JP2002285329A - 成膜方法 - Google Patents

成膜方法

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JP2002285329A
JP2002285329A JP2001088177A JP2001088177A JP2002285329A JP 2002285329 A JP2002285329 A JP 2002285329A JP 2001088177 A JP2001088177 A JP 2001088177A JP 2001088177 A JP2001088177 A JP 2001088177A JP 2002285329 A JP2002285329 A JP 2002285329A
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JP2001088177A
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Kazutomo Miyata
一智 宮田
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CAD方式又はDWDD方式の光磁気記録媒
体など、各種の高密度記録媒体等の製造にあたって、そ
の記録再生構成膜などの従来にない高い精度の組成制御
を必要とする成膜体をスパッタリングで成膜する際に、
ターゲット自体の組成のばらつきに左右されることな
く、高精度で組成を制御を行い得る成膜方法を提供し、
各種記録媒体の生産性、歩留りの向上をはかる。 【解決手段】 同心円的に配置された3つ以上のターゲ
ット1〜3から同時にスパッタリングして、目的とする
組成を有する成膜体を形成する。上記3つ以上の各ター
ゲットの全部もしくは一部のターゲットに異なる給電が
なされるようにして上記成膜体を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光磁気記録媒体の
磁性膜や、相変化材料による高密度記録媒体の記録膜な
ど、組成の厳密な制御を必要とする薄膜を成膜する際に
用いて好適な成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報社会の発展に伴い、記録媒体
には、大容量化、高密度化、転送速度やアクセスタイム
の高速化といった要求が増大し、これらに向けた技術開
発は目覚ましく進歩している。例えば光磁気記録におい
ても同様の開発が進められているが、光ディスクにおい
ては、特に高密度化が重要視されている。
【0003】光ディスクの記録密度は、基本的には光学
条件により決定される。しかしながら、光磁気ディスク
ではその光学限界を越える技術として、磁気的超解像技
術が種々開発されている。
【0004】超解像技術は各種の方式に分類できるが、
特に再生磁界を不要とする方式は、実用化が容易という
利点がある。再生磁界が不要なタイプとしては、CAD
やDWDDなどが研究されている。以下これらについて
説明する。
【0005】先ず、CADで用いる光磁気ディスクの構
造は、例えば再生層、中間層、記録層の3層、またはこ
れらの間に介在される誘電体層等より構成される。再生
層の磁気特性は、再生光のスポット中心部の温度ではこ
の再生層の垂直磁気異方性が大きくなり、室温では面内
磁化膜となるようにその組成、膜厚等が設計される。
【0006】光磁気ディスクの再生系では、極カー回転
を検出するため、面内磁化は検出されず、従って再生ス
ポット内の低温部では面内磁化膜によるマスク効果が生
じて、垂直磁気異方性が大となったスポット内の高温部
のみの磁化を読み取ることができる。
【0007】このように磁気異方性の温度特性を制御す
ることによって光学系による限界を越えた超解像の再生
が可能となる(例えば特開平8−36792号公報)。
【0008】一方、DWDDで用いる光磁気ディスクは
一般に、移動層、切断層、記録層の少なくとも3層、ま
たはこれらの間に介在される誘電体層等により構成され
る。室温程度の低温時、即ち再生光が照射されていない
時は、記録層と移動層は切断層を介して磁気交換結合さ
れている。
【0009】再生光が照射された時、各層の温度は上昇
するが、この再生光照射時に切断層のキュリー温度を越
えるように切断層の組成、膜厚等を設定する。切断層が
磁性を失うと、記録層と移動層の交換結合が切れて、各
層が単層で安定するように磁区の大きさが変化する。こ
の安定する磁区の大きさは、磁気異方性が大きければ小
さく、逆に磁気異方性が小さければ大きくなる。
【0010】記録層の磁気異方性を比較的大となるよう
に組成、膜厚等を設定しておくと、切断層が磁性を失っ
ても記録層の磁区の大きさは変わらない。またはその大
きさの変動を無視できる程度とすることができる。
【0011】これに対し移動層の磁気異方性を小として
組成、膜厚等を設定すると、切断層のキュリー温度以上
の温度で、磁区は急激に拡大する。このため、記録層に
記録された磁区は光学系の限界を越えた微小な磁区であ
っても、再生層の拡大した磁区を読み取ることによっ
て、記録内容を再生することができることとなる(例え
ば特開平6−290496号公報)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】現在、上述したよう
に、高密度記録を実現するために例えば超解像再生方式
に適用されるように設計された光磁気ディスクなど、各
種の光磁気ディスクが生産されている。その記録層、再
生層又は移動層などの記録再生に寄与する磁性層は、殆
どスパッタリングにより成膜されている。
【0013】スパッタリングにおいてこのような磁性層
の組成制御は、ターゲットの管理により行っている。タ
ーゲット自体の組成にもばらつきがあるが、従来の光磁
気ディスク等の記録媒体の製造にあたっては、このター
ゲット自体の組成のばらつきが問題となることはなかっ
た。
【0014】しかしながら、上述したようなCAD又は
DWDDのように、再生層や移動層など、磁気特性の温
度変化を制御して、再生光スポット内という微小な範囲
での機能を必要とする磁性層の組成は、マージンが従来
の媒体の組成に比し、非常に狭いことがわかってきた。
そのため、上述のターゲット自体の組成のばらつきを許
容できなくなってくるという問題が生じている。
【0015】本発明は、このようなCAD方式又はDW
DD方式の光磁気記録媒体を含んで、各種の高密度記録
媒体等において、その記録再生層を構成する上述の再生
層や移動層など、従来にない高い組成制御の精度を必要
とする薄膜をスパッタリングで成膜する際に、ターゲッ
ト自体の組成のばらつきに左右されることなく、高精度
で組成を制御し得る成膜方法を提供し、これにより記録
媒体の特性の低下やばらつきを抑制して、生産性及び歩
留りの向上をはかることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、同心円的に配
置された3つ以上のターゲットから同時にスパッタリン
グして、目的とする組成を有する成膜体を形成する。
【0017】また本発明は、各ターゲットの全部もしく
は一部のターゲットに異なる給電がなされるようにし
て、成膜体を形成する。
【0018】更に本発明は、ターゲットを、ほぼ円形の
第1のターゲットと、この第1のターゲットの外径より
大なる内径を有する第2のリング状のターゲットと、第
2のターゲットの外径より大なる内径を有する第3のタ
ーゲットとより構成し、第1及び第3のターゲットをほ
ぼ同じ組成として、第1及び第3のターゲットの成膜速
度に対し、第2のターゲットの成膜速度を調整して成膜
体の組成制御を行う。
【0019】また本発明は、成膜体を、記録媒体の記録
再生構成膜の少なくとも1層とする。
【0020】更に本発明は、記録媒体が、少なくとも情
報が記録される記録層と、この記録層に記録された情報
を読み出して再生するための再生層とより成る記録再生
構成膜を有し、再生光照射による温度上昇によって再生
光スポット内の所定の温度以上の領域でのみ、記録情報
の読み出しがなされるCAD方式による記録媒体であっ
て、成膜体をこの記録媒体の記録層及び再生層の少なく
ともいずれか一方とする。
【0021】また本発明は、記録媒体が、少なくとも小
さな磁壁抗磁力を有する移動層と、低いキュリー温度を
有する切断層と、大きな磁壁抗磁力を有する記録層とよ
り成る記録再生構成膜を有し、室温ではこの記録層と移
動層とが切断層とを通じて磁気交換結合し、再生光照射
による温度上昇に伴い、切断層がキュリー温度以上とな
ると移動層と記録層との磁気交換結合が切断されて、移
動層内の磁壁が再生光スポット内のピーク温度部に向か
って移動して磁区が拡大するDWDD方式による記録媒
体であって、成膜体をこの記録媒体の少なくとも移動層
とする。
【0022】このように、本発明においては従来のスパ
ッタリングにおけるターゲットとは異なり、3つ以上の
ターゲットを同心円的に配置して成膜体の成膜を行うこ
とによって、より精密な組成制御を行うことができる。
【0023】特に、各ターゲットの全部もしくは一部
に、異なる給電がなされることによって、各ターゲット
からスパッタリングされる材料の成膜速度を制御するこ
とができて、確実に組成制御を行うことが可能となる。
【0024】また、ターゲットを、ほぼ円形の第1のタ
ーゲットと、この第1のターゲットの外径より大なる内
径を有する第2のリング状のターゲットと、第2のター
ゲットの外径より大なる内径を有する第3のターゲット
とより構成し、第1及び第3のターゲットをほぼ同じ組
成として、第1及び第3のターゲットの成膜速度に対
し、第2のターゲットの成膜速度を調整することによっ
て、簡単且つ確実に成膜体の組成制御を行うことができ
る。
【0025】更に、この成膜体を、記録媒体の記録再生
に寄与する記録再生構成膜の少なくとも1層とすること
により、組成の厳密な制御を必要とする記録再生構成膜
を有するCAD方式やDWDD方式による光磁気記録媒
体、または例えば相変化材料層を有する記録媒体など
を、精度よく、またばらつきを抑制して十分な歩留りを
もって生産することが可能となり、コストの低減化、歩
留り及び生産性の向上をはかることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態について図
面を参照して説明する。本実施形態においては、記録媒
体の記録再生構成膜を成膜する場合に本発明を適用した
例を説明するが、本発明はこれに限ることなく、その
他、組成を厳密に制御する種々の成膜体を成膜する際に
適用し得ることはいうまでもない。
【0027】先ず、図1A及びBを用いて本発明による
成膜方法で用いるターゲットの一例を説明する。図1A
において、4は、同心円的に配置された3つ以上のター
ゲットから成るターゲット体の側面を示す。10は、こ
のターゲット体4からのスパッタリングにより成膜体が
形成される基板を示す。
【0028】ターゲット体4の構成の一例を図1Bに示
す。図1Bにおいて、1はほぼ円形の第1のターゲッ
ト、2はこの第1のターゲットの外径φ1 よりやや大な
る内径φ2iを有する例えばリング状の第2のターゲッ
ト、3は第2のターゲットの外径φ2oよりやや大なる内
径φ3iを有する第3のターゲットを示す。φ3oは、第3
のターゲット3の外径を示す。
【0029】このように、ターゲット4は、第1〜第3
のターゲット1〜3が同心円的に配置されて構成され
る。図1Bにおいて一点鎖線cは中心軸を示す。
【0030】図2に、本実施形態に用いたマルチチャン
バー型の基板処理装置の一例の構成を示す。図2におい
て、40は基板処理装置、41はメインチャンバーで、
この例では、その周囲にプロセスチャンバー42が複数
配置されるいわゆる枚葉型の装置を示す。基板ホルダー
43は、回転機構部44を中心軸として、各プロセスチ
ャンバー42へ、順次搬送される。
【0031】図2においては、各チャンバー間のゲート
バルブ、排気管等を省略しているが、通常の基板処理装
置と同様に設けられ、各処理室が相互に独立した雰囲気
とされることはいうまでもない。
【0032】図3に、基板の搬送態様の一例を模式的に
示す。ターゲット4はプロセスチャンバー42内に配置
され、基板ホルダー43がメインチャンバー41から、
ゲートバルブ(図示せず)を通して矢印lで示すように
搬送される。そして、所定の組成の成膜処理が終わる
と、矢印rで示すように基板ホルダー43が回転移動し
て、次のプロセスチャンバー42に搬送される。φt
ターゲット4の外径を示す。
【0033】図4は、ターゲット4を構成する第1〜第
3のターゲット1〜3へのそれぞれの給電態様を示す模
式図である。5は、各ターゲット1〜3の基板と対向す
る側とは反対側に配される磁石ユニットで、例えば図示
のように、各ターゲット1〜3の内側と外側とがそれぞ
れN極、S極となるように配置して、スパッタリングの
収束方向を補助する。6〜8は、各ターゲット1〜3に
それぞれ接続される交流電源を示す。42はプロセスチ
ャンバーを示す。
【0034】このようにして、例えば第1〜第3のター
ゲット1〜3への一部もしくは全部に異なる給電、この
場合電圧が供給されるようにすることによって、例えば
組成の異なる各ターゲット1〜3からのスパッタリング
による基板表面での成膜速度を調節し、基板上に被着さ
れる成膜体の組成を精度よくコントロールすることがで
きる。以下この組成制御の具体的手法の一例について説
明する。
【0035】この場合、図1において説明した3つのタ
ーゲットのうち、第1及び第3のターゲット1及び3の
組成を同一として、第2のターゲット2の組成をこれと
は異なるものとして、調節を行った。
【0036】このとき各ターゲット1〜3の大きさは、
以下の通りとした。 第1のターゲットの外径φ1 ‥‥‥56mm 第2のターゲットの内径φ2i‥‥‥60mm 第2のターゲットの外径φ2o‥‥‥108mm 第3のターゲットの内径φ3i‥‥‥112mm 第3のターゲットの外径φ3o‥‥‥160mm
【0037】また、各ターゲットの膜厚は3mmとし
た。更に、基板10の外径は50mmのものを用いた。
【0038】また、高密度の記録媒体の記録再生膜の一
例として、組成がTb20(Fe50Co5080となる成膜
体を形成することを目的とした場合を想定して、組成制
御を行った。上述のCAD方式やDWDD方式等の光磁
気記録媒体の記録層、再生層、移動層等を形成する場
合、その特性はRE(希土類元素)とTM(遷移金属元
素)との構成比によって著しく変動し、組成のばらつき
によっては、上述したような磁区の拡大、縮小などによ
る超解像の記録再生特性に大きく影響する。
【0039】そこで、この例では、TbとFeCoとの
組成比を制御するため、第1及び第3のターゲット1及
び3をTb26(Fe50Co5074とし、第2のターゲッ
トをTb16(Fe50Co5084として、先ず各ターゲッ
トから別々にスパッタリングを行い、基板に成膜された
層の厚さの基板表面での面内分布を測定した。この結果
を図5〜図7に示す。各例共に、基板と各ターゲットと
の間隔を50mmとしてスパッタリングを行った。
【0040】図5において線aは、中心部に配置した第
1のターゲットからのスパッタリングにより成膜したT
bFeCo層の面内分布を示す。図5から明らかなよう
に、第1のターゲットからは、基板中心部分で成膜レー
トが大きく、中心から離れる程成膜レートが低下するこ
とがわかる。
【0041】図6において線bは、第2のターゲットか
らのスパッタリングにより成膜したTbFeCo層の面
内分布を示す。この場合も第1のターゲットと同様の傾
向を示すが、中心部分近傍ではその変化がややなだらか
であることがわかる。
【0042】図7において線cは、第3のターゲットか
らのスパッタリングにより成膜したTbFeCo層の面
内分布を示す。内径のやや大きいリング状の第3のター
ゲットからのスパッタリングは、基板中心部から外縁部
に向かって成膜レートが上昇する傾向があることがわか
る。
【0043】そして、この図5〜図7の成膜レートの面
内分布を基に、基板面内で、ほぼ一様な組成比となる成
膜レートで、且つその組成がTb20(Fe50Co5080
となるように各ターゲットへの供給電圧を調節する。
【0044】今、第1〜第3のターゲットからの成膜レ
ートの面内分布を、基板中心からの変位(距離)をxと
して、それぞれt1(x),t2(x), t3(x)として示す。こ
こで、第1及び第2のターゲットによる成膜レートの面
内分布に対し、それぞれ適当な係数kA 及びkB を掛け
ることにより、第1及び第3のターゲットによる成膜レ
ートの面内分布の和と、第2のターゲットによる成膜レ
ートの面内分布の示す曲線をほぼ重ね合わせることがで
きる。
【0045】すなわち、第1のターゲットによる成膜レ
ートの面内分布に係数kA を掛けたものと、第3のター
ゲットによる成膜レートの面内分布の和は以下の(1)
式で示す式で表される。これを図8において線dで示
す。 kA ・t1(x)+t3(x) ‥‥‥ (1)
【0046】一方、第2のターゲットからの成膜レート
の面内分布に係数kB を掛けたものは、以下の(2)式
で示す式で表される。これを図8において線eで示す。 kB ・t2(x) ‥‥‥ (2)
【0047】ここで係数kA は、上記(1)式で示す第
1及び第2のターゲットの面内分布の和と、上記(2)
式で示す第2のターゲットの面内分布の差をSとする
と、このSの和を最小とするように決定する。以下の
(3)式にSを示す。 S=kA ・t1(x)+t3(x)−kB ・t2(x) ‥‥‥ (3)
【0048】係数kB は上述したように第2のターゲッ
トの成膜レートに寄与するものであり、この係数kB
増減によって成膜体の第2のターゲットの組成に占める
割合を変動させ、組成比を制御することができる。
【0049】例えば第1及び第2のターゲットの面内分
布の和と、第2のターゲットの面内分布が、各位置に対
しほぼ同程度の成膜レートとなるようにkB を決定した
場合が図8である。この場合は、最小自乗法により、下
記(4)式で示すSm が最小となるようにkB を決定し
た。 Sm =Σ{kA ・t1(x)+t3(x)−kB ・t2(x)}2 ‥‥‥ (4)
【0050】このように、各係数kA 及びkB を決定す
ることによって、図8に示すように、第1及び第3のタ
ーゲットからの面内分布の和と、第2のターゲットから
の面内分布とをいわば規格化して、ほぼ同一の分布曲線
として重ね合わせることができる。
【0051】この例では、kA =4.660、kB
4.238とした時に上述の各式(3)、(4)を最小
とすることができる。この時の基板上の各位置での成膜
シート、S及びS2 を以下の表に示す。
【0052】
【表1】
【0053】また、係数kB を図8に示すように各線d
及びeが重なるように選定する他、例えばこの係数kB
を図8に示した例より大とする場合は、ここでは第2の
ターゲット2のTbの含有率が低いことから、成膜体全
体の組成において、Tbの含有率が低下することとな
る。
【0054】反対に、係数kB を図8に示した例より小
とする場合は、成膜体全体のTb含有率は増加するよう
に制御することができる。
【0055】具体的には、上述したように係数kA 及び
B を決定し、これに合わせて成膜レートが変動するよ
うに、各ターゲット1〜3の例えば各電源6〜8の供給
電圧を調整することによって、スパッタリングされる成
膜体の組成を精度よくコントロールすることができるこ
ととなる。
【0056】光磁気記録媒体の製造時における組成のば
らつきの要因としては、 〔1〕ターゲットロット間によるばらつき 〔2〕ターゲットライフによるばらつき 〔3〕面内のばらつき が挙げられるが、上述の組成コントロール手法によれ
ば、上記〔1〕及び〔2〕に関してほぼ完全にフィード
バック、或いはフィードフォワードコントロールが可能
となる。
【0057】次に、このような手法によって組成を制御
しながら成膜体として記録再生構成膜を成膜して記録媒
体を製造する実施例の説明に先立って、本発明を適用し
たCAD方式及びDWDD方式の光磁気記録媒体の構造
について簡単に説明する。
【0058】各例共に樹脂材料がディスク状に形成され
た基板上に、磁性層より成る記録層、再生層及び移動層
等の記録再生構成膜が形成される光磁気記録媒体に本発
明を適用した場合であるが、本発明はこれらの例に限定
されるものではなく、組成を厳密に制御することが求め
られる記録再生構成膜を有する記録媒体を含め、その他
種々の成膜体を成膜する際に適用し得ることはいうまで
もない。
【0059】(1)CAD方式の記録媒体の構成例 先ず、CAD方式の光磁気記録媒体の一例を、図9の略
線的拡大断面図を模式的に示す。
【0060】このCAD方式の記録媒体は、図9に示す
ように、ディスク状の基板10、第1の誘電体層11、
再生層12、中間層13、記録層14、第2の誘電体層
15、熱拡散層16、保護層17が順次積層されて構成
される。この場合、再生層12、中間層13及び記録層
14によって、記録再生に寄与する記録再生構成膜30
が構成される。
【0061】基板10はゼオネクス(登録商標:(株)
日本ゼオン)、ポリカーボネートなどの樹脂材料により
射出成型等によってディスク状に成型されて成るもの
や、ガラスなどにより構成される。
【0062】第1の誘電体層11は、基板10上に形成
されて成り、光磁気効果を光学的にエンハンスし、更に
この上の記録再生構成膜30を水分などから保護するた
めに設けられ、例えばSiN等が成膜されて成る。
【0063】再生層12は、例えばこの再生層12中に
存在する磁壁が熱と磁気の平衡により移動する層とさ
れ、再生出力を決定し、例えばGdFeCoが成膜され
て成る。この成膜には、本発明成膜方法を適用して、同
心円的に配置された3つ以上のターゲットを用いてその
組成を精度良く制御して成膜することによって、特性の
安定した再生層12を成膜することができる。
【0064】例えば、上述の図1において説明した第1
〜第3のターゲット1〜3を用いて、第1及び第3のタ
ーゲット1及び3の組成をGd25(Fe50Co5085
し、第2のターゲット2の組成をGd35(Fe50
5065として、そのほぼ中間のGd30(Fe50
5070の組成に制御しながら成膜する。以下(Fe50
Co50)を(FeCo)と記す。
【0065】中間層13は、例えば再生層12の磁壁が
移動し始める温度を制御するための層とされ、TbFe
等が成膜されて成る。
【0066】記録層14は、光磁気効果を示す材料より
成り、例えば希土類元素としてTb、遷移金属としてF
eとCoを用いたTbFeCo等より成る。Tbが19
〜24%程度の組成で、20nm程度の膜厚で成膜され
る。この記録層14も、再生層12と同様に、上述の図
1において説明したように、同心円的に配置された第1
〜第3のターゲット1〜3を用いて組成を制御しながら
成膜する。
【0067】例えばこの場合、第1及び第3のターゲッ
ト1及び3の組成をTb30(FeCo)70とし、第2の
ターゲット2の組成をTb15(FeCo)85として、各
ターゲット1〜3の例えば供給電圧を調節することによ
り、組成を精度良く制御することができる。
【0068】第2の誘電体層15は、記録層14の光磁
気効果をエンハンスする層であり、例えば10nm程度
の厚さで、SiN等が成膜されて成る。
【0069】熱拡散層16は、記録層14に照射された
光による熱を拡散させることにより、記録層15の記録
マークの大きさをコントロールし、記録再生特性を良好
なものとするための層であり、例えば40nm程度の膜
厚で、AlやAg等が成膜されて成る。
【0070】保護層17は、UVレジン(紫外線硬化樹
脂)等より成り、成膜された各層11〜16を保護する
ための層であり、有機樹脂材料等がスピンコートされて
構成される。
【0071】以上の基板10上に形成される各層11〜
16は、本発明を適用して成膜し得る再生層12及び記
録層14を含め、図2及び図3において説明した複数の
プロセスチャンバーを有するスパッタリング装置におい
て成膜することができる。
【0072】(2)DWDD方式の記録媒体の構成例 次に、DWDD方式の光磁気記録媒体を製造する場合に
本発明を適用した例を説明する。図10はこの記録媒体
の一例の略線的拡大断面図を模式的に示す。
【0073】図10に示すように、この場合基板10上
に、順次、第1の誘電体層21、移動層22、切断層2
3、記録層24、第2の誘電体層25、熱拡散層26、
保護層27が積層されて、光磁気記録媒体が構成され
る。30は、移動層22、切断層23及び記録層24よ
り構成される記録再生構成膜を示す。
【0074】基板10は、ゼオネクス、ポリカーボネー
ト等の樹脂材料が射出成型などにより例えばディスク状
に成型されて成るものや、ディスク状のガラス等により
構成される。
【0075】第1の誘電体層21は、基板10上に成膜
されて成り、光磁気効果を光学的にエンハンスし、更に
記録再生構成膜30を水分などから保護するためのもの
で、例えばSiNが成膜されて成る。
【0076】移動層22は小さな磁壁抗磁力を有し、こ
こに存在する磁壁が熱と磁気の平衡により移動する層で
あり、再生出力を決定する。例えばGdFeCoが成膜
されて成る。この成膜の際に本発明を適用することによ
り、精度よく例えばGdの組成比を制御することがで
き、特性の安定した移動層22を成膜することができ
る。
【0077】例えば、上述の図1において説明した第1
〜第3のターゲット1〜3を用いて、第1及び第3のタ
ーゲット1及び3の組成を例えばGd15(FeCo)85
とし、第2のターゲット2の組成をGd35(FeCo)
65として、そのほぼ中間の組成のGd25(FeCo)75
となるように供給電圧等を調節することによって、組成
を精度良く制御して成膜することができる。
【0078】切断層23は、低いキュリー温度を有し、
移動層22の磁壁が移動し始める温度をコントロールす
るための層であり、TbFe等が成膜されて成る。
【0079】記録層24は大きい磁壁抗磁力を有し、光
磁気効果を示す層であり、例えば希土類元素としてT
b、遷移金属元素としてFeとCoを用いたTbFeC
o膜等が、例えばTbの組成比を19〜24%程度と
し、20nm程度の膜厚で成膜されて成る。
【0080】第2の誘電体層25は、記録層24の光磁
気効果をエンハンスする層であり、例えば10nm程度
の厚さのSiN等が成膜されて成る。
【0081】熱拡散層26は、記録層24に照射された
光による熱を拡散することにより、記録層24の記録マ
ークの大きさをコントロールし、記録再生特性を良好な
ものとするための層である。例えば膜厚40nm程度の
Al、Ag等が成膜されて成る。
【0082】保護層27は、成膜された各層を保護する
ための層であり、例えばUVレジン等の有機樹脂材料が
スピンコートされて成る。
【0083】以上の基板10上に形成される各層21〜
26は、本発明を適用して成膜し得る移動層22を含
め、図2及び図3において説明した複数のプロセスチャ
ンバーを有するスパッタリング装置において成膜するこ
とができる。
【0084】次に、このような各記録媒体の製造にあた
って本発明を適用して、各記録再生構成膜の少なくとも
1層を成膜し、製造された記録媒体の記録再生特性を検
討した結果を示す。
【0085】〔実施例1〕この例においては、CAD方
式の記録媒体に適用した例を示す。先ず、図9において
説明した基板10を、上述の図2及び図3において説明
した真空チャンバーに収容し、例えば0.2Paのガス
圧でArとN2 の混合ガスを導入し、反応性スパッタリ
ングにより、厚さ40nm程度のSiNより成る第1の
誘電体層11を形成する。
【0086】この基板10の表面には、予め光学的にト
ラッキングを行うためのグルーブが形成されている。ト
ラックピッチは0.70μmでこの場合ランド幅を0.
35μm、グルーブ幅を0.35μmとしたものを用い
た。
【0087】次に、上述の図4において説明した、同心
円的に配置された第1〜第3のターゲット1〜3がカソ
ード側に設置されたプロセスチャンバー42内に、第1
の誘電体層11が成膜された基板10を収容し、このチ
ャンバー42内に例えば0.5Paのガス圧でArガス
を導入し、例えばGdFeCoより成る再生層12を成
膜する。
【0088】このときの組成の制御方法は以下の通りで
ある。即ち、第1及び第3のターゲット1及び3の組成
をGd25(FeCo)75とし、第2のターゲット2の組
成を、Gd35(FeCo)65として配置する。上述の組
成制御方法と同様に、第1及び第3のターゲットの成膜
レートを供給電圧等により調整することによって、この
面内分布を、第2のターゲットの成膜レートの面内分布
といわば相似形となるようにする。
【0089】その後、第1及び第3のターゲット1及び
3の和と、第2のターゲット2との成膜レートを制御す
る例えば供給電圧を調整することにより、成膜される再
生層12のGdの組成比を、0.1%刻みでコントロー
ルして成膜を行い、Gdの組成比が31.8%から3
2.5%までの再生層12を成膜した。
【0090】次に、予めTbFeAlターゲットが設置
してある別のプロセスチャンバー内に、再生層12まで
が成膜された基板10を搬送して収容し、このチャンバ
ー内に0.5Paのガス圧でArガスを導入し、10n
m程度の膜厚のTbFeArより成る中間層13を成膜
する。
【0091】その後、予めTbFeCoターゲットが設
置してある次のプロセスチャンバー内に中間層13まで
が成膜された基板10を搬送して収容し、このチャンバ
ー内に0.5Paのガス圧でArガスを導入し、膜厚2
0nm程度のTbFeCoより成る記録層14を形成す
る。
【0092】この記録層14も、再生層と同様に、上述
の図1〜図3において説明した同心円的に配置された第
1〜第3のターゲット1〜3によって組成を精度よく制
御して成膜する。例えば第1及び第3ののターゲット1
及び3の組成をTb15(FeCo)85とし、第2のター
ゲット2の組成をTb25(FeCo)75として、上述の
組成制御方法により、成膜される記録層14の組成比を
制御する。記録層14の組成比も、再生層12と同様
に、Tbの組成比を0.1%刻みで調整し、Tb組成比
が24.2%から24.9%の記録層14を成膜した。
【0093】尚、上述した再生層11の組成を0.1%
刻みで調整したときの記録層14のTbの組成比は2
4.5%とし、記録層14の組成を0.1%刻みで調整
したときの再生層11のGdの組成比は32.1%とし
た。
【0094】この後、予めSiターゲットが設置してあ
るプロセスチャンバー内に記録層14までが成膜された
基板10を搬送して収容し、0.2Paのガス圧でAr
とN 2 の混合ガスを導入し、反応性スパッタリングを行
い、膜厚40nm程度のSiNより成る第2の誘電体層
15を形成する。
【0095】次に、予めAgPdCuより成るターゲッ
トが設置してある別のプロセスチャンバー内に0.5P
aのガス圧でArガスを導入し、AgPdCuより成る
熱拡散層16を形成する。
【0096】その後、熱拡散層16までが成膜された基
板10を真空チャンバーから取り出し、腐食を防止する
ためのUVレジンより成る保護層17をスピンコータに
より被着して、CAD方式の記録媒体を形成した。
【0097】〔実施例2〕この例においては、DWDD
方式に記録媒体に適用した例を示す。先ず、図10にお
いて説明したゼオネクスより成る基板10を、上述の図
2及び図3において説明した真空チャンバーに収容し、
0.2Paのガス圧でArとN2 の混合ガスを導入し、
反応性スパッタリングにより、厚さ40nm程度のSi
Nより成る第1の誘電体層21を形成する。
【0098】基板10には予め光学的にトラッキングを
行うためのグルーブが形成されている。トラックピッチ
は1.1μm、ランド幅0.55μm、グルーブ幅0.
55μmである。
【0099】次に、上述の図4において説明した、同心
円的に配置された第1〜第3のターゲット1〜3がカソ
ード側に設置されたプロセスチャンバー42内に、第1
の誘電体層21が成膜された基板10を収容し、このチ
ャンバー42内に例えば0.5Paのガス圧でArガス
を導入し、GdFeCoより成る移動層22を成膜す
る。
【0100】この場合の組成の制御方法は以下の通りで
ある。即ち、第1及び第3のターゲット1及び3の組成
をGd15(FeCo)85とし、第2のターゲット2の組
成を、Gd35(FeCo)65として配置する。上述の組
成制御方法と同様に、第1及び第3のターゲットの成膜
レートを供給電圧等により調整することによって、この
面内分布を、第2のターゲットの成膜レートの面内分布
といわば相似形となるようにする。
【0101】組成の制御は、第1及び第3のターゲット
1及び3の和と、第2のターゲット2との例えば供給電
圧を調整することによって行う。移動層22の組成は、
0.1%刻みでコントロールして成膜を行った。
【0102】次に、予めTbFeAlより成るターゲッ
トが設置してあるプロセスチャンバーに、移動層22ま
でが成膜された基板10を搬送して収容し、このチャン
バー内に、0.5Paのガス圧でArガスを導入し、膜
厚10nm程度のTbFeAlより成る切断層23を成
膜する。
【0103】この後、予めTbFeCoより成るターゲ
ットが設置してあるプロセスチャンバーに、切断層23
までが成膜された基板10を搬送して収容し、このチャ
ンバー内に、0.5Paのガス圧でArガスを導入し、
膜厚20nm程度のTbFeCoより成る記録層24を
形成する。
【0104】次に、予めSiターゲットが設置してある
プロセスチャンバーに、記録層24までが成膜された基
板10を搬送して収容し、0.2Paのガス圧でArと
2の混合ガスを導入し、反応性スパッタリングによ
り、膜厚40nm程度のSiNより成る第2の誘電体層
25を形成する。
【0105】そして、予めAgPdCuターゲットが設
置してあるプロセスチャンバーに、第2の誘電体層25
までが成膜された基板10を搬送して収容し、このチャ
ンバー内に0.5Paのガス圧でArガスを導入し、膜
厚の異なるAgPdCuより成る熱拡散層26を形成す
る。
【0106】その後、熱拡散層26までが成膜された基
板10を真空チャンバーから取り出し、腐食を防止する
ためのUVレジンより成る保護層27をスピンコータに
より被着して、DWDD方式の記録媒体を形成した。
【0107】〔実施例1の評価〕上述の実施例1におい
て作製したCAD方式の光磁気による記録媒体は、その
再生層12と記録層14との希土類元素の遷移金属元素
に対する組成比を、0.1%のステップで変化させたも
のである。
【0108】これらの各記録媒体サンプルに対し、以下
の条件で信号の記録再生を行った。即ち、波長405n
mのLD(レーザダイオード)を光源とし、開口数N.A.
が0.6の光学系にて記録再生を行った。記録パターン
はランダムな1−7変調された信号とした。再生層と記
録層の組成をそれぞれ0.1%刻みで変化させたサンプ
ルに対し、記録パターンの再生信号のジッタを測定し
た。この結果をそれぞれ表2及び3に示す。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】この結果から、記録パターンの再生信号の
ジッタを低く抑えるためには、表1から、再生層中のG
dの組成比は32.0〜32.2原子%の範囲、また表
2から、記録層中のTbの組成比は24.4〜24.7
原子%の範囲と、どちらも組成比が±0.1〜0.2%
程度の極めて狭い範囲しかジッタの許容範囲とはならな
いことがわかる。
【0112】〔実施例2の評価〕上述の実施例2におい
て作製したDWDD方式の光磁気による記録媒体は、そ
の移動層22の希土類元素の遷移金属元素に対する組成
比を、0.1%のステップで変化させたものである。
【0113】これらの各記録媒体サンプルに対し、以下
の条件で信号の記録再生を行った。即ち、波長630n
mのLDを光源とし、開口数N.A.が0.58の光学系に
て記録再生を行った。記録パターンはランダムな1−7
変調された信号とした。移動層の組成を0.1%刻みで
変化させたサンプルに対し、記録パターンの再生信号の
ジッタを測定した。この結果をそれぞれ表4に示す。
【0114】
【表4】
【0115】この場合においても、ジッタを低く抑える
ためには、表3から、移動層中のGdの組成比を24.
7〜24.9原子%の範囲と、±0.15原子%程度の
範囲に極めて高精度に制御する必要があることがわか
る。
【0116】従来は、このように組成比を0.1%程度
以下に精度良くコントロールして大量生産することは不
可能であった。例えば組成がTb20(FeCo)80の1
つのターゲットを用いてTbの組成比を20原子%とし
て作製しようとする場合に、その組成のばらつきが0.
5原子%程度生じてしまい、実際上は特性のばらつきを
抑えて生産することが困難であった。また、生産中に、
ターゲットからの組成比が変わってきた場合にも対処方
法はなく、組成をコントロールすることはできなかっ
た。
【0117】本発明によれば、このように0.1%程度
以下の極めて高い精度の組成制御が可能であり、これに
より特性に優れた記録媒体を安定して、ばらつきを生じ
ることなく生産することができ、従来では十分な歩留り
をもって生産することができなかった、CAD方式やD
WDD方式の記録媒体を、高い歩留りをもって生産する
ことが可能となる。
【0118】更に、本発明によれば、所定の組成比とさ
れたターゲットそれ自体が、0.1原子%単位の組成の
ばらつきを有する場合においても、上述したように予め
例えば第1〜第3のターゲットの成膜レートの面内分布
を測定し、これに基づいて各ターゲットへの供給電圧等
を調整することによって、確実に目的とする組成比に制
御することが可能となる。つまり、前述のターゲットロ
ット間の組成のばらつきを抑制することができることと
なる。
【0119】また上述したように生産中にターゲットか
らの組成比が変わる場合など、いわゆるターゲットライ
フのばらつきも従来は問題とされていたが、本発明によ
れば、抜き取り検査などを随時行うことにより成膜体の
組成比をチェックして、この結果から、上述の制御方法
において第2のターゲットの供給電圧等を調整すること
によって、確実に組成比の変動を抑えることができ、タ
ーゲットライフの長期化をはかることができる。
【0120】例えば、現状では1つのターゲットに対し
3万枚程度の基板への成膜が可能であるが、その後組成
の変動が生じるとこのターゲットを使用することはでき
なくなる。しかしながら、本発明によればターゲットを
換えることなく、上述したように供給電圧等の調整によ
り簡単に組成の補正制御を行うことができることから、
1回のターゲットの設置によって、実際上5〜7万枚を
超える、10万枚程度の基板への成膜が可能となり、生
産性及び歩留りの飛躍的な向上をはかることができる。
【0121】尚、上述の各例においては、光磁気効果を
利用したCAD方式及びDWDD方式の記録媒体を作製
する場合に本発明を適用したが、その他、今後高密度記
録媒体として期待される相変化材料を用いた記録媒体の
記録再生構成膜など、組成を厳密に制御することが必要
とさる各種の成膜体の成膜に用いることができることは
いうまでもなく、その組成制御において従来にない組成
制御の高精度化をはかることができる。
【0122】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、従来
は不可能であった0.1原子%程度以下と、非常に高い
精度をもって組成制御をしながら成膜することができ
る。
【0123】これによって、例えば組成の厳密な制御が
必要な超解像のCAD方式やDWDDF方式の光磁気効
果を利用した記録媒体の記録再生構成膜を成膜する際に
本発明を適用する場合、その組成を精度よく、ばらつき
を生じることなく成膜することができて、再生特性に優
れた記録媒体を、生産性及び歩留りよく作製することが
できる。
【0124】また、このような記録媒体の作製にあたっ
て、ターゲット自体の有する組成のばらつきに対し、複
数のターゲットにより組成を調整するという本発明方法
を用いることによって成膜される膜全体の組成を精度良
く制御することができ、これによりターゲット間のばら
つきを抑え、高精度の組成制御が可能となる。
【0125】更にまた、ターゲットの長期使用後の組成
のばらつきを、複数のターゲットのうち一部のターゲッ
トの例えば供給電圧を調整することによって組成変動を
抑えることができ、ターゲットライフの長期化をはかっ
て、生産性及び歩留りの飛躍的な向上をはかることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aは成膜方法の一例の説明図である。Bは成膜
方法の一例の説明図である。
【図2】基板処理装置の一例の構成図である。
【図3】基板の搬送態様の説明図である。
【図4】ターゲットへの給電態様の説明図である。
【図5】第1のターゲットによる成膜レートの面内分布
を示す図である。
【図6】第2のターゲットによる成膜レートの面内分布
を示す図である。
【図7】第3のターゲットによる成膜レートの面内分布
を示す図である。
【図8】各ターゲットからの成膜レートの面内分布を示
す図である。
【図9】記録媒体の一例の略線的拡大断面図である。
【図10】記録媒体の一例の略線的拡大断面図である。
【符号の説明】
1 第1のターゲット、2 第2のターゲット、3 第
3のターゲット、4ターゲット、5 磁石ユニット、6
第1の電源、7 第2の電源、8 第3の電源、10
基板、11 第1の誘電体層、12 再生層、13
中間層、14記録層、15 第2の誘電体層、16 熱
拡散層、17 保護層、21 第1の誘電体層、22
移動層、23 切断層、 24 記録層、25 第2の
誘電体層、26 熱拡散層、27 保護層、30 記録
再生構成膜、41 メインチャンバー、42 プロセス
チャンバー、43 基板ホルダー、44 回転機構部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 546 G11B 11/105 546B Fターム(参考) 4K029 AA09 AA11 BA24 BA26 BA58 BB02 BC06 BC07 BD12 CA05 CA06 DC04 DC12 DC16 EA02 5D075 GG03 GG12 GG16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同心円的に配置された3つ以上のターゲ
    ットから同時にスパッタリングして、目的とする組成を
    有する成膜体を形成することを特徴とする成膜方法。
  2. 【請求項2】 上記3つ以上の各ターゲットの全部もし
    くは一部のターゲットに異なる給電がなされるようにし
    て上記成膜体を形成することを特徴とする上記請求項1
    に記載の成膜方法。
  3. 【請求項3】 上記ターゲットを、ほぼ円形の第1のタ
    ーゲットと、上記第1のターゲットの外径より大なる内
    径を有する第2のリング状のターゲットと、上記第2の
    ターゲットの外径より大なる内径を有する第3のターゲ
    ットより構成し、 上記第1及び第3のターゲットをほぼ同じ組成として、 上記第1及び第3のターゲットの成膜速度に対し、第2
    のターゲットの成膜速度を調整して上記成膜体の組成制
    御を行うことを特徴とする上記請求項1又は2に記載の
    成膜方法。
  4. 【請求項4】 上記成膜体が、記録媒体の記録再生構成
    膜の少なくとも1層の膜であることを特徴とする上記請
    求項1、2又は3に記載の成膜方法。
  5. 【請求項5】 上記記録媒体は、少なくとも情報が記録
    される記録層と、該記録層に記録された情報を読みだし
    て再生するための再生層とより成る記録再生構成膜を有
    し、再生光照射による温度上昇によって上記再生光スポ
    ット内の所定の温度以上の領域でのみ、上記記録情報の
    読み出しがなされるCAD(Center Aperture Detectio
    n )方式による記録媒体であって、 上記成膜体が、上記記録再生構成膜の上記記録層及び上
    記再生層の少なくともいずれか一方であることを特徴と
    する上記請求項4に記載の成膜方法。
  6. 【請求項6】 上記記録媒体は、少なくとも小さな磁壁
    抗磁力を有する移動層と、低いキュリー温度を有する切
    断層と、大きな磁壁抗磁力を有する記録層とより成る記
    録再生構成膜を有し、室温では上記記録層と上記移動層
    とが上記切断層を通じて磁気交換結合し、再生光照射に
    よる温度上昇に伴い、上記切断層がキュリー温度以上と
    なると上記移動層と上記記録層との磁気交換結合が切断
    されて、上記移動層内の磁壁が上記再生光スポット内の
    ピーク温度部に向かって移動して磁区が拡大するDWD
    D(Domain Wall Displacement Detection)方式による
    記録媒体であって、 上記成膜体が、上記記録再生構成膜の少なくとも上記移
    動層であることを特徴とする上記請求項4に記載の成膜
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110230030A (zh) * 2011-11-30 2019-09-13 台湾积体电路制造股份有限公司 具有多个靶体和磁体的沉积室的pvd装置和方法

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CN110230030A (zh) * 2011-11-30 2019-09-13 台湾积体电路制造股份有限公司 具有多个靶体和磁体的沉积室的pvd装置和方法

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