JP2002295640A - デファレンシャル装置 - Google Patents

デファレンシャル装置

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JP2002295640A
JP2002295640A JP2001101994A JP2001101994A JP2002295640A JP 2002295640 A JP2002295640 A JP 2002295640A JP 2001101994 A JP2001101994 A JP 2001101994A JP 2001101994 A JP2001101994 A JP 2001101994A JP 2002295640 A JP2002295640 A JP 2002295640A
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differential
gap
differential case
friction clutch
gear
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JP2001101994A
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English (en)
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Tadashi Eda
正 江田
Yasushi Koshitani
靖 越谷
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 差動制限用摩擦クラッチの隙間調整を低コス
トで容易に行う。 【解決手段】 エンジンの駆動力によって回転駆動され
るデフケース3と、デフケース3の回転を車輪側に配分
するベベルギア式の差動機構49と、サイドギア31,
33の噛み合い反力を受けて締結される差動制限用のコ
ーンクラッチ63,65とを備え、デフケース3をケー
シング本体5とこれに螺着されるカバー7とで構成し、
カバー7の螺着位置によってクラッチ63,65の隙間
を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両に用いられ
るデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特公昭47ー10484号公報に図5の
ようなデファレンシャル装置501が記載されている。
【0003】デファレンシャル装置501は、デフケー
ス503に固定されたピニオンシャフト505と、ピニ
オンシャフト505上に回転自在に支承されたピニオン
ギア507と、ピニオンギア507と噛み合ったサイド
ギア509,511とからなるベベルギア式の差動機構
513と、差動制限用のコーンクラッチ515,517
などを備えている。
【0004】コーンクラッチ515,517は内径部分
が各車軸519,521にスプライン連結されており、
軸方向に移動可能となっている。そして、コーンクラッ
チ515,517はサイドギア509,511の噛み合
い反力を受けてデフケース503と締結される。
【0005】コーンクラッチ515,517が締結され
ると、その摩擦抵抗によってデファレンシャル装置50
1の差動が制限される。
【0006】また、一対のサイドギア509,511の
対向面の間には、支持プレート523,525がそれぞ
れ取り付けられており、これらの間にコイルスプリング
527が軸方向に掛け渡されている。コイルスプリング
527は撓められた状態で支持プレート523,525
の間に配置されることにより、サイドギア509,51
1を介してコーンクラッチ515,517にイニシャル
トルクを与えている。
【0007】このようにデファレンシャル装置501
は、イニシャルトルクが与えられていることにより、車
両の発進時や加速時、あるいは、悪路などで一方の駆動
輪が大きく空転しようとすると、グリップ側の車輪に駆
動力が送られて、悪路走破性が高く保たれ、発進性や加
速性が向上する。
【0008】また、デファレンシャル装置501と異な
って、コーンクラッチでなく、多板クラッチを差動制限
用のクラッチに用いたデファレンシャル装置も知られて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】デファレンシャル装置
501のように、サイドギア509,511の噛み合い
反力(カムスラスト力)を利用して差動制限用の摩擦ク
ラッチを締結させるデファレンシャル装置の場合、所定
のカムスラスト力が生じたときに所望の差動制限力を得
るためには、摩擦クラッチの隙間を調整することが必要
であるが、従来は、この隙間調整が困難であった。
【0010】例えば、摩擦クラッチがコーンクラッチで
あっても、あるいは、多板クラッチであっても、厚さの
異なるコーンクラッチ用の部材や厚さの異なるクラッチ
板を数種類用意し、これらを交換しながら隙間を調整し
なければならず、極めて手間が掛かり、大きな調整コス
トが必要である。
【0011】また、コーンクラッチ用部材やクラッチ板
には寸法誤差があり、このことが隙間(差動制限力)の
精密な調整を困難にしている。
【0012】そこで、この発明は、伝達トルクを受けて
生じるカムスラスト力によって差動制限力を発生する摩
擦クラッチの隙間調整を低コストで容易に行えるデファ
レンシャル装置の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1のデファレンシ
ャル装置は、エンジンの駆動力によって回転駆動される
デフケースと、デフケース側に軸方向移動自在に連結さ
れ、デフケースと一体に回転するピニオンシャフトと、
ピニオンシャフト上に支承されたピニオンギアと、ピニ
オンギアと噛み合った一対の出力側サイドギアとを有す
るベベルギア式の差動機構と、伝達トルクを受けて作動
するカムと、そのカムスラスト力を受けて締結される差
動制限用の摩擦クラッチとを備え、デフケース部材に対
する取り付け位置によって摩擦クラッチの隙間を変える
隙間調整部材と、隙間調整部材の取り付け位置を変えて
摩擦クラッチの隙間を調整する位置調整手段とを設けた
ことを特徴としている。
【0014】差動機構に駆動トルクが掛かると、例え
ば、ピニオンギアとサイドギアとの噛み合い部が構成す
るカムが作動し、サイドギアに発生した噛み合い反力
(カムスラスト力)を受けて摩擦クラッチが締結され、
その摩擦抵抗によってトルク感応型の差動制限機能が得
られ、差動機構の差動が制限される。
【0015】また、上記のように、本発明のデファレン
シャル装置では、例えば、デフケースをケーシング本体
(デフケース部材)とカバー(隙間調整部材)とで構成
し、位置調整手段によってケーシング本体に対するカバ
ーの取り付け位置を変えることにより摩擦クラッチの隙
間を調整することができる。
【0016】摩擦クラッチの隙間を所定の値に調整する
と、一定の駆動トルクが掛かりカムに所定のカムスラス
ト力が生じたときに所望の差動制限力を発生させて、車
両の走行性、安定性、操縦性などを向上させることがで
きる。
【0017】また、摩擦クラッチの隙間調整に伴ってサ
イドギアも押圧されるから、一対のサイドギアとピニオ
ンギアとのバックラッシも同時に調整される。
【0018】従って、差動機構は各ギアが良好な噛み合
い状態に保たれて、ギア音が低減され、耐久性が向上す
る。
【0019】また、例えば摩擦クラッチがコーンクラッ
チであっても多板クラッチであっても、従来例と異なっ
て、コーンクラッチ用部材やクラッチ板を交換しながら
隙間を調整する必要がなくなるから、隙間調整が極めて
容易であり、調整コストが大幅に低減される。
【0020】また、コーンクラッチ用部材やクラッチ板
の寸法誤差から解放されて、隙間を精密に調整すること
ができると共に、コーンクラッチ用部材やクラッチ板の
寸法精度を特別に高くする必要がなくなるから、これに
伴うコストの上昇を避けることができる。
【0021】請求項2の発明は、請求項1に記載された
デファレンシャル装置であって、位置調整手段が、デフ
ケース部材と隙間調整部材とを螺着するネジ機構である
ことを特徴としており、請求項1の構成と同等の作用・
効果を得ることができる。
【0022】また、ネジ機構によってデフケース部材と
隙間調整部材とを螺着する本構成では、隙間の微調整が
容易であり、隙間(差動制限力)を精密に調整すること
ができる。
【0023】なお、隙間を調整した後の、ネジ機構の弛
み止めは、例えば、デフケース部材と隙間調整部材を溶
接してもよく、あるいは、これらをカシメてもよい。
【0024】これらの弛み止め機能により、ネジ機構の
弛みによる摩擦クラッチの隙間変動が防止され、安定し
た差動制限機能を得ることができる。
【0025】請求項3の発明は、請求項2に記載された
デファレンシャル装置であって、ネジ機構が、デフケー
ス部材と隙間調整部材とを螺着するネジ部と、ロックナ
ット機能によってネジ部の弛みを防止するナットとから
なることを特徴としており、請求項2の構成と同等の作
用・効果を得ることができる。
【0026】また、この構成では、ナットのロックナッ
ト機能によってネジ機構の弛みによる摩擦クラッチの隙
間変動が防止され、安定した差動制限機能を得ることが
できる。
【0027】さらに、溶接やカシメと異なって、ナット
を弛めるか、あるいは、ナットを外せばネジ機構を緩め
ることができ、隙間調整部材をデフケース部材から取り
外すことができる。
【0028】従って、隙間の再調整が可能であると共
に、デファレンシャル装置のメンテナンス性が向上す
る。
【0029】請求項4の発明は、請求項1に記載された
デファレンシャル装置であって、位置調整手段が、デフ
ケース部材と隙間調整部材との間に配置され、これらの
間隔を変えて摩擦クラッチの隙間を調整するスペーサ
と、このスペーサを挟んでデフケース部材と隙間調整部
材とを固定する固定手段とからなることを特徴としてお
り、請求項1の構成と同等の作用・効果を得ることがで
きる。
【0030】また、デフケース部材と隙間調整部材との
間にスペーサを配置し、デフケース部材と隙間調整部材
を、例えば、ボルトのような固定手段によって固定する
この構成は、スペーサの厚さ(摩擦クラッチの隙間)が
変動しないから、極めて安定した隙間調整機能を得るこ
とができる上に、低コストに実施できる。
【0031】請求項5の発明は、請求項1に記載された
デファレンシャル装置であって、位置調整手段が、デフ
ケース部材と隙間調整部材との間に配置されるバネと、
このバネの撓み量を調整しながらデフケース部材と隙間
調整部材とを固定し、摩擦クラッチの隙間を調整する固
定手段とからなることを特徴としており、請求項1の構
成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0032】また、デフケース部材と隙間調整部材を、
例えば、ボルトのような固定手段によって固定しなが
ら、デフケース部材と隙間調整部材との間に配置したバ
ネの撓み量を調整するこの構成は、スペーサのような部
材を交換せずに、摩擦クラッチの隙間を微妙に調整する
ことが可能であり、それだけ低コストに実施できる。
【0033】請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれ
かに記載されたデファレンシャル装置であって、摩擦ク
ラッチにイニシャルトルクを与える予圧バネを備えてい
ることを特徴としており、請求項1〜5の構成と同等の
作用・効果を得ることができる。
【0034】また、予圧バネの押圧力によって摩擦クラ
ッチが常時適度に締結され、生じたイニシャルトルクに
よって伝達トルク(トルク感応型の差動制限機能)や差
動回転速度(速度感応型の差動制限機能)とは無関係に
一定の差動制限力が得られ、例えば、悪路などで片輪が
空転すると低下するトルク感応型の差動制限機能と異な
って、片輪が空転してもイニシャルトルクによって駆動
トルクがグリップ側の車輪に送られるから、車両がスタ
ック状態に陥ることが防止され、悪路などの走破性、脱
出性が向上する。
【0035】また、イニシャルトルク用の予圧バネを、
デフケース部材と隙間調整部材の間に配置すれば、本発
明の隙間調整機能によって予圧バネの撓み量を調整し、
イニシャルトルクを調整することが可能であり、例え
ば、予圧バネの撓み量を増やせばイニシャルトルクを大
きくすることができる。
【0036】イニシャルトルクをこのように調整できる
から、予圧バネを交換せずに、従って、極めて低コスト
で異なった車種に対応することが可能であり、また、同
一の車種でも、走行条件に応じてイニシャルトルクを調
整することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]図1によってリ
ヤデフ1(本発明の第1実施形態)の説明をする。
【0038】リヤデフ1は請求項1,2,3の特徴を備
えている。また、左右の方向はリヤデフ1を用いた車両
及び図1での左右の方向であり、符号を与えていない部
材等は図示されていない。
【0039】この車両の動力系はエンジン、トランスミ
ッション、プロペラシャフト、リヤデフ1(エンジンの
駆動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装
置)、後車軸、左右の後輪、左右の前輪などから構成さ
れており、エンジンの駆動力はトランスミッションから
プロペラシャフトを介してリヤデフ1に送られ、リヤデ
フ1から後車軸を介して左右の後輪に配分される。
【0040】リヤデフ1はデフキャリヤの内部に配置さ
れており、このデフキャリヤにはオイル溜りが形成され
ている。
【0041】リヤデフ1のデフケース3はケーシング本
体5(デフケース部材)とカバー7(隙間調整部材)か
ら構成されている。ケーシング本体5の右側には開口が
形成されており、この開口には雌ネジ9(ネジ部)が形
成され、カバー7には雄ネジ11(ネジ部)が形成され
ている。
【0042】カバー7は雌ネジ9に雄ネジ11をネジ込
んでケーシング本体5に螺着されており、カバー7を螺
着した後、雄ネジ11にナット13が螺着され、そのロ
ックナット機能によってネジ機構(ネジ9,11)の弛
み止めが行われ、カバー7が軸方向に位置決めされてい
る。
【0043】各ネジ9,11とナット13とによって位
置調整手段15(ネジ機構)が構成されている。
【0044】デフケース3の左右のボス部17,19は
ベアリングを介してデフキャリヤに支承されており、ケ
ーシング本体5のフランジ部21にはリングギアがボル
トによって固定されている。このリングギアはドライブ
ピニオンギアと噛み合っており、ドライブピニオンギア
はドライブピニオンシャフトと一体に形成されている。
このドライブピニオンシャフトは継ぎ手とプロペラシャ
フトなどを介してトランスミッション側に連結されてお
り、エンジンの駆動力はこれらの動力伝達系を介してデ
フケース3に伝達される。
【0045】また、オイル溜りのオイルはデフケース3
(リングギア)の回転に伴って掻き上げられ、デフキャ
リヤの内部に飛散する。
【0046】デフケース3の内部には、複数本のピニオ
ンシャフト23が放射状に配置されている。各ピニオン
シャフト23の外側端部には平行な2面部25が形成さ
れており、各ピニオンシャフト23はこの2面部25を
デフケース3(ケーシング本体5)に形成された軸方向
溝27に係合して軸方向方向移動自在にフローティング
支持され、デフケース3と一体に回転する。
【0047】各ピニオンシャフト23上にはピニオンギ
ア29が回転自在に支承されている。
【0048】また、各ピニオンギア29には左右の出力
側サイドギア31,33が噛み合っており、これらは各
ピニオンギア29との噛み合いによって径方向外側から
支持されている。各サイドギア31,33に形成された
ボス部35,37はデフケース3に形成された支承部3
9,41によって支承されている。
【0049】ピニオンギア29とデフケース3との間に
は球面ワッシャ43が配置されており、ピニオンギア2
9の遠心力と、各サイドギア31,33との噛み合いに
よってピニオンギア29が受ける噛み合い反力とを受け
ている。
【0050】サイドギア31,33は各ボス部35,3
7のスプライン部45,47によって後車軸にそれぞれ
連結され、左右の後輪側に連結されている。
【0051】ピニオンシャフト23、ピニオンギア2
9、サイドギア31,33などによってベベルギア式の
差動機構49が構成されており、差動機構49(サイド
ギア31,33)は各ピニオンシャフト23を介して軸
方向方向移動自在にフローティング支持されている。
【0052】デフケース3を回転させるエンジンの駆動
力は、ピニオンシャフト23からピニオンギア29を介
してサイドギア31,33に配分され、左右の後輪に伝
達される。また、悪路などを走行中に後輪間に駆動抵抗
差が生じると、エンジンの駆動力は各ピニオンギア29
の自転によって左右の後輪に差動配分される。
【0053】サイドギア31,33の左右にはテーパー
プレート51,53が配置されており、これらのテーパ
ープレート51,53は、ケーシング本体5とカバー7
に形成された開口55,57に腕部59,61を係合し
てデフケース3に回り止めされている。
【0054】各テーパープレート51,53と各サイド
ギア31,33との間には、コーンクラッチ63,65
(摩擦クラッチ)が形成されている。
【0055】また、各サイドギア31,33とピニオン
ギア29の噛み合い部はカムを構成しており、車両の発
進時や走行中などに差動機構49に伝達トルクが掛かる
と、この噛み合い部のカム作用で、ピニオンギア29と
の間で発生した噛み合い反力(カムスラスト力)を受け
て各サイドギア31,33が左右に後退し、コーンクラ
ッチ63,65を押圧して締結する。
【0056】また、このときサイドギア31,33に大
きさの異なった噛み合い反力が生じても、あるいは、コ
ーンクラッチ63,65の隙間にアンバランスが生じて
も、上記のように、ピニオンシャフト23を介してサイ
ドギア31,33が軸方向にフローティング支持されて
いるから、サイドギア31,33の噛み合い反力とコー
ンクラッチ63,65の隙間はそれぞれ平均化され、コ
ーンクラッチ63,65に均等な押圧力が掛かって締結
され、所定の摩擦抵抗が得られると共に、コーンクラッ
チ63,65はいずれかが偏って磨耗することが防止さ
れ、耐久性が向上する。
【0057】コーンクラッチ63,65が締結される
と、その摩擦抵抗によって差動機構49の差動が制限さ
れる。各サイドギア31,33の噛み合い反力は差動機
構49の伝達トルクが増大するほど強くなるから、この
差動制限機能はトルク感応型になる。
【0058】また、サイドギア31,33の噛み合い反
力は、デフケース3の両回転方向で同等の大きさで発生
するから、車両の前進走行時と後進走行時との両方で同
等のトルク感応型差動制限機能を得ることができる。
【0059】車両は、このトルク感応型差動制限機能に
よって、大きな駆動トルクが掛かる発進時や加速時は後
輪の片輪空転が防止され、車体の挙動が安定して操縦性
が向上すると共に、ツーリング中の走行性、安定性、操
縦性が向上する。
【0060】上記のように、組み付けに当たってカバー
7をケーシング本体5にネジ込むと、カバー7は右のテ
ーパープレート53を介して右のサイドギア33を左に
押圧し、サイドギア33はピニオンギア29を押圧す
る。ピニオンシャフト23(差動機構49)がフローテ
ィング支持されているから、左に押圧されたピニオンギ
ア29は、左のサイドギア31を押圧し、さらに左のテ
ーパープレート51を押圧する。
【0061】このような押圧操作によってテーパープレ
ート51,53とデフケース3とサイドギア31,33
間の各隙間がそれぞれ変わり、これに伴ってコーンクラ
ッチ63,65の隙間を所定の値に調整することができ
る。
【0062】このようにコーンクラッチ63,65の隙
間を所定値に調整することによって、差動機構49に所
定の駆動トルクが掛かったときに所望の差動制限力を発
生させることができるから、上記のような車両の走行
性、安定性、操縦性などが大きく向上する。
【0063】また、コーンクラッチ63,65の隙間を
調整する際に、サイドギア31,33とピニオンギア2
9とが押圧されるから、これらのバックラッシも調整さ
れる。
【0064】このように、位置調整手段15によって、
コーンクラッチ63,65の隙間調整と、各ギアのバッ
クラッシ調整とが同時に行われる。
【0065】また、デフケース3には、ケーシング本体
5とカバー7に設けられた開口55,57の他に、ボス
部17,19の内周にそれぞれ螺旋状のオイル溝67,
69が形成されている。また、ケーシング本体5にはオ
イル溝67とコーンクラッチ63側と連通するオイル溝
71が形成されており、カバー7にはオイル溝69とコ
ーンクラッチ65側と連通するオイル溝73が形成され
ている。
【0066】デフケース3上の径方向外側部分に形成さ
れている開口55,57は、デフキャリヤに形成された
オイル溜りのオイルレベル以下にあってオイルに浸され
ており、開口55,57から流入したオイルは効率よく
コーンクラッチ63,65に供給されてこれらを潤滑・
冷却する。
【0067】また、デフケース3が回転すると、オイル
溜りから掻き上げられたオイルは、オイル溝67,69
のネジポンプ作用によってデフケース3の内部に入り、
オイル溝71,73を通ってコーンクラッチ63,65
に供給され、潤滑・冷却効果を向上させる。
【0068】また、デフケース3の内部に供給されたオ
イルは、各ギアの噛み合い部を潤滑・冷却すると共に、
ケーシング本体5の軸方向溝27とピニオンシャフト2
3との摺動部を充分に潤滑・冷却し、差動機構49のフ
ローティング機能を保全している。
【0069】こうして、リヤデフ1が構成されている。
【0070】リヤデフ1は、上記のように、カバー7の
螺着作業中にコーンクラッチ63,65の隙間を所定値
に調整することができると共に、隙間を調整したことに
よって必要なときに所望の差動制限力が得られ、車両の
走行性、安定性、操縦性などを大きく向上させることが
できる。
【0071】また、ネジ9,11によってケーシング本
体5とカバー7とを螺着する構成は、隙間の微調整が容
易であり、隙間(差動制限機能)を精密に調整すること
ができる。
【0072】また、この隙間調整に伴ってサイドギア3
1,33とピニオンギア29のバックラッシも同時に調
整され、各ギアが良好な噛み合い状態になり、ギア音が
低減され、耐久性が向上する。
【0073】また、ナット13のロックナット機能によ
ってネジ9,11の弛みによるコーンクラッチ63,6
5の隙間変動が防止され、安定した差動制限機能が得ら
れると共に、バックラッシの変動も防止され、差動機構
49の良好な噛み合い状態が保たれる。
【0074】また、従来例と異なって、テーパープレー
ト51,53を交換しながら隙間を調整する必要がない
上に、本発明による隙間調整作業は上記のように極めて
容易であり、隙間調整コストが安い。
【0075】また、隙間調整のためにテーパープレート
51,53を交換する必要がないから、テーパープレー
ト51,53の寸法誤差から解放されて、精密な隙間調
整が可能である。
【0076】従って、テーパープレート51,53の寸
法精度を特別に高くする必要がないから、これに伴うコ
ストの上昇を避けることができる。
【0077】また、ケーシング本体5に対するカバー7
の取り付け位置を調整する本発明の隙間調整作業は、外
部から行うことが可能である。
【0078】従って、製造時の隙間調整だけでなく、隙
間の再調整のような稼働後の(実車上での)隙間調整に
も対処することが可能であり、隙間調整コストがさらに
低減される。
【0079】また、テーパープレート51,53がある
程度磨耗しても、隙間の再調整が可能な間はこれらの交
換が不要であり、従って、リヤデフ1の分解、テーパー
プレート51,53の交換、再組み付けなどに伴う大き
なメンテナンスコストを避けることができる。
【0080】また、ナット13によってネジ9,11の
弛み止めを行うから、溶接やカシメによる弛み止めと異
なって、ナット13を緩めるか、取り外せば、カバー7
の位置を変え、あるいは、カバー7をケーシング本体5
から取り外すことができる。
【0081】従って、リヤデフ1は、コーンクラッチ6
3,65の隙間及び各ギアのバックラッシの再調整が可
能であると共に、メンテナンス性が高い。
【0082】また、リヤデフ1の組付けは、ケーシング
本体5の開口から、先ず、左のテーパープレート51と
サイドギア31とを組み付け、ピニオンギア29を組み
付けたピニオンシャフト23をケーシング本体5の軸方
向溝27に係合させ、右のサイドギア33とテーパープ
レート53とを組み付けた後、上記のように、カバー7
を螺着しながらコーンクラッチ63,65の隙間などを
調整し、ナット13を螺着して終了する。
【0083】このように、大きい開口を持ったケーシン
グ本体5と、この開口部に螺着されるカバー7とでデフ
ケース3を構成したことによって、コーンクラッチ6
3,65や差動機構49を容易に組み付けることができ
ると共に、部材を組み付けながらコーンクラッチ63,
65の隙間などを調整できるから、リヤデフ1は組付け
と隙間調整とを極めて低コストで行える。
【0084】[第2実施形態]図2によってリヤデフ1
01(本発明の第2実施形態)の説明をする。
【0085】リヤデフ101は請求項1,2,3,6の
特徴を備えている。また、リヤデフ101は、第1実施
形態のリヤデフ1が用いられた車両に、リヤデフ1と置
き換えて用いられている。なお、左右の方向はこの車両
及び図2での左右の方向であり、符号を与えていない部
材等は図示されていない。
【0086】リヤデフ101はデフキャリヤの内部に配
置されており、そのデフケース103はケーシング本体
105(デフケース部材)とカバー107(隙間調整部
材)から構成されている。ケーシング本体105の右側
に設けられた開口には、雌ネジ109(ネジ部)が形成
され、カバー107には雄ネジ111(ネジ部)が形成
されている。
【0087】カバー107は雌ネジ109に雄ネジ11
1をネジ込んでケーシング本体105に螺着されてお
り、カバー107を螺着した後、雄ネジ111にナット
113が螺着され、そのロックナット機能によってネジ
機構(ネジ109,111)の弛み止めが行われ、カバ
ー107が軸方向に位置決めされている。
【0088】各ネジ109,111とナット113とに
よって位置調整手段115(ネジ機構)が構成されてい
る。
【0089】デフケース103の左右のボス部117,
119はベアリングを介してデフキャリヤに支承されて
おり、ケーシング本体105のフランジ部121にはリ
ングギアがボルトによって固定されている。このリング
ギアはドライブピニオンギアと噛み合っており、ドライ
ブピニオンギアはドライブピニオンシャフトと一体に形
成されている。このドライブピニオンシャフトは継ぎ手
とプロペラシャフトなどを介してトランスミッション側
に連結されており、エンジンの駆動力はこれらの動力伝
達系を介してデフケース103に伝達される。
【0090】デフケース103の内部には、一対のプレ
ッシャーリング123,123が配置されている。これ
らはそれぞれの外周に形成された凸部125,125を
デフケース103(ケーシング本体105)に設けられ
た軸方向溝127に係合することにより、デフケース1
03に軸方向移動自在に連結され、デフケース103と
一体に回転する。
【0091】プレッシャーリング123,123の間に
は、中空のボス129を中心にして複数本のピニオンシ
ャフト131が放射状に配置されており、各ピニオンシ
ャフト131の先端と両プレッシャーリング123との
間には、デフケース103の回転方向両側に、カム13
3がそれぞれ形成されている。
【0092】各ピニオンシャフト131上にはピニオン
ギア135が回転自在に支承されている。各ピニオンギ
ア135には左右の出力側サイドギア137,139が
噛み合っており、これらは各ピニオンギア135との噛
み合いによって径方向外側から支持されている。各サイ
ドギア137,139のボス部141,143はデフケ
ース103に形成された支承部によって支承されてい
る。
【0093】各プレッシャーリング123,123には
球面ワッシャ部145,145が形成されており、ピニ
オンギア135の遠心力と、各サイドギア137,13
9との噛み合いによってピニオンギア135が受ける噛
み合い反力とを受けている。
【0094】サイドギア137,139は各ボス部14
1,143のスプライン部147,149によって後車
軸にそれぞれ連結され、左右の後輪側に連結されてい
る。
【0095】ピニオンシャフト131、ピニオンギア1
35、サイドギア137,139などによってベベルギ
ア式の差動機構151が構成されており、この差動機構
151(サイドギア137,139)は各プレッシャー
リング123,123を介して軸方向方向移動自在にフ
ローティング支持されている。
【0096】各プレッシャーリング123,123の左
右には、一対の多板クラッチ153,153が配置され
ている。
【0097】各多板クラッチ153は、サイドギア13
7,139のボス部141,143とデフケース103
との間に配置されており、アウタープレート155はデ
フケース103(ケーシング本体105)の軸方向溝1
27に移動自在に係合し、インナープレート157は各
ボス部141,143の外周に形成されたスプライン部
159,161に移動自在に係合している。
【0098】プレート155,157の間には所定の初
期隙間が設けられており、これらの隙間は、下記のよう
に、位置調整手段115によって調整される。
【0099】各多板クラッチ153とデフケース103
との間には、皿バネ163(予圧バネ)とワッシャ16
5とがそれぞれ配置されている。
【0100】皿バネ163はワッシャ165を介して各
多板クラッチ153をそれぞれサイドギア137,13
9に押圧して締結し、各多板クラッチ153にイニシャ
ルトルクを与えている。
【0101】デフケース103を回転させるエンジンの
駆動力は、各プレッシャーリング123からカム133
を介して差動機構151のピニオンシャフト131に入
力し、ピニオンギア135からサイドギア137,13
9を介して左右の後輪側に分配される。また、悪路走行
中などで後輪間に駆動抵抗差が生じると、ピニオンギア
135の自転によってエンジンの駆動力は左右の後輪側
に差動分配される。
【0102】また、車両の発進時や走行中に差動機構1
51に伝達トルクが掛かると、このトルクによって各カ
ム133が作動し、発生したこれらのカムスラスト力に
よって各プレッシャーリング123が左右に移動し、各
多板クラッチ153が押圧されて締結される。
【0103】さらに、各サイドギア137,139とピ
ニオンギア135の噛み合い部もカムを構成しており、
差動機構151に掛かる伝達トルクによってこのカムが
作動し、ピニオンギア135との間で発生した噛み合い
反力(カムスラスト力)を受けて各サイドギア137,
139が左右に後退し、多板クラッチ153,153を
押圧して締結する。
【0104】また、カム133,133に大きさの異な
るカムスラスト力が生じ、あるいは、サイドギア13
7,139に大きさの異なる噛み合い反力が生じ、ある
いは、多板クラッチ153,153の隙間にアンバラン
スが生じても、プレッシャーリング123,123とピ
ニオンシャフト131を介してサイドギア137,13
9が軸方向にフローティング支持されているから、カム
133,133のカムスラスト力と、サイドギア13
7,139の噛み合い反力と、多板クラッチ153,1
53の隙間がそれぞれ平均化され、各多板クラッチ15
3,153は均等な押圧力を受けて所望の摩擦抵抗が得
られると共に、多板クラッチ153,153はいずれか
に偏った磨耗が防止され、耐久性が向上する。
【0105】カム133,133のカムスラスト力とサ
イドギア137,139の噛み合い反力はそれぞれ伝達
トルクに比例するから、多板クラッチ153,153の
摩擦抵抗によってトルク感応型の差動制限力が得られ、
このトルク感応型差動制限機能によって、大きな駆動ト
ルクが掛かる発進時や加速時は後輪の片輪空転が防止さ
れ車体の挙動が安定し操縦性が向上すると共に、ツーリ
ング中の走行性、安定性、操縦性が向上する。
【0106】また、カム133,133のカムスラスト
力とサイドギア137,139の噛み合い反力は、デフ
ケース103の両回転方向で同等の大きさで発生するか
ら、車両の前進走行時と後進走行時との両方で同等のト
ルク感応型差動制限機能を得ることができる。
【0107】また、発進時や加速時、あるいは、悪路な
どで片輪が空転し、空転側の後輪からトルクが逃げてト
ルク感応型の差動制限機能が低下するような場合でも、
皿バネ163,163が与える多板クラッチ153,1
53のイニシャルトルクによって一定の駆動トルクがグ
リップ側の後輪に送られ、トルク感応型差動制限機能の
低下を補うから、車両がスタック状態に陥ることが防止
され、発進性や加速性、悪路走破性などが向上する。
【0108】また、上記のように、組み付けに当たって
カバー107をケーシング本体105にネジ込むと、カ
バー107は右の皿ばね163と多板クラッチ153と
を介してプレッシャーリング123を左に押圧し、プレ
ッシャーリング123を介してサイドギア139を左に
押圧する。右のプレッシャーリング123とサイドギア
139が押圧されると、上記のように、左右のプレッシ
ャーリング123,123と差動機構151がフローテ
ィング支持されているから、これらを介して左のプレッ
シャーリング123とサイドギア137が左に押圧さ
れ、さらに左の多板クラッチ153と皿バネ163とが
押圧される。
【0109】このような押圧操作によって、多板クラッ
チ153,153の隙間が所定の値に調整され、差動機
構151に所定の駆動トルクが掛かったときに所望の差
動制限力を発生させることができるから、上記のような
車両の走行性、安定性、操縦性などが大きく向上する。
【0110】また、多板クラッチ153,153の隙間
調整時に、サイドギア137,139とピニオンギア1
35とが互いに押圧されてこれらのバックラッシが調整
されると共に、各プレッシャーリング123とピニオン
シャフト131とが押圧されるから、各カム133のガ
タ(隙間)も同様に調整される。
【0111】このように、位置調整手段115によっ
て、多板クラッチ153,153の隙間調整と、各ギア
のバックラッシ調整と、カム133,133の隙間調整
が同時に行われる。
【0112】ケーシング本体105には開口167が設
けられ、ボス部117,119の内周にはそれぞれ螺旋
状のオイル溝169,171が形成されている。さら
に、ケーシング本体105にはオイル溝169と左の多
板クラッチ153側とを連通するオイル溝173が形成
されており、カバー107にはオイル溝171と右の多
板クラッチ153側とを連通するオイル溝175が形成
されている。
【0113】デフケース103上の径方向外側部分に形
成されている開口167は、デフキャリヤに形成された
オイル溜りのオイルレベル以下にあってオイルに浸され
ており、開口167から流入したオイルは効率よく多板
クラッチ153に供給されてこれを潤滑・冷却する。
【0114】また、デフケース103が回転すると、オ
イル溜りから掻き上げられたオイルは、オイル溝16
9,171のネジポンプ作用によってデフケース103
の内部に入り、オイル溝173,175を通って多板ク
ラッチ153,153に供給されて潤滑・冷却効率を向
上させる。
【0115】また、デフケース103の内部に供給され
たオイルは、各ギアの噛み合い部を潤滑・冷却すると共
に、ケーシング本体105の軸方向溝127と各プレッ
シャーリング123との摺動部を充分に潤滑・冷却し、
差動機構151のフローティング機能を保全している。
【0116】こうして、リヤデフ101が構成されてい
る。
【0117】リヤデフ101は、上記のように、カバー
107の螺着作業中に多板クラッチ153,153の隙
間を所定値に調整することができると共に、隙間を調整
したことによって必要なときに所望の差動制限力が発生
し、車両の走行性、安定性、操縦性などを大きく向上さ
せることができる。
【0118】また、ネジ109,111によってケーシ
ング本体105とカバー107とを螺着する構成は、隙
間の微調整が容易であり、隙間(差動制限機能)を精密
に調整することができる。
【0119】また、この隙間調整に伴ってサイドギア1
37,139とピニオンギア135とのバックラッシも
同時に調整され、各ギアが良好な噛み合い状態になり、
ギア音が低減され、耐久性が向上する。
【0120】また、カム133,133の隙間も同時に
調整され、過大なガタ(隙間)によるカムスラスト力
(差動制限力)の発生遅れが防止されるから、速いレス
ポンスで所望の差動制限力が発生し、車両の走行性、安
定性、操縦性などを大きく向上させる。
【0121】また、ナット113のロックナット機能に
より、ネジ109,111の弛みによる多板クラッチ1
53,153の隙間変動、カム133,133の隙間変
動、各ギアのバックラッシ変動がそれぞれ防止され、安
定した差動制限機能が得られると共に、各ギアの良好な
噛み合い状態が保たれる。
【0122】また、従来例と異なって、アウタープレー
ト155とインナープレート157を交換しながら隙間
を調整する必要がない上に、本発明による隙間調整作業
は上記のように極めて容易であり、隙間調整コストが安
い。
【0123】また、隙間調整のためにアウタープレート
155とインナープレート157を交換する必要がない
から、これらの寸法誤差から解放され、精密な隙間調整
が可能になる。
【0124】従って、アウタープレート155とインナ
ープレート157の寸法精度を特別に高くする必要がな
いから、これに伴うコストの上昇を避けることができ
る。
【0125】また、ケーシング本体105に対するカバ
ー107の取り付け位置を調整する本発明の隙間調整作
業は、外部から行うことが可能である。
【0126】従って、製造時の隙間調整だけでなく、隙
間の再調整のような稼働後の(実車上での)隙間調整に
も対処することが可能であり、隙間調整コストがさらに
低減される。
【0127】また、アウタープレート155とインナー
プレート157がある程度磨耗しても、隙間の再調整が
可能な間はこれらの交換が不要であり、従って、リヤデ
フ101の分解、アウタープレート155とインナープ
レート157の交換、再組み付けなどに伴う大きなメン
テナンスコストを避けることができる。
【0128】また、ナット113によってネジ109,
111の弛み止めを行うから、溶接やカシメによる弛み
止めと異なって、ナット113を緩めるか、取り外せ
ば、カバー107の位置を変え、あるいは、カバー10
7をケーシング本体105から取り外すことができる。
【0129】従って、リヤデフ101は、各多板クラッ
チ153と各カム133の隙間と、各ギアのバックラッ
シの再調整が可能であると共に、メンテナンス性が高
い。
【0130】また、リヤデフ101の組付けは、ケーシ
ング本体105の開口から左のワッシャ165、皿バネ
163、多板クラッチ153、プレッシャーリング12
3、サイドギア137を組み付け、ピニオンギア135
を組み付けたピニオンシャフト131とボス129を組
み付け、さらに、右のサイドギア139、プレッシャー
リング123、多板クラッチ153、皿バネ163、ワ
ッシャ165を組み付けた後、上記のように、カバー1
07を螺着しながら多板クラッチ153,153の隙間
などを調整し、ナット113を螺着して終了する。
【0131】このように、大きい開口を持ったケーシン
グ本体105と、この開口部に螺着されるカバー107
とでデフケース103を構成したことによって、多板ク
ラッチ153,153や差動機構151などを容易に組
み付けることができると共に、部材を組み付けながら多
板クラッチ153,153の隙間などを調整できるか
ら、リヤデフ101は組付けと隙間調整とを極めて低コ
ストで行える。
【0132】[第3実施形態]図3及び図4によってリ
ヤデフ201(本発明の第3実施形態)の説明をする。
【0133】リヤデフ201は請求項1,4の特徴を備
えている。また、リヤデフ201は、第1実施形態のリ
ヤデフ1が用いられた車両に、リヤデフ1と置き換えて
用いられている。なお、左右の方向はこの車両及び図3
での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図
示されていない。
【0134】以下、リヤデフ1と同機能の部材には同一
の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0135】リヤデフ201は、デフケース203、差
動機構49、コーンクラッチ63,65などから構成さ
れている。
【0136】デフケース203はケーシング本体205
(デフケース部材)とカバー207(隙間調整部材)か
ら構成されている。
【0137】ケーシング本体205の左側には開口が設
けられており、ケーシング本体205とカバー207は
互いの間に設けられた係合部209で係合し、互いにセ
ンターリングしている。
【0138】また、ケーシング本体205には周方向等
間隔に雌ネジ213が設けられており、カバー207と
ケーシング本体205は、各雌ネジ213に螺着される
ボルト(固定手段)214によって固定され、カバー2
07が軸方向に位置決めされる。
【0139】このとき、ケーシング本体205とカバー
207との間には、所定の厚さのワッシャ215(スペ
ーサ)がを挟み込まれており、このワッシャ215の厚
さをかえることによって、ケーシング本体205に対す
るカバー207の軸方向位置が調整される。
【0140】ワッシャ215と、雌ネジ213と、雌ネ
ジ213に螺着されるボルト214とによって位置調整
手段217が構成されている。
【0141】上記のようにカバー207をケーシング本
体205に組み付けるとき、カバー207は左のテーパ
ープレート51を介して左のサイドギア31を右に押圧
する。ピニオンシャフト23(差動機構49)がフロー
ティング支持されているから、左のサイドギア31はピ
ニオンギア29を右に押圧し、押圧されたピニオンギア
29は右のサイドギア33を押圧し、さらに右のテーパ
ープレート53を押圧する。
【0142】このような押圧操作によってテーパープレ
ート51,53とデフケース203とサイドギア31,
33の隙間がそれぞれ変わるから、ワッシャ215の厚
さを変えることによってコーンクラッチ63,65の隙
間を所定の値に調整することができる。
【0143】このようにコーンクラッチ63,65の隙
間を所定値に調整したことにより、差動機構49に所定
の駆動トルクが掛かったときに所望の差動制限力が発生
し、車両の走行性、安定性、操縦性などが大きく向上す
る。
【0144】また、コーンクラッチ63,65の隙間調
整時に、サイドギア31,33とピニオンギア29のバ
ックラッシも調整される。
【0145】このように、位置調整手段217によっ
て、コーンクラッチ63,65の隙間調整と、各ギアの
バックラッシ調整とが同時に行われる。
【0146】こうして、リヤデフ201が構成されてい
る。
【0147】リヤデフ201は、カバー207の取り付
け作業中にコーンクラッチ63,65の隙間を所定値に
調整できるから、位置調整手段をネジ9,11とナット
13とで構成したリヤデフ1の効果を除き、リヤデフ1
と同等の効果を得ることができる。
【0148】これに加えて、ケーシング本体205とカ
バー207とを、これらの間にワッシャ215を配置し
て、ボルト214で固定するリヤデフ201の構成は、
ワッシャ215の厚さ(コーンクラッチ63,65の隙
間)が変動しないから、極めて安定した隙間調整機能が
得られると共に、実施コストが安価である。
【0149】なお、請求項5の発明のように、ケーシン
グ本体205とカバー207との間に、ワッシャ215
(スペーサ)に換えて、例えば、皿バネのようなバネを
配置すれば、ケーシング本体205とカバー207をボ
ルト214などで固定しながら、このバネの撓み量を調
整することによって、コーンクラッチ63,65(摩擦
クラッチ)の隙間を調整することができる。
【0150】また、この場合はバネの撓み量を調整する
ことによって、スペーサのような部材を交換せずに、隙
間を微妙に調整することが可能であり、それだけ低コス
トに実施できる。
【0151】また、上記のように、請求項2の構成にお
いて、ネジ機構の弛み止めは、デフケース部材と隙間調
整部材を溶接してもよく、これらをカシメてもよい。
【0152】また、各請求項4,5の構成要素である固
定手段は、第3実施形態のように、デフケース上に形成
された雌ネジとボルトとで構成する他に、デフケース部
材を貫通するボルトと、ナットとで構成してもよい。
【0153】また、請求項4の構成要素であるスペーサ
は、ワッシャの他にシムでもよい。
【0154】また、請求項5の構成要素であるバネは、
皿バネに限定されない。
【0155】また、本発明のデファレンシャル装置は、
フロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に配分す
るデファレンシャル装置)と、リヤデフ(エンジンの駆
動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)
と、センターデフ(エンジンの駆動力を前輪と後輪とに
配分するデファレンシャル装置)のいずれにも用いるこ
とができる。
【0156】
【発明の効果】本発明のデファレンシャル装置は、隙間
調整部材の取り付け位置を変えることによって摩擦クラ
ッチの隙間を容易に調整することができ、所望のタイミ
ングに差動制限力が得られて車両の走行性、安定性、操
縦性などが向上する。
【0157】また、この隙間調整に伴ってサイドギアと
ピニオンギアとのバックラッシが調整され、差動機構の
各ギアが良好な噛み合い状態に保たれて、ギア音が低減
され、耐久性が向上する。
【0158】また、摩擦クラッチ部材を交換しながら隙
間を調整する必要がなくなり、隙間調整コストが大幅に
低減されると共に、その寸法誤差から解放され、隙間を
精密に調整できる。
【0159】また、摩擦クラッチ部材の寸法精度を特別
に高くする必要がなくなり、これに伴うコストの上昇を
避けることができる。
【0160】また、本発明による隙間調整作業は、デフ
ケースの外部から行うことが可能であり、製造時の隙間
調整だけでなく、稼働後に実車上で隙間を再調整するこ
とが可能であり、隙間調整コストがさらに低減される。
【0161】また、本発明によって隙間の再調整が可能
な間は、摩擦クラッチ部材の交換が不要であり、部材交
換に伴う大きなメンテナンスコストを低減することがで
きる。
【0162】請求項2のデファレンシャル装置は、請求
項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0163】また、ネジ機構を用いるこの構成によれ
ば、隙間(差動制限力)を精密に調整できる。
【0164】請求項3のデファレンシャル装置は、請求
項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0165】また、ナットのロックナット機能により、
ネジ機構の弛みによる摩擦クラッチの隙間変動が防止さ
れ、安定した差動制限機能を得ることができる。
【0166】また、ナットを弛めるか外せば、隙間を再
調整できると共に、隙間調整部材を取り外せるから、デ
ファレンシャル装置のメンテナンス性が高い。
【0167】請求項4のデファレンシャル装置は、請求
項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0168】また、スペーサの厚さで隙間を調整するこ
の構成によれば、極めて安定した隙間調整機能を得るこ
とができる共に、低コストに実施できる。
【0169】請求項5のデファレンシャル装置は、請求
項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0170】また、バネの撓み量を変えて隙間を調整す
るこの構成によれば、スペーサのような部材を交換せず
に、隙間を微妙に調整することが可能である上に、低コ
ストに実施できる。
【0171】請求項6のデファレンシャル装置は、請求
項1〜5の構成と同等の効果を得ることができる。
【0172】また、摩擦クラッチのイニシャルトルクに
より、車両のスタックが防止され、悪路などでの走破
性、脱出性が向上する。
【0173】また、本発明の隙間調整機能によってイニ
シャルトルクを調整することが可能であり、予圧バネを
交換せずに、極めて低コストに異なった車種に対応する
ことができると共に、同一の車種でも、走行条件に応じ
てイニシャルトルクを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態を示す断面図である。
【図4】図3の要部を示す断面図である。
【図5】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 リヤデフ(デファレンシャル装置) 3 デフケース 5 ケーシング本体(デフケース部材) 7 カバー(隙間調整部材) 9 雌ネジ(ネジ部) 11 雄ネジ(ネジ部) 13 ナット(ロックナット用) 15 位置調整手段 23 ピニオンシャフト 29 ピニオンギア 31,33 出力側サイドギア 49 ベベルギア式差動機構 63,65 コーンクラッチ(摩擦クラッチ) 101 リヤデフ(デファレンシャル装置) 103 デフケース 105 ケーシング本体(デフケース部材) 107 カバー(隙間調整部材) 109 雌ネジ(ネジ部) 111 雄ネジ(ネジ部) 113 ナット(ロックナット用) 115 位置調整手段 131 ピニオンシャフト 135 ピニオンギア 137,139 出力側サイドギア 151 ベベルギア式差動機構 153,153 多板クラッチ(摩擦クラッチ) 163,163 皿バネ(予圧バネ) 201 リヤデフ(デファレンシャル装置) 203 デフケース 205 ケーシング本体(デフケース部材) 207 カバー(隙間調整部材) 213 雌ネジ 215 ワッシャ(スペーサ) 217 位置調整手段
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Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの駆動力によって回転駆動され
    るデフケースと、デフケース側に軸方向移動自在に連結
    され、デフケースと一体に回転するピニオンシャフト
    と、ピニオンシャフト上に支承されたピニオンギアと、
    ピニオンギアと噛み合った一対の出力側サイドギアとを
    有するベベルギア式の差動機構と、伝達トルクを受けて
    作動するカムと、そのカムスラスト力を受けて締結され
    る差動制限用の摩擦クラッチとを備え、デフケース部材
    に対する取り付け位置によって摩擦クラッチの隙間を変
    える隙間調整部材と、隙間調整部材の取り付け位置を変
    えて摩擦クラッチの隙間を調整する位置調整手段とを設
    けたことを特徴とするデファレンシャル装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された発明であって、位
    置調整手段が、デフケース部材と隙間調整部材とを螺着
    するネジ機構であることを特徴とするデファレンシャル
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載された発明であって、ネ
    ジ機構が、デフケース部材と隙間調整部材とを螺着する
    ネジ部と、ロックナット機能によってネジ部の弛みを防
    止するナットとからなることを特徴とするデファレンシ
    ャル装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載された発明であって、位
    置調整手段が、デフケース部材と隙間調整部材との間に
    配置され、これらの間隔を変えて摩擦クラッチの隙間を
    調整するスペーサと、このスペーサを挟んでデフケース
    部材と隙間調整部材とを固定する固定手段とからなるこ
    とを特徴とするデファレンシャル装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載された発明であって、位
    置調整手段が、デフケース部材と隙間調整部材との間に
    配置されるバネと、このバネの撓み量を調整しながらデ
    フケース部材と隙間調整部材とを固定し、摩擦クラッチ
    の隙間を調整する固定手段とからなることを特徴とする
    デファレンシャル装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載された発
    明であって、摩擦クラッチにイニシャルトルクを与える
    予圧バネを備えていることを特徴とするデファレンシャ
    ル装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007518028A (ja) * 2004-01-02 2007-07-05 ゲー カー エヌ ドライブライン インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング コンパクトディファレンシャル装置
US7604562B2 (en) 2005-08-31 2009-10-20 Engineering Center Steyr Gmbh & Co. Kg Drive axle for a light vehicle

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