JP2002284568A - 焼結体およびその製造方法 - Google Patents

焼結体およびその製造方法

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JP2002284568A
JP2002284568A JP2001092193A JP2001092193A JP2002284568A JP 2002284568 A JP2002284568 A JP 2002284568A JP 2001092193 A JP2001092193 A JP 2001092193A JP 2001092193 A JP2001092193 A JP 2001092193A JP 2002284568 A JP2002284568 A JP 2002284568A
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Hiroshi Nakao
浩 中尾
Yuzo Shiba
雄三 志波
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Saga Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、車止め、舗道用ブロック、壁材、
景観材、透水性ブロック、大型陶磁器等として有用な長
大物や厚手ものの焼結体であって、骨材の脱落やクラッ
ク等を生じることのなく、また、セルベン等の産業廃棄
物の有効利用を可能とする焼結体およびその製造方法の
提供を課題とする。 【解決手段】 本発明の焼結体は、セメントと珪酸質微
砂からなり、酸化カルシウム10重量%〜30重量%、
アルミナ10重量%〜15重量%、二酸化珪素50重量
%〜75重量%の化学組成を有する耐火度SK05a〜
SK5aの低耐火性モルタル組成物と、耐火度SK12
〜18の高耐火性骨材と、水とからなるスラリー状混合
物が水和反応により硬化した成型体の焼結体であって、
低耐火性モルタル組成物熔融層により高耐火性骨材相互
が接合された構造を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車止め、舗道用ブ
ロック、壁材、景観材、透水性ブロック、大型陶磁器等
として有用な長大物や厚手ものの焼結体およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁器形成用坏土を構成する一般的な鉱物
は、石英、長石等の非粘性物と粘土系との混合物を磁器
特性や焼成温度に適した組成に調合し、さらに、粒度分
布や含水率の操作で可塑性や収縮率などが調整される。
磁器形成用坏土が特徴とする可塑性はロクロ成型の場合
には水分率としては19〜23重量%が好ましい範疇で
あり、一般に型枠を使用して成型される。次の乾燥工程
は軟弱な保水物からの脱水工程であり、脱水に伴う収縮
は含水率が4重量%までが顕著であるため、この領域で
は周到な管理が必要で全体では5〜7%の収縮が生じ
る。
【0003】そのため、例えば400mm×400mm
×20mmのごとき長大物や厚手もの(例えば厚さ80
mm)及び高精度が要求される器形などは湿度および温
度が制御された乾燥室で行なわれる。乾燥体の生強度は
粘土に依存するので、食器等粘性原料が少ない坏土の場
合はきわめて脆く、素焼き工程を経て必要に応じて加飾
が施され、施釉され、焼成されるが、長大物や厚手物の
場合には乾燥物に直接施釉される場合が多く、施釉品は
焼成工程に廻される。最終工程である焼成工程は磁器の
場合には、素地全体の組織を均質とすると共に機能性を
付与する操作と言える。焼結体にあってはその素地を構
成する結晶相は石英とムライトの2種であり、950℃
以上の領域で長石質により生成するガラス相は温度上昇
に伴い順次増加し、骨材である石英粒の界面を熔かしつ
つ焼結が進行するため吸水率や気孔率は著しく低下する
が、緻密性や機械的強度の両者は向上する。このような
焼成工程は、陶土構成や耐火度の調整により保型性を維
持する1250〜1350℃の領域で操作される。
【0004】このような操作にあって、長大物や厚手も
のの成形に際しては、大型油圧プレスや押出し、又は高
圧鋳込みなどの各種の成形方法が採用されるが、乾燥に
際しては水分の除去とそれに伴う収縮の同時進行を調整
するものであり、操作条件が厳しく、少しでも不都合が
あるとキレ、割れ等が発生し、歩留りに大きく影響を及
ぼす。そのため、長大物や厚手ものの成形に際しては、
加湿や除湿、またはマイクロ波による加熱などが採用さ
れ、慎重に操作されているのが現状であり、また、この
操作は焼成と同等のスペースと高度な技術の蓄積による
管理が必要である。また、乾燥体は極めて脆く、取り扱
いには細心の注意を必要とするために、多大な設備投資
が必要であり、また、長大物や厚手ものは必然的に高価
である。
【0005】このような問題の解決を図るために、成形
性の容易なセメント系建材が提案され、例えば特開平7
−112425号公報には、骨材粒子同士をセメントで
結合させたり、また、バインダーとして釉薬を使用する
場合には焼結することにより作製することが記載されて
いるが、単に、セメントで結合したり、または、釉薬を
使用して焼結したものであり、また、長大物や厚手もの
の作製に適した焼成物に関する記載はされていない。
【0006】また、特開平10−67553号公報に
は、セメントと陶磁器原料、必要に応じてシャモット等
の骨材を混練成形し、焼成することで均質な焼成物を得
ることを記載するが、長大物や厚手ものの作製に適した
焼成物に関する記載はされていない。
【0007】また、特開平8−133825号公報に
は、ろう石、陶磁器軽量シャモット、フラックス成分、
およびC3 Sを主成分とするセメントを主材とする配合
を混練・形成・焼成することにより、マトリックス中に
ワラストナイトおよびアノーサイトを形成させて長大物
として寸法精度に優れたセメント系軽量焼成建材とする
ことを記載するが、酸化珪素を主成分とするガラスとポ
ルトランドセメントとからなる熔融物を冷却過程で結晶
化させるものであり、アルミナ量が少なく、平板状のも
のは可能であるとしても、立体物とすると、例えば角物
の場合、肩部が鈍化又は全体が球形に近い状態となる等
の変形(タレ)等が生じる。これは、ガラス相の状態か
らアノーサイトが析出するためと考えられるもので、ガ
ラス相が多い焼結体は焼結に際して容易に変形するとい
う特性があり、角物等の立体物にあっては問題である。
また、ろう石を骨材とすると焼成時の焼結が進行せず、
立体物としての精度が要求される焼結体としては問題が
ある。
【0008】また、例えば特開平1−172263号公
報、特公昭61−44829号公報、特公昭62−95
56号公報等には、セメントとガラス等のフラックス成
分と骨材とからなり1000℃以下で焼成された陶磁器
製品が開示されているが、内装タイルに使用されること
を目的とするものと考えられ、長大物や厚手ものの作製
に適した焼成物に関する記載はされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、車止め、舗
道用ブロック、壁材、景観材、透水性ブロック、大型陶
磁器等として有用な長大物や厚手ものの焼結体であっ
て、骨材の脱落やクラック等を生じることのなく、また
セルベン等の産業廃棄物の有効利用を可能とする焼結体
およびその製造方法の提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の焼結体はセメン
トと珪酸質微砂からなり、酸化カルシウム10重量%〜
30重量%、アルミナ10重量%〜15重量%、二酸化
珪素50重量%〜75重量%の化学組成を有する耐火度
SK05a〜SK5aの低耐火性モルタル組成物と、耐
火度SK12〜18の高耐火性骨材と、水とからなるス
ラリー状混合物を水和反応により硬化させた成型体の焼
結体であって、低耐火性モルタル組成物熔融層により高
耐火性骨材相互が接合された構造を有することを特徴と
する。
【0011】また、本発明の焼結体の製造方法は、セメ
ントと珪酸質微砂からなり、酸化カルシウム10重量%
〜30重量%、アルミナ10重量%〜15重量%、二酸
化珪素50重量%〜75重量%の化学組成を有する耐火
度SK05a〜SK5aの低耐火性モルタル組成物10
重量%〜50重量%と、耐火度SK12〜18の高耐火
性骨材40重量%〜80重量%と、水5重量%〜30重
量%とからなるスラリー状混合物を水和反応により硬化
成型した後、1100℃〜1280℃で焼結することを
特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における低耐火性モルタル
組成物は、セメント及び微粒に調整された珪酸質微砂か
らなる。セメントとしては、ポルトランドセメント、白
色ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、
中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセ
メント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、
マグネシアセメント等が例示される。
【0013】また、珪酸質微砂としては、珪石質、長石
質、セルベン、カレット、シャモット等が例示され、セ
メントによるポゾラン反応を促進するために構造水の少
ない鉱物、または無水の珪酸質微砂を選択することが好
ましい。構成する珪酸質微砂は微粒状のためセメントに
おける水和反応が促進され早期に自硬性を発現し、さら
に均質な熔融層を形成することができる。初期硬化した
成形体は水分の影響による形状変化はなく、強制的な乾
燥操作が可能であるので長大物や厚手ものの製造が極め
て容易であり、セメント二次製品に用いられると同等の
成形工程が採用できる。
【0014】低耐火性モルタル組成物による熔融物の生
成反応に用いられる成分は、セメント由来の酸化カルシ
ウム、また、微粒状の珪石質、長石質、セルベン、カレ
ット、シャモット等由来の二酸化珪素、また、セメント
や珪酸質微砂のいずれにも含有されるアルミナ成分やア
ルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物によるもの
である。低耐火性モルタル組成物は、高温で加熱処理さ
れることで、粘稠性を有する熔融物となり、熔融生成物
は一部結晶化するとしても全体的には非晶質であり、骨
材相互間をバインダーとして接合し、また、粘稠性のた
め難流動性であり、密閉気孔や開放気孔を形成する。
【0015】珪酸質微砂の粒径としては、3μm〜30
μmのものであり、好ましくは3〜5μmであり、粒径
が30μmより大きいと早期硬化できず、また、熔融層
の均質層化を達成できない。
【0016】セメントと珪酸質微砂とからなる低耐火性
モルタル組成物の化学組成としては酸化カルシウム10
重量%〜30重量%、好ましくは13重量%〜20重量
%、アルミナ10重量%〜15重量%、好ましくは11
重量%〜13重量%、二酸化珪素50重量%〜75重量
%、好ましくは52重量%〜65重量%である。なお、
アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物は、3重
量%〜9重量%含有していてもよく、酸化鉄、酸化チタ
ン等の他の成分は制限はない。
【0017】酸化カルシウムはセメント由来のもので、
スラリー状混合物の成型性を確保すると共に焼結体にあ
っては二酸化珪素、アルミナとともに反応焼結する成分
であり、10重量%より少ないと成型性が不充分とな
り、また、30重量%より多いと、焼成した際に成型体
の形状変化が生じ、焼結体の底部は焼成用焼台と熔着す
るので好ましくない。
【0018】また、アルミナは、セメントの水和物と反
応焼結すると共に熔融物にあって粘稠性を発現させる成
分であり、難流動性により焼成幅を拡大し、高耐火性骨
材間を安定化させる機能を有するもので、10重量%よ
り少ないと易流動性であり、また、15重量%より多い
と難焼結性となる。
【0019】また、二酸化珪素はセメントの水和物と反
応焼結する成分であり、50重量%より少ないと易熔化
性であり、また、75重量%より多いと難熔化性であ
る。
【0020】本発明の低耐火性モルタル組成物には、上
記した化学組成の範囲内で、早期の自硬性促進を目的と
して低耐火性モルタル組成物に粒径が0.1〜0.2μ
mの微粒状の珪石、シリカヒューム等のクリストバライ
ト質微粉を添加してもよい。また、耐火度を調整を目的
として、粒径が1〜20μmの微粒状のカレット、シャ
モット等の微粉を添加してもよい。
【0021】なお、セメントとして普通ポルトランドセ
メント、珪酸質微砂として長石を使用する場合には、重
量比で、セメント1に対して、長石2.0〜4.0、好
ましくは2.0〜3.0の範囲である。また、粒度分布
を調整して調合量を変化させることができ、例えば、平
均粒子径が5μmの長石を使用した場合の長石の含有量
は65〜70重量%である。長石の平均粒子径としては
3〜30μmであると早期硬化と熔融物の均質層を形成
するのに好ましく、さらに好ましい平均粒子径は3〜5
μmである。
【0022】次に、高耐火性骨材としては、粘土系鉱物
を含有しない非粘性物質、または主に鉱物の固体中に存
在し、セメントとのポゾラン反応に関与しない材質のも
のであり、セルベン、珪酸質鉱物、またはそれらの混合
物が挙げられる。中でもセルベンは締焼、本焼工程で発
生した不良素地を粉砕した粉末で、焼き粉とも称せられ
るものであり、既に1300℃領域で熱処理されたもの
で、物性としては高硬度で吸水性はなく化学安定性は高
いものである。
【0023】本発明にあって、珪酸質微砂や骨材として
セルベンを使用すると、産業廃棄物の再利用の観点から
も好ましい。また、長石質や珪石、長石の混合鉱物や陶
石類の砕石もセルベンを使用した場合と類似した物性を
発現する。
【0024】透水性を有する焼結体を得るには、長石質
や珪石、長石の混合鉱物や陶石類の砕石を使用する場
合、粒径が5mm〜25mm程度とするとよく、セルベ
ンの場合には2mm〜8mm程度とするよい。緻密な焼
結体を得る場合には、骨材としてはセルベンまたは長石
質や珪石、長石の混合鉱物や陶石類の砕石のいずれの場
合にも、2mm程度で細粒が多く粒度分布の広い粉体を
用いるとよい。
【0025】本発明は、低耐火性モルタル組成物と高耐
火性骨材とを耐火度で規定するが、天然、人工のいずれ
にあっても、例えばAl2 3 、B2 3 が少量含有さ
れていても耐火度に大きな影響を与える。そのため、熔
融温度の設定や管理は化学成分率より耐火度による管理
方法が現実的である。
【0026】耐火物や陶磁器素地は一般に不均質であ
り、温度上昇と共に反応、熔融し、軟化変形するが、軟
化変形が進行の途上で一定の軟化状態になる温度を耐火
度という。具体的には、被試験体の粉砕物から試験錐を
作りゼーゲルコーンと同一条件で加熱して求められる値
で、窯業原料の特性値として評価されるものであり、試
験法としては、JIS R 2204で規定されるもの
である。
【0027】低耐火性モルタル組成物としては、耐火度
SK05a〜SK5aのものてある。例えば、焼成条件
を1200〜1250℃とすると低耐火性モルタル組成
物は熔融化し磁器用釉薬に近似した状態となるが、この
際の耐火度はSK2a〜4aの範囲とするとよく、特に
SK2a〜3aとするとよい。また、耐火度SK05a
〜SK08aのような低耐火性モルタル組成物とするに
は、カレット等のB23 含有物を添加する必要があ
る。
【0028】低耐火性モルタル組成物に使用される普通
ポルトランドセメントおよび珪酸質微砂(長石、珪石、
セルベン、カレット、シャモット、シリカヒューム)の
化学分析値を表1に示す。表中、数値は重量%を示す。
【0029】
【表1】
【0030】また、表2に低耐火性モルタル組成物の調
合例1〜11と耐火度と焼成温度と性状を示す。なお、
性状としては、その焼成温度に適しているかいなかで示
す。表中、数値は重量%を示す。また、長石の平均粒子
径は3μm、セルベンの平均粒子径は4μm、カレット
の平均粒子径は3μm、シャモットの平均粒子径は5μ
mのものを使用した。
【0031】
【表2】
【0032】また、表3に、表2の低耐火性モルタル組
成物における化学成分の概要を示す。
【0033】
【表3】
【0034】次に、高耐火性骨材の耐火度としては、焼
成温度1200〜1250度では耐火度がSK12〜1
8の範囲とすることにより、良好な焼結体が得られる。
焼結体の製造に好ましい骨材の耐火度を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】本発明におけるスラリー状混合物は、低耐
火性モルタル組成物10重量%〜50重量%と高耐火性
骨材40重量%〜80重量%、水5重量%〜30重量%
とからなるが、流動性を有する低耐火性モルタル組成物
を充填助剤とするため、焼結体における高耐火性骨材の
粒度分布の調整により含有率を高めることができる。
【0037】上記の低耐火性モルタル組成物にあって、
水は、セメントと珪酸質微砂との合量に対して25重量
%〜35重量%の割合で添加するとよく、また、珪酸質
微砂の平均粒子径が5μmの場合には、27〜29重量
%とすることが更に好ましい。また、低耐火性モルタル
組成物と高耐火性骨材との割合(重量比)は1:1.5
〜3.0の範囲とするのが好ましい。また、セメントと
して普通ポルトランドセメントを使用する場合には、ス
ラリー状混合物におけるセメントの割合は6重量%〜1
2重量%である。
【0038】スラリー状混合物において、低耐火性モル
タル組成物が10重量%より少ないと高耐火性骨材間の
バインダーとしての機能を十分に果たすことができず、
また、50重量%より多いと熔化が著しく変形するので
好ましくない。
【0039】また、高耐火性骨材が40重量%より少な
いと焼成変形が著しく、また、80重量%より多いと強
度不足となるので好ましくない。
【0040】また、水分量としては、8重量%より少な
いと、低耐火性モルタル組成物におけるセメントとのポ
ゾラン反応が不十分となる他、成型性に問題が生じ、ま
た、20重量%より多いと遊離水が発生し、成型体の組
成が不均質になるので好ましくない。
【0041】次に、本発明の焼結体の製造工程を説明す
る。 (1) セメント、珪酸質微砂、骨材を所定割合で混合
しミキサーにて3〜5分間乾式混合した後、水を所定割
合で加え5〜10分更に混合して、泥状となった原料を
型枠内に流し込み、20時間〜40時間、養生し、硬化
させた後、脱型する。また、早期硬化を目的として平均
粒径0.2μmのシリカヒュームを使用すると、2〜3
時間の養生で硬化体を得ることができる。 (2) 得られた硬化体は、電気炉において室温から1
100℃〜1280℃の適宜温度まで100℃/hで昇
温し、最終温度領域で1時間保持した後、炉冷すること
で焼結体とされる。
【0042】本発明の焼結体は、ブロック状、平板状、
柱状等の各種形状に成型されるが、ブロック状の場合、
600mm×400mm×100mmの大きさまでのも
のが可能である。
【0043】図1に焼結体の断面模式図を示す。この模
式図は、後述する実施例1で得られた焼結体の断面を肉
眼で観察した状態を約3倍の拡大図で模したものであ
り、粒子径1mm〜10mmの高耐火性骨材表面が黄白
色の熔融物で覆われ、繋ぎとめられると共に空隙部が観
察されるものである。
【0044】また、平板の場合には、600mm×40
0mm×10mmの大きさまでのものが可能であるが、
適量のスラリー状混合物を型枠に流し込んだ後、表面部
に振動を与えることにより、図2に模式的に示すよう
に、骨材における微粒部や低耐火性モルタル組成物によ
る熔融部が平板表面に選択的に形成され、緻密化した表
面部が形成され、その表面部から深部方向に高耐火性骨
材粒径の傾斜構造を形成した状態を示すものとできる。
図2に模式的に示す構造とすると、光沢質の表面が形成
され、不透水表面層を形成するものである。
【0045】また、図3に模式的に示すように、成型体
表面に低耐火性モルタル組成物を使用して高耐火性骨材
を含有しない表面層を形成し、2層構造としたものとで
きる。この表面層には無機顔料を用いて加飾により表面
を修飾してもよい。
【0046】本発明の焼結体にあっては、高耐火性骨材
の粒径を調整することにより、気孔を有するものとも、
また、緻密体ともでき、透水性または不透水性のものと
できる。また、本発明の焼結体における吸水率は3%以
下である。
【0047】また、本発明における低耐火性モルタル組
成物や高耐火性骨材のそれぞれの熱膨張係数は4.5×
10-6/℃〜6.2×10-6/℃の範囲で極めて近似す
るので、焼結体とした際の冷却によるクラックや剥離等
の発生はなく、焼結体にあっても、熱膨張係数が4.5
×10-6/℃〜6.2×10-6/℃の範囲の安定した構
造とできる。
【0048】また、本発明の焼結体の強度は、JISA
1108での測定値として、8〜80N/mm2 、好ま
しくは60〜80N/mm2 のものとできる。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。 (実施例1〜8)普通ポルトランドセメント、長石、骨
材、カレットをそれぞれ下記の表5に記載の調合割合で
ミキサーに投入した後、4分間乾式混合し、更に水分を
下記表5に示す量添加して更に7分間混合し、スラリー
状混合物を得た。
【0050】得られたスラリー状混合物を400mm×
200mm×60mmの角型の枠体に流し込み、24時
間養生させて硬化体とした。
【0051】得られた硬化体を電気炉において室温から
100℃/hで昇温し、下記表5に示す焼成温度で1時
間保持した後、炉冷し、本発明の焼結体を得た。
【0052】なお、表中の調合割合は重量%であり、ま
た、長石は平均粒子径が4μmであり、また、骨材は下
記表5に示す篩分級の目開きで粒度調整したセルベン粒
子であり、篩分級の目開きが8mmのものは、平均粒子
径が2mm〜8mmのものが80%、2mm以下のもの
が20%の粒度分布を有し、また、篩分級の目開きが4
mmのものは、平均粒子径が2mm〜4mmのものが6
0%、2mm以下のものが40%の粒度分布を有する。
また、カレットは平均粒子径が3μmである。また、得
られた焼結体の強度(N/mm2 )、また、形状に関し
てタレ等の有無による変形に関しての目視結果につい
て、下記表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】また、実施例1〜実施例8で得られた焼結
体について、吸水率(%)および見掛け比重をJIS
A 1110により測定し、また、見掛け気孔率(%)
を各種重量より求めた。結果を下記表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】また、実施例1で得られた焼結体を目視と
ビデオマイクロスコープにより観察したが、骨材の脱落
は認められず、また、その断面を観察したところ素地中
にクラックは認められなかった。
【0057】また、実施例1で得られた焼結体につい
て、その熔融物の結晶構造をX線回折により同定したと
ころ、骨材に由来する石英、ムライトを除けば非晶質の
ガラス相であり、セメントに由来する結晶相は検出され
なかった。
【0058】
【発明の効果】本発明の焼結体は、従来の陶磁器に比し
て、多大の設備投資が不要となり、簡略化でき、大幅な
コスト低減に寄与できるものであり、特に、現在まで特
殊工法等現在までノウハウとされてきた長大物や厚手も
のの焼結体の製造工程が容易となるという効果がある。
また、近年のリサイクル法の浸透により産業廃棄物の処
分方法が問題となっているが、本発明の焼結体にあって
は、セルベンを骨材として使用でき、また、不要となっ
た焼結体を再度粉砕して活用でき、循環型資材とするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明における焼結体の断面模式図
である。
【図2】 図2は、本発明における他の焼結体の断面模
式図である。
【図3】 図3は、本発明における他の焼結体の断面模
式図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメントと珪酸質微砂からなり、酸化カ
    ルシウム10重量%〜30重量%、アルミナ10重量%
    〜15重量%、二酸化珪素50重量%〜75重量%の化
    学組成を有する耐火度SK05a〜SK5aの低耐火性
    モルタル組成物と、耐火度SK12〜18の高耐火性骨
    材と、水とからなるスラリー状混合物を水和反応により
    硬化させた成型体の焼結体であって、低耐火性モルタル
    組成物熔融層により高耐火性骨材相互が接合された構造
    を有することを特徴とする焼結体。
  2. 【請求項2】 セメントと珪酸質微砂からなり、酸化カ
    ルシウム10重量%〜30重量%、アルミナ10重量%
    〜15重量%、二酸化珪素50重量%〜75重量%の化
    学組成を有する耐火度SK05a〜SK5aの低耐火性
    モルタル組成物10重量%〜50重量%と、耐火度SK
    12〜18の高耐火性骨材40重量%〜80重量%と、
    水5重量%〜30重量%とからなるスラリー状混合物を
    水和反応により硬化成型した後、1100℃〜1280
    ℃で焼結することを特徴とする焼結体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013170409A (ja) * 2012-02-22 2013-09-02 Railway Technical Research Institute 砕石体集合ブロック、及び砕石体集合ブロック群
CN111606696A (zh) * 2020-05-21 2020-09-01 蚌埠明飞环保材料科技有限公司 一种仿石透水砖及其制备方法
RU2787483C1 (ru) * 2022-06-26 2023-01-09 Общество с ограниченной ответственностью "БРИК-ДИЗАЙН" (ООО "БРИК-ДИЗАЙН") Керамическая масса

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