JP2002292234A - 酸素透過用構造体及び酸素製造装置 - Google Patents

酸素透過用構造体及び酸素製造装置

Info

Publication number
JP2002292234A
JP2002292234A JP2001101805A JP2001101805A JP2002292234A JP 2002292234 A JP2002292234 A JP 2002292234A JP 2001101805 A JP2001101805 A JP 2001101805A JP 2001101805 A JP2001101805 A JP 2001101805A JP 2002292234 A JP2002292234 A JP 2002292234A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxygen
conductor material
air
ionic conductor
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001101805A
Other languages
English (en)
Inventor
Wataru Fujisaki
亘 藤崎
Yoshio Matsuzaki
良雄 松崎
Toshihiko Koyama
俊彦 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Gas Co Ltd filed Critical Tokyo Gas Co Ltd
Priority to JP2001101805A priority Critical patent/JP2002292234A/ja
Publication of JP2002292234A publication Critical patent/JP2002292234A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】初期性能だけでなく、特に耐久性に優れた酸素
透過性構造体、これを用いた酸素製造装置および酸素製
造システムを得る。 【解決手段】La、Sr、GaおよびFeを含む複合酸
化物からなるイオン導電体材料の薄膜の表面または両面
にLa、Sr、CoおよびFeを含む複合酸化物からな
るイオン導電体材料の薄膜を配置してなる積層体を多孔
質の支持体に固定してなることを特徴とする酸素透過用
構造体、これを用いた酸素製造装置および酸素製造シス
テム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高いイオン導電率
を有する特定のイオン導電体材料の薄膜を組み合わせて
用いてなる酸素透過用構造体、これを用いた酸素製造装
置および酸素製造システムに関する。
【0002】
【従来の技術】酸素は、医療、酸化剤、有機化合物や鋼
鉄の定量、酸水素炎やアセチレン炎として金属の溶接・
切断、金属化工、製鋼、その他各種用途に用いられる基
礎原料である。酸素の工業的製造法としては、例えば空
気の液化分離、水の電解その他各種あるが、例えば特開
平3−40904号で提案されているように、その製造
に酸素濃淡電池を利用する方法も考えられている。
【0003】上記酸素濃淡電池を利用して酸素を製造す
る方法では、イオンと電子の双方が物質内を動くことが
できる酸化物イオン混合導電体(本明細書中適宜イオン
導電体、イオン導電材料、酸素イオン導電体材料ともい
う)を隔膜として二室を区切り、一方に空気を供給して
他方を吸引すると、酸素濃淡電池が形成されることが利
用される。隔膜は酸素イオンおよび電子の両者を伝導す
る隔膜で、電子は隔膜内の電子伝導により短絡され、電
子と逆方向に酸素イオンが透過するので、減圧側には酸
素のみが透過して高純度の酸素が得られる。すなわち、
該隔膜のうち、空気が接する側で酸素が電子を吸収して
イオン性形態に変換されて隔膜中を移動し、相対する側
で電子を放出して中性形の酸素に変換され、高純度の酸
素として分離される。
【0004】この方法によれば、理論的には、電極も外
部回路の導線も不要であり、隔膜の両側に圧力をかける
だけで、一段の分離操作で100%純粋な酸素が分離可
能となる。酸化物イオン混合電導体は、多結晶焼結体や
ガラスのようないわゆるセラミックスの形で使用され
る。高温ほど該酸化物中のイオン透過速度は速くなるの
で、一般的には1000℃以上の高温が必要となる。
【0005】ところで、酸素を分離し得るイオン電導
体、またイオン電導体を酸素の分離に利用する方法につ
いては、これまで各種報告がなされている〔特開昭61
−21717号、特開平6−198149号(特許第2
533832号)、特開平6−206707号(特許第
2559090号)、特開平8−276112号(特許
第2966340号)、特開平11−221421号、
特開平11−253769号、特開平11−33516
4号、特開2000−203805〕。しかし、その多
くはイオン導電率が不十分であり、大電流を流すことが
できない。
【0006】イオン導電体について酸素の分離性能を上
げるためにはイオン導電率を上げることが必要であり、
そのためには薄膜化して抵抗を下げることが必要であ
る。しかし、酸素製造用のイオン導電体自体について、
実用上、どのような物質が使用できるのか必ずしも明ら
かにされていない。このため、上記のように酸素濃淡電
池を利用して酸素を製造するには、まずそれら特性をみ
たす酸素イオン導電体自体を探査することが必要であ
る。
【0007】それに加えて、実用性の観点からは、初期
性能が高いことはもちろん、特に長期間にわたり性能劣
化がないこと、すなわち耐久性が必要である。しかも、
入手性やコスト面から許容できるものでなければならな
い。ところがこれまで、理論上はともかく、このような
諸条件をみたし、実用上、酸素製造用として使用に耐え
得る適当な酸素イオン導電体は特定されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、従来に
おける以上のような問題点に鑑み、各種の酸素イオン導
電体について性能実験を行い、初期性能が高く、且つ、
特に耐久性に優れた酸素イオン導電体(=混合イオン導
電体)を突き止めた。併せて、その使用形態として、そ
の特定の酸素イオン導電体薄膜の表面または両面に他の
特定のイオン導電体(=混合イオン導電体)を積層し、
この積層体を多孔質支持体に配置、固定することによ
り、初期性能だけでなく、特に耐久性に優れた酸素透過
性構造体を構成し得ることを見い出した。すなわち、本
発明は、初期性能だけでなく、特に耐久性に優れた酸素
透過性構造体、これを用いた酸素製造装置および該酸素
製造装置を用いた酸素製造システムを提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、La、Sr、
GaおよびFeを含む複合酸化物からなる酸素イオン導
電体材料の薄膜の表面(両面のうちいずれか一方の面)
または両面にLa、Sr、CoおよびFeを含む複合酸
化物からなるイオン導電体材料の薄膜を配置してなる積
層体を多孔質の支持体に固定してなることを特徴とする
酸素透過用構造体を提供する。
【0010】また、本発明は、原料空気供給用導管、酸
素欠乏空気導出用導管および酸素導出用導管を設けたケ
ーシング内に、La、Sr、GaおよびFeを含む複合
酸化物からなるイオン導電体材料の薄膜の表面(両面の
うちいずれか一方の面)または両面にLa、Sr、Co
およびFeを含む複合酸化物からなるイオン導電体材料
の薄膜を配置してなる積層体を多孔質の支持体に固定し
てなる円管状酸素透過用構造体の1個または複数個を配
置してなることを特徴とする酸素製造装置を提供する。
【0011】さらに、本発明は、上記酸素製造装置を用
いた酸素製造システムであって、該酸素製造装置のケー
シングに設けられた原料空気供給用導管に対して、原料
空気を、順次、原料空気供給用ブロア、熱交換器、空気
加熱器を経て導入するとともに、酸素製造装置に設けら
れた酸素欠乏空気導出用導管からの酸素欠乏空気を該熱
交換器に導入して原料空気を予熱するようにし、且つ、
該酸素製造装置のケーシングに設けられた酸素導出用導
管に真空ポンプを連結してなることを特徴とする酸素製
造システムを提供する。
【0012】また、本発明は、上記酸素製造装置を用い
た酸素製造システムであって、該酸素製造装置のケーシ
ングに設けられた空気供給用導管に対して、原料空気
を、順次、原料空気供給用ブロア、バーナ付き熱交換器
を経て導入するとともに、酸素製造装置に設けられた酸
素欠乏空気導出用導管からの酸素欠乏空気を用いて燃料
を該バーナで燃焼させて原料空気を加熱するようにし、
且つ、該酸素製造装置のケーシングに設けられた酸素導
出用導管に真空ポンプを連結してなることを特徴とする
酸素製造システムを提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明においては、酸素イオン導
電体としてLa、Sr、GaおよびFeを含む酸化物、
すなわちそれら4種の元素と酸素からなる複合酸化物
(以下、「LSGF」と略称する)を用いる。例えばL
SGFの一種であるLa0.7Sr0.3Ga 0.6Fe0.43
(以下「LSGF−7364」と略称する)の酸素透過
速度は0.8sccm/cm2もの値を有する。比較とし
て、例えばLa0.6Sr0.4Co0. 2Fe0.83(以下、
「LSCF−6428」と略称する)では0.43sc
cm/cm2、SrFeCo0.5X(x≒3)(以下、
「SFC−0.5」と略称する)では0.03sccm
/cm2であるに過ぎない。
【0014】本発明においては、イオン導電体材料とし
て酸素透過速度が特に優れたLSGFを用い、この材料
を薄膜として用いる。そして、当該特定のイオン導電体
材料であるLSGFからなる薄膜の表面(片面)または
両面に別種の特定のイオン導電体材料であるLa、S
r、CoおよびFeを含む酸化物、すなわちそれら4種
の元素と酸素からなる複合酸化物(以下、「LSCF」
と略称する)の薄膜を配置する。本発明においては、当
該別種のイオン導電体材料としてLSCFを用いること
が特に重要である。
【0015】これらLSGFおよびLSCFは、酸化物
セラミックスを製造する場合と同様にして製造すること
ができ、例えばそれらを構成する各元素の酸化物、炭酸
塩等の粉末を所定の組成となるよう混合し、焼成するこ
とにより得られる。これらLSGFおよびLSCFの薄
膜は、所期の酸素透過性能を保持し得る厚さ、例えば1
mm程度以下であればよいが、膜厚が薄い方が酸素透過
性能は高くなり、他方薄すぎると孔や穴が生じて性能劣
化を来すことから、好ましくは7〜30μm程度、より
好ましくは10〜20μm程度とすることができる。
【0016】こうして構成した二層構造体または三層構
造体は、高い初期性能(酸素透過性能)を有し、且つ、
長期間にわたり性能劣化がない、すなわち優れた耐久性
を得る上で非常に重要な構成である。図1は三層構造体
の態様を示した図である。図1のとおり、LSGF薄膜
の両面をLSCF薄膜でサンドイッチ状に挟んで三層構
造体とする。二層構造体の場合には、LSGF薄膜の両
面のうちいずれか一方の面にLSCF薄膜を配置して構
成される。
【0017】本発明においては、二層構造体または三層
構造体を多孔質の支持体(=多孔質基材)面に配置し固
定して酸素透過用構造体とする。この多孔質基材は、そ
れら構造体の支持体としての役割、およびそれら構造体
で選択透過された酸素を通す役割をするもので、多孔質
で且つ高温に耐え得る必要があり、このためその材料と
しては例えばアルミナ等のセラミックス材料が用いられ
る。多孔質基材はそれらの役割を果たし得る厚さであれ
ばよく、例えば2〜3mm程度とすることができる。二
層構造体の場合、多孔質支持体の面側に配置される薄膜
は、LSGF薄膜でもLSCF薄膜でもよいが、好まし
くはLSGF薄膜が配置される。
【0018】LSGFの薄膜を形成する仕方としては、
LSGFを薄膜とし得る手法であれば特に限定はない
が、例えば(1)LSGFの粉末をスラリーとし、スク
リーン印刷法などにより薄層とし、焼成する。この場
合、その薄層を多孔質基材面に形成することで、均質な
薄膜を形成することができる。(2)LSGFの粉末を
スラリーとし、スラリー中に多孔質基材を浸漬した後、
焼成する、(3)LSGFの粉末をバインダーと混合
し、プレスして焼成し、必要膜厚に研磨し、多孔質基材
面に配置する、等により形成することができる。
【0019】LSGF薄膜の表面または両面への別種の
イオン導電体材料であるLSCFの薄膜の形成の仕方と
しては、LSGF薄膜の表面または両面に対し薄膜とし
て形成し得る手法であれば特に限定はないが、例えば
(a)LSCFの粉末をスラリーとし、スクリーン印刷
法などによりLSGF薄膜の面へ薄層に塗布し、焼成す
る、(b)LSCFの粉末をスラリーとし、これに上記
(1)〜(2)のようにLSGF薄膜を形成した多孔質
基材を浸漬した後、焼成する、(c)LSCFの粉末を
スラリーとし、上記(3)のようにして形成したLSG
F薄膜を浸漬した後、焼成する、等により形成すること
ができる。
【0020】本発明においては、上記酸素透過用構造体
を用いることにより、初期の段階から優れた酸素透過能
を有し、特に長期間にわたり性能劣化がない酸素製造装
置を構成することができる。上記酸素透過用構造体は、
平板状でもよいが、好ましくは円管状に構成する。図2
はこの態様を示した図で、図2(b)は図2(a)の下
方部を拡大して示している。図2のとおり、多孔質基材
を円管状に構成し、その下端は塞がれ(図2では一例と
して断面湾曲状に構成する場合を示している)、上端は
開口している。その円管の外面に三層構造体を配置す
る。LSG薄膜の表面にLSCF薄膜を配置した二層構
造体の場合にも同様にして構成される。原料空気中の酸
素はその外周から選択的に透過し、上端開口から取り出
される。
【0021】本発明の酸素製造装置は、上記酸素透過用
構造体をケーシング(容器)内に配置することで構成さ
れる。ケーシングは、その横断面を円形状、4角形状等
適宜な形状とすることができる。各円管状酸素透過性構
造体は、その下部は塞がれ、その上部は酸素導出管に連
結されている。酸素導出管には真空ポンプが配置されて
いる。ケーシングには原料である空気を供給する導管
(空気供給用導管)、酸素欠乏空気導出用導管および酸
素導出用導管が設けられる。原料空気としては酸素富化
空気など酸素含有ガスも用いられる。
【0022】本酸素製造装置の操作に際しては、空気供
給用導管から予め加熱した高温(例えば約1000℃)
の空気を導入し、真空ポンプを駆動すると、空気中の酸
素が円筒状酸素透過性構造体を選択的に透過して、高純
度の酸素が得られる。操作温度は、約900℃程度以上
であるのが好ましく、より好ましくは約1000℃程度
である。一方、空気導出管からは、その分酸素が欠乏し
た空気が導出される。本発明の円筒状酸素透過性構造体
は、初期の段階から優れた酸素透過能を有し、特に長期
間にわたりその性能劣化がないので、運転、停止を繰り
返しても、長期にわたり高純度の酸素を高収率で得るこ
とができる。
【0023】本発明の円管状酸素透過用構造体は、その
複数個を密接させて束ねて構成することもできる。複数
個の円管状酸素透過用構造体を束ねることで、これをケ
ーシング内に配置するに際して装置全体としてもコンパ
クト化することができる。このため、酸素製造装置とし
て同一性能で小型化できるので実機として構成するに際
しても非常に有利である。例えば、直径0.02m、長
さ1mの多孔質支持体の管に順次LSGF膜、LSCF
膜を各々20μmの厚さで固定した場合、酸素製造能力
1500m3/hで約1700本の管を必要とするが、該
管を42×42本束ねたユニットを1.2m×1.2m
×1.3m(1.3m=高さ)の箱(ケーシング)1つ
に収容することができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例を基に本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことは
もちろんである。
【0025】〈実施例1:酸素イオン導電体の探査〉図
3は本試験で用いた試験装置の要点部分を示す図(縦断
面図)である。各種サンプルを膜厚約1mmの円盤状薄
膜に成膜した(円盤の直径=約2cm)。図3のとお
り、各サンプルを上下2個のアルミナ製円筒管間に挟ん
で配置し、円筒管端部とサンプル面との当接部をガラス
系シール剤でシールした。この装置を用いて各種サンプ
ルの酸素透過性能を試験した。
【0026】操作は、一次側に常圧の純酸素を流すとと
もに、二次側に常圧の希釈酸素〔O 2/N2比=1/10
00(容量)、温度=900℃〕を流して実施した。こ
れは一次側約5atmの加圧空気、二次側約1Torr
の酸素に相当している。酸素透過速度は、ブランクテス
トとして、一次側にHeを流し、二次側への漏れがない
ことを確認し、二次側の出口ガスの組成をガスクロマト
分析および流量計により測定した。
【0027】表1は、試験に供した各種サンプルのうち
数例についての結果を示す図である。表1のとおり、L
SGFの一種であるLSGF−7364(=La0.7
0.3Ga0.6Fe0.43)の酸素透過速度は、0.8s
ccm/cm2 (sccm = standard cubic ceitimeter pe
r minute = cm3/min)もの値を有する。比較とし
て、LSCF−6428(=La0.6Sr0.4Co0.2
0.83)の酸素透過速度は、0.43sccm/cm2
と、LSGF−7364の約半分であり、さらにSFC
−0.5〔=SrFeCo0.5X(x≒3)〕では0.
03sccm/cm2と、LSGF−7364の1/27
に過ぎない。
【0028】
【表 1】
【0029】〈実施例2:LSGF薄膜の面に配置する
イオン導電体の探査〉酸素イオン導電体としてLSGF
−7364を用い、これを膜厚約1mmの円盤状薄膜に
成膜した(円盤の直径=約2cm)。その両面に各種イ
オン導電体をそれぞれ0.3mmの膜厚に付着させて各
種酸素透過性構造体サンプルを形成した。この付着処理
は、LSGF−7364の薄膜に、市販の各種イオン導
電体粉末をヘキシレングリコールにてペースト状にし、
スクリーン印刷法により塗布し、1100℃で1時間焼
成し、冷却することにより付着させた。
【0030】こういて得た各種サンプルを図3に示す実
験装置を用い、実施例1と同様にして試験した。試験は
8時間連続して行い、これを1サイクルとして、停止
後、(翌日)2サイクル目を同じく8時間連続して行
い、順次同様にして3サイクル目、4サイクル目という
ように繰り返し実施した。酸素透過速度は、ブランクテ
ストとして、一次側にHeを流し、二次側への漏れがな
いことを確認し、一次側および二次側の各入ガスと出ガ
スの組成の流量差により測定した。
【0031】図4〜5は、試験に供した各種サンプルの
うち、LSGF−7364の両面にLSCF−6428
を付着させたサンプル(LSCF/LSGF/LSCF
と略称する)と、同じくLSGF−7364の両面にL
SC〔=La0.6Sr0.4CoOX(x≒3)〕を付着さ
せたサンプル(LSC/LSGF/LSCと略称する)
とについての試験結果を示す図である。図4は連続8時
間の最初の1サイクルのみの試験結果、図5は連続8時
間の1サイクルを単位とし、これを繰り返し実施した試
験結果である。
【0032】まず、図4のとおり、連続8時間の1サイ
クルのみでは、酸素透過速度はLSCF/LSGF/L
SCFの場合も、LSC/LSGF/LSCの場合も殆
ど変わらないことを示している。すなわち、図4のとお
り、1サイクル目の酸素透過速度は、試験開始時、LS
CF/LSGF/LSCFでは590×10-1molc
-2-1、LSC/LSGF/LSCでは580×10
-1molcm-2-1と殆ど同じ値を示し、8時間経過時
でも殆ど同じ値である。
【0033】これに対して、図5のとおり、両者間に
は、2サイクル目以降、格段の差があることが分かる。
すなわち、LSCF/LSGF/LSCFでの酸素透過
速度は、2サイクル目以降も1サイクル目のそれと殆ど
変わらず、580×10-1molcm-2-1前後の値を
示している。これに対して、LSC/LSGF/LSC
では、2サイクル目以降格段に低下し、2サイクル目で
410×10-1molcm-2-1、5サイクル目で40
0×10-1molcm-2-1へと低下している。このよ
うに本発明に係るLSCF/LSGF/LSCFからな
る三層構造体は、特に耐久性の点で格段に優れているこ
とが明らかである。
【0034】〈実施例3:酸素製造装置の例〉図6は本
発明に係る酸素製造装置の例で、図6(a)は縦断面
図、図6(b)は横断面図である。大径の円筒胴体から
なるケーシング内に図2に示すような円筒状酸素透過用
構造体の複数個(図6では52個)を配置した場合であ
る。各構造体は支持板に密封支持される。ケーシングの
下部に空気供給用導管、ケーシングにおける支持板の下
部に酸素欠乏空気導出管、ケーシングの上部には酸素導
出管が配置される。ケーシングの外面は断熱材が配置さ
れ、断熱材としてはパーライトその他適宜な断熱材が用
いられる。
【0035】操作に際しては、空気供給用導管から原料
空気を導入し、酸素導出管側は真空ポンプにより吸引さ
れる。原料空気中の酸素は、各円筒状酸素透過用構造体
の外周から各円筒状酸素透過用構造体中を選択的に透過
し、各円筒状酸素透過用構造体内を通り、酸素導出管か
ら真空ポンプを経て取り出される。こうして原料空気か
らは酸素が分離され、酸素欠乏空気導出管から排出され
る。
【0036】〈実施例4:酸素製造システムの例〉図7
は本発明に係る酸素製造装置を用いた酸素製造システム
の例を示す図である。図7のとおり、原料空気供給用ブ
ロア、熱交換器、空気加熱器(電気加熱式)、酸素製造
装置(分離膜ユニット)、真空ポンプが各導管を介して
配置される。酸素製造装置からの酸素欠乏空気を熱交換
器により原料空気の予熱に利用することで、熱経済を図
ることができる。本酸素製造システムにおける各箇所の
温度、圧力は装置の規模その他の諸条件に応じて適宜選
定して実施される。空気加熱器での加熱源は電気加熱式
とは限らずそれ以外の熱源を用いてもよい。
【0037】〈実施例5:酸素製造システムの例〉図8
は本発明に係る酸素製造装置を用いた酸素製造システム
の他の例を示す図である。実施例4(図7)のシステム
における、空気加熱器と熱交換器を一体化させてバーナ
付き熱交換器とする。他の構成は実施例4と同じであ
る。熱交換器はバーナでの燃焼ガスと原料空気を熱交換
させるガス−ガス間接熱交換形式で構成することができ
る。酸素製造装置からの酸素欠乏空気を用いて都市ガス
等の燃料をバーナで燃焼させて加熱するようにする。こ
のように空気加熱器と熱交換器を一体化したことによ
り、酸素製造システムを全体としてコンパクト化できる
だけでなく、燃料燃焼用に酸素欠乏空気を用いることで
火炎温度が低下するので、バーナからのNOx排出量を
少なくすることができる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、特定の酸素イオン導電
体材料を用い、これを薄膜にして、その表面または両面
に特定の異種のイオン導電体材料を配置することによ
り、初期性能だけでなく、特に耐久性が格段に優れた酸
素透過用構造体を構成することができる。また、この酸
素透過用構造体を用いた酸素製造装置により、長期間に
わたり運転−停止−作動を繰り返しても、高純度の酸素
を高効率で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素透過性構造体の態様例を示す図
【図2】本発明の酸素透過性構造体の態様例を示す図
【図3】実施例1〜2で用いた実験装置を示す図
【図4】実施例2の結果を示す図
【図5】実施例2の結果を示す図
【図6】本発明に係る酸素製造装置の例を示す図
【図7】本発明に係る酸素製造システムの例を示す図
【図8】本発明に係る酸素製造システムの他の例を示す
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山 俊彦 東京都港区海岸一丁目5番20号 東京瓦斯 株式会社内 Fターム(参考) 4D006 GA41 HA27 JA02Z JA15Z JA18Z JA19Z JA25Z JA53Z JA66Z MA02 MA06 MB07 MB17 MC03X PB17 PB62 PC71 4F100 AA23A AA23B AA32B AA33A BA03 BA07 BA10A BA10C DA11 DJ00C GB66 JD03 JG01A JG01B JM02A JM02B 4G002 AA06 AA10 AB01 AD02 AE05 4G042 BA13 BA15 BA30 BB02 BC04 BC05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】La、Sr、GaおよびFeを含む複合酸
    化物からなるイオン導電体材料の薄膜の表面にLa、S
    r、CoおよびFeを含む複合酸化物からなるイオン導
    電体材料の薄膜を配置してなる積層体を多孔質の支持体
    に固定してなることを特徴とする酸素透過用構造体。
  2. 【請求項2】La、Sr、GaおよびFeを含む複合酸
    化物からなるイオン導電体材料の薄膜の両面にLa、S
    r、CoおよびFeを含む複合酸化物からなるイオン導
    電体材料の薄膜を配置してなる積層体を多孔質の支持体
    に固定してなることを特徴とする酸素透過用構造体。
  3. 【請求項3】上記La、Sr、GaおよびFeを含む複
    合酸化物からなるイオン導電体材料がLa0.7Sr0.3
    0.6Fe0.43-Z(式中、zは当該酸化物の電荷を中
    性にする数である)からなるイオン導電体材料であるこ
    とを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の酸素透
    過用構造体。
  4. 【請求項4】上記La、Sr、CoおよびFeを含む複
    合酸化物からなるイオン導電体材料がLa0.6Sr0.4
    0.2Fe0.83-Z(式中、zは当該酸化物の電荷を中
    性にする数である)からなるイオン導電体材料であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸素透
    過用構造体。
  5. 【請求項5】上記酸素透過用構造体が円管状に構成され
    てなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の酸素透過用構造体。
  6. 【請求項6】原料空気供給用導管、酸素欠乏空気導出用
    導管および酸素導出用導管を設けたケーシング内に、L
    a、Sr、GaおよびFeを含む複合酸化物からなるイ
    オン導電体材料の薄膜の表面にLa、Sr、Coおよび
    Feを含む複合酸化物からなるイオン導電体材料の薄膜
    を配置してなる積層体を多孔質の支持体に固定してなる
    円管状酸素透過用構造体の1個または複数個を配置して
    なることを特徴とする酸素製造装置。
  7. 【請求項7】原料空気供給用導管、酸素欠乏空気導出用
    導管および酸素導出用導管を設けたケーシング内に、L
    a、Sr、GaおよびFeを含む複合酸化物からなるイ
    オン導電体材料の薄膜の両面にLa、Sr、Coおよび
    Feを含む複合酸化物からなるイオン導電体材料の薄膜
    を配置してなる積層体を多孔質の支持体に固定してなる
    円管状酸素透過用構造体の1個または複数個を配置して
    なることを特徴とする酸素製造装置。
  8. 【請求項8】上記La、Sr、GaおよびFeを含む複
    合酸化物からなるイオン導電体材料がLa0.7Sr0.3
    0.6Fe0.43-Z(式中、zは当該酸化物の電荷を中
    性にする数である)からなるイオン導電体材料であるこ
    とを特徴とする請求項6〜7のいずれかに記載の酸素製
    造装置。
  9. 【請求項9】上記La、Sr、CoおよびFeを含む複
    合酸化物からなるイオン導電体材料がLa0.6Sr0.4
    0.2Fe0.83-Z(式中、zは当該酸化物の電荷を中
    性にする数である)からなるイオン導電体材料であるこ
    とを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の酸素製
    造装置。
  10. 【請求項10】請求項6〜9のいずれかに記載の酸素製
    造装置を用いた酸素製造システムであって、該酸素製造
    装置のケーシングに設けられた空気供給用導管に対し
    て、原料空気を、順次、原料空気供給用ブロア、熱交換
    器、空気加熱器を経て導入するとともに、酸素製造装置
    に設けられた酸素欠乏空気導出用導管からの酸素欠乏空
    気を該熱交換器に導入して原料空気を予熱するように
    し、且つ、該酸素製造装置のケーシングに設けられた酸
    素導出用導管に真空ポンプを連結してなることを特徴と
    する酸素製造システム。
  11. 【請求項11】請求項6〜9のいずれかに記載の酸素製
    造装置を用いた酸素製造システムであって、該酸素製造
    装置のケーシングに設けられた空気供給用導管に対し
    て、原料空気を、順次、原料空気供給用ブロア、バーナ
    付き熱交換器を経て導入するとともに、酸素製造装置に
    設けられた酸素欠乏空気導出用導管からの酸素欠乏空気
    を用いて燃料を該バーナで燃焼させて原料空気を加熱す
    るようにし、且つ、該酸素製造装置のケーシングに設け
    られた酸素導出用導管に真空ポンプを連結してなること
    を特徴とする酸素製造システム。
JP2001101805A 2001-03-30 2001-03-30 酸素透過用構造体及び酸素製造装置 Pending JP2002292234A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001101805A JP2002292234A (ja) 2001-03-30 2001-03-30 酸素透過用構造体及び酸素製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001101805A JP2002292234A (ja) 2001-03-30 2001-03-30 酸素透過用構造体及び酸素製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002292234A true JP2002292234A (ja) 2002-10-08

Family

ID=18955073

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001101805A Pending JP2002292234A (ja) 2001-03-30 2001-03-30 酸素透過用構造体及び酸素製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002292234A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007069090A (ja) * 2005-09-05 2007-03-22 Noritake Co Ltd 組成傾斜型酸素分離膜
JP2009195867A (ja) * 2008-02-25 2009-09-03 Noritake Co Ltd 酸素分離膜用多孔質支持体および該支持体を備える酸素分離膜エレメント
EP2098491A1 (en) 2008-02-25 2009-09-09 Noritake Co., Ltd Ceramic product and ceramic member bonding method.
US7938940B2 (en) 2006-08-03 2011-05-10 Noritake Co., Limited Support for oxygen separation membrane element and the element using the same

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007069090A (ja) * 2005-09-05 2007-03-22 Noritake Co Ltd 組成傾斜型酸素分離膜
US7938940B2 (en) 2006-08-03 2011-05-10 Noritake Co., Limited Support for oxygen separation membrane element and the element using the same
JP2009195867A (ja) * 2008-02-25 2009-09-03 Noritake Co Ltd 酸素分離膜用多孔質支持体および該支持体を備える酸素分離膜エレメント
EP2098491A1 (en) 2008-02-25 2009-09-09 Noritake Co., Ltd Ceramic product and ceramic member bonding method.
EP2218696A1 (en) 2008-02-25 2010-08-18 Noritake Co., Limited Ceramic product and ceramic member bonding method
US7968200B2 (en) 2008-02-25 2011-06-28 Noritake Co., Ltd Ceramic product and ceramic member bonding method
US8431227B2 (en) 2008-02-25 2013-04-30 Noritake Co., Ltd Ceramic product and ceramic member bonding method
EP2098491B1 (en) * 2008-02-25 2013-07-31 Noritake Co., Ltd Ceramic product and ceramic member bonding method.

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2001284479B2 (en) Ceramic/metal composite article, composite structure for transporting oxide ion, and composite article having sealing property
CA2148437C (en) Series planar design for solid electrolyte oxygen pump
KR101395977B1 (ko) 산소 이온 수송 복합막
EP0603620B1 (en) Solid electrolyte fuel cells
US8445159B2 (en) Sealed joint structure for electrochemical device
CA2466484C (en) Ceramic member with oxygen ion conductivity and use thereof
JP2006036633A (ja) 酸素分離用電気化学装置の電気絶縁性支持材料及びその製法
JP2014049248A (ja) セルスタック装置、燃料電池モジュールおよび燃料電池装置
KR100338242B1 (ko) 산소 함유 가스로부터 산소를 분리하는 방법
JP2016207630A (ja) メタルサポート固体酸化物形燃料電池およびその製造方法
ZA200301964B (en) Ceramic-metal composite body, composite structure for transporting oxide ion, and composite body having sealing property.
JP2002329511A (ja) 固体電解質型燃料電池用スタック及び固体電解質型燃料電池
JP2002292234A (ja) 酸素透過用構造体及び酸素製造装置
JP2009195865A (ja) 酸素分離材及びその製造方法
JP4933757B2 (ja) 非電子伝導性組成傾斜型固体電解質膜
WO2015152494A1 (ko) 산소 분리막
JPH1079259A (ja) 円筒型固体電解質燃料電池のセルおよびその製造方法
JPH07235316A (ja) 円筒形固体電解質燃料電池
JP4860310B2 (ja) 酸化物イオン輸送体の製造方法
JPH11121019A (ja) 電気化学セルおよび電気化学装置
US7279025B2 (en) Separation and reaction method utilizing an oxygen ion transport element
JPH07282823A (ja) 円筒型燃料電池セルの製造方法
JP4145041B2 (ja) 電気化学装置
JPH09129244A (ja) 固体電解質型燃料電池セル
JP2003036863A (ja) 固体電解質型燃料電池セル及び燃料電池