JP2002302497A - タンニン及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents
タンニン及びその製造方法並びにその用途Info
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Abstract
ユーカリ、カシ、ツガ等の植物資源からメタノール、エ
タノール等の低級アルコール又は低級アルコール/水系
溶媒で抽出することを特徴とするタンニンの抽出方法及
び該抽出物からなる接着剤又は結合剤。 【効果】 ホルムアルデヒドとの反応成分の含有率が高
く、かつ木質材料に対する接着剤又は結合剤として優れ
た特性を示すタンニンが得られる。
Description
法及び該抽出方法によって得られるタンニン並びにその
用途、詳しくは木材用接着剤又は結合剤の主剤用タンニ
ンの製法に関するものである。
く溶け、水溶液は収斂(シュウレン)性が強く、皮をな
めす性質を持つ物質の総称として古くから知られてお
り、化学的には単一な物質ではなく複雑な有機化合物の
集合物である。タンニンはその化学的性質上、希酸と加
熱すると加水分解され没食子酸、エラグ酸などを生ずる
加水分解型タンニンと、重合して水に不溶なフロバフェ
ンを生ずる縮合型タンニンに分類されるが、特に縮合型
タンニンはアルデヒドと反応して高分子化する性質があ
る。
る複雑な有機化合物の集合物であるが、従来のタンニン
の定義に従えば、「水によく溶け、水溶液は収斂性が強
く、皮をなめす性質を持つ物質」であること、また抽出
溶媒としては水が最も安価であることから、加水分解型
タンニン又は縮合型タンニンのいずれもその抽出方法は
もっぱら水、温水又は熱水による抽出である。一方、タ
ンニンの用途は、従来から工業的にはナメシ剤としての
使用が最も多く、この他には各種金属イオンの沈殿剤で
ある。その他の用途としては、薬局方タンニン酸、木材
用接着剤あるいはその充填剤があるが、いずれも抽出溶
剤として温水又は熱水を用いて抽出されたタンニンを基
剤とし、必要に応じて有機溶剤で更に精製するか若しく
はアルカリ等で変性している。
シ剤には、ヌルデ葉の虫こぶ、カシ属葉の虫こぶ、ミロ
バランス、スマック、デイビデイビなどからの加水分解
型タンニンが古くから利用されている。薬局方タンニン
酸の場合にも、五倍子や没食子の加水分解型タンニンか
ら水抽出の後に2〜3段階の有機溶剤による分離精製が
一般的に行われている。
皮、マングローブ樹皮、ユーカリの材と樹皮、松の樹
皮、から松の樹皮、スプルースの樹皮などから工業用の
タンニンが抽出されており、皮ナメシ剤として利用され
ている一方で、縮合型タンニンがアルデヒドと反応して
高分子化する性質を利用し、木材用接着剤又は結合剤と
してアカシア樹皮やケブラコ材から温水又は熱水によっ
て抽出されたタンニンが1960年代後半から利用され
ている。さらに、1950年代からはチリ、ニュージー
ランドあるいはオーストラリアで植林されているラジア
ータ松樹皮についても、アカシア樹皮やケブラコ材タン
ニンと同様に木材接着剤としての利用が試みられてきて
おり、抽出溶媒も、同様に温水又は熱水、あるいはラジ
アータ松樹皮の場合には温水又は熱水のアルカリ性水溶
液が用いられてきた(Australian Patent 518703 1981,
Improvements inand relating to the processing of
materials, N.Z. Forest Products Limited)。
出されたタンニンは、収率が向上するものの、アルデヒ
ドとの反応性が失われ、結果として接着力、結合力が劣
るなど接着剤に適したタンニンが得られなかった。ま
た、従来の抽出と同様にラジアータ松樹皮タンニンを、
温水又は熱水を抽出溶媒として用いた場合、タンニン収
率を高くするために長時間抽出する必要がある。しか
し、長時間、温水又は熱水で抽出を行ったりすると、収
率は高くなっても得られたタンニンのうちアルデヒドと
反応するタンニン含量(以下、純度)が低下し、接着剤
配合後の粘度が塗布が困難なほど高くなるなど、接着剤
主剤用タンニンとしての品質が低下して利用できないと
いう問題点があった。したがって、抽出溶媒は温水又は
熱水を用いたまま、タンニンの化学構造を変化させずに
短時間に抽出する抽出操作に重点をおいた改良が検討さ
れてきた(Canadian Patent 1285555 1985, Tannin Ext
raction and Processing, CSIRO, Australian Patent A
pplication 61467/90 1900, Tannin Extraction,Chem E
ng Contracts Pty Limited、Australian Provisional P
atent Application PO09260 1997, High yield tannin
extract, CSIRO)。これら改良の結果、従来の熱水を抽
出溶媒とした場合、タンニンの収率が30.5%で、純
度が85.9%まで改良されたものの、十分な接着強度
が得られるタンニン固形分40〜45%溶液時の粘度が
18,000mPa・s と塗布するには高すぎるため、実用
化には至っていない。
複雑な有機化合物の集合物であることから、抽出溶媒、
抽出方法及び原料によって得られるタンニンの構成成分
は異なってくることが考えられ、さらに使用目的に応じ
てこれらの抽出条件が異なると考えられるにも関わら
ず、「タンニンは水溶性」という固定観念と、抽出溶媒
として安価であるとのことから、どの植物資源に対して
もタンニン抽出溶媒は温水、熱水、それに亜硫酸水素ナ
トリウムのような添加剤を少量加えた水系溶媒が用いら
れてきた。それによって得られたタンニンではナメシ剤
以外の使用目的に適した品質のタンニンが得られないと
いう問題点があり、特に木材用接着剤又は結合剤として
のタンニン抽出においては、水、温水又は熱水以外の抽
出溶媒を用いたことがなかった。本発明は植物資源の種
類に影響されずに、構成成分のバラツキの小さい安定し
た品質のタンニンを得ることを目的とするもので、特
に、木材工業やパルプ業界において、植林される一方で
大量に使用されているマングローブ、アカシア、松、ユ
ーカリ、カシ、ツガなどの樹木、特に樹皮から、木材用
接着剤又は結合剤として使用できるタンニンを高収率
で、アルデヒドと反応するタンニン含量(純度)も高
く、タンニン溶液の粘度も低いという高品質で得ること
が本発明の大きな目的である。
けるタンニン抽出方法では、温水や熱水溶媒ではなく、
低級アルコール又は低級アルコール/水系溶媒をタンニ
ンの抽出溶媒として用いることを特徴とする。さらに、
木材工業やパルプ業界において、植林される一方で大量
に使用されているマングローブ、アカシア、松、ユーカ
リ、カシ、ツガなどの樹木、特に樹皮から、メタノー
ル、エタノール等の低級アルコール又は低級アルコール
/水系溶媒でタンニンを抽出し、得られたタンニンを接
着剤又は結合剤あるいは成型物組成物の原料として使用
することを特徴とする。
説明する。本発明の抽出溶媒としての低級アルコール
は、炭素原子数1〜4程度の低級アルコールが好まし
く、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。こ
れらのうちメタノール、エタノールが好ましく、水との
相溶性と安価であること、抽出溶媒の回収等の点でメタ
ノールが特に好ましい。低級アルコールは、得られるタ
ンニンの用途に応じて1種又は2種以上を合せて使用す
るとよい。抽出溶媒としての低級アルコールは、また、
水と併用してもよい。水との併用量は、得られるタンニ
ンの特性に応じて選択されるが、通常、低級アルコー
ル:水の混合比(容量比)は99:1〜50:50の範
囲で、好ましくは99:1〜80:20であり、特に水
の量が20%以下が好ましい。水との併用はタンニン抽
出液からアルコールを気化させてタンニン溶液を濃縮
し、タンニン水溶液を得る場合に特に有効である。抽出
溶媒は、原料に対して重量比で1〜20倍の範囲、好ま
しくは5倍前後の量で使用するとよい。後工程での抽出
液の濃縮の点では、可能な限り溶媒量が少ない方が望ま
しい。
ールの気化・蒸発などのことから、使用アルコールの沸
点以下が好ましく、通常、15〜65℃程度での実施が
好ましい。装置が、完全密閉又は閉鎖系であるときに
は、また水との併用の場合には更に高温としてもよい。
タンニンの抽出方法は特に限定されないが、アルコール
単独での抽出の場合には、アルコール蒸気が揮散する恐
れがあることから好ましくは抽出タンク、抽出釜等の密
閉系又は換気装置のある工場等の閉鎖系で行うとよい。
抽出溶媒への浸漬は、回分(バッチ)式、連続式のいず
れでもよく、浸漬時間は通常、常温常圧下で10分〜2
4時間の範囲で選択され、好ましくは10〜30分であ
る。密閉系での加圧雰囲気下では更に短縮することがで
きる。
圧搾又は吸引等による濾別の2工程で行われるが、抽出
原料の種類、原料の大きさ(粉砕粒度)に応じて、浸漬
−濾別工程を2回以上行ってもよい。その際、第1回目
と第2回目とで使用抽出溶媒を変えてもよい。濾別は、
フィルターによる常圧下での濾過の他、圧搾、吸引、遠
心分離等の通常の固−液分離に使用される方法によって
行うことができる。抽出後の濾過法として、例えば、遠
心分離機や沈降濾過法と減圧吸引濾過法や加圧濾過法な
どを挙げることができる。これらの濾別手段は、圧搾と
吸引のように2以上を組み合わせて行ってもよい。この
ほか、エクストルーダーのような加圧押出機によって抽
出−濾別を一工程とすることや、高速粉砕装置で粉砕及
び抽出の二工程を一工程として連続的に抽出処理をする
こともできる。水系溶媒と異なり、低級アルコールは抽
出材料の溶媒保持力が低いためこれらの装置による連続
処理も可能である。
なく種々の植物資源に適用できる。したがって植物資源
としては、従来よりタンニンの抽出に用いられている植
物のほかに、早生樹種として植林され、木材加工及びパ
ルプ工業に利用されて、その加工過程で多量に排出さ
れ、廃棄されて、ポリフェノール性成分であるタンニン
が土壌などに流出し、他の植物の成長阻害に影響を与え
る等、環境問題を引き起こす原因にもなっているため、
早急な有効活性が必要とされているラジアータ松樹皮な
どを用いることができる。従来よりタンニンの抽出に用
いられている植物はタンニン含有量の点で好ましく、さ
らに接着剤、結合剤等としての特性を有するタンニンを
得るためには、マングローブ、アカシア、松、ユーカ
リ、カシ、ツガなどが望ましく、特に樹皮が資源の活用
及び得られるタンニン成分の観点で好ましい。
ば樹木の場合、樹皮などを適当な大きさに粉砕又は繊維
状に解繊して使用する。粉砕粒度としては特に限定され
ないが、溶媒による抽出性、抽出液の濾別性、抽出後の
ケーキ(残渣)の処理の点で1mm以下の粒子とするよ
く、500〜800μm程度の粒度に粉砕するとよい。
植物資源の種類や粉砕後の形状に応じて、この粉砕の粒
径は異なるが、後工程の濾過において孔径20〜60μ
mのフィルターがタンニン溶液の濾過に適していること
から、植物資源の粒度は目詰まり防止のために、このフ
ィルター孔径よりも5倍以上大きい方が望ましい。抽出
後のタンニンを含む抽出液は、通風乾燥、減圧乾燥等に
より適度の濃度に濃縮した後、凍結乾燥、噴霧乾燥等に
より乾燥処理してタンニン粉末を得る。なお、用途によ
ってはタンニン濃縮液の形で供給してもよい。また、ホ
ルムアルデヒドとの縮合物として用いる場合には、タン
ニン濃縮液の段階でホルムアルデヒドを加えて反応させ
初期縮合物とした形で分離してもよい。抽出後のケーキ
(残渣)は、解砕又は繊維状にして充填剤や増量剤とし
て使用するか、又は適度の大きさに砕いて固形燃料など
としてもよい。
のアルデヒドと反応するタンニン含量(純度)は、タン
ニン単量体としてのカテキン100%(重量:以下同
じ)を標品とした場合のアルデヒドとの反応沈殿物の理
論値が104.1%に対して、80%以上、好ましくは
90%以上のものである。接着剤及び結合剤としてのタ
ンニン溶液は、塗布装置のエクストルーダーあるいはフ
ローコーターにおける塗布適性粘度である6,000mP
a・s 以下であることが望ましく、かつフェノール樹脂同
等の接着強度が得られる固形分35〜45%の溶液が適
している。本発明によって得られるタンニンで調製した
接着剤は塗布性に加えて、加工性良好で、試験木片につ
いての接着強度も高く木部破断も観察され、他の樹脂、
例えばホルムアルデヒド系樹脂との相溶性はタンニン:
樹脂=1:99〜99:1の範囲で配合できる。
発明はこれらに限定されるものではない。
ータ松の樹皮を粉砕すると容易に600μmメッシュパ
スの樹皮粉末になるためこれを用いた。タンニンの抽出
溶媒には、タンニンの変質を避けるために、水の沸点1
00℃よりも低い溶媒を23種類選択し、さらにタンニ
ン溶解性があるものとして、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、n−ブタノールの4種類の有機溶媒
を選択した。樹皮に、重量比で5倍量のこれら抽出溶媒
を加えて15分間、室温で抽出処理した。次いで、孔径
20〜60μmのフィルターで濾過を行ったが、このフ
ィルターポアサイズは、植物資源の粉砕時の形状、粒径
に依存して選択する。
濾液(抽出液)から有機溶媒を蒸発させてタンニン濃縮
液を得る。これら有機溶媒抽出によるタンニン濃縮液及
び熱水抽出によるタンニン濃縮水溶液から凍結乾燥によ
ってタンニン粉末を得る。これら有機溶媒及び熱水抽出
によるラジアータ松樹皮の全乾重量に対する抽出物(タ
ンニン粉末)収率、純度及び樹皮全乾重量に対するタン
ニン収率を表1に示す。表1からわかるように、樹皮の
全乾重量に対するタンニン収率及び純度が高い抽出溶媒
は、従来の熱水とメタノール、エタノールの低級アルコ
ールであった。
0%になるようにタンニン水溶液を調製した時の粘度
(25℃)と、このタンニン40%水溶液のタンニン固
形分を100部として、水酸化ナトリウム0.5部、パ
ラホルムアルデヒド10部、ヤシ殻粉5部、小麦粉5部
で配合した接着剤の常態接着力試験結果を表1に示す。
これらの表1からわかるように、タンニン収率、純度、
塗布性及び常態接着力がいずれも高いのは、メタノー
ル、エタノールの低級アルコールであった。
ジアータ松樹皮をメタノールあるいはエタノールの低級
アルコール/水系溶媒で抽出した。低級アルコール:水
の混合比は100:0から0:100の範囲とし、いず
れも15分間、室温で抽出処理した。次いで、実施例1
と同様に濾過、濃縮及び乾燥を行い、タンニン粉末を得
て、タンニン収率、純度を測定した結果を表2に示す。
さらに、得られたタンニン粉末を固形分40%になるよ
うに調製した水溶液の粘度と実施例1と同様の配合比で
調製した接着剤の常態接着力を表2に示す。表2からわ
かるように、樹皮の全乾重量に対するタンニン収率及び
純度が高いのは低級アルコール:水の混合比が100:
1〜50:50であり、さらに塗布性が高いものは10
0:1〜70:30の範囲であった。これらに加えて、
常態接着力も高いのは、100:0〜80:20の範囲
であった。
ンを主原料として接着剤を調製し、その接着力を試験し
た。接着剤の配合例を表3に示す。この時のタンニン固
形分40%水溶液と接着剤糊液配合後の粘度、塗布装置
をエクストルーダー、フローコーターを用いた時の塗布
性及び接着強度は実施例1及び2の表1及び2に示し
た。接着強度試験は、試験片としてラジアータ松とカポ
ールの各単板を使用し、塗布量150〜200g/cm
2 で接着剤を塗布し、冷圧0.8MPaで5分間、熱圧
では140℃、1.0MPaで7分間圧締して接着し
た。接着した単板は、日本農林規格(JAS)に基づく
ホルムアルデヒド放散量が0.5mg/L以下でFco
の性能を有した。また、接着性能試験は接着したまま
(常態)と水による煮沸を72時間行った後のもの(煮
沸)について各試験片10個について行いその平均値を
表4に示した。表4からわかるように、常態接着力及び
木部破断率共に、従来の熱水を抽出溶媒とした時のタン
ニン接着剤よりも、メタノールを抽出溶媒とした時のタ
ンニン接着剤が高かった。さらに煮沸後の接着力及び木
部破断率も従来の熱水タンニン抽出接着剤よりもメタノ
ール抽出タンニンが高く、市販のフェノール樹脂接着剤
と同等ないしそれ以上の接着力を示し、メタノール抽出
タンニン接着剤は耐水性が高かった。
を用いて粉砕及び抽出の二工程を一工程で行った。粗粉
砕したラジアータ松樹皮の小塊50kgにメタノール2
50kgを加え、高速粉砕装置で15分間、40℃以下
の温度、好ましくは5〜25℃の温度で攪拌・粉砕し
て、0.6mm以下の樹皮微粒子を含むメタノール懸濁
液を得た。得られた懸濁液を遠心分離機で樹皮微粒子を
分離してタンニンを含むメタノール溶液(タンニン抽出
液)を得た。タンニン抽出液は実施例1と同様に処理し
てタンニン粉末を得た。粉砕から抽出まで短時間で処理
できるため、より安定した成分のタンニンが得られた。
エタノールを用いて同様の結果を得た。
(沸点65℃)と常温メタノール(15〜25℃)とに
よってタンニン抽出を行った。沸騰メタノールと常温メ
タノールで抽出された植物資源の全乾重量に対する抽出
物の収率とその純度を表5に示す。表5から、沸騰メタ
ノールを用いると抽出物収率が多くなるが、純度が低く
なるため、メタノールの抽出温度は65℃の沸点以下が
望ましい。
ン/メタノール溶液からメタノールを蒸発させて、タン
ニン濃縮液を得た。メタノールの蒸発は、減圧乾燥器、
低温加熱乾燥器、ロータリーエバポレーターによって行
った。いずれの蒸発器によっても良好に濃縮できた。後
工程の接着剤配合において固形分40%のタンニン溶液
を調製するため、このタンニン濃縮液にメタノールが1
〜60%の範囲で含有したままの溶液で使用しても問題
ない。このタンニン濃縮液を凍結乾燥、噴霧乾燥してタ
ンニン粉末を得た。
植物資源としてラジアータ松以外の、アカシア、ユーカ
リ、ツガ、マングローブ、カシに対してタンニン抽出を
行った。その結果、従来の熱水抽出と比較して前記実施
例と同様のタンニンが得られた。
の主原料としてのタンニン抽出に際して、低級アルコー
ル又は低級アルコール/水系溶媒で抽出すると、特定の
樹種に限らず、原料の全乾重量に対する収率がその植物
資源のタンニン含有量の値に近く、かつ、アルデヒドと
反応するタンニン含量の高い、低分子量分布の安定した
タンニンが得られる。また、抽出プロセス上、濾液の溶
媒濃縮において、従来の熱水やアルカリ水溶液の水系溶
媒と比較して、100℃より低い沸点で蒸発ができるこ
とから、低エネルギーでタンニンを製造することが可能
になる。本発明の抽出溶媒によれば、熱水などの水単独
の場合と異なり、低温でかつ抽出速度が速いため、抽出
成分の温度、酸素等による高分子化・劣化・変質がない
ため低粘度の安定した品質のタンニンが得られる。抽出
溶媒である低級アルコール、特にメタノール、エタノー
ルは沸点が低いため容易に蒸発、回収して再利用するこ
とができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 植物資源から低級アルコール又は低級ア
ルコール/水系溶媒で抽出することを特徴とするタンニ
ンの抽出方法。 - 【請求項2】 低級アルコールがメタノール、エタノー
ル、プロパノール又はブタノール若しくはこれらの混合
物である請求項1記載の抽出方法。 - 【請求項3】 低級アルコール/水系溶媒が、低級アル
コールと水との混合比が99:1〜50:50の混合溶
媒である請求項1又は2記載の抽出方法。 - 【請求項4】 植物資源がマングローブ、アカシア、
松、から松、ユーカリ、カシ、ツガである請求項1記載
の抽出方法。 - 【請求項5】 抽出温度が15〜65℃である請求項1
ないし3のいずれか1項記載の抽出方法。 - 【請求項6】 請求項1〜5記載の抽出方法によって得
られたタンニン。 - 【請求項7】 請求項1〜5記載の抽出方法によって得
られたタンニンを含有することを特徴とする接着剤又は
結合剤。 - 【請求項8】 請求項1〜5記載の抽出方法によって得
られたタンニンを含有することを特徴とする成型物用組
成物。
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