JP2002288308A - 設備劣化診断方法及び設備劣化診断システム - Google Patents

設備劣化診断方法及び設備劣化診断システム

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JP2002288308A
JP2002288308A JP2001398043A JP2001398043A JP2002288308A JP 2002288308 A JP2002288308 A JP 2002288308A JP 2001398043 A JP2001398043 A JP 2001398043A JP 2001398043 A JP2001398043 A JP 2001398043A JP 2002288308 A JP2002288308 A JP 2002288308A
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Takeshi Abe
健 安部
Kiyoto Inomata
清人 猪俣
Atsushi Fukuoka
敦 福岡
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Tokyo Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】設備の余寿命を高精度に予測することができ、
且つ、低コストの設備劣化診断方法を提供することにあ
る。 【解決手段】診断対象設備の測定データの履歴や設備の
属性データなどの大量のデータを取得し、それを効率的
に管理・処理することにより精度の高い劣化診断方法が
提供される。そのために、上記大量のデータを一元的に
管理・処理するサーバが用意され、診断対象の設備の現
場に持ち込まれる測定装置は、通信ネットワークを介し
てサーバと接続し、測定データをサーバに送信するとと
もに、サーバから診断結果を受信する。このように、通
信ネットワークを利用することにより、診断作業の際
に、リアルタイムで診断結果を得ることができ、診断作
業の簡素化が図られるので、低コスト化が実現される。
また、好ましくは、測定データの信頼性の有無をサーバ
によってリアルタイムで判定しながら診断作業が行われ
る。これにより、測定ミスをなくすことができ、必要な
測定データを確実に得ることができるので、精度の高い
劣化診断を実現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、設備劣化診断方法
及びシステムに係り、特に、通信ネットワーク技術を利
用する設備劣化診断方法及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】建築物(例えばマンション)やその付帯
設備に対する従来の設備劣化診断業務は、建築物所有者
(マンションの住人又は管理組合など)(以下、ユーザ
という)による設備改修、更新の必要性の判断を補助す
るために、設備業者が営業活動の一環として自社診断あ
るいは診断委託という形式で行われている。従って、ユ
ーザは、設備業者の営業活動の一部である設備劣化診断
の結果に対して、十分な信頼感を持っておらず、また、
その診断コストに対しても割高な印象を持っている場合
が多い。また、設備業者が第三者的な診断会社に診断業
務を委託する場合がある。このような場合であっても、
診断会社にとっては設備業者が顧客となるため、そのよ
うな診断会社による診断結果によって、ユーザに信頼感
を与えることも困難である。
【0003】一方、設備業者は、診断業務によって利益
を確保するというよりも、設備の改修、更新によって期
待できる利益を確保するためのコストセンターとして診
断業務を捉えている場合が多い。従って、設備業者は、
営業手段として診断業務そのものの必要性に関して肯定
的に認めていても、新規技術の導入や人員の増強など投
資を必要とする行動までには至らないのが現状である。
結果として、ユーザのニーズの満足度を向上する方向へ
の診断業務の進展はほとんどなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、診断業務を
サービスと捉えた場合、サービスへの対価を支払うユー
ザの究極のニーズは、保有する設備の維持(改修+診断)
にかかるコスト(設備維持コスト)の最小化である。この
ニーズに対して、ユーザは、現在、次の2つのオプショ
ンを選択することができる。即ち、 (A)費用のかかる診断を行わずに、安全率を見込んで
定期的に設備の改修を行う。 (B)定期的に診断を行って、設備の寿命を判断し、寿
命が来るまで設備を改修しないことによって改修間隔を
延ばす。
【0005】この2つのオプションのうちのいずれを選
択するかの判断は、診断にどの程度費用がかかるか、及
びその診断による改修時期の繰り延べ効果によって異な
る。例えば、診断を行わずに一定期間で改修を行ってい
た設備について、診断を導入することによって改修間隔
を長くすることができると仮定する。この場合、改修間
隔を従来の間隔と比較してどの程度長くすることができ
るかによって診断に投入できるコスト(限界診断費用)
が定まる。
【0006】限界診断費用Cは、理想モデルとして次式
で与えられる。
【0007】 限界診断費用C(円/年)=(n−1)r/T ・・・(1) n:診断によって延びる改修間隔の従来間隔との比 r:改修費用(円) T:改修間隔(年) (1)式において、n=1の場合、即ち、診断によって
も改修間隔が延びない場合、限界診断費用C=0とな
り、診断を行うことは無意味である。
【0008】また、(1)式においてn=1.5の場合、
即ち、診断によって改修間隔が1.5倍に延びる場合、限
界診断費用C=0.5r/Tとなる。従って、診断費用が、償
却費用(r/T)の半分未満であれば、診断を行うことに
より設備維持コストを下がるので、診断を行う効果が生
じる。
【0009】さらに、(1)式において、n=2の場
合、即ち、診断によって改修間隔が2倍に延びる場合、
限界診断費用C=r/Tとなる。この場合、診断費用が償
却費用(r/T)であれば、診断を行うことにより設備維
持コストを下がるので、診断を行う効果が生じる。
【0010】このように、(1)式で与えられる限界診
断費用C未満で診断を提供することができれば、ユーザ
にとって診断を行う利益が生じる。従って、改修の間に
行われる診断の総費用をできるだけ下げることで、診断
を行わずに定期的に改修を行う場合より、診断を行っ
て、改修間隔を延長する場合の方が設備維持コストを下
げられる可能性が大きくなる。診断の総費用を下げるに
は、1回の診断費用を安くすることに加えて、改修の間
の診断の回数を減らす、即ち診断間隔をできるだけ長く
することが必要となる。
【0011】そして、診断間隔を長くするには、診断に
よって予測される設備の余寿命をできるだけ長くするた
めに、診断による設備の余寿命予測の精度を高めること
が要求される。
【0012】従って、本発明の目的は、設備の余寿命を
高精度に予測することができ、且つ、低コストの設備劣
化診断方法及び設備劣化診断システムを提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、診断対象設備の測定データの履歴
や設備の属性データなどの大量のデータを取得し、それ
を効率的に管理・処理することにより精度の高い劣化診
断方法が提供される。
【0014】そのために、上記大量のデータを一元的に
管理・処理するサーバが用意され、診断対象の設備の現
場に持ち込まれる測定装置は、通信ネットワークを介し
てサーバと接続し、測定データをサーバに送信するとと
もに、サーバから診断結果を受信する。このように、通
信ネットワークを利用することにより、診断作業の際
に、リアルタイムで診断結果を得ることができ、診断作
業の簡素化が図られるので、低コスト化が実現される。
【0015】また、測定データの信頼性の有無をサーバ
によってリアルタイムで判定しながら診断作業が行われ
ることが好ましい。これにより、測定ミスをなくすこと
ができ、必要な測定データを確実に得ることができるの
で、精度の高い劣化診断を実現することができる。
【0016】好ましくは、上記目的を達成するための本
発明の設備劣化診断方法は、診断対象の設備を測定装置
で測定して、該診断対象設備の劣化に関する測定データ
を取得するステップと、測定データを測定装置から通信
回線を介してサーバに送信するステップと、サーバにお
いて、受信した測定データを処理し、診断対象設備の劣
化診断を実行するステップと、診断結果を提供するステ
ップとを備えることを特徴とする。
【0017】好ましくは、上記本発明は、さらに、サー
バにおいて、受信した測定データの信頼性を判定するス
テップと、判定結果を通信回線を介して測定装置に送信
するステップとを備えることを特徴とする。
【0018】また、上記本発明は、測定データをサーバ
に蓄積するステップを備え、実行ステップは、測定時期
の異なる測定データの比較に基づいて、診断対象設備の
余寿命を予測することを特徴とする。また、上記本発明
は、診断対象設備の属性データをサーバに蓄積するステ
ップを備え、実行ステップは、測定時期の異なる測定デ
ータの比較、及び属性データに基づいて、診断対象設備
の余寿命を予測することを特徴とする。
【0019】また、上記本発明は、診断対象設備の属性
データをサーバに蓄積するステップを備え、実行ステッ
プは、属性データに基づいて診断対象設備の余寿命を予
測することを特徴とする。
【0020】また、上記目的を達成するための本発明の
設備劣化診断システムは、診断対象の設備を測定して、
診断対象設備の劣化に関する測定データを取得する測定
装置と、測定装置と通信回線を介して接続するサーバと
を備え、測定装置は、測定データを前記サーバに送信
し、サーバは、受信した測定データを処理し、診断対象
設備の劣化診断を実行することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲が、本
実施の形態に限定されるものではない。
【0022】本実施の形態では、ネットワークを利用し
た設備劣化診断方法が提供される。本実施の形態では、
まず、本発明の設備劣化診断方法における設備の余寿命
を高精度に予測する方法について、以下に説明する。
【0023】図1は、余寿命予測とその精度との関係を
示す図である。一般に、診断における余寿命は、次の2
つのパターンに高精度に予測できると考えられる。 (a)設備の劣化がひどく、かなり短期間で致命的な問
題の発生が予想される場合(極端な場合として、配管に
既に穴があいていた場合は、余寿命ゼロという判断をほ
ぼ100%の精度で推定できる) (b)設備の劣化がほとんど認められず、当分は大丈夫
と思われる場合、(例えば、全く劣化が見られなけれ
ば、ほぼ新築の状態であるから数年は大丈夫であること
を高精度に推定できる) そして、上記2つのパターンの中間(そこそこに劣化が
認められる)場合には、余寿命予測の精度を高くするこ
とは困難であると考えられる。なぜならば、劣化がどの
程度の速度で改修を必要とする程度まで進行するかは、
建築物の周囲の環境要因と複雑に関連しあうと考えられ
るからである。
【0024】従って、余寿命予測の精度は、概念的に、
図1に示すようなバスタブ状の特性に従うものと想定す
ることができる。図1において、期間TSは、その精度
が上記パターン(a)により許容レベル(th)以上となる
寿命の最長値であり、期間T Lは、その精度が上記パタ
ーン(b)により許容レベル(th)以上となる寿命の最短
値である。以下、期間TSまでの余寿命を短期余寿命、
期間TL以降の余寿命を長期余寿命という。
【0025】図2は、改修間の診断間隔を説明するため
の図である。まず、図1のパターン(b)の領域の余寿
命が予測される場合、その予測寿命は、許容レベル(th)
以上の精度(信頼度)を有しているので、次の診断は、
期間TL後に行えばよい。診断間隔をそれより短い期間
に設定しても、診断費用の上昇を招くだけである。従っ
て、改修間のうちの早い時期の診断間隔は、期間TL
十分足りる。
【0026】一方、予測される余寿命が期間TLを下回
る場合、その予測精度は許容レベル以下であるので、診
断間隔を狭くして頻繁に診断する必要がある。その診断
頻度は、結局、予測精度が許容レベルth以上となるパタ
ーン(a)の領域における期間TSの間隔となる。なぜ
ならば、期間TLとTSの中間の余寿命が予測されても、
その予測寿命を信用することができないからである。
【0027】このように、改修間に診断を行う場合であ
っても、従来のように、定期的に行うのではなく、予測
寿命の信頼性(精度)に基づいて、診断間隔を調節する
ことにより、診断精度を落とすことなく、診断間隔の最
適化を図ることができる。そして、このとき、期間TS
及びTLをできるだけ長くすることにより、診断回数を
より少なくすることができる。そのためには、期間TS
及びTLが長くなるように予測寿命の精度を向上させる
必要がある。
【0028】図3は、予測寿命の精度の向上パターンを
説明する図である。改修間の診断回数をより減らすに
は、図3(a)に示されるように、従来の予測寿命の精
度と比較して、期間TSとTLが長くなるように予測精度
が向上する必要がある。一方、図3(b)に示されるよ
うに、期間TSとTLの長さは変化せずに、その中間の期
間の精度が向上するようなパターンは、診断回数の低減
に寄与しない。なぜならば、その精度は、依然として許
容レベルth未満であり、信用できないからである。この
ように、予測寿命の精度の向上を目指す場合、期間TS
に基づく短期の余寿命予測の精度向上と、期間TLに基
づいた長期の余寿命予測の精度向上が不可欠である。
【0029】そこで、次に、短期の余寿命予測の精度を
向上する方法及び長期の余寿命予測の精度を向上する方
法について説明する。
【0030】[短期余寿命予測精度の向上]設備の劣化
が、既にある程度進行している場合、上述のように、短
期余寿命を予測する。短期余寿命は劣化の状況及び進行
速度によって推定することができる。この場合、一回の
診断では、劣化の状況を判断することができても、劣化
の進行速度は推定できない。劣化の進行速度の推定に
は、同一箇所に対する診断履歴が必要となる。従って、
同一箇所の診断履歴を有効に利用するには、診断により
得られる測定データに加えて、以下の情報を管理する必
要がある。
【0031】1.測定データが建築物のどの場所(測定
現場)のデータであるかの情報(例えば、建築物の1階
に設けられたパイプシャフト) 2.各測定現場の正確な位置情報(例えば、パイプシャ
フトのエルボ部分から10cm〜1mの区間) 3.測定における設定条件などの情報(例えば、測定機
器の感度) そして、以上のような情報に加えて、さらに、測定デー
タが、過去の測定データと比較しうる有効なデータであ
るかどうか(例えば、劣化位置が過去の測定データとあ
る程度の相関を保っているかどうか)を判断するための
情報が必要となる。このような情報を測定時にフィード
バックすることは、データの信頼性を維持するために必
要不可欠なことである。
【0032】上記3つの情報は、後述する本発明の設備
劣化診断方法を実行するシステムにおけるデータベース
に蓄積され、測定時にネットワークを通じて利用される
こととなる。そして、上記3つの情報のうち、1.及び
2.の情報に関して、データベースに格納される情報に
対応する測定現場が、実際にどの設備のどこの箇所であ
るかを容易に見分けられるようにすることが好ましい。
【0033】測定現場を容易に見分けるための手段とし
て、例えば、測定現場と一意に対応する識別ラベルを、
配管などの設備の測定現場に直接貼り付けることが考え
られる。測定者は、建築物における大体の診断箇所情報
に基づいて、その測定現場に赴く。そして、その付近に
ある識別ラベルを見つけることで、容易に測定現場を特
定することができる。
【0034】識別ラベルには、例えば、ID番号又はバ
ーコードが付されており、データベースにネットワーク
を通じて接続する携帯端末のキーボードからID番号を
入力したり、携帯端末に接続するバーコードリーダによ
りバーコードを認識することにより、データベースから
その測定現場の過去の測定データを読み出すことが可能
となる。また、識別ラベルには、測定方向などのデータ
ベースには記述しにくい情報を表示することもできる。
【0035】図4は、バーコードラベルシートの概略図
である。図4に示すように、複数のバーコードラベル1
を含むバーコードラベルシート2があらかじめ用意さ
れ、測定者は、それを測定現場に持参する。そして、初
回の診断時に、測定者は、測定現場毎に、シート2上の
バーコードラベル1をバーコードリーダで読み取り、そ
のバーコードラベル1をはがして、測定現場の所定位置
に貼り付ける。そして、読み取られたバーコードに対応
するIDが、その測定現場に割り当てられ、データベー
スに登録される。そして、次回の診断からは、測定現場
において、バーコードリーダで設備に貼られたラベル1
のバーコードを読み取るか、端末からラベルのバーコー
ドに対応するIDを入力することによって、対応する測
定現場に対応する情報がデータベースから抽出される。
【0036】このように、短期余寿命予測の精度向上を
図るには、劣化の進行速度を正確に推定するために、過
去の測定データと比較しうる有効な測定データを取得す
る必要がある。本発明では、バーコードラベル1によっ
て、測定現場を正確に特定できるので、異なる時期の診
断において、同じ測定現場をミスなく測定することがで
きる。
【0037】[長期余寿命予測精度の向上]長期余寿命
予測に関しては、上述したように、ほとんど劣化がない
状態において、あとどのくらいの期間安全に利用できる
かという予測となる。そのため、長期余寿命の予測に
は、測定データではなく、建物の設備の属性データが必
要である。そして、蓄積された属性データ中から、実際
の診断対象設備の属性と適合するデータを抽出し、その
データに基づいて長期余寿命が推定される。設備の属性
データの例を以下の表1に示す。
【0038】
【表1】 この属性データに基づいて推定される長期余寿命予測の
精度を向上させるには、できるだけ多くの上記設備の属
性データを蓄積することが重要となる。そのために、本
発明の設備劣化診断方法では、測定現場に持ち込まれる
個々の測定装置から入力される属性データはサーバ内の
データベースにおいて一元的に管理され、個々の測定装
置がデータベースに対してネットワークを通じてアクセ
ス可能とする。表1に示された属性データは、多くの種
類の建物について集積され、膨大なデータ量となる。従
って、このような膨大な属性データを、個々の測定装置
内に蓄積することは、非効率的であるとともに、測定装
置全体の大型化にもつながる。一方、属性データを蓄積
したデータベースと個々の測定装置をネットワークを通
じて接続することで、個々の測定装置は、自己に属性デ
ータを蓄積していなくとも、属性データを利用すること
ができるようになり、個々の測定装置を小型化できる。
【0039】また、蓄積された属性データは、後述する
ように、推定された短期寿命予測の補助的な情報として
利用することもできる。
【0040】[システム構成]図5は、本発明の実施の
形態における設備劣化診断システムのブロック構成図で
ある。図5において、サーバ10と測定装置20におけ
る携帯型情報処理端末(以下、携帯端末)21とが、通
信ネットワークを介して接続する。携帯端末21は例え
ばノート型パソコンである。携帯端末21には、測定用
のセンサ装置22、診断対象設備に貼り付けられている
バーコードラベルを読み取るためのバーコードリーダ2
3、現場写真を撮影するためのデジタルカメラ24、診
断結果出力のためのプリンタ25などが接続される。デ
ジタルカメラは、携帯端末21に内蔵されてもよい。セ
ンサ装置22は、診断対象設備の種類によって異なる。
本発明の実施の形態では、一例として、渦流探傷技術を
用いた建物の配管設備の腐食を検知するセンサ装置22
が例示される。渦流探傷技術は、励磁コイルによって発
生した磁束と被検物との相互作用を、磁束により誘導さ
れる渦電流の変化として検知することによって、被検物
内部の傷、亀裂及び腐食などを探査する方法である。
【0041】図6は、本発明の実施の形態におけるセン
サ装置22の原理構成図である。図6において、センサ
装置22は、それぞれ配管に巻かれる励磁コイル221
a、検知コイル221b、参照コイル221cと、駆動
処理回路222とを備える。駆動処理回路222から励
磁コイル221aに交番電流iを流すと、励磁コイル2
21aから磁束fが発生する。磁束fは、検知コイル2
21bと参照コイル221cにそれぞれ誘導電流is1と
is2を誘導する。さらに、磁束fは、配管内部に渦電流
ieを誘導する。なお、検知コイル221bと参照コイ
ル221cは、誘導電流is1とis2を相互に打ち消し合
うように、直列に接続される。従って、例えば、検知コ
イル221b側の磁束fと参照コイル221c側の磁束
fの大きさが同じである場合、測定信号は出力されな
い。
【0042】一方、磁束fの配管内部への浸透範囲に、
傷や腐食などが存在すると、渦電流ieが変化する。そ
して、渦電流ieの変化による磁束が、結果的に、検知
コイル221bと参照コイル221cの誘導電流is1と
is2を変化させる。従って、誘導電流is1と誘導電流i
s2の大きさのバランスが崩れ、所定の電圧レベルを有す
る測定信号が出力される。このように、測定信号の電圧
レベルに基づいて、配管内部の傷や腐食の存在位置、さ
らにはその程度(深さ及び広さなど)を検知することが
できる。
【0043】このような渦流探傷用のセンサ装置は、従
来、配管にコイルを巻くための作業を必要とし、その作
業工程が複雑であった。そのため、建物の設備劣化診断
としてなかなか普及することはなかった。しかしなが
ら、本発明の出願人は、現場において、巻線作業を必要
としないコイル素子を備えた小型の渦流探傷用センサ装
置を開発した(特願平10-189149号参照)。従って、こ
のセンサ装置を、本発明における設備劣化診断方法に組
み入れることにより、容易且つ低コストの診断を提供す
ることが可能となる。
【0044】また、図6において、配管に貼り付けられ
るバーコードラベル1には、バーコード以外に測定方向
(矢印)が記入されてもよい。バーコードラベル1は、
例えばスキャン開始位置に貼り付けられ、その空白欄に
スキャン方向が記入される。これによって、診断毎に異
なる測定者が測定する場合であっても、測定箇所を間違
えることがなくなる。従って、測定データの信頼性が高
まる。なお、スキャン方向は、測定者の手書きで記入さ
れる。
【0045】図5に戻って、サーバ10は、診断ソフト
ウェア実行部11、マクロ分析実行部12及びデータベ
ース13を有する。診断ソフトウェア実行部11及びマ
クロ分析実行部12は、本発明における設備劣化診断方
法を実行するためのプログラムである診断ソフトウェア
及びマクロ分析プログラムを格納した記憶装置と、各ソ
フトウェア(プログラム)を実行する制御装置(CPU)
とにより構成される。また、データベース13は、診断
対象の建物の各属性データ及び過去の測定データ(診断
履歴)などを格納する。
【0046】図7は、データベース13の構造を示す図
である。図7において、データベース13は、建物レベ
ル情報と測定現場レベル情報の2階層構造を有する。建
物レベル情報では、建物ID毎に、その建物の見取り
図、住所、築年数及び担当者など各種建物情報と、診断
対象となっている現場の名称(現場名1、2)が与えら
れる。また、現場名には、それに対応する現場IDが例
えばバーコードなどで与えられる。
【0047】そして、測定現場レベル情報では、現場I
D毎に、その現場の写真データ、配管種類、補修情報な
どの各種現場情報と、診断履歴である過去の劣化診断結
果が与えられる。劣化診断結果は、例えば、予測余寿命
や後述する分析データなどである。
【0048】図8は、本発明の実施の形態における設備
劣化診断方法の処理フローチャートである。また、図9
乃至図14は、図8の処理フローチャートの実行に従っ
て、携帯端末21に表示される画面例である。図9乃至
図14を参照しつつ、図8について説明する。
【0049】また、以下の処理は、測定者による携帯端
末21からの操作によって、携帯端末21とネットワー
クを介して接続しているサーバ10に格納される診断ソ
フトウェア及びマクロ分析プログラムが起動されて実行
される。さらに、携帯端末21の操作によって入力され
るデータやセンサ装置22からの測定データも、ネット
ワークを介してサーバ10に送信され、サーバ10が処
理を実行する。そして、処理の各工程において、データ
ベース13から読み出されるデータ及び診断ソフトウェ
ア及びマクロ分析プログラムの処理結果は、携帯端末2
1に送信され、画面に表示される。
【0050】測定者は、まず、診断ソフトウェアを起動
する。図9は、診断ソフトウェアのスタートアップ画面
の例である。図9の画面が表示されると、図8のステッ
プS10において、測定者は、自己のID(PIN)を携帯
端末21のキーボードから入力する。測定者IDは、ネ
ットワークを通じて、サーバ10に送信され、サーバ1
0はID照合を行う。正しいIDであれば、図10に示
す画面が表示される。
【0051】図10は、建物リスト画面の例である。建
物リストには、過去に診断が行われた建物の名称、住
所、検査日及びIDなどが表示される。2回目以降の診
断の場合は、今回の診断対象の建物がリストアップされ
る。測定者は、カーソルやポインタなどで診断対象の建
物の欄を選択する(ステップS11)。そして、更新ボ
タンをクリックすると、選択された建物の建物情報画面
が表示される。図11が建物情報画面の例である。図1
1の各欄には、過去の診断の際に入力されたデータが表
示される。建物情報について入力すべき追加の項目があ
る場合は、測定者はそれを入力する(ステップS1
2)。
【0052】一方、初回の診断の場合は、今回の診断対
象の建物がリストアップされていないので、図10の画
面の新規ボタンをクリックする。これにより、図11の
各欄が空欄の建物情報の画面(図11の画面)が表示さ
れる。そして、図8のステップS11において、測定者
は、建物情報についての所定の項目を入力する。なお、
建物IDは自動的に割り付けられて、対応する欄に表示
される。
【0053】また、建物情報画面には、現場リスト欄
(点線囲み部)111がある。現場リスト欄111に
は、その建物における過去の測定現場がリストアップさ
れる。従って、2回目以降の診断の場合は、カーソルや
ポインタなどで診断対象の測定現場の欄を選択する(ス
テップS13)。そして、更新ボタンをクリックする
と、選択された測定現場の現場情報画面が表示される。
【0054】図12は現場情報画面の例である。図12
の各欄には、過去の診断の際に入力されたデータが表示
される。現場情報画面は、測定装置20により測定され
た信号波形(測定データ)を表示する信号波形欄12
1、現場属性を表示する現場属性欄、過去の診断におけ
る測定条件を表示する測定条件欄などを有する。測定者
は、信号波形欄121に表示される信号波形を目視で確
認しながら、測定を行うことができる。また、測定条件
欄の内容と同じ測定条件で測定することにより、過去の
測定データとの整合を図ることができ、過去の測定デー
タと比較しうる有効な測定データを得ることができる。
現場情報について入力すべき追加の項目がある場合は、
測定者はそれを入力する(ステップS14)。
【0055】一方、初回の診断の場合は、今回の診断対
象の現場がリストアップされていないので、図11の現
場リスト欄111の新規ボタンをクリックする。これに
より、図12の各欄が空欄の現場情報画面が表示され
る。そして、図8のステップS12において、測定者
は、現場情報についての所定の項目を入力する。また、
現場IDは、上述したように、測定現場に貼り付けられ
るバーコードラベルにより与えられる。バーコードリー
ダ23でバーコードを読み取ると、現場IDが現場情報
画面のID欄に表示される。
【0056】なお、図13は、建物情報及び現場情報を
検索するための検索画面の例である。検索画面は、図9
の建物リスト画面における検索ボタンをクリックするこ
とにより表示される。検索画面において、測定者は、建
物情報についてのキーワードと現場情報についてのキー
ワードを入力し、実行ボタンをクリックすることによ
り、検索が実行される。
【0057】図14は、検索結果画面の例である。検索
結果画面には、検索された建物のID及び名称、検索さ
れた現場のID及び名称のリストが表示される。そし
て、測定者が所望の建物又は現場いずれかのID又は名
称が表示されている欄を選択し、クリックすることで、
図11の建物情報画面又は図12の現場情報画面が表示
される。
【0058】図8に戻って、現場情報画面が表示された
後、ステップS15において、センサ装置22を使っ
て、測定が行われる。測定者は、配管に巻きつけられた
渦流探傷用プローブ(コイル)を配管の長手方向に所定
距離だけ走査(スキャン)させる。センサ装置22から
の測定信号波形は、図12の現場情報画面の信号波形表
示欄12−1によりモニタされる。スキャン後に、測定
者が取り込みボタンをクリックすることで、そのときに
表示されている信号波形が取り込まれる。そして、更新
ボタンをクリックすることで、取り込まれた信号波形デ
ータ(測定データ)は、サーバ10にネットワークを介
して送信されるとともに、信号波形欄121はクリアさ
れる。
【0059】そして、ステップS16において、送信さ
れた信号波形データが信頼性のあるデータであるか否か
の信頼性判定が行われる。上述のように、短期余寿命予
測においては、過去のデータと比較し得る有効な測定デ
ータを取得する必要がある。一般的に、設備の劣化の進
行により信号波形は、時間の経過に従って変化するが、
波形が全く異なる形状に変化することはない。従って、
測定された信号波形が過去の信号波形と類似していれ
ば、その信号波形データを信頼性のあるデータと判定す
ることができる。一方、類似していなければ、測定ミス
による信頼性のないデータと判定することができる。
【0060】例えば、測定は、手動によるスキャンによ
って行われるため、測定データの時間軸(X軸)は、必
ずしも配管のスキャン距離と精度良く対応しているとは
限らない。測定者により、スキャン速度が異なる場合
や、スキャン中の速度変化も想定される。
【0061】図15は、スキャン速度が異なる信号の例
を示す図である。図示されるように、信号1、2それぞ
れにおける腐食部分に対応する各ピーク1、2及び3の
位置は、スキャン速度の違いにより、時間軸(X軸)に
対してずれてしまう。
【0062】従って、信頼性判定を行う場合、送信され
た信号波形データの時間軸(X軸)の正規化が必要とな
る。正規化とは、測定時期が異なる複数のデータの各ピ
ークポイントを対応させる処理をいう。このような処理
は、音声認識技術において、話者の話すスピードの影響
を除去しながら標準パターンとマッチングを取る処理と
して一般的に用いられる手法であり、本実施の形態で
も、それと同様の手法を用いることができる。
【0063】そして、サーバ10のデータベース13に
蓄積されている過去の測定における信号波形データと、
今回送信された信号波形データとが十分に正規化されな
かった場合、サーバ10は、信頼性のないデータと判定
して、再度の測定を促す。また、十分に正規化された場
合、信頼性のあるデータと判定し、その信号波形データ
に基づいて、ステップS17における診断処理を実行す
る。
【0064】また、診断が初回の場合、測定者は、例え
ば、同じ現場に対する測定を複数回(例えば3回)行
う。そして、各測定における信号波形データがサーバ1
0に送信される。サーバ10は、ある現場に対する複数
の信号波形データの正規化処理を行い、十分正規化され
た場合は、測定された信号波形データを信頼性のあるデ
ータと判定し、その信号波形データに基づいて、ステッ
プS17における診断処理を実行する。一方、十分正規
化されなかった場合は、サーバ10は、再度の測定を促
し、測定者は、信頼性のあるデータを得られるまで測定
を続ける。
【0065】ステップS17における診断処理では、送
信された信号波形データの分析が行われる。データ分析
の項目例を以下に列挙する。
【0066】a)腐食と推定されるピークの総数(個/
m) これにより、配管全体の腐食の程度がある程度判断可能
となる。
【0067】b)腐食と推定されるピークの分布 これにより、腐食の分布がわかる。
【0068】c)抽出した各ピークの分析 腐食と思われる各ピークの大きさ(V)、位相(度)、
幅(m)などから各腐食部分の腐食の程度が分かる。
【0069】d)測定データのパラメトリックな分析
(例えばフーリエ解析) これにより、腐食の密度及び腐食の分類(孔食又は潰食
など)が概略判断することができる。
【0070】さらに、上述の分析で得られた分析データ
は、過去の信号波形データに基づいた分析データと比較
される。分析データの比較により、腐食の変化状況及び
進行速度を推定することが可能となる。
【0071】図16は、分析データの比較例を説明する
ための図である。各グラフの横軸(X軸)は時間であ
る。図16(a)は、腐食部分1、2、3に対応するピ
ークの信号強度を示すグラフである。信号強度は腐食の
深さに対応する。従って、図16(a)によれば、腐食
部分1は腐食部分2、3よりも速く深さ方向に進行して
いることがわかる。また、図から腐食部分3の深さはほ
とんど変わっていないこともわかる。図16(b)は、
腐食部分1、2、3に対応するピークの信号幅を示すグ
ラフである。信号幅は腐食の面積に対応する。従って、
図16(b)によれば、腐食部分1、2の面積はほとん
ど変化していないが、腐食部分3は徐々に広がっている
ことがわかる。また、図16(c)は、ピーク密度を示
すグラフであり、ピークの信号強度が例えば3段階
(大、中、小)に分類される。図16(c)によれば、
腐食部分の数は年々増加しているが、その大部分は、信
号強度の小さく、浅い腐食であることがわかる。
【0072】また、図17は、信号波形データの比較例
を説明する図である。図17(a)では、前回診断にお
ける信号波形と今回の診断における信号波形とを比較す
ると、ピークの強度は変化せずに、ピーク幅が広がって
いる。従って、このピークに対応する腐食は、深さ方向
には進行していないが、その面積は広がっていることが
わかる。このような腐食は、配管の厚さを薄くするが、
配管に穴をあけるような致命的な腐食ではない。また、
図17(b)では、ピーク幅は変化していないが、ピー
クの強度が大きくなっている。従って、このピークの対
応する腐食は、その面積は広がっていないが、深さ方向
に進行していることがわかる。このような腐食は、この
まま進行すると、配管に穴をあけるおそれがあるので、
危険な腐食である。さらに、図17(c)では、ピーク
幅、ピーク強度ともに大きくなっている。従って、この
ピークに対応する腐食は、面積が広がっているととも
に、その深さも深くなっていることがわかる。このよう
な腐食は、このまま進行すると、配管に大きな穴を開け
るおそれがあるので、最も危険な腐食である。
【0073】このように、図8のステップS17におけ
る診断ソフトウェアによる信号波形データの分析、比較
(診断処理)により、配管の腐食の変化状態が判明し、
その変化状態から診断対象現場の配管設備の余寿命が推
定される。余寿命は、上記診断により求められる腐食の
進行速度から、例えば、配管の厚さがなくなり穴があく
までの期間、又は下限厚さにまで薄くなるまでの期間と
して求められる。
【0074】そして、図8のステップS18において、
診断結果(変化状態、推定余寿命など)は、さらに、上
記表1に示された設備の属性データを用いてマクロ的に
分析される。例えば、配管に流れる水量が比較的大きい
場合や、流速が速い場合は、配管に対する負荷が大きい
ので、腐食も比較的速く進行すると想定される。従っ
て、このような場合、診断結果により推定された余寿命
を若干短くする補正が行われる。即ち、診断ソフトウェ
アにより求められる計算上の推定余寿命を、マクロ分析
により配管設備の様々な属性データに基づいて補正する
ことで、余寿命をより高精度に推定することが可能とな
る。このマクロ分析では、上述の長期余寿命予測の手法
が用いられるので、診断結果により求められた余寿命が
比較的長い場合に(例えば数年)、その推定精度はより
高まる。一方、推定余寿命が比較的短い場合には(例え
ば、数ヶ月)、診断結果による推定余寿命の精度は十分
高いので、マクロ分析は省略されてもよい。
【0075】図8のステップS19において、ステップ
S17又はステップS18の診断結果は、プリンタ25
から印字出力される。このように、本発明では、測定現
場でリアルタイムに診断結果を提供することができる。
従って、測定者は、その場で、診断依頼者に対して診断
結果の説明をすることができる。これは、測定現場に配
置される携帯端末21をネットワークを介してサーバ1
0と接続し、サーバ10によって測定データをリアルタ
イムで処理することにより実現される。測定データの処
理には、上述したように、診断ソフトウェアの実行やデ
ータベースの検索などのサーバの機能を必要とするが、
ネットワークを利用しない場合、サーバの機能を測定現
場に持ち込まなくてはならなくなる。携帯端末21にそ
れだけの機能を実行させるのは現実的に不可能である。
このように、ネットワークを利用することにより、リア
ルタイムに測定データの分析処理が可能となる。
【0076】なお、診断結果の出力は、プリンタからの
印字出力に限らず、例えば、形態端末の画面表示であっ
てもよい。さらに、診断結果は、測定装置20から遠隔
の別の端末に送信されてもよい。例えば、診断を依頼し
たユーザが所有する端末(例えばパーソナルコンピュー
タ)のメールアドレス宛に送信してもよい。診断結果
は、その端末の画面表示され、また、端末に接続するプ
リンタから印字出力される。また、診断結果は、サーバ
10側で印字出力され、ユーザ宛に郵送されてもよい。
【0077】このように、診断結果の提供方法に複数の
選択肢を設けることは、診断業者やユーザの事情に応じ
た診断結果の提供が可能となるので好ましい。どの方法
を利用するかは、診断業者及びユーザの事情に応じて適
宜選択されればよい。例えば、ユーザが即時の診断結果
を必要としない場合は、後日、ユーザのパソコン(端
末)のメールアドレス宛に診断結果を送信するか、ユー
ザ宛に診断結果を郵送すればよい。また、診断結果を携
帯端末21の画面表示することによって、概略の診断結
果をユーザに即時に伝えるとともに、診断結果に対して
さらに詳しい分析(例えば、サーバによる画一的な分析
をさらに人の経験や知識で分析する)を施した診断結果
レポートを作成し、それをあらためて送信又は郵送して
もよい。さらに、診断業者が、診断結果に加えて、自社
の名前の入った表紙や他の情報の入ったページと併せた
診断結果レポートをユーザに提供したい場合、郵送や手
渡しされてもよい。
【0078】また、ネットワークを利用する場合は、上
述したように、測定データが信頼性のあるデータである
か否かについてもリアルタイムで判定するので、信頼性
のあるデータを使った処理が保証される。しかしなが
ら、ネットワークを利用しない場合は、リアルタイムで
信頼性判定を行えない。従って、携帯端末21に記憶し
た測定データが測定ミスによる信頼性のないデータであ
る可能性がある。測定ミスが後で判明すると、再度の測
定が必要となってしまう。一回の診断のために測定者が
何度も測定現場を訪れるのは効率的でない。この場合、
測定者は、再測定のために再度測定現場を訪れる必要が
生じる。即ち、測定者の多くの時間を拘束するので、人
件費の向上を招き、診断コストの上昇にもつながる。
【0079】このように、本発明では、設備劣化診断
を、ネットワークを利用して実施することにより、精度
の高い診断が実現されるとともに、診断コストの低減を
図ることもできる。
【0080】なお、本発明の実施の形態における設備劣
化診断方法は、建物の配管の劣化診断を例に説明した
が、これに限られるものではない。例えば、建物空調シ
ステムにおけるファンコイルや建物のコンクリートな
ど、比較的簡易なセンサ装置によって測定が可能な設備
に対して適用可能である。さらに、本発明の実施の形態
における設備劣化診断方法は、建物に限られず、例え
ば、橋などの建造物などにも適用可能である。
【0081】また、本実施の形態における配管は、非磁
性体である銅配管又は磁性体である鋼管の両方を含む。
【0082】本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に
限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均
等物に及ぶものである。
【0083】
【発明の効果】以上、本発明によれば、診断対象設備の
測定データの履歴や設備の属性データなどの大量のデー
タを取得し、それを効率的に管理・処理することによ
り、精度の高い劣化診断方法が提供される。
【0084】そのために、上記大量のデータを一元的に
管理・処理するサーバが用意され、診断対象の設備の現
場に持ち込まれる測定装置は、通信ネットワークを介し
てサーバと接続し、測定データをサーバに送信するとと
もに、サーバから診断結果を受信する。このように、通
信ネットワークを利用することにより、診断作業の際
に、リアルタイムで診断結果を得ることができ、診断作
業の簡素化が図られるので、低コスト化が実現される。
【0085】また、測定データの信頼性の有無をサーバ
によって判定しながら診断作業を行うことにより、測定
ミスをなくすことができ、必要な測定データを確実に得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】余寿命予測とその精度との関係を示す図であ
る。
【図2】改修間の診断間隔を説明するための図である。
【図3】予測寿命の精度の向上パターンを説明する図で
ある。
【図4】バーコードラベルシート概略図である。
【図5】本発明の実施の形態における診断システムのブ
ロック構成図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるセンサ装置22の
原理構成図である。
【図7】データベース13の構造を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における設備劣化診断方法
の処理フローチャートである。
【図9】診断ソフトウェアのスタートアップ画面の例で
ある。
【図10】建物リスト画面の例である。
【図11】建物情報画面の例である。
【図12】現場情報画面の例である。
【図13】検索画面の例である。
【図14】検索結果画面の例である。
【図15】スキャン速度が異なる信号の例を示す図であ
る。
【図16】分析データの比較例を説明するための図であ
る。
【図17】信号波形データの比較例を説明する図であ
る。
【符号の説明】
10 サーバ 11 診断ソフトウェア実行部 12 マクロ分析実行部 13 データベース 20 測定装置 21 携帯端末 22 センサ装置 25 プリンタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G053 AA11 AA12 AA14 AB21 BA02 BA12 BB11 BC02 BC14 CA03 CA18 CB20 DA02 DA09

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】過去の診断対象設備の劣化に関する測定デ
    ータを蓄積するサーバと、当該サーバと通信し且つ前記
    診断対象設備を測定する測定装置とにより、前記診断対
    象設備の劣化を診断する設備劣化診断方法において、 前記診断対象設備を測定装置で測定することで取得され
    る前記診断対象設備の劣化に関する測定データを前記測
    定装置から通信回線を介して前記サーバで受信する第1
    のステップと、 前記サーバにより、前記測定データと、前記サーバに蓄
    積される前記診断対象設備についての過去の測定データ
    の正規化処理により求められる前記測定データと前記過
    去の測定データの類似度に基づいて、前記測定データの
    信頼性の有無を判定する第2のステップと、 前記第2のステップにおける判定結果を、前記サーバか
    ら通信回線を介して前記測定装置に送信する第3のステ
    ップと、 前記サーバにおいて、前記第2のステップにより信頼性
    ありと判定された測定データを記憶する第4のステップ
    と、 前記サーバにおいて、前記第2のステップにより信頼性
    ありと判定された測定データを処理し、前記診断対象設
    備の劣化診断を実行する第5のステップと、 前記劣化診断の診断結果を提供する第6のステップとを
    備えることを特徴とする設備劣化診断方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記第6のステップでは、前記診断結果が、前記サーバ
    から通信回線を介して前記測定装置又は前記測定装置か
    ら遠隔の所定の端末に送信され、前記診断結果を前記測
    定装置又は前記所定の端末から出力されることを特徴と
    する設備劣化診断方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、 前記第6のステップでは、前記診断結果が、前記測定装
    置、前記測定装置から遠隔の端末、又は前記サーバのう
    ちの選択されたいずれかから出力されることを特徴とす
    る設備劣化診断方法。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかにおいて、 前記第5のステップにおける劣化診断により、前記測定
    データと、前記過去の測定データとの比較に基づいて、
    前記診断対象設備の変化状態が検出されることを特徴と
    する設備劣化診断方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、 前記第5のステップにおける劣化診断により、前記測定
    データと前記過去の測定データとの比較に加えて、前記
    サーバに格納される前記診断対象設備の属性データにも
    基づいて、前記診断対象設備の変化状態が検出されるこ
    とを特徴とする設備劣化診断方法。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかにおいて、 前記測定装置は、建築物の設備のうちの配管を測定する
    ための渦流探傷装置を含むことを特徴とする設備劣化診
    断方法。
  7. 【請求項7】設備の劣化を診断する設備劣化診断システ
    ムにおいて、 診断対象設備を測定して、当該診断対象設備の劣化に関
    する測定データを取得する測定装置と、 通信回線を介して前記測定装置から前記測定データを受
    信するサーバとを備え、 前記サーバは、過去の前記診断対象設備の劣化に関する
    測定データを蓄積する蓄積手段と、 前記測定データと前記蓄積手段に蓄積される前記診断対
    象設備についての過去の測定データの正規化処理により
    求められる前記測定データと前記過去の測定データの類
    似度に基づいて、前記測定データの信頼性の有無を判定
    する判定手段と、 前記判定手段による判定結果を、通信回線を介して前記
    測定装置に送信する送信手段と、 前記判定手段により信頼性ありと判定された測定データ
    を前記蓄積手段に記録させる記憶手段と、 前記判定手段により信頼性ありと判定された測定データ
    を処理し、前記診断対象設備の劣化診断を実行する劣化
    診断実行手段とを備えることを特徴とする設備劣化診断
    システム。
  8. 【請求項8】請求項7において、 前記送信手段は、前記劣化診断の診断結果を通信回線を
    介して前記測定装置又は前記測定装置から遠隔の所定の
    端末に送信し、 前記測定装置又は前記所定の端末から前記診断結果が出
    力されることを特徴とする設備劣化診断システム。
  9. 【請求項9】請求項7において、 前記測定装置、前記測定装置から遠隔の端末又は前記サ
    ーバのうちの選択されたいずれかから、前記劣化診断の
    診断結果が出力されることを特徴とする設備劣化診断シ
    ステム。
  10. 【請求項10】請求項7乃至9のいずれかにおいて、 前記劣化診断実行手段は、前記測定データと、前記過去
    の測定データとの比較に基づいて、前記診断対象設備の
    変化状態を検出することを特徴とする設備劣化診断シス
    テム。
  11. 【請求項11】請求項10において、 前記劣化診断実行手段は、前記測定データと前記過去の
    測定データとの比較に加えて、前記サーバに格納される
    前記診断対象設備の属性データにも基づいて、前記診断
    対象設備の変化状態を検出することを特徴とする設備劣
    化診断システム。
  12. 【請求項12】請求項7乃至11のいずれかにおいて、 前記測定装置は、建築物の設備のうちの配管を測定する
    ための渦流探傷装置を含むことを特徴とする設備劣化診
    断システム。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006519369A (ja) * 2003-02-21 2006-08-24 ムルカイ,グイド,デー.,カー. ダ 腐食と表面欠陥を走査するための方法と装置
JP2007046976A (ja) * 2005-08-09 2007-02-22 Hitachi Ltd 渦電流探傷方法及びそのシステム
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JP2012515896A (ja) * 2009-01-19 2012-07-12 ゼテック インコーポレイテッド 渦電流の自動非破壊試験解析方法
KR101697188B1 (ko) * 2015-07-10 2017-01-17 한국수력원자력 주식회사 응력부식균열 성장속도 분석방법

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