JP2002285145A - 金属錯体フォトクロミック材料及び放射線カラー線量計 - Google Patents

金属錯体フォトクロミック材料及び放射線カラー線量計

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JP2002285145A
JP2002285145A JP2001089888A JP2001089888A JP2002285145A JP 2002285145 A JP2002285145 A JP 2002285145A JP 2001089888 A JP2001089888 A JP 2001089888A JP 2001089888 A JP2001089888 A JP 2001089888A JP 2002285145 A JP2002285145 A JP 2002285145A
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Masahiro Irie
正浩 入江
Kenji Matsuda
健児 松田
Kimisuke Takayama
公介 高山
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  • Measurement Of Radiation (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 放射線カラー線量計への応用に好適な、放射
線感度の高いジヘテロアリールエテン金属錯体フォトク
ロミック材料を提供する。 【解決手段】 一般式1のジヘテロアリールエテン系化
合物を配位子とする金属錯体であって、1分子中に該配
位子3個以上と金属2個以上を含有する金属錯体よりな
るフォトクロミック材料。 例えば式2の化合物と式3のZn錯体からHO分子2
個が除かれた残基とが割合1:1で結合したZn錯体ポ
リマー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属錯体フォトクロ
ミック材料及び放射線カラー線量計に係り、特に、放射
線感度の高く、有用な放射線カラー線量計として期待さ
れるのみならず、様々の新規光学素子への応用が可能な
ジヘテロアリールエテン金属錯体フォトクロミック材料
と、この金属錯体フォトクロミック材料を用いた放射線
カラー線量計に関する。
【0002】
【従来の技術】フォトクロミック材料とは、光の作用に
より色の異なる2つの異性体を可逆的に生成する分子又
は分子集合体を含む材料を言う。このフォトクロミック
材料は、光照射により、色のみならず屈折率、誘電率、
酸化/還元電位など様々な物性が可逆に変化することか
ら、光機能材料としての応用が期待されている。
【0003】フォトクロミック材料の光機能材料への応
用の1つに、放射線カラー線量計が考えられている。放
射線カラー線量計は、放射線の線量を着色の変化として
とらえて計測するものであり、簡便に放射線の線量測定
が行える。フォトクロミック材料はこのような放射線カ
ラー線量計への応用が期待される候補の1つではある
が、どのようなフォトクロミック材料であっても応用で
きる訳ではない。即ち、例えば、着色体が熱退色するフ
ォトクロミック材料は、当然放射線カラー線量計へ応用
することはできない。熱退色しないフォトクロミック材
料のみが応用の可能性を有し、例えば着色体が安定で熱
退色しないジアリールエテン系化合物は、放射線カラー
線量計へ応用することが可能である。
【0004】従来、ポリスチレンなどの高分子にジアリ
ールエテン系化合物を分散した高分子フィルムがカラー
線量計として有用であることが報告されているが(Bul
l. Chem. Soc. Jpn, 73 (2000) 2385)、更なる放射線
感度の向上が求められている。放射線感度の向上は、実
用化に欠かせない要件である。
【0005】ところで、Eur. J. Inorg. Chem. 2000, 1
581-1590には下記構造式で表される金属錯体フォトクロ
ミック材料が記載されている。
【0006】
【化3】
【0007】しかし、上記化合物は、同文献のfigu
re.4から明らかなように、波長400〜600nm
に下記構造由来の吸収があるため、該化合物はジアリー
ルエテン構造部分が開環体、閉環体いずれの構造であっ
ても濃い赤色を示す。このため、放射線カラー線量計な
どに使用した場合は、放射線照射による色変化が見づら
いという問題がある。
【0008】
【化4】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みなされたものであって、その目的とするとこ
ろは、熱退色の問題がなく、また色変化が鮮明で、かつ
放射線感度の高いジヘテロアリールエテン金属錯体フォ
トクロミック材料と、この金属錯体フォトクロミックを
用いた高感度な放射線カラー線量計を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の金属錯体フォト
クロミック材料は、少なくとも下記一般式[I]で表さ
れる化合物からなる配位子を有する金属錯体よりなるフ
ォトクロミック材料であって、該金属錯体1分子中に、
該一般式[I]で表される化合物からなる配位子を3個
以上と、金属を2個以上含有することを特徴とする。
【0011】
【化5】
【0012】(上記、[i]〜[iii]式において、 Yは、−O−,−S−,又は−NR−(Rは水素原
子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていて
もよいアリール基、又は置換されていてもよいシクロア
ルキル基を表す。)を表し、 R,Rは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原
子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基、又は置換されて
いてもよいアリール基を表し、 R,Rの一方は、含窒素芳香族環基又はルイス塩基
性置換基を有するアリール基を表し、他方は、水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲ
ン化アルキル基、シアノ基、含窒素芳香族環基、又はル
イス塩基性置換基を有するアリール基を表し、 Rは、含窒素芳香族環基、又はルイス塩基性置換基を
有するアリール基を表す。上記[iii]式の環Gは、R
以外の置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素環
又は芳香族複素環を表す。)
【0013】即ち、本発明者は、ジヘテロアリールエテ
ン金属錯体フォトクロミック材料の放射線感度を向上さ
せることを目的として、種々検討を行った結果、アリー
ル部位に金属への配位可能な基をもつジヘテロアリール
エテン系化合物と、金属との錯体からなる金属配位フォ
トクロミック材料が、金属に配位していないものと比較
して、放射線感度が2倍以上になること、放射線感度の
より一層の向上には、ヘテロアリール基に金属配位子を
導入して金属錯体を形成し、更に配位結合を介して複数
の配位子及び金属イオンからなる疑似高分子化合物を形
成することが有効であることを見出し、本発明に達し
た。
【0014】なお、金属錯体フォトクロミック材料を、
配位結合を介した疑似高分子とすることにより、バイン
ダー樹脂を使用せずとも容易にアモルファス性の膜を形
成することができるものと考えられ、放射線カラー線量
計や光学素子、光記録媒体などへの応用を考慮した場
合、このような成膜性の点においても、本発明の金属錯
体フォトクロミック材料は非常に有効である。
【0015】本発明において、前記[i]〜[iii]式に
おけるR、R又はRのルイス塩基性置換基として
は、−O、−NH、−R−O−R’(Rはアルキレ
ン基を表し、R’はアルキル基を表す。)、
【化6】
【0016】−S、−COR’’(R’’はアルキル
基を表す。)、シアノ基、ビニル基、又はフェニル基で
が好ましい。また、R、R又はRの含窒素芳香族
環基としては、少なくとも1個の窒素原子を含む5又は
6員環の芳香族複素環単環か、該芳香族複素環単環に1
又は2個の5又は6員環の芳香族炭化水素環又は芳香族
複素環が縮合或いは直接結合してなる基が好適であり、
該基のルイス塩基性を損なわない範囲で置換されていて
もよい。
【0017】一方、金属錯体における金属としては、周
期律表第4周期以降の金属のイオンが好ましく、配位数
は6以上のものが好ましく、特に、Mn2+,C
2+,Ni2+,Zn2+又はCu2+が好適であ
る。
【0018】本発明において、一般式(I)で表わされ
る化合物(すなわち開環体)は、波長380〜780n
mにおけるモル吸光係数(ε)が3000以下特に10
00以下であることが好ましい。本発明の放射線カラー
線量計は、このような金属錯体フォトクロミック材料を
用いたものであり、放射線感度が高く、測定精度に優れ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明の金属錯体フォトク
ロミック材料及び放射線カラー線量計を詳細に説明す
る。
【0020】本発明の金属錯体フォトクロミック材料を
構成する金属錯体は、前記一般式[I]で表される化合
物を配位子とし、1分子中にこの配位子3個以上と金属
を2個以上含有するものである。
【0021】前記、一般式[I]の環D及び環Eを表
す、前記[i]〜[iii]式において、Yは、−O−,−
S−,又は−NR−(Rは水素原子、置換されてい
てもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール
基、又は置換されていてもよいシクロアルキル基)であ
るが、ここで、Rとしては水素原子、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数
1〜17の直鎖又は分岐のアルキル基、フェニル基など
のアリール基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シ
クロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜7の
シクロアルキル基が挙げられる。アルキル基、アリール
基、シクロアルキル基の置換基としては、メトキシ基、
エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルコキ
シ基が挙げられ、アリール基、シクロアルキル基の置換
基としてはこのようなアルコキシ基の他、更にメチル
基、エチル基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキ
ル基や、ビニル基などが挙げられる。
【0022】R、Rは、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分岐のア
ルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の
直鎖又は分岐のアルコキシ基、塩素原子、フッ素原子な
どのハロゲン原子、トリフルオロメチル基などの炭素数
1〜6の直鎖又は分岐のハロゲン化アルキル基、シアノ
基、置換されていても良いフェニル基などのアリール基
が挙げられる。アリール基の置換基としては、メチル
基、エチル基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキ
ル基などが挙げられる。
【0023】R、Rの一方は、含窒素芳香族環基又
はルイス塩基性置換基を有するアリール基を表し、他方
は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基等の炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、
メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10の直鎖又は
分岐のアルコキシ基、塩素原子、フッ素原子などのハロ
ゲン原子、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜10
の直鎖又は分岐のハロゲン化アルキル基、シアノ基、含
窒素芳香族環基、又はルイス塩基性置換基を有するアリ
ール基を表す。
【0024】R,R,Rの含窒素芳香族環基とし
ては、少なくとも1個の窒素原子を含む5又は6員環の
芳香族複素環単環か、該芳香族複素環単環に1又は2個
の5又は6員環の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が
縮合或いは直接結合してなる基が好ましく、これらの基
は、そのルイス塩基性を損なわない範囲で置換されてい
てもよい。
【0025】R,R,Rの含窒素芳香族環基とし
ては、次のようなものが挙げられる。
【0026】
【化7】
【0027】上記含窒素芳香族環基は、いずれもそのル
イス塩基性を損なわない範囲で置換されていてもよい。
【0028】R,R,Rのルイス塩基性置換基を
有するアリール基のアリール基としてはフェニル基、ナ
フチル基等が挙げられ、ルイス塩基性置換基としては、
−O ;−NH;−CHOCH、−CHOC
、−COC、−COC
どの−R−O−R’(Rはアルキレン基、R’はアルキ
ル基を表す。);−S;−COCH、−COC
、−CO−n−C、−CO−i−C、−
CO−n−C、−CO−t−Cなどの−C
OR’’(R’’はアルキル基を表す。);シアノ基;
ビニル基;又はフェニル基などが挙げられる。中でも比
較的硬い塩基が好ましく、具体的には−O;−N
;−R−O−R’(Rはアルキレン基、R’はアル
キル基を表す。)などが好ましい。
【0029】[iii]式の環Gの芳香族炭化水素環又は
芳香族複素環としては、5又は6員環が好ましく、この
環GはRの他にも置換基を有していても良いが、好ま
しくはRの他に置換基を有さないものである。
【0030】[iii]式の具体例としては、次のような
ものが挙げられる。
【化8】
【0031】一方、本発明の金属錯体フォトクロミック
材料における金属イオンとしては、比較的原子量の大き
な金属が好ましく、周期律表第4周期以降の金属が好ま
しい。また配位数は6配位以上である金属イオンが好ま
しい。特に好ましい金属イオンとしては、Mn2+,C
2+,Ni2+,Zn2+又はCu2+などが挙げら
れる。
【0032】本発明の金属錯体フォトクロミック材料
は、例えば下記の構造を形成している。
【0033】
【化9】
【0034】このような金属錯体フォトクロミック材料
は、放射線照射により感度良く着色する。
【0035】なお、上記構造式では、配位している一般
式[I]で表される化合物と金属イオンとは1:1の割
合で結合しているが、1:1〜3:1程度、つまり分岐
ポリマーのような構造であってもよい。より好ましくは
配位子:金属イオン=1:1〜2:1、特に好ましくは
配位子:金属イオンがほぼ1:1のリニアポリマーであ
る。
【0036】なお、ジアリールエテン系フォトクロミッ
ク材料は下記のように、紫外線やそれより短波長である
放射線の照射によって開環→閉環反応を起こし、可視光
領域の波長光照射によって閉環→開環反応を起こすが、
一般に、開環体は無色〜薄黄色などの薄色を呈し、閉環
体は赤色〜青色の濃色を呈する。
【0037】
【化10】
【0038】本発明の金属錯体フォトクロミック材料
は、そのジアリールエテン部分が開環構造の場合に、波
長380〜780nmの領域、いわゆる可視光領域にお
けるモル吸光係数(ε)が3000以下であるものが好
ましく、1000以下であるとより好ましい。開環構造
時のモル吸光係数(ε)が3000を超えると、放射線
照射後の色変化の観察が困難になる場合がある。なお、
モル吸光係数(ε)は、本発明のフォトクロミック材料
の最小繰り返し単位を1分子として計算し、例えば(一
般式(I)で表される化合物):金属イオン=1:1で
ある前記構造の場合は、下記の部分を1分子として計算
する。
【0039】
【化11】
【0040】本発明の金属錯体フォトクロミック材料
は、例えば前記一般式[I]で表される化合物と、金属
イオンを含む化合物を溶媒に溶かして反応させることに
より、析出物として得られる。
【0041】ここで用いられる金属イオンを含む化合物
としては、少なくとも2個の単座配位子が配位した金属
錯体か、少なくとも2価の塩が好ましい。単座配位子は
二座以上の配位子と比べて溶液中で金属から外れやす
く、配位子交換が起こりやすい。例えば二座配位子であ
るβジケトン(例:アセチルアセトナートイオン)と比
較すると、単座配位子HOは配位子交換反応速度が1
000倍大きい。(「錯体化学」(基礎錯体工学研究会
編、講談社サイエンティフィク社発行) 第79頁参
照。)単座配位子の例としては、上記HOの他に、O
、Cl、Fなどが挙げられる。
【0042】本発明の金属錯体フォトクロミック材料を
放射線カラー線量計、その他の種々の用途に展開する場
合、必要に応じてバインダ樹脂を併用しても良い。該バ
インダ樹脂の量は、用途及び樹脂の種類によって異なる
が、本発明の金属錯体フォトクロミック材料を溶解して
(樹脂と相溶させて)使用する場合、好ましくはバイン
ダ樹脂100重量部に対して、本発明の金属錯体フォト
クロミック材料を0.5〜30重量部、より好ましくは
1〜30重量部含有させるのが好ましい。また溶解(相
溶)させず、樹脂中に分散して使用する場合には、好ま
しくはバインダ樹脂100重量部に対して該フォトクロ
ミック材料を0.5〜100重量部、より好ましくは1
〜30重量部含有させることが好ましい。この範囲を超
えて樹脂量が多くなると、本発明のフォトクロミック材
料の濃度が薄くなるため、感度が低くなるおそれがあ
る。
【0043】バインダ樹脂の種類としては、特に制限は
ないが、無色透明であるか、本発明のフォトクロミック
材料の異性化による色変化が見えやすいものが好まし
い。このような樹脂としては例えばポリスチレン、ポリ
カーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリア
クリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂など
が挙げられる。
【0044】本発明の金属錯体フォトクロミック材料
は、これをバインダ樹脂に分散又は溶解してなる樹脂組
成物を、所望の形状に成膜、成形することにより、カラ
ー線量計として利用できる。
【0045】具体的には、本発明による金属錯体フォト
クロミック材料及びバインダ樹脂を、トルエンなどの有
機溶媒を用いて所望の粘度に調製し、キャスト法、スピ
ンコート法など従来公知の技術を用いて成膜加工するこ
とにより成形することができる。また、金属錯体フォト
クロミック材料を、バインダ樹脂に直接練り混んでもよ
い。有機溶媒としてはバインダ樹脂を溶解するものであ
ればよく、かつ本発明の金属錯体フォトクロミック材料
を溶解するものがより好ましい。成膜、成形には必要に
応じて分散剤、酸素トラップ剤、可塑剤などの各種添加
剤を併用してもよい。
【0046】なお、このようにして形成される膜の膜厚
は、過度に薄いと感度が不足し、過度に厚いと高コスト
となることから、0.1〜10mm程度であることが好
ましい。
【0047】得られたカラー線量計を放射線暴露する
と、線量に応じて色調が変化する。この色変化を吸収ス
ペクトル或いは透過スペクトルを測定し、吸光度又は透
過率のピーク変化を計測すれば放射線の線量を見積もる
ことができる。
【0048】
【実施例】次に本発明を合成例及び実施例により更に具
体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、
これら実施例に限定されるものではない。
【0049】[合成例1]ジクロロメタン2mLに下記
構造の1,2−ビス(2’−メチル−5’−(4”−ピ
リジル)−3’−チエニル)ヘキサフルオロシクロペン
テン1を50mg溶解させ、下記構造のヘキサフルオロ
アセチルアセトン(hfac)のZn錯体2を49mg
を溶解させたジクロロメタン:メタノール=1:1混合
液2mLを上から加えた。一晩放置して析出した固体を
濾取し、ジクロロメタンで洗浄した。これをメタノール
−ジクロロメタン混合溶液=1:1に溶かし、再結晶に
より精製した。
【0050】
【化12】
【0051】得られた金属錯体の分析結果は次の通りで
ある。
【0052】元素分析結果より、この錯体1分子中にお
ける化合物1と、式2で表される亜鉛錯体からHO分
子2個が除かれた残基の割合は1:1であることが分か
る。また計算値と実測値が非常に精度良く一致している
ことから、単なる混合物ではなく1:1で結合している
ことが分かる。
【0053】得られた化合物のX線構造解析を行った結
果、表1に示す解析結果が得られ、図3に示すような鎖
状構造を示すことが明らかになった。
【0054】
【表1】
【0055】なお、得られた金属錯体の酢酸エチル溶液
でのモル吸光係数(ε)を図1に示す。図1中、実線が
開環体、点線が閉環体を表す。開環体のεが波長380
〜780nmの領域で殆ど0であり、無色透明であるこ
とが分かる。 IR (KBr):v 1130, 1250, 1500, 1600 cm-1 C15H18F18N2S2O4Zn(1002.01):calcd C 41.95, H 1.81, N 2.80 found C 42.43, H 1.82, N, 2.95 開環体のUV-vis (AcOEt):λmax(ε) 300nm
【0056】[合成例2]ジクロロメタン2mLに1,
2−ビス(2’−メチル−5’−(4”−ピリジル)−
3’−チエニル)ヘキサフルオロシクロペンテン1 5
0mgを溶解させ、下記構造のヘキサフルオロアセチル
アセトンのMn錯体3 179mgを溶解させたジクロ
ロメタン−メタノール=1:1混合液2mLを加えて放
置し、析出した固体を濾過した。これをジクロロメタン
−メタノール=1:1混合溶液で禁水条件下で再結晶
し、精製した。
【0057】
【化13】
【0058】得られた金属錯体の分析結果は次の通りで
ある。
【0059】元素分析結果より、この錯体1分子中にお
ける化合物1と、式3で表されるマンガン錯体からH
O分子2個が除かれた残基の割合は1:1であることが
分かる。また計算値と実測値が非常に精度良く一致して
いることから、単なる混合物ではなく1:1で結合して
なるリニアポリマーであることが分かる。
【0060】なお、得られた金属錯体の酢酸エチル溶液
でのモル吸光係数(ε)を図2に示す。図2中、実線が
開環体、点線が閉環体を表す。開環体のεが波長380
〜780nmの領域で殆ど0であり、無色透明であるこ
とが分かる。 IR (KBr):v1130, 1240, 1480, 1600 cm-1 C35H18F18N2S2O4Mn (991.57):calcd C 42.40, H 1.83, N 2.83 found C 42.40, H 1.83, N,2.77 開環体のUV-vis (AcOEt):λmax(ε) 301nm
【0061】[実施例1]合成例1で得られたZn-ジ
アリールエテン錯体結晶粉末と、合成例2で得られたM
n-ジアリールエテン錯体結晶粉末と化合物1結晶と
に、それぞれCo−60線を照射し、その着色の程度を
反射スペクトルにより比較した。その結果、Zn−ジア
リールエテン錯体、Mn−ジアリールエテン錯体いずれ
も、金属を含まない化合物1と比較して、約2倍強く着
色することが認められた。
【0062】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、熱
退色の問題がなく、また、色変化が鮮明で、かつ放射線
感度の高いジヘテロアリールエテン金属錯体フォトクロ
ミック材料が提供される。本発明の金属錯体フォトクロ
ミック材料は、その熱的安定性、色変化の鮮明性及び高
い放射線感度により、応答性、測定精度に優れた放射線
カラー線量計への応用が期待されるのみならず、様々な
新規光学素子への応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得られたZn錯体の酢酸エチル溶液
のモル吸光係数を示す図である。
【図2】合成例2で得られたMn錯体の酢酸エチル溶液
のモル吸光係数を示す図である。
【図3】合成例1で得られたZn錯体ポリマー鎖の結晶
(010)面におけるボールアンドスティックモデルで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 1/73 503 G03C 1/73 503 (72)発明者 高山 公介 福岡県福岡市西区福重5−17−2 Fターム(参考) 2G088 BB09 BB19 2H123 AA09 AA10 4C063 AA05 BB01 CC92 DD12 4J002 BC031 BE061 BG041 BG051 CG001 CQ001 EZ006 FD096 FD206 GP03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記一般式[I]で表される
    化合物からなる配位子を有する金属錯体よりなるフォト
    クロミック材料であって、該金属錯体1分子中に、該一
    般式[I]で表される化合物からなる配位子を3個以
    上、金属を2個以上含有することを特徴とする金属錯体
    フォトクロミック材料。 【化1】 (上記[i]〜[iii]式において、 Yは、−O−,−S−,又は−NR−(Rは水素原
    子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていて
    もよいアリール基、又は置換されていてもよいシクロア
    ルキル基を表す。)を表し、 R,Rは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原
    子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基、又は置換されて
    いてもよいアリール基を表し、 R,Rの一方は、含窒素芳香族環基又はルイス塩基
    性置換基を有するアリール基を表し、他方は、水素原
    子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲ
    ン化アルキル基、シアノ基、含窒素芳香族環基、又はル
    イス塩基性置換基を有するアリール基を表し、 Rは、含窒素芳香族環基、又はルイス塩基性置換基を
    有するアリール基を表す。上記[iii]式の環Gは、R
    以外の置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素環
    又は芳香族複素環を表す。)
  2. 【請求項2】 R、R又はRにおけるルイス塩基
    性置換基が、−O、−NH、−R−O−R’(Rは
    アルキレン基を表し、R’はアルキル基を表す。)、 【化2】 −S、−COR’’(R’’はアルキル基を表
    す。)、シアノ基、ビニル基、又はフェニル基である、
    請求項1に記載の金属錯体フォトクロミック材料。
  3. 【請求項3】 R、R又はRにおける含窒素芳香
    族環基が、少なくとも1個の窒素原子を含む5又は6員
    環の芳香族複素環単環か、該芳香族複素環単環に、1又
    は2個の5又は6員環の芳香族炭化水素環又は芳香族複
    素環が縮合或いは直接結合してなる基であり、該基のル
    イス塩基性を損なわない範囲で置換されていてもよい、
    請求項1に記載の金属錯体フォトクロミック材料。
  4. 【請求項4】 金属錯体における金属が、周期律表第4
    周期以降の金属のイオンである、請求項1ないし3のい
    ずれかに記載の金属錯体フォトクロミック材料。
  5. 【請求項5】 金属錯体における金属の配位数が6以上
    である、請求項1ないし4のいずれかに記載の金属錯体
    フォトクロミック材料。
  6. 【請求項6】 金属錯体における金属が、Mn2+,C
    2+,Ni2+,Zn2+又はCu2+である、請求
    項4又は5に記載の金属錯体フォトクロミック材料。
  7. 【請求項7】 一般式(I)で表わされる化合物とし
    て、波長380〜780nmにおけるモル吸光係数
    (ε)が3000以下である化合物を用いることを特徴
    とする請求項1ないし6のいずれかに記載の金属錯体フ
    ォトクロミック材料。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の金
    属錯体フォトクロミック材料を用いた放射線カラー線量
    計。
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