JP2002307200A - 塑性加工装置の高速運動部品 - Google Patents

塑性加工装置の高速運動部品

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JP2002307200A
JP2002307200A JP2001115703A JP2001115703A JP2002307200A JP 2002307200 A JP2002307200 A JP 2002307200A JP 2001115703 A JP2001115703 A JP 2001115703A JP 2001115703 A JP2001115703 A JP 2001115703A JP 2002307200 A JP2002307200 A JP 2002307200A
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JP
Japan
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moving part
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plastic working
aluminum
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JP2001115703A
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English (en)
Inventor
Atsuyoshi Kimura
篤良 木村
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Yamada Dobby Co Ltd
Original Assignee
Yamada Dobby Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】塑性加工装置の高速運動部品において、強度・
靱性が大幅に改善されて、相対的な軽量化が可能とな
り、及び/又は、線膨張率も低くて、プレス加工等にお
ける高精度加工の達成が容易な高速運動部品を提供する
こと。 【解決手段】塑性加工装置1におけるプレス機スライド
10等の鉄系材料製の高速運動部品の該鉄系材料が、結
晶粒度(平均粒径)約13μm以下、熱変形量約0.7
mm/m以下の特性を示す微細組織物であること。ま
た、高速運動部品がアルミニウム系材料で形成されるも
のにおいてはアルミニウム系材料が結晶粒度(平均粒
度)約26μm以下の微細組織物であること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、プレス機等の塑性加工装置にお
ける高速運動部品(工作機械部品)に関する。より詳し
くは、現在主流であるダクタイル鋳鉄(ductile cast i
ron)製部品に比して、強度(引張り強さ、疲れ強さ)
に優れ、軽量化可能であり、さらには硬さも高く、さら
には、熱変形量も小さくて、塑性加工装置における高速
運動部品の高速化・加工高精度化の要請に対応可能な高
速運動部品に関する。
【0002】
【背景技術】本明細書で金属材料特性は、下記JISに準
じて又は下記方法に準じて測定した値を意味する。
【0003】密度…汎用の水置換法 引張り強さ、伸び…JIS Z2241 疲れ強さ…JIS Z2273 ブリネル硬さ…JIS Z2243 熱変形量…3個の試験片(長さ100mm×幅50mm
×肉厚10mm) を常温(20℃)から100℃まで加熱して、1/10
00mm単位で加温前後伸び量を測定した後、1m当り
伸び量の平均値を求めた。
【0004】耐食性…3個の試験片(長さ20mm×幅
10mm×肉厚10mm)を塩水(5%NaCl、20
℃)に96h浸漬して腐食試験後、水道水でよく洗っ
て、試験前後の重量さを測定し、1m2・1h当りの減
少量の平均値を求めた。
【0005】従来から、産業機械部品(塑性加工装
置)、中でもプレス機等の高速運動部品には複雑な形状
のものが多い。
【0006】例えば、プレス機のスライドは、矩形箱形
のスライドケースの中間高さ位置がコネクチングロッド
接続壁部、下面が上型取付壁部とされ、両壁部の間に水
平方向に貫通穴を形成する複数枚の補強リブが配された
基本構成を備えている。そして、スライドケースの四隅
には縦方向にガイドリブが形成されている。なお、コネ
クチングロッドは、クランクシャフトとスライドとを接
続するためのものである。
【0007】上記の如く、スライドの内部形状は中空で
複雑な上、外部形状も凹凸を有する。このため、当該ス
ライドは、一般に鋳造品とし、鋳造材料は、強度的見地
から鋳鉄(例えばダクタイル鋳鉄)を使用することが多
い。一方プレス機のフレームも凹凸が多くて、一般に鋳
造品であり、強度的見地から鋳鉄で形成している。
【0008】しかし、昨今、プレス機等におけるスライ
ド等の高速運動部品の高速化及び高精度化が求められる
ようになってきている。
【0009】密度の大きい鋳鉄(例えば、ねずみ鋳鉄
(FC300)の場合、密度:7300kg/m3 )で
スライドを製造すると、スライドの重量(質量)が相対
的に大きなものとなる。さらにスライドに装着される金
型(上型)重量(質量)が加算されて、スライドの慣性
力が増大する。この慣性力の増大は、プレス機の高速化
及び高精度化の阻害要因となる。
【0010】すなわち、プレス機の高精度化を達成する
ためには、クランクシャフトの回転方向の変換に際し
て、大きな慣性力が残存しているうちに回転方向の変換
をする必要がある。大きな慣性力に対抗して方向変換す
るとクランクシャフトに芯振れ等が発生して、結果的に
クランクシャフトの回転力を阻害し、高精度化を達成し
難くなる。
【0011】さらに鋳鉄は、熱変形量が大きい(例え
ば、ねずみ鋳鉄(FC300)の場合、線膨張率:9.
8×10-6-1)。そのため、スライドの往復運動によ
りスライド/フレーム間で摩擦熱が発生した際や、クラ
ンクシャフト回転運動で発生する摩擦熱が、コネクチン
グロッドを介してスライドへ伝達された際、スライド及
びフレームが蓄熱・膨張・変形し、精度低下の原因とな
る。
【0012】そこで、高速運動部品であるスライドの重
量(質量)を軽減するために、密度の小さい金属(例え
ば、Alの場合、密度:2700kg/m3 )、特に強
度が得易い軽合金で鋳造する試みがなされていた。
【0013】しかしながら、軽合金は鋳鉄よりもさらに
熱変形量が大きいため(例えばAl合金の線膨張率:約
21.1×10-6-1)、精度低下の原因を除去するこ
とはできなかった。すなわち、軽合金を使用したスライ
ド(高速運動部品)では、高速運動の摩擦熱により高温
になった際に、スライドが摺動する鋳鉄製のフレーム
(相手部品)との間でカジリや摩耗が発生し易かった。
【0014】さらに、軽合金では、一般に、鋳鉄に比し
て強度を得難く(剛性率が低いため)、スライド下面に
下型を取り付けた際、下面に撓みが発生して(特に高温
となった場合)、プレス機における金型が正規位置から
ずれるおそれがある。このため、プレス加工の高精度化
を達成することが困難となる。
【0015】
【発明の開示】本発明の一つは、鉄系材料製の高速運動
部品において、強度・靱性が大幅に改善されて、相対的
な軽量化が可能となり、及び/又は、線膨張率も低く
て、プレス加工等における高精度加工の達成が容易な高
速運動部品を提供することを目的とする。
【0016】本発明の鉄系材料製の高速運動部品は、下
記構成により上記目的を達成する。
【0017】塑性加工装置における高速運動部品であっ
て、該高速運動部品の全部又は主要部が鉄系材料で形成
されているものにおいて、該鉄系材料が、結晶粒度(平
均粒径)約13μm以下、望ましくは約5μm以下の微
細組織物であることを特徴とする。
【0018】結晶粒度が所定値以下の鉄系材料は、従来
の汎用の結晶粒度の大きな汎用の鉄系材料に比して強度
(引張り強さ、疲れ強さ)が格段に優れ、高速運動部品
の断面積を相対的に小さくでき、すなわち、高速運動部
品を相対的に軽量化可能となる。さらには、熱変形量も
小さいものが得やすくて、高速化に伴う蓄熱/発熱にも
対応し易くなる。
【0019】なお、表1によれば、本発明で使用する鉄
系材料は、従来の鉄系材料に比して、引張り強さ:約
1.5倍以上(望ましい範囲では約2倍以上)、疲れ強
さ:約1.3倍以上(望ましい範囲では約1.8倍以
上)、また、線膨張率:約15%以上減(望ましい範囲
では約30%以上減)である。
【0020】換言すれば、本発明の塑性加工装置におけ
る鉄系材料製の高速運動部品は、鉄系材料が、引張強
さ:約600MPa以上、ブリネル硬さ(HB):約1
80以上、疲れ強さ:約150MPa以上の特性を示す
ものである。これらの高速運動部品を形成する鉄系材料
がこれらの特性を示すものであることにより(表1参
照)、高速運動部品を相対的に軽量化可能となり、耐久
性も疲れ強さ増大が相乗して、耐久性の増大及び塑性加
工の高精度化が期待できる。
【0021】また、熱変形量:約0.7m/m(20〜100
℃)以下の特性を示す鉄系材料で形成することで、高速
運動部品の蓄熱/発熱に対応し易くなる。
【0022】そして、上記各構成の高速運動部品を、プ
レス機のスライドに適用する場合は、通常、10mm以
上の厚さを有するものとする。
【0023】本発明の他の一つは、アルミニウム系材料
製の高速運動部品において、強度・靱性が大幅に改善さ
れて、相対的な軽量化が可能となり、及び/又は、線膨
張率も低くて、プレス加工等における高精度加工の達成
が容易な高速運動部品を提供することを目的とする。
【0024】上記発明における他の目的は、アルミニウ
ム系材料製の高速運動部品において、アルミニウムの弱
点である耐食性に優れた高速運動部品を提供することを
目的とする。
【0025】本発明のアルミニウム系材料製の高速運動
部品は、上記課題を下記構成により解決するものであ
る。すなわち、塑性加工装置における高速運動部品であ
って、高速運動部品の全部又はその主要部がアルミニウ
ム系材料で形成されているものにおいて、アルミニウム
系材料が、結晶粒度(平均粒径)約26μm以下、望ま
しくは約10μm以下の微細組織化物であることを特徴
とする。
【0026】結晶粒度が所定値以下のアルミニウム系材
料は、従来の結晶粒度が大きなアルミニウム系材料に比
して、強度(引張り強さ・疲れ強さ)に優れ、高速運動
部品の断面積を相対的に小さくでき、すなわち、アルミ
ニウム系材料製の高速運動部品のさらなる軽量化が可能
となる。また、熱変形量も格段に小さいものとなり、高
速化に伴う蓄熱/発熱にも対応が極めて容易となる。さ
らには、アルミニウム系材料の弱点である耐食性も格段
に改善され、腐食が発生し易い環境下での塑性加工装置
の使用が可能となる。
【0027】なお、表2によれば、本発明で使用するア
ルミニウム系材料は、従来のアルミニウム系材料に比し
て引張り強さ:約1.25倍以上(望ましい範囲では約
2倍以上)、疲れ強さ:約1.2倍(望ましい範囲では
約2倍以上)、また、線膨張率:約1/3以下(約77
%減)、さらには、耐食性(腐食量)が約60%以上減
となっている。
【0028】換言すれば、本発明の塑性加工装置におけ
るアルミニウム系材料製の高速運動部品は、引張強さ:
約400MPa以上、ブリネル硬さ(HB):約60以
上、疲れ強さ:約200MPa以上の特性を示すアルミ
ニウム系材料で形成することで、高速運動部品を相対的
に軽量化可能となる。これらの高速運動部品を形成する
鉄系材料がこれらの特性を示すものであることにより
(表2参照)、高速運動部品を相対的に軽量化可能とな
り、耐久性も疲れ強さ増大が相乗して、耐久性の増大及
び塑性加工の高精度化が期待できる。
【0029】また、熱変形量:約0.65mm/m(20
〜100℃)以下の特性を示すアルミニウム系材料で形成す
ることで、即ち、従来の鉄系材料よりも低い熱変形量と
なり、高速運動部品の蓄熱/発熱に対応し易くなる。
【0030】さらには、耐食性(塩水腐食試験):約
3.0g/m2/h以下の特性を示すアルミニウム系材
料で形成することにより、腐食環境下で使用される塑性
加工装置における高速運動部品への適用が可能となる。
【0031】そして、上記各構成の高速運動部品を、プ
レス機のスライドに適用する場合は、通常、板幅約15
0mm以上を有するものとする。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態である塑
性加工装置における高速運動部品を図面に基づいて説明
する。なお、本明細書で「鉄系材料」とは、鉄及び鉄に
少量の合金元素を含むものを、「アルミニウム系材料」
とは、アルミニウム(Al)及びAlに少量の合金元素
を含むものをそれぞれ意味する。
【0033】図1は、本発明の一実施形態であるスライ
ド(高速運動部品)10を示し、図2に示すようなスト
レートサイド型のプレス機(組成加工装置)1に組み込
まれるものである。
【0034】スライド10は、矩形箱形の外形を有して
おり、該箱形の四隅にガイドリブ15がスライド下面1
3より下方に延設されている。箱形の上下方向中間高さ
位置にコネクチングロッド5が連結されるロッド連結壁
部11を備えている。該ロッド連結壁部11の上方は、
開放空間とされ、ロッド接続壁部11の下方は、下面の
上型取り付け壁部13との間が中空に形成され、該中空
の周壁には中子砂抜きのための抜き穴10aが複数個形
成されている。
【0035】上記スライド10は、クラウン2内に配置
されるクランクシャフト(図示せず)にコネクチングロ
ッド5を介してコラム(フレーム)3内に配置される。
そしてスライド10の下面には、上型6が装着され、該
上型6がベッド4にボルスター7を介して装着された下
型9に対して接近・離隔する方向に往復運動可能とされ
ている。また、スライド10はコラム3にガイドされる
ガイドリブ15を有しており、下型9に対して平行移動
可能とされている。
【0036】図3は別の実施形態を示すスライド19を
示し、主にC型プレス機に組み込まれるものである。
【0037】該スライド19の具体的構成は、後部両側
に傾斜面を有するガイド部21が縦方向に形成され、該
一対のガイド部21から前方に向かって一対のリブ部2
7が平行に配設されている。リブ部27間の下方にコネ
クチングロッドに接続される軸受け部23が形成され、
軸受け部23の下方に形成されるスライド下面は、上型
取付壁部25とされている。
【0038】上記のようなスライド(高速運動部品)1
0、19は、高速で上下往復運動をされ、上型を介して
加工材料に圧力をかけて加工するものであるから、スラ
イド自体の摩耗・変形を防ぐため、高剛性、高硬度が要
求される。さらに軽量であること、熱変形量(線膨張
率)が小さいことが要求される。
【0039】上記スライド以外にも、プレス機における
リンク/レバーや、コネクチングロッド等、上記同様の
特性が要求され、本発明の高速運動部品として適用可能
である。
【0040】すなわちプレス機のリンク/レバーとは、
リンクプレスにおけるスライドの駆動機構であり、回転
運動と直線運動の変換機構である。スライドが高速で往
復直線運動され、被プレス材料に圧力を加えて加工する
のにともない、リンク/レバーは高速回転運動、及び衝
撃に対しての強さを要求される。そのため、接続部の高
剛性、軽量化、さらには熱膨張率(線膨張率)が小さい
ことが望まれる。
【0041】コネクチングロッドは、クランクプレスに
おいて、クランク軸によって駆動され、スライドで軸受
けされるスライドの駆動機構である。スライドが高速で
往復運動され、被プレス材料に圧力を加えてプレス加工
するのに伴い、コネクチングロッドの特に両端接続部で
は、耐摩耗性が要求される。その他、上記リンク・レバ
ーと同様、衝撃に対しての強さが必要とされるため、高
剛性、さらには軽量化等が望まれる部品である。
【0042】なお、本発明は、プレス機等の組成加工装
置に組み合わされて使用される搬送装置(広い意味で組
成加工装置)であるグリッパフィーダ12(図4)や、
トランスファー22(図5)における高速運動部品にも
適用できる。
【0043】グリッパフィーダ12は、工作物(被プレ
ス材料)をプレス加工のタイミングに合わせて加工装置
に搬送するための搬送装置である。該グリッパフィーダ
12における移動グリッパ(高速運動部品)14は、高
速往復運動を行う。このため、耐摩耗性等が要求され、
軽量化することが必要とされている。また、スライド1
6(駆動軸17と直結されている。)と移動グリッパ1
4とを連結するクランクレバー18は、移動グリッパ1
4の往復運動を担う駆動機構であり、高剛性、耐摩耗性
等が要求される。なお、20は、移動グリッパ14のガ
イド軸である。
【0044】トランスファー22は、工作物を直線に搬
送して、多工程の加工を並列に可能とするための搬送装
置である。該トランスファ22におけるフィードバー
(高速運動部品)24は、連続多段加工用送り装置の部
品であって、高速矩形運動を行う一対のバーである。そ
のため、軽量化、高剛性(引張り強さ)、耐摩耗性(硬
さ)等が要求される。なお、26は機枠、28はカムケ
ースである。
【0045】本発明は、上記各高速運動部品(スライド
10、19;移動グリッパ14;フィードバー24)を
鉄系材料及び/又はアルミニウム系材料で形成すること
を前提とする。
【0046】高速運動部品は、通常、鋳造で一体、又
は、各部材要素を切削又は鋳造で形成した後、機械的結
合(ボルト、リベット等)若しくは溶接等で一体化して
形成する。そして、鋳造で成形する場合及び熱膨張率が
大きく違う場合、同一又は同種の鉄系材料又はアルミニ
ウム系材料でそれぞれ形成するが、必要により、複合的
な構成とすることも可能である。
【0047】特に、本発明で使用する鉄系材料及びアル
ミニウム系材料は、熱変形量(熱膨張率)は、従来の常
識に反して、略同一とすることができ(表1・2の熱変
形量の行参照)、組み込みが容易である。
【0048】なお、本実施形態の鉄系材料の高速運動部
品をプレス機のスライドとする場合は、板厚は約10m
m以上が望ましく、さらに望ましくは約15〜25mm
とする。
【0049】同じくアルミニウム系材料でスライドを形
成する場合、板幅が約150mm以上、望ましくは、約
200mm以上とすることが、従来不可能であったアル
ミニウム系材料で形成することが可能となり、効果が顕
著となる。
【0050】そして、本発明の特徴は、高速運動部品の
形成する鉄系材料及び/又はアルミニウム系材料とし
て、結晶粒度が所定値以下であるものを採用したことに
ある。
【0051】鉄系材料の場合、結晶粒度(平均粒径)
が、:約13μm以下、望ましくは約5μm以下、さらに
望ましくは約1〜3μmである。結晶粒度は、小さい方
が望ましいが、技術的/コスト的に限界があり、下限は
上記の如く約1μmとする。なお、従来の鋳鉄(FC3
00)の結晶粒度は23.5μmである(表1参照)。
このような鉄系材料としては、具体的には、鉄系メゾス
コピック組織制御材料の創製技術によって製造されたい
わゆる鉄系スーパメタルを使用する。新エネルギー/産
業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けた財団
法人金属系材料研究開発センター(JRCM)で研究開
発しているものである。
【0052】アルミニウム系材料の場合、約26μm以
下、望ましくは約10μm以下、さらに望ましくは、約
2〜6μmとする。なお、従来のAl基合金の結晶粒度
は約40μmである。
【0053】このようなアルミニウム系材料としては、
具体的には、アルミニウム系メゾスコピック組織制御材
料の創製技術によって製造されたいわゆるアルミニウム
系スーパメタルを使用する。上記鉄系材料の場合と同
様、NEDOから委託を受けたJRCMが研究開発して
いるものである。
【0054】上記結晶粒度がそれぞれ上記範囲外である
と、高速運動部品に使用可能な強度(引張り強さ、疲れ
強さ)及び硬さを得難く、かつ、高速運動部品の蓄熱/
発熱に対応可能な低熱変形量を得がたい。
【0055】すなわち、鉄系材料の場合、各特性は下記
の如くになる。
【0056】引張強さは、約600MPa以上が望まし
く、さらに望ましくは約640MPa以上、最も望まし
くは約700MPa以上とする。疲れ強さは、約180
MPa以上が望ましく、さらに望ましくは約200MP
a以上、最も望ましくは約230MPa以上とする。ブ
リネル硬さは、約HB180以上が望ましく、さらに望
ましくは約HB200以上、最も望ましくは約HB22
0以上とする。
【0057】また、熱変形量は、約0.6mm/m(20
〜100℃)以下が望ましい。
【0058】また、アルミニウム系材料の場合、各特性
は下記の如くになる。
【0059】引張強さは、約400MPa以上が望まし
く、さらに望ましくは約500MPa以上、最も望まし
くは約550MPa以上とする。疲れ強さは、約200
MPa以上が望ましく、さらに望ましくは250MPa
以上、最も望ましくは約280MPa以上とする。ブリ
ネル硬さは、約HB67以上が望ましく、さらに望まし
くは約HB72以上、最も望ましくは約HB74以上と
する。
【0060】また、熱変形量は、約0.6mm/m(20
〜100℃)以下が望ましい。とする。
【0061】さらに、耐食性(塩水腐食試験)は、約3
g/m2/h以下が望ましい。
【0062】
【実施例】本発明における効果を確認するために行った
各結晶粒度の鉄系材料試作材及びアルミニウム系試作材
について、各所物性を測定したので、それらの結果を表
1・2にそれぞれ示す。
【0063】なお、各鉄系材料試作材のうち実施例1〜
5は焼きならし材及び鋳鉄は焼きなまし材であり、各ア
ルミニウム系試作材(実施例6〜10、Al基)は、い
ずれも、焼きなまし材とした。
【0064】
【表1】
【0065】表1から、本発明の塑性加工装置における
高速運動部品を形成する鉄系材料は、鋳鉄に比して引張
り強さ、疲れ強さが格段に優れており、相対的な軽量化
が可能になることが支持される。また、硬さも高いた
め、更なる高速化、及び、熱変形量も小さいため、高速
運動部品の蓄熱/発熱に対応でき、より加工高精度化及
び生産効率の向上が期待できるものである。
【0066】なお、通常、疲れ強さは、伸びに比例し硬
さに反比例するが、伸びが小さくなりかつ硬さが高くな
るにつれて疲れ強さが増大している。このことは、本発
明で使用する鉄系材料が靱性に非常に富むことを示唆
し、超高速・高精度の塑性加工に対応可能なことが期待
できる。
【0067】なお、鋳鉄に比して密度は若干増大してい
るが、材料が高強度であるため、高速運動部品の断面積
を小さくすることができ、結果的に軽量化可能となる。
【0068】なお、鋳鉄の熱変形量0.78mm/m(2
0〜100℃)は、線膨張率に換算すると、約9.8×10
-6-1となり、前述の鋳鉄の線膨張率と一致するもので
ある。
【0069】
【表2】
【0070】表2から、同じくアルミニウム系材料は、
アルミニウムの本来有する軽量化の効果が、上記と同
様、強度増大に伴う断面積の縮小化が可能で、さらなる
軽量化が可能で、寿命・耐久性の向上を図ることができ
る。さらにアルミニウム系材料を高速運動部品に適用が
制限される原因であった、熱変形量も、鋳鉄以下、本発
明で使用する鉄系材料並に格段に小さくなり、従来のア
ルミニウム系材では困難であった、高速・高精度の塑性
加工に対応可能なこと、さらには、本発明の鉄系材料と
の複合使用が期待できる。また、従来のアルミニウム系
材料における、欠点であった、耐食性も格段に向上して
おり、腐食性雰囲気下での使用も可能となるものであ
る。
【0071】なお、Al基の熱変形量1.88mm/m
(20〜100℃)は、線膨張率に換算すると、約2.35×
10-6-1となり、前述のAl基の線膨張率(2.11
×10-6-1)より若干高くなるが、それは前述の値が
常温におけるものであり、本試験例の測定温度より低い
ためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のプレス機のスライドを示す斜視図
である。
【図2】一般的なプレス機を示す正面図である。
【図3】他の実施形態のプレス機のスライドを示す斜視
図である。
【図4】本発明を適用する工作機械部品を備えたグリッ
パフィーダの要部概略図である。
【図5】同じくトランスファー装置の要部概略図であ
る。
【符号の説明】
1 プレス機(組成加工装置) 2 クラウン 3 コラム 4 ベッド 10、19 スライド(高速運動部品) 15、21 スライドガイド部 12 グリッパフィーダ 14 移動グリッパ 18 クランクレバー 22 トランスファー 24 フィードバー

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塑性加工装置における高速運動部品であ
    って、該高速運動部品の全部又は主要部が鉄系材料で形
    成されているものにおいて、 該鉄系材料が、結晶粒度(平均粒径)約13μm以下の
    微細組織物であることを特徴とする塑性加工装置の高速
    運動部品。
  2. 【請求項2】 前記鉄系材料が、結晶粒度(平均粒径)
    約5μm以下の微細組織物であることを特徴とする請求
    項1記載の塑性加工装置の高速運動部品。
  3. 【請求項3】 塑性加工装置における高速運動部品であ
    って、該高速運動部品の全部又は主要部が鉄系材料で形
    成されているものにおいて、 前記鉄系材料が、引張強さ:約600MPa以上、疲れ
    強さ:約150MPa以上、ブリネル硬さ:約HB18
    0以上の特性を示すことを特徴とする塑性加工装置の高
    速運動部品。
  4. 【請求項4】 塑性加工装置における高速運動部品であ
    って、該高速運動部品の全部又は主要部が鉄系材料で形
    成されているものにおいて、 前記鉄系材料が、熱変形量:約0.7mm/m(20〜100
    ℃)以下の特性を示すものであることを特徴とする組成
    加工装置の高速運動部品。
  5. 【請求項5】 前記高速運動部品が、プレス機のスライ
    ドであり、約10mm以上の厚さを有することを特徴と
    する請求項1、2、3又は4記載の塑性加工装置の高速
    運動部品。
  6. 【請求項6】 塑性加工装置における高速運動部品であ
    って、前記高速運動部品の全部又はその主要部が、アル
    ミニウム系材料で形成されているものにおいて、 前記アルミニウム系材料が、結晶粒度(平均粒径)約2
    6μm以下の微細組織化物であることを特徴とする塑性
    加工装置の高速運動部品。
  7. 【請求項7】 前記アルミニウム系材料が、結晶粒度
    (平均粒径)約10μm以下の微細組織物であることを
    特徴とする請求項6記載の塑性加工装置の高速運動部
    品。
  8. 【請求項8】 塑性加工装置における高速運動部品であ
    って、前記高速運動部品の全部又はその主要部が、アル
    ミニウム系材料で形成されているものにおいて、 前記アルミニウム系材料が、引張強さ:約400MPa
    以上、疲れ強さ:約200MPa以上、ブリネル硬さ:
    約HB60以上を示すものであることを特徴とする塑性
    加工装置の高速運動部品。
  9. 【請求項9】 塑性加工装置における高速運動部品であ
    って、前記高速運動部品の全部又はその主要部が、アル
    ミニウム系材料で形成されているものにおいて、 前記アルミニウム系材料が、熱変形量:約0.65mm
    /m(20〜100℃)以下の特性を示すものであることを特
    徴とする組成加工装置の高速運動部品。
  10. 【請求項10】 塑性加工装置における高速運動部品で
    あって、前記高速運動部品の全部又はその主要部が、ア
    ルミニウム系材料で形成されているものにおいて、 前記アルミニウム系材料が、耐食性(塩水試験)が約3
    g/m2 /h以下の特性を示すことを特徴とする組成加
    工装置の高速運動部品。
  11. 【請求項11】 前記高速運動部品が、プレス機のスラ
    イドであり、板幅が約150mm以上の板幅を有するこ
    とを特徴とする請求項6、7、8、9又は10記載の塑
    性加工装置の高速運動部品。
  12. 【請求項12】 塑性加工装置における高速運動部品で
    あって、該高速運動部品の全部又は主要部が鉄系材料及
    びアルミニウム系材料で形成されているものにおいて、 前記鉄系材料及びアルミニウム系材料が、それぞれ結晶
    粒度(平均粒径)約13μm以下及び約20μm以下の
    微細組織物であることを特徴とする塑性加工装置の高速
    運動部品。
  13. 【請求項13】 塑性加工装置における高速運動部品で
    あって、該高速運動部品の全部又は主要部が鉄系材料及
    びアルミニウム系材料で形成されているものにおいて、 前記鉄系材料及びアルミニウム系材料が、それぞれ結晶
    粒度(平均粒径)約5μm以下及び約10μm以下の微
    細組織物であることを特徴とする塑性加工装置の高速運
    動部品。
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JP2001047298A (ja) * 1999-06-03 2001-02-20 Hideo Suzuki 塑性加工装置の高速運動部品

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