JP2002293010A5 - - Google Patents
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は基材の表裏面の少なくとも一方の面にインク受容層が形成されたインクジェット記録用シートおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を記録用シートに直接噴射して、画像、文字、各種図形などを記録する装置である。このインクジェット記録装置は、精細な記録が可能であり、銀塩写真に匹敵するカラー記録も可能であることから、近年、広く普及している。このインクジェット記録装置に好適に用いられるシートとして、上質紙、合成紙、合成樹脂フィルムなど平滑度の高い基材の表裏面の少なくとも一方の面に、顔料、バインダーおよびインク定着剤等を含む塗工液を塗工してインク受容層を設けた、いわゆる塗工紙タイプのインクジェット記録用シートが知られている。この種のインクジェット記録用シートは、インクが均一に吸収されて着肉むらおよびにじみが生じないように、インク受容層の厚みが均一で、かつ、塗工むらや塗工欠点がないことが特に重要となる。
【0003】
一方、基材等に塗工液を塗工するのに用いられる塗工機として、ブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーターなどが知られている。ブレードコーターは、比較的、平滑な表面形状を有する塗工層を得ることができるが、パルプ、特に古紙パルプ含有のパルプ、や合成繊維を抄造して作製された紙等表面の平滑性の低い基材を用いると、基材の表面形状に対応した塗工量むらを生じる。また、エアナイフコーターは、エアナイフ特有のパターンが塗工層に発生することが不可避で、均一な塗工量の塗工層を得ることが難しい。上記塗工機のなかでは、カーテンコーターが、基材の地合の影響を受けずに、均一な厚さの塗工層を形成するのに適している。このカーテンコーターは、基材上にスリット状のコーターリップから塗工液を膜状に垂らして塗工するもので、塗工液の成膜性や基材へのぬれ性を改善して塗工むらや塗工欠点を防止するために、塗工液中に表面張力低下能力の高い界面活性剤を含有させる必要がある。表面張力低下能力が低い界面活性剤では、成膜性の改善が不充分となりカーテン膜の膜割れが生じやすくなり、また、基材へのぬれ性も悪く未塗工部が発生し、さらにはカーテンコーターのコーターリップ幅よりも塗工幅が狭くなる現象いわゆるネックインが大きくなる。前記表面張力低下能力の高い界面活性剤としては、スルホ琥珀酸ジアルキルエーテルなどアニオン系界面活性剤であることが知られており、カーテンコーターの塗工においてもこのアニオン系界面活性剤を用いるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクジェット記録方式に採用される水性インクのほとんどはアニオン系であるため、インク受容層を形成するための塗工液に含有されるインク定着剤はカチオン系のものである。しかるに、従来どおりにカーテンコーターを用いてインクジェット記録用のインク受容層を形成しようとしても、表面張力を低下させるために必要となるアニオン系界面活性剤とインク定着性を向上させるためのカチオン系インク定着剤とが反応して凝集または過剰に粘度が増大するため、塗工を行うことはできない。したがって、カーテンコーターを用いてインクジェット記録用のインク受容層を形成するには、アニオン系以外の界面活性剤を用いるしかないのだが、一般的なアニオン系以外の界面活性剤は、表面張力低下能力が低く、カーテンコーターにおける通常の界面活性剤の使用量ではネックインや膜割れが完全に改善されなかった。しかも、前記一般的なアニオン系以外の界面活性剤は、発泡性が高く、使用量を増やすと塗工液を発泡させるうえに、印字性も悪化させるので、使用量を増やして表面張力を低下させる手法をとることもできなかった。
【0005】
そこで、本発明者らが研究を重ねた結果、アニオン系以外の界面活性剤でも特にアミンアセテート系界面活性剤が、アニオン系界面活性剤と同等の表面張力低下性を有することを知見した。さらに、このアミンアセテート系界面活性剤は、大きくはカチオン系に属するため、塗工液中でインク定着剤と反応することもなく、また塗工液を発泡させることもないため、カーテンコーターを用いて好適に塗工でき、均一な厚さのインク受容層を形成することが可能であることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明請求項1記載の発明は、
基材の表裏面の少なくとも一方の面に、インク受容層が形成されたインクジェット記録用シートであって、
前記インク受容層が、アミンアセテート系界面活性剤とカチオン系インク定着剤と顔料とを含む塗工液を、カーテンコーターによって塗工して形成されたものであることを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【0007】
請求項2記載の発明は、基材の表裏面の少なくとも一方の面に、インク受容層が形成されたインクジェット記録用シートの製造方法であって、
前記インク受容層を、アミンアセテート系界面活性剤とカチオン系インク定着剤と顔料とを含む塗工液をカーテンコーターによって塗工して形成することを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法である。
【0008】
本発明は、表面張力低下剤としてアミンアセテート系界面活性剤を使用し、カーテンコーターによってインク受容層を形成するようにしたので、平滑度の高い基材はもちろんのこと、比較的平滑度の低い基材であっても、均一なインク受容層が形成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に詳述する。
本発明のインクジェット記録用シートは、基材の表裏面の少なくとも一方の面に、カーテンコーターによって塗工液を塗工して形成されるインク受容層を備えたものである。
【0010】
本発明においては、塗工液の表面張力を調整するため、前記塗工液中にアミンアセテート系界面活性剤を含有させる。このアミンアセテート系界面活性剤としては、例えば、アセタミン24(花王株式会社製)やアセタミン86(花王株式会社製)等が挙げられる。かかる界面活性剤は、塗工液の顔料100重量部に対して0.1〜20重量部とするのが好適である。0.1重量部以下であると、表面張力が充分に低下しない。また、20重量部以上であると、タンク内での発泡が多くなるので好ましくない。
【0011】
一方、本発明にかかる塗工液には、インクの定着性を促進させるために塗工液中にカチオン系インク定着剤を用いる。本発明におけるカチオン系インク定着剤としては、水に溶解したとき離解してカチオン性を呈する1級〜3級アミン又は4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーの少なくとも1 種以上を使用するのが好ましい。特に好ましくは、オリゴマー又はポリマーである。
【0012】
他方、本発明にかかる塗工液には、従来既知のバインダーを問題なく用いることができるが、水溶性インクの溶媒を定着させる必要性から水溶性インクの溶媒との親和性の点で水溶性バインダーであるのが望ましい。かかるバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白などが挙げられる。
【0013】
他方、本発明にかかる塗工液には、従来既知の顔料を問題なく用いることができる。前記顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。なかでも、多孔性の無機顔料である、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が好適である。また、それらのなかでも細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが特に好適である。
【0014】
ここで、本発明の塗工液におけるアミンアセテート系界面活性剤以外の含有物の配合割合、すなわち、顔料、カチオン系インク定着剤、バインダー、その他の添加剤などの配合割合は、従来既知のインクジェット記録用のインク受容層を形成するための塗工液と同様でよく、それら従来既知の塗工液を参考に適宜変更すればよい。当業者であればこれらの変更は容易にできるであろう。
【0015】
一方、本発明に用いられる基材としては、カーテンコーターで塗工可能な、パルプを原料とする紙、熱可塑性樹脂フィルム、合成紙、写真用基材のような合成樹脂ラミネート紙、木材繊維や合成繊維を主体とした不織布の如き様々なシート状物質を問題なく用いることができる。環境保護にも貢献できることから、古紙パルプを70%以上含むパルプ、特には、古紙パルプ100%からなるパルプを原料パルプとする紙を用いるのが望ましい。一般に、古紙パルプを70%以上含むパルプを原料とする紙は平滑度が低く、従来方法によってインク受容層を形成すると塗工量むらが生じ、インク着肉むらが発生しやすくなるが、本発明に従ってカーテンコーターを用いてインク受容層を設けると、古紙パルプ100%からなる紙を基材としても、塗工量むらのないインク受容層が形成され、インク着肉むらの発生しないインクジェット記録用紙が得られる。
【0016】
また、本発明にかかる基材には、内添サイズ剤、中性サイズ剤、ポリマーサイズ剤、酸性サイズ剤等のサイズ剤、填料、サイズプレスが含有されていてもよい。白色顔料として、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料等が1種あるいは2種以上含有されていてもよい。
【0017】
本発明における基材には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等が配合されていてもよい。
【0018】
一方、本発明のインクジェット記録用シートに記録するのに好適なアニオン系水性インクは、下記の着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録用液体である。着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料或は食品用色素等の水溶性染料が挙げられる。前記水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、 sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1 〜4 のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
【0019】
また、前記溶媒中には、その他の添加剤として、例えば、PH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が含有されていてもよい。
【0020】
他方、本発明に用いるカーテンコーターの機種については、特に限定されない。また、本発明においてはカーテンコーターの運転条件、すなわち、吐出量や塗工速度等も特に限定されない。それら運転条件は、塗工幅および塗工量を参考にして、従来技術に基づき適宜変更すればよい。上記に詳述した本発明にかかる塗工液の表面張力は、27〜35dyn/cmとなるため、従来既知のカーテンコーターを用いて好適に基材に塗工できる。
【0021】
ここで、本発明におけるインクジェット記録用シートは、インクジェット記録装置の使用のみに限定されるものではない。アニオン系水性インクを用いる記録方式において好適に用いられる。
【0022】
(装置例)
次いで、カーテンコーターの装置例を図1に示す。図示されるカーテンコーターを用いて基材に塗工液を塗工すれば、本発明のインクジェット記録用シートを得ることができる。なお、本発明は、図示されるカーテンコーターの使用に限定されるものではない。
【0023】
図1に示されるカーテンコーター1においては、予め調製されたインク受容層塗工液iは、塗工液貯蔵タンクより給液ポンプ等によってコーターヘッド2へ送られる。前記コーターヘッド2の内部は、マニホールド2aおよびスリット2bからなり、それぞれ高精度の仕上げが施されている。供給された塗工液は、前記マニホールド2aに満たされ、更にスリット2bに送られるときに通過する狭い間隙において、給液ポンプの送液による動圧の影響が軽減され、幅方向における圧力分布が均一化され、コーターリップ3より流出し、垂直なカーテン膜Mを形成する。
【0024】
幅方向でプロファイルが均一となった垂直カーテン膜Mは、連続走行している基材Sと接触し、基材Sに塗工される。ここでエッジガイド4、4はコーターヘッド2の幅を超えず、更に基材Sの幅を超えて設けられ、垂直カーテン膜Mは基材Sの幅を超えて形成される。垂直カーテン膜Mが基材Sの幅を超えて形成されているのは、垂直カーテン膜Mの両端部における塗工層の厚塗りを防止するためである。基材Sの幅を超えて流下する塗工液は、受液槽5に回収され、塗工液貯蔵タンクに戻された後再び塗工される。また、基材Sが切断され塗工が中断された場合も、塗工液は受液槽5に回収される。
【0025】
連続走行している基材Sと垂直カーテン膜Mとの接触部(以後、「塗工部」という。)には基材Sに同伴する空気流を遮蔽し、カーテン周辺の空気の回流などで垂直カーテン膜Mが乱れることなく基材Sに達するようにするため遮風板6が設けられている。また、基材Sの搬送方向は、塗工部の直前でロール7により方向転換することにより、基材Sに同伴する空気の塗工部への影響を最小限にとどめるように構成されている。
【0026】
形成させた垂直カーテン膜Mを安定した状態で塗工するためには、基材Sからコーターヘッド2下部の流出部までの高さがある程度必要とされるが、垂直カーテン膜Mの安定に適した高さは60〜300mm、好ましくは100〜250mm、更に好ましくは120〜180mmである。
【0027】
<実験例>
次いで、本発明の実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳述する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。また、本実験例において部とは重量部を表す。
【0028】
[実施例1]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン24(花王株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0029】
[実施例2]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン24(花王株式会社製)20部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0030】
[実施例3]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン86(花王株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0031】
[実施例4]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン86(花王株式会社製)20部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0032】
[実施例5]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン24(花王株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、古紙パルプ100%を原料とした印刷用紙に塗工した。
【0033】
[実施例6]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン86(花王株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、古紙パルプ100%を原料とした印刷用紙に塗工した。
【0034】
[比較例1]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して、バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部を含み、界面活性剤を含有しない塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工社製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で上質紙に塗工した。
【0035】
[比較例2]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、従来のカチオン系界面活性剤であるSF−75PA(三洋化成株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0036】
[比較例3]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、従来のカチオン系界面活性剤であるSF−75PA(三洋化成株式会社製)20部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0037】
[比較例4]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、従来のカチオン界面活性剤であるレボンTM18(三洋化成株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0038】
[比較例5]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、従来のカチオン界面活性剤であるレボンTM18(三洋化成株式会社製)20部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0039】
[比較例6]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、従来のアニオン系界面活性剤であるネオコールSWC(第一工業製薬製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0040】
[比較例7]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、アミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン24(花王株式会社製)20部を含む塗工液を、ブレードコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、古紙パルプ70%を原料とした印刷用紙に塗工した。
【0041】
上記の実施例および比較例について、表面張力を測定するとともに、塗工性、印字性、発泡性、着肉むらおよびネックインの評価を行ったので、結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
評価方法は、下記のとおりである。
[表面張力の測定]デュヌーイ氏表面張力計(大平理化工業株式会社製)を用いて、24℃で測定した。
[塗工性]塗工時に膜割れが生じるか否かを目視にて確認した。塗工時に膜割れが生じなかったものを○、膜割れが生じたものを×と評価した。
[印字性]インクジェットプリンタ(PM−800C:エプソン社製)を用いて、温度23℃、湿度50%の条件下で、シアン、マゼンタ、イエローの各色インクの重ね色で構成される赤、緑、紫を、それぞれベタ印字(大きさ3.0cm×3.0cm)し、印字30分経過後のにじみ度合いを目視にて確認した。にじみが全くないものを○、にじみが若干見られるものを△、にじみがはっきりと見られるものを×と評価した。なお、使用したインクは、アニオン系のものである。
[発泡性]界面活性剤を含有することに起因してサービスタンク内で塗工液が発泡し塗工性能に影響を及ぼすことがあるので、塗工時にサービスタンク内にて、塗工液が発泡するか否かを目視にて確認した。発泡が生じなかったものを○、発泡が生じたものを×と評価した。
[着肉むら]上記の印字性と同様にベタ印字し、インクの着肉むらが見られるか否かを目視にて確認した。着肉むらが見られないものを○、着肉むらがみられたものを×と評価した。
[ネックイン]塗工時のリップコーターから吐出される塗工液の形状を、目視にて確認した。ネックインが確認されなかったものを○、ネックインが確認されたものを×とした。
【0044】
表1を見てみると、本発明の実施例1〜6はいずれも、塗工性、印字性、発泡性、着肉むらおよびネックインのすべての評価において良好な結果であることが読み取られ、所望の効果が得られることが確認された。対して、比較例1〜7は、いくつかの項目において不適当な評価があることが読み取られ、所望の効果が得られないことが確認された。
【0045】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、インク定着性に優れた均一なインク受容層が形成されたインクジェット記録用シートが提供される。
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は基材の表裏面の少なくとも一方の面にインク受容層が形成されたインクジェット記録用シートおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を記録用シートに直接噴射して、画像、文字、各種図形などを記録する装置である。このインクジェット記録装置は、精細な記録が可能であり、銀塩写真に匹敵するカラー記録も可能であることから、近年、広く普及している。このインクジェット記録装置に好適に用いられるシートとして、上質紙、合成紙、合成樹脂フィルムなど平滑度の高い基材の表裏面の少なくとも一方の面に、顔料、バインダーおよびインク定着剤等を含む塗工液を塗工してインク受容層を設けた、いわゆる塗工紙タイプのインクジェット記録用シートが知られている。この種のインクジェット記録用シートは、インクが均一に吸収されて着肉むらおよびにじみが生じないように、インク受容層の厚みが均一で、かつ、塗工むらや塗工欠点がないことが特に重要となる。
【0003】
一方、基材等に塗工液を塗工するのに用いられる塗工機として、ブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーターなどが知られている。ブレードコーターは、比較的、平滑な表面形状を有する塗工層を得ることができるが、パルプ、特に古紙パルプ含有のパルプ、や合成繊維を抄造して作製された紙等表面の平滑性の低い基材を用いると、基材の表面形状に対応した塗工量むらを生じる。また、エアナイフコーターは、エアナイフ特有のパターンが塗工層に発生することが不可避で、均一な塗工量の塗工層を得ることが難しい。上記塗工機のなかでは、カーテンコーターが、基材の地合の影響を受けずに、均一な厚さの塗工層を形成するのに適している。このカーテンコーターは、基材上にスリット状のコーターリップから塗工液を膜状に垂らして塗工するもので、塗工液の成膜性や基材へのぬれ性を改善して塗工むらや塗工欠点を防止するために、塗工液中に表面張力低下能力の高い界面活性剤を含有させる必要がある。表面張力低下能力が低い界面活性剤では、成膜性の改善が不充分となりカーテン膜の膜割れが生じやすくなり、また、基材へのぬれ性も悪く未塗工部が発生し、さらにはカーテンコーターのコーターリップ幅よりも塗工幅が狭くなる現象いわゆるネックインが大きくなる。前記表面張力低下能力の高い界面活性剤としては、スルホ琥珀酸ジアルキルエーテルなどアニオン系界面活性剤であることが知られており、カーテンコーターの塗工においてもこのアニオン系界面活性剤を用いるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクジェット記録方式に採用される水性インクのほとんどはアニオン系であるため、インク受容層を形成するための塗工液に含有されるインク定着剤はカチオン系のものである。しかるに、従来どおりにカーテンコーターを用いてインクジェット記録用のインク受容層を形成しようとしても、表面張力を低下させるために必要となるアニオン系界面活性剤とインク定着性を向上させるためのカチオン系インク定着剤とが反応して凝集または過剰に粘度が増大するため、塗工を行うことはできない。したがって、カーテンコーターを用いてインクジェット記録用のインク受容層を形成するには、アニオン系以外の界面活性剤を用いるしかないのだが、一般的なアニオン系以外の界面活性剤は、表面張力低下能力が低く、カーテンコーターにおける通常の界面活性剤の使用量ではネックインや膜割れが完全に改善されなかった。しかも、前記一般的なアニオン系以外の界面活性剤は、発泡性が高く、使用量を増やすと塗工液を発泡させるうえに、印字性も悪化させるので、使用量を増やして表面張力を低下させる手法をとることもできなかった。
【0005】
そこで、本発明者らが研究を重ねた結果、アニオン系以外の界面活性剤でも特にアミンアセテート系界面活性剤が、アニオン系界面活性剤と同等の表面張力低下性を有することを知見した。さらに、このアミンアセテート系界面活性剤は、大きくはカチオン系に属するため、塗工液中でインク定着剤と反応することもなく、また塗工液を発泡させることもないため、カーテンコーターを用いて好適に塗工でき、均一な厚さのインク受容層を形成することが可能であることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明請求項1記載の発明は、
基材の表裏面の少なくとも一方の面に、インク受容層が形成されたインクジェット記録用シートであって、
前記インク受容層が、アミンアセテート系界面活性剤とカチオン系インク定着剤と顔料とを含む塗工液を、カーテンコーターによって塗工して形成されたものであることを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【0007】
請求項2記載の発明は、基材の表裏面の少なくとも一方の面に、インク受容層が形成されたインクジェット記録用シートの製造方法であって、
前記インク受容層を、アミンアセテート系界面活性剤とカチオン系インク定着剤と顔料とを含む塗工液をカーテンコーターによって塗工して形成することを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法である。
【0008】
本発明は、表面張力低下剤としてアミンアセテート系界面活性剤を使用し、カーテンコーターによってインク受容層を形成するようにしたので、平滑度の高い基材はもちろんのこと、比較的平滑度の低い基材であっても、均一なインク受容層が形成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に詳述する。
本発明のインクジェット記録用シートは、基材の表裏面の少なくとも一方の面に、カーテンコーターによって塗工液を塗工して形成されるインク受容層を備えたものである。
【0010】
本発明においては、塗工液の表面張力を調整するため、前記塗工液中にアミンアセテート系界面活性剤を含有させる。このアミンアセテート系界面活性剤としては、例えば、アセタミン24(花王株式会社製)やアセタミン86(花王株式会社製)等が挙げられる。かかる界面活性剤は、塗工液の顔料100重量部に対して0.1〜20重量部とするのが好適である。0.1重量部以下であると、表面張力が充分に低下しない。また、20重量部以上であると、タンク内での発泡が多くなるので好ましくない。
【0011】
一方、本発明にかかる塗工液には、インクの定着性を促進させるために塗工液中にカチオン系インク定着剤を用いる。本発明におけるカチオン系インク定着剤としては、水に溶解したとき離解してカチオン性を呈する1級〜3級アミン又は4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーの少なくとも1 種以上を使用するのが好ましい。特に好ましくは、オリゴマー又はポリマーである。
【0012】
他方、本発明にかかる塗工液には、従来既知のバインダーを問題なく用いることができるが、水溶性インクの溶媒を定着させる必要性から水溶性インクの溶媒との親和性の点で水溶性バインダーであるのが望ましい。かかるバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白などが挙げられる。
【0013】
他方、本発明にかかる塗工液には、従来既知の顔料を問題なく用いることができる。前記顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。なかでも、多孔性の無機顔料である、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が好適である。また、それらのなかでも細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが特に好適である。
【0014】
ここで、本発明の塗工液におけるアミンアセテート系界面活性剤以外の含有物の配合割合、すなわち、顔料、カチオン系インク定着剤、バインダー、その他の添加剤などの配合割合は、従来既知のインクジェット記録用のインク受容層を形成するための塗工液と同様でよく、それら従来既知の塗工液を参考に適宜変更すればよい。当業者であればこれらの変更は容易にできるであろう。
【0015】
一方、本発明に用いられる基材としては、カーテンコーターで塗工可能な、パルプを原料とする紙、熱可塑性樹脂フィルム、合成紙、写真用基材のような合成樹脂ラミネート紙、木材繊維や合成繊維を主体とした不織布の如き様々なシート状物質を問題なく用いることができる。環境保護にも貢献できることから、古紙パルプを70%以上含むパルプ、特には、古紙パルプ100%からなるパルプを原料パルプとする紙を用いるのが望ましい。一般に、古紙パルプを70%以上含むパルプを原料とする紙は平滑度が低く、従来方法によってインク受容層を形成すると塗工量むらが生じ、インク着肉むらが発生しやすくなるが、本発明に従ってカーテンコーターを用いてインク受容層を設けると、古紙パルプ100%からなる紙を基材としても、塗工量むらのないインク受容層が形成され、インク着肉むらの発生しないインクジェット記録用紙が得られる。
【0016】
また、本発明にかかる基材には、内添サイズ剤、中性サイズ剤、ポリマーサイズ剤、酸性サイズ剤等のサイズ剤、填料、サイズプレスが含有されていてもよい。白色顔料として、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料等が1種あるいは2種以上含有されていてもよい。
【0017】
本発明における基材には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等が配合されていてもよい。
【0018】
一方、本発明のインクジェット記録用シートに記録するのに好適なアニオン系水性インクは、下記の着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録用液体である。着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料或は食品用色素等の水溶性染料が挙げられる。前記水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、 sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1 〜4 のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
【0019】
また、前記溶媒中には、その他の添加剤として、例えば、PH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が含有されていてもよい。
【0020】
他方、本発明に用いるカーテンコーターの機種については、特に限定されない。また、本発明においてはカーテンコーターの運転条件、すなわち、吐出量や塗工速度等も特に限定されない。それら運転条件は、塗工幅および塗工量を参考にして、従来技術に基づき適宜変更すればよい。上記に詳述した本発明にかかる塗工液の表面張力は、27〜35dyn/cmとなるため、従来既知のカーテンコーターを用いて好適に基材に塗工できる。
【0021】
ここで、本発明におけるインクジェット記録用シートは、インクジェット記録装置の使用のみに限定されるものではない。アニオン系水性インクを用いる記録方式において好適に用いられる。
【0022】
(装置例)
次いで、カーテンコーターの装置例を図1に示す。図示されるカーテンコーターを用いて基材に塗工液を塗工すれば、本発明のインクジェット記録用シートを得ることができる。なお、本発明は、図示されるカーテンコーターの使用に限定されるものではない。
【0023】
図1に示されるカーテンコーター1においては、予め調製されたインク受容層塗工液iは、塗工液貯蔵タンクより給液ポンプ等によってコーターヘッド2へ送られる。前記コーターヘッド2の内部は、マニホールド2aおよびスリット2bからなり、それぞれ高精度の仕上げが施されている。供給された塗工液は、前記マニホールド2aに満たされ、更にスリット2bに送られるときに通過する狭い間隙において、給液ポンプの送液による動圧の影響が軽減され、幅方向における圧力分布が均一化され、コーターリップ3より流出し、垂直なカーテン膜Mを形成する。
【0024】
幅方向でプロファイルが均一となった垂直カーテン膜Mは、連続走行している基材Sと接触し、基材Sに塗工される。ここでエッジガイド4、4はコーターヘッド2の幅を超えず、更に基材Sの幅を超えて設けられ、垂直カーテン膜Mは基材Sの幅を超えて形成される。垂直カーテン膜Mが基材Sの幅を超えて形成されているのは、垂直カーテン膜Mの両端部における塗工層の厚塗りを防止するためである。基材Sの幅を超えて流下する塗工液は、受液槽5に回収され、塗工液貯蔵タンクに戻された後再び塗工される。また、基材Sが切断され塗工が中断された場合も、塗工液は受液槽5に回収される。
【0025】
連続走行している基材Sと垂直カーテン膜Mとの接触部(以後、「塗工部」という。)には基材Sに同伴する空気流を遮蔽し、カーテン周辺の空気の回流などで垂直カーテン膜Mが乱れることなく基材Sに達するようにするため遮風板6が設けられている。また、基材Sの搬送方向は、塗工部の直前でロール7により方向転換することにより、基材Sに同伴する空気の塗工部への影響を最小限にとどめるように構成されている。
【0026】
形成させた垂直カーテン膜Mを安定した状態で塗工するためには、基材Sからコーターヘッド2下部の流出部までの高さがある程度必要とされるが、垂直カーテン膜Mの安定に適した高さは60〜300mm、好ましくは100〜250mm、更に好ましくは120〜180mmである。
【0027】
<実験例>
次いで、本発明の実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳述する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。また、本実験例において部とは重量部を表す。
【0028】
[実施例1]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン24(花王株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0029】
[実施例2]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン24(花王株式会社製)20部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0030】
[実施例3]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン86(花王株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0031】
[実施例4]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン86(花王株式会社製)20部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0032】
[実施例5]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン24(花王株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、古紙パルプ100%を原料とした印刷用紙に塗工した。
【0033】
[実施例6]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、本発明にかかるアミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン86(花王株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、古紙パルプ100%を原料とした印刷用紙に塗工した。
【0034】
[比較例1]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して、バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部を含み、界面活性剤を含有しない塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工社製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で上質紙に塗工した。
【0035】
[比較例2]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、従来のカチオン系界面活性剤であるSF−75PA(三洋化成株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0036】
[比較例3]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、従来のカチオン系界面活性剤であるSF−75PA(三洋化成株式会社製)20部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0037】
[比較例4]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、従来のカチオン界面活性剤であるレボンTM18(三洋化成株式会社製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0038】
[比較例5]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、従来のカチオン界面活性剤であるレボンTM18(三洋化成株式会社製)20部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0039】
[比較例6]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、従来のアニオン系界面活性剤であるネオコールSWC(第一工業製薬製)0.1部を含む塗工液を、カーテンコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、上質紙に塗工した。
【0040】
[比較例7]顔料としてシリカ100部を含み、かつ、前記顔料100部に対して;バインダーとしてPVA25部および酢酸ビニル25部、カチオン系インク定着剤として4級アンモニウム塩10部、アミンアセテート系界面活性剤としてアセタミン24(花王株式会社製)20部を含む塗工液を、ブレードコーター(石川島播磨重工製)を用いて、吐出量10リットル/分、塗工速度180m/分、コーター幅1000mmの条件で、古紙パルプ70%を原料とした印刷用紙に塗工した。
【0041】
上記の実施例および比較例について、表面張力を測定するとともに、塗工性、印字性、発泡性、着肉むらおよびネックインの評価を行ったので、結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
評価方法は、下記のとおりである。
[表面張力の測定]デュヌーイ氏表面張力計(大平理化工業株式会社製)を用いて、24℃で測定した。
[塗工性]塗工時に膜割れが生じるか否かを目視にて確認した。塗工時に膜割れが生じなかったものを○、膜割れが生じたものを×と評価した。
[印字性]インクジェットプリンタ(PM−800C:エプソン社製)を用いて、温度23℃、湿度50%の条件下で、シアン、マゼンタ、イエローの各色インクの重ね色で構成される赤、緑、紫を、それぞれベタ印字(大きさ3.0cm×3.0cm)し、印字30分経過後のにじみ度合いを目視にて確認した。にじみが全くないものを○、にじみが若干見られるものを△、にじみがはっきりと見られるものを×と評価した。なお、使用したインクは、アニオン系のものである。
[発泡性]界面活性剤を含有することに起因してサービスタンク内で塗工液が発泡し塗工性能に影響を及ぼすことがあるので、塗工時にサービスタンク内にて、塗工液が発泡するか否かを目視にて確認した。発泡が生じなかったものを○、発泡が生じたものを×と評価した。
[着肉むら]上記の印字性と同様にベタ印字し、インクの着肉むらが見られるか否かを目視にて確認した。着肉むらが見られないものを○、着肉むらがみられたものを×と評価した。
[ネックイン]塗工時のリップコーターから吐出される塗工液の形状を、目視にて確認した。ネックインが確認されなかったものを○、ネックインが確認されたものを×とした。
【0044】
表1を見てみると、本発明の実施例1〜6はいずれも、塗工性、印字性、発泡性、着肉むらおよびネックインのすべての評価において良好な結果であることが読み取られ、所望の効果が得られることが確認された。対して、比較例1〜7は、いくつかの項目において不適当な評価があることが読み取られ、所望の効果が得られないことが確認された。
【0045】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、インク定着性に優れた均一なインク受容層が形成されたインクジェット記録用シートが提供される。
【符号の説明】
1…カーテンコーター、2…コーターヘッド、3…コーターリップ、4…エッジガイド、5…受液槽、6…遮風板、7…ロール。
1…カーテンコーター、2…コーターヘッド、3…コーターリップ、4…エッジガイド、5…受液槽、6…遮風板、7…ロール。
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