JP2002302734A - 加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents
加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
高強度域において、優れた伸びフランジ性および全伸び
の両特性を兼ね備えた加工性に優れた高強度鋼板を提供
する。 【解決手段】 質量%で、C :0.06〜0.6%、
Si+Al:0.5〜3%、Mn:0.5〜3%、P
:0.15%以下(0%を含まない)、S :0.0
2%以下(0%を含まない)を含有し、且つ、母相組織
は、焼戻マルテンサイを全組織に対して占積率で50%
以上含有し、第2相組織は、残留オーステナイトを全組
織に対して占積率で3〜20%含有し、更にベイナイト
/マルテンサイトを含有しても良い高強度鋼板である。
Description
度鋼板に関し、詳細には、500〜1400MPa級の
高強度及び超高強度域において、優れた伸びフランジ性
および全伸びを兼ね備えた高強度鋼板に関するものであ
る。
使用される鋼板は、優れた強度と延性を兼ね備えている
ことが要求され、この様な要求特性は近年、益々、高ま
っている。
として、フェライト素地中に主としてマルテンサイトか
らなる低温変態組織を含むフェライト・マルテンサイト
の複合組織鋼板[デュアルフェイズ(DP)鋼板]が知
られている(特開昭55−122820等)。上記鋼板
は、延性が良好なだけでなく、マルテンサイト生成域に
導入された多量の自由転位のために降伏伸びが現れず、
降伏応力が低くなる為、加工時の形状凍結特性が良好で
ある。上記組織に制御することにより、引張強度(T
S)が高く、伸び(El)特性にも優れた鋼板が得られ
るが、伸びフランジ性(局部的な延性)に劣るものであ
った。
は、フェライト・ベイナイトの2相組織鋼板が知られて
いる(特開昭57−145965等)。これによれば、
上述したDP鋼板に比べ、伸びフランジ性に優れること
は勿論のこと、抵抗溶接性(特に熱影響部の軟化がな
く)、及び疲労特性にも優れる。しかしながら、伸び特
性に劣るという問題がある。
R)を生成させ、加工変形中にγRが誘起変態(歪み誘起
変態:TRIP)して延性を向上させる残留オーステナ
イト鋼板が知られている。例えば特開昭60−4342
5には、複合組織鋼板としての組織を、体積分率で10
%以上のフェライトと10%以上のγRを有し、残部が
ベイナイトまたはマルテンサイトまたはそれらの混合組
織に制御することにより、高強度で、且つ極めて延性に
優れた鋼板が開示されている。上記組織とすることによ
り、γRの加工誘起変態効果に加えて、軟質のフェライ
トによる高延性が発揮される結果、延性はフェライト及
びγRによって、強度はベイナイトまたはマルテンサイ
トによって確保される旨記載されている。しかしなが
ら、上記鋼板においても、前記DP鋼と同様、伸びフラ
ンジ性に劣るという問題があった。
ンスを維持しつつ、しかも、伸びフランジ性(穴広げ
性)等の成形性にも優れた鋼板を提供すべく、種々の検
討がなされている。例えば特開平9−104947に
は、ミクロ組織として、フェライト、ベイナイト、γR
の3相で構成され、且つ、フェライト占有率とフェライ
ト粒径の比、及びγRの占有率を所定範囲に制御した鋼
板が開示されている。これは、「γRの増加は、強度−
延性バランスの向上、全伸びの向上をもたらすが、その
効果は、γRの微細化により高まること;更にγRが微細
化すると、伸びフランジ性などの成形性も向上する」と
いう知見に基づいてなされたものである。しかしなが
ら、伸びフランジ性の向上効果は低く、更に一層優れた
伸びフランジ性を有する高強度鋼板の提供が切望されて
いる。
目してなされたものであり、その目的は、優れた伸びフ
ランジ性及び全伸びを兼ね備えた加工性に優れた高強度
鋼板、及び、この様な鋼板を効率よく製造することので
きる方法を提供することにある。
発明の加工性に優れた高強度鋼板とは、質量%で、C
:0.06〜0.6%、Si+Al:0.5〜3%、
Mn:0.5〜3%、P :0.15%以下(0%を含
まない)、S :0.02%以下(0%を含まない)を
含有し、且つ、母相組織は、焼戻マルテンサイトを全組
織に対して占積率で50%以上含有し、第2相組織は、
残留オーステナイトを全組織に対して占積率で3〜20
%含有し、更にベイナイト/マルテンサイトを含有して
も良いものであるところに要旨を有するものである。
以下(0%を含まない),Cu:0.5%以下(0%を
含まない),Cr:1%以下(0%を含まない)の少な
くとも一種を含有するもの; Ti:0.1%以下(0%を含まない),Nb:0.
1%以下(0%を含まない),V:0.1%以下(0%
を含まない)の少なくとも一種を含有するもの; Ca:30ppm以下(0ppmを含まない)、及び
/又はREM:30ppm以下(0ppmを含まない)
を含有するものは、いずれも本発明の好ましい態様であ
る。
(CγR)が0.8%以上であるものや、ラス状を呈し
ているものは、本発明の作用が一層高められるので好ま
しい態様である。
造方法は、下記(1)または(2)を包含するところに
要旨を有するものである。
めっき工程を施すことにより上記鋼板を製造する方法で
あって、該熱延工程は、(Ar3−50)℃以上の温度で
仕上圧延を終了する工程;及び20℃/s以上の平均冷
却速度で、Ms点以下まで冷却して巻取る工程を包含
し、該連続焼鈍工程またはめっき工程は、A1点以上A3
点以下の温度で10〜600秒加熱保持する工程;3℃
/s以上の平均冷却速度で、300℃以上480℃以下
の温度まで冷却する工程;及び該温度域で1秒以上保持
する工程を包含する方法; (2)熱延工程、冷延工程、第一の連続焼鈍工程、及び
第二の連続焼鈍工程またはめっき工程を施すことにより
上記鋼板を製造する方法であって、該第一の連続焼鈍工
程は、A3点以上の温度に加熱保持する工程;及び20
℃/s以上の平均冷却速度で、Ms点以下の温度まで冷
却する工程を包含し、該第二の連続焼鈍工程またはめっ
き工程は、A1点以上A3点以下の温度で10〜600秒
加熱保持する工程;3℃/s以上の平均冷却速度で、3
00℃以上480℃以下の温度まで冷却する工程;及び
該温度域で1秒以上保持する工程を包含する方法。
は上記(2)の第二の連続焼鈍工程において、A1点以
上A3点以下の温度で10〜600秒加熱保持する工
程;(A 1点〜600℃)の温度まで、15℃/s以下
の平均冷却速度で冷却する工程;300℃以上480℃
以下の温度まで、20℃/s以上の平均冷却速度で冷却
する工程;及び該温度域で1秒以上保持する工程を包含
するものは本発明の好ましい態様である。
程に入る前に、下記関係式(1)を満足する条件でFe
系プレめっき処理する工程を包含するものも本発明の好
ましい態様である。
XはFe系プレめっきの付着量(g/m2)を夫々意味
する] 尚、本発明における「加工性」とは、主に、伸びフラン
ジ性及び全伸びを意味するものである。
性を維持したまま、しかも、大きな全伸びを有する低合
金TRIP鋼板を提供すべく鋭意検討してきた。その結
果、転位密度の低い軟質ラス組織からなる焼戻マルテン
サイトを母相とし、第2相として、残留オーステナイト
(γR)相を有する組織に制御すれば、所期の目的が達
成されることを見出し、本発明を完成した。
て説明する。
織として、焼戻マルテンサイを全組織に対して占積率で
50%以上含有し;第2相組織として、残留オーステナ
イトを全組織に対して占積率で3〜20%含有し、更に
ベイナイト/マルテンサイトを含有しても良いものであ
る。
を有するものである。
イト」は、転位密度が少なく軟質であり、しかも、ラス
状組織を有するものを意味する。これに対し、マルテン
サイトは転位密度の多い硬質組織である点で、上記焼戻
マルテンサイトとは相違し、両者は、例えば透過型電子
顕微鏡(TEM)観察などによって区別することができ
る。また、従来のγR鋼板は、転位密度の少ない軟質の
ブロック状フェライト組織を有する点で、上記焼戻マル
テンサイトを母相とする本発明鋼板とはやはり相違する
ものである。
成分系(基本成分であるC,Si,Mnを同じにした
系)におけるポリゴナルフェライトに比べ、ビッカース
硬さ(Hv)が概して高いという傾向を有する。図1
は、同一成分の鋼種(C:0.1〜0.3%、Mn:
1.0〜2.0%、Si:1.0〜2.0%の範囲)に
おける焼戻マルテンサイトの硬度(縦軸)と、ポリゴナ
ルフェライトの硬度(横軸)とを対比したグラフであ
る。尚、ビッカース硬さは、レペラー腐食による光学顕
微鏡観察を行い、母相(灰色)部のビッカース硬さ(H
v)を測定したものである(荷重1g)。参考までに、
同図に、y=xの直線を点線で示したが、これにより、
焼戻マルテンサイトの硬度は、ポリゴナルフェライトに
比べて高いこと;この様な傾向は硬度が高くなるにつ
れ、顕著に見られることが分かる。
0.1%、0.2%、0.3%の各場合に分けて整理し
たものであり、焼戻マルテンサイト及びポリゴナルフェ
ライトの硬度に及ぼすC量の影響を表したものである。
図2より、C量が同一のとき、焼戻マルテンサイトの硬
度はポリゴナルフェライトに比べて高くなる傾向がある
こと:この様な傾向は、C量が高くなるにつれ、顕著に
見られることが分かる。
ト及びポリゴナルフェライトにおける硬度を、C,M
n,Siの基本成分との関係で表すと、概ね、下記の関
係式が得られる。
[C]+30[Si]+3[Mn]+50 ポリゴナルフェライの硬度(Hv)≒200[C]+30[Si]+3
[Mn]+50 式中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を意味する。
(計算値)は、実測値をほぼ反映したものとなっている
ことを確認している。
は、後記する通り、A3点以上(γ域)より焼入れされ
たマルテンサイトを、A1点以上(約700℃以上)、
A3点以下の温度で焼鈍する等して得られるものであ
る。
ジ性向上効果を有効に発揮させる為には、全組織に対し
て占積率で焼戻マルテンサイトを50%以上有すること
が必要である。尚、焼戻マルテンサイトの量は、γRと
のバランスによって定められるものであり、所望の特性
を発揮し得る様、適切に制御することが推奨される。
に発揮させる為には、全組織に対して占積率で3%(好
ましくは5%以上)存在することが必要である。一方、
多量に存在すると伸びフランジ性が劣化するので、上限
を20%に定めた。より好ましくは15%である。
Rは、旧オーステナイト粒界内にランダムな方位のγRが
存在しているのに対し、本発明におけるγRは、同一パ
ケット内のブロック境界などに沿って同一方位を有する
γRが存在し易いという特徴がある。図3に、本発明に
おけるγRの特徴を模式化して表す。図3中、1は旧オ
ーステナイト粒界、2はパケット粒界、3はブロック境
界、4はマルテンサイトラスを夫々、示す。
及び図5に、本発明鋼板(後記する表2のNo.3)及
び従来のγR鋼板(後記する表3のNo.16)におけ
る、板厚方向断面のEBSP写真(カラーマップ:倍率
1000倍)の結果を、夫々示す。ここで、EBSPと
は、Electron Back Scatter Diffraction Patternのこ
とであり、EBSP解析装置としてはTexSEM Laborato
ries社製の装置を使用した。
厚方向のγRを色調差によって識別することができる。
即ち、通常の組織観察とは異なるEBSPによる結晶方
位観察手法でγRを調べると、見掛け上はほぼ同一の組
織を有しているにもかかわらず、従来鋼板(図5)で
は、旧オーステナイト粒界内にランダムな方位のγRが
多数存在するのに対し、本発明鋼板(図4)では、或る
一定の領域内に、同一方位を有するγRが多数存在して
いることが確認できる。本発明鋼板のγRは、ブロック
境界等に沿って、同一方位を有するγRが生成するもの
と思われ、この点で、従来鋼板のγRとは、異なる形態
を有している。
状であることが好ましい。ここで、「形態がラス状であ
る」とは、平均軸比(長軸/短軸)が2以上(好ましく
は4以上であり、好ましい上限は30以下である)のも
のを意味する。上記ラス状のγRは、従来のγRと同様の
TRIP効果が得られるのみならず、更に顕著な伸びフ
ランジ性向上効果も奏するものである。
の周りの軟質相(母相)の変形が進むと、該軟質相との
界面にボイドが発生し易くなる結果、伸びフランジ性が
劣化するというデメリットがあった。これに対し、母相
を従来のフェライトではなく焼戻マルテンサイトとする
ことにより、ボイドの生成が抑えられ、伸びフランジ性
が向上した。更に、ラス状γRの形態を所定の軸比とな
る様に制御すれば、従来のγRより、伸び及び伸びフラ
ンジ性の向上が可能となった。
%以上であることが推奨される。このCγRは、TRI
P(歪誘起変態加工)の特性に大きく影響し、0.8%
以上に制御すると、特に、伸び等の向上に有効である。
好ましくは1%以上、より好ましくは1.2%以上であ
る。尚、上記CγRの含有量は多い程好ましいが、実操
業上、調整可能な上限は、概ね1.6%と考えられる。
イト(0%を含む) 本発明の鋼板は、上記組織のみ(即ち、焼戻マルテンサ
イト及びγRの混合組織)からなっていても良いが、本
発明の作用を損なわない範囲で、他の異種組織として、
ベイナイト及び/又はマルテンサイトを有していても良
い。これらの組織は本発明の製造過程で必然的に残存し
得るものであるが、少なければ少ない程、好ましい。
いて説明する。以下、化学成分の単位はすべて質量%で
ある。
須の元素である。詳細には、γ相中に充分なC量を含
み、室温でも所望のγ相を残留させる為に重要な元素で
あり、強度−伸びフランジ性のバランスを高めるのに有
用である。特にC量を0.25%以上添加すると、γR
量が増加し、更にγRへのC濃縮が高くなるので、極め
て高い強度−伸びバランスを得ることができる。
効果が飽和するのみならず、鋳造中への中心偏析などに
よる欠陥などが見られる。また、0.25%以上添加す
ると溶接性が劣化する。
0.06〜0.25%(より好ましくは0.2%以下、
更により好ましくは0.15%以下)に制御することが
好ましく、一方、点溶接を必要とせず高い伸び等が要求
される場合には、C:0.25〜0.6%(より好まし
くは0.3%以上)に制御することが推奨される。
有効に抑える元素である。特にSiは、固溶強化元素と
しても有用である。この様な作用を有効に発揮させる為
には、Si及びAlを合計で0.5%以上添加すること
が必要である。好ましくは0.7%以上、より好ましく
は1%以上である。但し、上記元素を合計で、3%を超
えて添加しても上記効果は飽和してしまい、経済的に無
駄である他、多量に添加すると、熱間脆性を起こす為、
その上限を3%とする。好ましくは2.5%以下、より
好ましくは2%以下である。
素である。この様な作用を有効に発揮させる為には、
0.5%以上添加することが必要である。好ましくは
0.7%以上、より好ましくは1%以上である。但し、
3%を超えて添加すると、鋳片割れが生じる等の悪影響
が見られる。好ましくは2.5%以下、より好ましくは
2%以下である。
の様な作用を有効に発揮させる為には、0.03%以上
(より好ましくは0.05%以上)添加することが推奨
される。但し、0.1%を超えて添加すると二次加工性
が劣化する。より好ましくは0.1%以下である。
となって加工性を劣化させる元素である。好ましくは
0.02%以下、より好ましくは0.015%以下であ
る。
残部:実質的に鉄及び不純物であるが、その他、本発明
の作用を損なわない範囲で、以下の許容成分を添加する
ことができる。
i:0.5%以下(0%を含まない),Cu:0.5%
以下(0%を含まない),Cr:1%以下(0%を含ま
ない)の少なくとも一種 これらの元素は、鋼の強化元素として有用であると共
に、γRの安定化や所定量の確保に有効な元素である。
この様な作用を有効に発揮させる為には、Mo:0.0
5%以上(より好ましくは0.1%以上)、Ni:0.
05%以上(より好ましくは0.1%以上)、Cu:
0.05%以上(より好ましくは0.1%以上)、C
r:0.05%以上(より好ましくは0.1%以上)
を、夫々添加することが推奨される。但し、Mo及びC
rは1%、Ni及びCuは0.5%を超えて添加しても
上記効果が飽和してしまい、経済的に無駄である。より
好ましくはMo:0.8%以下、Ni:0.4%以下、
Cu:0.4%以下、Cr:0.8%以下である。
Nb:0.1%以下(0%を含まない),V:0.1%
以下(0%を含まない)の少なくとも一種 これらの元素は、析出強化及び組織微細化効果があり、
高強度化に有用な元素である。この様な作用を有効に発
揮させる為には、Ti:0.01%以上(より好ましく
は0.02%以上)、Nb:0.01%以上(より好ま
しくは0.02%以上)、V:0.01%以上(より好
ましくは0.02%以上)を、夫々添加することが推奨
される。但し、いずれの元素も0.1%を超えて添加す
ると上記効果が飽和してしまい、経済的に無駄である。
より好ましくはTi:0.08%以下、Nb:0.08
%以下、V:0.08%以下である。
M:30ppm以下(0ppmを含まない) Ca及びREM(希土類元素)は、鋼中硫化物の形態を
制御し、加工性向上に有効な元素である。ここで、本発
明に用いられる希土類元素としては、Sc、Y、ランタ
ノイド等が挙げられる。上記作用を有効に発揮させる為
には、夫々、3ppm以上(より好ましくは5ppm以
上)添加することが推奨される。但し、30ppmを超
えて添加しても上記効果が飽和してしまい、経済的に無
駄である。より好ましくは25ppm以下である。
説明する。
方法を包含するものである。
はめっき工程] この方法は、熱延工程、及び連続焼鈍工程またはめ
っき工程を経由して所望の鋼板を製造する方法である。
このうち熱延工程の説明図を図6に、連続焼鈍また
はめっき工程の説明図を図7に、夫々示す。
延を終了する工程;及び20℃/s以上の平均冷却速度
で、Ms点以下まで冷却して巻取る工程を包含するもの
である。この熱延条件は、所望の母相組織(焼入マルテ
ンサイト)を得る為に設定されたものである。
50)℃以上、好ましくはAr3点以上の温度とすること
が推奨される。これは、引続き実施される「Ms点以下
の冷却」と共に、所望の焼入マルテンサイトを得る為で
ある。
件(CR)は、20℃/s以上(好ましくは30℃/s
以上)の平均冷却速度で、フェライト変態やパーライト
変態を避けてMs点以下まで冷却することが推奨され
る。これにより、ポリゴナルフェライト等を生成させる
ことなく、所望の焼入マルテンサイトを得ることができ
る。熱延後の平均冷却速度は、最後のγRの形態にも影
響を与え、平均冷却速度が速ければ、ラス状を呈するこ
とになる。尚、平均冷却速度の上限は特に限定されず、
大きければ大きい程良いが、実操業レベルとの関係で、
適切に制御することが推奨される。
[計算式:Ms=561−474×[C]−33×[M
n]−17×[Ni]−17×[Cr]−21×[M
o];式中、[ ]は各元素の質量%である]にするこ
とが必要である。Ms点を超えると、所望の焼入マルテ
ンサイトが得られず、ベイナイト等が生成するからであ
る。
イトを得る為に、上記の各工程を適切に制御することが
推奨されるが、その他の工程、例えば加熱温度等は、通
常実施される条件(例えば約1000〜1300℃)を
適宜選択すれば良い。
但し、熱延後の形状が悪いときには形状修正の目的で、
上記の熱延を行った後、当該の連続焼鈍またはめっ
きを行う前に、冷延処理しても良い。ここで、冷延率は
1〜30%とすることが推奨される。30%を超えて冷
間圧延すると、圧延荷重が増大し、冷間圧延が困難とな
るからである。
A3点以下の温度で10〜600秒加熱保持する工程;
3℃/s以上の平均冷却速度で、300℃以上480℃
以下の温度まで冷却する工程;及び該温度域で1秒以上
保持する工程を包含する。これらの条件は、熱延工程で
生成した母相組織(焼入マルテンサイト)を焼戻して所
望の焼戻マルテンサイトを得ると共に、第2相(γR)
を得る為に設定されたものである。
中、T3)で10〜600秒(図7中、t3)均熱する
ことにより、所望の焼戻マルテンサイト及びγRを生成
させる(2相域焼鈍)。上記温度を超えると、すべてγ
となってしまい、一方、上記温度を下回ると、所望のγ
が得られないからである。更に、上記加熱保持時間(t
3)の制御は、所望の組織を得る為に、特に重要であ
る。10秒未満では、焼戻が不足し、所望の焼戻マルテ
ンサイトが得られないからである。好ましくは20秒以
上、より好ましくは30秒以上である。尚、600秒を
超えると、焼戻マルテンサイトの特徴であるラス状組織
が維持できなくなり、機械的特性が劣化する。好ましく
は500秒以下、より好ましくは400秒以下である。
s以上(好ましくは5℃/s以上)に制御し、パーライ
ト変態を避けながら、300℃以上(好ましくは350
℃以上)480℃以下(好ましくは450℃以下)の温
度(ベイナイト変態:図7中、T4)まで冷却し、更
に、この温度域で1秒以上(好ましくは5秒以上:図7
中、t4)保持する(オーステンパ処理)。これによ
り、γRへのC濃縮を、多量に且つ極めて短時間に得る
ことができる。
と、所望の組織が得られず、パーライト等が生成する。
尚、その上限は特に規定されず、大きければ大きい程良
いが、実操業レベルとの関係で、適切に制御することが
推奨される。
生成させる為には、上記冷却工程を、(A1点〜60
0℃)の温度(Tq)まで、15℃/s以下の平均冷却
速度で冷却する工程;及び300℃以上480℃以下
の温度まで、20℃/s以上の平均冷却速度で冷却する
工程を包含する二段冷却法を採用することが推奨され
る。
s以下(好ましくは10℃/s以下)の平均冷却速度で
冷却すると、Cがγに、より多く濃縮される。次に、上
記の温度域まで、20℃/s以上(好ましくは30℃
/s以上、より好ましくは40℃/s以上)の平均冷却
速度で冷却すると、γがパーライトに変態することが抑
制され、γが低温でも残留する結果、所望のγR組織が
得られる。尚、当該平均冷却速度の上限は特に限定され
ず、大きければ大きい程好ましいが、実操業レベルとの
関係で適切に制御することが推奨される。
が、特にオーステンパ処理温度(T4)は、所望の組織
を確保して本発明の作用を発揮させるのに重要である。
上記温度範囲に制御すれば、安定且つ多量のγRが得ら
れ、これにより、γRによるTRIP効果が発揮され
る。これに対し、300℃未満では、マルテンサイト相
が存在し、一方、480℃を超えるとベイナイト相が多
量に増加する。
定されないが、オーステナイトがベイナイトに変態する
時間を考慮すると、3000秒以下、好ましくは200
0秒以下に制御することが推奨される。
サイト及びγRの他、本発明の作用を損なわない範囲
で、更にベイナイト及び/又はマルテンサイト組織が生
成していても構わない。また、所望の組織を著しく分解
させることなく、本発明の作用を損なわない範囲で、め
っき、更には合金化処理しても良い。
場合には、前記のめっきを行う前に、所定のFe系プ
レめっきを行うことが推奨される。これにより、鋼板表
面に、Siの表面濃化による悪影響を受けないFe系め
っき層が形成され、合金化溶融Znめっき層表面に存在
する粗大なZn−Fe合金結晶粒の数が著しく低減する
結果、低温でも鋼板とZnめっき層との拡散による合金
化処理が迅速に行われ、安定して高い伸び特性を得るの
に有効なγRが効率よく得られるのみならず、Siの多
量添加による弊害[Si系酸化物による耐パウダリング
性劣化、不めっき、めっき表面の摺動性(滑り特性)低
下等]等も防止できるからである。
在する粗大なZn−Fe合金結晶粒とは、具体的には、
Zn−Fe合金結晶粒の長片の長さが短片の長さの2倍
以下であり、且つ、平均粒径4μm以上の結晶粒を意味
する。Fe系プレめっきにより、この様な粗大な結晶粒
の個数を5個以下(好ましくは3個以下)/70μm×
50μmに抑制することができる。尚、上記Zn−Fe
合金結晶粒の平均粒径は、合金めっき層表面をSEM
(走査型電子顕微鏡)観察(1500倍)し、70μm
×50μmの視野中に存在する該結晶粒の最大長さ方向
に測定される長さと、該長さ方向と直交する方向の長さ
との平均長さを算出して定められるものである。
は、連続めっきライン[CGL:焼鈍→(ロ)溶融Zn
めっき(前記と同じ)→(ハ)合金化という一連のラ
イン]通板の前に行われる。
て説明する。
満足する条件で処理するものである。
XはFe系プレめっきの付着量(g/m2)を夫々意味
する] まず、Fe系プレめっきの付着量(X)は、溶融Znめ
っきの付着量(W)との関係で、Xを0.06W以上に
制御する。これは、Xが0.06W未満になると、合金
化の進行に伴い、Siが鋼板表面に濃化する為、めっき
表面の摺動性に悪影響を及ぼす粗大なZn−Fe合金結
晶粒の生成を招くからである。好ましくは0.08W以
上、より好ましくは0.10W以上である。その上限
は、めっき表面の摺動性向上という観点からすれば特に
限定されないが、Xが多過ぎるとコストが上昇し、生産
性も低下することから、上限を0.30W、好ましくは
0.28W以下、より好ましくは0.25W以下に制御
することが推奨される。
プレめっきする為には、特に電解時間に留意しながら、
通常のめっき処理を行うことが推奨される。具体的に
は、めっき浴の組成(FeSO4・7H2O:300〜4
50g/L)、めっき浴pH(1.7〜2.6)、めっ
き液温:40〜70℃、電流密度:10〜250A/d
m2とし、所望のめっき付着量に応じて、電解時間を適
切に制御することが推奨される。
Znめっきをし、更に合金化処理しているので、めっき
表層部分には、該Fe系プレめっきは消失するが、鋼板
と合金化溶融Znめっき層の界面には、本発明の作用を
損なわない範囲で該Fe系プレめっき層が残存していて
も良い。
溶融Znめっきを行うが、その詳細は、前述のに記載
した通りである。
浴中有効Al濃度を0.08〜0.12質量%に、めっ
き浴温度を445〜500℃の範囲に夫々、制御するこ
とが推奨される。これにより、合金化が促進され、耐パ
ウダリング性も著しく向上するからである。
〜0.12%とすることが好ましい。ここで、「めっき
浴中有効Al濃度」とは、めっき浴中に含まれるフリー
のAlを意味し、詳細には下記式で表されるものであ
る。
[めっき浴中Fe濃度(%)] 一般に溶融Znめっき工程では、めっき浴有効Al濃度
を約0.08〜0.14%の範囲に制御している。しか
しながら、上記(イ)〜(ハ)の一連の方法では、所望
のγRを得る目的で合金化温度を低く設定している(後
記する)為、Al濃度が高くなると合金化しなくなる。
従って、本発明ではAl濃度の上限を、好ましくは0.
12%(より好ましくは0.11%)に制御する。但
し、Al濃度が0.08%未満になると耐パウダリング
性が低下する。より好ましくは0.09%以上である。
範囲に制御することが好ましい。一般的なめっき浴温度
は430〜500℃であるが、本発明では、合金化を抑
制するSiを多量に添加している為、合金化を促進し、
且つ、耐パウダリング性を高める目的で、上記範囲に設
定した次第である。445℃未満では表面にη層(純亜
鉛)が残存してしまう。より好ましくは450℃以上で
ある。一方、500℃を超えると耐パウダリング性が低
下する。より好ましくは490℃以下である。
ことが推奨される。合金化温度が低くなると合金化速度
が遅く、生産性が低下する。一方、合金化温度が高くな
ると、生成したγRが消失してしまう。また、合金化処
理時間が短いと合金化せず、表面にη層(純亜鉛)が残
存してしまう。逆に合金化時間が長くなると生産性が低
下する。
当たり、Fe系プレめっきを経由する好ましい態様につ
いて説明したが、このFe系プレめっきは、合金化溶融
Znめっき鋼板を製造する場合のみならず、溶融Znめ
っき鋼板を製造する場合においても適用することができ
る。即ち、溶融Znめっき鋼板を製造する場合におい
て、前述した(イ)Fe系プレめっき、及び(ロ)溶融
Znめっきを行えば、鋼板表面に、Siの表面濃化によ
る悪影響を受けないFe系めっき層が形成される結果、
安定して高い伸び特性を得るのに有効なγRが効率よく
得られるのみならず、Siの多量添加による弊害等を防
止できる点で、極めて有用である。
一の連続焼鈍工程]→[第二の連続焼鈍工程またはめっ
き工程] 上記(2)の方法は、熱延工程、冷延工程、第一の連続
焼鈍工程、および第二の連続焼鈍工程またはめっき工程
を経て、所望の鋼板を製造する方法である。このうち上
記方法を特徴付ける第一の連続焼鈍工程の説明図を図8
に示す。
るが、これらの工程は特に限定されず、通常、実施され
る条件を適宜選択して採用することができる。上記
(2)の方法では、これら熱延工程や冷延工程により、
所望の組織を確保するものではなく、その後に実施する
第一の連続焼鈍工程、および第二の連続焼鈍工程または
めっき工程を制御して所望の組織を得るところに特徴が
あるからである。
点以上で熱延終了後、平均冷却速度約30℃/sで冷却
し、約500〜600℃の温度で巻取る等の条件を採用
することができる。また、冷延工程では、約30〜70
%の冷延率の冷間圧延を施すことが推奨される。勿論、
これに限定する趣旨では決してない。
一の連続焼鈍工程、および第二の連続焼鈍工程または
めっき工程について説明する。
程) 上記工程は、A3点以上の温度に加熱保持する工程;及
び10℃/s以上の平均冷却速度で、Ms点以下の温度
まで冷却する工程を包含する。これらの条件は、所望の
母相組織(焼入マルテンサイト)を得る為に設定された
ものである。
に均熱した(好ましくは1300℃以下)後、平均冷却
速度(CR)を20℃/s以上(好ましくは30℃/s
以上)に制御し、Ms点以下の温度(図8中、T2)ま
で冷却することにより、フェライト変態やパーライト変
態を避けながら、所望の焼入マルテンサイトを得る。
回ると、フェライト、パーライトが生成し、所望の組織
が得られない。尚、その上限は特に限定されず、大きけ
れば大きい程良いが、実操業レベルとの関係で、適切に
制御することが推奨される。
程)またはめっき工程 上記工程は、A1点以上A3点以下の温度で10〜600
秒加熱保持する工程;3℃/s以上の平均冷却速度で、
300℃以上480℃以下の温度まで冷却する工程;及
び該温度域で1秒以上保持する工程を包含する。
る連続焼鈍工程またはめっき工程と同じであり、前記
第一の連続焼鈍工程で生成した母相組織(焼入マルテ
ンサイト)を焼戻して所望の焼戻マルテンサイトを得る
と共に、第2相(γR)を生成させる為に設定されたも
のである。
場合には、前述した(イ)〜(ハ)の一連の方法を採用
することが推奨される。これにより、合金化溶融Znめ
っき層の表面に存在する「粗大な結晶粒」の個数が抑制
される結果、γRによる延性向上作用を維持しつつ、め
っき表面の摺動性にも優れた鋼板が得られるからであ
る。その詳細は前述した方法を参照すれば良い。
ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、
前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは
全て本発明の技術範囲に包含される。
[強度(TS)×伸びフランジ性(λ)が高く、且つ、
溶接性も考慮した系]を中心に、成分組成を変化させた
場合における機械的特性の影響について調べた。具体的
には、表1に記載の成分組成からなる供試鋼(表中の単
位は質量%)を真空溶製し、実験用スラブとした後に、
前述した(1)の製造方法(熱延→連続焼鈍)に従っ
て、板厚2.0mmの熱延鋼板を得た。
分間加熱した後、仕上温度(FDT)を900℃とし、
50℃/sの平均冷却速度で室温まで冷却した(熱延工
程)後、2相域にて120秒焼鈍し、次いで、平均冷却
速度30℃/sで、400℃まで冷却して30秒保持し
た(オーステンパ処理)。
強度(TS)、伸び[全伸びのこと(EI)]、降伏強
度(YP)、及び伸びフランジ性(穴広げ性:λ)を、
下記要領で夫々測定した。
い、引張強度(TS)、伸び(EI)、及び降伏強度
(YP)を測定した。尚、引張試験の歪速度は1mm/
secとした。
mm、板厚2.0mmの円盤状試験片を用いた。具体的
には、φ10mmの穴をパンチ打抜き後、60°円錐パ
ンチでばり上にて穴広げ加工することにより、亀裂貫通
時点での穴広げ率(λ)を測定した(鉄鋼連盟規格JF
ST 1001)。
レペラー腐食し、透過型電子顕微鏡(TEM;倍率15
00倍)観察により組織を同定した後、光学顕微鏡観察
(倍率1000倍)により組織の占積率を測定した。
尚、γRの占積率及びγR中のC濃度は、鋼板の1/4の
厚さまで研削した後、化学研磨してからX線回折法によ
り測定した(ISIJ Int.Vol.33.(1933),No.7,P.776)。
とができる(以下のNo.はすべて、表2中の実験N
o.を意味する)。
も、本発明で特定する成分を満足しているので、良好な
特性の鋼板が得られた。
3)のTEM写真(倍率:15000倍)を示す。この
写真より、本発明鋼板は、明確なラス状組織を呈する焼
戻マルテンサイトを有していることが分かる。
れかを満足しない下記例は夫々、以下の不具合を有して
いる。
り、所望の焼戻マルテンサイト及びγ Rが得られない
為、TS及びElが低い。
びMnの量が少ない例であり、所望のγRが得られない
為、Elが20%と低かった。
ける各特性評価の結果を表3に示す。このうちNo.1
6は、表1のNo.2の供試鋼を用いたフェライト・マ
ルテンサイトのDP鋼板、No.17は、表1のNo.
3の供試鋼を用いたポリゴナルフェライトを母相とする
TRIP鋼板、No.18は、表1のNo.2の供試鋼
を用いたフェライト・ベイナイトの2相組織鋼板であ
る。
フランジ性が劣化し、No.17は伸びフランジ性が劣
化し、No.18は伸びが劣化する、といった不具合を
夫々有している。
系鋼種[強度(TS)×伸びフランジ性(λ)が高く、
且つ、TS×伸び(El)も高い系]を中心に、成分組
成を変化させた場合における機械的特性の影響について
調べた。具体的には、表4に記載の成分組成からなる供
試鋼(表中の単位は質量%)を真空溶製し、実施例1と
同様にして熱延鋼板を製造し、実施例に記載の方法で、
各特性等を評価した。
とができる(以下のNo.はすべて、表5中の実験N
o.を意味する)。
はいずれも、本発明で特定する高C成分系鋼種の組成を
満足しているので、良好な特性の鋼板が得られた。
o.3)のTEM写真(倍率:15000倍)を示す。
この写真より、本発明鋼板は、明確なラス状組織を呈す
る焼戻マルテンサイトを有していることが分かる。
15%及び0.20%と、他の例(すべてC量が0.4
%以上)に比べて少ないため、Elが低い。
の合計量が少ない例であり、所望のγRが得られない
為、Elが20%と低かった。
に、第2相組織としてパーライト組織が多量に生成した
例であり、El及びλが低下した。
を用いた、ポリゴナルフェライトを母相とする従来のT
RIP鋼板における各特性評価の結果を表6に示す。
ものの、λが劣化した。
実験用スラブを用い、表7及び表8に示す種々の製造条
件を行った。熱延板の板厚は2.0mmとし、これをベ
ースとして実施例を行った。
組織を調べた。これらの結果を表7及び8に併記する。
尚、本実施例に用いた上記鋼種は、C量が相違するのみ
(表1のNo.3はC:0.15%;及び表4のNo.
4はC:0.48%)で他の成分含有量は概ね同じであ
る為、得られた組織はすべて同じであった。
(1)の方法に従って製造したものである。詳細には、
No.1〜23は熱延→連続焼鈍を、No.24は熱延
→めっき(更に合金化処理)を施した例である。
3、14、16、18、19、及び22〜24は、本発
明で特定する条件で製造した例であり、所望の組織が得
られた。
性の改善効果を確認すべく、表7のNo.24を用い、
プレめっき処理を施したこと以外は表7に示す条件で熱
処理し、合金化溶融Znめっき鋼板を得た。詳細には、
表7に示す条件で熱延した後、以下の条件でFe系プレ
めっきを行い(Fe系プレめっき付着量4.0g/
m 2,溶融Znめっき付着量52g/m2)、次いでめっ
きし[めっき浴:Zn−0.10%Al(有効Al濃
度),浴温:460℃]、引続き、合金化処理した(合
金化温度450℃、合金化時間45秒)。
き鋼板は、プレめっき処理をしない場合と同じ、良好な
組織が得られると共に、不めっきも見られず、めっき表
面の摺動性及び耐パウダリング性にも優れる等、めっき
特性も極めて良好であった(表には示さず)。
条件を満足せずに製造した下記例は、夫々、以下の不具
合を有している。
が低い例であり、所望の組織が得られず、フェライト組
織が生成した。
R)が低い例であり、フェライト及びパーライトが生成
した。
高い例であり、ベイナイトが多量に生成した。
ルフェライトを母相とするTRIP鋼)を用いた例であ
り、所望の組織が得られなかった。
3)が高い例であり、所望の組織が得られず、母相がベ
イナイト組織となった。
γR組織が得られなかった。
の保持時間(t3)が短い例であり、焼戻不足となって
所望の焼戻マルテンサイトが得られなかった。
却速度(CR)が小さい例であり、パーライトが生成し
た。
温度(T4)が低い(即ち、オーステンパ処理を施さな
い)例であり、所望の組織が得られず、マルテンサイト
が生成した。
た(1)の方法において、冷延処理を施した例である。
詳細には、No.25〜26は熱延→冷延→連続焼鈍
を、No.27は熱延→冷延→めっき(更に合金化処
理)を施した例である。
特定する条件で製造した例であり、所望の組織が得られ
た。
であり、ポリゴナルフェライトが生成し、所望の焼戻マ
ルテンサイトが得られなかった。
した(2)の方法に従って製造したものである。詳細に
は、No.28〜51は熱延→冷延→第一の連続焼鈍→
第二の連続焼鈍を、No.52は熱延→冷延→第一の連
続焼鈍→めっき(更に合金化処理)を施した例である。
36〜38、41〜42、44、46〜47、及び50
〜52は、本発明で特定する条件で製造した例であり、
所望の組織が得られた。
性の改善効果を確認すべく、表8のNo.52を用い、
前述した表7のNo.24と同じ条件でFe系プレめっ
き及び合金化処理を行った。その結果、Fe系プレめっ
き処理した合金化溶融Znめっき鋼板は、プレめっき処
理をしない場合と同じ、良好な組織が得られると共に、
不めっきも見られず、めっき表面の摺動性及び耐パウダ
リング性にも優れる等、めっき特性も極めて良好であっ
た(表には示さず)。
れかを満足せずに製造した下記例は、夫々、以下の不具
合を有している。
におけるγ域の温度(T1)が低い例であり、フェライ
トが生成した。
平均冷却速度(CR)が小さい例であり、ポリゴナルフ
ェライト及びパーライトが生成した。
2相温度域温度(T3)が高い例であり、母相がベイナ
イト組織となった。
所望のγRが得られなかった。
2相温度域での保持時間(t3)が長い例であり、母相
がフェライト組織となった。
焼戻不足となり、所望の焼戻マルテンサイトが得られな
かった。
平均冷却速度(CR)が小さい例であり、パーライトが
生成した。
温度(T4)が低い(即ち、オーステンパ処理を施さな
い)例であり、マルテンサイトが生成し、所望の組織が
得られなかった。
で、約500〜1400MPa級の高強度及び超高強度
域において、優れた伸びフランジ性および全伸びの両特
性を兼ね備えた高強度鋼板、及び、この様な鋼板を効率
よく製造することができた。
と、ポリゴナルフェライトの硬度を対比したグラフであ
る。
の硬度に及ぼすC量の影響を示すグラフである。
特徴を模式化した図である。
る。
(×1000)である。
ある。
程を説明した図である。
明した図である。
る。
る。
Claims (9)
- 【請求項1】 質量%で、 C :0.06〜0.6%、 Si+Al:0.5〜3%、 Mn:0.5〜3%、 P :0.15%以下(0%を含まない)、 S :0.02%以下(0%を含まない) を含有し、且つ、 母相組織は、焼戻マルテンサイトを全組織に対して占積
率で50%以上含有し、 第2相組織は、残留オーステナイトを全組織に対して占
積率で3〜20%含有し、更にベイナイト/マルテンサ
イトを含有しても良いものであることを特徴とする加工
性に優れた高強度鋼板。 - 【請求項2】 前記残留オーステナイト中のC濃度(C
γR)は0.8%以上である請求項1に記載の高強度鋼
板。 - 【請求項3】 前記残留オーステナイトはラス状を呈し
ているものである請求項1または2に記載の高強度鋼
板。 - 【請求項4】 更に、質量%で、 Mo:1%以下 (0%を含まない), Ni:0.5%以下(0%を含まない), Cu:0.5%以下(0%を含まない), Cr:1%以下 (0%を含まない)の少なくとも一
種を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載
の高強度鋼板。 - 【請求項5】 更に、質量%で、Ti:0.1%以下
(0%を含まない),Nb:0.1%以下(0%を含ま
ない),V :0.1%以下(0%を含まない)の少な
くとも一種を含有するものである請求項1〜4のいずれ
かに記載の高強度鋼板。 - 【請求項6】 更に、質量%で、 Ca :30ppm以下(0ppmを含まない)、及び
/又はREM:30ppm以下(0ppmを含まない)
を含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の
高強度鋼板。 - 【請求項7】 熱延工程、及び連続焼鈍工程またはめっ
き工程を施すことにより、請求項1〜6のいずれかに記
載の高強度鋼板を製造する方法であって、 該熱延工程は、(Ar3−50)℃以上の温度で仕上圧延
を終了する工程;及び20℃/s以上の平均冷却速度
で、Ms点以下まで冷却して巻取る工程を包含し、 該連続焼鈍工程またはめっき工程は、A1点以上A3点以
下の温度で10〜600秒加熱保持する工程;3℃/s
以上の平均冷却速度で、300℃以上480℃以下の温
度まで冷却する工程;及び該温度域で1秒以上保持する
工程を包含することを特徴とする高強度鋼板の製造方
法。 - 【請求項8】 熱延工程、冷延工程、第一の連続焼鈍工
程、及び第二の連続焼鈍工程またはめっき工程を施すこ
とにより、請求項1〜6のいずれかに記載の高強度鋼板
を製造する方法であって、 該第一の連続焼鈍工程は、A3点以上の温度で加熱保持
する工程;及び20℃/s以上の平均冷却速度で、Ms
点以下の温度まで冷却する工程を包含し、 該第二の連続焼鈍工程またはめっき工程は、A1点以上
A3点以下の温度で10〜600秒加熱保持する工程;
3℃/s以上の平均冷却速度で、300℃以上480℃
以下の温度まで冷却する工程;及び該温度域で1秒以上
保持する工程を包含することを特徴とする高強度鋼板の
製造方法。 - 【請求項9】 前記めっき工程の前に、下記関係式
(1)を満足する条件でFe系プレめっき処理する工程
を包含するものである請求項7または8に記載の製造方
法。 0.06W≦X … (1) [式中、Wは溶融Znめっきの付着量 (g/m2)、
XはFe系プレめっきの付着量(g/m2)を夫々意味
する]
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