 304Z // C08L 1:00 ZAB Fターム(参考) 4D004 AA12 AB05 BA06 CA12 CA13 CA15 CA34 CA36 CA37 CA39 CA40 CA44 CC01 CC07 CC11 4F301 AA02 AB02 AB03 CA09 CA23 CA33 CA41 CA65 CA68 4H006 AA02 AC46 BE90

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I): 【化1】 で示されるカプロン酸をセルロースから製造する方法で
    あって、 (i)セルロースを加水分解してグルコースを得る工
    程、 (ii)前記工程(i)で得られるグルコースを酸化して
    グルコノラクトンを得る工程、および (iii)前記工程(ii)で得られるグルコノラクトンを
    還元してカプロン酸を得る工程を有することを特徴とす
    るカプロン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 下記式(I): 【化2】 で示されるカプロン酸をセルロースから製造する方法で
    あって、 (i)セルロースを加水分解してグルコースを得る工
    程、 (ii)前記工程(i)で得られるグルコースを酸化して
    グルコン酸を得る工程、および (iii)前記工程(ii)で得られるグルコン酸を還元し
    てカプロン酸を得る工程を有することを特徴とするカプ
    ロン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 セルロースを再資源化する方法であっ
    て、 (i)セルロースを加水分解してグルコースを得る工
    程、 (ii)前記工程(i)で得られるグルコースを酸化して
    グルコノラクトンを得る工程、および (iii)前記工程(ii)で得られるグルコノラクトンを
    還元して、下記式(I): 【化3】 で示されるカプロン酸を得る工程を有し、資源として利
    用可能なカプロン酸にセルロースを変換することを特徴
    とするセルロースの再資源化方法。
  4. 【請求項4】 セルロースを再資源化する方法であっ
    て、 (i)セルロースを加水分解してグルコースを得る工
    程、 (ii)前記工程(i)で得られるグルコースを酸化して
    グルコン酸を得る工程、および (iii)前記工程(ii)で得られるグルコン酸を還元し
    て、下記式(I): 【化4】 で示されるカプロン酸を得る工程を有し、資源として利
    用可能なカプロン酸にセルロースを変換することを特徴
    とするセルロースの再資源化方法。
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