JP2002289044A - シート状配線材および多層配線材 - Google Patents

シート状配線材および多層配線材

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JP2002289044A
JP2002289044A JP2001087169A JP2001087169A JP2002289044A JP 2002289044 A JP2002289044 A JP 2002289044A JP 2001087169 A JP2001087169 A JP 2001087169A JP 2001087169 A JP2001087169 A JP 2001087169A JP 2002289044 A JP2002289044 A JP 2002289044A
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foil
sheet
conductive
wiring
plastic sheet
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JP2001087169A
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English (en)
Inventor
Koichi Ashizawa
公一 芦澤
Mitsuyuki Wasamoto
充幸 和佐本
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Nippon Foil Manufacturing Co Ltd
Furukawa Research Inc
Original Assignee
Nippon Foil Manufacturing Co Ltd
Furukawa Research Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチックシートとの接着性に優れた導電
性金属箔で導電部を構成し、特に耐屈曲性に優れたシー
ト状配線材を提供することを目的とする。 【解決手段】 少なくともプラスチックシートの片面に
2条以上の導電性箔からなる導電部を設けてなるシート
状配線材において、前記導電性箔は、表面粗さ(Rz)
が2μm以下の箔本体と、前記箔本体の片面または両面
に電解めっきで付着の平均粒径1μm以下である微細粒
子とからなり、該導電性箔と前記プラスチックシートと
はガラス転移点(Tg)が100°C以上である樹脂接
着剤により接着されていることを特徴とするシート状配
線材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラスチックシート
との接着性に優れた導電性金属箔で導電部を構成した耐
屈曲性を有するシート状配線材並びに多層配線材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用ステアリングのシャフトと自動
車本体との間に位置するクロックスプリングに使用する
シート状配線材(フラットケーブル)やシート状配線材
を複数枚積層した多層配線材等、機器間を接続するこれ
ら配線材そのものが動くような使われ方をする場合には
導電部と該導電部を絶縁するプラスチックシートとの耐
屈曲性が製品の信頼性、使用環境の過酷化における対応
等にとって重要となり、プラスチックシートと導電部を
構成する金属箔(導電性箔)との接着性が優れ、繰り返
し曲げに強いシート状配線材並びに多層配線材が要求さ
れている。
【0003】ところで、屈曲性を高めるためには、金属
箔とプラスチックシートとの接着性を高めることが必要
であるが、その方法としては、従来から様々な方法が提
案されている。その1つの方法として、金属箔の表面を
粗化して全体の表面積を大きくし、当該粗化面をプラス
チックシートに食い込ませてプラスチックシートに対す
るアンカー効果を高めることにより両者間の引き剥がし
強さを高水準で確保する方法がある。
【0004】この金属箔の表面粗化方法の1つとして、
当該金属箔の表面に、比較的大きな金属粒子を電解めっ
き法で付着せしめることにより金属箔の表面を粗化する
方法がある。この電解めっきで金属粒子を付着する方法
としては、例えば、圧延銅箔のマット面に粒径が2〜5
μmの銅粒子を付着し表面粗化する方法がある。しか
し、粒径が2〜5μmの銅粒子ではシートを繰り返し屈
曲させると粒子間が箔本体の亀裂発生個所となり、高い
屈曲性を期待することができなかった。また、箔本体が
ロープロファイルでなければ、やはり凹部で亀裂が発生
し、高い屈曲性は得られない。
【0005】このような要求を満たすためには、金属箔
とプラスチックシートとの接着面をロープロファイル
化、すなわち表面粗度を小さくすればよい。このように
ロープロファイル化により接着性を高める方法として
は、プラスチックシートとの接着性が優れている金属や
合金の微細粒子を当該金属箔の表面に電解めっき法で付
着させ、付着した微細粒子による接着表面積の拡大効果
も同時に発揮させて接着性を高める方法が知られてい
る。この方法は、例えば圧延銅箔の表面にNiとCuか
らなる合金粒子、またはこれら金属にCoを添加してな
る合金粒子を付着せしめる方法として提案されている
(特開昭52−145769号公報、特公平6−507
94号公報などを参照)。
【0006】しかし、この提案では、ロープロファイル
化により繰り返し屈曲による箔本体に亀裂の発生する機
会は少なくなるが、一方でプラスチックシートに対応す
るアンカー効果が小さくなって、接着性が低下してしま
い、プラスチックシートで被覆することにより屈曲性を
高めるという機能が失われ、結局は屈曲性を高めること
ができなっかた。
【0007】本発明者等は、先に表面に微細粒子を付着
せしめてプラスチックシートとの接着性を高めた金属箔
において、その箔本体の表面粗度は小さく、全体として
平滑な表面が実現できる金属箔を提案した(特願平20
00―359631、特願平2000―35963
3)。しかし、このような金属箔(導電性箔)を使用し
た配線材を自動車のエンジンルームのように振動が激し
く、かつ高温、高湿に晒されるような環境で使用する場
合、接着剤として従来の樹脂接着剤を選定すると、十分
な屈曲性を期待することができず、これだけでは耐屈曲
性に優れた配線材とすることはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は箔本
体の接着面をロープロファイル化すると共に微細粒子を
付与し、樹脂接着剤を選定することにより、該接着剤と
の間で高い接着力を有し、かつ,ミクロ的にも均一に接
着されることにより箔本体の亀裂発生を防止したシート
状配線材を提案し、前記したような高振動、高温、高湿
の使用環境下において例えシート状配線材が常時動いて
いても安全な信頼性に優れた耐屈曲性が得られるシート
状配線材を提供し、このようなシート状配線材を複数枚
積層した多層配線材をも提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、請求項1の発明は、少なくともプラスチックシ
ートの片面に2条以上の導電性箔からなる導電部を設け
てなるシート状配線材において、前記導電性箔は、表面
粗さ(Rz)が2μm以下の箔本体と、前記箔本体の片
面または両面に電解めっきで付着せしめられた平均粒径
が1μm以下である微細粒子とからなり、該導電性箔と
前記プラスチックシートとはガラス転移点(Tg)が1
00°C以上である樹脂接着剤により接着されているこ
とを特徴とするシート状配線材である。
【0010】請求項2の発明は、少なくともプラスチッ
クシートの片面に2条以上の導電性箔からなる導電部を
設けてなるシート状配線材において、前記導電性箔の片
面または両面には平均粒径が2μm以下の微細な結晶粒
の集合組織からなる少なくとも1層のめっき層が形成さ
れており、該めっき層の上に電解めっきで付着の平均粒
径1μm以下の微細粒子が付着されており、この導電性
箔と前記プラスチックシートとはガラス転移点(Tg)
が100°C以上である樹脂接着剤により接着されてい
ることを特徴とするシート状配線材である。
【0011】請求項3の発明は請求項1または2に記載
の配線材を複数枚積層し、必要とする配線材間を接着し
てなることを特徴とする多層配線材である。
【0012】請求項4の発明は、請求項1に記載の配線
材と、請求項2に記載の配線材をそれぞれ1乃至複数枚
積層し、必要とする配線材間を接着してなることを特徴
とする多層配線材である。
【0013】請求項1乃至4において前記微細粒子は、
その平均粒径が1μm以下であるCu、Ni、Co、の
なかから選ばれた2元素以上の合金からなる粒子、また
は、該粒子と、V、Mo、およびWの群から選ばれる少
なくとも1種の元素の酸化物粒子との混合物で構成する
とよい。
【0014】また、前記導電部はエッチングにより構成
するとよい。導電部をエッチングするにさいし、導電部
に樹脂接着剤を塗布し、エッチング終了後前記接着剤を
介してプラスチックシートを接着するようにするとより
効率的であり好ましい。
【0015】更に、前記導電性箔本体は、表面に平均粒
径2μm以下の結晶粒が表出している電解銅箔、圧延銅
箔、または圧延銅合金箔であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のシート状配線材の実施形
態を図1に示す。図1において、1は導電性箔で、該導
電性箔1は箔本体2と、該箔本体2の少なくとも片面に
電解めっきで付着の微細粒子3とからなっている。4は
この微細粒子3側に接着したプラスチックシートで、図
示するように、プラスチックシート4と前記微細粒子3
を表面に設けた導電性箔1とがTg(ガラス転移点)1
00°C以上の樹脂接着剤5により接着されてシート状
配線材が構成されている。
【0017】上述したように、図1は微細粒子3を箔本
体2の両面に付着させた導電性箔1を2条、プラスチッ
クシート4、4で被覆し、これらの接触面をTg100
°C以上の樹脂接着剤5により接着して配線材とした第
1の実施形態である。
【0018】一方、図2は、金属箔1の片面に微細粒子
3を付着せしめ、該面にプラスチックシート4を接着
し、導電性箔1をエッチングして配線パターンを形成せ
しめたシート状配線材の第2の実施形態である。なお、
導電性箔の条数は2条に限らず、配線に必要な条数でシ
ート状配線材を構成することができる。
【0019】図3は本発明の第3の実施形態を示すもの
で、図1または図2に示すシート状配線材を複数枚(図
3では4枚)積層して多層配線材としたものである。積
層する方法は例えば図2に示すシート状配線材を4枚、
導電性箔2の両面に微細粒子を設けてその片面にプラス
チックシート4を接着して構成し、該配線材の露出して
いる箔の面に他の配線材のプラスチックシート面を樹脂
接着剤で接着して積層することにより接着性に優れ、耐
屈曲性に優れた多層配線材が構成できる。
【0020】また、図1に示す両面にプラスチックシー
ト4を設けた配線材を積層するには、プラスチック同士
を接着する接着剤が数多く開発されているので、目的に
合った接着剤を任意に選定して張り合わせることにより
多層化することができる。なお、図1に示す導電性箔1
が連続長の配線材と図2に示す回路パターンを構成した
配線材とを任意に積層して多層配線材とすることも可能
である。
【0021】前記導電性箔1において、箔本体2の構成
材料は導電性であれば格別限定されるものではなく、例
えば、Ni、Fe、Sn、Ag、Cu、Ti、Alなど
の金属単体、またはこれら金属単体に他の金属を適量含
有せしめた合金;真ちゅう、ステンレス鋼などの合金;
Cu−Sn、Cu−Sn−Zn−Cr、Cu−Zn−N
i、Cu−Zn−Ni−Ag、Cu−Zr、Cu−Fe
−Sn−Zn、Cu−Sn−Cr、Cu−Fe−Pなど
の銅合金をあげることができるが、実際の使用時には、
配線材が要求する導電率、機械強度等使用目的との関係
を勘案して最適な箔本体を適宜選定する。
【0022】例えば使用目的が自動車用の配線材である
場合には、箔本体2として銅箔または銅合金箔が適して
おり、電解銅箔、圧延銅箔、または圧延銅合金箔のいず
れであってもよい。
【0023】箔本体2の厚みは格別限定されるものでは
なく、電気的導通に耐えることができ、可撓性を損なわ
ない厚みであればよい。通常は3〜100μm程度であ
ればよく、それ以上の厚みの材料、いわゆる板または条
であっても本発明に使用することができる。
【0024】上記した箔本体2の表面に付着せしめられ
る微細粒子3は箔本体2への電解めっきによって形成す
る。微細粒子3は、箔本体2の表面に表出している結晶
粒の結晶粒界に選択的に析出し始め、そしてその粒界に
ツリー状に成長する。従って、箔本体に表出している結
晶粒を微細にして単位面積当たりに存在する結晶粒界の
数を多くし、電解めっき時に箔本体2の単位面積当たり
に付着(析出)する微細粒子の量を多くする必要があ
る。
【0025】本発明にあっては、箔本体2の表面に表出
している結晶粒の平均粒径を2μm以下とする。箔本体
の表面の結晶粒が2μmより大きい場合には先ず箔本体
の表面に2μm以下の微細な結晶粒の集合組織をめっき
により形成する。めっきは1層で足りない場合には複数
層設け、2μm以下の微細結晶粒を均一に形成してお
く。単位面積当たりの結晶粒界の数が多くなれば箔本体
表面への微細粒子の付着割合も多くなり、付着粒子が偏
在することなく均一に付着するため、プラスチックシー
トとの接着力を向上させ、更にミクロ的に均一な接着性
を実現することができるからである。
【0026】また、シート状配線材として、該配線材自
身が動くような場合には配線材の耐屈曲性が要求され
る。ところで導電性箔自体の耐屈曲性は極めて小さい。
しかし、該箔をプラスチックシートで被覆することによ
り耐屈曲性は飛躍的に向上する。しかし、耐屈曲性の飛
躍的な向上も導電性箔とプラスチックシートとの接着力
に大きく作用される。また、導電性箔表面の粗面化率に
も影響される。
【0027】耐屈曲性について問題となるのは箔の破壊
である。配線材の屈曲による破壊の現象を観察すると、
箔表面の凹凸の凹部からミクロ亀裂が発生し、この亀裂
が成長して箔が破断(破壊)することが確認されてい
る。即ち、箔が破断する大きな原因は箔の表面の凹凸の
大きさに起因している。箔表面の粗度が大きいとその凹
部がミクロ亀裂の発端となり箔破断の原因となるため、
粗度は小さいほうが好ましく、箔とプラスチックシート
との接着力を合わせ勘案すると、上述したようにRzで
2μm以下とすることが好ましい。
【0028】なお、箔本体表面に表出している結晶粒
は、その粒界に微細粒子を析出させる。また、得られた
金属箔のプラスチックシートへの接着表面積の拡大効果
をあげるために、その平均粒径は一般に微細粒子のそれ
よりも大きく設定することから、平均粒径はプラスチッ
クシートとの接着性、ファインな回路パターンの形成、
耐屈曲性の関係から2μm以下とし、箔本体の製箔条件
にも規制されるが、結晶粒の平均粒径の下限値は0.0
1μm程度である。
【0029】本明細書において、上記した箔本体の結晶
粒の平均粒径とは、まず結晶粒が形成されている表面の
写真を透過型電子顕微鏡で撮影し、その写真における結
晶粒の面積を10点以上実測し、その結晶粒を実測面積
を有する真円にしたときの直径を計算して求めた値であ
る。
【0030】本発明において、箔本体の表面に付着する
微細粒子は、まず第1に、微細粒子の平均粒径は1μm
以下とする。平均粒径が1μmより大きい場合には、箔
本体に微細粒子を付着せしめても、得られた金属箔の接
着表面積の拡大効果が小さく、そのため、プラスチック
シートとの接着性も充分向上しないとともに、接着粒子
の分散が不充分でミクロ的接着性の均一化ができなくな
る。その結果、ミクロ的接着力の弱い個所で箔本体の亀
裂が生じ易くなり、屈曲寿命が小さくなるからである。
【0031】なお、ここでいう微細粒子の平均粒径と
は、走査型電子顕微鏡で粒径を10点以上測定し、該1
0点以上の実測値の平均値である。
【0032】微細粒子としてはCu、NiまたはCoの
なかから選ばれた2元素以上の合金粒子またはCu−N
i合金粒子やCu−Co合金粒子を採用することが好ま
しく、NiまたはCoは、それ自体としてもプラスチッ
クシートに対して高い接着性を示すので、特に好適であ
る。この場合、Cuの箔本体への存在量(付着量)が絶
対量で4〜20mg/dm2であり、NiまたはCoの存在
量(付着量)がCu1mg/dm2に対し0.1〜3mg/dm2
であるCu−Ni合金粒子またはCu−Co合金粒子は
非常に高い接着性を示し好適である。
【0033】また、Cu−Ni合金粒子またはCu−C
o合金粒子とV2O5粒子との混合物、Cu−Ni合金粒
子またはCu−Co合金粒子とMoO3粒子との混合
物、Cu−Ni合金粒子またはCu−Co合金粒子とW
O3粒子との混合物などをあげることができる。これら
の合金粒子と酸化物粒子との混合物は、前記したNi成
分またはCo成分の働きも作用してプラスチックシート
との接着性を高める点で好適である。
【0034】本発明の箔本体として、銅箔には圧延銅箔
または圧延銅合金箔を用いることができる。この圧延銅
箔または圧延銅合金箔は、表面の結晶粒が大きい。具体
的には2μmより大きくなっているのが通例である。そ
のため、この表面に直接、微細粒子を付着してもその付
着状態は局部的に偏在して高い接着性をうることは実現
し難い。特に、圧延銅合金箔を用いる場合には実現困難
である。そのため、箔本体として圧延銅箔または圧延銅
合金箔を用いる場合には、当該圧延銅箔または圧延銅合
金箔の表面に一旦銅めっきを行い、そのときのめっき条
件を制御することにより、微細な結晶粒からなる集合組
織を銅めっき層で形成し、その上に微細粒子を付着せし
めるとよい。
【0035】本発明の導電部を構成する箔本体として例
えば特開平9−143785号公報に記載されているよ
うに、銅の析出面の粗度がドラム側の表面(所謂光沢
面)の粗度と同等かそれよりも小さい値になっている電
解銅箔は一般的な電解銅箔と異なり、その表面に表出す
る結晶粒を微細にすることができることから、このよう
な電解銅箔を使用すれば表面への微細粒子の付着は、箔
本体に直接電気めっきすることにより付着することがで
きる。
【0036】本発明における配線材は主として環境条件
の悪い例えば周囲温度が高く湿度も高い自動車関連部品
に組み込まれ、或いは常に駆動される等の悪条件下で使
用される。このような悪条件下では単に箔本体と接着剤
との間の接着性を向上させただけでは上述の高信頼性を
うることは不可能である。即ち、配線材の寿命はプラス
チックシートと金属箔とを接着する樹脂接着剤の弾性率
に大きく係わってくる。樹脂接着剤の弾性率は温度が高
くなると低下する傾向にある。樹脂接着剤の弾性率と温
度との変化曲線は該接着剤のTg(ガラス転移点)を指
標とすることができる。
【0037】そこで、種々の接着剤につき弾性率とTg
との関係を調査した結果、Tgが100°C以上の樹脂
接着剤を使用することにより高温下でも弾性率の低下は
少なく、プラスチックシートと導電性箔との接着力が落
ちないことを確認した。以上のように、箔本体と接着剤
との間の接着性と上記のように接着剤のTgの選定を行
うことによってはじめて高耐屈曲性で高信頼性のシート
状配線材を実現することができたのである。
【0038】次に、図2に示すシート状配線材の配線パ
ターンを構成するには、プラスチックシート4上に微細
粒子3を付着した導電性箔1をTg100°C以上の樹
脂接着剤5により接着し、該導電性箔1にフォトレジス
トやドライフィルムを塗布し、印刷パターンフィルムを
通して露光・感光し、次いで塗布したフォトレジストや
ドライフィルムを溶解し、エッチングにより回路以外の
導電性箔を溶解除去した後、残ったフォトレジストやド
ライフィルムを剥離除去して任意の配線パターンを有す
るシート状配線材とする。
【0039】かかるシート状配線材を形成するにあた
り、前記フォトレジストやドライフィルムの代わりに樹
脂接着剤を使用すると、エッチング後のフォトレジスト
やドライフィルムの引き剥がし作業が省略でき、そのま
ま樹脂接着剤を介してカバーフィルム(プラスチックシ
ート4)を接着できるので材料費、加工費共に大幅に低
減できる。特に、両面に微細粒子を付着した導電性箔に
フォトレジストやドライフィルムを塗布した場合には、
導電性箔とフォトレジストやドライフィルムとの接着力
が強く、剥がすのが極めて困難であるが、樹脂接着剤を
フォトレジストやドライフィルムとして使用することに
より、この問題は解決する。
【0040】上述のようにして形成したシート状配線材
にランド部を形成する必要があるときは、プラスチック
シートの所要位置に穴加工を行い、導電部を露出させれ
ばよい。また、金属箔表面に設けた微細粒子を除去した
い場合は金属箔露出部を研磨し、或いはエッチングする
ことにより除去することができ、微細粒子を除去した後
の耐蝕性を高めるために該部に部分めっきをすることも
可能である。
【0041】以下に、箔本体の表面に微細粒子を付着す
る電解めっきにつき実施例で説明する。
【実施例】実施例1 縦500mm、幅30mm、厚み35μm、表面粗さRzが
0.7μmの寸法形状を有する圧延銅箔を100枚用意
し、これらの箔本体を5重量%の硫酸に1分間浸漬して
表面の酸化皮膜を除去したのち充分に水洗した。つい
で、各圧延銅箔の両面に、下記の条件で電解めっきを行
い、Cu−Ni合金粒子を付着させた。付着した粒子の
平均粒径は0.3μmであった。
【0042】めっき浴の組成:硫酸銅(Cu金属とし
て)5g/dm3、硫酸ニッケル(Ni金属として)12
g/dm3、pH3.5、電流密度:10A/dm2、通電時
間:4秒、浴温:40°C。
【0043】次に、縦510mm、幅35mm、厚さ5
0μmのポリエチレンテレフタレート(PET)のシー
トを用意し、該シートの1面にTgが120°Cのエポ
キシ系接着剤を20μmの厚さに塗布し、上記電解処理
した圧延銅箔を張り合わせ接着した。このようにしてP
ETに接着した銅箔の露出面に導電部を形成するための
パターン印刷を行った。パターンは線幅1.5mm、線
間隔は1.0mmで10本とした。また、印刷インクは
前記したエポキシ系樹脂接着剤を使用し、インク塗布の
厚さを10μmとした。インクが完全硬化した後、1m
ol/dm3塩化第二鉄+0.1mol/dm3塩酸の
エッチング液(40°C)でエッチングし、導電部を形
成した。
【0044】次いで、他のPETシートに前記したエポ
キシ系樹脂接着剤を20μm塗布して前記エッチングに
より形成した導電部に前記インクを除去することなく張
り合わせ、接着してシート状配線材を100枚完成し
た。このシート状配線材につき耐屈曲性評価をIPC試
験装置により行った。評価環境は70°C、屈曲曲率半
径5mmとし、シート状配線材が破壊するまで繰り返
し、その回数を測定した。測定結果の平均値を表1に示
す。
【0045】実施例2 実施例1の圧延銅箔に以下に示す電解条件で微細結晶化
電解めっきを施し、表面に0.3μmの微細結晶粒の集
合組織を形成し、実施例1と同一条件でシート状配線材
を作成し、耐屈曲性評価を実施した。結果を表1に併記
する。 めっき浴の組成:硫酸銅(Cu金属として)28g/dm
3、硫酸ニッケル(Ni金属として)180g/dm3、微
細結晶化付与剤としてトップルチナH−300(商品
名、奥野製薬株式会社製)1vol%,濃硫酸0.01
4vol%、電流密度:3.0A/dm2、通電時間:2
7秒、浴温:25°C。
【0046】実施例3 箔表面に設ける粒子をCu−Coとした他は実施例2と
同一条件でシート状配線材を作成した。粒子の付与条件
は次のとおりである。 めっき浴の組成:硫酸銅(Cu金属として)5g/dm
3、硫酸コバルト(Co金属として)12g/dm3、pH
3.5、電流密度:10A/dm2、通電時間:3秒、浴温
40℃。
【0047】実施例4 箔表面に設ける粒子をCu−Ni−Vとした他は実施例
2と同一条件でシート状配線材を作成した。粒子の付与
条件は次のとおりである。 めっき浴の組成:硫酸銅(Cu金属として)5g/dm
3、硫酸ニッケル(Ni金属として)12g/dm3、メタ
バナジン酸アンモニウム(V金属として)1.0g/dm
3、pH3.5、電流密度:10A/dm2、通電時間:3
秒、浴温:40°C。
【0048】実施例5 箔表面に設ける粒子をCu−Co−Moとした他は実施
例2と同一条件でシート状配線材を作成した。粒子の付
与条件は次のとおりである。 めっき浴の組成:硫酸銅(Cu金属として)5g/dm
3、硫酸コバルト(Co金属として)12g/dm3、モリ
ブデン酸アンモニウム(Mo金属として)1.0g/dm
3、pH3.5、電流密度:10A/dm2、通電時間:3
秒、浴温40℃。
【0049】実施例6 箔表面に設ける粒子をCu−Ni−Wとした他は実施例
2と同一条件でシート状配線材を作成した。粒子の付与
条件は次のとおりである めっき浴の組成:硫酸銅(Cu金属として)5g/dm
3、硫酸ニッケル(Ni金属として)12g/dm3、タン
グステン酸アンモニウム(W金属として)1.0g/dm
3、pH3.5、電流密度:10A/dm2、通電時間:3
秒、浴温:40℃。
【0050】実施例7 次に圧延銅箔の代わりに表面粗さRzが1.5μmの電
解銅箔を用い、実施例1と全く同一の条件でシート状配
線材を作成した。実施例3〜7についても実施例1と同
じ耐屈曲性評価を行い、その結果を表1に併記した。
【0051】比較例1 箔の表面粗さRzが4.5μmの電解銅箔を使用した以
外は実施例1と同一の条件でシート状配線材を作成し
た。
【0052】比較例2 粒子を銅のみの組成として平均粒径を5μmとした以外
は実施例1と同一の条件でシート状配線材を作成した。
【0053】比較例3 エポキシ系接着剤のTgが65°Cの接着剤を使用した
以外は実施例1と同一の条件でシート状配線材を作成し
た。比較例1〜3で作成したシート状配線材についても
耐屈曲性の評価を行い、その結果を表1に併記した。
【0054】
【表1】
【0055】表1から明らかなように、実施例1は箔表
面の結晶粒径が少々大きいために屈曲回数はやや落ちる
が、比較例に比べると3倍以上の屈曲強度を示してい
る。実施例2乃至7は箔表面の結晶粒径が細かく、従っ
て微細粒子が均一に付与されて屈曲性は比較例に比べて
8から10倍向上している。比較例1は箔の表面の粗さ
Rzが大きいために、比較例2は付与した微細結晶粒子
の平均粒径が大きいために、比較例3は接着剤のTgが
低いために、いずれも屈曲強度が満足するものではなか
った。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のシート状
配線材は、導電部となる箔本体の表面に微細粒子を付着
せしめ、該箔を樹脂接着剤によりプラスチックシートに
貼り付けたので、両者の接着性が良好となり、耐屈曲性
が要求されるような場所に使用されても高い信頼性を持
って採用でき、屈曲性能も頗る増大する。また、プラス
チックシートと箔との接着力が強いので屈曲半径の小径
化が可能となり、機器の小型化、配線数の増大化が可能
となる。更に、Tgが100°以上の接着剤の使用によ
り周囲環境の過酷化にも対処できる等の優れた効果があ
る。
【0057】本発明の配線材の配線パターンをプリント
回路とする場合には、微細粒子の粒径を1μm以下にす
るので、回路パターンをエッチングしたときに、その回
路パターンをファイン化することができ実装密度を向上
させる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す模式図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 導電性箔 2 箔本体 3 微細粒子 4 プラスチックシート 5 樹脂接着剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/38 H05K 3/38 E 3/46 3/46 G // H01B 13/00 525 H01B 13/00 525D Fターム(参考) 4F100 AA17B AA17C AB15B AB15C AB16B AB16C AB17 AB17B AB17C AB31B AB31C AB33 AB33B AB33C AK01A AK01D AK01E AK01G AK42 AK53G AT00A BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA10B BA10C BA13 CB00 CB00D CB00E DC21B DC21C DD07B DD07C DE01B DE01C EC18 EH71 EH71B EH71C EJ15B EJ15C EJ64 GB32 GB41 JA05D JA05E JA05G JG01B JG01C JK04 JK06 JL11 YY00B YY00C YY00D YY00E YY00G 5E339 AA02 AB02 AD01 AD03 AD05 BC02 BE11 GG01 5E343 AA02 AA12 AA33 AA36 BB24 BB67 BB71 BB78 CC01 DD43 DD71 EE42 GG02 GG04 5E346 AA12 AA15 AA22 AA32 CC32 CC41 DD03 EE12 EE13 EE18 EE19 EE38 EE44 GG17 GG22 GG27 GG28 HH11 5G311 CA04 CA05 CB05 CC05 CD01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともプラスチックシートの片面に
    2条以上の導電性箔からなる導電部を設けてなるシート
    状配線材において、前記導電性箔は、表面粗さ(Rz)
    が2μm以下の箔本体と、前記箔本体の片面または両面
    に電解めっきで付着の平均粒径1μm以下である微細粒
    子とからなり、該導電性箔と前記プラスチックシートと
    はガラス転移点(Tg)が100°C以上である樹脂接
    着剤により接着されていることを特徴とするシート状配
    線材。
  2. 【請求項2】 少なくともプラスチックシートの片面に
    2条以上の導電性箔からなる導電部を設けてなるシート
    状配線材において、前記導電性箔の片面または両面には
    平均粒径が2μm以下の微細な結晶粒の集合組織からな
    る少なくとも1層のめっき層が形成されており、該めっ
    き層の上に電解めっきで付着の平均粒径1μm以下の微
    細粒子が付着されており、この導電性箔と前記プラスチ
    ックシートとはガラス転移点(Tg)が100°C以上
    である樹脂接着剤により接着されていることを特徴とす
    るシート状配線材。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の配線材を複数
    枚積層し、必要とする配線材間を接着してなることを特
    徴とする多層配線材。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の配線材と、請求項2に
    記載の配線材をそれぞれ1乃至複数枚積層し、必要とす
    る配線材間を接着してなることを特徴とする多層配線
    材。
  5. 【請求項5】 請求項1または2において、前記微細粒
    子はその平均粒径が1μm以下であるCu、Ni、C
    o、のなかから選ばれた2元素以上の合金からなる粒
    子、または、該粒子と、V、Mo、およびWの群から選
    ばれる少なくとも1種の元素の酸化物粒子との混合物で
    あることを特徴とするシート状配線材。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかにおいて、導
    電部をエッチングにより構成したことを特徴とするシー
    ト状配線材。
  7. 【請求項7】 請求項6において、導電部をエッチング
    するにさいし、導電部に樹脂接着剤を塗布し、エッチン
    グ終了後前記接着剤を介してプラスチックシートを接着
    してなることを特徴とするシート状配線材。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至4のいずれかにおいて、導
    電部をエッチングにより構成したことを特徴とする多層
    配線材。
  9. 【請求項9】 請求項6において、導電部をエッチング
    するにさいし、導電部に樹脂接着剤を塗布し、エッチン
    グ終了後前記接着剤を介してプラスチックシートを接着
    してなることを特徴とする多層配線材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007503694A (ja) * 2003-08-26 2007-02-22 メソード・エレクトロニクス・インコーポレーテッド クロックスプリング用可撓性フラットケーブル終端構造体
CN108172325A (zh) * 2016-12-07 2018-06-15 长濑化成株式会社 粗面导电体和生物体传感器件

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