JP2002283586A - インクカートリッジ及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクカートリッジ及びインクジェット式記録装置

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JP2002283586A
JP2002283586A JP2001093392A JP2001093392A JP2002283586A JP 2002283586 A JP2002283586 A JP 2002283586A JP 2001093392 A JP2001093392 A JP 2001093392A JP 2001093392 A JP2001093392 A JP 2001093392A JP 2002283586 A JP2002283586 A JP 2002283586A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクカートリッジ内のインク量を高い信頼
性の下で監視する。 【解決手段】 インクカートリッジのインク容器20に
圧電装置106と振動部隔離手段60とを有する液位検
出装置を装着する。圧電装置106は、インク容器20
のインク収容空間に少なくとも一部を露出させた振動部
を有し、駆動信号を受けて振動部を振動させると共に振
動部の振動状態に応じて発生する逆起電力信号を出力す
る機能を有する。振動部隔離手段60は、インクカート
リッジを記録装置の本体に装着する前においては圧電装
置106の振動部をインク収容空間内のインクから隔離
し、インクカートリッジを記録装置の本体に装着した際
に圧電装置106の振動部をインク容空間内のインクに
接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクカートリッ
ジ及びインクジェット式記録装置に係わり、特に、圧電
装置を用いて液量を監視する機能を有するインクカート
リッジ及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット式記録装置においては、
圧力発生室を加圧する圧力発生手段と、加圧されたイン
クをインク滴として射出するノズル開口と、を有するイ
ンクジェット記録ヘッドがキャリッジに搭載されてい
る。
【0003】インクジェット式記録装置では、インクタ
ンク(インク容器)内のインクが流路を介して記録ヘッ
ドに供給され続けることにより、印刷を継続可能に構成
されている。インクタンクは、例えばインクが消費され
た時点でユーザが簡単に交換できる、着脱可能なカート
リッジとして構成されている。
【0004】従来、インクカートリッジのインク消費の
管理方法としては、記録ヘッドでのインク滴の射出数や
メンテナンスにより吸引されたインク量をソフトウエア
により積算してインク消費を計算により管理する方法
や、インクカートリッジに液面検出用の電極を取付ける
ことにより実際にインクが所定量消費された時点を管理
する方法などがある。
【0005】しかしながら、ソフトウェアによりインク
滴の吐出数やインク量を積算してインク消費を計算上管
理する方法には、次のような問題がある。ヘッドの中に
は吐出インク滴に重量バラツキを有するものがある。こ
のインク滴の重量バラツキは画質には影響を与えない
が、バラツキによるインク消費量の誤差が累積した場合
を考慮して、マージンを持たせた量のインクをインクカ
ートリッジに充填してある。従って、個体によってはマ
ージン分だけインクが余るという問題が生ずる。
【0006】一方、電極によりインクが消費された時点
を管理する方法は、インクの実量を検出できる。このた
め、インク残量を高い信頼性で管理できる。しかしなが
ら、インクの液面の検出をインクの導電性に頼るので、
検出可能なインクの種類が限定されたり、電極のシール
構造が複雑化し得る。また、電極の材料としては、通常
は導電性が良く耐腐食性も高い貴金属が使用されるの
で、インクカートリッジの製造コストがかさむ。さら
に、2本の電極を装着する必要があるため、製造工程が
多くなり、結果として製造コストがかさんでしまう。
【0007】上記の課題を解決すべく、特願2000−
147052号には、液体残量を正確に検出でき、かつ
複雑なシール構造を不要とした、液体容器に装着される
圧電装置が記載されている。また、特願2000−14
7123号には、インクの液面を正確に検出するための
手段として、インク滴の射出数に基づいてインクの推定
消費状態を求めると共に圧電装置を用いてインクの実消
費状態を検出する手段が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した特許出願に係
る技術によれば、圧電装置の振動部に対向する空間にイ
ンクが存在する場合とインクが存在しない場合とで、圧
電装置の振動部の残留振動に起因して発生する残留振動
信号の共振周波数が変化することを利用して、インクカ
ートリッジ内のインク残量を監視することができる。
【0009】ところが、従来の技術においては、圧電装
置の振動部に対向する空間にインクが存在しない場合の
共振周波数が事前にはわからないためにインクがなくな
った時点を正確に検出することが困難であった。
【0010】本発明は、上述した事情を考慮して成され
たものであって、インクカートリッジ内のインク量を高
い信頼性の下で監視できるインクカートリッジ及びこれ
を備えたインクジェット式記録装置を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、インクによって記録を行う記録装置のイ
ンクカートリッジにおいて、インクを収容するインク容
器と、前記インク容器に装着された液位検出装置と、を
備え、前記液位検出装置は、前記インク容器のインク収
容空間に少なくとも一部を露出させた振動部を有し、駆
動信号を受けて前記振動部を振動させる機能と共に、前
記振動部の振動状態に応じて発生する逆起電力の信号を
出力する機能を有する圧電装置と、前記インクカートリ
ッジを前記記録装置の本体に装着する前においては前記
圧電装置の前記振動部を前記インク収容空間内のインク
から隔離すると共に、前記インクカートリッジを前記記
録装置の本体に装着した際に前記圧電装置の前記振動部
を前記インク収容空間内のインクに接触させる振動部隔
離手段と、を有することを特徴とする。
【0012】また、好ましくは、前記インク容器には、
前記インクカートリッジを前記記録装置の本体に装着す
る際に前記記録装置の本体のインク供給針が挿入される
インク供給口が形成されており、前記振動部隔離手段
は、前記インク供給口に挿入された前記インク供給針に
係合して前記インク供給針と共に移動する移動体と、前
記圧電装置の前記振動部を覆って前記インク収容空間内
のインクから前記振動部を隔離するテープ部材と、を有
し、前記インクカートリッジを前記記録装置の本体に装
着する際に前記インク供給針に係合して移動する前記移
動体によって前記テープ部材が引っ張られて前記テープ
部材による前記振動部の覆いが解除される。
【0013】また、好ましくは、前記インクカートリッ
ジは、前記記録装置の本体に装着されるに際して、前記
振動部隔離手段による前記振動部の覆いが解除される前
の第1位置を経て、前記振動部隔離手段による前記振動
部の覆いが解除されて前記インクカートリッジが前記記
録装置の本体に装着された状態の第2位置に移動するも
のであり、前記第1及び第2位置において前記圧電装置
と前記記録装置の本体とが電気的に接続された状態にあ
り、前記第1及び第2位置において、前記圧電装置に駆
動信号を供給して前記振動部を振動させた後に前記圧電
装置から出力される残留振動信号が前記記録装置の本体
に伝達されるようになされる。
【0014】上記課題を解決するために、本発明による
インクジェット式記録装置は、上記いずれかのインクカ
ートリッジと、 前記インクカートリッジが装着される
記録装置本体と、前記圧電装置からの出力信号に基づい
て前記インクカートリッジ内のインクの液位を判定する
液位判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】上記課題を解決するために、本発明による
インクジェット式記録装置は、上述した第1及び第2位
置にて圧電装置を駆動できるインクカートリッジと、前
記インクカートリッジが装着される記録装置本体と、前
記圧電装置からの出力信号に基づいて前記インクカート
リッジ内のインクの液位を判定する液位判定手段と、を
備え、前記液位判定手段は、前記第1位置において前記
圧電装置に駆動信号を供給して前記振動部を振動させた
後の前記振動部の残留振動に起因して前記圧電装置から
出力される残留振動信号に基づいて、前記振動部にイン
クが接触していない状態における残留振動信号の共振周
波数を測定して初期共振周波数として記憶すると共に、
前記第2位置において前記圧電装置に駆動信号を供給し
て前記振動部を振動させた後の前記振動部の残留振動に
起因して前記圧電装置から出力される残留振動信号の共
振周波数が前記初期共振周波数に略一致したときに、前
記インク容器内のインクの液面が前記振動部の設置位置
を越えて低下したものと判断することを特徴とする。
【0016】また、好ましくは、前記液位判定手段は、
前記インクカートリッジを前記記録装置本体に装着する
際に前記第1位置において測定された前記初期共振周波
数と、同じく前記インクカートリッジを前記記録装置本
体に装着する際に前記第2位置において測定された前記
共振周波数とを比較して、両者の間に有意な変化がみら
れない場合には前記液位検出装置に異常があると判断す
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態による
インクカートリッジ及びインクジェット式記録装置つい
て図面を参照して説明する。図1中符号1はキャリッジ
であり、このキャリッジ1はキャリッジモータ2により
駆動されるタイミングベルト3を介し、ガイド部材4に
案内されてプラテン5の軸方向に往復移動されるように
構成されている。
【0018】キャリッジ1の記録用紙6に対向する側に
はインクジェット式記録ヘッドが搭載され、またその上
部には記録ヘッドにインクを供給するインクカートリッ
ジ7が着脱可能に装着されている。
【0019】この記録装置の非印字領域であるホームポ
ジション(図中、右側)にはキャップ部材31が配置され
ており、このキャップ部材31はキャリッジ1に搭載さ
れた記録ヘッドがホームポジションに移動した時に、記
録ヘッドのノズル形成面に押し当てられてノズル形成面
との間に密閉空間を形成するように構成されている。そ
して、キャップ部材31の下方には、キャップ部材31
により形成された密閉空間に負圧を与えてクリーニング
等を実施するためのポンプユニット10が配置されてい
る。
【0020】そして、キャップ部材31における印字領
域側の近傍には、ゴムなどの弾性板を備えたワイピング
手段11が記録ヘッドの移動軌跡に対して例えば水平方
向に進退できるように配置されていて、キャリッジ1が
キャップ部材31側に往復移動するに際して、必要に応
じて記録ヘッドのノズル形成面を払拭することができる
ように構成されている。
【0021】図2及び図3は、本実施形態において用い
られる圧電装置としてのアクチュエータ106の詳細お
よび等価回路を示す。このアクチュエータ106は、残
留振動による共振周波数を検出することで音響インピー
ダンスの変化を検知して、インク容器内の液体の消費状
態を検出するものである。
【0022】図2(A)は、アクチュエータ106の拡
大平面図である。図2(B)は、アクチュエータ106
のB−B断面を示す。図2(C)は、アクチュエータ1
06のC−C断面を示す。さらに図3(A)および図3
(B)は、アクチュエータ106の等価回路を示す。ま
た、図3(C)および図3(D)は、それぞれインクカー
トリッジ内にインクが満たされているときのアクチュエ
ータ106を含む周辺およびその等価回路を示し、図3
(E)および図3(F)は、それぞれインクカートリッジ
内にインクが無いときのアクチュエータ106を含む周
辺およびその等価回路を示す。
【0023】アクチュエータ106は、ほぼ中央に円形
状の開口161を有する基板178と、開口161を被
覆するように基板178の一方の面(以下、「表面」と
いう。)に配置される振動板176と、振動板176の
表面の側に配置される圧電層160と、圧電層160を
両方からはさみこむ上部電極164および下部電極16
6と、上部電極164と電気的に結合する上部電極端子
168と、下部電極166と電気的に結合する下部電極
端子170と、上部電極164および上部電極端子16
8の間に配設され両者を電気的に結合する補助電極17
2と、を有する。
【0024】圧電層160、上部電極164および下部
電極166は、それぞれの主要部としての円形部分を有
する。そして、圧電層160、上部電極164および下
部電極166のそれぞれの円形部分が、圧電素子を形成
している。
【0025】振動板176は、基板178の表面に、開
口161を覆うように形成される。キャビティ162
は、開口161と面する振動板176の部分と基板(キ
ャビティ形成部材)178の開口161とによって形成
される。圧電素子とは反対側の基板178の面(以下、
「裏面」という。)は、インク容器内方に面している。
これにより、キャビティ162は液体(インク)と接触
するように構成されている。なお、キャビティ162内
に液体が入っても基板178の表面側に液体が漏れない
ように、振動板176は基板178に対して液密に取り
付けられている。
【0026】下部電極166は、振動板176の表面に
位置している。下部電極166の主要部である円形部分
の中心と開口161の中心とは、ほぼ一致するように取
り付けられている。なお、下部電極166の円形部分の
面積は、開口161の面積よりも小さくなるように設定
されている。
【0027】一方、下部電極166の表面側には、圧電
層160が、その円形部分の中心と開口161の中心と
がほぼ一致するように配置形成されている。この場合、
圧電層160の円形部分の面積は、開口161の面積よ
りも小さく、かつ、下部電極166の円形部分の面積よ
りも大きくなるように設定されている。
【0028】圧電層160の表面側には、上部電極16
4が、その主要部である円形部分の中心と開口161の
中心とがほぼ一致するように配置形成されている。上部
電極164の円形部分の面積は、開口161および圧電
層160の円形部分の面積よりも小さく、かつ、下部電
極166の円形部分の面積よりも大きくなるよう設定さ
れている。
【0029】したがって、圧電層160の主要部は、上
部電極164の主要部と下部電極166の主要部とによ
って、それぞれ表面側と裏面側とから挟みこまれる構造
となっている。これにより、圧電層160は効果的に変
形駆動され得る。圧電層160、上部電極164および
下部電極166のそれぞれの主要部である円形部分が、
アクチュエータ106における圧電素子を形成する。
【0030】上述のように、この圧電素子は振動板17
6に接している。また、上部電極164の円形部分、圧
電層160の円形部分、下部電極166の円形部分およ
び開口161のうちで、面積が最も大きいのは開口16
1である。このような構造のために、振動板176のう
ち実際に振動する振動領域(振動部の領域)は、開口1
61によって決定される。
【0031】また、上部電極164の円形部分、圧電層
160の円形部分および下部電極166の円形部分の各
面積が、開口161の面積より小さいことにより、振動
板176がより振動しやすくなっている。
【0032】さらに、圧電層160と電気的に接続する
下部電極166の円形部分および上部電極164の円形
部分のうち、下部電極166の円形部分の方が小さい。
従って、下部端子166の円形部分が、圧電層160の
うちで圧電効果を発生する部分を決定する。
【0033】圧電素子を形成する圧電層160、上部電
極164、及び下部電極166の円形部分は、その中心
が、開口部161の中心とほぼ一致している。また、振
動板176の振動部分を決定する円形状の開口部161
の中心は、アクチュエータ106の全体のほぼ中心に位
置している。したがって、アクチュエータ106の振動
部の中心は、アクチュエータの中心とほぼ一致する。
【0034】更に、圧電素子の主要部及び振動板176
の振動部分が円形形状を有するので、アクチュエータ1
06の振動部は、アクチュエータ106の中心に対して
対称な形状である。
【0035】このようにアクチュエータ106の振動部
が、アクチュエータ106の中心に対して対称な形状で
あるので、構造の非対称性から生じ得る不要な振動を励
起することがない。このため、共振周波数の検出精度が
向上する。
【0036】また、振動部が等方的な形状であるので、
接着の際に固定のばらつきの影響を受けにくく、インク
容器に均等に接着され得る。すなわち、アクチュエータ
106のインク容器への実装性がよい。
【0037】更に、振動板176のコンプライアンスが
大きいので、振動の減衰が小さくなり、共振周波数の検
出の精度が向上できる。
【0038】また、アクチュエータ106の振動の節
は、キャビティ162の外周部、すなわち、開口部16
1の縁付近に位置する。
【0039】上部電極端子168は、補助電極172を
介して上部電極164と電気的に接続するように、振動
板176の表面側に形成されている。一方、下部電極端
子170は、下部電極166に電気的に接続するよう
に、振動板176の表面側に形成されている。上部電極
164は、圧電層160の表面側に形成されるため、上
部電極端子168と接続する途中において、圧電層16
0の厚さと下部電極166の厚さとの和に等しい段差を
有する必要がある。上部電極164だけでこの段差を形
成することは難しい。かりに上部電極164だけで段差
を形成することが可能であったとしても、上部電極16
4と上部電極端子168との接続状態が弱くなってしま
い、切断してしまう危険がある。そこで、補助電極17
2を補助部材として用いて、上部電極164と上部電極
端子168とを接続させている。このようにすること
で、圧電層160も上部電極164も補助電極172に
支持された構造となり、所望の機械的強度を得ることが
でき、また、上部電極164と上部電極端子168との
接続を確実にすることが可能となる。
【0040】なお、圧電素子と振動板176のうちの圧
電素子に直面する振動領域とが、アクチュエータ106
において実際に振動する振動部である。また、アクチュ
エータ106に含まれる部材は、互いに焼成されること
によって一体的に形成されていることが好ましい。アク
チュエータ106を一体的に形成することによって、ア
クチュエータ106の取り扱いが容易になる。
【0041】さらに、基板178の強度を高めることに
よって、振動特性が向上し得る。即ち、基板178の強
度を高めることによって、アクチュエータ106の振動
部のみが振動し、アクチュエータ106のうち振動部以
外の部分が振動しない。また、アクチュエータ106の
振動部以外の部分が振動しないためには、基板178の
強度を高めることに加えて、アクチュエータ106の圧
電素子を薄くかつ小さくすると共に、振動板176を薄
くすることも有効である。
【0042】圧電層160の材料としては、ジルコン酸
チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン
(PLZT)、または、鉛を使用しない鉛レス圧電膜、
を用いることが好ましい。基板178の材料としては、
ジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。ま
た、振動板176には、基板178と同じ材料を用いる
ことが好ましい。上部電極164、下部電極166、上
部電極端子168および下部電極端子170は、導電性
を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミ
ニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
【0043】図2および図3に示されるアクチュエータ
106は、インクカートリッジ7のインク容器の所定の
場所に、キャビティ162がインク容器内に収容される
液体(インク)と接触するように装着される。つまり、
アクチュエータ106の振動部の少なくとも一部が、イ
ンク容器の収容空間に露出している。インク容器に液体
が十分に収容されている場合には、キャビティ162内
およびその外側は液体によって満たされている。
【0044】一方、インク容器の液体が消費され、アク
チュエータの装着位置以下まで液面が降下すると、キャ
ビティ162内に液体が存在しない状態となる、あるい
は、キャビティ162内にのみ液体が残存されその外側
には気体が存在する状態となる。
【0045】アクチュエータ106は、この状態の変化
に起因する音響インピーダンスの相違を検出する。それ
によって、アクチュエータ106は、インク容器に液体
が十分に収容されている状態であるか、あるいは、ある
一定以上の液体が消費された状態であるか、を検知する
ことができる。
【0046】次に、アクチュエータによる液面検出の原
理について説明する。アクチュエータ106は、液体の
音響インピーダンスの変化を共振周波数の変化を用いて
検出することができる。共振周波数は、アクチュエータ
の振動部が振動した後に振動部に残留する残留振動によ
って生ずる逆起電力を測定することによって検出するこ
とができる。すなわち、上述した圧電素子は、アクチュ
エータの振動部に残留する残留振動により逆起電力を発
生する。逆起電力の大きさは、アクチュエータの振動部
の振幅によって変化する。従って、アクチュエータの振
動部の振幅が大きいほど、検出が容易である。
【0047】また、アクチュエータの振動部における残
留振動の周波数によって、逆起電力の大きさが変化する
周期が変わる。すなわち、アクチュエータの振動部の周
波数は、逆起電力の周波数に対応する。ここで、共振周
波数は、アクチュエータの振動部と振動部に接する媒体
との共振状態における周波数をいう。
【0048】アクチュエータ106の振動領域は、振動
板176のうち開口161によって決定されるキャビテ
ィ162を構成する部分である。インク容器内に液体が
充分に収容されている場合には、キャビティ162内に
は、液体が満たされ、振動領域はインク容器内の液体と
接触している。一方で、インク容器内に液体が充分にな
い場合には、振動領域はインク容器内のキャビティに残
った液体と接するか、あるいは、液体と接触せず、気体
または真空と接触する。
【0049】ここで、図2および図3を参照しながら、
逆起電力の測定により得られる媒体とアクチュエータ1
06の振動部との共振周波数から、インク容器内の液体
の状態を検出する動作および原理について説明する。
【0050】アクチュエータ106において、上部電極
端子168および下部電極端子170を介して、それぞ
れ上部電極164および下部電極166に電圧を印加す
る。このため、圧電層160のうち、上部電極164お
よび下部電極166に挟まれた部分に電界が生じる。こ
の電界によって、圧電層160は変形する。圧電層16
0が変形することによって、振動板176のうちの振動
領域がたわみ振動する。圧電層160が変形した後しば
らくは、たわみ振動がアクチュエータ106の振動部に
残留する。
【0051】残留振動は、アクチュエータ106の振動
部と媒体との自由振動である。従って、圧電層160に
印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすること
で、電圧を印加した後の振動部と媒体との共振状態を容
易に得ることができる。残留振動は、アクチュエータ1
06の振動部の振動であり、圧電層160の変形を伴
う。このため、圧電層160は逆起電力を発生する。こ
の逆起電力は、上部電極164、下部電極166、上部
電極端子168および下部電極端子170を介して検出
される。検出された逆起電力によって、共振周波数が特
定できる。この共振周波数に基いて、インク容器内の液
体の有無を検出することができる。
【0052】一般に、共振周波数fsは、 fs=1/(2*π*(M*Cact)1/2) (式1) で表される。ここで、Mは振動部のイナータンスMact
と付加イナータンスM’との和である。Cactは振動部
のコンプライアンスである。
【0053】図2(C)は、本実施形態において、キャ
ビティ162にインクが残存していないときのアクチュ
エータ106の断面図である。図3(A)および図3
(B)は、キャビティ162にインクが残存していない
ときのアクチュエータ106の振動部およびキャビティ
162の等価回路である。
【0054】Mactは、振動部の厚さと振動部の密度と
の積を振動部の面積で除したものであり、詳細には、図
3(A)に示すように、 Mact=Mpzt+Melectrode1+Melectrode2+Mvib (式2) と表される。
【0055】ここで、Mpztは、振動部における圧電層
160の厚さと圧電層160の密度との積を圧電層16
0の面積で除したものである。Melectrode1は、振動部
における上部電極164の厚さと上部電極164の密度
との積を上部電極164の面積で除したものである。M
electrode2は、振動部における下部電極166の厚さと
下部電極166の密度との積を下部電極166の面積で
除したものである。Mvibは、振動部における振動板1
76の厚さと振動板176の密度との積を振動板176
の振動領域の面積で除したものである。
【0056】ただし、Mactを振動部全体としての厚
さ、密度および面積から算出することができるように、
圧電層160、上部電極164、下部電極166および
振動板176の振動領域のそれぞれの面積は、上述のよ
うな大小関係を有するものの、相互の面積の差は微小で
あることが好ましい。
【0057】また、本実施形態において、圧電層16
0、上部電極164および下部電極166においては、
それらの主要部である円形部分以外の部分は、主要部に
対して無視できるほど微小であることが好ましい。従っ
て、アクチュエータ106において、Mactは、上部電
極164、下部電極166、圧電層160および振動板
176のうちの振動領域のそれぞれのイナータンスの和
である。また、コンプライアンスCactは、上部電極1
64、下部電極166、圧電層160および振動板17
6のうちの振動領域によって形成される部分のコンプラ
イアンスである。
【0058】尚、図3(A)、図3(B)、図3(D)、
図3(F)は、アクチュエータ106の振動部およびキ
ャビティ162の等価回路を示すが、これらの等価回路
において、Cactはアクチュエータ106の振動部のコ
ンプライアンスを示す。Cpzt、Celectrode1、Celect
rode2およびCvibは、それぞれ、振動部における圧電層
160、上部電極164、下部電極166および振動板
176のコンプライアンスを示す。Cactは、以下の式
3で表される。 1/Cact=(1/Cpzt)+(1/Celectrode1)+(1/Celectrode2) +(1/Cvib) (式3) 式2および式3より、図3(A)は、図3(B)のように
表すこともできる。
【0059】コンプライアンスCactは、単位面積に圧
力をかけたときの変形によって受容できる媒体の体積を
表す。すなわち、コンプライアンスCactは、変形のし
易さを表す。
【0060】図3(C)は、インク容器に液体が十分に
収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液
体が満たされている場合のアクチュエータ106の断面
図を示す。図3(C)のM’maxは、インク容器に液体が
十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周
辺に液体が満たされている場合の付加イナータンス(付
加質量(振動領域の振動に影響を及ぼす質量)を面積の
2乗で除したもの)の最大値を表す。M’maxは、 M’max=(π*ρ/(2*k3))*(2*(2*k*a)3/(3*π))/(π*a2)2 (式4) (aは振動部の半径、ρは媒体の密度、kは波数であ
る。)で表される。
【0061】尚、式4は、アクチュエータ106の振動
領域が半径aの円形である場合に成立する。付加イナー
タンスM’は、振動部の付近にある媒体によって、振動
部の質量が見かけ上増加していることを示す量である。
式4からわかるように、M’maxは、振動部の半径aと
媒体の密度ρとによって、大きく変化する。
【0062】波数k は、 k=2*π*fact/c (式5) (factは、振動部の共振周波数である。cは、媒体中
を伝播する音響の速度である。)で表される。
【0063】図3(D)は、インク容器に液体が十分に
収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液
体が満たされている図3(C)の場合のアクチュエータ
106の振動部およびキャビティ162の等価回路を示
す。
【0064】図3(E)は、インク容器の液体が消費さ
れ、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無
いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内
には液体が残存している場合のアクチュエータ106の
断面図を示す。
【0065】式4は、インク容器に液体が満たされてい
る場合に、インクの密度ρなどから決定される最大のイ
ナータンスM’maxを表す式である。一方、インク容器
内の液体が消費され、キャビティ162内に液体が残留
しつつアクチュエータ106の振動領域の周辺にある液
体が気体または真空に置換された場合等の付加イナータ
ンスM’は、一般的に、 M’=ρ*t/S (式6) と表せる(より詳しくは、後述の式8参照)。ここで、
tは振動にかかわる媒体の厚さである。Sは、アクチュ
エータ106の振動領域の面積である。振動領域が半径
aの円形の場合は、S=π*a2である。
【0066】従って、付加イナータンスM’は、インク
容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の
振動領域の周辺に液体が満たされている場合には、式4
に従う。一方で、液体が消費され、キャビティ162内
に液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の
周辺にある液体が気体または真空に置換された場合に
は、式6に従う。
【0067】ここで、図3(E)のように、インク容器
の液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の
周辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャ
ビティ162内には液体が残存している場合の付加イナ
ータンスM’を、便宜的にM’cavとし、アクチュエー
タ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合
の付加イナータンスM’maxと区別する。
【0068】図3(F)は、インク容器の液体が消費さ
れ、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無
いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内
には液体が残存している図3(E)の場合のアクチュエ
ータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路
を示す。
【0069】ここで、媒体の状態に関係するパラメータ
は、式6において、媒体の密度ρおよび媒体の厚さtで
ある。インク容器内に液体が充分に収容されている場合
は、アクチュエータ106の振動部に液体が接触する。
一方、インク容器内に液体が充分に収容されていない場
合は、キャビティ内部に液体が残存するか、もしくは、
アクチュエータ106の振動部に気体または真空が接触
する。アクチュエータ106の周辺の液体が消費され、
図3(C)のM’maxから図3(E)のM’cavへ移行する
過程における付加イナータンスM’varは、インク容器
内の液体の収容状態によって媒体の密度ρや媒体の厚さ
tが変化することに伴って変化する。これにより、共振
周波数fsも変化する。従って、共振周波数fsを特定
することによって、インク容器内の液体の量を検出する
ことができる。
【0070】ここで、図3(E)に示すようにt=dと
した場合、式6を用いてM’cavを表すと、式6のtに
キャビティの深さdを代入し、 M’cav=ρ*d/S (式7) となる。
【0071】また、媒体が互いに種類の異なる液体であ
れば、組成の違いによって密度ρが異なるため、付加イ
ナータンスM´及び共振周波数fsが異なる。従って、
共振周波数fsを特定することで、液体の種類を検出で
きる。
【0072】図4(A)は、インクタンク内のインクの
量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示
すグラフである。ここでは液体の1例としてインクにつ
いて説明する。縦軸は、共振周波数fsを示し、横軸
は、インク量を示す。インク組成が一定であるとき、イ
ンク残量の低下に伴い、共振周波数fsは、上昇する。
【0073】インク容器にインクが十分に収容され、ア
クチュエータ106の振動領域の周辺にインクが満たさ
れている場合には、その最大付加イナータンスM’max
は、式4に表わされる値となる。一方で、インクが消費
され、キャビティ162内にインクが残留しつつアクチ
ュエータ106の振動領域の周辺にインクが満たされて
いないときには、付加イナータンスM’var は、媒体の
厚さtに基づいて式6によって算出される。式6中のt
は、振動にかかわる媒体の厚さであるから、インクが残
留するアクチュエータ106のキャビティ162のd
(図2(B)参照)を小さく、即ち、基板178を十分に
薄くすることによって、インクが徐々に消費されていく
過程を検出することもできる(図3(C)参照)。ここ
で、tinkは振動にかかわるインクの厚さとし、tink−
maxはM’maxにおけるtinkとする。
【0074】例えば、アクチュエータ106は、インク
カートリッジの底面にインクの液面に対してほぼ水平に
配置される。この場合、インクが消費され、インクの液
面がアクチュエータ106からtink-maxの高さ以下に
なると、式6によりM’varが徐々に変化し、式1によ
り共振周波数fsが徐々に変化する。従って、インクの
液面がtの範囲内にある限り、アクチュエータ106は
インクの消費状態を徐々に検出することができる。
【0075】あるいは、インクカートリッジの側壁に、
アクチュエータ106はインクの液面に対してほぼ垂直
に配備され得る。この場合、インクが消費され、インク
の液面がアクチュエータ106の振動領域に達すると、
水位の低下に伴い付加イナータンスM’が減少する。こ
れにより、式1により共振周波数fsが徐々に増加す
る。従って、インクの液面がキャビティ162の直径2
a(図3(C)参照)の範囲内にある限り、アクチュエ
ータ106はインクの消費状態を徐々に検出することが
できる。
【0076】図4(A)の曲線Xは、底面に配置されたア
クチュエータ106のキャビティ162を十分に浅くし
た場合や、側壁に配置されたアクチュエータ106の振
動領域を十分に大きくまたは長くした場合の、インクタ
ンク内に収容されたインクの量とインクおよび振動部の
共振周波数fsとの関係を表わしている。インクタンク
内のインクの量が減少するとともに、インクおよび振動
部の共振周波数fsが徐々に変化していく様子が理解で
きる。
【0077】より詳細には、インクが徐々に消費されて
いく過程を検出することができる場合とは、アクチュエ
ータ106の振動領域の周辺において、互いに密度が異
なる液体と気体とがともに存在しかつ振動にかかわる場
合である。インクが徐々に消費されていくに従って、ア
クチュエータ106の振動領域周辺において振動にかか
わる媒体は、液体が減少する一方で気体が増加する。
【0078】例えば、アクチュエータ106をインクの
液面に対して水平に配備した場合であって、tink がt
ink−maxより小さいときには、アクチュエータ106の
振動にかかわる媒体はインクと気体との両方を含む。し
たがって、アクチュエータ106の振動領域の面積Sを
用いて、式4のM’max以下になった状態をインクと気
体の付加質量で表すと、 M’=M’air+M’ink= ρair*tair/S+ρink*tink/S (式8) となる。ここで、M’airは空気のイナータンスであ
り、M’inkはインクのイナータンスである。ρairは空
気の密度であり、ρinkはインクの密度である。tairは
振動にかかわる空気の厚さであり、tinkは振動にかか
わるインクの厚さである。
【0079】アクチュエータ106の振動領域周辺にお
ける振動にかかわる媒体のうち、液体が減少して気体が
増加するに従い、アクチュエータ106がインクの液面
に対しほぼ水平に配備されている場合には、tairが増
加し、tinkが減少する。それによって、M’varが徐々
に減少し、共振周波数が徐々に増加する。よって、イン
クタンク内に残存しているインクの量またはインクの消
費量を検出することができる。尚、式7において液体の
密度のみの式となっているのは、液体の密度に対して、
空気の密度が無視できるほど小さい場合を想定している
からである。
【0080】アクチュエータ106がインクの液面に対
しほぼ垂直に配備されている場合には、アクチュエータ
106の振動領域のうち、アクチュエータ106の振動
にかかわる媒体がインクのみの領域と、アクチュエータ
106の振動にかかわる媒体が気体のみの領域との並列
の等価回路(図示せず)と考えられる。アクチュエータ
106の振動にかかわる媒体がインクのみの領域の面積
をSinkとし、アクチュエータ106の振動にかかわる
媒体が気体のみの領域の面積をSairとすると、 1/M’=1/M’air+1/M’ink=Sair/(ρair*tair)+Sink/(ρink*tink) (式9) となる。
【0081】尚、式9は、アクチュエータ106のキャ
ビティにインクが保持されない場合に適用される。アク
チュエータ106のキャビティにインクが保持される場
合の付加イナータンスについては、式9によるM’と式
7のM’cav との和によって計算することができる。
【0082】アクチュエータ106の振動は、tink−m
axの深さからインクの残留する深さdまで変化するの
で、インクの残留する深さがtink−maxよりわずかに小
さい程度でアクチュエータ106が底面に配置されてい
る場合には、インクが徐々に減少する過程を検出するこ
とは出来ない。この場合、tink−maxから残留する深さ
dまでのわずかなインク量変化におけるアクチュエータ
の振動変化から、インク量が変化したことを検出する。
また、側面に配置され、開口部(キャビティ)の径が小
さい場合は、開口部を通過する間のアクチュエータの振
動変化は微量なので、通過過程のインク量を検出するこ
とは難しく、インク液面が開口部より上か下かを検出す
る。
【0083】例えば、図4(A)の曲線Yは、小さい円形
の振動領域の場合におけるインクタンク内のインクの量
とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示
す。インクタンク内のインクの液面がアクチュエータの
装着位置を通過する前後におけるインク量の差Qの間
で、インクおよび振動部の共振周波数fsが激しく変化
している様子が示される。このことから、インクタンク
内にインクが所定量残存しているか否かを2値的に検出
することができる。
【0084】アクチュエータ106を用いて液体の有無
を検出する方法は、振動板176が液体と直接接触する
ことでインクの有無を検出するので、インクの消費量を
ソフトウェアによって計算する方法に比べ、検出精度が
高い。更に、電極を用いて導電性によりインクの有無を
検出する方法は、インク容器への電極の取付位置及びイ
ンクの種類によって影響され得るが、アクチュエータ1
06を用いて液体の有無を検出する方法は、インク容器
へのアクチュエータ106の取付位置及びインクの種類
によって影響され難い。
【0085】更に、単一のアクチュエータ106を用い
て発振と液体の有無の検出との双方を実施することがで
きるので、発振と液体の有無の検出とを異なったセンサ
を用いて実施する方法と比較して、インク容器に取付け
るセンサの数を減少することができる。したがって、液
量検出機能を持つインク容器を安価に製造できる。な
お、圧電層160の振動周波数を非可聴領域に設定する
ことで、アクチュエータ106の動作中に発生する音を
静かにすることが好ましい。
【0086】図4(B)は、インクの密度とインクおよ
び振動部の共振周波数fsとの関係の一例を示す。ここ
では、液体の例としてインクについて説明しており、
「インク満」と「インク空」(或いは「インク無し」)
とは相対的な2状態を意味し、いわゆるインクフル状態
とインクエンド状態とを意味するものではない。図4
(B)に示すように、インク密度が高い場合、付加イナ
ータンスが大きくなるので共振周波数fsが低下する。
すなわち、インクの種類によって共振周波数fsが異な
る。したがって、共振周波数fsを測定することによっ
て、インクを再充填する際に、密度の異なったインクが
混入されていないか確認することができる。つまり、互
いに種類の異なるインクを収容するインクタンクを識別
できる。
【0087】続いて、インク容器内の液体が空の状態で
あってもアクチュエータ106のキャビティ162内に
液体が残存するようにキャビティのサイズと形状を設定
した時において、液体の状態を正確に検出できる条件を
詳述する。アクチュエータ106は、キャビティ162
内に液体が満たされている場合に液体の状態を検出でき
れば、キャビティ162内に液体が満たされていない場
合であっても液体の状態を検出できる。
【0088】共振周波数fsは、イナータンスMの関数
である。イナータンスMは、振動部のイナータンスMac
tと付加イナータンスM’との和である。ここで、付加
イナータンスM’が液体の状態と関係する。付加イナー
タンスM’は、振動部の付近にある媒体によって振動部
の質量が見かけ上増加していることを示す量である。即
ち、振動部の振動によって見かけ上媒体を吸収する(振
動に関わるイナータンスが増加する)ことによる振動部
の質量の増加分をいう。
【0089】従って、M’cav が式4におけるM’max
よりも大きい場合には、見かけ上吸収する媒体は全てキ
ャビティ162内に残存する液体である。よって、イン
ク容器内に液体が満たされている状態と同じである。こ
の場合、振動に関わる媒体はM’max よりも小さくなら
ないので、インクが消費されても変化を検出することが
出来ない。
【0090】一方、M’cavが式4におけるM’ maxよ
りも小さい場合には、見かけ上吸収する媒体はキャビテ
ィ162内に残存する液体およびインク容器内の気体ま
たは真空である。このときにはインク容器内に液体が満
たされている状態とは異なりM’が変化するので、共振
周波数fsが変化する。従って、アクチュエータ106
は、インク容器内の液体の状態を検出できる。
【0091】即ち、インク容器内の液体が空の状態で、
アクチュエータ106のキャビティ162内に液体が残
存する場合に、アクチュエータ106が液体の状態を正
確に検出できる条件は、M’cavがM’maxよりも小さい
ことである。尚、アクチュエータ106が液体の状態を
正確に検出できる条件M’max>M’cavは、キャビティ
162の形状にかかわらない。
【0092】ここで、M’cav は、キャビティ162の
容量とほぼ等しい容量の液体の質量イナータンスであ
る。従って、M’max >M’cav の不等式から、アクチ
ュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件
は、キャビティ162の容量の条件として表すことがで
きる。例えば、円形状のキャビティ162の開口161
の半径をaとし、およびキャビティ162の深さをdと
すると、 M’max>ρ*d/πa (式10) である。式10を展開すると a/d>3*π/8 (式11) という条件が求められる。従って、式11を満たす開口
161の半径aおよびキャビティ162の深さdである
キャビティ162を有するアクチュエータ106であれ
ば、インク容器内の液体が空の状態であって、かつ、キ
ャビティ162内に液体が残存する場合であっても、誤
作動することなく液体の状態を検出できる。
【0093】尚、式10、式11は、キャビティ162
の形状が円形の場合に限り成立する。キャビティ162
の形状が円形でない場合、対応するM’maxの式を用
い、式10中のπaをその面積と置き換えて計算す
れば、キャビティの幅および長さ等のディメンジョンと
深さの関係が導き出せる。
【0094】なお、付加イナータンスM’は音響インピ
ーダンス特性にも影響するので、残留振動によりアクチ
ュエータ106に発生する逆起電力を測定する方法は、
少なくとも音響インピーダンスの変化を検出していると
もいえる。
【0095】図5(A) および図5(B)は、アクチュ
エータ106に駆動信号を供給して振動部を振動させた
後の、アクチュエータ106の残留振動の波形と残留振
動の測定方法とを示す。インクカートリッジ内のアクチ
ュエータ106の装着位置レベルにおけるインク液位の
上下は、アクチュエータ106が発振した後の残留振動
の周波数変化や、振幅の変化によって検出することがで
きる。図5(A) および図5(B)において、縦軸はア
クチュエータ106の残留振動によって発生した逆起電
力の電圧を示し、横軸は時間を示す。アクチュエータ1
06の残留振動によって、図5(A) および図5(B)
に示すように電圧のアナログ信号の波形が発生する。次
に、アナログ信号を、信号の周波数に対応するデジタル
数値に変換(二値化)する。図5(A)および図5(B)
に示した例においては、アナログ信号の4パルス目から
8パルス目までの4個のパルスが生じる時間を計測して
いる。
【0096】より詳細には、アクチュエータ106が発
振した後、予め設定された所定の基準電圧を低電圧側か
ら高電圧側へ横切る回数をカウントする。そして、4カ
ウントから8カウントまでの間をHighとしたデジタ
ル信号を生成し、所定のクロックパルスによって4カウ
ントから8カウントまでの時間を計測する。
【0097】図5(A)は、アクチュエータ106の装
着位置レベルよりも上位にインク液面があるときの波形
である。一方、図5(B)はアクチュエータ106の装
着位置レベルにおいてインクが無いときの波形である。
図5(A)と図5(B)とを比較すると、図5(A)の
方が図5(B)よりも4カウントから8カウントまでの
時間が長いことがわかる。換言すると、インクの有無に
よって4カウントから8カウントまでの所要時間が異な
る。この所要時間の相違を利用して、インクの消費状態
を検出することができる。
【0098】アナログ波形の4カウント目から数えるの
は、アクチュエータ106の振動が安定してから計測を
はじめるためである。4カウント目からとしたのは単な
る一例であって、任意のカウントから数えてもよい。こ
こでは、4カウント目から8カウント目までの信号を検
出し、所定のクロックパルスによって4カウント目から
8カウント目までの時間を測定している。この時間に基
いて、共振周波数を求めることができる。クロックパル
スは、8カウント目までの時間を測定する必要は無く、
任意のカウントまで数えてもよい。図5においては、4
カウント目から8カウント目までの時間を測定している
が、周波数を検出する回路構成にしたがって、異なった
カウント間隔内の時間を検出してもよい。
【0099】例えば、インクの品質が安定していてピー
クの振幅の変動が小さい場合には、検出の速度を上げる
ために4カウント目から6カウント目までの時間を検出
することにより共振周波数を求めてもよい。また、イン
クの品質が不安定でパルスの振幅の変動が大きい場合に
は、残留振動を正確に検出するために4カウント目から
12カウント目までの時間を検出してもよい。
【0100】図6は、アクチュエータ106を取付モジ
ュール体100として一体形成した構成を示す斜視図で
ある。モジュール体100は、インクカートリッジのイ
ンク容器1の所定個所に装着される。モジュール体10
0は、インク液中の少なくとも音響インピーダンスの変
化を検出することにより、容器1内の液体の消費状態を
検知するように構成されている。
【0101】本実施形態のモジュール体100は、イン
ク容器1にアクチュエータ106を取り付けるためのイ
ンク容器取付部101を有する。インク容器取付部10
1は、平面がほぼ矩形の基台102と、駆動信号により
発振するアクチュエータ106を収容する基台102上
の円柱部116と、を有している。また、モジュール体
100は、インクカートリッジに装着されたときに、モ
ジュール体100のアクチュエータ106が外部から接
触できないように構成されている。これにより、アクチ
ュエータ106を外部の接触から保護することができ
る。なお、円柱部116の先端側エッジは丸みが付けら
れていて、インクカートリッジに形成された孔へ装着す
る際に嵌めやすくなっている。
【0102】図7は、図6に示したモジュール体100
の分解図である。モジュール体100は、樹脂からなる
インク容器取付部101と、プレート110および凹部
113を有する圧電装置装着部105(図6参照)とを
含む。さらに、モジュール体100は、リードワイヤ1
04a及び104b、アクチュエータ106及びフィル
ム108を有する。好ましくは、プレート110は、ス
テンレス又はステンレス合金等の錆びにくい材料から形
成される。
【0103】インク容器取付部101に含まれる円柱部
116および基台102は、リードワイヤ104a及び
104bを収容できるように中心部に開口部114が形
成されると共に、アクチュエータ106、フィルム10
8、及びプレート110を収容できるように開口部11
4の周囲に凹部113が形成されている。
【0104】アクチュエータ106は、プレート110
にフィルム108を介して接合され、プレート110お
よびアクチュエータ106は凹部113(インク容器取
付部101)に固定される。従って、リードワイヤ10
4a及び104b、アクチュエータ106、フィルム1
08及びプレート110は、インク容器取付部101に
一体として取り付けられる。
【0105】リードワイヤ104a及び104bは、そ
れぞれアクチュエータ106の上部電極及び下部電極と
結合して、圧電層に駆動信号を伝達する一方、アクチュ
エータ106が検出した共振周波数の信号を記録装置等
へ伝達する。
【0106】アクチュエータ106は、リードワイヤ1
04a及び104bから伝達された駆動信号に基づい
て、一時的に発振する。また、アクチュエータ106
は、発振後に残留振動し、その振動によって逆起電力を
発生させる。このとき、逆起電力波形の振動周期を検出
することによって、インク容器内の液体の消費状態に対
応した共振周波数を検出することができる。
【0107】フィルム108は、アクチュエータ106
とプレート110とを接着して、アクチュエータを液密
にする。フィルム108は、ポリオレフィン等によって
形成し、熱融着で接着することが好ましい。アクチュエ
ータ106とプレート110とをフィルム108によっ
て面状に接着して固定することにより、接着の場所によ
るばらつきが無くなり、振動部以外の部分が振動しな
い。したがって、アクチュエータ106をプレート11
0に接着しても、アクチュエータ106の振動特性は変
化しない。
【0108】なお、プレート110は円形状であり、基
台102の開口部114は円筒状に形成されている。ア
クチュエータ106及びフィルム108は矩形状に形成
されている。リードワイヤ104a及び104b、アク
チュエータ106、フィルム108及びプレート110
は、基台102に対して着脱可能としてもよい。基台1
02、リードワイヤ104a及び104b、アクチュエ
ータ106、フィルム108及びプレート110は、モ
ジュール体100の中心軸に対して対称に配置されてい
る。また、基台102、アクチュエータ106、フィル
ム108及びプレート110の中心は、モジュール体1
00のほぼ中心軸上に配置されている。
【0109】また、基台102の開口部114の面積
は、アクチュエータ106の振動領域の面積よりも大き
く形成されている。プレート110の中心でアクチュエ
ータ106の振動部に直面する位置には、貫通孔112
が形成されている。図2および図3に示したように、ア
クチュエータ106にはキャビティ162が形成されて
おり、貫通孔112とキャビティ162とが、共にイン
ク溜部を形成する。プレート110の厚さは、残留イン
クの影響を少なくするために、貫通孔112の径に比べ
て小さいことが好ましい。例えば、貫通孔112の深さ
はその径の3分の1以下の大きさであることが好まし
い。貫通孔112は、モジュール体100の中心軸に対
して対称なほぼ真円の形状である。また、貫通孔112
の面積は、アクチュエータ106のキャビティ162の
開口面積よりも大きい。貫通孔112の断面の周縁は、
テーパ形状であっても良いし、ステップ形状であっても
よい。
【0110】モジュール体100は、貫通孔112がイ
ンク容器1の内側へ向くように、インク容器1の側部、
上部又は底部に装着される。インクが消費され、アクチ
ュエータ106周辺のインクがなくなると、アクチュエ
ータ106の共振周波数が大きく変化することに基づい
て、インクの液位変化を検出することができる。
【0111】図8は、図6に示したモジュール体100
を、インクカートリッジ7のインク容器20に装着した
ときの、インク容器20の底部近傍の断面図である。モ
ジュール体100は、インク容器20の側壁に形成され
た貫通孔に装着されている。インク容器20の側壁とモ
ジュール体100との接合面には、Oリング90が設け
られ、モジュール体100とインク容器20との液密を
保っている。このようにOリング90でシールが出来る
ために、モジュール体100は、図6で説明したような
円柱部を備えることが好ましい。
【0112】モジュール体100の先端がインク容器2
0の内部に露出することで、プレート110の貫通孔1
12を介して、インク容器20内のインクがアクチュエ
ータ106と接触する。アクチュエータ106の振動部
の周囲が液体か気体かによって、アクチュエータ106
の残留振動の共振周波数が異なるので、モジュール体1
00を用いてインクの消費状態を検出することができ
る。
【0113】図9は、本実施形態によるインクジェット
式記録装置の主要部分のシステム構成を示した図であ
る。上述したように、インクカートリッジ7にはアクチ
ュエータ(圧電装置)106が装着され、このアクチュ
エータ106は、インクカートリッジ7のインク収容空
間に少なくとも一部を露出させ得る振動部を有し、駆動
信号を受けて前記振動部を振動させる機能と共に、前記
振動部の振動状態に応じた逆起電力の信号を出力する機
能を有する。
【0114】制御装置本体200は、インクジェット式
記録装置を制御するコンピュータで構成される。制御装
置本体200はインクジェット記録装置に設けられてい
ても良いし、或いは、制御装置本体200の一部又は全
部の機能が、インクジェット式記録装置に接続された他
のコンピュータ等の外部装置に設けられていても良い。
さらに、制御装置本体200の一部の機能が、プログラ
ムとしてコンパクトディスク等の記録媒体203に格納
され、ドライブ装置等の入力装置204を介して供給さ
れても良い。
【0115】制御装置本体200は、液位判定部202
及び異常判定部205を有する液位判定手段201を備
えている。液位判定手段201の液位判定部202は、
アクチュエータ106に駆動信号を供給して振動部を振
動させた後の振動部の残留振動に起因してアクチュエー
タ106から出力される残留振動信号の共振周波数に基
づいてインクカートリッジ7内のインクの液位を判定す
る。液位判定部202は、例えば、残留振動信号中のパ
ルスの数を計測すると共に、パルス数のカウント開始時
点から、所定数のパルスをカウントする時点までの所要
時間を計測することにより、残留振動信号の共振周波数
を測定する。液位判定部202によって、例えばインク
カートリッジ7のインクエンドを判定することができ
る。
【0116】液位判定手段201の液位判定部202
は、図2(C)に示したようにキャビティ162には液
体が存在しない場合と、図3(C)に示したようにキャ
ビティ162の部分のみならず、その前方が液体で満た
されている場合とで残留振動信号の共振周波数が変化す
ることを利用して、インクの液面が圧電装置106の振
動部の位置を通過したか否かを判定することができる。
【0117】制御装置本体200は、さらに、印刷動作
部206を制御する印刷動作制御部207、印刷データ
記憶部208及び消費情報提示部209を含む。消費情
報提示部209は、液位判定手段201が検出した消費
状態情報を、ディスプレイ210及びスピーカ211を
用いてユーザに提示する。例えば、ディスプレイ210
には消費状態を示す図形等が表示され、スピーカ211
からはインク残量を示す報知音又は合成音声が出力され
る。合成音声により、適切な操作が案内されてもよい。
【0118】消費状態はユーザの要求に応えて提示され
てもよい。また、適当な間隔をおいて周期的に提示され
ても良い。また、適当なイベント、例えば印刷開始等の
イベントが生じたときに提示されても良い。また、イン
ク残量が所定の閾値(例えばインクエンドに相当する閾
値)になったときに自動的に提示されても良い。
【0119】次に、図10及び図11を参照して、本実
施形態における液位検出装置の振動部隔離手段について
説明する。
【0120】振動部隔離手段はインクカートリッジ7に
装着され、インクカートリッジ7の使用開始前において
アクチュエータ(圧電装置)106の振動部をインク収
容空間内のインクから隔離すると共に、インクカートリ
ッジ7をカートリッジホルダに装着した際に、アクチュ
エータ106の振動部をインク収容空間内のインクから
の隔離を解除してインクに接触させる。
【0121】図10に示したように振動部隔離手段60
は、インク供給口21に挿入されたインク供給針40に
係合してインク供給針40と共に移動する移動体61
と、アクチュエータ106の振動部を覆ってインク収容
空間内のインクから振動部を隔離するテープ部材62
と、を有する。テープ部材62の一端側の部分は振動部
を覆うようにしてインクカートリッジ7のインク容器2
0の内面に接着されており、テープ部材62の他端は移
動体61に固着されている。また、テープ部材62はテ
ープガイド63によって案内されている。
【0122】図11に示したように、移動体61は、環
状部材64と、この環状部材64の下面に突設された3
本の細長係合部材65とを有し、3本の細長係合部材6
5の先端部66が内側に湾曲して、インク供給針40の
先端を受け止めるように構成されている。環状部材64
には3つの貫通孔67が形成されており、図10に示し
たようにインク容器20の底面に立設された3本の支持
棒68が各貫通孔67に挿通され、支持棒68によって
移動体61の上下動作を案内するように構成されてい
る。
【0123】そして、インクカートリッジ7をカートリ
ッジホルダに装着する際にインク供給針40に係合して
上方に移動する移動体61によってテープ部材62が引
っ張られて、テープ部材62による圧電装置106の振
動部の覆いが解除される。その際、テープ部材62の一
端に形成されたストッパー部69がテープガイド63に
引っかかるように構成されている。
【0124】図12は、記録装置のキャリッジ1上に形
成されたカートリッジホルダ50に、インクカートリッ
ジ7を装着する直前の様子を模式的に示しており、また
図13は、インクカートリッジ7をカートリッジホルダ
50に装着した後の様子を模式的に示している。キャリ
ッジ1に配置されたカートリッジホルダ50(以下、単
に「ホルダ」とも言う。)には、一般に、複数のインク
カートリッジ7が並列状態に装着されるが、図12には
そのうちの1つのカートリッジ7を示している。
【0125】カートリッジ7内のインク収容空間にはイ
ンクが充填されており、カートリッジ7の下底部に形成
されたインク供給口21からインクを導出できるように
構成されている。
【0126】カートリッジ7には、圧電装置106に対
するアクセス端子としての一対の電極端子(又は電極端
子群)22、23が配置されている。これらのアクセス
用の電極端子22,23は、カートリッジ7の外表面で
あって、ホルダ50に対するカートリッジ7の挿入方向
と略平行な面上に配置されており、前記挿入方向に沿っ
た異なる位置、すなわち図12中、上下方向に若干離さ
れた状態で配置されている。
【0127】そして、圧電装置106に接続された第1
の電極端子22は、カートリッジ7がホルダ50に挿入
されるときに、テープ部材62による圧電装置106の
振動部の覆いが解除される前の第1位置(図12に示し
た位置)において、ホルダ50の内壁に配置された接触
端子(又は接触端子群)51と接触するような位置に設
けられている。
【0128】また、圧電装置106に接続された第2の
電極端子22は、テープ部材62による振動部の覆いが
解除されてインクカートリッジ7がホルダ50に装着さ
れた状態の第2位置に達したとき、すなわち図13に示
したようにインク供給針40がインク供給口21に十分
に挿入されて、記録装置側にインクが供給される状態と
なったときに、ホルダ50側に配置された接触端子51
と接触するような位置に設けられている。
【0129】このような構成により、第1及び第2位置
において圧電装置106と制御装置本体200とが電気
的に接続された状態となり、制御装置本体200の液位
判定手段201は、第1位置において圧電装置106に
駆動信号を供給して振動部を振動させた後の振動部の残
留振動に起因して圧電装置106から出力される残留振
動信号に基づいて、振動部にインクが接触していない状
態における残留振動信号の共振周波数を測定して初期共
振周波数として記憶する。
【0130】さらに、液位判定手段201は、第2位置
において圧電装置106に駆動信号を供給して振動部を
振動させた後の振動部の残留振動に起因して圧電装置1
06から出力される残留振動信号が初期共振周波数に略
一致したときに、インクカートリッジ7のインク容器2
0内のインクの液面が振動部の設置位置を越えて低下し
たものと判断する。
【0131】また、ホルダ50には、カートリッジ7が
第1位置に挿入された状態で、それ以上の挿入を一時的
に阻止することができるロック機構52が設けられてい
る。このロック機構52によってカートリッジ7が第1
位置にロックされた状態で、第1の電極端子22を介し
て制御装置本体200に接続された圧電装置106を駆
動して初期共振周波数が測定される。そして、初期共振
周波数の測定が終了したら、制御装置本体200からの
指令信号によってロック機構52が退避され、その結
果、図13に示すようにインクを供給し得る第2位置に
カートリッジ7を移動させることができる。
【0132】液位判定手段201はインクカートリッジ
7の圧電装置106の正常/異常を判定する機能を備え
ており、図14に示したように、インクカートリッジ7
がホルダ50に挿入されると(ステップ1)、まず第1
位置において圧電装置106を作動させて初期共振周波
数を測定し(ステップ2)、続いて、第2位置において
圧電装置106を作動させて共振周波数を測定する(ス
テップ3)。そして、第1位置における初期共振周波数
と第2位置における共振周波数とを比較して周波数が変
化したか否かを判断し(ステップ4)、両者の間に有意
な変化がみられない場合には、液位検出装置に異常があ
ると判断してディスプレイ210やスピーカ211に警
告が表示される(ステップ5)。一方、両周波数の間に
有意な変化がみられた場合には、液位検出装置が正常に
機能しているものと判断される(ステップ6)。
【0133】以上述べたように、圧電装置106の振動
部にインクが接触していない状態において初期共振周波
数を実測して記憶しておき、インクの消費に伴って変化
した共振周波数と初期共振周波数とを比較してインク量
を判定するようにしたので、インクカートリッジ7のイ
ンク容器20内のインク量を高い信頼性の下で監視する
ことが可能である。例えば、圧電装置106をインク容
器20の底面近傍に配置することにより、高信頼性のイ
ンクエンドセンサーとして使用することができる。
【0134】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、圧電
装置の振動部にインクが接触していない状態における初
期共振周波数を事前に測定することができるので、イン
クの消費に伴って変化する共振周波数を初期共振周波数
と比較することにより、インクカートリッジ内のインク
量を高い信頼性の下で監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェット式記
録装置の概略構成を示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態における圧電装置(アクチ
ュエータ)の詳細を示す図である。
【図3】図2に示した圧電装置の周辺およびその等価回
路を示す図である。
【図4】図2に示した圧電装置によって検出されるイン
クの共振周波数とインクの密度との関係を示す図であ
る。
【図5】図2に示した圧電装置の逆起電力波形を示す図
である。
【図6】図2に示した圧電装置を組み込んだモジュール
体を示す斜視図である。
【図7】図6に示したモジュール体の構成を示す分解図
である。
【図8】図6に示したモジュール体をインク容器に装着
した断面の例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態によるインクジェット式記
録装置の主要部分のシステム構成を示した図である。
【図10】本発明の一実施形態における液位検出装置の
振動部隔離手段及びその周辺を拡大して示した断面図で
ある。
【図11】図10に示した振動部隔離手段の移動体を示
した斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態によるインクジェット式
記録装置のカートリッジホルダにインクカートリッジを
装着する直前の状態を模式的に示した図である。
【図13】本発明の一実施形態によるインクジェット式
記録装置のカートリッジホルダにインクカートリッジを
装着した状態を模式的に示した図である。
【図14】本発明の一実施形態における液位判定手段の
異常判定処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
7 インクカートリッジ 20 インク容器 21 インク供給口 22、23 電極端子 40 インク供給針 51 接触端子 60 振動部隔離手段 61 移動体 62 テープ部材 63 テープガイド 106 圧電装置(アクチュエータ) 200 制御装置本体 201 液位判定手段 202 液位判定部 203 記録媒体 205 異常判定部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インクによって記録を行う記録装置のイン
    クカートリッジにおいて、 インクを収容するインク容器と、 前記インク容器に装着された液位検出装置と、を備え、 前記液位検出装置は、 前記インク容器のインク収容空間に少なくとも一部を露
    出させた振動部を有し、駆動信号を受けて前記振動部を
    振動させる機能と共に、前記振動部の振動状態に応じて
    発生する逆起電力の信号を出力する機能を有する圧電装
    置と、 前記インクカートリッジを前記記録装置の本体に装着す
    る前においては前記圧電装置の前記振動部を前記インク
    収容空間内のインクから隔離すると共に、前記インクカ
    ートリッジを前記記録装置の本体に装着した際に前記圧
    電装置の前記振動部を前記インク収容空間内のインクに
    接触させる振動部隔離手段と、を有することを特徴とす
    るインクカートリッジ。
  2. 【請求項2】前記インク容器には、前記インクカートリ
    ッジを前記記録装置の本体に装着する際に前記記録装置
    の本体のインク供給針が挿入されるインク供給口が形成
    されており、 前記振動部隔離手段は、前記インク供給口に挿入された
    前記インク供給針に係合して前記インク供給針と共に移
    動する移動体と、前記圧電装置の前記振動部を覆って前
    記インク収容空間内のインクから前記振動部を隔離する
    テープ部材と、を有し、前記インクカートリッジを前記
    記録装置の本体に装着する際に前記インク供給針に係合
    して移動する前記移動体によって前記テープ部材が引っ
    張られて前記テープ部材による前記振動部の覆いが解除
    されることを特徴とする請求項1記載のインクカートリ
    ッジ。
  3. 【請求項3】前記インクカートリッジは、前記記録装置
    の本体に装着されるに際して、前記振動部隔離手段によ
    る前記振動部の覆いが解除される前の第1位置を経て、
    前記振動部隔離手段による前記振動部の覆いが解除され
    て前記インクカートリッジが前記記録装置の本体に装着
    された状態の第2位置に移動するものであり、 前記第1及び第2位置において前記圧電装置と前記記録
    装置の本体とが電気的に接続された状態にあり、前記第
    1及び第2位置において、前記圧電装置に駆動信号を供
    給して前記振動部を振動させた後に前記圧電装置から出
    力される残留振動信号が前記記録装置の本体に伝達され
    るようになされたことを特徴とする請求項1又は2に記
    載のインクカートリッジ。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイ
    ンクカートリッジと、 前記インクカートリッジが装着される記録装置本体と、 前記圧電装置からの出力信号に基づいて前記インクカー
    トリッジ内のインクの液位を判定する液位判定手段と、
    を備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
  5. 【請求項5】請求項3記載のインクカートリッジと、 前記インクカートリッジが装着される記録装置本体と、 前記圧電装置からの出力信号に基づいて前記インクカー
    トリッジ内のインクの液位を判定する液位判定手段と、
    を備え、 前記液位判定手段は、前記第1位置において前記圧電装
    置に駆動信号を供給して前記振動部を振動させた後の前
    記振動部の残留振動に起因して前記圧電装置から出力さ
    れる残留振動信号に基づいて、前記振動部にインクが接
    触していない状態における残留振動信号の共振周波数を
    測定して初期共振周波数として記憶すると共に、前記第
    2位置において前記圧電装置に駆動信号を供給して前記
    振動部を振動させた後の前記振動部の残留振動に起因し
    て前記圧電装置から出力される残留振動信号の共振周波
    数が前記初期共振周波数に略一致したときに、前記イン
    ク容器内のインクの液面が前記振動部の設置位置を越え
    て低下したものと判断することを特徴とするインクジェ
    ット式記録装置。
  6. 【請求項6】前記液位判定手段は、前記インクカートリ
    ッジを前記記録装置本体に装着する際に前記第1位置に
    おいて測定された前記初期共振周波数と、同じく前記イ
    ンクカートリッジを前記記録装置本体に装着する際に前
    記第2位置において測定された前記共振周波数とを比較
    して、両者の間に有意な変化がみられない場合には前記
    液位検出装置に異常があると判断することを特徴とする
    請求項5記載のインクジェット式記録装置。
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