JP2002280067A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池

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JP2002280067A JP2001079930A JP2001079930A JP2002280067A JP 2002280067 A JP2002280067 A JP 2002280067A JP 2001079930 A JP2001079930 A JP 2001079930A JP 2001079930 A JP2001079930 A JP 2001079930A JP 2002280067 A JP2002280067 A JP 2002280067A
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きよみ 神月
Shozo Takahashi
庄三 高橋
Yasuhiko Mifuji
靖彦 美藤
Nobuo Eda
信夫 江田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過充電時の高温状況下での安全性に優れた非
水電解質二次電池を提供することを目的とする。 【解決手段】 正極2と負極3がセパレータ4とともに
捲回された極板群が、1−(2−ビフェニリルオキシ)
−2−フェノキシエタンなどの耐過充電添加剤が添加さ
れた非水電解質とともにケース5内に密封されていて、
極板間のセパレータ4は、セパレータをMDに25kg
/cm2の引っ張り荷重を与えた状態において大気中1
20℃の温度で15分間保持した後、透気抵抗度が70
0から1500秒/100mlにあり、前記空孔率が2
0から70%にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、過充電時の高温環
境下での安全性の高い非水電解質二次電池であって、詳
しくは過充電時の安全性を向上させる添加剤及びセパレ
ータを用いた非水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】非水電解質二次電池が、過充電時の高温
環境下で安全性を保つ方法としては、大きく分けて組み
込まれている安全装置を用いる方法と発電要素自体に耐
過充電特性を付与する方法がある。さらに後者の発電要
素自体に耐過充電特性を持たせる具体的な例として、セ
パレータの特性を改良する方法、電解液に耐過充電添加
剤を添加する方法等が提案されている。
【0003】従来、過充電時における安全性を向上させ
る構成として、非水電解質二次電池のセパレータに特有
の機能であるセパレータのシャットダウン機能を利用し
た構成が広く用いられている。通常時、セパレータは正
極、負極間の短絡防止の役割を担っているが、多孔質ポ
リオレフィン等を用いたセパレータは、外部短絡による
過剰電流等により電池温度が著しく上昇した場合に多孔
質セパレータが軟化することによって実質的に無孔質と
なり、電流を流させなくする、いわゆるシャットダウン
機能を有している。
【0004】シャットダウンが機能した後も電池温度が
上昇した場合には、セパレータが溶融して大きく穴が開
き、正極、負極間の短絡が生じる虞がある(以下、この
現象をメルトダウンと称す)。このメルトダウンが生じ
る温度が高いほど、電池の安全性は高いと言える。しか
し、シャットダウン機能を強化するために、熱溶融性を
高めるとメルトダウン温度が低くなり、安全性は逆に下
がるという相反する特性を有しており、これらを両立す
るセパレータが要望されている。
【0005】一方、電解液に耐過充電添加剤を加える構
成では、過充電時の安全性を向上させる様々な方法が提
案されている。例えば、過充電時に添加剤が重合するこ
とにより電池の内部抵抗を高くし、電池を過充電から保
護する方法(特許3061756号公報等)と、過充電
時にガスを発生し、所定内圧で作動する内部電気切断装
置を確実に作動させる方法(特許3061759号公報
等)および過充電酷使時に導電性ポリマーを生成して、
電池内部に短絡を発生させ自動放電する方法(特開平1
0−321258号公報等)等といった様々なものが提
案されているが、その中でもエチレングリコール誘導体
からなる添加剤が注目されている(特許2939468
号公報)。この誘導体からなる添加剤は電池電圧が過充
電状態の電圧に達すると、分解反応を開始してガスを発
生するようになるとともに重合反応を開始して重合物が
生成される。重合物は抵抗体として作用すると共に、電
解液中で再溶解が起こりにくい物質であるため、過充電
に対しては有効に作用する。
【0006】近年の開発競争により、非水電解質二次電
池には高容量化が強く要望されている。高容量化は、電
極の活物質の改良により高性能化している面もあるが、
起電反応に寄与しない部材の容積を減少させ、限られた
電池容器内に充填される実質的な活物質の量を多くする
ことで、高容量化がなされている。このため、正負極の
集電体やセパレータの厚みは薄くなる傾向にある。セパ
レータが薄くなると、短絡などに対する安全性は悪くな
る方向であるが、実質的な活物質の量が多くなるため、
安全性に対する要求は逆に大きくなる。
【0007】したがって、厚みの薄いセパレータを使用
した電池が過充電状態に陥り、発熱により高温状態にな
った場合には、過充電状態を電気的に回避させる方法を
採用するよりも、過充電状態を解消する方法を採用する
のが効果的である。具体的には、前述した方法の中で、
セパレータのシャットダウンや添加剤の過充電時に添加
剤が重合することにより電池の内部抵抗を高くし、電池
を過充電から保護する方法、及び過充電時にガスを発生
し、所定内圧で作動する内部電気切断装置を確実に作動
させる方法は、電池に印可される電流を制限、或いは遮
断することで過充電状態が継続するのを回避している。
これに対して、電池内部に短絡を発生させ自動放電する
方法は電池内部で強制的に放電を行っており、電池内部
の発電要素を過充電状態から脱却させる点から過充電状
態を停止させる前述の方法に比べて好ましい。特に、角
型電池などで所定内圧で作動する内部電気切断装置が設
けられていない構成に過充電時にガス発生を生ずる添加
剤を添加した場合には、電池容器の内圧上昇を招いてし
まい、安全性の面で好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記各方法に基づく過
充電保護作用において添加剤としてエチレングリコール
誘導体を使用した場合、その添加量、電解質塩、非水溶
媒及び他の構成要素との関係、さらにはこれらの劣化状
態等といった種々の要因による影響を受け、上記従来の
過充電状態を回避する作用が混在することになる。この
ため、過充電時に導電性ポリマーが生じ、内部短絡で安
全性を確保する作用に優先して、ガス発生もしくは電池
の内部抵抗を高める作用が生じる虞があり、導電性ポリ
マーによる強制的な放電による過充電保護が確実に生ず
るという信頼性の面で問題を有している。
【0009】本発明は、上記従来の問題点を解決するも
のであり、好適な添加剤とセパレータを組み合わせて使
用することにより、高温環境下での安全性に優れた高容
量非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明の非水電解質二次電池は、非水電解質にエチレ
ングリコール誘導体からなる耐過充電添加剤を添加して
なり、更に過充電時にセパレータに曝されると想定され
る高温及び応力を付加した直後において、透気抵抗度が
600から2000秒/100mlにあり、空孔率が2
0から70%にあることを特徴とする。尚、前記透気抵
抗度は、日本工業規格(JIS P8117−1998
以下、JISと呼ぶ)に規定された測定法を準用した
ものであり、23℃±1℃で面積642mm2のセパレ
ータを空気100mlが通過する時間(秒/100m
l)で表す。一般に、この値はガーレー数とも呼ばれ、
値が小さければ空気が良く通る、つまり透気抵抗度が小
さいということになる。
【0011】そして、本発明の構成、すなわち耐過充電
添加剤として1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−
ビフェニリルオキシ)−2−フェノキシエタンおよび1
−(2−ビフェニリルオキシ)−2−フェノキシエタン
から選択される少なくとも1種を非水電解質に添加し、
セパレータとして前述の特性パラメータを持つものを前
記添加剤と組み合わせて用いることにより、電池が過充
電状態に陥った際に導電性ポリマーがセパレータを貫通
させ、内部短絡を生じさせることで、過充電状態を解消
する。これにより高容量で信頼性に優れた非水電解質二
次電池を提供することが可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0013】本発明に係る非水電解質二次電池は、正極
と負極と非水溶媒に電解質塩を溶解した非水電解質とセ
パレータを備えた非水電解質二次電池であって、非水電
解質に、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−ビフ
ェニリルオキシ)−2−フェノキシエタンおよび1−
(2−ビフェニリルオキシ)−2−フェノキシエタンか
ら選択された少なくとも1種の耐過充電添加剤を混合し
ており、セパレータとして、機械延伸された長手方向
(以下、この方向をMDとする)に25kg/cm 2
引っ張り荷重を与えた状態において大気中120℃の温
度で15分間保持した後において、透気抵抗度が600
から2000秒/100mlにあり、空孔率で20から
70%にあるものを用いる。
【0014】本発明に係るセパレータとしては、大きな
イオン透過度を持ち、適度な機械的強度がある電子絶縁
性の微多孔性薄膜が用いられる。材質としては、耐有機
溶剤性と疎水性の観点とシャットダウン機能を持つ点か
ら、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂の単独また
はこれらを積層したものや混合・複合したものなどの多
孔質ポリオレフィンを用いることが好ましい。
【0015】本発明における正極は、従来公知の構成で
あるが、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マ
ンガンスピネルなどのリチウム含有複合酸化物を活物質
とし、導電剤と結着剤を混合した合剤が集電体に塗工さ
れて作製されている。
【0016】本発明における負極は、主な活物質には天
然黒鉛や人造黒鉛などの炭素が使われるが、その他に、
アルミニウムやアルミニウムを主体とする種々の合金
や、酸化スズなどを初めとする種々の金属酸化物、金属
窒化物など従来公知のものを用いることができ、正極と
同様に、導電剤と結着剤を混合した合剤が集電体に塗工
されて作製されている。
【0017】また本発明における非水電解質(以下、電
解液という)には、非水溶媒として、エチレンカーボネ
ート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等の環
状カーボネート類やジメチルカーボネート(DMC)、
ジエチルカーボネート(DEC)およびエチルメチルカ
ーボネート(EMC)などの鎖状カーボネート類の2種
以上を混合したものが好ましい。また、電解質塩として
LiPF6やLiBF4など従来公知のリチウム塩を用い
るのが好ましい。
【0018】本発明の電池は、過充電時の高温環境下に
おいてエチレングリコール誘導体からなる添加剤及びセ
パレータによって内部短絡を生じせしめるものであり、
この内部短絡のメカニズムは以下の通りである。
【0019】過充電時に電池の電圧が最大動作電圧以上
になると、過充電添加剤が正極の表面で重合・成長し、
抵抗値の高いポリマー層を形成する。さらに電圧が上昇
すると前記ポリマー層は導電性高分子となる。過充電状
態が継続すると、この導電性高分子はセパレータ細孔内
部で生長し、ついには、貫通して負極に達し、内部短絡
が起こる。この結果、本発明に係るセパレータ及び過充
電添加剤を用いた電池では、過充電過程の比較的早い段
階から導電性高分子が形成され、正極と負極の充電深度
が必要以上に過度な状態に到達しないことから、過充電
時の危険性を抑制できる。
【0020】尚、上述したメカニズムにおいて、過充電
添加剤が添加されていないか、その添加量が0.1重量
%未満の場合は、導電性高分子が十分成長しないうちに
過充電状態が深刻な状態にまで進行してしまう。また、
過充電添加剤の添加量が多い場合、例えば10重量%よ
り大きい場合は、過充電状態の抑制効果は、発揮できる
が、通常の電池特性、特に高温保存時の特性が劣化する
ため不適合である。
【0021】さらに本発明者らが鋭意検討の結果、セパ
レータの透気抵抗度、空孔率に関しても好適な値が存在
することを見出した。セパレータの貫通孔が多い場合、
つまり透気抵抗度が小さい場合は、導電性高分子が多量
に貫通して負極に達するため、短絡電流が多くなり、危
険な状況になる。逆にセパレータの貫通孔が少ない場合
は、つまり透気抵抗度が大きい場合は、導電性高分子が
貫通して負極に達しないうちに、過充電状態がさらに進
行してしまう。
【0022】さらに透気抵抗度が同程度であっても、セ
パレータの細孔が多い場合、つまり空孔率が大きい場合
は、生成した導電性高分子がセパレータに留まる割合が
多くなり、導電性高分子が貫通して負極に達しないうち
に、過充電状態がさらに進行してしまう。逆にセパレー
タの細孔が少ない場合は、つまり空孔率が小さい場合
は、生成した導電性高分子がセパレータの貫通孔に効率
的に充填され、多量に負極に達するため、短絡電流が多
くなり、過充電状態が助長されることになる。また、い
ずれのセパレータを用いた場合も、耐過充電添加剤の重
合量と電解液不足による内部抵抗の増大、あるいは添加
剤のガス発生が正常に機能し、過充電抑止効果あるいは
内部電気切断装置は確実に作動する。しかし、セパレー
タ厚みが薄いためにシャットダウン機能が十分に機能し
ない場合、あるいは内部電気切断装置を具備していない
場合には、過充電添加剤が機能せず、電池の過充電状態
が継続する虞があることから、好適な透気抵抗度と空孔
率が存在する。
【0023】上述した本発明に係るセパレータは、MD
に25kg/cm2の引っ張り荷重を与えた状態にて大
気中120℃の温度で15分間保持した直後に、前記J
ISに準拠した測定方法に基づいて測定したものであ
り、透気抵抗度が600から2000秒/100mlに
あり、空孔率が20から70%にあるものである。
【0024】特に、耐過充電添加剤として1−(2−ビ
フェニリルオキシ)−2−フェノキシエタンを採用した
場合は、透気抵抗度が700から1500秒/100m
lにあり、空孔率が35から50%にあるものが、非常
に優れた効果を示す。
【0025】上述したセパレータの透気抵抗度及び空孔
率は、公知のセパレータの常温域における値に比べて大
きな値となっている。通常の使用状態で透気抵抗度が大
きくなると、高率放電特性などに悪影響を与えてしま
う。本発明のセパレータをこのような影響を鑑み、常温
では透気抵抗度が小さく、高温になると透気抵抗度が大
きくなる多孔質ポリオレフィンが好ましい。この時、当
然空孔率も透気抵抗度につれて変化する。
【0026】従来、透気抵抗度及び空孔率に関して常温
域において検討がなされており、様々提案がなされてき
た。しかし、電池が過充電状態に陥った場合には電池自
身の発熱により各構成要素は高温環境下に曝されるため
に常温域とは違った特性がセパレータに要求される。こ
のような背景のもと、本発明者らは、高温環境下に想定
される熱的及び物理的な付加した状態での評価が必要で
あるとの知見を得、予め定められた条件に保持した直後
において前述した特性を有するセパレータが本発明の電
池に好適であるとの結論に至った。以下、セパレータに
予め施す処理条件について説明する。
【0027】電池の過充電状態における昇温機構は複雑
であり、極板群内のセパレータにかかる応力の状態を正
確にシミュレーションするのは困難である。特に、セパ
レータは同じ高温環境温度でもその時のセパレータにか
かる応力により熱収縮の状況が変化する点も考慮するこ
とが肝要である。そこで、本発明者らは、再現性の高い
処理条件としてセパレータの状態として、セパレータを
MDに25kg/cm 2の引っ張り荷重を与えた状態が
好ましいことを見出した。通常、渦巻き状に捲回された
極板群を作製する場合に、セパレータはある程度の張力
を加えられて巻き取られている。つまり、MDに引っ張
り荷重がかけられた状態で、捲回された極板群内に配置
されている。
【0028】一方、温度条件に関しては過充電時におけ
る電池の到達温度及び過充電状態に陥ってから導電性高
分子によって過充電状態が解消するまでに要する時間を
考慮する必要があり、本実施の形態では大気中120℃
の温度で15分間保持するのが好適であるとの知見を得
た。ここで、15分という時間は、セパレータがその温
度での透気抵抗度及び空孔率の変化が無くなる、つまり
飽和に達するのに十分な時間という意味であり、これ以
上の時間でもかまわないし、TD収縮が飽和に達してい
ればこれ以下の時間でも良いが、再現性の高い保持時間
としては15分が好適である。
【0029】また、上述した本発明の電池においてセパ
レータの厚みは8μm以上から18μm以下が好まし
い。厚みが18μmを越えると、電池の高容量化や高率
放電などの電池特性という点で不利になる上、内部短絡
が確実に起こりにくくなる。また、厚みが8μm未満で
は、過充電時の高温環境下で内部短絡が発生しても、過
充電保護機能が正常に作動しない虞がある。
【0030】
【実施例】次に、実施例を用いて、本発明の具体例につ
いて説明する。
【0031】まず、セパレータに関して、条件を変えて
以下に述べる各種の特性を持つセパレータを製造した。
【0032】(セパレータの製造)本実施例では、ポリ
エチレン(PE)膜からなるセパレータを以下に述べる
方法で製造した。
【0033】高密度ポリエチレン(平均分子量27万)
20重量部と高密度ポリエチレン(平均分子量37万)
20重量部と流動パラフィン60重部とを二軸押出機内
で溶融混練した。コートハンガーダイから冷却ロール上
に押出キャストすることにより高分子ゲルシートを作製
した。厚みはこの時点で、1.8mmであった。この高
分子ゲルシートを同時二軸延伸機を用いて122℃で7
×7倍に抽出前延伸をした。その後、塩化メチレン中に
浸漬して流動パラフィンを抽出除去した。さらに、テン
ターを用いて、125℃で機械延伸方向と直角の幅手方
向(TD)に2倍に延伸した後、TDの延伸を17%緩
和させつつ熱処理した。以上述べた工程で、厚さ16μ
mのPE膜を作製し、セパレータAとした。
【0034】以下、このセパレータAの各種特性を測定
した。
【0035】まず、このセパレータAの常温での透気抵
抗度を測定した。23℃に調温された実験室内でJIS
に準拠したA型測定装置を用いて透気抵抗度を測定し
た。測定値は、150秒/100mlであった。次に、
このセパレータAの熱処理後の透気抵抗度を測定した。
セパレータAを、MDと平行な方向に120mm、TD
と平行な方向に50mmの長方形に切り取り、大気中1
20℃の温度にセットされた恒温層内に、MDと平行な
方向に200gの錘で、25kg/cm2の引っ張り荷
重を与えた状態でセットし、15分間保持した。(以
下、MD前処理という。)MD前処理した後は、23℃
に調温された実験室内でJISに準拠したA型測定装置
を用いて透気抵抗度を測定した。測定値は、1300秒
/100mlであった。
【0036】さらに、このセパレータAの常温での空孔
率を測定した。23℃に調温された実験室内で水銀ポロ
シメータ装置を用いて空孔率を測定した。測定値は、7
5%であった。次に、このセパレータAの熱処理後の空
孔率を測定した。セパレータAを、通気抵抗度を測定し
た時と同じ条件でMD前処理した。MD前処理した後
は、23℃に調温された実験室内で水銀ポロシメータ装
置を用いて空孔率を測定した。測定値は、38%であっ
た。
【0037】また、セパレータAと同じ厚さで、違う透
気抵抗度および空孔率を持つセパレータBを製造した。
【0038】高密度ポリエチレン(平均分子量27万)
20重量部と高密度ポリエチレン(平均分子量53万)
20重量部と流動パラフィン60重部とを二軸押出機内
で溶融混練した。コートハンガーダイから冷却ロール上
に押出キャストすることにより高分子ゲルシートを作製
した。厚みはこの時点で、1.8mmであった。この高
分子ゲルシートを同時二軸延伸機を用いて130℃で7
×4倍に抽出前延伸をした。その後、塩化メチレン中に
浸漬して流動パラフィンを抽出除去した。さらに、テン
ターを用いて、130℃で機械延伸された幅手方向(以
下、TD)に3倍に延伸した後、TDの延伸を17%緩
和させつつ熱処理した。以上述べた工程で、厚さ16μ
mのPE膜を作製し、セパレータBとした。
【0039】まず、このセパレータBの常温での透気抵
抗度を測定した。
【0040】23℃に調温された実験室内でJISに準
拠したA型測定装置を用いて透気抵抗度を測定した。測
定値は、150秒/100mlであった。次に、このセ
パレータBの熱処理後の透気抵抗度を測定した。セパレ
ータBを、セパレータAと同様に切り取り、MD前処理
した。前処理した後は、23℃に調温された実験室内で
JISに準拠したA型測定装置を用いて透気抵抗度を測
定した。測定値は、700秒/100mlであった。
【0041】次に、このセパレータBの常温での空孔率
を測定した。23℃に調温された実験室内で水銀ポロシ
メータ装置を用いて空孔率を測定した。測定値は75%
であった。そして、このセパレータBの熱処理後の空孔
率を測定した。セパレータBを、セパレータAと同様
に、MD前処理した。MD前処理した後は、23℃に調
温された実験室内で水銀ポロシメータ装置を用いて空孔
率を測定した。測定値は50%であった。
【0042】以下、セパレータAまたはセパレータBと
同様の方法で、ポリエチレンの分子量や延伸条件を変え
ることにより、常温での透気抵抗度、空孔率は、全て同
じであり、(表1)に示すような前処理後の透気抵抗
度、空孔率および厚さからなるセパレータAからMの1
3種のセパレータを作製した。
【0043】
【表1】
【0044】(電池の作製)本実施例における電池の過
充電時の温度変化を評価するため、以下に説明する円筒
形電池を作製した。
【0045】図1に本実施例にて作製した円筒形電池の
構造図(一部断面図)を示す。この図1において、非水
電解質二次電池1は、正極2と負極3とセパレータ4
が、捲回されて、ケース5内に非水溶媒に電解質塩を溶
解した電解液(図示せず)、とともに内蔵されており、
封口板6で密閉されている。
【0046】封口板には、一般の市販電池においては、
安全弁やPTC素子などの安全素子が組み込まれている
が、本実施例における電池は安全性試験のために、封口
板6には一切の安全機構は組み込んでいない。
【0047】正極2は、コバルト酸リチウム粉末85重
量%に対し、導電剤の炭素粉末10重量%と結着剤のポ
リ弗化ビニリデン樹脂(PVdF樹脂)5重量%を混合
し、これらを脱水NMPに分散させてスラリーを作製
し、アルミ箔からなる正極集電体上に塗布し、乾燥後、
圧延して作製した。
【0048】負極3は、負極活物質として人造黒鉛粉末
を用い、これの95重量%に対して、結着剤のPVdF
樹脂を5重量%を混合し、これらを脱水NMPに分散さ
せてスラリーを作製し、銅箔からなる負極集電体上に塗
布し、乾燥後、圧延して作製した。また、セパレータ4
には、前述の(表1)に示すセパレータAからMの13
種のセパレータを使用した。
【0049】また、電解液には、エチレンカーボネート
(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の体積
比1:1の混合溶媒にLiPF6を1モル/リットル溶
解したものを使用した。電解液量は、約3.8mlであ
る。
【0050】なお、この作製した円筒形電池は直径18
mm、高さ65mmである。本サイズで、通常市販され
ているものの設計容量は1800mAhであり、セパレ
ータ4の厚みも、25から27μmのものが一般的であ
る。本実施例の電池は、それよりも高容量の2000m
Ahを設計容量とした。このため、セパレータ4の厚み
は、25μmより大きくなると、捲回した極板群が、ケ
ースに確実に挿入できなかった。
【0051】(実施例1〜30)セパレータAを、ビフ
ェニルを5重量%添加した電解液3.8mlとともに電
池に組み立てた。この電池を実施例1の電池とする。さ
らに、前述の(表1)に示すセパレータAからMの13
種のセパレータを用い、これらに耐過充電添加剤および
その添加量を(表2)および(表3)のように組み合わ
せて、実施例2から30の電池を組み立てた。
【0052】(比較例1〜9)実施例1と同様の方法で
セパレータAを用い、耐過充電添加剤を一切添加してい
ない電解液とともに電池に組み立てた。得られた電池を
比較例1の電池とする。更に、実施例と同様に(表1)
に示すセパレータと、(表2)および(表3)に示す過
充電添加剤および添加量にて組み合わせて、比較例2か
ら9の電池を組み立てた。
【0053】(電池の評価)これら作製した電池、計3
1個を以下に述べる方法で評価した。電池の設計容量
は、2000mAである。まず、1000mAの定電流
で、4.2Vになるまで充電した後、1000mAの定
電流で3.0Vになるまで放電する充放電サイクルを1
0サイクル繰り返した。この10サイクル目の放電容量
を各電池の初期容量とした。31個の全ての電池で、初
期容量が設計容量を満足していた。また、充放電は20
℃の恒温槽の中で行った。その後、各電池を4.2Vま
で1000mAの定電流で充電し、さらに、2000m
Aの定電流で3時間の過充電試験を行い、この過程で電
池の表面温度を測定し、電池の最高到達温度を評価し
た。これらの結果も、(表2)および(表3)に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】(表2)からわかる通り、実施例の電池で
はセパレータが薄くなっているのもかかわらず、異常昇
温が抑えられた。すべての実施例の電池で、電圧がかか
った状態で電流が流れており、セパレータ内で微小な内
部短絡が起こっていた。それに対し、比較例の電池は、
全て異常昇温が起こった。
【0057】使用した全てのセパレータで、常温の透気
抵抗度や空孔率は同じであるのに、実施例と比較例の電
池のように異常昇温の起こる電池と起こらない電池があ
ったのは、前述のとおり、高温時の透気抵抗度や空孔率
が違うためである。
【0058】実施例の全ての添加剤(1,2−ジフェノ
キシエタン、1−(4−ビフェニリルオキシ)−2−フ
ェノキシエタンおよび1−(2−ビフェニリルオキシ)
−2−フェノキシエタン)で、添加量が2.5重量%の
ものと5重量%のもので、効果に違いが無かった。
【0059】電池の到達温度の高かった8個の電池(実
施例8、9、17、18、23、24、29、30)
は、すべて、セパレータJか、セパレータKのものであ
った。セパレータJは、高温時の透気抵抗度が小さく
て、高温時の空孔率も大きい上に厚みが小さいため、内
部短絡が多く発生し、その短絡電流による温度上昇が大
きかったと思われる。また逆に、セパレータKは、高温
時の透気抵抗度が大きくて、高温時の空孔率も小さい上
に厚みが厚いため、内部短絡の発生が少なく、過充電状
態が進んだため温度上昇が大きかったと思われる。
【0060】セパレータJより内部短絡が起こりやすい
と思われる、セパレータGや、セパレータMを使用した
比較例の電池(比較例3、5、7、9)は、内部短絡が
あまりにも多く発生し、その短絡電流による温度上昇が
大きいため、異常昇温が起こったと考えられる。また逆
に、セパレータKより内部短絡が起こりにくいと思われ
る、セパレータFや、セパレータLを使用した比較例の
電池(比較例2、4、6、8)は、内部短絡の発生があ
まりにも少なく、過充電状態が危険な状態まで進んだた
め異常昇温が起こったと考えられる。
【0061】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明によれば、薄い
セパレータを用いたにもかかわらず非水電解質二次電池
の高温状況下での安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた円筒形電池の概略図
(一部断面図)
【符号の説明】
1 非水電解質二次電池 2 正極 3 負極 4 セパレータ 5 ケース 6 封口板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 31:34 B29L 31:34 (72)発明者 高橋 庄三 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 美藤 靖彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 江田 信夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4F210 AA03 AA05 AB19 AG01 AG20 AH33 QC14 QG01 QG18 5H021 BB01 BB05 CC08 CC17 EE04 EE31 HH00 HH02 HH03 HH06 5H029 AJ03 AJ12 AK03 AL01 AL02 AL06 AL07 AL11 AM01 AM03 AM05 AM07 BJ02 BJ14 CJ01 CJ02 CJ28 DJ08 DJ13 DJ16 EJ01 EJ04 EJ12 HJ00 HJ04 HJ09 HJ14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極、負極、非水溶媒に電解質塩を溶解
    した非水電解質、セパレータを備えた非水電解質二次電
    池であって、前記非水電解質は、1,2−ジフェノキシ
    エタン、1−(4−ビフェニリルオキシ)−2−フェノ
    キシエタンおよび1−(2−ビフェニリルオキシ)−2
    −フェノキシエタンから選択される少なくとも1種を耐
    過充電添加剤として混合しており、前記セパレータは多
    孔質ポリオレフィンからなり、さらにその機械延伸され
    た長手方向に25kg/cm2の引っ張り荷重を与えた
    状態にて大気中120℃の温度で15分間保持した後に
    おいて、前記セパレータの透気抵抗度が600から20
    00秒/100mlにあり、空孔率が20から70%に
    あることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】 過充電添加剤が1−(2−ビフェニリル
    オキシ)−2−フェノキシエタンであり、且つセパレー
    タの透気抵抗度が700から1500秒/100mlに
    あり、空孔率が35から50%にある請求項1記載の非
    水電解質二次電池。
  3. 【請求項3】 前記セパレータの厚さが8から18μm
    である請求項1記載の非水電解質二次電池。
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