JP2002285944A - 車両用エンジンの点火制御装置 - Google Patents

車両用エンジンの点火制御装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン回転数が低い領域でVベルト式自動
変速機の最小変速比へ移行させるようにして低燃費走行
を可能にすること。 【解決手段】 車速判断部18は、車速Vが中間変速域
の基準車速V1に達したときに検出信号を出力する。点火
時期設定部16は、エンジン回転数Neとスロットル開度
θTHとを入力されてマップを検索し、点火時期を決定す
る。点火時期は点火時期制御部17に入力される。点火
時期設定部16はエンジン回転数Ne等に応答して点火時
期を出力するための進角マップと部分的に遅角させた遅
角マップとを有している。車速判別部18からの検出信
号に応答して進角マップを遅角マップに切り替える。こ
の切り替えにより中間変速域で点火時期が遅角方向に変
化させられエンジン回転数が低下し、最小変速比に移行
する。その結果、低回転域から高回転域まで最小変速比
に従って車速が変化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用エンジンの
点火制御装置に関し、特に、ベルト式無段変速機を備え
た車両において走行状態に適した点火時期を設定して最
適の変速特性を引き出すことができる車両用エンジンの
点火制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの運転状態に応じて点火時期を
適当に制御することができるエンジンの点火装置が知ら
れる。例えば、中速回転域では燃費の改善を図るため、
アイドリング時より点火時期を進角させてエンジン出力
および熱効率が向上するようにすることがある。しか
し、点火時期を進角しておくと、スロットル弁を急開し
て急加速させたときにノッキングを生じやすい。そこ
で、中速回転域であってエンジン回転数の上昇率が予定
値より大きいときに点火時期を遅角させるようにしたエ
ンジンの点火装置が提案されている(特開平7−243
373号公報)。この点火装置によれば、急加速したと
きに点火時期が遅角されるので、中速回転域で点火時期
が早すぎるということにならない。
【0003】また、軽負荷時に点火時期を遅角させる装
置も知られるが、軽負荷時にエンジン回転数が急上昇し
たときに点火時期が遅れていると、失火が発生しやす
い。そこで、変速機の変速状態を検出する手段を設け、
変速状態が第1速に近い程、点火時期の遅角量を小さく
するよう、変速状態(第1速〜第5,6速)に応じて遅
角量マップを切り替えることができる点火時期制御装置
が提案されている(特許掲載公報2657669号)。
これにより、エンジン回転数が高速回転数域にあっても
点火時期が大きく遅れることはなく、失火の発生が抑制
される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記点火時期制御装置
では次のような問題点があった。まず、前者では、急加
速を検出したときに点火時期を遅角させる。したがっ
て、急加速を伴わない中速回転域で遅角による点火時期
の変化を生じさせて燃費や乗り心地の改善を図るという
用途には適用できない。
【0005】また、後者では、ベルト式無段変速機は考
慮されていない。無段変速機では変速状態が理論上無限
であり、変速状態毎に遅角量を設定できないため、マッ
プの設定が複雑になる。そこで、無段変速機の変速特性
を考慮し、それに適合した点火時期を選択して燃費の改
善や、走行円滑性の向上を図ることができる点火制御装
置が要望されていた。
【0006】本発明の目的は、上記課題に鑑み、無段変
速機の変速特性に適合した点火時期を選択して変速状態
の切換を円滑にし、かつ燃費改善を図ることができる車
両用点火制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、エンジンの出力を変速して駆動輪に伝達
するVベルト式自動変速機を有する車両用エンジンの点
火制御装置において、エンジン負荷の状態に応じて予定
進角量に点火時期を制御する点火時期制御手段と、車速
を検知する車速センサと、前記車速が、前記Vベルト式
自動変速機の中間変速域に設定された基準車速に到達し
たときに前記予定進角量を遅角補正する点火時期補正手
段とを具備した点に第1の特徴がある。
【0008】また、本発明は、前記点火時期制御手段
が、エンジン回転数およびスロットル開度の関数として
のエンジン負荷状態に応じて点火時期を制御するように
構成されている点に第2の特徴がある。
【0009】また、本発明は、前記予定進角量の遅角補
正が、前記エンジン状態に応じて設定された点火時期マ
ップを、予定エンジン回転数領域で点火時期を遅角した
遅角アップに切り替えることによって行われる点に第3
の特徴がある。
【0010】さらに、本発明は、前記Vベルト式自動変
速機が、最大スロットル開度時の中間変速域で車速増加
に対応してエンジン回転数が低下する変速特性を有して
いる点に第4の特徴がある。
【0011】第1〜第4の特徴によれば、中間変速域に
予め設定された基準車速に達したときに、遅角方向に点
火時期が変化され、その結果エンジン出力が低下して自
動変速機がトップレシオ(最小変速比)側へ自動変速さ
れ、エンジン回転数が低下する。このように、低いエン
ジン回転数でトップレシオに移行されるので、その低い
エンジン回転数から高いエンジン回転数の領域までトッ
プレシオを使用でき、結果的に、低燃費走行つまり燃料
消費率が小さい走行状態が可能となる。
【0012】また、第3の特徴によれば、マップの切り
替えによって、点火時期を遅角方向に補正できるので、
予め設定された遅角量に簡単に切り替えることができ
る。さらに第4の特徴によれば、予め、車速増加に対応
してエンジン回転数が低下する変速特性の自動変速機を
設定することで、小さい遅角制御量でトップレシオに移
行できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態を説明する。図4は、本発明の一実施形態に係
る車両加速制御装置を有する自動二輪車の自動変速機の
断面図である。なお、本発明は、自動二輪車に限らずバ
ギー車など、乗員がサドルにまたがって乗る鞍乗り型車
両に広く適用できる。同図において、エンジン1の出力
はVベルト式自動変速装置2を介して遠心クラッチ3に
伝達され、この遠心クラッチ3を介してさらに後輪(駆
動輪)4に伝達される。エンジン1の出力軸つまりクラ
ンクシャフトである駆動軸11には、固定フェイス12
と、駆動軸11に対してその軸方向に変位自在な可動フ
ェイス13と、ランプ(傾斜)プレート14と、可動フ
ェイス13およびランププレート14間に配置されて遠
心力の大きさに応じて可動フェイス13の半径方向で変
位するウェイトローラ15とが設けられる。固定フェイ
ス12および可動フェイス13は駆動側Vプーリを構成
する。
【0014】後輪側の軸つまりドリブンシャフト31の
一端には、椀状のクラッチアウタ32が固定され、クラ
ッチアウタ32のハブ33には、ドリブンシャフト31
の周方向で回動自在なボス34が設けられる。ボス34
の一端には固定フェイス21が固定される。また、ボス
34の長手方向つまりドリブンシャフト31の軸方向に
変位自在な可動フェイス22が設けられ、可動フェイス
22はコイルスプリング23によって固定フェイス21
側に付勢される。ボス34の他端には、クラッチインナ
プレート35が固定され、クラッチインナプレート35
には、クラッチシュー36が取り付けられる。固定フェ
イス21および可動フェイス22は被動側Vプーリを構
成する。駆動側Vプーリと被動側Vプーリとの間にはV
ベルト24が掛けわたされる。
【0015】ドリブンシャフト31はギヤトレイン5を
介して後輪4の軸41に連結される。ギヤトレイン5の
ファイナルシャフト51に設けられたファイナルギヤ5
2の外周面つまり歯に対向して車速センサ6が設けられ
る。車速センサ6はファイナルギヤ52の歯の凹凸に対
応し、歯先部が対向するときと、歯底が対向するときと
で異なる信号を出力する。すなわち、ファイナルギヤ5
2の回転に伴って、歯の形状に応じて変化する信号を出
力する。この信号は図示しない制御部でしきい値に従っ
て2値化され、結果的にファイナルギヤ52の回転に従
ったパルス信号列に変換される。このパルス信号の予定
期間内の数は車速の関数として車速を代表する。なお、
エンジン1内には駆動軸11の回転数を検出するエンジ
ン回転数センサが設けられ、吸気管には吸気管負圧セン
サつまりPBセンサが設けられる(いずれも公知のもの
を使用できるので図示は省略する)。
【0016】図6は、遠心クラッチ3の要部拡大断面図
である。同図において、ボス34にカム37が遊嵌され
る。カム37は、半径方向に貫通するカム溝38を有す
る円筒体であり、一端が可動フェイス22に固定され
る。ボス34にはピン39が固着され、このピン39は
カム溝38に係合する。カム溝38はボス34の中心軸
つまりドリブンシャフト31に沿って延びる部分(直線
部分)38aと、直線部分38aにつながり、直線部分
38aに対して角度αの方向に延びる部分(傾斜部分)
38bとを有する。
【0017】上記遠心クラッチ3の構成により、コイル
スプリング23を圧縮して可動フェイス22を偏倚させ
るときには、カム溝38とピン39との間に、カム溝3
8の傾斜部分38bの角度に応じて発生する分力が作用
する。すなわち、コイルスプリング23の力に加算され
て可動フェイス22の偏倚を妨げる力が発生する。換言
すれば、実質的に、コイルスプリング23のばね定数が
大きくなる。そして、このカム37によって発生する付
加力は、変速比が小さくなったとき、つまり可動フェイ
ス22が固定フェイス21から離れる量が大きくなった
ときに小さくなる。そして、ピン39がカム溝38の直
線部分38aに至ると、カム溝38とピン39とが自由
に摺動でき、可動フェイス22に対するカム溝38によ
る抗力はなくなる。
【0018】図7は、駆動側Vプーリの変形例に係る断
面図である。同図において、可動フェイス13の内壁つ
まりウェイトローラ15が内装されている側の壁面は可
動フェイス13の中心寄りで傾斜角α1を有し、外周寄
りで傾斜角α1より大きい傾斜角α2を有している。
【0019】動作時、エンジン1の回転数に応じてウェ
イトローラ15に遠心力が作用し、駆動側Vプーリの固
定フェイス12および可動フェイス13の間隔が変化す
る。この間隔に応じて駆動側Vプーリおよび被動側Vプ
ーリに対するVベルト24の巻き掛け径が変わり、変速
比が変化する。
【0020】エンジン1の回転数が上がり、被動側Vプ
ーリの回転数が所定値に達すると、クラッチシュー36
がクラッチアウタ32に所定値以上の力で当接してドル
ブンシャフト31に回転が伝達され、後輪4が駆動され
る。さらに、ウェイトローラ15の遠心力がコイルスプ
リング23による抑止力を超えるようなエンジン回転数
に達すると、ウェイトローラ15が変位を始め、変速比
が変化する。
【0021】なお、駆動側Vプーリの形状により、最小
変速比領域近傍つまりウェイトローラ15が大きい傾斜
角α2に当接し始めたところで、ウェイトローラ15の
偏倚割合が抑制され、エンジン1の回転数の増大の割合
に、変速比は小さくならない。
【0022】上述の、駆動側Vプーリの形状および被動
側Vプーリのカム溝38の形状によって設定される力の
釣り合いに従って、変速比は小さくなり、ピン39がカ
ム溝38に対して自由に摺動できる位置に達すると、変
速比は急速に最小に向かって変化するので、エンジン回
転数Neは低下することなく、車速Vが増大する。
【0023】上記自動変速装置を搭載した自動二輪車の
エンジン1のインテークマニホルドにはスロットルボデ
ィが設けられる。図5はスロットルボディの平面図であ
る。このスロットルボディ7は2つの通路を有する2連
のものである。それぞれの通路71,72にはスロット
ルバルブ73,74が設けられる。スロットルバルブ7
3,74は共通の支持軸75を有し、この支持軸75の
端部には、支持軸75の回転方向の位置を検出するスロ
ットルセンサ8が設けられる。スロットルセンサ8は支
持軸75の回動位置に対応した電圧値の信号を出力す
る。この信号は支持軸75に結合されるスロットルバル
ブ73,74の開度を代表し、図示しないA/D変換器
でデジタル信号化されて制御装置のマイクロコンピュー
タに供給される。
【0024】次に、上記自動変速機の変速特性を説明す
る。まず、比較のため、後述の制御を行わないときの車
速とエンジン回転数との関係を説明する。図8は、スロ
ットル開度θTHが全開のときの変速特性を示す。まず、
エンジン1の回転数Neが低い間はクラッチシュー36が
クラッチアウタ32と離れているので、エンジン回転数
Neは上昇するが、遠心クラッチ3が遮断状態であり、車
両は停止したままである。つまり車速Vは「0」のまま
である。エンジン回転数Neが回転数Ne1に達すると、遠
心クラッチ3のクラッチシュー36がクラッチアウタ3
2に接触して車両は発進する。遠心クラッチ3が接触し
た当初は半クラッチ状態で、エンジン回転数Neは一定の
まま車速Vは増大する。遠心クラッチ3が完全に接続さ
れるとウェイトローラ15が駆動側Vプーリの最小半径
側に位置したまま、エンジン回転数Neは増加し、最大変
速比で車速Vは増大する。
【0025】さらにエンジン回転数Neおよび車速は最大
変速比の直線Lmaxに乗って変化し、エンジン回転数Neが
回転数Ne2に達すると、コイルスプリング23のばね力
によって張力を与えられたVベルト24による可動フェ
イス13に作用する軸方向力を、ウェイトローラ15の
遠心力による軸方向力が上回り、変速比が小さくなって
車速Vが増大する。中速域の後半ではややエンジン回転
数Neが上昇しつつ車速Vはさらに増大する。そして、エ
ンジン回転数Neが回転数Ne3に達すると、最小変速比の
直線Lminに乗り、車速Vはさらに増大する。
【0026】このような特性によれば、スロットル開度
θTHが全開状態ではエンジン回転数Neが比較的高い値
(Ne3)にならないと最小変速比にならないので、燃費
の低下つまり燃料消費率の増大にもつながりやすい。そ
こで、本実施形態では、車速Vが、中間変速域内の予定
値に達したところで、自動的にエンジンの出力を落とし
てエンジン回転数Neを低下させ、最小変速比の直線Lmin
に乗るように制御する(図8の点線Ts1参照)。このよ
うに、中間変速域でエンジン回転数Neを低下させること
により、迅速に最小変速比に移行させることができる。
具体的には、エンジン回転数Neを低下させるため、上記
予定車速において、点火時期を遅角方向に変化させる。
より具体的には、高トルクが必要な低速域用に設定され
た進角マップを、前記予定車速において燃費の向上する
ように高速用に設定された遅角マップへ切換える。
【0027】図10は、進角マップの一例、図11は遅
角マップの一例である。図10において、点火時期IGMP
は、スロットル開度θTHにかかわらず、エンジン回転数
Neが上昇するとともに進角方向に変化する。一方、図1
1に示すように、遅角マップでは、スロットル開度θTH
が最大開度近く(80%)において、アイドル回転数域か
ら脱出した中速回転数域で、点火時期IGMAPを遅角方向
に偏倚させている。
【0028】図2は、モード切替(マップ切り替え)処
理のフローチャートである。ステップS1では、車速セ
ンサの検出信号を読み込み、車速Vにセットする。ステ
ップS2では、車速Vがモード切替車速V1より高いか否
かが判断される。車速Vがモード切替車速V1以下と判断
された場合は、ステップS3に進み、モードフラグFMを
参照してモードが高速モード(FM1=1)か低速モード(FM=
0)かを判別する。高速モードであればステップS4に進
み、モードが変化されたことを示すモード変化フラグFM
Cをセットする(=1)。ステップS5では、モードフラグF
Mをリセット(=0)して低速モードであることを示す。ス
テップS3で低速モードであると判別された場合は、ス
テップS4,S5はスキップする。
【0029】ステップS2で車速Vがモード切替車速V1
以上であると判断された場合は、ステップS6に進み、
モードフラグFMを参照してモードが高速モードか低速モ
ードかを判別する。低速モードであればステップS7に
進み、モードが変化されたことを示すフラグFMCをセッ
トする(=1)。ステップS8では、モードフラグFMをセッ
ト(=1)して高速モードであることを示す。ステップS6
で高速モードであると判別された場合は、ステップS
7,S8はスキップする。
【0030】図3は点火時期マップ検索処理のフローチ
ャートである。ステップS10では、スロットル開度検
出フラグFTH(図示しない別途処理でセットまたはリセ
ットされる)を参照してスロットルセンサ8の出力が予
定のフェールセーフ値の範囲内か否かを判別する。スロ
ットルセンサ8の出力が予定値の範囲内でない場合(FTH
=1)は、ステップS22に進み、F/S(フェールセーフ)
時テーブル(図示せず)を検索して点火時期IGMAPを決
定する。
【0031】スロットルセンサ8の出力が正常の範囲な
らば、ステップS11に進んでモードフラグFMを参照
し、モードが高速モードか低速モードかを判別する。低
速モードであればステップS12に進み、第1の点火マ
ップ(進角マップ)IGMP1を検索して点火時期目標値IGM
PMにセットする。一方、高速モードであればステップS
13に進み、第2の点火マップ(遅角マップ)IGMP2を
検索して点火時期目標値IGMPMにセットする。進角マッ
プと遅角マップはスロットル開度θTHとエンジン回転数
Neとに基づいて検索される。
【0032】ステップS14では、モード変化フラグFM
Cを参照してモード変化があったか否かを判別する。モ
ード変化があったならばステップS15に進んで点火制
御フラグFSIGを参照し、演算点火制御(FSIG=1)するか、
固定点火(FSIG=0)とするかを判別する。点火制御フラグ
FSIGは図示しない別途処理でエンジン回転数Neに従って
セット・リセットされる。例えば、1000rpm以上のとき
にセット(=1)される。
【0033】演算点火制御の場合は、ステップS16に
進み、マップ検索された点火時期IGMPと点火時期目標値
IGMPMとの差ΔIGMPの絶対値が、目標値IGMPMへの単位移
行量IGMRより大きいか否かを判断する。単位移行量IGMR
は例えば時間tmMR毎に0.5°とする。この絶対値が単位
移行量IGMRより大きい場合はステップS17に進み、点
火時期目標値IGMPMへの移行処理タイマTのタイマ値tmM
Rが「0」以下か否かを判断する。タイマ値tmMR「0」
になっていれば、ステップS18に進んで点火時期IGMP
と点火時期目標値IGMPMとの差ΔIGMPが「0」になって
いるか否かを判断する。点火時期IGMPと点火時期目標値
IGMPMとの差ΔIGMPが「0」になっていれば、ステップ
S19に進み、単位移行量IGMRを加算して点火マップ値
IGMPを更新する。また、タイマ値tmMRに移行処理時間TM
MRをセットする。
【0034】ステップS18で、点火時期IGMPと点火時
期目標値IGMPMとの差ΔIGMPが「0」になっていなけれ
ばステップS20に進み、点火時期IGMPから点火時期目
標値IGMPMへの単位移行量IGMRを減算して点火時期IGMP
を更新する。また、タイマ値tmMRに移行処理時間TMMRを
セットする。
【0035】ステップS16で点火時期IGMPと点火時期
目標値IGMPMとの差ΔIGMPの絶対値が単位移行量IGMRよ
り小さいと判断された場合はステップS21に進み、点
火時期目標値IGMPMで点火時期値IGMPを更新し、タイマ
値tmMRに移行処理時間TMMRをセットする。また、モード
変化フラグFMCをリセットする(=0)。
【0036】なお、上記制御に連動して燃料噴射量を決
定する燃料噴射マップの切り替えも可能である。この燃
料噴射マップは、スロットル開度θTHとエンジン回転数
Neとの関数として設定されているが、スロットル開度θ
THに代えてPBセンサの出力つまり吸気管負圧Pbとエ
ンジン回転数Neとの関数として点火時期を設定してもよ
い。特に、スロットル開度θTHが小さい場合には、この
スロットル開度θTHによっては正確にエンジン付加状態
を検知することができないことがあるので、このような
低スロットル開度領域では吸気管負圧Pbをパラメータ
として燃料噴射量を決定するのが有効である。
【0037】次に、上記点火制御装置の機能を説明す
る。図1は点火制御装置の要部機能を示すブロック図で
ある。同図において、エンジン負荷状態を代表するパラ
メータとしてのエンジン回転数Neおよびスロットル開度
θTHは、点火時期設定部16に入力される。なお、燃料
噴射量をも制御する場合は、上述のように吸気管負圧P
bを入力することができる。このためのスロットル開度
判別手段は図示しない。点火時期設定部16は、エンジ
ン負荷状態に応じて点火時期を決定し、点火制御部17
に供給する。点火時期設定部16は、エンジン負荷状態
を入力されて点火時期を出力するマップを有することが
できる。車速判別部18には車速Vが入力され、中間変
速域に設定された基準車速V1と車速Vとが比較される。
そして車速Vが基準車速V1より大きくなった時に検出信
号を出力し、この検出信号は点火時期設定部16に入力
される。点火時期設定部16は、検出信号に応答して点
火時期を遅角させる。点火時期の遅角は、点火時期マッ
プを進角マップから遅角マップに切り替えることによっ
て行うことができる。これらマップの例は先に、図1
0,11に関して説明した。
【0038】このように、車速Vが基準車速V1に達した
ときに、点火時期を遅角方向に偏倚させたマップに切り
替えることにより、エンジン出力を落としてエンジン回
転数Neを低下させることができ、迅速、かつ円滑に最小
変速比への移行が可能となる。また、中間変速域で予定
の車速V1に達したときにスロットル操作を大きく閉じる
操作をしなくても、車速Vの増大が実質的に抑制される
ので、車速Vを制限速度内に維持するような運転も容易
である。
【0039】なお、点火時期マップをさらに多く(2枚
以上)持ち、基準車速Vを複数段階設定することによ
り、遅角量を徐々に変化させて最小変速比への移行特性
を変化させることができる。
【0040】上記点火時期の遅角制御は、図8のような
中間変速域での変速特性を有する自動変速機に適用して
も効果をあげることができる。しかし、中間変速域で車
速Vに応じてエンジン回転数Neをむしろ下降傾向(右下
がり)となる変速特性の自動変速機に適用すると、さら
に効果が大きい。
【0041】図9は、カム37と駆動側Vプーリの形状
によって設定された変速装置の変速特性の第2の例を示
す図である。同図に示すように、中間変速域では、エン
ジン回転数Neは下降気味に変化しつつ、車速Vが増大す
る。すなわち、エンジン回転数Neが上昇しないまま最小
変速比に移行する。このような特性の自動変速装置に上
記点火時期の遅角制御を加えると、図中線Ts2で示すよ
うに車速V1の時点でエンジン回転数Neが低下し、エンジ
ン回転数Neが回転数Ne2より低いNe4で最小変速比に移行
する。
【0042】図12はカム溝38の形状の変形例であ
る。上述の右上がりの特性を得るため、カム溝38を屈
曲部を有する図6のものと異なり、前記ドリブンシャフ
ト31に沿って延びている直線部分38aをなくし、全
体に緩やかな湾曲状とした。
【0043】こうして、図9のような右下がりの特性か
ら、車速V1で遅角マップを選択すれば、きわめて迅速に
最小変速比に移行させることができる。したがって、ス
ロットル開度最大の領域までエンジン回転数Neを低く押
さえられるので、燃費のよい運転が可能となる。
【0044】このように、本実施形態では、駆動側Vプ
ーリの形状と被動側Vプーリに設けられたカム37を含
む可動フェイス22の付勢力調整機構に、遅角制御を加
えることによって、最小変速比への移行がさらに改善さ
れた変速特性が実現される。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から明らかなとおり、請求項
1〜請求項4の発明によれば、中間変速域に予め設定さ
れた基準車速に達したときに、エンジン回転数が低下し
て自動変速機がトップレシオ側へ自動変速される。この
ように、低いエンジン回転数でトップレシオに移行され
るので、その低いエンジン回転数から高いエンジン回転
数の領域までトップレシオを使用でき、結果的に、低燃
費走行が可能となる。
【0046】また、スロットル開度を大きく変化させる
ことなく車速を維持させることができるので、例えば、
制限車速以下に維持して走行するのが容易である。
【0047】また、請求項3の発明によれば、マップの
切り替えによって、予め設定された遅角量に簡単に切り
替えることができる。
【0048】さらに請求項4の発明によれば、予め、車
速増加に対応してエンジン回転数が低下する変速特性の
自動変速機を設定することで、小さい遅角制御量でトッ
プレシオに移行できる。したがって、急激に進角量を小
さくして出力を低下させるのと異なり、車速の増大に伴
って次第にエンジン回転数が低下して最大変速比に移行
するので、運転中の加速フィーリングを良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る制御装置の要部機
能を示すブロック図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る制御装置の、モー
ド切替のフローチャートである。
【図3】 本発明の一実施形態に係る制御装置の、点火
時期マップ検索のフローチャートである。
【図4】 自動変速機の断面図である。
【図5】 スロットルボディの平面図である。
【図6】 遠心クラッチの断面図である。
【図7】 Vベルト自動変速機の駆動側Vプーリの要部
断面図である。
【図8】 自動変速機の変速特性上での車速とエンジン
回転数との関係図(その1)である。
【図9】 自動変速機の変速特性上での車速とエンジン
回転数との関係図(その2)である。
【図10】 点火時期マップの一例を示す図である。
【図11】 遅角部分を含む点火時期マップの一例を示
す図である。
【図12】 Vプーリの付勢力調整用カムのカム溝拡大
図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…自動変速機、 3…遠心クラッ
チ、 4…駆動輪、 5…ギヤトレイン、 6…車速セ
ンサ、 8…スロットルセンサ、 16…点火時期設定
部、 17…点火制御部、 18…車速判別部、 21
…固定フェイス、22…可動フェイス、 23…コイル
スプリング、 37…カム、 38…カム溝、 39…
ピン、 34…ボス
フロントページの続き Fターム(参考) 3G022 CA07 DA02 EA08 GA05 GA07 GA08 GA19 3G093 AA02 AA06 BA11 BA19 CB02 CB03 CB14 DA01 DA03 DA06 DB05 DB23 EA13 FA10 FB02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの出力を変速して駆動輪に伝達
    するVベルト式自動変速機を有する車両用エンジンの点
    火制御装置において、 エンジン負荷の状態に応じて予定進角量に点火時期を制
    御する点火時期制御手段と、 車速を検知する車速センサと、 前記車速が、前記Vベルト式自動変速機の中間変速域に
    設定された基準車速に到達したときに前記予定進角量を
    遅角補正する点火時期補正手段とを具備したことを特徴
    とする車両用エンジンの点火制御装置。
  2. 【請求項2】 エンジン回転数検出手段と、スロットル
    開度検出手段とを具備し、 前記点火時期制御手段が、エンジン回転数およびスロッ
    トル開度の関数としてのエンジン負荷状態に応じて点火
    時期を制御するように構成されていることを特徴とする
    請求項1記載の車両用エンジンの点火制御装置。
  3. 【請求項3】 前記予定進角量の遅角補正が、前記エン
    ジン状態に応じて設定された点火時期マップを、予定エ
    ンジン回転数領域で点火時期を遅角した遅角アップに切
    り替えることによって行われることを特徴とする請求項
    2記載の車両用エンジンの点火制御装置。
  4. 【請求項4】 前記Vベルト式自動変速機が、最大スロ
    ットル開度時の中間変速域で車速増加に対応してエンジ
    ン回転数が低下する変速特性を有していることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の車両用エンジンの
    点火制御装置。
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