JP2002307090A - ライミング排液の前処理方法及びco2の固定化方法 - Google Patents

ライミング排液の前処理方法及びco2の固定化方法

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JP2002307090A
JP2002307090A JP2001113233A JP2001113233A JP2002307090A JP 2002307090 A JP2002307090 A JP 2002307090A JP 2001113233 A JP2001113233 A JP 2001113233A JP 2001113233 A JP2001113233 A JP 2001113233A JP 2002307090 A JP2002307090 A JP 2002307090A
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liming
activated sludge
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Masahiko Yamazaki
誠彦 山崎
Hajime Komatsu
元 小松
Yoshito Nagai
良人 永井
Koji Shinohara
耕司 篠原
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゼラチン製造工程で発生するライミング排液
の活性汚泥処理を安定化する前処理方法を提供すること
及び地球環境問題(地球温暖化)に対応するためのCO
2の固定化方法を提供すること。 【解決手段】 ゼラチン製造工程で発生するライミング
排液にCO2を含む排ガスを通し、該ライミング排液を
活性汚泥槽に送入することを特徴とするライミング排液
の前処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼラチン製造工程
で発生するライミング排液の前処理方法及びCO 2の固
定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゼラチンは、コラーゲンから誘導された
タンパク質で、食用、医薬用、写真用、工業用に使用さ
れる。
【0003】ゼラチンの製造法は、使用する原料と製品
の用途により違いがあるが、ゼラチンの製造工程は、大
きく原料工程、製造工程1(抽出前の処理)、製造工程
2(抽出から製品化まで)の3段階に分けられる。代表
的な牛骨を原料とするアルカリ処理ゼラチンの原料工
程、製造工程1、製造工程2のフローを下記に示す。
【0004】原料工程:原料粉砕・分級 → 脱脂 →
脱灰 → 中和 → 水洗(必要により乾燥) 製造工程1:ライミング(石灰漬) → 中和 → 水
洗 製造工程2:水洗 → 抽出 → ろ過 → 精製 →
濃縮 → ろ過 →冷却 → 成形 → 乾燥 →
粉砕 → 混合 → 計量 → 包装 製造工程1のライミング(石灰漬)でゼラチン原料は水
酸化カルシウムの懸濁水溶液の中に漬けられる。アルカ
リ剤としてもっぱら消石灰が使用されるのでこの工程を
石灰漬け(liming)という。消石灰を懸濁液とし
て使用すると、消費されるに従い懸濁液中の固体の消石
灰が解離し、石灰漬け液のpHを12〜13の強いアル
カリ性に保持することができる。処理温度は20℃以下
が好ましい。温度が高いと強いアルカリ性下であっても
原料が腐敗することがある。
【0005】処理期間は、原料の状態とゼラチンの品質
により決めるが、30〜100日、標準的には60日で
ある。この間弱い撹拌と水酸化カルシウムの懸濁水溶液
の交換を行う。
【0006】石灰漬け後は水洗と中和とを行い、原料表
面や内部の石灰を除去する。前処理により原料は抽出さ
れ易くなり、不純物が減少され、製造工程2に移行す
る。
【0007】ここで発生するライミング排液は、ゼラチ
ン原料の分解物を含む水酸化カルシウムの濃厚懸濁水溶
液であり、SS、BOD、pHが非常に高い。この処理
は、従来、硫酸や塩酸等で中和された後、活性汚泥処理
等でBODを低下させた後排出されていた。硫酸や塩酸
等で中和される前または後に、石灰漬け後の水洗や中和
により発生する洗浄排液やその他の排液(通常、ゼラチ
ン製造ではライミング排液の5〜20倍量発生する)と
混合し活性汚泥処理される場合が多い。下水道が完備し
ている地域では工場内で一定のレベルに低下するまで処
理し、最終的には工場外の下水道処理場で集中処理さ
れ、また、一般河川に放流するときは、工場内で完全に
処理した後放流される。
【0008】水酸化カルシウム濃厚懸濁水溶液を中和し
た後、活性汚泥処理する方法においては、配管や活性汚
泥槽内部にカルシウムが沈着し、目詰りを起こす。この
ため煩雑な沈着カルシウム除去作業や配管交換が必要と
なる。また、活性汚泥槽内部の微生物担体へのカルシウ
ム沈着は、担体の沈降を引き起こし、汚泥活性の低下、
さらには自己消化性の低下による余剰汚泥の発生増加を
引き起こす。
【0009】下水道放流及び河川放流とも法・条例の規
制があり、安定した水質の処理排水が必要であるが、以
上のような問題からその維持管理は困難であった。ま
た、水酸化カルシウム濃厚懸濁水溶液は高アルカリであ
るため中和に多量の酸が必要だが、多量の酸溶液の扱い
が煩雑であり、費用も多大である。
【0010】また、ゼラチン製造工程では蒸気を多量必
要とし、ボイラーやコジェネレーションシステムを使用
する。現在、ボイラーやコジェネレーションシステムの
CO 2ガスを含む排ガスはそのまま大気中に放出されて
いる。地球環境問題(地球温暖化)に対応するため排ガ
ス中のCO2の固定化は悲願であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ゼラ
チン製造工程で発生するライミング排液の活性汚泥処理
を安定化する前処理方法を提供すること及び地球環境問
題(地球温暖化)に対応するためのCO2の固定化方法
を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記手段により達成される。
【0013】1.ゼラチン製造工程で発生するライミン
グ排液にCO2を含む排ガスを通し、該ライミング排液
を活性汚泥槽に送入することを特徴とするライミング排
液の前処理方法。
【0014】2.ゼラチン製造工程で発生するライミン
グ排液にCO2を含む排ガスを通し、生じたCaCO3
除去して該ライミング排液を活性汚泥槽に送入すること
を特徴とするライミング排液の前処理方法。
【0015】3.ゼラチン製造工程で発生するライミン
グ排液にCO2を含む排ガスを通し、生じたCaCO3
Ca(HCO32に変換して該ライミング排液を活性汚
泥槽に送入することを特徴とするライミング排液の前処
理方法。
【0016】4.ゼラチン製造工程で発生するCO2
含む排ガスをライミング排液に作用させることを特徴と
するCO2の固定化方法。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
は現在の活性汚泥処理法を詳細に検討した結果、ゼラチ
ン製造工程で発生するライミング排液(水酸化カルシウ
ム及びゼラチン分解物を含む高アルカリ性の濃厚懸濁水
溶液)を硫酸や塩酸等の酸で中和した後、活性汚泥処理
する方法においては、配管や活性汚泥槽内部に沈着する
カルシウムが大きな障害になっていることを見出した。
【0018】ライミング工程は、30〜100日の長期
間に亘り、ライミング液を安定して12〜13の高pH
に保つ必要がある。水酸化カルシウムは溶解度が小さ
く、温度が高いほど溶解度は低下する。水酸化カルシウ
ムの懸濁水溶液は、ライミング工程で消費されるに従い
解離が起こって補充され、温度に対して安定してpHを
12〜13に維持できるため、ライミング工程のアルカ
リ剤としては、もっぱら水酸化カルシウムの懸濁水溶液
が使われる。水酸化カルシウム濃度は、通常、水酸化カ
ルシウムの水に対する溶解度の約10倍の高濃度で使用
され、これがカルシウム沈着の原因になっている。しか
し、現在はゼラチン品質、作業性等からこの濃度を低下
することはできない。
【0019】本発明では、ライミング工程の水酸化カル
シウム濃度を低下することなく、ゼラチン製造工程で発
生するライミング排液にCO2を含む排ガスを通し、水
酸化カルシウムを水に対する溶解度が遙かに小さいCa
CO3に変換する前処理を行うことにより、活性汚泥処
理の配管や活性汚泥槽内部のカルシウム沈着量を減らす
ものである。ライミング排液にCO2を含む排ガスを通
し発生するCaCO3については、除去しないでそのま
ま、または除去して活性汚泥槽に送入する方法がある。
また、更にCa(HCO32に変換し活性汚泥槽に送入
する方法があり、いずれも有効である。本発明の前処理
方法は、ライミング排液を洗浄排液やその他の排液と混
合前に行うことが効率の面から好ましい。
【0020】以下、ゼラチン製造工程と本発明のライミ
ング排液の前処理方法について詳述する。
【0021】〔原料〕コラーゲンは動物の結合組織を作
る主要蛋白質である。従って、動物の種類を問わず原料
として使用できるが、工業的には大量に、容易に入手で
きるという点で家畜、特に牛、豚の骨や皮が利用され
る。骨の主成分はりん酸カルシウム(ヒドロキシアパタ
イト)とコラーゲンであり、その比率や構造は骨の部位
によって異なる。骨膜に接してハードボーン(緻密骨、
硬骨)があり、その内側に空孔の多いソフトボーン(海
綿骨、軟骨)がある。ソフトボーンは有機物が多いが、
ゼラチン原料としてはハードボーンの方が好まれる。原
料の加工段階で、骨は3/8インチまたは5/8インチ
(1インチ=2.54cm)に粉砕・分級される。この
砕骨製品は、ハードボーン、ソフトボーン、両者が結合
した個体の混合物である。日本では食用、写真用、医薬
用を含めたゼラチン原料の6割以上が牛骨であり、写真
用や医薬用では特に需要が大きい。牛骨は、牛皮や豚皮
に比べ、品質ばらつきが少ない、供給が安定している、
一定サイズの粒状に加工でき、製造の自動化・合理化に
適している、物性や純度の点でよいゼラチンが得られ易
い等のメリットがある。
【0022】〔原料工程〕砕骨から直接ゼラチンを抽出
することは出来ない。砕骨は、およそ有機物(コラーゲ
ン+脂肪+糖)25%、水分10%、りん酸カルシウム
(ヒドロキシアパタイト)65%からなり、希塩酸でり
ん酸カルシウムを水溶性の第一りん酸カルシウムにして
除去する。残ったコラーゲンを主体とする有機物をオセ
イン(ossein)という。
【0023】オセイン工場とゼラチン工場が近いとき
は、オセインは乾燥しないでゼラチン工場に移され処理
されるが、遠いとき、またはゼラチン用原料として商品
化するときは乾燥する。乾燥では高温にならぬよう注意
しながら含水率約10%になるまで乾燥する。乾燥オセ
インの収率は乾燥砕骨の約25%である。
【0024】この酸漬工程で発生する廃酸は第一りん酸
カルシウムを溶解しており、これに水酸化カルシウムの
懸濁水溶液を加えて中和し第二りん酸カルシウムとして
回収する。これは歯磨き粉、磁器、家畜の飼料に有用な
副製品であり、その工程の改善はオセイン工場にとって
重要である。
【0025】〔製造工程1〕オセインを高温で抽出すれ
ばかなりの収率で抽出液が得られ、この方法はにかわの
製造に一部で使われているが、不純物が多いためゼラチ
ンには向かない。ゼラチン製造のためには、アルカリ処
理(石灰処理、lime process)、または酸
処理(acid process)という前処理を行
う。前者で得られたゼラチンをアルカリ処理ゼラチン
(Bタイプゼラチン)、後者で得られたゼラチンを酸処
理ゼラチン(Aタイプゼラチン)という。
【0026】前処理は抽出温度を下げる効果があり、ゼ
ラチン物性の向上、不純物含量の低下、高品質品の収量
増をもたらす。
【0027】前処理の作用は、第一に原料を膨潤しコラ
ーゲン鎖を架橋した共有結合を切ることである。共有結
合の切断はpH、アルカリ剤の種類、温度、期間に依存
し、過度になるとコラーゲン鎖の切断、原料の形の崩
壊、ゼラチンの溶出が起こり、ゼラチン収率の低下をも
たらす。第二にコラーゲンを構成するアミノ酸の内、ア
スパラギンとグルタミンのアミド基を加水分解しカルボ
キシル基に変える。このためゼラチンの等電点はコラー
ゲンより低くなる。
【0028】第三にコラーゲンと結合した脂肪、非コラ
ーゲン蛋白、ムコ多糖類を切断する。
【0029】〔製造工程2〕前処理(製造工程1)を経
た原料は抽出されてゼラチンに変わる。製造工程2で
は、抽出、精製、濃縮、乾燥されるが、この工程全てに
亘って微生物(バクテリア)と温度管理が重要である。
【0030】(抽出)本来水不溶性のコラーゲンは前処
理により線維構造は不安定になっており、コラーゲンは
ヘリックス構造から種々の長さのランダムコイルに分解
され、温水中に溶出してくる。抽出はバッチ式で数回行
う。最初の抽出(1番抽出)を比較的低温度で数時間行
い、抽出液を排除する。残った原料に再び温水を加え最
初の温度より高い温度で2番抽出を行う。以後数回抽出
を行う。
【0031】 抽出温度が高いとゼリー強度等のゼラチン品質が低下す
るので、できるだけ低い温度で抽出する。また抽出時の
撹拌は原料の形を崩さないよう注意する。抽出時pH
は、アルカリ処理ゼラチンでは製品pHに近いところで
行う。これより酸またはアルカリ側では、収率は高いが
品質に影響が出る。酸処理ゼラチンではpH4〜5で抽
出する。
【0032】(精製)抽出したゼラチン液は、遠心型分
離機(スラッジセパレーター)で処理する。この装置は
消耗品がなく、粗粒子及び脂肪を連続して自動除去でき
る。この工程は極めて短時間のためゼラチン物性への悪
影響はない。
【0033】次に種々の方法でろ過する。ろ剤にはコッ
トンパルプ、ろ紙、ろ布、珪藻土等が用いられる。価格
が安く再利用できるコットンパルプが最も広く使われて
いるが、欠点として再利用のための使用後洗浄が必要
で、また円盤状に成型する手間と労力、殺菌が必要にな
る。珪藻土は多孔性物質で一般にろ過助剤として知られ
ており、ゼラチン液中の粗粒子に対してはコットンパル
プと同等の捕捉力を示すが、粒径の小さい珪藻土を使用
するとコットンパルプでは捕捉出来ない微粒子を除去で
きる。この微粒子はゼラチン溶液の濁度に関係している
ため、濁度の低いゼラチンの製造には重要である。欠点
としては比較的安い材料であるが再利用できないため廃
棄物になる。抽出液の状況により、珪藻土ろ過、コット
ンパルプろ過、ろ紙ろ過の順で3回のろ過を行うことが
ある。また抽出直後のろ過の他に、濃縮後にろ過するこ
ともある。
【0034】明礬等を加えてゼラチン中の微粒子を凝集
沈降させ、濁度を向上する化学清澄法はコスト面から現
在はほとんど使用されない。
【0035】ゼラチンの種類によりイオン交換樹脂によ
る脱塩を行う。還元性物質、活性硫黄、チオ硫酸含量は
イオン交換樹脂で減量または除去できるものがある。
【0036】また、過酸化水素等による酸化処理でもこ
れらの含量は減少する。しかし、酸化処理によりゼラチ
ン物性が低下するので、特定の目的があるときを除きメ
リットは少ない。
【0037】ゼラチンのpHは、抽出時の液pHを製品
pHに近いところで行うが、抽出番号が進むとアルカリ
処理ゼラチンでは原料内部が弱アルカリ性のためpHが
上昇し、抽出後に酸またはアルカリを加えて調整する必
要がある。酸としては硫酸、塩酸、硝酸が使用されてお
り、それぞれメリット、デメリットがある。アルカリは
カセイソーダが使用される。製品pHの測定法はJIS
K6503、PAGI法があるが、pHのスペックは
ないので用途に応じて決めればよい。例えば写真用では
ほとんどpH5.9±0.2程度である。等電点は、ア
ルカリ処理オセインでは4.8〜5.0、酸処理オセイ
ンでは5.5〜8.0、酸処理豚皮では7.5〜9.4
である。
【0038】(濃縮)乾燥で水分を除去することは効率
が低いため、その前にできるだけ濃縮する。多段式、薄
膜式等エネルギー的に効率のよい装置を使用する。熱劣
化の少ないように減圧下で行う。
【0039】(冷却、成形、乾燥)ボテーターと呼ばれ
る外壁から冷却された中空のシリンダーにゼラチン溶液
をポンプで圧入し、スクリューで押し出しながらうどん
状のゲルをステンレススチールの金網でできたコンベア
ーベルトの上に層状に置き乾燥する。
【0040】(粉砕、混合、計量、包装)乾燥したゼラ
チンを粉砕し、ブレンドする。これをPAGI法に基づ
いて検査し用途に応じた組成を行う。
【0041】〔排ガス〕蒸気製造に使用するボイラーや
コジェネレーションシステムの排ガス組成は、ボイラー
やコジェネレーションシステムの形式、重油、灯油、都
市ガス等の燃料の種類と運転条件により異なるが、いず
れの排ガスも本発明に使用できる。都市ガスを燃料とす
る排ガスの組成例は、CO2:11.8%、O2:0.6
%、N2:87.6%である。
【0042】〔CaCO3、Ca(HCO32 の生成〕
ボイラーやコジェネレーションシステムの排ガスをコン
プレッサーにより散気管を通してライミング排液に通気
すると、CaCO3の白い沈殿が生成する。CaCO3
白い沈殿を除去するときは、処理液を静置または遠心分
離する。
【0043】生成したCaCO3をCa(HCO32
変換するには更に通気を続ける。Ca(HCO32は溶
解度が高く沈殿を生じない。CaCO3の生成で通気を
終了したときに比べ、処理液のpHが低下するので活性
汚泥処理前のpH調整用酸の使用量が減少する。
【0044】通気の終点は処理液のpHをモニターして
決める。 〔活性汚泥処理〕活性汚泥とは、排水を通気状態で長時
間処理したときに生ずる綿状の塊をいい、排水中の浮遊
物、細菌、原生動物等の微生物から構成される。活性汚
泥により排水中の有機物を分解し、BOD(生物化学的
酸素要求量)を低下させることを活性汚泥処理という。
【0045】具体的には、排水を活性汚泥槽に送入し活
発に通気し、微生物によりBODを低下させる。このた
め、微生物の生育に適した温度、pH、栄養状態、BO
D負荷を管理する必要がある。BOD負荷の調整のため
に、ゼラチンの製造工程で発生するライミング排液以外
の水洗水等を用いることができる。微生物の中には活性
汚泥処理に適しないものがあり、その種類を調整するこ
とが必要である。次に、BODが低下した処理水を沈殿
地に導き、活性汚泥を沈降除去した後上澄液を放出す
る。
【0046】また、排水中に大型粒子があるときは、活
性汚泥処理前に沈殿により大型粒子を除去するのが好ま
しい。
【0047】活性汚泥槽中の微生物濃度を高め、活性汚
泥槽をコンパクトにするために、微生物を表面に保持す
る担体を使用することもできる。この担体は活性汚泥槽
中で通気により流動することが好ましい。
【0048】ライミング排液を硫酸や塩酸で中和した後
に活性汚泥処理を続けると、担体にカルシウムが沈着し
その比重を高めるため、通気による流動性が著しく阻害
され汚泥活性の低下を引き起こす。本発明のライミング
排液の前処理方法を実施すると、カルシウム沈着による
担体の比重増加を顕著に抑制できる。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。
【0050】実施例1 オセインを2質量%の水酸化カルシウム液で40日間処
理した後のライミング排液を得た。この排液は、懸濁液
であり、総カルシウム濃度が9200ppm、30分静
置後の上澄のカルシウム濃度が3700ppm、pHが
12.7、BODが7600ppmであった。この排液
80Lに対し、コジェネレーションシステムの排ガス
(ガス組成;CO2:11.8%、O2:0.6%、
2:87.6%)をコンプレッサーにより32L/分
の供給量で散気管を通して通気した。通気4時間後に
は、pHが9.0となり、CaCO3よりなる白色沈殿
が増加した。通気4時間後の処理液を30分静置後の上
澄は、カルシウム濃度が150ppm、pHが9.0、
BODが3800ppmであった。この処理液の上澄を
10倍量の水を加え希釈し活性汚泥槽に送入した。活性
汚泥を表面に保持した担体へのカルシウムの1ヶ月当た
りの付着量を測定ところ1mg/g以下、また処理液の
BODは50ppmだった。なお、比較として、コジェ
ネレーションシステムの排ガスを通気する前のライミン
グ排液を硫酸でpH9.0に調整し、同様に10倍希釈
して活性汚泥槽に送入した。担体へのカルシウムの1ヶ
月当たりの付着量を測定したところ31mg/g、また
処理液のBODは70ppmだった。BODは、JIS
K0102−21、カルシウム濃度はPAGI法に準
じて測定した。コジェネレーションシステムの排ガス中
のCO2がCaCO3として固定化された。
【0051】実施例2 実施例1と同様に処理を行い、コジェネレーションシス
テムの排ガスを通気4時間後の処理液の静置後の上澄を
水で10倍に希釈し活性汚泥槽に送入する代わりに、白
色沈殿を含めて処理液全体を懸濁して10倍量の水を加
え希釈し活性汚泥槽に送入した。担体へのカルシウムの
1ヶ月当たりの付着量を測定したところ3.1mg/
g、また処理液のBODは55ppmだった。コジェネ
レーションシステムの排ガス中のCO2がCaCO3とし
て固定化された。
【0052】実施例3 実施例1と同様に処理を行い、コジェネレーションシス
テムの排ガスを通気4時間後からさらに処理時間を延長
し、8時間後にpHは5.5に達した。処理液は薄白色
の懸濁液となり、CaCO3のほとんどがCa(HC
32に変換した。これを10倍量の水を加え希釈し活
性汚泥槽に送入した。担体へのカルシウムの1ヶ月当た
りの付着量を測定したところ4.5mg/g、また処理
液のBODは58ppmだった。
【0053】
【発明の効果】本発明により、ゼラチン製造工程で発生
するライミング排液の活性汚泥処理を安定化する前処理
方法を提供すること及び地球環境問題(地球温暖化)に
対応するためのCO2の固定化方法を提供することがで
きる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/66 540 C12N 1/00 R // C12N 1/00 C12S 3/14 C12S 3/14 B01D 53/34 135Z (72)発明者 小松 元 兵庫県宝塚市高司5丁目6番1号 コニカ ゼラチン株式会社内 (72)発明者 永井 良人 兵庫県宝塚市高司5丁目6番1号 コニカ ゼラチン株式会社内 (72)発明者 篠原 耕司 兵庫県宝塚市高司5丁目6番1号 コニカ ゼラチン株式会社内 Fターム(参考) 4B065 AA99X BA22 BB02 BB40 BC02 BC41 CA56 4D002 AA09 AB01 AC01 BA02 CA06 DA05 FA02 4D028 AB03 AC03 AC09 BA00 4G075 AA04 AA37 BA06 BB04 BD27

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゼラチン製造工程で発生するライミング
    排液にCO2を含む排ガスを通し、該ライミング排液を
    活性汚泥槽に送入することを特徴とするライミング排液
    の前処理方法。
  2. 【請求項2】 ゼラチン製造工程で発生するライミング
    排液にCO2を含む排ガスを通し、生じたCaCO3を除
    去して該ライミング排液を活性汚泥槽に送入することを
    特徴とするライミング排液の前処理方法。
  3. 【請求項3】 ゼラチン製造工程で発生するライミング
    排液にCO2を含む排ガスを通し、生じたCaCO3をC
    a(HCO32に変換して該ライミング排液を活性汚泥
    槽に送入することを特徴とするライミング排液の前処理
    方法。
  4. 【請求項4】 ゼラチン製造工程で発生するCO2を含
    む排ガスをライミング排液に作用させることを特徴とす
    るCO2の固定化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101118758B1 (ko) * 2009-09-01 2012-03-13 한국산업기술대학교산학협력단 제지슬러지를 이용한 이산화탄소 분해 방법
CN102976563A (zh) * 2012-12-19 2013-03-20 山东名科环保工程有限公司 一种明胶废水的处理方法

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