JP2002281898A - 油脂組成物及びその製造方法、並びにそれを含んだ食品 - Google Patents

油脂組成物及びその製造方法、並びにそれを含んだ食品

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Kenjiro Hashimoto
健次郎 橋本
Shingo Yoshida
慎吾 吉田
Ikuichi Tajima
郁一 田島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】油脂の結晶性を改善して、保存安定性に優れた
油脂組成物およびその製造法を確立し、冷凍生地のみで
なく、小麦粉焼成品全般への汎用性の高い利用法を提供
すること。 【解決手段】油脂中に酵素製剤からなる粉体を含有する
組成物であって、該粉体の平均粒径(メジアン径)が1
〜150μmであり、該粉体の含量が2〜35重量%で
あり、該粉体が該油脂に溶解しないことを特徴とする油
脂組成物を提供する。本発明の油脂組成物を利用するこ
とにより、油中に分散した粉体が多量の結晶核となり、
工業化レベルにおける油脂の結晶性が改善され、安定し
て良好な油脂組成物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油脂中に、酵素製
剤からなる粉体を含有する油脂組成物、特に、平均粒径
(メジアン径)が1〜150μmであり、該油脂に溶解
しない粉体を2〜35重量%含有し、該油脂の融点が1
5〜45℃である油脂組成物及びその製造方法並びにそ
れを含んだ食品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油脂に溶解しない紛体を油脂中に
分散させることは、分散性の問題やその用途も存在しな
かったため、ほとんど行われなかったが、近年、酵素な
どを固体脂中に分散して、ショートニング形態にて、製
菓、製パンで利用する例が見られるようになった。
【0003】ショートニングの性状は、その結晶性に左
右されやすく、油脂に溶解する乳化剤、極度硬化油を添
加することで、結晶系を制御している。しかし、粉体を
分散した系では、粉体の量、メジアン径などにより、結
晶性が異なるため、工業化にスケールアップした場合、
ショートニングの性状が安定しない問題点があった。
【0004】油脂に粉体を添加した例としては、特開2
000−189052号公報には、花粉を使用する方法
があるが、記載内容より花粉の量、平均粒径(メジアン
径)は特定できるものの、花粉を喫食することが目的で
あり、特開平9−233993号公報には、化工澱粉を
使用する方法があるが、記載内容より化工澱粉の量は特
定できるものの、当該油脂組成物を用いたパンの食感を
改良することが目的であり、さらに、これらは、ショー
トニングの結晶性および性状については、何ら記述がな
い。
【0005】また、油脂に酵素を添加した例としては、
特開平10−253157号公報には、ヘミセルラーゼ
およびアミラーゼを使用する方法があるが、当該油脂組
成物を用いた冷凍パン生地の改良が目的のものであり、
さらに、添加量がごく僅かであるため、ショートニング
の結晶性および性状に影響を与えるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】油脂の結晶性を改善し
て、保存安定性に優れた油脂組成物およびその製造法を
確立し、冷凍生地のみでなく、小麦粉焼成品全般への汎
用性の高い利用法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題を解決するための手段として、酵素製剤の添加が油脂
組成物の結晶の微細化に与える影響について新たに着眼
し、鋭意検討した結果、油脂中での平均粒径(メジアン
径)が1〜150μmであり、該粉体の含量が2〜35
重量%の酵素製剤であって該油脂に溶解しない粉体を添
加することで、油中に分散した粉体が多量の結晶核とな
り、工業化レベルにおける油脂の結晶が微細化され、良
好な油脂組成物が得られ、さらに酵素の保存安定性が優
れた油脂組成物であることを見出し、本発明の完成に至
った。本発明は、以下の各発明を包含する。
【0008】本発明は油脂中に酵素製剤からなる粉体を
含有する組成物であって、該粉体の平均粒径(メジアン
径)が1〜150μmであり、該粉体の含量が2〜35
重量%であり、該粉体が該油脂に溶解しないことを特徴
とする油脂組成物に存する。
【0009】好ましい態様において前記油脂の融点は1
5〜45℃である。
【0010】本発明の別の形態として、油脂を加熱溶解
する工程、該油脂に溶解しない酵素製剤からなる平均粒
径(メジアン径)が1〜150μmの粉体を、該油脂に
2〜35重量%の含量で均一分散させる工程、及び該分
散液を冷却し混和する工程を含むことを特徴とする油脂
組成物の製造方法に存する。
【0011】好ましい態様において前記製造方法に用い
られる油脂の融点は15〜45℃である。
【0012】本発明は、更に別の形態として、前記油脂
組成物を含有、又は使用して得られる食品、即ち上記油
脂組成物を配合することを特徴とする食品にも存する。
【0013】特に、その原料として更に小麦粉を配合す
る製品、特にパン(ベーカリー)製品に好適である。パ
ン製品には、パン生地(冷凍生地にも使用できる。)、
このパンを焼成して得られるパン類も本発明の食品に含
まれる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0015】まず、本発明に使用する油脂としては、動
物あるいは植物由来の食用油脂と言われるものであれ
ば、特に制限がなく、例えば、ナタネ油、大豆油、コー
ン油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、パーム油、
パーム核油、オリーブ油、ヤシ油、魚油、牛脂、ラード
等またこれらを原料として分別、水添等を行った油脂、
あるいは、これらのブレンド油が使用できるが、練り込
み用という用途に関しては、上昇融点が15〜45℃と
なるような油脂の組み合わせが好ましい。
【0016】また、本発明においては、油脂に乳化剤を
併用することも可能であり、具体的には、レシチン、モ
ノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エス
テル、有機酸モノグリセリド(例えば、ジアセチル酒石
酸モノグリセリド)等を単独または混合して使用しても
良い。これらの添加剤の添加量は、特に限定されるもの
ではなく、本発明組成物中、例えば、0.01〜10重
量%である。
【0017】油脂に添加する粉体としては、油脂中での
メジアン径が1〜150μm、好ましくは、メジアン径
が10〜100μmかつ粒径の99%が300μm以下
の油脂に溶解しない酵素であれば、特に制限なく、単
体、混合あるいは製剤として使用しても良い。例えば、
トランスグルタミナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼな
どが単体、混合して使用できる。また、デキストリンな
どを賦形剤として使用し、製剤として用いても良い。粉
体の含有量としては、本発明組成物中に2〜35重量
%、好ましくは、2〜10重量%である。これらのメジ
アン径かつ含有量の範囲に入らない場合は、結晶核とな
らないか、あるいは、分散性が悪く凝集して沈殿してし
まい、油脂組成物の結晶性は改善しない。
【0018】なお、ここにおける、油脂に溶解しないと
は、60℃において大豆油100gに対して当該粉体の
溶解量が0.1g以下であることを言い、また、微細化
とは、油脂結晶の平均粒径(メジアン径)が100μm
以下であることを言う。
【0019】本発明の油脂組成物は以下の方法で製造さ
れる。
【0020】まず、油脂を50℃以上に加温して完全に
溶解して油相を形成し、ここに粉体を添加する。混合、
分散の方法は、特に限定されるものではなく、油相に直
接、添加しても良いし、あるいは、まず、少量の油脂に
粉体を分散し、濃厚溶液を調製し、この溶液を添加して
も良い。
【0021】油脂組成物の分散性は、例えば、濁度用セ
ルに試料を採取し、50℃恒温槽にて5分間静置後に濁
度計(HACH社製等)を用いて測定することができ
る。具体的には、以下の式で示すΔ濁度のばらつきによ
って分散性の評価を行うことができる。 Δ濁度=試料の濁度(測定値)−コントロール(油脂の
み)
【0022】ついで、冷却を行うが、本発明の油脂組成
物は、従来と比較して、結晶性が良好であるため、撹拌
を伴っていれば、その方法は問わない。なお、より好ま
しい結晶状態にするのは、急冷捏和が必要であるが、こ
の場合であっても、従来より、緩やかな冷却条件で製造
が可能である。急冷捏和に用いる装置としては、ボテー
タ−、パーフェクター、コンビネーター等、通常の油脂
組成物を製造する装置が全て使用できる。
【0023】本発明の食品について詳述する。
【0024】本発明の食品は、上述した本発明の油脂組
成物を含有しているものであり、該油脂組成物をもっ
て、従来の油脂の代替、あるいは、従来の油脂と併用し
たものである。例えば、製菓、製パン製品の他、流動状
あるいは固体状の油脂を含むあらゆる食品が挙げられ
る。
【0025】次に、小麦粉を配合する食品について詳述
する。小麦粉を配合する食品としては、ベーカリー製品
が挙げられる。ベーカリー製品は、上述した本発明の油
脂組成物を含有しているものであり、該油脂組成物をも
って、従来の油脂の代替、あるいは、従来の油脂と併用
したもので、生地を調製して、該生地を焼成したもので
ある。例えば、パン、パイ、デニッシュ、スポンジケー
キ、バターケーキ、発酵菓子、シュー菓子、カステラ等
が挙げられる。
【0026】上述の生地の調製方法は、特に限定され
ず、一般的な方法で用いられている油脂の全て、あるい
は、一部を本発明の油脂組成物で代替して、行うことが
できる。例えば、本発明のベーカリー製品がパンである
場合、パン生地の調製においては、小麦粉、水、イース
ト、砂糖、食塩などの一般的製パン原料と、本発明の油
脂組成物とを公知の操作と同一の方法で混捏すること
で、パン生地を得ることができる。さらに、一般的な方
法にしたがって、発酵、分割、成型、ホイロ等を行い、
焼成することができる。また、パンが、冷凍又は冷蔵す
る工程を含む場合も本発明の油脂組成物は使用できる。
【0027】
【実施例】以下に、本発明の実施例に基づいて具体的に
説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるも
のではない。
【0028】油脂組成物およびその製造法の例 [実施例1]上昇融点38℃の大豆硬化油700kg、上
昇融点41℃のパーム硬化油100kg、大豆白絞油2
00kgを60℃にて溶解し、混合して油相を調製し
た。ついで、該油相に、プロペラ撹拌機により回転数5
0rpmで撹拌しながら、メジアン径70μmに調整し
たトランスグルタミナーゼ製剤(味の素製、商品名「ア
クティバTG」)25kgを添加した。添加終了後、プ
ロペラ撹拌機により回転数50rpmで10分間撹拌
し、分散液を得た。得られた分散液を急冷捏和装置に
て、冷媒温度2℃で急冷捏和し、目的の油脂組成物を得
た。
【0029】[実施例2]実施例1と同じ配合の油相を調
製し、該油相に、実施例1と同じ方法で、メジアン径1
00μmに調整したαアミラーゼ製剤(ダニスコカルタ
ー社製、商品名「GRINDAMYL MAX-LIFE E5」)25kg
を添加した。これを使用して、実施例1と同様の方法
で、目的の油脂組成物を得た。
【0030】[実施例3]上昇融点42℃のパーム油40
0kg、上昇融点38℃の大豆硬化油360kg、菜種
白絞油200kgおよび菜種極度硬化油20kgを60
℃にて混合し、さらに乳化剤として、モノグリセリン脂
肪酸エステル(花王社製、エキセルVS−95)10k
g、レシチン(味の素社製)10kgを添加し、油相を
調製した。ついで、該油相に、実施例1と同じ方法で、
メジアン径70μmのトランスグルタミナーゼ製剤(味
の素製、商品名「アクティバTG」)25kgを添加し
た。これを使用して、実施例1と同様の方法で、目的の
油脂組成物を得た。
【0031】[比較例1]実施例1と同じ配合の油相を調
製し、該油相に、実施例1と同じ方法で、メジアン径5
00μmのプロテアーゼ製剤(天野製薬社製、商品名
「プロテアーゼS」)25kgを添加した。これを使用
して、実施例1と同様の方法で、急冷捏和を試みたが、
上手く分散せず、目的の油脂組成物は得ることはできな
かった。
【0032】[比較例2]実施例1と同じ配合の油相を調
製し、該油相に、実施例1と同じ方法で、メジアン径7
0μmのトランスグルタミナーゼ製剤(味の素製、商品
名「アクティバTG」)1.0kgを添加した。これを
使用して、実施例1と同様の方法で、急冷捏和を試みた
が、結晶状態が悪く、目的の油脂組成物は得るために
は、冷媒温度を下げる必要があった。
【0033】以上の実施例及び比較例による油脂組成物
の製造結果を表1にまとめた。表1の結果から明らかな
ように、油脂に添加する粉体の粒径(メジアン径)及び
含量が粉体の分散性や油脂組成物の結晶性に大きく影響
することが理解される。
【0034】
【表1】 ○;良好、△;やや良好、×;不良、−;評価なし
【0035】油脂組成物の保存安定性の試験例 実施例1、実施例2及び比較例2で得られた油脂組成物
を脱酸素剤なしに5℃で保存し、1.5ヶ月および3ヶ
月保存した後の各油脂組成物中の酵素活性を測定した。
【0036】尚、本発明で使用するトランスグルタミナ
ーゼの活性単位は、次のように測定され、かつ定義され
る。即ち、温度37℃、pH6.0のトリス緩衝液中、ベ
ンジルオキシカルボニル−L−グルタミルグリシンおよ
びヒドロキシルアミンを基質とする反応系でトランスグ
ルタミナーゼを作用せしめ、生成したヒドロキシサム酸
をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後、52
5nmにおける吸光度を測定し、ヒドロキサム酸量を検量
線により求め、1分間に1μmolのヒドロキサム酸を生
成せしめた酵素をトランスグルタミナーゼの活性単位、
1ユニット(1U)とする(特開昭64−27471号
公報参照。この記載内容は本明細書の一部として本件明
細書に組み込まれる。)。
【0037】また、アミラーゼ活性は、1%じゃがいも
澱粉溶液(pH6.0、0.1M酢酸緩衝液)10ml
に1mlの酵素溶液を加え、40℃で10分間反応させ
た時、ヨウ素呈色値を1%減少させる活性を1DUNとす
る。
【0038】
【表2】
【0039】表2に油脂組成物を5℃で保存した時の酵
素の残存活性(%)を示す。残存活性は、以下の式にし
たがって求めた。 残存活性(%)=100−(製造直後の活性−保存後の
活性)/製造直後の活性*100
【0040】実施例1及び2で調製した油脂組成物は、
保存1.5ヶ月では全く酵素活性の低下はなく、保存3
ヶ月では10%以下であったのに対して、比較例2で調
製した油脂組成物の酵素の活性低下は、保存1.5ヶ月
では15%以上、保存3ヶ月では、30%以上であり、
実施例1及び2で調製した油脂組成物に比べて保存性が
著しく劣った。
【0041】食品への利用例 (パンの製造) [実施例4]実施例1で得られた油脂組成物を表3及び表
4の配合の通りに添加し、表5の工程でプルマン型食パ
ンを焼成し、サンプルを得た。
【0042】[比較例3]比較例2で得られた油脂組成物
を表3及び表4の配合の通りに添加し、表5の工程でプ
ルマン型食パンを焼成し、サンプルを得た。
【0043】[比較例4]油脂組成物の代わりに通常の製
パン用ショートニングを表3及び表4の配合の通りに添
加し、表5の工程でプルマン型食パンを焼成し、サンプ
ルを得た。
【0044】
【表3】中種配合(実施例、比較例とも共通)
【0045】
【表4】本捏配合
【0046】
【表5】工程(70%中種法)
【0047】得られた食パンの評価結果を表6に示す。
表6における「内相」とは、パンを切断した時の断面の
観察で、膜が厚い=×〜膜が薄い=◎まで4段階で評価
した結果を示している。また、「食感(歯切れ)」、
「食感(口溶け)」は、悪い=×、やや良い=△、良い
=○の3段階で評価した結果を示している。
【0048】
【表6】
【0049】表6の結果から明らかなように、本発明の
油脂組成物を使用した食パン(実施例4)は、内相も良
好で、独特の食感を有していた。これは、比較例2の油
脂組成物を使用した食パン(比較例3)では、発現しな
い内相、食感であり、さらに通常のショートニングを使
用した食パン(比較例4)との差は、明らかである。
【0050】(発酵菓子) [実施例5]実施例1で得られた油脂組成物を表7の配合
の通りに添加し、表8の工程でスイートロールを焼成
し、サンプルを得た。
【0051】[比較例5]比較例2で得られた油脂組成物
を表7の配合の通りに添加し、表8の工程でスイートロ
ールを焼成し、サンプルを得た。
【0052】[比較例6]油脂組成物の代わりに通常の製
菓用マーガリンを表7の配合の通りに添加し表8の工程
でスイートロールを焼成し、サンプルを得た。
【0053】
【表7】配合
【0054】
【表8】
【0055】得られたスイートロール(発酵菓子)の評
価結果を表9に示す。表9におけるボリューム(体積)
の測定は、3次元イメージ測定器 SELNAC-VM150
((株)アステック社製、レーザー光を使用)にて行な
い、各サンプル10個の平均値を示す。また、「内相」
とは、パンを切断した時の断面の観察で、目が粗い=×
〜目が細かい=◎まで4段階で評価した結果を示してい
る。また、「食感」は、ぼそつく=×〜しっとりする=
◎の4段階で評価した結果を示しており、「風味」は、
非常に悪い=××〜極めて良好=◎の5段階で評価した
結果を示している。
【0056】
【表9】
【0057】表9の結果から明らかなように、本発明の
油脂組成物は、少量の添加で、ボリューム、内相、食感
に効果があり、マーガリンと併用できるため、風味良好
なサンプル(実施例5)が得られる。しかし、比較例5
では、油脂全量を置き換えても、ボリューム、内相、食
感は、やや劣り、さらにマーガリンを使用できないの
で、風味の差は明らかである。さらに通常のマーガリン
を使用した食パン(比較例6)とのボリューム、内相、
食感ともに差は明らかである。
【0058】(パイ) [実施例6]実施例1で得られた油脂組成物を表10の配
合の通りに添加し、表11の工程でパイを焼成し、サン
プルを得た。
【0059】[比較例7]比較例2で得られた油脂組成物
を表10の配合の通りに添加し、表11の工程でパイを
焼成し、サンプルを得た。
【0060】[比較例8]油脂組成物の代わりに通常の製
パン用ショートニングを表10の配合の通りに添加し、
表11の工程でパイを焼成し、サンプルを得た。
【0061】
【表10】配合
【0062】
【表11】工程
【0063】得られたパイの評価結果を表12に示す。
表12における「浮き」は、大変悪い=××〜大変良い
=◎の5段階で評価した結果を示している。また、「食
感(サク感)」は、喫食時の最初の食べ口のことで、な
し=×、ややあり=△、あり=○の3段階で評価結果を
示しており、「食感(しっとり感)」は、喫食中の口の
中での状態のことで、乾いている=××〜しっとりして
いる=◎の5段階で評価した結果を示している。
【0064】
【表12】
【0065】表12の結果から明らかなように、本発明
の油脂組成物を使用したパイ(実施例6)は、サク感と
しっとり感を併せ持つ今までのパイにない独特の食感を
有していた。
【0066】
【発明の効果】以上説明したとおり、油脂中に平均粒径
(メジアン径)が1〜150μmである、該粉体の含量
が2〜35重量%の酵素製剤であって該油脂に溶解しな
い粉体を添加することで、油中に分散した粉体が多量の
結晶核となり、工業化レベルにおける油脂の結晶性が改
善され、安定して良好な油脂組成物が得られる。さら
に、本発明の油脂組成物を利用したベーカリー製品等の
食品の品質向上に寄与するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田島 郁一 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品研究所内 Fターム(参考) 4B026 DC06 DG01 DG11 DL09 DX02 4B032 DB02 DB13 DK18 DK51 DL01 DL03 4H059 BC03 BC13 BC48 CA51 DA02 DA16 EA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油脂中に、酵素製剤からなる粉体を含有す
    る組成物であって、該粉体の平均粒径(メジアン径)が
    1〜150μmであり、該粉体の含量が2〜35重量%
    であり、該粉体が該油脂に溶解しないことを特徴とする
    油脂組成物。
  2. 【請求項2】前記油脂の融点が15〜45℃である請求
    項1記載の油脂組成物。
  3. 【請求項3】油脂を加熱溶解する工程、 該油脂に溶解しない酵素製剤からなる平均粒径(メジア
    ン径)が1〜150μmの粉体を、該油脂に2〜35重
    量%の含量で均一に分散させる工程、及び該分散液を冷
    却し混和する工程、を含むことを特徴とする油脂組成物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】前記油脂の融点が15〜45℃である請求
    項3記載の油脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1又は2記載の油脂組成物を配合す
    ることを特徴とする食品。
  6. 【請求項6】原料として更に小麦粉を配合する請求項5
    記載の食品。
  7. 【請求項7】パン生地である請求項5又は6記載の食
    品。
  8. 【請求項8】焼成されたパンの形態にある請求項7記載
    の食品。
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