JP3723944B2 - タンニン及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンニンの抽出方法及び該抽出方法によって得られるタンニン並びにその用途、詳しくは木材用接着剤又は結合剤の主剤用タンニンの製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タンニンは植物界に広く存在し、水によく溶け、水溶液は収斂(シュウレン)性が強く、皮をなめす性質を持つ物質の総称として古くから知られており、化学的には単一な物質ではなく複雑な有機化合物の集合物である。
タンニンはその化学的性質上、希酸と加熱すると加水分解され没食子酸、エラグ酸などを生ずる加水分解型タンニンと、重合して水に不溶なフロバフェンを生ずる縮合型タンニンに分類されるが、特に縮合型タンニンはアルデヒドと反応して高分子化する性質がある。
【0003】
タンニンは、上記のとおり植物界に存在する複雑な有機化合物の集合物であるが、従来のタンニンの定義に従えば、「水によく溶け、水溶液は収斂性が強く、皮をなめす性質を持つ物質」であること、また抽出溶媒としては水が最も安価であることから、加水分解型タンニン又は縮合型タンニンのいずれもその抽出方法はもっぱら水、温水又は熱水による抽出である。
一方、タンニンの用途は、従来から工業的にはナメシ剤としての使用が最も多く、この他には各種金属イオンの沈殿剤である。その他の用途としては、薬局方タンニン酸、木材用接着剤あるいはその充填剤があるが、いずれも抽出溶剤として温水又は熱水を用いて抽出されたタンニンを基剤とし、必要に応じて有機溶剤で更に精製するか若しくはアルカリ等で変性している。
【0004】
従来のタンニン用途の大半を占める皮ナメシ剤には、ヌルデ葉の虫こぶ、カシ属葉の虫こぶ、ミロバランス、スマック、デイビデイビなどからの加水分解型タンニンが古くから利用されている。
薬局方タンニン酸の場合にも、五倍子や没食子の加水分解型タンニンから水抽出の後に2〜3段階の有機溶剤による分離精製が一般的に行われている。
【0005】
縮合型タンニンとしては、ヘムロック樹皮、マングローブ樹皮、ユーカリの材と樹皮、松の樹皮、から松の樹皮、スプルースの樹皮などから工業用のタンニンが抽出されており、皮ナメシ剤として利用されている一方で、縮合型タンニンがアルデヒドと反応して高分子化する性質を利用し、木材用接着剤又は結合剤としてアカシア樹皮やケブラコ材から温水又は熱水によって抽出されたタンニンが1960年代後半から利用されている。
さらに、1950年代からはチリ、ニュージーランドあるいはオーストラリアで植林されているラジアータ松樹皮についても、アカシア樹皮やケブラコ材タンニンと同様に木材接着剤としての利用が試みられてきており、抽出溶媒も、同様に温水又は熱水、あるいはラジアータ松樹皮の場合には温水又は熱水のアルカリ性水溶液が用いられてきた(Australian Patent 518703 1981, Improvements in and relating to the processing of materials, N.Z. Forest Products Limited)。
【0006】
しかしながら、特にアルカリ水系溶媒で抽出されたタンニンは、収率が向上するものの、アルデヒドとの反応性が失われ、結果として接着力、結合力が劣るなど接着剤に適したタンニンが得られなかった。
また、従来の抽出と同様にラジアータ松樹皮タンニンを、温水又は熱水を抽出溶媒として用いた場合、タンニン収率を高くするために長時間抽出する必要がある。しかし、長時間、温水又は熱水で抽出を行ったりすると、収率は高くなっても得られたタンニンのうちアルデヒドと反応するタンニン含量(以下、純度)が低下し、接着剤配合後の粘度が塗布が困難なほど高くなるなど、接着剤主剤用タンニンとしての品質が低下して利用できないという問題点があった。
したがって、抽出溶媒は温水又は熱水を用いたまま、タンニンの化学構造を変化させずに短時間に抽出する抽出操作に重点をおいた改良が検討されてきた(Canadian Patent 1285555 1985, Tannin Extraction and Processing, CSIRO, Australian Patent Application 61467/90 1900, Tannin Extraction,Chem Eng Contracts Pty Limited、Australian Provisional Patent Application PO09260 1997, High yield tannin extract, CSIRO)。
これら改良の結果、従来の熱水を抽出溶媒とした場合、タンニンの収率が30.5%で、純度が85.9%まで改良されたものの、十分な接着強度が得られるタンニン固形分40〜45%溶液時の粘度が18,000mPa・s と塗布するには高すぎるため、実用化には至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようにタンニンは複雑な有機化合物の集合物であることから、抽出溶媒、抽出方法及び原料によって得られるタンニンの構成成分は異なってくることが考えられ、さらに使用目的に応じてこれらの抽出条件が異なると考えられるにも関わらず、「タンニンは水溶性」という固定観念と、抽出溶媒として安価であるとのことから、どの植物資源に対してもタンニン抽出溶媒は温水、熱水、それに亜硫酸水素ナトリウムのような添加剤を少量加えた水系溶媒が用いられてきた。それによって得られたタンニンではナメシ剤以外の使用目的に適した品質のタンニンが得られないという問題点があり、特に木材用接着剤又は結合剤としてのタンニン抽出においては、水、温水又は熱水以外の抽出溶媒を用いたことがなかった。
本発明は植物資源の種類に影響されずに、構成成分のバラツキの小さい安定した品質のタンニンを得ることを目的とするもので、特に、木材工業やパルプ業界において、植林される一方で大量に使用されているマングローブ、アカシア、松、ユーカリ、カシ、ツガなどの樹木、特に樹皮から、木材用接着剤又は結合剤として使用できるタンニンを高収率で、アルデヒドと反応するタンニン含量(純度)も高く、タンニン溶液の粘度も低いという高品質で得ることが本発明の大きな目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明におけるタンニン抽出方法では、温水や熱水溶媒ではなく、低級アルコール又は低級アルコール/水系溶媒をタンニンの抽出溶媒として用いることを特徴とする。さらに、木材工業やパルプ業界において、植林される一方で大量に使用されているマングローブ、アカシア、松、ユーカリ、カシ、ツガなどの樹木、特に樹皮から、メタノール、エタノール等の低級アルコール又は低級アルコール/水系溶媒でタンニンを抽出し、得られたタンニンを接着剤又は結合剤あるいは成型物組成物の原料として使用することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の抽出溶媒としての低級アルコールは、炭素原子数1〜4程度の低級アルコールが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらのうちメタノール、エタノールが好ましく、水との相溶性と安価であること、抽出溶媒の回収等の点でメタノールが特に好ましい。低級アルコールは、得られるタンニンの用途に応じて1種又は2種以上を合せて使用するとよい。
抽出溶媒としての低級アルコールは、また、水と併用してもよい。水との併用量は、得られるタンニンの特性に応じて選択されるが、通常、低級アルコール:水の混合比(容量比)は99:1〜50:50の範囲で、好ましくは99:1〜80:20であり、特に水の量が20%以下が好ましい。水との併用はタンニン抽出液からアルコールを気化させてタンニン溶液を濃縮し、タンニン水溶液を得る場合に特に有効である。
抽出溶媒は、原料に対して重量比で1〜20倍の範囲、好ましくは5倍前後の量で使用するとよい。後工程での抽出液の濃縮の点では、可能な限り溶媒量が少ない方が望ましい。
【0010】
抽出温度は、特に限定されないが、アルコールの気化・蒸発などのことから、使用アルコールの沸点以下が好ましく、通常、15〜65℃程度での実施が好ましい。装置が、完全密閉又は閉鎖系であるときには、また水との併用の場合には更に高温としてもよい。
タンニンの抽出方法は特に限定されないが、アルコール単独での抽出の場合には、アルコール蒸気が揮散する恐れがあることから好ましくは抽出タンク、抽出釜等の密閉系又は換気装置のある工場等の閉鎖系で行うとよい。抽出溶媒への浸漬は、回分(バッチ)式、連続式のいずれでもよく、浸漬時間は通常、常温常圧下で10分〜24時間の範囲で選択され、好ましくは10〜30分である。密閉系での加圧雰囲気下では更に短縮することができる。
【0011】
抽出は、基本的には抽出溶媒への浸漬と、圧搾又は吸引等による濾別の2工程で行われるが、抽出原料の種類、原料の大きさ(粉砕粒度)に応じて、浸漬−濾別工程を2回以上行ってもよい。その際、第1回目と第2回目とで使用抽出溶媒を変えてもよい。濾別は、フィルターによる常圧下での濾過の他、圧搾、吸引、遠心分離等の通常の固−液分離に使用される方法によって行うことができる。
抽出後の濾過法として、例えば、遠心分離機や沈降濾過法と減圧吸引濾過法や加圧濾過法などを挙げることができる。これらの濾別手段は、圧搾と吸引のように2以上を組み合わせて行ってもよい。
このほか、エクストルーダーのような加圧押出機によって抽出−濾別を一工程とすることや、高速粉砕装置で粉砕及び抽出の二工程を一工程として連続的に抽出処理をすることもできる。水系溶媒と異なり、低級アルコールは抽出材料の溶媒保持力が低いためこれらの装置による連続処理も可能である。
【0012】
本発明の抽出方法は、特に限定されることなく種々の植物資源に適用できる。したがって植物資源としては、従来よりタンニンの抽出に用いられている植物のほかに、早生樹種として植林され、木材加工及びパルプ工業に利用されて、その加工過程で多量に排出され、廃棄されて、ポリフェノール性成分であるタンニンが土壌などに流出し、他の植物の成長阻害に影響を与える等、環境問題を引き起こす原因にもなっているため、早急な有効活性が必要とされているラジアータ松樹皮などを用いることができる。
従来よりタンニンの抽出に用いられている植物はタンニン含有量の点で好ましく、さらに接着剤、結合剤等としての特性を有するタンニンを得るためには、マングローブ、アカシア、松、ユーカリ、カシ、ツガなどが望ましく、特に樹皮が資源の活用及び得られるタンニン成分の観点で好ましい。
【0013】
タンニン抽出に際しては、植物資源、例えば樹木の場合、樹皮などを適当な大きさに粉砕又は繊維状に解繊して使用する。粉砕粒度としては特に限定されないが、溶媒による抽出性、抽出液の濾別性、抽出後のケーキ(残渣)の処理の点で1mm以下の粒子とするよく、500〜800μm程度の粒度に粉砕するとよい。
植物資源の種類や粉砕後の形状に応じて、この粉砕の粒径は異なるが、後工程の濾過において孔径20〜60μmのフィルターがタンニン溶液の濾過に適していることから、植物資源の粒度は目詰まり防止のために、このフィルター孔径よりも5倍以上大きい方が望ましい。
抽出後のタンニンを含む抽出液は、通風乾燥、減圧乾燥等により適度の濃度に濃縮した後、凍結乾燥、噴霧乾燥等により乾燥処理してタンニン粉末を得る。
なお、用途によってはタンニン濃縮液の形で供給してもよい。また、ホルムアルデヒドとの縮合物として用いる場合には、タンニン濃縮液の段階でホルムアルデヒドを加えて反応させ初期縮合物とした形で分離してもよい。
抽出後のケーキ(残渣)は、解砕又は繊維状にして充填剤や増量剤として使用するか、又は適度の大きさに砕いて固形燃料などとしてもよい。
【0014】
本発明方法によって得られるタンニン粉末のアルデヒドと反応するタンニン含量(純度)は、タンニン単量体としてのカテキン100%(重量:以下同じ)を標品とした場合のアルデヒドとの反応沈殿物の理論値が104.1%に対して、80%以上、好ましくは90%以上のものである。
接着剤及び結合剤としてのタンニン溶液は、塗布装置のエクストルーダーあるいはフローコーターにおける塗布適性粘度である6,000mPa・s 以下であることが望ましく、かつフェノール樹脂同等の接着強度が得られる固形分35〜45%の溶液が適している。本発明によって得られるタンニンで調製した接着剤は塗布性に加えて、加工性良好で、試験木片についての接着強度も高く木部破断も観察され、他の樹脂、例えばホルムアルデヒド系樹脂との相溶性はタンニン:樹脂=1:99〜99:1の範囲で配合できる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
実施例1
植物資源には、木材加工工程で大量に排出されるラジアータ松の樹皮を粉砕すると容易に600μmメッシュパスの樹皮粉末になるためこれを用いた。
タンニンの抽出溶媒には、タンニンの変質を避けるために、水の沸点100℃よりも低い溶媒を23種類選択し、さらにタンニン溶解性があるものとして、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールの4種類の有機溶媒を選択した。樹皮に、重量比で5倍量のこれら抽出溶媒を加えて15分間、室温で抽出処理した。次いで、孔径20〜60μmのフィルターで濾過を行ったが、このフィルターポアサイズは、植物資源の粉砕時の形状、粒径に依存して選択する。
【0017】
上記4種類の抽出溶媒で得られたタンニン濾液(抽出液)から有機溶媒を蒸発させてタンニン濃縮液を得る。これら有機溶媒抽出によるタンニン濃縮液及び熱水抽出によるタンニン濃縮水溶液から凍結乾燥によってタンニン粉末を得る。
これら有機溶媒及び熱水抽出によるラジアータ松樹皮の全乾重量に対する抽出物(タンニン粉末)収率、純度及び樹皮全乾重量に対するタンニン収率を表1に示す。表1からわかるように、樹皮の全乾重量に対するタンニン収率及び純度が高い抽出溶媒は、従来の熱水とメタノール、エタノールの低級アルコールであった。
【0018】
さらに得られたタンニン粉末の固形分が40%になるようにタンニン水溶液を調製した時の粘度(25℃)と、このタンニン40%水溶液のタンニン固形分を100部として、水酸化ナトリウム0.5部、パラホルムアルデヒド10部、ヤシ殻粉5部、小麦粉5部で配合した接着剤の常態接着力試験結果を表1に示す。
これらの表1からわかるように、タンニン収率、純度、塗布性及び常態接着力がいずれも高いのは、メタノール、エタノールの低級アルコールであった。
【0019】
Figure 0003723944
【0020】
実施例2
実施例1と同様に600μmメッシュパスに粉砕したラジアータ松樹皮をメタノールあるいはエタノールの低級アルコール/水系溶媒で抽出した。低級アルコール:水の混合比は100:0から0:100の範囲とし、いずれも15分間、室温で抽出処理した。次いで、実施例1と同様に濾過、濃縮及び乾燥を行い、タンニン粉末を得て、タンニン収率、純度を測定した結果を表2に示す。さらに、得られたタンニン粉末を固形分40%になるように調製した水溶液の粘度と実施例1と同様の配合比で調製した接着剤の常態接着力を表2に示す。
表2からわかるように、樹皮の全乾重量に対するタンニン収率及び純度が高いのは低級アルコール:水の混合比が100:1〜50:50であり、さらに塗布性が高いものは100:1〜70:30の範囲であった。これらに加えて、常態接着力も高いのは、100:0〜80:20の範囲であった。
【0021】
Figure 0003723944
【0022】
実施例3
実施例1で得たラジアータ松樹皮メタノール抽出タンニンを主原料として接着剤を調製し、その接着力を試験した。接着剤の配合例を表3に示す。この時のタンニン固形分40%水溶液と接着剤糊液配合後の粘度、塗布装置をエクストルーダー、フローコーターを用いた時の塗布性及び接着強度は実施例1及び2の表1及び2に示した。
接着強度試験は、試験片としてラジアータ松とカポールの各単板を使用し、塗布量150〜200g/cm2 で接着剤を塗布し、冷圧0.8MPaで5分間、熱圧では140℃、1.0MPaで7分間圧締して接着した。接着した単板は、日本農林規格(JAS)に基づくホルムアルデヒド放散量が0.5mg/L以下でFcoの性能を有した。また、接着性能試験は接着したまま(常態)と水による煮沸を72時間行った後のもの(煮沸)について各試験片10個について行いその平均値を表4に示した。
表4からわかるように、常態接着力及び木部破断率共に、従来の熱水を抽出溶媒とした時のタンニン接着剤よりも、メタノールを抽出溶媒とした時のタンニン接着剤が高かった。さらに煮沸後の接着力及び木部破断率も従来の熱水タンニン抽出接着剤よりもメタノール抽出タンニンが高く、市販のフェノール樹脂接着剤と同等ないしそれ以上の接着力を示し、メタノール抽出タンニン接着剤は耐水性が高かった。
【0023】
Figure 0003723944
【0024】
Figure 0003723944
【0025】
実施例3−2
ラジアータ松樹皮からのタンニン抽出を、高速粉砕装置を用いて粉砕及び抽出の二工程を一工程で行った。
粗粉砕したラジアータ松樹皮の小塊50kgにメタノール250kgを加え、高速粉砕装置で15分間、40℃以下の温度、好ましくは5〜25℃の温度で攪拌・粉砕して、0.6mm以下の樹皮微粒子を含むメタノール懸濁液を得た。得られた懸濁液を遠心分離機で樹皮微粒子を分離してタンニンを含むメタノール溶液(タンニン抽出液)を得た。タンニン抽出液は実施例1と同様に処理してタンニン粉末を得た。
粉砕から抽出まで短時間で処理できるため、より安定した成分のタンニンが得られた。エタノールを用いて同様の結果を得た。
【0026】
実施例4
実施例1のメタノール抽出方法に従って沸騰メタノール(沸点65℃)と常温メタノール(15〜25℃)とによってタンニン抽出を行った。
沸騰メタノールと常温メタノールで抽出された植物資源の全乾重量に対する抽出物の収率とその純度を表5に示す。表5から、沸騰メタノールを用いると抽出物収率が多くなるが、純度が低くなるため、メタノールの抽出温度は65℃の沸点以下が望ましい。
【0027】
Figure 0003723944
【0028】
実施例5
実施例1から4の抽出及び濾過によって得られたタンニン/メタノール溶液からメタノールを蒸発させて、タンニン濃縮液を得た。メタノールの蒸発は、減圧乾燥器、低温加熱乾燥器、ロータリーエバポレーターによって行った。いずれの蒸発器によっても良好に濃縮できた。後工程の接着剤配合において固形分40%のタンニン溶液を調製するため、このタンニン濃縮液にメタノールが1〜60%の範囲で含有したままの溶液で使用しても問題ない。このタンニン濃縮液を凍結乾燥、噴霧乾燥してタンニン粉末を得た。
【0029】
実施例6
実施例1から4に記載の本発明の抽出方法に基づいて、植物資源としてラジアータ松以外の、アカシア、ユーカリ、ツガ、マングローブ、カシに対してタンニン抽出を行った。その結果、従来の熱水抽出と比較して前記実施例と同様のタンニンが得られた。
【0030】
【発明の効果】
タンニンの抽出、特に接着剤又は結合剤の主原料としてのタンニン抽出に際して、低級アルコール又は低級アルコール/水系溶媒で抽出すると、特定の樹種に限らず、原料の全乾重量に対する収率がその植物資源のタンニン含有量の値に近く、かつ、アルデヒドと反応するタンニン含量の高い、低分子量分布の安定したタンニンが得られる。また、抽出プロセス上、濾液の溶媒濃縮において、従来の熱水やアルカリ水溶液の水系溶媒と比較して、100℃より低い沸点で蒸発ができることから、低エネルギーでタンニンを製造することが可能になる。
本発明の抽出溶媒によれば、熱水などの水単独の場合と異なり、低温でかつ抽出速度が速いため、抽出成分の温度、酸素等による高分子化・劣化・変質がないため低粘度の安定した品質のタンニンが得られる。抽出溶媒である低級アルコール、特にメタノール、エタノールは沸点が低いため容易に蒸発、回収して再利用することができる。

Claims (6)

  1. 粗砕したラジアータ松の樹皮を、樹皮に対して5倍重量のメタノールと水との混合比(メタノール:水)が100:0〜70:30の溶媒と共に高速粉砕装置で5〜25℃の温度条件下、10〜30分攪拌・粉砕して、600μm以下の樹皮微粒子を含む懸濁液とし、得られた懸濁液を分離してタンニンを含む溶液を得ることからなる木質材の接着剤又は結合剤に適するタンニンの抽出方法。
  2. 懸濁液からのタンニンを含む溶液の分離が、遠心分離であることを特徴とする請求項1記載のタンニンの抽出方法
  3. 得られるタンニンが、固形分40%のタンニン水溶液の粘度が1000〜6000mP・s(25℃)であることを特徴とする請求項1記載のタンニンの抽出方法
  4. 得られるタンニンが、タンニン100部、水酸化ナトリウム0.5部、パラホルムアルデヒド10部、ヤシ殻粉5部、小麦粉5部で配合したタンニン40%水溶液接着剤の常態接着力が20〜25 kgf/cm 2 であることを特徴とする請求項1記載のタンニンの抽出方法
  5. 請求項1〜記載の抽出方法によって得られた木質材の接着剤又は結合剤用のタンニン。
  6. 請求項1〜載の抽出方法によって得られたタンニンを含有することを特徴とする木質材の接着剤又は結合剤。
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