JP2002286421A

JP2002286421A - 動物の体重測定装置

Info

Publication number: JP2002286421A
Application number: JP2001091768A
Authority: JP
Inventors: Hideo Minagawa; 秀夫皆川; Tadashi Murakami; 正村上
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 2001-03-28
Filing date: 2001-03-28
Publication date: 2002-10-03

Abstract

(57)【要約】【課題】豚等の家畜の体重を、家畜にストレスを与え
ることなく、非接触方式で精度よく測定できるようにす
る。【解決手段】給水器２近傍の豚舎の天井３に、防塵箱
５を取付け、この防塵箱５内に、格子縞スライドを装着
した投光器およびビデオカメラを設置する。投光器から
投光すると、床１１および豚１２の体表面に、格子縞１
３が投影される。この画像をビデオカメラで捉える。捉
えられた画像における格子縞１３のズレに基づき、豚１
２の体高（Ｈ）を求める。また捉えられた画像に白黒の
２値化処理を施して、豚１２の投影面積（Ａ）を求め
る。豚１２の体高（Ｈ），投影面積（Ａ）および体重
（Ｗ）の間には、Ｗ＝ａＨ^ｂＡ^ｃという密接な関係があ
り、さらにその重回帰式の次元（ｄ＝ｂ＋２ｃ）が体積
の次元（ｄ＝３）に近いことから、体高（Ｈ）と投影面
積（Ａ）とを用いて体重（Ｗ）を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、豚，牛，馬，羊，
魚類等の動物の体重測定装置に係り、特に人間が家畜等
に触れることなく遠隔で家畜等の体重を測定することが
できる動物の体重測定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、豚等の家畜の体重を測定する場合
には、測定対象となっている家畜を体重計に誘導し、体
重計の上で家畜を静止させて体重計の値を読む方法が採
られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の体重測定方
法においては、家畜を体重計に誘導するのに手間がかか
るとともに、家畜を体重計まで誘導できたとしても、家
畜を体重計上で静止させることが容易でなく、ために家
畜の体重測定に多くの人手や労力を要するという問題が
ある。このため多くの場合、家畜が生まれ出荷されるま
でに、１〜２回程度しか体重を測定することができず、
非接触方式で家畜の体重を測定し、より効率的に家畜を
管理することが切望されている。

【０００４】本発明は、かかる現況に鑑みなされたもの
で、豚等の家畜その他の動物の体重を、非接触方式で精
度よく測定することができる動物の体重測定装置を提供
することを目的とする。

【０００５】本発明の他の目的は、動物の体重をより精
度よく測定することができる動物の体重測定装置を提供
するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明は、格子縞スライドを通して動物に上方から投光
する投光手段と、この投光手段と光軸を平行にして配置
され格子縞を含む動物の画像を上方から撮像する光学的
映像撮影手段と、光学的映像撮影手段からの画像におけ
る格子縞のズレに基づき動物の体高を演算する体高演算
手段と、光学的映像撮影手段からの画像における動物の
輪郭に基づき動物の投影面積を演算する投影面積演算手
段と、前記両演算手段の演算結果に基づき動物の体重を
演算する体重演算手段とを設けようにしたことを特徴と
する。

【０００７】ところで、動物の体高（Ｈ）と投影面積
（Ａ）と体重（Ｗ）との間には、Ｗ＝ａＨ^ｂＡ^ｃという
密接な関係があり、さらにその重回帰式の次元（ｄ＝ｂ
＋２ａ）が、体積の次元（ｄ＝３）に近いことを本発明
者等は確認している。したがって、前記体高演算手段お
よび投影面積演算手段により、動物の体高（Ｈ）および
投影面積（Ａ）を演算し、これらの値を体重演算手段に
おいて前記重回帰式に代入することにより、多数の動物
の体重を、その品種に左右されることなく、非接触方式
で精度よく測定することが可能となる。

【０００８】なお、前記回帰式において、ａ，ｂ，ｃは
各々未知定数であるため、同一品種につき最低３頭以上
の動物を用い、その体重（Ｗ），体高（Ｈ）および投影
面積（Ａ）を予め測定しておく必要がある。また、ここ
で体高（Ｈ）とは、家畜の場合には、床面に正常に起立
した家畜の前肢下端と肩部上端との間の垂直距離であ
る。

【０００９】本発明はまた、投影面積として、動物の輪
郭面積から変動し易い部位の面積を除いた修正投影面積
を用いるようにしたことを特徴とする。そして、変動し
易い部位の面積を除くことで、より安定した精度のよい
体重測定が可能となる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して説
明する。図１および図２は、本発明の実施の一形態に係
る動物の体重測定装置を示すもので、この体重測定装置
１は、例えば給水器２近傍の豚舎の天井３にフック４を
介して取付けられる防塵箱５を備えており、この防塵箱
５内には、投光器６および光学的映像撮影器７が組込ま
れているとともに、天板部および底板部には、昇温防止
のための換気口８が設けられている。

【００１１】前記投光器６は、例えばスライドプロジェ
クタ等で構成されており、その投光部には、図１に示す
ように、例えば黒色の格子縞模様を印刷した３５ｍｍ白
黒スライドフィルム等からなる格子縞スライド９が装着
されるようになっている。そして、この状態で投光器６
を起動することにより、図２に示すように、投光範囲１
０内の床１１および豚１２の体表面に、格子縞１３が投
影されるようになっている。

【００１２】また、前記光学的映像撮影器７は、例えば
ビデオカメラやカメラ等で構成されており、この光学的
映像撮影器７は、その光軸１４が前記投光器６の光軸１
５と平行になるように設置されている。そして、この光
学的映像撮影器７は、前記格子縞１３を含む豚１２の画
像を、上方から撮像することができるようになってい
る。

【００１３】この光学的映像撮影器７で撮像された画像
データは、図１に示すように、体高演算手段１６および
投影面積演算手段１７にそれぞれ送られるようになって
おり、前記体高演算手段１６は、床１１と豚１２の肩部
との格子縞１３のズレに相当する画素数に基づき、豚１
２の体高を演算するようになっているとともに、前記投
影面積演算手段１７は、白黒の２値化処理した画像デー
タに基づき、床１１を基準とした豚１２の投影面積を演
算するようになっている。

【００１４】なお、前記各演算手段１６，１７は、同一
の個体に対し複数，好ましくは３以上の画像データを用
いて、体高および投影面積をそれぞれ演算するとともに
それらの平均値を求め、この平均値を、体高データおよ
び投影面積データとして体重演算手段１８に送るように
なっている。また、前記投影面積演算手段１７は、豚１
２の輪郭面積から変動し易い尾および耳の面積を削除し
た，いわゆる上方修正投影面積を、投影面積データとし
て体重演算手段１８に送るようになっている。

【００１５】この体重演算手段１８は、前記各演算手段
１６，１７からの体高データおよび投影面積がデータに
基づき、豚１２の体重を演算するようになっており、具
体的には、前記重回帰式（Ｗ＝ａＨ^ｂＡ^ｃ）に、体高デ
ータおよび投影面積データの各値を代入することによ
り、豚１２の体重を演算するようになっている。

【００１６】次に、本実施の形態の作用について説明す
る。豚１２が給水器２に近付いて飲水しようとすると、
体重測定装置１が自動または手動で起動する。体重測定
装置１の起動により投光器６が作動すると、図２に示す
ように、投光範囲１０内の床１１および豚１２の体表面
に、格子縞１３が投影され、光学的映像撮影器７は、こ
の格子縞１３を含む豚１２の画像を、上方から撮像する
ことになる。そして、撮像された画像データは、体高演
算手段１６および投影面積演算手段１７に送られる。

【００１７】画像データが入力された体高演算手段１６
は、床１１と豚１２の肩部との格子縞１３のズレに相当
する画素数を求め、この画素数に基づき、豚１２の体高
を演算する。

【００１８】また、画像データが入力された投影面積演
算手段１７は、まず入力された画像データを白黒の２値
化処理し、次いで処理後の画像データに基づき、床１１
を基準とした豚１２の投影面積を演算する。なお、ここ
で演算される投影面積とは、豚１２の輪郭面積から変動
し易い尾および耳の面積を削除した，いわゆる上方修正
投影面積のことである。

【００１９】このようにして演算された体高データおよ
び投影面積データは、体重演算手段１８に送られ、体重
演算手段１８は、これら両値を前記重回帰式（Ｗ＝ａＨ
^ｂＡ^ｃ）に代入することにより、豚１２の体重を演算す
る。

【００２０】しかして、豚１２の体重を、人間が豚１２
に触れることなく非接触方式で測定することができるの
で、豚１２にストレスを与えることが全くなく、ストレ
スに伴なう豚１２の体重の激減といった不具合が全くな
い。また、給水器２の位置は、豚１２が正常な起立姿勢
となることが多いので、体重測定精度を向上させること
ができるとともに、短時間で多数の豚１２の体重を効率
よく測定することができる。

【００２１】

【実施例】（第１実施例）本発明者等は、図３（ａ），
（ｂ）に示すように、被写体（平板）の高さを変化さ
せ、格子縞のズレに相当する画素数と高さとの関係を調
べる実験を行ない、図４に示す結果を得た。

【００２２】図４からも明らかなように、格子縞のズレ
に相当する画素数と高さとの間には、高い正の曲線的相
関が認められ、この単回帰式により格子縞のズレから被
写体の高さの予測誤差は±１％で、極めて高い精度が得
られることが判った。また、この単回帰式は、投光器６
で投影した格子縞１３の全範囲で共通する単回帰式であ
ることも判った。

【００２３】（第２実施例）本発明者はまた、図２に示
す装置を用い、豚１２の体重を測定してその精度を検証
する実験を行なった。

【００２４】供試豚としては、同じ父母豚より生まれた
子豚計１２頭（品種：大ヨークシャー（雄）×大ヨーク
シャー（雌））を豚舎に入れ、成長が著しい生後２．５
ケ月から３．５ケ月までの約１ケ月間、計５回の体重測
定を行なった。画像データは、供試豚が給水器２に近づ
いて飲水している状態を、光学的映像撮影器７を用いて
１頭ずつ撮影することにより取得した。そして、このよ
うにして得られた画像データに基づき、供試豚の体高，
投影面積および体重を演算した。

【００２５】まず、供試豚の体高は、以下のようにして
算出した。すなわち、まず光学的映像撮影器７で撮像し
た画像データの中から、供試豚の正常な起立姿勢のもの
を３画面選び、図５（ａ）に示すように、床面と豚の肩
部との間での格子縞のズレに相当する画素数をそれぞれ
計測した。そして、その平均値を図４の単回帰式に代入
して豚の体高を算出した。

【００２６】また、供試豚の投影面積は、以下のように
して算出した。すなわち、まず光学的映像撮影器７で撮
像した画像データの中から、供試豚の正常な起立姿勢の
ものを３画面選び、これらを白黒の２値化処理した。次
いで、処理後の画像データを用い、図５（ｂ）に示すよ
うに、床面を基準として、動きの激しい耳および尾の部
位を除いた豚の投影面積をそれぞれ算出した。そして、
その平均値を求めて上方修正投影面積とした。

【００２７】さらに、供試豚の体重は、３２３頭（体
重：６．２〜１１４．２ｋｇ、品種：４種豚（ランドレ
ース，大ヨークシャー，デュロック，ハンプシャー）に
よる２元交配計１２品種）の供試豚より得た重回帰式Ｗ
＝５．６８×１０^−４×Ｈ^０． ^５２２×Ａ^１．１６を用
いてそれぞれ算出した。この重回帰式において、Ｗは豚
の体重（ｋｇ）、Ｈは豚の体高（ｃｍ）、Ａは床面を基
準とした耳・尾の部位を除く豚の上方修正投影面積（ｃ
ｍ^２）である。なお、この重回帰式の次元は、ｄ＝０．
５２２＋２×１．１６＝２．８４となり、体積の次元ｄ
＝３の値に近いものである。

【００２８】このようにして供試豚の体重を演算した直
後、供試豚の体高を巻尺を用いて３回測定するととも
に、電子式体重計を用いて豚の体重を実測し、前記演算
値と比較した。そして、図６に示す結果を得た。

【００２９】図６からも明らかなように、１〜３回目の
実験においては、±５％を超える比較的大きな誤差が生
じ、その最大誤差は−７．９％となっていることが判
る。また、同一個体でも、誤差は毎回変動していること
も判る。ところが、４〜５回目の実験においては、誤差
が減少していることが判る。これは、供試豚が従来型の
電子式体重計に慣れ、実測体重の誤差が少なくなったた
めであると考えられる。なお、供試豚の５回の平均誤差
は±２．１％で、全体では９０％が実用精度の±５％以
内に入っており、実用的な装置として充分使用できるこ
とが確認された。

【００３０】表１は、供試豚全体の平均体重における実
測値と予測値を比較したものである。

【００３１】

【表１】

【００３２】表１からも明らかなように、群の平均体重
を推定したところ、最大誤差＋０．７ｋｇ、平均誤差＋
０．７％となり、群の体重推定精度は極めて高いことが
確認された。

【００３３】なお、前記実施の一形態においては、防塵
箱５を、豚舎の天井３に固定する場合について説明した
が、天井３に走行レールを敷設し、この走行レールにそ
って防塵箱５を移動させることができるようにしてもよ
い。そしてこれにより、任意の豚の体重を短時間で計測
することができる。

【００３４】また、前記実施の一形態においては、豚１
２の体重測定を例に採って説明したが、牛，馬，羊，鶏
等の他の家畜についても同様に適用できる。また、家畜
に限らず、魚類についても、同様の方法を用いてその体
重を測定することができ、また人間についても、集団で
一度に体重測定する場合等に応用できる。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、格子縞ス
ライドを通して動物に上方から投光する投光手段と、こ
の投光手段と光軸を平行にして配置され格子縞を含む動
物の画像を上方から撮像する光学的映像撮影手段と、光
学的映像撮影手段からの画像における格子縞のズレに基
づき動物の体高を演算する体高演算手段と、光学的映像
撮影手段からの画像における動物の輪郭に基づき動物の
投影面積を演算する投影面積演算手段と、前記両演算手
段の演算結果に基づき動物の体重を演算する体重演算手
段とを設けるようにしているので、豚等の家畜その他の
動物の体重を、非接触方式で精度よく測定することがで
きる。

【００３６】本発明はまた、投影面積として、動物の輪
郭面積から変動し易い部位の面積を除いた修正投影面積
を用いるようにしているので、より安定した高精度の測
定結果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態に係る体重測定装置を示
す構成図である。

【図２】図１の装置を豚舎に取付けて豚の体重測定を行
なっている状態を示す説明図である。

【図３】（ａ）は被写体の高さ変化と格子縞のズレとの
関係を調べる機器を示す説明図、（ｂ）は（ａ）の機器
において格子縞のズレ（視差）が生じている状態を示す
説明図である。

【図４】被写体の高さを変化させた場合の格子縞のズレ
に相当する画素数と高さとの関係を示すグラフである。

【図５】（ａ）は供試豚の肩部における格子縞のズレ
（視差）を示す説明図、（ｂ）は白黒２値化処理した画
像における供試豚の上方投影面積を示す説明図である。

【図６】供試豚の体重の実測値と予測値とを比較して示
すグラフである。

【符号の説明】

１体重測定装置２給水器３天井５防塵箱６投光器７光学的映像撮影器９格子縞スライド１０投光範囲１１床１２豚１３格子縞１４，１５光軸１６体高演算手段１７投影面積演算手段１８体重演算手段

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【手続補正書】

【提出日】平成１３年４月４日（２００１．４．４）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００７

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００７】ところで、動物の体高（Ｈ）と投影面積
（Ａ）と体重（Ｗ）との間には、Ｗ＝ａＨ^ｂＡ^ｃという
密接な関係があり、さらにその重回帰式の次元（ｄ＝ｂ
＋２ｃ）が、体積の次元（ｄ＝３）に近いことを本発明
者等は確認している。したがって、前記体高演算手段お
よび投影面積演算手段により、動物の体高（Ｈ）および
投影面積（Ａ）を演算し、これらの値を体重演算手段に
おいて前記重回帰式に代入することにより、多数の動物
の体重を、その品種に左右されることなく、非接触方式
で精度よく測定することが可能となる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｇ０１Ｇ 17/08 Ｇ０１Ｂ 11/24 ＥＧ０６Ｔ 7/60 １５０Ａ (72)発明者村上正京都府京都市南区四ツ塚町58 Ｆターム(参考） 2F065 AA24 AA51 AA58 CC16 FF04 JJ03 JJ19 JJ26 QQ04 QQ25 QQ31 QQ42 5L096 CA02 CA17 EA37 EA43 FA06 FA12 FA13 FA54 FA59

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】格子縞スライドを通して動物に上方から
投光する投光手段と、この投光手段と光軸を平行にして
配置され格子縞を含む動物の画像を上方から撮像する光
学的映像撮影手段と、光学的映像撮影手段からの画像に
おける格子縞のズレに基づき動物の体高を演算する体高
演算手段と、光学的映像撮影手段からの画像における動
物の輪郭に基づき動物の投影面積を演算する投影面積演
算手段と、前記両演算手段の演算結果に基づき動物の体
重を演算する体重演算手段とを具備することを特徴とす
る動物の体重測定装置。
【請求項２】投影面積として、動物の輪郭面積から変
動し易い部位の面積を除いた修正投影面積が用いられる
ことを特徴とする請求項１記載の家畜の体重測定装置。