JP2002293808A - 気相重合装置におけるガス分散板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散板の孔の閉塞を防止し、塊化による重合
停止トラブルを解消し、長期安定運転を可能にする流動
層型気相重合装置用ガス分散板を提供する。 【解決手段】 各孔の上部が、任意の方向を向いてお
り、断面積比が１：１〜１：１０である二つの開口部を
有し、前記各孔において前記断面積比は同一でもよく異
なっていてもよいキャップで覆われている流動層型気相
重合装置用ガス分散板であり、二つの開口部の断面積比
として好ましくは１：５〜１：７であり、二つの開口部
の方向がなす角度として好ましくは１８０°であり、キ
ャップの縦断面の外形線としてはテーパー状またはベン
チュリー状をなすものであり、流動層型気相重合装置と
して好ましくは撹拌機を有する流動層型気相重合装置で
ある流動層型気相重合装置用ガス分散板。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、流動層型気相重合
装置用ガス分散板に関するものである。さらに詳しく
は、分散板の孔の閉塞を防止し、塊化による重合停止ト
ラブルを解消する流動層型気相重合装置用ガス分散板に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来からオレフィンの重合方法として
は、例えば、不活性炭化水素溶媒中で行われるスラリー
重合法、液化プロピレン等の液化単量体中で行われるバ
ルク重合法、気相中で行われる気相重合法等が知られて
いる。中でも、近年、溶媒の回収および精製工程が不要
で、単量体の回収および重合体の乾燥が容易な気相重合
法が用いられるようになってきた。

【０００３】気相重合法は、通常、重合を円滑に進める
ために撹拌機を有していても有していなくても良い流動
層型重合槽を用いてオレフィンもしくはオレフィン含有
ガスによって、オレフィン重合体粒子と触媒粒子からな
る固体粒子を重合槽内の流動層に浮遊流動させた状態で
重合を行うものである。

【０００４】図１は流動層型気相重合装置の代表的な例
を示すものであり、重合槽１と重合槽の中に組み込まれ
たガス分散板２、ガス分散板２によって仕切られたガス
分散板２より下部のガス室３、ガス分散板２より上部の
触媒を含む生成重合体よりなる流動層４、重合用触媒の
供給通路５、生成重合体の取り出し通路６、ガス室につ
ながる循環ガス入口７、流動層部分からの循環ガス出口
８、補給新規原料導入路９及び循環コンプレッサー１０
より構成されている。

【０００５】流動層型気相重合装置を用いて気相重合を
行う場合に用いるガス分散板としては、例えば、特開昭
５８−１５４７０２号公報には、ガス分散板の目詰防
止、ガス室への生成重合体粒子の落下防止ができる、ガ
スの流出する開口が一側のみで、しかも攪拌機の撹拌に
よって生ずる流動層の旋回流の流れに向き合わないよう
に設けられたキャップで、孔が覆われた撹拌流動層型気
相重合装置のガス分散板が記載されている。

【０００６】しかし、従来から公知のガスの流出する開
口が一側のみであるキャップで孔が覆われた流動層型気
相重合装置のガス分散板を用いた場合、ガス導入部であ
る分散板の孔の直上付近（キャップの付け根付近）に流
れが滞る部分が発生し、その流れが滞る部分に、捕集設
備であるサイクロンを用いたとしても、捕集できない微
粒子が詰まり、分散板の孔を閉塞し、流動不良を引き起
こし、重合停止トラブルを引き起こすことがあった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分散
板の孔の閉塞を防止し、塊化による重合停止トラブルを
解消し、長期安定運転を可能にする流動層型気相重合装
置用ガス分散板を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の実
情に鑑み、鋭意検討の結果、各孔の上部が、任意の方向
を向いており、断面積比が特定の範囲である二つの開口
部を有し、前記各孔において前記断面積比は同一でもよ
く異なっていてもよいキャップで覆われていることを特
徴とする流動層型気相重合装置用ガス分散板が、上記課
題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。

【０００９】すなわち、本発明は、各孔の上部が、任意
の方向を向いており、断面積比が１：１〜１：１０であ
る二つの開口部を有し、前記各孔において前記断面積比
は同一でもよく異なっていてもよいキャップで覆われて
いることを特徴とする流動層型気相重合装置用ガス分散
板に係るものである。以下、本発明を詳細に説明する。

【００１０】

【発明の実施の形態】図２は本発明である流動層型気相
重合装置用ガス分散板の一具体例である。孔１１の配置
は、特に制限されるものではなく、使用するガス分散板
の目的に応じて適宜決められる配置であり、例えば、ガ
ス分散板の中心部を中心とする同心円上への配置、千鳥
型状配置、格子状配置等が挙げられる。

【００１１】孔１１の孔径も、特に制限されるものでは
なく、目的に応じて適宜決められる孔径であり、通常は
１０〜３０ｍｍ程度である。

【００１２】孔１１を覆うようにして取り付けられるキ
ャップ１２の開口部１３および１４の方向は個々の孔１
１において任意の方向である。ガスおよび微粒子の滞留
防止およびガス分散板作成の観点から、開口部１３およ
び１４の方向として、好ましくは開口部１３および１４
の方向がなす角度が９０〜１８０°であり、さらに好ま
しくは１８０°である。

【００１３】孔１１を覆うように取り付けられるキャッ
プ１２の開口部１３と１４の断面積の比は１：１〜１：
１０であり、好ましくは１：５〜１：７である。開口部
１３と１４の断面積の比が１：１０を超えた場合、小さ
い断面積である開口部が閉塞し易くなることがある。ま
た、各孔を覆うように取り付けられるキャップの開口部
の断面積の比は、各孔において同一でもよく異なってい
てもよい。

【００１４】キャップ１２の外形は、ガス分散板近傍の
流れをよどみなくスムーズにするという観点から、好ま
しくは、図３に示すように、縦断面の外形線がテーパー
状である外形であり、より好ましくはベンチュリー状で
ある外形である。

【００１５】本発明で用いられる流動層気相重合装置
は、撹拌機を有していても有していなくても良い。

【００１６】キャップ１２の開口部はガス分散板に対
し、通常、ほぼ水平方向に向いている。また、開口部１
３および１４の面積は、通常、孔１１の面積と同等から
１／３程度である。

【００１７】ガス分散板におけるキャップ１２の開口割
合、即ち、ガス分散板全体の面積に対するキャップ１２
の開口部の面積の割合は、特に制限はなく、ガス分散板
の使用目的によって決められるが、通常は１〜３．５％
であり、好ましくは１．５〜３％である。ガス分散板へ
のキャップ１２の取付けは、特に制限されるものではな
く、例えば、溶接のよる取付け、ビスによる取付け等が
挙げられ、好ましくは溶接による取付けである。

【００１８】本発明で用いられる流動層型気相重合装置
は、特に制限されるものではなく、オレフィンを重合す
ることができる装置であり、例えば、エチレン、プロピ
レン等を重合することができる装置である。

【００１９】本発明で用いられる流動層型気相重合装置
を用いる重合反応条件は、特に制限されるものではな
く、その目的とする重合体により適宜決められるが、通
常、圧力は１〜３ＭＰａであり、反応温度は５０〜９０
℃であり、ガス風量（空塔速度）は１０〜５０ｃｍ／ｓ
ｅｃである。

【００２０】本発明で用いられる流動層型気相重合装置
は、撹拌機を有していても有していなくてもよいが、好
ましくは撹拌機を有している流動層型気相重合装置であ
る。

【００２１】

【実施例】開口部の方向なす角度が１８０°であり、開
口部の断面積比が１：６であり、縦断面の外形線がベン
チュリー状のキャップで覆われたガス吹出口を有するガ
ス分散板を備えた流動層型気相重合装置を用い、エチレ
ン／プロピレンのランダム共重合を行なった。圧力は
２．０ＭＰａであり、温度は８０℃であり、空塔速度は
２０ｃｍ／ｓｅｃであった。重合を６ヶ月間実施した
後、重合槽内の生成重合体を全量抜出し、反応を停止し
た。ガス分散板の孔について確認したところ詰まりもな
く、きれいな状態であった。ガス分散板の上部に残留重
合体はなく重合体の抜き出しも良好であった。また、ガ
ス分散板の下のガス室を観察し、生成重合体の落下の有
無を確認したところ、ガス室への生成重合体の落下はな
かった。

【００２２】

【発明の効果】以上、詳述したとおり、本発明の流動層
型気相重合装置用ガス分散板用いることにより、分散板
の孔の閉塞を防止し、塊化による重合停止トラブルを解
消し、長期安定運転を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】気相重合装置の概要構成を示す図である。

【図２】気相重合装置に使用される本発明のガス分散板
の平面図である。

【図３】孔およびキャップの構造を示す縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１．重合槽、２．ガス分散板、３．ガス室、４．流動
層、５．触媒供給通路、６．重合体取出し通路、７．循
環ガス入口、８．循環ガス出口、９．補給新規原料導入
路、１０．循環コンプレッサー、１１．孔、１２．キャ
ップ、１３．開口部、１４．開口部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 臼井 理人 千葉県市原市姉崎海岸５の１ 住友化学工 業株式会社内 Ｆターム(参考） 4J011 DA06 DB15

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】各孔の上部が、任意の方向を向いており、
   断面積比が１：１〜１：１０である二つの開口部を有
   し、前記各孔において前記断面積比は同一でもよく異な
   っていてもよいキャップで覆われていることを特徴とす
   る流動層型気相重合装置用ガス分散板。
2. 【請求項２】二つの開口部の断面積比が１：５〜１：７
   であることを特徴とする請求項１記載の流動層型気相重
   合装置用ガス分散板。
3. 【請求項３】二つの開口部の方向がなす角度が１８０°
   であることを特徴とする請求項１記載の流動層型気相重
   合装置用ガス分散板。
4. 【請求項４】キャップの縦断面の外形線がテーパー状ま
   たはベンチュリー状をなすことを特徴とする請求項１記
   載の流動層型気相重合装置用ガス分散板。
5. 【請求項５】流動層型気相重合装置が撹拌機を有するこ
   とを特徴とする請求項１記載の流動層型気相重合装置用
   ガス分散板。