JP2002299497A - セラミック基材と導体ピンとの接合構造 - Google Patents

セラミック基材と導体ピンとの接合構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導体ピンがセラミック基材から剥れることの
ないセラミック基材と導体ピンの極めて強固な接合構造
を提供すること。 【解決手段】 対向する上下の主面を有するセラミック
基材1の主面間を貫通する貫通孔3に頭部2aが大径化
された柱状の導体ピン2を上側主面側より挿通し、頭部
2aの下面を貫通孔3の上側開口部に低融点ガラス4を
介して接合して成るセラミック基材1と導体ピン2との
接合構造であって、貫通孔3は上側開口部に上側主面に
対して20〜45°傾斜した平面状の面取り部5が形成
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器、電子機
器等に使用されるセラミック基材と導体ピンとの接合構
造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、フォルステライト(2MgO・S
iO2)やアルミナ(Al23)等のセラミック材料
は、電気絶縁性、耐熱性、化学的安定性等の諸特性に優
れることから、電気機器や電子機器用の絶縁材料として
使用されてきた。その一例として、図3および図4に示
すように、略平板状のセラミック基材11に柱状の導体
ピン12を低融点ガラス14によって接合固定して成る
セラミック基材11と導体ピン12との接合構造が、電
気機器や電子機器等に用いられている。
【0003】このセラミック基材11と導体ピン12と
の接合構造は、対向する上下の主面を有するセラミック
基材11の上下の主面間を貫通する貫通孔13に、頭部
12aが大径化された柱状の導体ピン12を上側主面側
より挿通し、頭部12aの下面を貫通孔13の上側開口
部に低融点ガラス14を介して接合したものである。そ
して、この導体ピン12の下端は外部電気回路基板(図
示せず)の配線導体に半田等の導電性接合部材を介して
接合される。
【0004】なお、セラミック基材11はフォルステラ
イトやアルミナ等のセラミックスとなる原材料粉末を、
所定のプレス金型内に充填するとともにプレス成型する
ことによって未焼成の生セラミック成形体を得、しかる
後、この生セラミック成形体を高温で焼成することによ
って製作されている。
【0005】また、セラミック基材11の貫通孔13内
に固定される導体ピン12は、例えばFe(鉄)−Ni
(ニッケル)合金やFe−Ni−Co(コバルト)合金
等から成る柱状であり、断面が円形の線材に切断加工お
よびプレス加工を施すことによって、一端側に大径の頭
部12aを有する柱状に製作される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のセラミック基材11と導体ピン12との接合構造で
は、導体ピン12の下端を外部電気回路基板の配線導体
へ半田等の導電性接合部材にて接合する際に、導体ピン
12へ導体ピン12をセラミック基材11の上側主面側
へ押し上げようとする大きな力が働くこととなる。その
ため、セラミック基材11の上側主面に低融点ガラス1
4で接合された導体ピン12の大径化された頭部12a
が、セラミック基材11の上側主面から剥れてしまうと
いう問題点を有していた。
【0007】従って、本発明はかかる従来の問題点に鑑
み完成されたものであり、その目的は、導体ピンがセラ
ミック基材から剥れることのないセラミック基材と導体
ピンとの強固な接合構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミック基材
と導体ピンとの接合構造は、対向する上下の主面を有す
るセラミック基材の前記主面間を貫通する貫通孔に頭部
が大径化された柱状の導体ピンを上側主面側より挿通
し、前記頭部の下面を前記貫通孔の上側開口部に低融点
ガラスを介して接合して成るセラミック基材と導体ピン
との接合構造であって、前記貫通孔は前記上側開口部に
前記上側主面に対して20〜45°傾斜した平面状の面
取り部が形成されていることを特徴とする。
【0009】本発明のセラミック基材と導体ピンとの接
合構造によれば、対向する上下の主面を有するセラミッ
ク基材の主面間を貫通する貫通孔の上側開口部に上側主
面に対して20〜45°傾斜した平面状の面取り部が形
成されていることから、この面取り部と導体ピンの頭部
の下面との間に低融点ガラスの溜りが形成されることと
なり、セラミック基材と導体ピンの接合を極めて強固な
ものとすることが可能となる。また、貫通孔の平面状の
面取り部における低融点ガラスの接合界面には、導体ピ
ンを下から突き上げるような外力によってせん断力より
も接合界面に略垂直な力が加わることになり、低融点ガ
ラスの接合力が高まることになる。従って、セラミック
基材と導体ピンの接合が強固なものとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のセラミック基材と導体ピ
ンとの接合構造を添付の図面に基づき以下に詳細に説明
する。図1は、本発明のセラミック基材と導体ピンとの
接合構造について実施の形態の一例を示す断面図であ
り、1はセラミック基材、2は導体ピン、3は貫通孔、
4は低融点ガラスであり、これらでセラミック基材1と
導体ピン2との接合構造を構成する。
【0011】本発明のセラミック基材1はフォルステラ
イトやアルミナ等の電気絶縁性、耐熱性、化学的安定性
等の諸特性に優れたセラミック材料から成る略平板状の
ものであり、その上下の主面を貫通する貫通孔3が形成
されており、貫通孔3の上側開口部に低融点ガラス4を
介して導体ピン2が接合されている。このセラミック基
材1は、フォルステライトやアルミナ等のセラミックス
となる原材料粉末を所定のプレス金型内に充填するとと
もにプレス成型することによって未焼成の生セラミック
成形体を得、しかる後、この生セラミック成形体を高温
で焼成することによって製作される。
【0012】そして、セラミック基材1は対向する上下
の主面間を貫通する貫通孔3に、頭部2aが大径化され
た柱状の導体ピン2を上側主面側より挿通され、頭部2
aの下面を貫通孔3の上側開口部に低融点ガラス4を介
して接合している。
【0013】また、セラミック基材1の貫通孔3内に固
定される導体ピン2は、例えばFe−Ni合金やFe−
Ni−Co合金等から成る柱状であり、その一端側に大
径化された頭部2aを有している。そして、この頭部2
aの他端側がセラミック基材1の下側主面から突出する
ようにして貫通孔3内に挿通され、導体ピン2の頭部2
a側を低融点ガラス4を介してセラミック基材1の上側
主面に接合する。
【0014】この導体ピン2は、フォトダイオード等の
受光素子の電極と、ボンディグワイヤを介して外部電気
回路基板の配線導体とを電気的に接続するための外部端
子として機能するものである。例えば、導体ピン2の他
端側が半田等の導電性接合部材を介して外部電気回路基
板の配線導体に接合され、セラミック基材1の上側主面
から突出した導体ピン2の頭部2aとフォトダイオード
等の受光素子の電極とが、ボンディングワイヤを介して
電気的に接続される。なお、このような導体ピン2は、
Fe−Ni合金やFe−Ni−Co合金等から成る断面
が円形の線材に、切断加工およびプレス加工を施すこと
によって、一端側に大径化された頭部2aを有する円柱
状等の柱状に製作される。導体ピン2の断面形状は円
形、多角形等であり、従って導体ピン2の形状は円柱
状、多角柱状等とし得る。
【0015】また、セラミック基材1に導体ピン2を接
合する低融点ガラス4は、例えば軟化点が600〜75
0℃程度の硼珪酸系ガラスから成る。なお、セラミック
基材1と導体ピン2とを低融点ガラス4を介して接合す
るには、セラミック基材1の上側開口部にリング状の低
融点ガラス4を置き、導体ピン2を挿通し、これを還元
雰囲気中、約950〜1250℃の温度に加熱して低融
点ガラス4を軟化溶融させる方法等が採用される。
【0016】セラミック基材1に導体ピン2を接合する
のに低融点ガラス4を用いるのは、低融点ガラス4が絶
縁性のものであり導体ピン2同士の短絡を容易に防ぐこ
とができること、また硼珪酸系ガラスは低融点ガラスの
なかでも軟化点の高い方であり(350〜450℃程
度)、フォトダイオード、発生する熱量が大きい光電子
増倍管を用いた撮像装置等に接続するうえで耐熱性の点
で優れていることによる。また、従来のメタライズ層お
よびロウ材によって接合する場合、メタライズ層にメッ
キ層を被着する工程があり、製造工程が増加して製造の
手間がかかるのに対して、低融点ガラス4は製造の手間
が省ける点で有利である。
【0017】そして、本発明においては、図2に要部拡
大断面図で示すように、セラミック基材1の上下の主面
間を貫通する貫通孔3の上側開口部に上側主面に対して
20〜45°傾斜した平面状の面取り部5が形成されて
いる。このように、上側主面に対して20〜45°傾斜
した平面状の面取り部5が形成されていることから、面
取り部5と導体ピン2の頭部2aの下面との間に低融点
ガラス4の溜りが形成されることとなり、セラミック基
材1と導体ピン2との接合を極めて強固にできる。その
結果、導体ピン2を外部電気回路基板の配線導体に接合
する際に、導体ピン2の下端を外部電気回路基板に押し
つける際の押し上げ力や、導体ピン2を外部電気回路基
板の貫通孔等へ挿入するときの摩擦力による押し上げ力
等の大きな力が働いても、低融点ガラス4の溜りによっ
てセラミック基材1と導体ピン2の接合が極めて強固に
なっているため、セラミック基材1から導体ピン2が剥
れるという問題を有効に防止し得る。
【0018】また、本発明では、貫通孔3が上側開口部
に上側主面に対して20〜45°傾斜した平面状の面取
り部5が形成されている。これにより、貫通孔3の平面
状の面取り部5における低融点ガラス4の接合界面に
は、導体ピン2を下から突き上げるような外力によって
せん断力よりも接合界面に略垂直な力が加わることにな
り、低融点ガラス4の接合力が高まることになる。その
結果、セラミック基材1と導体ピン2との接合が強固に
なる。
【0019】面取り部5の上側主面に対する角度(θ)
が20°未満の場合、セラミック基材1となる生セラミ
ック成形体を得る際に、面取り部5の貫通孔3側にセラ
ミックスのバリが発生し易くなり、そのバリに導体ピン
2の頭部2aが乗り上げてしまう。すると、導体ピン2
の頭部2aがセラミック基材1の上側主面から浮き上が
ったり、導体ピン2が傾くといった問題が生じる。ま
た、45°を超えると、面取り部5の低融点ガラス4の
接合界面に外力によって作用するせん断力が大きくな
り、面取り部5の傾斜に沿って低融点ガラス4が剥れ易
くなる。より好ましくは、角度θは20〜30°がよ
い。
【0020】また、セラミック基材1は、その上側主面
と貫通孔3の面取り部5との間の角部に曲率半径が0.
05〜1mm程度のR面や、幅が0.05〜1mm程度
で上側主面に対する角度が10〜30°程度のC面を形
成しておくのがよく、この角部で外部部材との接触等に
よる欠け等が発生するのを有効に防止するとともに、こ
の角部に加わる応力をR面やC面により分散し緩和する
ことができる。
【0021】さらに、セラミック基材1は、貫通孔3の
内面と貫通孔3の面取り部5との間の角部に曲率半径が
0.05〜1mm程度のR面や、幅が0.05〜1mm
程度で貫通孔3の内面に対する角度が30〜60°程度
のC面を形成しておくのがよく、この角部に加わる応力
をR面やC面により分散し緩和することができる。
【0022】かくして、本発明は、貫通孔3の面取り部
5と導体ピン2の頭部2aの下面との間に低融点ガラス
4の溜りが形成され、セラミック基材1と導体ピン2と
の接合を極めて強固なものとすることが可能となり、導
体ピン2がセラミック基材1から剥れることのないセラ
ミック基材1と導体ピン2との接合構造を提供すること
ができる。
【0023】なお、本発明は、上述の実施の形態に限定
されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で
あれば種々の変更は可能である。例えば、本発明では貫
通孔3の面取り部5は平面状となっているが、完全な平
面状でなくてもよく、導体ピン2と面取り部5で低融点
ガラス4の溜りが形成可能ななだらかな曲面状の凹凸を
有するものであってもよい。特に面取り部5がなだらか
な曲面状の凹状であるのがよく、低融点ガラス4の溜り
を形成し易くなる。
【0024】
【発明の効果】本発明は、対向する上下の主面を有する
セラミック基材の主面間を貫通する貫通孔の上側開口部
に上側主面に対して20〜45°傾斜した平面状の面取
り部が形成されていることから、この面取り部と導体ピ
ンの頭部の下面との間に低融点ガラスの溜りが形成さ
れ、セラミック基材と導体ピンとの接合を極めて強固な
ものとし得る。その結果、導体ピンがセラミック基材か
ら剥れることのない極めて強固なセラミック基材と導体
ピンの接合構造を提供することができる。
【0025】また、貫通孔の平面状の面取り部における
低融点ガラスの接合界面には、導体ピンを下から突き上
げるような外力によってせん断力よりも接合界面に略垂
直な力が加わることになり、低融点ガラスの接合力が高
まることになり、セラミック基材と導体ピンの接合が強
固なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック基材と導体ピンとの接合構
造について実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】本発明のセラミック基材と導体ピンとの接合構
造の要部拡大断面図である。
【図3】従来のセラミック基材と導体ピンとの接合構造
を示す断面図である。
【図4】従来のセラミック基材と導体ピンとの接合構造
の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1:セラミック基材2:導体ピン 2a:頭部3:貫通孔 4:低融点ガラス5:面取り部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する上下の主面を有するセラミック
    基材の前記主面間を貫通する貫通孔に頭部が大径化され
    た柱状の導体ピンを上側主面側より挿通し、前記頭部の
    下面を前記貫通孔の上側開口部に低融点ガラスを介して
    接合して成るセラミック基材と導体ピンとの接合構造で
    あって、前記貫通孔は前記上側開口部に前記上側主面に
    対して20〜45°傾斜した平面状の面取り部が形成さ
    れていることを特徴とするセラミック基材と導体ピンと
    の接合構造。
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