JP2002286095A - ビスカスラバーダンパ - Google Patents

ビスカスラバーダンパ

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JP2002286095A
JP2002286095A JP2001085846A JP2001085846A JP2002286095A JP 2002286095 A JP2002286095 A JP 2002286095A JP 2001085846 A JP2001085846 A JP 2001085846A JP 2001085846 A JP2001085846 A JP 2001085846A JP 2002286095 A JP2002286095 A JP 2002286095A
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damper
rubber
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viscous
mass
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JP2001085846A
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Masaki Naito
正樹 内藤
Naoki Mori
直樹 森
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Toyo Tire Corp
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Toyo Tire and Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダンパマス等の金属部材と加硫ゴム部材との
間に加硫接着によることなく、必要な結合性(固着性)を
得ることができるビスカスラバーダンパを提供するこ
と。 【解決手段】 ハブ部12を備えたダンパケース14A
とダンパケース14に内設されるダンパマス(慣性体)
16と、ダンパケース14Aとダンパマス16との間に
介在する内・外加硫ゴム部材18A、18Bと、前記の
三者で構成される隙間に粘性流体Vが封入されて形成さ
れる粘性流体封入部24とを備えたビスカスラバーダン
パ。内・外加硫ゴム部材18A、18Bをダンパケース
14Aとダンパマス16との間に形成される内・外筒状
間隙22A、22Bに圧入保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、ハブ部を備えたダンパケースと
該ダンパケースに内設されるダンパマス(慣性体)と、
前記ダンパケースと前記ダンパマスとの間に介在する加
硫ゴム部材と、前記三者で構成される隙間に粘性流体が
封入されて形成される粘性流体封入部とを備えたビスカ
スラバーダンパに関する。
【0002】また、以下の説明で、配合単位は、特に断
らない限り、質量単位である。
【0003】
【背景技術】トーショナルダンパの一タイプであるビス
カスラバーダンパは、下記のような長所/短所を有して
いる(「日本ゴム協会誌第64巻第5号(1991)」
p.281参照)。
【0004】ビスカスラバーダンパは、ばね要素はラバ
ー部(加硫ゴム部)により、減衰要素は粘性流体封入部
(シリコーンオイル等)の粘性によりに担わせるため、
減衰係数を非常に大きくできるとともに、共振倍率を低
減できる。また、ばね要素と減衰要素が独立しているた
め、別々に設計でき、設計の幅を広げることができる。
【0005】しかし、一方、内部に粘性流体を封入する
ためアセンブリー工数がかさむとともに、シール性の確
保等、ラバーダンパにない問題点がある。
【0006】さらに、それぞれ金属製であるハブ部及び
ダンパマス部の双方と加硫ゴム部との固着手段は、通
常、加硫接着を採用していた(特開平7−197994
号公報等参照)。
【0007】しかし、加硫接着するには、両金属部材の
間で未加硫ゴム材料を型成形・加硫をするための複雑な
形状の金型を必要とした。また、加硫成形工程で材料温
度・射出圧及び加硫温度の影響を考慮する必要があり、
質量を必要としないハブ部を耐熱性が金属製に比して格
段に低いプラスチック製とすることは困難であった。
【0008】
【発明の開示】本発明は、上記にかんがみて、ダンパマ
ス等の金属部材と加硫ゴム部材との間に加硫接着による
ことなく、必要な結合性(固着性)を得ることができるビ
スカスラバーダンパを提供することを目的とする。
【0009】本発明者らは、上記課題を解決するため
に、鋭意開発に努力をする過程で、圧入(圧接)でも、
摩擦抵抗等により所定の結合性が得られることを見出
し、下記構成のビスカスラバーダンパに想到した。
【0010】ハブ部を備えたダンパケースと該ダンパケ
ースに内設されるダンパマス(慣性体)と、前記ダンパ
ケースとダンパマスとの間に介在する加硫ゴム部材と、
三者で構成される隙間に粘性流体が封入されて形成され
る粘性流体封入部とを備えたビスカスラバーダンパにお
いて、加硫ゴム部材がダンパケースとダンパマスとの間
に圧接保持されていることを特徴とする。
【0011】圧接保持のみでダンパマス等の金属部材と
加硫ゴム部材との間に所定の結合性が得られる。このた
め、金属部材と加硫ゴム部材との結合を加硫接着による
必要がない。
【0012】即ち、本発明に係るビスカスラバーダンパ
は、金属部材であるダンパマスおよびダンパケースとの
間で未加硫ゴム材料を型成形・加硫をするための複雑な
形状の金型を必要としない。また、加硫成形工程で材料
温度・射出圧及び加硫温度の影響を考慮する必要がな
く、質量を必要としないハブ部を備えたダンパケース等
をプラスチック化できる。
【0013】加硫ゴム部材の圧接保持の具体的態様とし
ては、ケースとダンパマスとの間に形成される一対の
同心状の内・外筒状間隙で行う、ケースとダンパマス
とで形成される一対の上・下ドーナツ状間隙で行う、が
ある。
【0014】上記各構成のビスカスラバーダンパにおい
て、加硫ゴム部材が、非極性ゴムをベースとし、高級脂
肪酸系の加工助剤を含有するゴム配合物で形成され、ゴ
ム配合物が、加硫時において非極性ゴムと反応可能でか
つ極性基を備えた対金属粘着性付与剤が配合された構成
とすることが望ましい。対金属粘着性付与剤が配合され
た構成とすることにより、圧接保持後における加硫ゴム
部材とダンパマス等の金属部材との結合性(結合強度)
を確保し易いためである。また、高級脂肪酸系の加工助
剤を含有するため、混練作業性とともに上記内・外筒状
間隙で圧接保持する場合の圧入作業時における加硫ゴム
部材の滑り性を有して圧入作業性が良好であるためであ
る。
【0015】即ち、加硫ゴム部材を形成する、高級脂肪
酸系の加工助剤を含有するゴム配合物が、加硫時におい
て非極性ゴムと反応可能でかつ極性基を備えた対金属粘
着性付与剤が配合されていることにより、高温雰囲気下
でも、後述の試験例で示す如く、圧接(圧入を含む。)
タイプのビスカスラバーダンパにおいて、ダンパマス等
の金属部材と加硫ゴム部材との間の結合性(固着性)に
問題が発生し難い。
【0016】また、上記構成において、加工助剤の配合
量が、混練加工性に問題が発生しない量以上で通常配合
量以下とするとともに、対金属粘着性付与剤の配合量
が、対金属粘着性付与の効果を奏する量以上で、加硫ゴ
ム部材の圧縮永久歪みを阻害しない範囲の量以下である
ことが望ましい。ビスカスラバーダンパにおけるばね力
を担う加硫ゴム部材(ラバー部)のばね特性の低下が少
なくなるためである。
【0017】即ち、このとき高級脂肪酸系の加工助剤の
配合量を、混練加工性に問題が発生しない量以上で通常
配合量以下にすることにより、ダンパマス等の金属部材
と加硫ゴム部材との間の結合性(固着性)に問題がより
発生し難くなる。
【0018】さらに、加硫ゴム部材が、エチレン・α−
オレフィン共重合体ゴム(EOR系ゴム)をベースと
し、ステアリン酸を含有するゴム配合物の加硫物であっ
て、ゴム配合物が、ハロゲン基を導入したキノン誘導体
を対金属粘着性付与剤として配合されてなることが望ま
しい。EOR系ゴム材料は、耐熱性に優れ、昨今のエン
ジンルーム内の温度上昇に伴うダンパに対する耐熱性向
上の要求に応え易いためである。また、ハロゲン基を導
入したキノン誘導体を含有させた加硫ゴム部材は、特
に、対金属部材固着性に優れているためである。
【0019】上記キノン誘導体としては、クロラニル
(化合物名:2,3,5,6−テトラクロロキノン)が
あり、その上限配合量は、エチレンプロピレン系ゴム1
00質量部に対して0.7質量部とする。また、ステア
リン酸の下限配合量は、エチレンプロピレン系ゴム10
0質量部に対して0.4質量部とする。
【0020】本発明のビスカスラバーダンパの製造方法
は、上記加硫ゴム部材の圧接保持の形態ケースとダン
パマスとの間に形成される一対の同心状の内・外筒状間
隙で行う、ケースとダンパマスとで形成される一対の
上・下ドーナツ状間隙で行う、にそれぞれ対応して下記
のような構成となる。
【0021】一つは、ハブ部を備えたダンパケースとダ
ンパケースに内設されるダンパマス(慣性体)と、ケー
スとダンパマスとの間に介在する加硫ゴム部材と、三者
で構成される隙間に粘性流体が封入されて形成される粘
性流体封入部とを備えたビスカスラバーダンパの製造方
法において、(1)ケースで形成されるドーナツ状空間
に、所定量の粘性流体を装填(チャージ)する粘性流体
装填工程、(2)筒状のダンパマスを装填するダンパマス
装填工程、(3)ケースとダンパマスとの間に形成される
一対の同心状の内・外筒状間隙にそれぞれ加硫ゴム部材
を圧入する加硫ゴム部材圧入工程、の各工程を経ること
を特徴とする。
【0022】他の一つは、ハブ部を備えたダンパケース
とダンパケースに内設されるダンパマス(慣性体)と、
ケースとダンパマスとの間に介在する加硫ゴム部材と、
三者で構成される隙間に粘性流体が封入されて形成され
る粘性流体封入部とを備えたビスカスラバーダンパの製
造方法において、(1)ケース本体で形成される上方開放
のドーナツ状空間に、所定量の粘性流体を装填(チャー
ジ)する粘性流体装填工程、(2)リング板状の下加硫ゴ
ム部材をドーナツ状空間の底部に配置する下加硫ゴム部
材配置工程、(3)下側加硫ゴム部材の上にダンパマスを
重ねて配置するダンパマス配置工程、(4)ダンパマス上
にリング板状の上加硫ゴム部材を重ねて配置する上加硫
ゴム部材配置工程、(5)ケース本体のドーナツ状空間の
上方開放部をケース蓋部材で閉じて、上・下加硫ゴム部
材を圧縮固定する蓋部材取付け工程、の各工程を経るこ
とを特徴とする。
【0023】
【発明を実施するための最良の形態】図1〜2に本発明
のビスカスラバーダンパの一実施形態を示す。
【0024】本実施形態のビスカスラバーダンパ(以下
単に「ダンパ」と称することがある。)は、ハブ部12
を備えたダンパケース(以下単に「ケース」と称するこ
とがある。)14とダンパケース14に内設されるダン
パマス(慣性体)16と、ダンパケース14とダンパマ
ス16との間に介在するラバー部(加硫ゴム部材)18
A、18Bと、前記三者で構成される隙間に粘性流体V
が封入されて形成される粘性流体封入部24とを備えて
いることを基本構成とする。この粘性流体封入部24の
間隙は要求される減衰特性に応じて0.1〜1ミリの範
囲で選定するが、通常、0.5mm前後とする。
【0025】そして、本実施形態では、ケース14とダ
ンパマス16との間に形成される一対の同心状の内・外
筒状間隙22A、22Bで、内・外加硫ゴム部材18
A、18Bがダンパケース14とダンパマス16(慣性
リング)との間に圧接(圧入)保持されている。
【0026】ここで、ケース14は、ケース14の一部
を兼ねる板状のハブ部12に大小の一対の内・外筒体1
4a、14bが溶接等により一体化して形成する。な
お、ハブ部12には、回転軸の挿入孔12aが中央に形
成されるとともに、その周囲にプーリを取り付けるため
のボルト孔12bが複数個(通常4〜6個)形成されて
いる。
【0027】ここで、ケース14及びダンパマス16
は、通常、ともに金属製であるが、ハブ12は繊維強化
プラスチック等で成形したものであってもよい。
【0028】又、加硫ゴム部の圧縮率は、加硫ゴム部に
要求される固着力にもよるが、通常、24〜45%、望
ましくは33〜42%とする。又、必要により図例の如
く、移動阻止湾曲部20A、20Bを内・外筒状間隙2
2A、22Bに形成してもよい。図例では、湾曲部が対
称性の見地から、内筒状間隙22Aが外側へ、外筒状間
隙22Bが内側へそれぞれ膨出する形態であるが、逆の
関係、内筒状間隙が内側へ、外筒状間隙が外側へそれぞ
れ膨出する形態であってもよい。
【0029】さらには、内筒状間隙及び外筒状間隙がと
もに外側又は内側に膨出してもよい。
【0030】そして、本実施形態では、加硫ゴム部材1
8A、18Bが、非極性ゴムをベースとし、高級脂肪酸
系の加工助剤を含有するゴム配合物で形成されている。
【0031】ここで非極性ゴムとしては、エチレン・α
−オレフィン系ゴム(EOR)が、耐熱性等の見地から
望ましいが、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソ
プレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム
(NR)等であってもよい。
【0032】特に、EOR系ゴムの内、本発明者らが先
に提案した下記要件(1) 〜(3) を満たすポリマーアロイ
をベースポリマー(原料ゴム)として使用することが望
ましい。
【0033】(1) ポリマーアロイは、エチレン・α−オ
レフィン・非共役ジエン共重合体ゴム(A):99〜6
0質量%と液状エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
(B):20〜40質量%からなる。
【0034】(2) エチレン・α−オレフィン・非共役ジ
エン共重合体ゴムは、エチレンと炭素原子数3〜20の
α−オレフィンと、非共役ジエンとからなり、かつ、エ
チレンとα−オレフィンとのモル比が60/40〜73
/27であり、分子量分布指数(Mw /Mn)が4未満
であり、極限粘度[η]が2.7〜5.0dL/gであ
り、ヨウ素価が10〜40であり、非共役ジエンが5−
エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0035】(3) 液状エチレン・α−オレフィン共重合
体ゴムは、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフ
ィンとからなり、かつ、エチレンとα−オレフィンとの
モル比が50/50〜78/22であり、極限粘度
[η]が0.3〜0.5dL/gである。
【0036】上記高級脂肪酸系の加工助剤としては、ス
テアリン酸、ラウリン酸及びそれらのエステル等を挙げ
ることができる。
【0037】そして、加硫系は過酸化物加硫系、硫黄加
硫系を問わないが、耐圧縮永久歪み性に優れている過酸
化物加硫系をベースとすることが望ましい。
【0038】本実施形態では、ゴム配合物が、加硫時に
おいて非極性ゴム(ポリマー)と反応可能でかつ極性基
を備えた対金属粘着性付与剤が配合されている。
【0039】ここで、耐金属粘着性付与剤としては、極
性基(特にハロゲン基:Cl,Br等)を導入したキノ
ン誘導体や、同じく極性基(特にメルカプト基、アミノ
基)を導入したトリアジン誘導体を挙げることができ
る。当該キノン誘導体としては、クロラニル(化合物
名:2,3,5,6−テトラクロロキノン)、また、ト
リアジン誘導体としては、2,4,6−トリメルカプト
−1,3,5−トリアジンが好適に使用できる。
【0040】極性基としては、上記の他に、アミノ基
(NH2 )、水酸基(OH)、カルボキシル基(CO2
H)、ハロゲン化メチル基(CH2 X)等でもよい。
【0041】上記耐金属粘着性付与剤の配合量は、対金
属粘着性付与の効果を奏する量以上で、弾性体の圧縮永
久歪みを阻害しない範囲の量以下とする。例えば、クロ
ラニルの場合、エチレンプロピレン系ゴム(以下「EO
R」)100部に対して0.1〜0.7部、望ましく
は、0.4〜0.6部、さらに望ましくは0.45〜
0.55部とする(図5参照)。
【0042】そして、上記加工助剤の配合量は、通常の
配合量でもよいが、加工性(ゴムの混練加工)に問題が
発生しない量以上で通常配合量以下とすることが、粘着
性の見地から望ましい。具体的には、ステアリン酸の場
合、EOR100部に対して0.4〜1部、望ましく
は、0.45〜0.8部、さらに望ましくは0.5〜
0.6部とする(図6参照)。
【0043】本発明に係る加硫ゴム部材18A、18B
を形成するゴム配合物(未加硫の配合ゴム)には、非極
性ゴム、高級脂肪酸系の加工助剤および対金属粘着性付
与剤の他に、通常のゴム配合に使用されるカーボンブラ
ック、軟化剤(脂肪酸系加工助剤を除く。)、亜鉛華、
その他副資材を配合する。
【0044】上記ゴム配合物は、例えば、有機過酸化物
加硫系のEOR系の場合、例えば、下記のような方法に
より調製する。
【0045】すなわち、バンバリーミキサー等のミキサ
ー類を用いて、上記EORおよび軟化剤(プロセスオイ
ル)、ステアリン酸を30〜170℃の温度で3〜10
分間混練し、次いで、オーブンロール等のロール類を用
いて、加硫剤(有機過酸化物又はイオウ)、カーボンブ
ラック、上記対金属粘着付与剤(クロラニル)、必要に
応じて加硫促進剤または加硫助剤、さらには、その他副
資材を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30
分間混練した後、混練物を押出し、リボン状またはシー
ト状の配合ゴムを調製する。
【0046】本発明に係るEOR系ゴム配合物から加硫
ゴム部材18A、18Bを得るには、上記の未加硫配合
ゴムを意図するゴム部材の形状に成形した後加硫を行う
又は加硫後意図するゴム部材の形状に裁断すればよい。
【0047】すなわち、上記の未加硫配合ゴムは、押出
成形機、カレンダーロール、またはプレスにより意図す
る形状に成形し、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内
に導入し、130〜270℃の温度で1〜30分間加熱
し、加硫ゴムとする。このような加硫を行う際に、金型
を用いてもよいし、また金型を用いなくてもよい。
【0048】次に、上記加硫ゴムは、所定径、幅、厚み
に調製(成形又は裁断により)して帯板状又はリング状
(筒状)の内・外加硫ゴム部材18A、18Bとしてお
く。
【0049】上記加硫ゴム部材18A、18Bを使用し
て本実施形態のダンパを製造するときは、下記工程を経
て製造する(図2参照)。
【0050】(1)粘性流体装填工程:ケース14で形成
されるドーナツ状空間に、所定量の粘性流体を装填(チ
ャージ)する工程である。ここで、粘性流体としては、
通常、10万〜100万cSt(0.1〜1m2-1の高粘
度のシリコーンオイル(粘性流体)Vを使用する。そし
て、充填率は要求される減衰力により異なるが、予定粘
性流体封入部24の容積の70〜95%、望ましくは7
5〜85%とする。
【0051】(2)ダンパマス16装填工程:筒状のダン
パマス16(慣性リング)を装填する。
【0052】(3)加硫ゴム部材圧入工程:ケース14と
ダンパマス16との間に形成される一対の同心状の内・
外筒状間隙22A、22Bにそれぞれ上記内・外加硫ゴ
ム部材18A、18Bを圧入する。ここで、加硫ゴム部
材18A、18Bには、圧入液を塗布して内筒状間隙2
2Aから又は外筒状間隙22Bから圧入する。
【0053】次に、本発明の別の実施形態について説明
をする(図3・4参照)。
【0054】上記実施形態において、加硫ゴム部材19
A、19Bの圧接保持が、前記ケース14とダンパマス
17とで形成される一対の上・下ドーナツ状間隙23
A、23Bで行われている点が基本的に相違するのみで
ある。当該相違に基づく変更点のみについて説明する。
【0055】まず、ダンパケース14において、加硫ゴ
ム部材19A、19Bを上・下ドーナツ状間隙23A、
23Bでダンパマス(慣性体)17で圧接保持するため
のドーナツ状のケース蓋部材26を必要とするととも
に、ケース蓋部材26を係合保持する係合溝15A、1
5Bを内筒体14aの外周面と外筒体14bの内周面に
それぞれ形成する必要がある。
【0056】また、上・下加硫ゴム部材19A、19B
は、載置して圧接するだけなので、通常、所定肉厚に加
硫成形したシート体を裁断(パンチング)して一対ずつ
形成する。このとき、上・下加硫ゴム部材19A、19
Bは同形なので生産性は良好となる。
【0057】なお、この実施形態においては、図3
(A)に示す如く、上・下加硫ゴム部材19A、19B
を圧接して挟み回転軸方向両端に半径(ラジアル)方向
の粘性流体部25、25を形成した構成であるが、図3
(B)に示す如く、リング状のダンパマス17A、17
Bを内外に一対配して、内・外周部位及び中央部位に粘
性流体封入部25C、25D、25Eを形成する構成と
することもできる。この構成とした場合は、粘性流体部
のシール性を確保しやすい。
【0058】そして、本実施形態のダンパの製造方法
は、下記工程を経て製造する(図4参照)。
【0059】(1)粘性流体装填工程:ケース14で形成
される上方開放のドーナツ状空間Cに、所定量の粘性流
体Vを装填(チャージ)する。ここで使用する粘性流体
及びその充填率は、前述の第一の実施形態と同様であ
る。
【0060】(2)下加硫ゴム部材配置工程:リング板状
の下加硫ゴム部材19Bを内外筒体14a、14bで形
成されるドーナツ状空間Cの底部に配置する。
【0061】(3)ダンパマス配置工程:下加硫ゴム部材
19Bの上にダンパマス17を重ねて配置する。
【0062】(4)上加硫ゴム部材配置工程:ダンパマス
17上にリング板状の上加硫ゴム部材19Aを重ねて配
置する。
【0063】(5)蓋部材取付け工程:ケース14本体の
ドーナツ状空間Cの上方開放部をケース蓋部材26で閉
じて、前記上・下加硫ゴム部材19A、19Bを圧縮固
定する。そして、ケース蓋部材26でドーナツ状空間C
を閉じた後は、通常、シール性の見地からない外周とも
全周溶接を行うが、Oリング等を併用してスポット溶接
等で固定してもよい。
【0064】こうして製造した上記各実施形態のダンパ
は、従来と同様にして、プーリ28等を介してクランク
シャフト(回転軸)30に取り付ける。
【0065】そして、通常のビスカスラバーダンパと同
様、ばね特性はラバーリングで、減衰力は粘性流体部で
それぞれ担い、従来と同様、良好なダンパ特性を示す。
【0066】
【試験例】以下、本発明の効果を確認するために行なっ
た試験例について説明をする。
【0067】A.各試験例に使用した基本配合処方は、
下記の通りである。
【0068】EOR配合処方 EOR(ポリマーアロイ) 147部 ステアリン酸 変量 亜鉛華 5部 カーボンブラック 80部 老化防止剤 2部 DCP(40%含有品) 8部 プロセスオイル 13部 クロラニル 変量 なお、使用したポリマーアロイは、下記仕様の高分子量
成分(A成分)100部に対して、下記仕様の低分子量
成分(B成分)47部を配合したものである。
【0069】<A成分仕様>エチレン/α−オレフィ
ン:68/32、分子量分布指数(Mw /Mn ):3.
7、極限粘度[ηc ]:4.0dL/g、ヨウ素価:2
2 <B成分仕様>エチレン/α−オレフィン:68/3
2、極限粘度[ηc ]:0.37dL/g、ヨウ素価:
0 上記基本配合処方において、図2(ステアリン酸:1部
配合)及び図3(クロラニル:0部配合)に、それぞれ
示す各量のクロラニル及びステアリン酸を配合したゴム
配合物をバンバリーミキサーで混練して未加硫ゴム配合
物を調製した。
【0070】当該未加硫ゴム配合物を用いてそれぞれ下
記方法に従って試験を行なった。
【0071】(1) 圧縮永久歪み JIS K 6301に準拠して耐熱試験後(120℃×70h)
の圧縮永久歪みを測定した。
【0072】結果を示す図5からクロラニルの配合量の
増大に対応して、固着力が増大、クロラニルが0.7部
前後から圧縮永久歪みも悪くなることが分かる。
【0073】(2) 固着力・表面析出量 プレス加硫成形(170℃×10min )して円柱体(1
6mmφ×10mmH)を調製し、該円柱体を25mm□×
3.2mmtの鉄板で挟着し35%圧縮状態で、加熱処理
後(120℃×10日)に、圧縮永久歪みを測定すると
ともに、一方の鉄板を固定し、他方の鉄板を引張って鉄
板が加硫ゴム体から離れるときの強さを固着力とした。
【0074】なお、表面析出量は、フーリエ変換赤外分
光法(FT−IR)により測定した。
【0075】結果を示す図6から、ステアリン酸の配合
量の増大に対応して、表面析出量が増大するとともに、
固着力が低下することが分かる。即ち、固着力の見地か
らは、ステアリン酸の配合量は少ない方、1部未満が望
ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるビスカスラバーダンパの一実施
形態を示す縦断面図
【図2】図1のダンパにおいて加硫ゴム部材組み付け前
の横置き状態を示す縦断面図
【図3】本発明におけるビスカスラバーダンパの他の実
施形態及びその変形態様を示す縦断面図
【図4】図3のダンパにおいて加硫ゴム部材組み付け前
の横置き状態を示す縦断面図
【図5】ステアリン酸配合量と表面析出量及び固着力と
の関係を示すグラフ図
【図6】クロラニル配合量と固着力及び圧縮永久歪みと
の関係を示すグラフ図
【符号の説明】
12 ハブ部 14 ダンパケース 16 ダンパマス 18A 内加硫ゴム部材 18B 外加硫ゴム部材 19A 上加硫ゴム部材 19B 下加硫ゴム部材 22A 内筒状間隙 22B 外筒状間隙 23A 上ドーナツ状間隙 23B 下ドーナツ状間隙 24A、24B 粘性流体封入部 26 ケース蓋部材 30 クランクシャフト(回転軸) C ドーナツ状空間 V シリコーンオイル(粘性流体)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハブ部を備えたダンパケースと該ダンパ
    ケースに内設されるダンパマス(慣性体)と、前記ダン
    パケースと前記ダンパマスとの間に介在する加硫ゴム部
    材と、前記の三者で構成される隙間に粘性流体が封入さ
    れて形成される粘性流体封入部とを備えたビスカスラバ
    ーダンパにおいて、 前記加硫ゴム部材が前記ダンパケースと前記ダンパマス
    との間に圧接保持されていることを特徴とするビスカス
    ラバーダンパ。
  2. 【請求項2】 前記加硫ゴム部材の圧接保持が、前記ケ
    ースとダンパマスとの間に形成される一対の同心状の内
    ・外筒状間隙で行われていることを特徴とする請求項1
    記載のビスカスラバーダンパ。
  3. 【請求項3】 前記加硫ゴム部材の圧接保持が、前記ケ
    ースとダンパマスとで形成される一対の上・下ドーナツ
    状間隙で行われていることを特徴とする請求項1記載の
    ビスカスラバーダンパ。
  4. 【請求項4】 前記加硫ゴム部材が、非極性ゴムをベー
    スとし、高級脂肪酸系の加工助剤を含有するゴム配合物
    で形成され、 前記ゴム配合物が、加硫時において前記非極性ゴムと反
    応可能でかつ極性基を備えた対金属粘着性付与剤が配合
    されてなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の
    ビスカスラバーダンパ。
  5. 【請求項5】 前記加工助剤の配合量が、混練加工性に
    問題が発生しない量以上で通常配合量以下にするととも
    に、前記対金属粘着性付与剤の配合量が、対金属粘着性
    付与の効果を奏する量以上で、前記弾性体の圧縮永久歪
    みを阻害しない範囲の量以下であることを特徴とする請
    求項4記載のビスカスラバーダンパ。
  6. 【請求項6】 前記加硫ゴム部材が、エチレンプロピレ
    ン系ゴムをベースとし、ステアリン酸を含有するゴム配
    合物の加硫物であって、 前記ゴム配合物が、ハロゲン基を導入したキノン誘導体
    を対金属粘着性付与剤として配合されてなることを特徴
    とする請求項1、2又は3記載のビスカスラバーダン
    パ。
  7. 【請求項7】 前記キノン誘導体が、クロラニル(化合
    物名:2,3,5,6−テトラクロロキノン)であり、
    その上限配合量が、エチレンプロピレン系ゴム100質
    量部に対して0.7質量部であることを特徴とする請求
    項6記載のビスカスラバーダンパ。
  8. 【請求項8】 前記ステアリン酸の下限配合量が、エチ
    レンプロピレン系ゴム100質量部に対して0.4質量
    部であることを特徴とする請求項7記載のビスカスラバ
    ーダンパ。
  9. 【請求項9】 ハブ部を備えたダンパケースとダンパケ
    ースに内設されるダンパマス(慣性体)と、ケースとダ
    ンパマスとの間に介在する加硫ゴム部材と、前記三者で
    構成される隙間に粘性流体が封入されて形成される粘性
    流体封入部とを備えたビスカスラバーダンパの製造方法
    において、 (1)ケースで形成されるドーナツ状空間に、所定量の粘
    性流体を装填(チャージ)する粘性流体装填工程、 (2)筒状のダンパマスを装填するダンパマス装填工程、 (3)前記ケースとダンパマスとの間に形成される一対の
    同心状の内・外筒状間隙にそれぞれ前記加硫ゴム部材を
    圧入する加硫ゴム部材圧入工程、 の各工程を経ることを特徴とするビスカスラバーダンパ
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 ハブ部を備えたダンパケースとダンパ
    ケースに内設されるダンパマス(慣性体)と、ケースと
    ダンパマスとの間に介在する加硫ゴム部材と、前記三者
    で構成される隙間に粘性流体が封入されて形成される粘
    性流体封入部とを備えたビスカスラバーダンパの製造方
    法において、 (1)ケース本体で形成される上方開放のドーナツ状空間
    に、所定量の粘性流体を装填(チャージ)する粘性流体
    装填工程、 (2)リング板状の下加硫ゴム部材を前記ドーナツ状空間
    の底部に配置する下加硫ゴム部材配置工程、 (3)下側加硫ゴム部材の上にダンパマスを重ねて配置す
    るダンパマス配置工程、 (4)ダンパマス上にリング板状の上加硫ゴム部材を重ね
    て配置する上加硫ゴム部材配置工程、 (5)前記ケース本体のドーナツ状空間の上方開放部をケ
    ース蓋部材で閉じて、前記上・下加硫ゴム部材を圧縮固
    定する蓋部材取付け工程、 の各工程を経ることを特徴とするビスカスラバーダンパ
    の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102006016202B3 (de) * 2006-04-06 2007-07-05 Carl Freudenberg Kg Riemenscheibe mit integriertem Torsionsschwingungsdämpfer und Verfahren zu deren Herstellung
CN103727173A (zh) * 2013-11-29 2014-04-16 辽宁峰阁钛业集团有限公司 一种轴端金属减震器
CN116085420A (zh) * 2023-01-18 2023-05-09 福州大学 一种基于金属橡胶的高阻尼复合减振器及其工作方法

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