JP2002281733A - ポールピース及びその製造方法 - Google Patents

ポールピース及びその製造方法

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JP2002281733A
JP2002281733A JP2001085278A JP2001085278A JP2002281733A JP 2002281733 A JP2002281733 A JP 2002281733A JP 2001085278 A JP2001085278 A JP 2001085278A JP 2001085278 A JP2001085278 A JP 2001085278A JP 2002281733 A JP2002281733 A JP 2002281733A
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pole piece
ferromagnetic
magnetic
heat treatment
manufacturing
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JP2001085278A
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English (en)
Inventor
Toru Kuwabara
徹 桑原
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非制動時において引摺りトルクが発生するお
それがないポールピース及びその製造方法を提供するも
のである。 【解決手段】 本発明に係るポールピース10は、渦電
流式減速装置20に用いられ、強磁性部24と非磁性部
25を交互に有するポールピース10において、ポール
ピース10の非磁性部25の内周部23、外周部22、
又は肉厚中央部に、強磁性部又は弱磁性部30を設けた
ものである。本発明に係るポールピース10の製造方法
は、強磁性のステンレス鋼で円筒部材21を形成した
後、円筒部材21の周方向又は軸方向に亘って所定の間
隔で熱処理を施し、その熱処理部分を、部材内周部2
3、部材外周部22、又は部材中央部に強磁性部或いは
弱磁性部30が一部残存した非磁性部25に形成するも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポールピース及び
その製造方法に係り、特に、車両に減速制動を与えるリ
ターダ用渦電流式減速装置のポールピース及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両が長い坂等を下る時には、
車両に生じる加速を低減すると共に、車両に安定した連
続的な減速制動を与え、メインブレーキであるフットブ
レーキの焼損を防止するために減速制動装置(リター
ダ)が用いられ、そのリターダの一つとして渦電流式減
速装置がある。
【0003】図9に示すように、渦電流式減速装置90
の構成部材の一つに、回転軸91と同軸に取り付けられ
るロータ92と、そのロータ92の内周面に対向して、
かつ、リング状のヨーク96の外周面に設けられる磁石
体(永久磁石体)93との間に設けられるポールピース
95がある。ここでいうポールピース95とは、図10
に示すように、強磁性部101a〜d…と非磁性部(又
は弱磁性部)102a〜c…を周方向又は軸方向(図1
0中では周方向)に亘って交互に有する円筒状部材のこ
とである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のポー
ルピース95を用いた渦電流式減速装置90において、
非制動時(制動力オフ時)、即ちある磁石体93bが強
磁性部101b,101c間の非磁性部102bに位置
する時、磁石体93bのN極から出た磁束は、通常、強
磁性部101b,101cを通って、隣接する磁石体9
3a,93cのS極へと戻り、磁気回路C1を形成して
いる。
【0005】しかし、磁石体93bのN極から出た磁束
の一部は、非磁性部102b、ロータ92、隣接する非
磁性部102a,102cを通って、隣接する磁石体9
3a,93cのS極へと戻って磁気回路C2を形成して
しまい、いわゆる磁気漏れが生じてしまう。つまり、制
動力をオフにしているにもかかわらず、ロータ92に対
する“引摺りトルク”が発生することから、この渦電流
式減速装置90を搭載した自動車は、燃費が悪くなって
しまうという問題があった。
【0006】以上の事情を考慮して創案された本発明の
目的は、非制動時において引摺りトルクが発生するおそ
れがないポールピース及びその製造方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明に係るポールピースは、渦電流式減速装置に用いら
れ、強磁性部と非磁性部を交互に有するポールピースに
おいて、上記ポールピースの非磁性部の内周部、外周
部、又は肉厚中央部に、強磁性部又は弱磁性部を形成し
たものである。
【0008】以上の構成によれば、非磁性部においても
周方向に亘って略連続的に磁性を有するポールピースと
なる。
【0009】一方、本発明に係るポールピースの製造方
法は、強磁性のステンレス鋼で円筒部材を形成した後、
円筒部材の周方向又は軸方向に亘って所定の間隔で熱処
理を施し、その熱処理部分を、部材内周部、部材外周
部、又は部材中央部に強磁性部或いは弱磁性部が一部残
存した非磁性部に形成するものである。また、本発明に
係るポールピースの製造方法は、強磁性のステンレス鋼
で板部材を形成した後、その板部材の縦方向又は横方向
に亘って所定の間隔で熱処理を施し、その熱処理部分
を、部材上面部、部材下面部、又は部材中央部に強磁性
部或いは弱磁性部が一部残存した非磁性部に形成し、そ
の後、その板部材を縦方向又は横方向に丸めて円筒部材
を形成するものである。
【0010】以上の方法によれば、円筒部材(或いは板
部材)の内周部(或いは上面部)、外周部(或いは下面
部)、又は肉厚中央部に強磁性部(或いは弱磁性部)が
一部残存した非磁性部を形成できるため、非磁性部にお
いても周方向に亘って略連続的に磁性を有するポールピ
ースを得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適一実施の形態
を説明する。
【0012】第1の実施の形態に係るポールピースの部
分横断面図を図1に示す。
【0013】図1(a)に示すように、本実施の形態に
係るポールピース10は、強磁性のステンレス鋼で円筒
部材21を形成した後、円筒部材21の外周部22に、
周方向又は軸方向(図1中では周方向)に亘って所定の
間隔で熱処理を施し、その熱処理部分を、内周部23に
強磁性部(又は弱磁性部)24が一部残存した非磁性部
25に形成したものであり、非熱処理部分が強磁性部2
4に、熱処理部分が非磁性部25となる。また、非磁性
部25はその殆どがオーステナイト相であり、強磁性部
(又は弱磁性部)24の内、強磁性部は主相がマルテン
サイト相、弱磁性部は主相がオーステナイト相である。
以下、非磁性部25に一部残存した強磁性部24を、
「残存強磁性部30」と示す。
【0014】円筒部材21を構成するステンレス鋼とし
ては、常温で強磁性を有し、熱処理により非磁性のオー
ステナイト相に変態するステンレス鋼であれば特に限定
するものではなく、例えば、フェライト系ステンレス
鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼などが挙げられる。
【0015】ここで、円筒部材21の外周部22に熱処
理を施して非磁性部25を形成する際、熱処理の温度・
時間などを調整して非磁性部25の先端25aが内周部
23にまで達しないようにすると共に、各熱処理部の内
周部23に、非磁性部25の先端25aまでを除去して
なる凹部26を形成してもよい(図1(b)参照)。ま
た、円筒部材21の外周部22に熱処理を施して非磁性
部25を形成する際、熱処理の温度・時間などを調整し
て非磁性部25の先端25aが内周部23にまで達しな
いようにすると共に、各熱処理部の内・外周部23,2
2に、非磁性部25の先端25aまでを除去してなる凹
部26および外周部22における非磁性部25の一部を
除去してなる凹部27を形成してもよい(図1(c)参
照)。これらの凹部26,27は、円筒部材21の軸方
向全長に亘って形成され、また、凹部26は、非磁性部
25と凹部26の境界部に残存強磁性部30が残るよう
に形成される。
【0016】これによって、各非磁性部25の厚みが各
強磁性部24よりも薄くなり、ポールピース10の重量
軽減、延いては渦電流式減速装置の軽量化を図ることが
できる。また、各強磁性部24の位置精度を確保するこ
とができることから、各磁石体33(図2,図3参照)
からの磁束が、各強磁性部24を介して効果的にロータ
に作用するようになる。
【0017】また、図1に示した凹部26,27の形状
は任意であり、周方向(回転方向)において対称である
必要はなく、回転方向下流側に傾斜したような形状の凹
部であってもよい。これによって、磁石体33からの磁
束が、強磁性部24の回転方向下流側に絞り込まれた状
態でロータ92(図2,図3参照)に作用するようにな
るため、制動トルクをより高めることができる。
【0018】さらに、非磁性部25と内周部23の境界
部近傍における残存強磁性部30の体積がある程度確保
されている場合、その境界部近傍は全体として強磁性部
となり、また、境界部近傍における残存強磁性部30の
体積が著しく少ない場合、その境界部近傍は全体として
弱磁性部となる。
【0019】次に、本実施の形態に係るポールピース1
0の作用を説明する。
【0020】本実施の形態のポールピースを用いた渦電
流式減速装置の縦断面図を図2に、図2のA−A線断面
図を図3に示す。尚、図9,図10と同様の部材には同
じ符号を付している。
【0021】図2,図3に示すように、渦電流式減速装
置20は、回転軸91と同軸に取り付けられるロータ9
2と、そのロータ92の内周面に対向して設けられるリ
ング状のヨーク36と、ヨーク36の外周面に設けられ
る磁石体(永久磁石体)33と、磁石体33とロータ9
2の間に設けられる前述したポールピース10で構成さ
れる。ポールピース10には、図3に示すように、強磁
性部24a〜d…と非磁性部25b〜d…が周方向に亘
って交互に形成されている。
【0022】本実施の形態のポールピースを用いた渦電
流式減速装置20において、非制動時(制動力オフ
時)、即ちある磁石体33bが強磁性部24b,24c
間の非磁性部25cに位置する時、磁石体33bのN極
から出た磁束は、強磁性部24b,24cを通って、隣
接する磁石体33a,33cのS極へと戻り、磁気回路
C1を形成する。また、磁石体33bのN極から出た磁
束の一部は、非磁性部25cを通るものの、非磁性部2
5cとポールピース10の内周部23との境界部におけ
る残存強磁性部30により、その殆どがロータ92に漏
れることなく強磁性部24b,24cへと入る。即ち、
磁石体33bのN極から出た磁束の一部は、残存強磁性
部30および強磁性部24b,24cを介して、隣接す
る磁石体33a,33cのS極へと戻り、磁気回路C3
を形成する。
【0023】以上より、この渦電流式減速装置20にお
いては、従来の渦電流式減速装置90において生じてい
た非制動時の磁気漏れのおそれ、即ちロータ92に対す
る“引摺りトルク”が発生するおそれがなくなることか
ら、この渦電流式減速装置20を搭載した自動車におい
ては、従来の自動車と比較して燃費が向上する。
【0024】本実施の形態のポールピース10は、周方
向1列式のリターダ、即ち図2に示した回転軸91の長
軸方向(図2中では左右方向)に磁石体33を1列のみ
配置した渦電流式減速装置20に対して適用するのが特
に有効であるが、回転軸の長軸方向に磁石体を2列配置
した渦電流式減速装置に対して適用してもよい。
【0025】次に、本発明の他の実施の形態を添付図面
に基いて説明する。
【0026】第2〜6の実施の形態に係るポールピース
の部分横断面図を図4〜図8に示す。尚、図4〜図8に
おいて、図1と同様の部材には同じ符号を付している。
【0027】第1の実施の形態に係るポールピース10
は、非磁性部25の先端25aが内周部23にまで達す
るものであった(図1(a)参照)。これに対して、第
2の実施の形態に係るポールピース40は、図4(a)
に示すように、円筒部材21の外周部22に熱処理を施
して形成した非磁性部25の先端25aを、円筒部材2
1の肉厚中央部(部材中央部)又はその近傍に位置させ
るようにしたものである。これによって、残存強磁性部
30と強磁性部24が、ポールピース40の内周部23
において連続するようになる。また、図4(b)に示す
ように、残存強磁性部30と強磁性部24がポールピー
ス40の内周部23において連続するのを阻害しない範
囲で、各熱処理部の、内周部23に凹部46及び/又は
外周部22に凹部47を形成してもよい。
【0028】また、第1の実施の形態に係るポールピー
ス10は、その内周部23に残存強磁性部30が形成さ
れるものであった(図1(a)参照)。これに対して、
第3の実施の形態に係るポールピース50は、図5
(a)に示すように、円筒部材21の内周部23に熱処
理を施して非磁性部25を形成すると共に、ポールピー
ス50の外周部22に残存強磁性部30を形成したもの
である。
【0029】ここで、円筒部材21の内周部23に熱処
理を施して非磁性部25を形成する際、熱処理の温度・
時間などを調整して非磁性部25の先端25aが外周部
22にまで達しないようにすると共に、各熱処理部の内
周部23に、非磁性部25の先端25aまでを除去して
なる凹部56を形成してもよい(図5(b)参照)。ま
た、円筒部材21の内周部23に熱処理を施して非磁性
部25を形成する際、熱処理の温度・時間などを調整し
て非磁性部25の先端25aが外周部22にまで達しな
いようにすると共に、各熱処理部の内・外周部23,2
2に、非磁性部25の先端25aまでを除去してなる凹
部56および内周部23における非磁性部25の一部を
除去してなる凹部57を形成してもよい(図5(c)参
照)。これらの凹部56,57は、円筒部材21の軸方
向全長に亘って形成され、また、凹部56は、非磁性部
25と凹部56の境界部に残存強磁性部30が残るよう
に形成される。
【0030】さらに、第3の実施の形態に係るポールピ
ース50は、非磁性部25の先端25aが外周部22に
まで達するものであった(図5(a)参照)。これに対
して、第4の実施の形態に係るポールピース60は、図
6(a)に示すように、円筒部材21の内周部23に熱
処理を施して形成した非磁性部25の先端25aを、円
筒部材21の肉厚中央部又はその近傍に位置させるよう
にしたものである。これによって、残存強磁性部30と
強磁性部24が、ポールピース60の外周部22におい
て連続するようになる。また、図6(b)に示すよう
に、残存強磁性部30と強磁性部24がポールピース6
0の外周部22において連続するのを阻害しない範囲
で、各熱処理部の、外周部22に凹部66及び/又は内
周部23に凹部67を形成してもよい。
【0031】また、第1の実施の形態に係るポールピー
ス10は、その内周部23に残存強磁性部30が、第3
の実施の形態に係るポールピース50は、その外周部2
2に残存強磁性部30が形成されるものであった(図1
(a)及び図5(a)参照)。これに対して、第5の実
施の形態に係るポールピース70は、図7(a)に示す
ように、円筒部材21の内・外周部23,22に熱処理
を施して、ポールピース70の肉厚中央部又はその近傍
においてそれぞれの先端75aが突き合わさる非磁性部
75c,75bを形成すると共に、非磁性部75c,7
5bの突き合わせ部間に残存強磁性部30を形成したも
のである。また、図7(b),(c)に示すように、各
熱処理部の、内周部23に凹部76及び/又は外周部2
2に凹部77を形成してもよい。
【0032】さらに、第5の実施の形態に係るポールピ
ース70は、ポールピース70の肉厚中央部又はその近
傍で非磁性部75c,75bの先端75aが突き合わさ
るものであった(図7(a)参照)。これに対して、第
6の実施の形態に係るポールピース80は、図8(a)
に示すように、円筒部材21の内・外周部23,22に
熱処理を施して、ポールピース80の肉厚中央部又はそ
の近傍においてそれぞれの先端85aが突き合わさらな
い非磁性部85c,85bを形成すると共に、非磁性部
85c,85bの各先端85aの離間部に残存強磁性部
30を形成したものである。また、図8(b)に示すよ
うに、各熱処理部の、内周部23に凹部86及び/又は
外周部22に凹部87を形成してもよい。
【0033】上述した第2〜第6の実施の形態のポール
ピース40,50,60,70,80においても、第1
の実施の形態のポールピース10と同様の作用効果を発
揮することは言うまでもなく、特に、第2,第4,第6
の実施の形態のポールピース40,60,80において
は、強磁性部24と残存強磁性部30が連続的に形成さ
れているため、非制動時に、ある磁石体のN極から出た
磁束は、全て残存強磁性部30および強磁性部24を通
って隣接する磁石体のS極に戻り、磁束がロータに全く
漏れないという優れた作用効果を発揮する。
【0034】次に、本発明に係るポールピースの製造方
法を添付図面に基いて説明する。
【0035】第1の実施の形態に係るポールピースの製
造方法は、先ず、強磁性のステンレス鋼で円筒部材21
(図1参照)を形成する。次に、この円筒部材21の周
方向又は軸方向(図1中では周方向)に亘って、かつ、
図3に示した各磁石体33の磁極面(図3中では上面)
と対向するように所定の間隔を有して熱処理を施す。こ
の熱処理により、熱処理部分を内周部23、外周部2
2、又は肉厚中央部に強磁性部(又は弱磁性部)が一部
残存した非磁性部25に形成し、ポールピース10が得
られる。ここで、熱処理により生じた熱歪みは機械加工
等により除去し、ポールピース10を真円に矯正する。
【0036】また、第2の実施の形態に係るポールピー
スの製造方法は、先ず、強磁性のステンレス鋼で板部材
(図示せず)を形成する。次に、この板部材の縦方向又
は横方向に亘って、かつ、図3に示した各磁石体33a
〜33cの周方向ピッチと同じ間隔で熱処理を施す。こ
の熱処理により、熱処理部分を上面部、下面部、又は肉
厚中央部に強磁性部(又は弱磁性部)が一部残存した非
磁性部に形成し、板部材が得られる。その後、この板部
材を縦方向又は横方向に丸めてポールピース(円筒部
材)を製造する。ここで、熱処理により生じた熱歪みは
機械加工等により除去し、板部材を平らに矯正する。
【0037】円筒部材21又は板部材に対する熱処理と
しては、溶体化処理又は急速加熱・急冷処理が挙げられ
る。溶体化処理は、850℃以上の温度、好ましくは1
100〜1200℃の温度で、10〜60分間加熱保持
するものであり、この条件範囲内において、ステンレス
鋼の化学組成に応じて加熱温度および保持時間が適宜選
択される。溶体化処理後の冷却速度は、非磁性部25が
非磁性のオーステナイト相となる速度以下であれば特に
限定するものではなく、空冷が一般的である。また、急
速加熱・急冷処理は、レーザや電子ビームなどの部分加
熱手段を用いて850℃以上に急速加熱して、加熱部分
を部分溶解した後に急冷するものである。
【0038】また、図1中においては、熱処理部を周方
向に3つ隣接して形成することで非磁性部25を構成し
ているが、熱処理部の熱処理幅は特に限定するものでは
なく、1つの熱処理部で非磁性部25を構成してもよ
く、或いは、熱処理部を周方向に2つ又は4つ以上隣接
して形成することで非磁性部25を構成するようにして
もよい。
【0039】上述した各実施の形態の製造方法によれ
ば、強磁性のステンレス鋼からなる円筒部材21(或い
は板部材)に対して熱処理を施す際、円筒部材21の熱
処理部を外周部から内周部に亘って(或いは板部材の熱
処理部を上面部から下面部に亘って)均一に非磁性部2
5に形成するのではなく、円筒部材21の内周部(或い
は下面部)、外周部(或いは上面部)、又は肉厚中央部
に強磁性部を残すようにしている。これによって、各実
施の形態の製造方法により得られたポールピースを渦電
流式減速装置などに用いた場合、非制動時に非磁性部2
5に入った磁束は、残存強磁性部を介して、残存強磁性
部の周方向両端の強磁性部へと通るようになるため、ロ
ータに磁束が漏れるおそれがなくなる。
【0040】また、非磁性部25を形成するための熱処
理として急速加熱・急冷処理を用いた場合、その温度お
よび時間が、溶体化処理と比較して低温・短時間である
ため、急冷処理後におけるポールピースの熱歪みは、溶
体化処理を施した後のポールピースの熱歪みと比較して
小さくなる。これによって、急速加熱・急冷処理後のポ
ールピース10に対する機械加工による修正は少なくて
済む。
【0041】以上、本発明の実施の形態は、上述した実
施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のもの
が想定されることは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、強磁性部
と非磁性部を交互に有するポールピースの非磁性部の内
周部、外周部、又は肉厚中央部に、強磁性部或いは弱磁
性部を形成することで、非磁性部においても周方向に亘
って略連続的に磁性を有するポールピースを得ることが
できるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るポールピースの部分横
断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るポールピースを用いた
渦電流式減速装置の縦断面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】第2の実施の形態に係るポールピースの部分横
断面図である。
【図5】第3の実施の形態に係るポールピースの部分横
断面図である。
【図6】第4の実施の形態に係るポールピースの部分横
断面図である。
【図7】第5の実施の形態に係るポールピースの部分横
断面図である。
【図8】第6の実施の形態に係るポールピースの部分横
断面図である。
【図9】従来のポールピースを用いた渦電流式減速装置
の縦断面図である。
【図10】図9のB−B線断面図である。
【符号の説明】
10,40,50,60,70,80 ポールピース 20 渦電流式減速装置 21 円筒部材 22 外周部 23 内周部 24 強磁性部 25 非磁性部 26,27 凹部 30 残存強磁性部(強磁性部又は弱磁性部) 46,47 凹部 56,57 凹部 66,67 凹部 76,77 凹部 86,87 凹部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 渦電流式減速装置に用いられ、強磁性部
    と非磁性部を交互に有するポールピースにおいて、上記
    ポールピースの非磁性部の内周部、外周部、又は肉厚中
    央部に、強磁性部又は弱磁性部を設けたことを特徴とす
    るポールピース。
  2. 【請求項2】 上記非磁性部の部材内周部、部材外周
    部、又は部材内・外周部に、凹部を形成した請求項2記
    載のポールピース。
  3. 【請求項3】 渦電流式減速装置に用いられ、強磁性部
    と非磁性部を交互に有するポールピースの製造方法にお
    いて、強磁性のステンレス鋼で円筒部材を形成した後、
    円筒部材の周方向又は軸方向に亘って所定の間隔で熱処
    理を施し、その熱処理部分を、部材内周部、部材外周
    部、又は部材中央部に強磁性部或いは弱磁性部が一部残
    存した非磁性部に形成することを特徴とするポールピー
    スの製造方法。
  4. 【請求項4】 渦電流式減速装置に用いられ、強磁性部
    と非磁性部を交互に有するポールピースの製造方法にお
    いて、強磁性のステンレス鋼で板部材を形成した後、そ
    の板部材の縦方向又は横方向に亘って所定の間隔で熱処
    理を施し、その熱処理部分を、部材上面部、部材下面
    部、又は部材中央部に強磁性部或いは弱磁性部が一部残
    存した非磁性部に形成し、その後、その板部材を縦方向
    又は横方向に丸めて円筒部材を形成することを特徴とす
    るポールピースの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記熱処理が、850℃以上の温度で1
    0〜60分間加熱保持する溶体化処理である請求項3又
    は4記載のポールピースの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記熱処理が、熱処理部分を850℃以
    上に急速加熱して部分溶解した後に急冷を行なう急速加
    熱・急冷処理である請求項3又は4記載のポールピース
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105018686A (zh) * 2015-07-24 2015-11-04 江苏龙城精锻有限公司 发电机爪极的快速退火方法及设备

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