JP2002277644A - 液晶表示装置用導光板 - Google Patents

液晶表示装置用導光板

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JP2002277644A JP2001081395A JP2001081395A JP2002277644A JP 2002277644 A JP2002277644 A JP 2002277644A JP 2001081395 A JP2001081395 A JP 2001081395A JP 2001081395 A JP2001081395 A JP 2001081395A JP 2002277644 A JP2002277644 A JP 2002277644A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、低ヘイズ、耐熱性、耐湿性、耐溶剤
性、寸法安定性、密着性に優れた液晶表示装置用導光板
を提供する。 【解決手段】 下記(a)成分と(b)成分を含有する
環状オレフィン系共重合体組成物からなる液晶表示装置
用導光板。(a)成分は、下記一般式(1) (RSi(OR4−p・・・・・(1) (式中、Rは、2個存在するときは同一または異な
り、炭素数1〜10の1価の有機基を示し、Rは、同
一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素
数1〜6のアシル基を示し、pは0〜2の整数であ
る。)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの
加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選
ばれる少なくとも1種であり、(b)成分は、加水分解性
基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有する
シリル基を有する環状オレフィン系付加共重合体であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オルガノシラン系
化合物とシリル基を有する環状オレフィン共重合体との
組成物からなる液晶表示装置用導光板に関する。さらに
詳しくは、光学透明性、低ヘイズ、耐熱性、耐湿性、寸
法安定性、接着・密着性などに優れた、液晶表示装置用
導光板に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、高画質、薄型、軽量、
低消費電力等の特徴を持ち、電卓、時計、携帯電話、ノ
ートブック型パソコン、サブノート型パソコンなどの携
帯性の高い機器を始め、卓上型パソコン、テレビ、プロ
ジェクタ、ATM、ナビゲーションなどの車載用表示装
置等多くの製品に使われている。液晶表示装置は、液
晶、液晶配向膜、液晶基板、透明電極、カラーフィル
タ、偏光フィルム、透明導電性フィルム、位相差フィル
ム、表面保護フィルム、導光板、光拡散フィルム、プリ
ズムシート、スペーサ、シール剤等、多種の部品・材料
から構成されている。これらを組立て、さらに駆動I
C、プリント基板、バックライト等のモジュール部品を
取り付けて、液晶表示装置となる。
【0003】液晶表示装置は、通常、液晶の背面側から
平面的な照明を与える導光板が使用されている。例え
ば、裏面に光拡散透過部が設けられた導光板を主体とし
て、該裏面に面して裏面反射板が設けられ、導光板の表
面に面して光拡散板が設けられ、導光板の一部の側面に
は線光源が設けられ、導光板の他の側面には側面反射層
が設けられたバックライトユニットがある。導光板にお
ける前記光拡散透過部は、線光源より導光板内に導かれ
た光を乱反射し、光を導光板の表面側に向わせるもので
あり、線光源近傍の面積率よりも線光源から離れた場所
の面積率を大きくすることにより光を均一に配分する。
光拡散透過部の面積率を変化させるには、光拡散透過部
を任意の形状のドットで構成し、ドットの大きさを変え
たり、位置によってドットの数を変えることにより行な
う。ドットの形状は特に限定されることなく、ラウンド
ドット、スクエアドット、チェーンドットなど任意形状
でよい。また、ドットの代りにストライプ状に形成して
もよい。光拡散透過部の形成方法としては、マットイン
キを用いたスクリーン印刷などの印刷法や転写法、ま
た、導光板裏面に凹凸を付けたものなどがある。マット
インキとしては、導光板とほぼ同じかそれ以下の屈折率
を有する炭酸カルシウムやシリカなどの粒子状透明物質
を含有するインキを用いれば、一層光拡散性を向上させ
ることができる。
【0004】裏面反射板は、光拡散部において導光板内
に戻れなかった光を、導光板側に反射して光を効率よく
利用できるようにするものである。裏面反射板として
は、白色のフィルムまたは板、鏡面を有する金属板、ま
たは金属蒸着フィルムまたは板などが用いられる。側面
反射層は、前記裏面反射板に使用したと同じ反射フィル
ムまたは反射板を導光板側面に貼り付ける、または、白
色インキなどの反射性のインキを直接塗布して形成する
ことができる。光拡散板は、導光板の表面より出た光を
拡散させ、輝度分布を均一にするためのものである。こ
の光拡散板は、光拡散物質が被覆されたフィルムまたは
板、それ自体が光拡散性のフィルムまたは板、乳白色の
樹脂フィルムまたは板などが用いられる。光拡散板は、
導光板との間に間隔を置いて設けられることがある。
【0005】線光源は、導光板の側面に配置され、線光
源から導光板に入射した光が、反射されて奥へ導かれ、
かつ、導光板全面に亘り強度にむらがない光が出るよう
になっている。線光源としては、直径2〜3mmの熱陰
極管や冷陰極管を用いる。導光板は、通常、厚さ0.1
〜30mmの矩形状のものが好ましく、厚さの均一な平
板でも、線光源から遠ざかるにつれて厚さが薄くなるよ
うな傾斜面部が裏面に形成された板でもよい。なお、傾
斜面部は、傾斜角度が一定なものに限られず、傾斜角度
が変化していてもよい。導光板のある型のものは、導光
板表面に横断面が鋸歯状のプリズムアレイを直接形成
し、さらに、導光板裏面に横断面が矩形波状の凹凸を形
成し、液晶表示装置の輝度や見易さを改良したものがあ
る。
【0006】導光板は、透明樹脂から製造されている。
透明樹脂としてはポリメタクリル酸メチル等のアクリル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アク
リル・スチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂などが用いられている。これらの中、
光透過率がより高いアクリル樹脂を成形したアクリル板
がよく用いられている。アクリル樹脂は、熱変形温度が
90℃程度であり、また、吸水率が比較的大きいので、
液晶表示装置の組立工程や高温高湿下での長時間使用に
より導光板が変形する問題がある。導光板に光拡散透過
部を印刷等の方法で形成する場合、あるいは、導光板側
面に側面反射層を貼り付け、または、塗布により形成す
る場合、導光板との接着・密着性が必要とされる。ま
た、前記のように導光板に直接、プリズムアレイとか凹
凸を形成する場合、寸法の安定性が重要になる。
【0007】特開平5−61226号公報及び特開平5
−212828号公報には、吸水性が0.05重量%以
下の水添熱可塑性ノルボルネン系樹脂(開環重合体の水
添物)を、液晶表示装置用透明樹脂またはフィルムに用
いることが提案されている。これらの特許公報には、ポ
リカーボネート樹脂のごとく吸水性が高い光学樹脂は、
吸水することによってレターデーションが変化するため
好ましくないと記され、一方、ノルボルネン系樹脂は、
この吸水率が0.05%以下のものが容易に得られると
されている。しかし、ノルボルネン系樹脂は広い範囲の
構成からなり、全てのノルボルネン系樹脂が吸水率0.
05%となるとは限らない。吸水率が0.05%以下で
あるノルボルネン系樹脂は、炭素と水素のみからなる通
称ポリオレフィンか、ハロゲンを一部含む構成でのみ達
成される。このような樹脂は、粘着または接着されて用
いた場合、密着性が不充分のために接着着面に水分など
が侵入することによって、液晶表示装置の性能が著しく
劣化する問題がある。また、ノルボルネン系樹脂は、そ
の構造がノルボルネン構造のバルキーさに由来して、透
明性や低複屈折性、低吸湿性などの優れた特性を有して
いるが、ノルボルネンの開環重合体は、不飽和二重結合
を有しているために、酸素や熱に対する耐久性に劣る問
題点がある。この改良のために、ノルボルネンの開環重
合体は、通常、水素添加して使用されるが、水素添加率
を100%にするのは困難であって、水添重合体中1%
未満の微量に残存する二重結合が、酸素や熱に対する耐
久性に劣る問題を完全に解決することを妨げている。ま
た、近年、液晶表示装置については、画面の大型化、装
置の軽量化、明るい画面、過酷な環境下で使用に耐える
こと等に対する要望があり、従来使用されてきたものよ
り優れた透明性と低ヘイズであり、しかも、高温多湿に
長時間置かれてもヘイズの増加が少ない透明樹脂による
導光板が求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、液晶表示装
置の導光板用透明樹脂として知られているアクリル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、水添熱可塑性ノルボルネン
系樹脂(ノルボルネン開環重合体の水素添加樹脂)など
とはまったく異なった種類の樹脂であって、透明性、耐
熱性、耐湿性、寸法安定性、接着・密着性等が優れ、低
ヘイズであり、しかも、高温多湿に長時間置かれてもヘ
イズの増加が少ない新規な透明樹脂からなる液晶表示装
置用導光板を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(a)成
分と(b)成分を含有する環状オレフィン系共重合体組
成物からなる表示装置用導光板を提供する。(a)成分
は、下記一般式(1) (RSi(OR4−p・・・・・(1) (式中、Rは、2個存在するときは同一または異な
り、炭素数1〜10の1価の有機基を示し、Rは、同
一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素
数1〜6のアシル基を示し、pは0〜2の整数であ
る。)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの
加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選
ばれる少なくとも1種、であり、(b)成分は、加水分解
性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有す
るシリル基を有する環状オレフィン系共重合体であり、
好ましくは環状オレフィン系付加共重合体である。
【0010】ここで、上記(b)成分の環状オレフィン
系共重合体は、下記一般式(2)で示される繰り返し単
位(b−1)と下記一般式(3)で示される繰り返し単
位(b−2)を含む環状オレフィン系付加共重合体が好
ましい。
【0011】
【化3】
【0012】〔式(2)中、A〜Aはそれぞれ独立
して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロ
アルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン原
子、ハロゲン化炭化水素基、または−(CHXで
表される極性基を示す。ここで、Xは−C(O)O
、−OC(O)Rであり、R〜Rは水素原
子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アリ
ール基、シクロアルキル基およびこれらのハロゲン置換
基、kは0〜3の整数を示す。また、A〜Aには、
とAまたはAとAで形成されるビニリデニル
基、AとA、AとA またはAとA、A
で形成されるイミド基も含まれる。lは0または1
の整数である。〕
【0013】
【化4】
【0014】〔式(3)中、B〜Bはそれぞれ独立
して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、および
−(CRSi(OR (3−m)
−(CRSi(R10)OSi(O
(3−m)、−C(O)O(CH
i(OR (3−m)で表されるアルコキシシ
リル基もしくはアリロキシシリル基またはこれらの加水
分解残基を示し、B〜Bの少なくとも一つは、アル
コキシシリル基もしくはアリロキシシリル基またはこれ
らの加水分解残基を含む。ここで、Rは1〜10のア
ルキル基またはアリール基を示し、R〜R10はそれ
ぞれ独立して、水素原子、または炭素数1〜20の炭化
水素基を示す。mは0〜3の整数、nは0〜5の整数、
rは0または1である。〕
【0015】また、本発明の表示装置用導光板に用いる
環状オレフィン系共重合体組成物は、前記の(a)成分
が1〜90重量部、(b)成分が10〜99重量部(た
だし、(a)+(b)=100重量部)の割合で使用さ
れるのが好ましく、さらに、(a)+(b)=100重
量部に対して、(c)成分として、酸性化合物、アルカ
リ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物
および/またはその部分加水分解物の群から選ばれる1
種または2種以上を0.001〜30重量部含有させて
使用されるのが好ましい。
【0016】さらに、本発明の表示装置用導光板は、前
記の(a)成分、(b)成分および(c)成分を混合し
て含む溶液とし、キャストする工程を含む製造方法によ
り得られるのが好ましい。本発明の表示装置用導光板
は、温度80℃、湿度90%で1,000時間保持後の
ヘイズ値が、5%以下であることが好ましく、さらに、
線膨張係数が65(ppm/℃)以下、ガラス転移温度
が220〜400℃、石英ガラスへの密着性試験におけ
る剥離ブロックの割合が25分の5以下である透明樹脂
を用いることが一層好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】(a)成分 本発明の組成物が含有する (a)成分は、前記一般式
(1)で表されるオルガノシラン(以下、「オルガノシ
ラン(1)」という。)、オルガノシラン(1)の加水
分解物、およびオルガノシラン(1)の縮合物から選択
された少なくとも1種である。すなわち、(a)成分
は、これら3種のうちの1種だけでもよいし、任意の2
種の混合物であってもよいし、3種類すべてを含んだ混
合物であってもよい。ここで、上記オルガノシラン
(1)の加水分解物は、オルガノシラン(1)に含まれ
るRがすべて加水分解されている必要はなく、例え
ば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加
水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であっ
てもよい。また、上記オルガノシラン(1)の縮合物
は、オルガノシラン(1)の加水分解物のシラノール基
が縮合してSi−O−Si結合を形成したものである
が、本発明では、シラノール基がすべて縮合している必
要はなく、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、
縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含し
た概念である。
【0018】一般式(1)において、Rの炭素数は1
〜10、好ましくは1〜8である。Rの1価の有機基
としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s
ec−ブチル基、tert-ブチル基、n−ヘキシル
基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキ
シル基などのアルキル基や、アセチル基、プロピオニル
基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイ
ル基、カプロイル基などのアシル基、ビニル基、アリル
基、シクロヘキシル基、フェニル基、グリシジル基、
(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フ
ルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、
これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
【0019】Rの置換誘導体における置換基として
は、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミ
ノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリ
シドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メ
タ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基
などを挙げることができる。ただし、これらの置換誘導
体からなるRの炭素数は、置換基中の炭素原子を含め
て20以下である。一般式(1)中に、Rが2個存在
するときは、相互に同一でも異なってもよい。また、R
の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、
n−ブチル基、sec−ブチル基、tert-ブチル
基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1
〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピ
オニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基など
を挙げることができる。
【0020】このようなオルガノシラン(1)の具体例
としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロ
ポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテト
ラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシ
シラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピ
ルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラ
ン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエ
トキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−
ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキ
シシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロ
ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,
3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチル
トリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキ
シシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−
ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキ
シプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエ
トキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキ
シシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシ
プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリル
オキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロ
ピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエ
トキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチル
ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチ
ルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−
n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエ
トキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ
−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメ
トキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−
n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエ
トキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ
−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジ
メトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、
ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチル
ジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシ
シラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジ
フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ンなどのジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセ
チルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランな
どを挙げることができる。
【0021】これらのうち、テトラアルコキシシラン類
としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン
が好ましく、トリアルコキシシラン類としては、メチル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ま
しく、さらに、ジアルコキシシラン類としては、ジメチ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ま
しい。
【0022】本発明において、オルガノシラン(1)と
しては、特に、テトラアルコキシシランのみ、トリアル
コキシシランのみ、あるいは、テトラアルコキシシラン
10〜90モル%とトリアルコキシシラン10〜90モ
ル%との組み合わせが好ましい。テトラアルコキシシラ
ン、またはトリアルコキシシランを導入することより、
得られる塗膜の架橋度を増加させ、また、密着性を向上
させることができる。オルガノシラン(1)は、そのま
ま、あるいは加水分解物および/または縮合物として使
用される。オルガノシラン(1)を加水分解物および/
または縮合物として使用する場合は、予め加水分解・縮
合させて(a)成分として使用することもできるが、後
述するように、オルガノシラン(1)を残りの成分と混
合して組成物を調製する際に、適量の水を添加すること
により、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合させ
て、(a)成分とすることが好ましい。また、上記加水
分解縮合物は、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合
して得られるのみならず、メチルトリクロロシラン、エ
チルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジ
メチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフ
ェニルジクロロシランなどのクロロシラン化合物を加水
分解・縮合して得ることもできる。(a)成分が縮合物
として使用されるとき、該縮合物のポリスチレン換算重
量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましく
は、800〜100,000、さらに好ましくは、1,
000〜50,000である。
【0023】(a)成分の市販品には、三菱化学(株)
製のMKCシリケート、コルコート社製のエチルシリケ
ート、東レ・ダウコーニング社製のシリコンレジン、東
芝シリコーン(株)製のシリコンレジン、信越化学工業
(株)製のシリコンレジン、ダウコーニング・アジア
(株)製のヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサ
ン、日本ユニカ(株)製のシリコンオリゴマーなどがあ
り、これらをそのまま、または縮合させて使用してもよ
い。本発明において、(a)成分は、単独でまたは2種
以上を混合して使用することができる。
【0024】(b)成分 本発明の組成物に用いられる環状オレフィン系共重合体
は、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ
素原子を有するシリル基を有する環状オレフィン系共重
合体であり、好ましくは、繰り返し単位(b−1)およ
び繰り返し単位(b−2)を含む環状オレフィン系共重
合体である。ここで、繰り返し単位(b−1)は、前記
一般式(2)に示される2,3付加構造単位を示すもの
であるが、下記一般式(4)に示す2,7付加構造単位
が、少量含まれていてもよい。
【0025】
【化5】
【0026】〔式(4)中、A〜Aおよびlはそれ
ぞれ前記一般式(2)に示すものと同一である。〕 以下、本発明の環状オレフィン系共重合体について、さ
らに具体的に説明する。本発明の重合体に用いられる繰
り返し単位(b−1)は、下記一般式(5)に示す環状オ
レフィン(以下、「特定の環状オレフィン(1)」とい
う。)の付加重合により形成することができる。
【0027】
【化6】
【0028】〔式(5)中、A〜Aおよびlはそれ
ぞれ前記一般式(2)に示すものと同一である。〕
【0029】このような特定の環状オレフィン(1)の
具体例としては、2−ノルボルネン、5−メチル−2−
ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プ
ロピル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボル
ネン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル
−2−ノルボルネン、5−n−ヘキシル−2−ノルボル
ネン5−ヘプチル−2−ノルボルネン、5−オクチル−
2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5
−ドデシル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2
−ノルボルネン、5−メチル,5−エチル−2−ノルボ
ルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−ビニル
−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン、
5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−エチリ
デン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノ
ルボルネン、5−フロロ−2−ノルボルネン、5−クロ
ロ−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボ
ン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチ
ル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、2−メ
チル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−
メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、2
−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸プロピ
ル、2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブ
チル、2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸
トリフロロエチル、2−メチル,5−ノルボルネン−2
−イル酢酸エチル、5−ノルボルネン−2−スピロ−N
−フェニルスクシンイミド 5−ノルボルネン−2−スピロ−N−シクロヘキシルス
クシンイミド 5−ノルボルネン−2−スピロ−N−メチルスクシンイ
ミド 5−ノルボルネン−2,3−N−フェニルジカルボキシ
イミド 5−ノルボルネン−2,3−N−シクロヘキシルジカル
ボキシイミド アクリル酸2−メチル−5−ノルボルネン、メタクリル
酸2−メチル−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボン酸ジメチル、5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボン酸ジエチル、3−トリシクロ〔4.
3.0.12,5〕デセン、3,7−トリシクロ〔4.
3.0.12,5〕デカジエン(ジシクロペンタジエ
ン) 3−テトラシクロ〔4.4.0.12,5
7,10〕ドデセン、8−メチル,3−テトラシクロ
〔4.4.0.12,57,10〕ドデセン、8−メ
チル,8−メトキシカルボニル,3−テトラシクロ
〔4.4.0.12, 7,10〕ドデセン、8−メ
チル,8−エトキシカルボニル,3−テトラシクロ
〔4.4.0.12, 7,10〕ドデセン、などを
挙げることができる。
【0030】繰り返し単位(b−1)を形成する前記一
般式(5)に示す化合物は、1種単独または2種以上を
組み合わせて用いることができる。上記炭素数3〜10
のアルキル基で置換されたノルボルネンを構造単位とし
て有する繰り返し単位(b−1)は、上記特定の環状オ
レフィン(1)のうち、炭素数3〜10のアルキル基で
置換されたノルボルネンの付加重合により形成すること
ができる。また、繰り返し単位(b−1)が不飽和基を
含まない方が、さらに重合体の耐熱性の点で好ましいも
のとなる。上記置換基A〜Aの少なくとも一つがエ
ステル基またはイミド基を含む繰り返し単位(b−1)
は、上記特定の環状オレフィン(1)のうち、置換基A
〜Aの少なくとも一つがエステル基またはイミド基
を含む環状オレフィンの付加重合により形成することが
できる。
【0031】(b)成分の環状オレフィン系共重合体中
の、繰り返し単位(b−1)の割合は、好ましくは70
〜99.9モル%、さらに好ましくは80〜99.5モ
ル%、特に好ましくは90〜99モル%である。70モ
ル%未満であると、重合体が加水分解しやすく、樹脂の
製造が困難となる場合がある。一方、99.9モル%を
超えると、架橋体を得ることが困難となり、耐溶剤性が
十分でない場合がある。繰り返し単位(b−1)中の、
炭素数3〜10、好ましくは3〜8のアルキル基で置換
されたノルボルネンを構造単位として有する繰り返し単
位の割合は、環状オレフィン系共重合体中、好ましくは
1〜50モル%、さらに好ましくは3〜40モル%、特
に好ましくは5〜30モル%である。上記範囲内である
と、本発明の組成物から得られる成形物が柔軟性のある
ものとなり、それらの形成が容易となる。1モル%未満
であると成形物が割れる場合があり、一方、50モル%
を超えると耐熱性が低下する場合がある。
【0032】繰り返し単位(b−1)中の、置換基A
〜Aの少なくとも一つがエステル基またはイミド基を
含む繰り返し単位(b−1)の含有量は、好ましくは
0.1〜20モル%であると、接着性・密着性がより良
好な成形物が得られる。20モル%を超えると、成形物
が吸湿性の高いものとなる。繰り返し単位(b−2)
は、(イ)下記一般式(6)に示す環状オレフィン(以
下、「特定の環状オレフィン(2)」という。)を、前
記一般式(5)の特定の環状オレフィン(1)と付加共
重合することにより、形成される。
【0033】
【化7】
【0034】〔式(6)中、B〜Bおよびrは、そ
れぞれ前記一般式(3)に示すものと同一である。〕 このような特定の環状オレフィン(2)の具体例として
は5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、5−メ
トキシ,ヒドリド,メチルシリル−2−ノルボルネン、
5−ジメトキシ,ヒドリドシリル−2−ノルボルネン、
5−メトキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、5−
トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、5−ジエトキ
シ,ヒドリドシリル−2−ノルボルネン、5−エトキシ
ジメチルシリル−2−ノルボルネン、5−エトキシジエ
チルシリル−2−ノルボルネン、5−プロポキシジメチ
ルシリル−2−ノルボルネン、5−トリフェノキシシリ
ル−2−ノルボルネン、5−ジフェノキシメチルシリル
−2−ノルボルネン、5−トリメトキシシリルメチル−
2−ノルボルネン、5−(2−トリメトキシシリル)エ
チル−2−ノルボルネン、5−(1−トリメトキシシリ
ル)エチル−2−ノルボルネン、5−(2−トリメトキ
シシリル)プロピル−2−ノルボルネン、5−(1−ト
リメトキシシリル)プロピル−2−ノルボルネン、5−
トリエトキシシリルエチル−2−ノルボルネン、5−ジ
メトキシメチルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−
トリメトキシプロピルシリル−2−ノルボルネン、5−
ノルボルネン−2−カルボン酸トリメトキシシリルプロ
ピル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエトキシ
シリルプロピル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジ
メトキシ,メチルシリルプロピル、2−メチル,5−ノ
ルボルネン−2−カルボン酸トリメトキシシリルプロピ
ル、2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジ
メトキシ,メチルプロピル、2−メチル,5−ノルボル
ネン−2−カルボン酸トリエトキシシリルプロピル、な
どが挙げられる。繰り返し単位(b−2)を形成する前
記一般式(6)に示す化合物は、1種単独または2種以
上を組み合わせて用いることができる。
【0035】(ロ)また、他の方法として、5−トリク
ロロシリル−2−ノルボルネン、5−ジクロロメチルシ
リル−2−ノルボルネン、5−ジクロロエチルシリル−
2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸
トリクロロシリルプロピル、2−メチル,5−ノルボル
ネン−2−カルボン酸トリクロロシリルプロピルなどの
トリクロロシリル基、ジクロロアルキルシリル基を有す
る環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン
(3)」という。)と特定の環状オレフィン(1)とを
付加共重合した後、得られた共重合体中のトリクロロシ
リル基またはジクロロアルキルシリル基とアルカリ金属
のアルコキシドまたはアルカリ金属のアリロキシドと反
応させることにより、また他の方法としてアミン化合物
の存在下、アルコールまたはフェノール類と反応させる
ことにより、形成される。
【0036】(b)成分の環状オレフィン系共重合体中
の、繰り返し単位(b−2)の割合は、好ましくは0.
1〜30モル%、さらに好ましくは0.5〜20モル
%、特に好ましくは1〜10モル%である。その含有量
が0.1モル%未満では架橋が不充分となる。一方、3
0モル%を超えると、環状オレフィン系共重合体中に過
剰に存在するアルコキシシリル基もしくはアリロキシシ
リル基またはこれらの加水分解・縮合残基により、重合
体が加水分解しやすく、保存安定性が悪いものとなり、
フィルム成形時、表面がべたついたり、過剰な架橋が起
こり、成形品表面が滑らかなものとならない場合があ
る。
【0037】本発明で使用する特定の環状オレフィン
(1)(式(5)のモノマー)と特定の環状オレフィン
(2)(式(6)のモノマー)または前記の特定の環状
オレフィン(3)との共重合は、下記の方法によって行
なわれる。重合触媒としては、通常、周期律表8族のN
i、Pd、Coなどのカチオン錯体またはカチオン錯体
を形成する触媒が用いられる。代表的なものとして、
〔Pd(CHCN)〕〔BF、〔Pd(Ph
CN)〕〔SbF〕、ジ−μ−クロロ−ビス(6−
メトキシビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン−エ
ンド−5σ,2π)Pd(以下、「I」と略す。)、I
とメチルアルモキサン(以下、「MAO」と略す。)、
IとAgSbF、IとAgBF、〔(η3−アリー
ル)PdCl〕とAgSbF、〔(η3−アリー
ル)PdCl〕とAgBF、〔(η3−クロチル)
Pd(シクロオクタジエン)〕〔PF〕、〔(1,5
−シクロオクタジエン)Pd(CH)(Cl)〕とP
PhとNaB〔3,5−(CF
〔(η3−クロチル)Ni(シクロオクタジエン)〕
〔B((CF 〕、NiBr(NPM
)〕とMAO、Ni(オクトエート)とMA
O、Ni(オクトエート)とB(CとAl
Et、Ni(オクトエート)とHSbFの反応物
とBF・EtOとAlEt、Ni(オクトエー
ト)とHSbFの反応物とBF・EtOとAl
Etの反応物、Ni(オクトエート)とHSbF
の反応物とAlEtF、Ni(オクトエート)とH
SbFの反応物とAlEtF、Ni(ナフトエー
ト)とHSbFの反応物とBF・EtOとAl
Bu、Ni(ナフトエート)とHSbFの反応物
とB(CとAlEtの反応物、Ni(オク
トエート)とPhC・B(CとAlEt
、Toluene・Ni(C、Xylen
e・Ni(C、Mesitylene・Ni
(C、Co(ネオデカノエート)とMAO、
などが挙げられる。
【0038】重合溶媒としては、シクロヘキサン、シク
ロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水
素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど
の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン
などの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−
ジクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭
化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラク
トン、プロピレングリコール、ジメチルエーテル、ニト
ロメタン、N−メチルピロリドン、ピリジン、N、N′
−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、
アセトアミドなどの極性溶媒などから選ばれた溶媒が用
いられる。
【0039】重合の方法として、窒素またはアルゴン雰
囲気下で、反応容器に溶媒と環状オレフィンからなるモ
ノマーと分子量調節剤を仕込み、−20℃から100℃
の範囲の温度に重合系を設定する。次に上記触媒成分を
添加して、−20℃から100℃の範囲で重合を行な
う。溶媒/モノマーの重量比は、1〜20の範囲で行な
われる。分子量の調節は、重合触媒の量とα−オレフィ
ン、水素、ジフェニルジヒドロシランなどの分子量調節
剤の添加量、重合体への転化率および重合温度によっ
て、目的とする分子量に調節される。重合の停止は、
水、アルコール、有機酸、炭酸ガスなどにより行なわれ
る。重合体溶液にマレイン酸、フマル酸、シュウ酸から
選ばれた酸の水/アルコール混合物を添加して、触媒残
さを重合体溶液から分離・除去する。重合体は、重合体
溶液をメタノール、エタノール、イソプロパノールなど
から選ばれたアルコール中に入れて、凝固し、減圧乾燥
することにより得られる。この工程で、重合体溶液に残
存する未反応モノマーも除去される。
【0040】なお、本発明に用いられる環状オレフィン
系共重合体の分子量は、o−ジクロロベンゼンを溶媒と
する ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定さ
れるポリスチレン換算で、好ましくは数平均分子量が
5,000〜1,000,000、重量平均分子量が1
0,000〜1,500,000、さらに好ましくは、
数平均分子量が10,000から700,000、重量
平均分子量が20,000〜1,000,000であ
る。数平均分子量が5,000以上、重量平均分子量が
10,000以上あれば、本発明の透明樹脂は十分な破
壊強度を得やすい。一方、数平均分子量が1,000,
000以内、重量平均分子量が1,500,000以内
であれば、本発明の透明樹脂の成形加工性が低下するこ
となく、キャスト成形時の溶液粘度が過剰に高くならな
いので取り扱いが容易となる。
【0041】本発明の組成物 本発明の環状オレフィン系共重合体組成物は、(a)成
分と(b)成分を含有するものであり、通常、(a)成
分と(b)成分と溶媒とからなる。(a)成分と(b)
成分とは、一部結合していてもよい。本発明の組成物か
ら溶媒を除去することにより、あるいは、除去しながら
加熱することにより、結合は進行し、架橋が生じて、強
度と耐熱性などが向上した透明樹脂材料となる。本発明
の組成物には、架橋触媒、架橋剤を含有させることによ
り、架橋速度、架橋密度が大となるので好ましいが、架
橋触媒、架橋剤が無くても、常温で長時間置くことによ
り、加熱することにより、紫外線、電子線等の放射線を
照射することにより架橋させることができる。本発明の
組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含有させ
て、耐候性、耐久性を高めることもできる。その他、本
発明の組成物には、通常の透明樹脂に使用される添加剤
を、必要に応じて、含有させることができる。本発明の
組成物に用いられる溶媒は、本発明の組成物を製造する
際に使用される(a)成分の溶媒、(b)成分の溶媒が、
そのまま用いられるが、必要に応じて、(a)成分、
(b)成分を混合後に、他の溶媒に置換することもでき
る。溶媒の使用量は、本発明の組成物が流動可能になる
量以上であるが、キャスティングによる造型が可能な程
度にとどめるのが好ましい。
【0042】本発明の組成物における上記(a)成分と
(b)成分との割合は、(a)成分が1〜90重量部、
好ましくは2〜80重量部、(b)成分が10〜99重
量部、好ましくは20〜98重量部〔ただし、(a)+
(b)=100重量部〕である。(a)成分が1重量部
未満では、架橋度が低くなり耐溶剤性が十分でない場合
や、密着性が十分に得られない場合があり、一方、90
重量部を超えると、本発明の環状オレフィン系組成物か
ら得られる硬化体に割れが発生する場合がある。本発明
の環状オレフィン系共重合体組成物の(a)成分と
(b)成分の結合を形成することにより、(a)成分と
(b)成分との間に架橋が形成されると共に、使用され
るオルガノシラン成分の重縮合反応により生成されるポ
リシロキサン樹脂の分子量が大きくなり、(a)成分の
高硬度、良好な無機質への密着性と、(b)成分の耐熱
性、高透明性のような性質の長所を兼ね備え、より耐熱
性に富み、寸法安定性が改良された光学透明樹脂を得る
ことができる。
【0043】(c)成分 (a)成分と(b)成分とをあらかじめ結合させる場合
は、環状オレフィン系共重合体が繰り返し単位(b−
2)に適度の割合のアルコキシ基またはアリロキシル基
を含むことを利用して、架橋(加水分解・縮合反応)触
媒(以下、「(c)成分」という。)を使用して、環状
オレフィン系共重合体それ自体の架橋反応とともに、
(a)成分と(b)成分との共縮合反応を行ない、この環
状オレフィン系共重合体自体を架橋させるとともに、
(a)成分と(b)成分との共縮合体を形成させて、本
発明の組成物となすこともできる。このような(c)成
分としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合
物、アミン化合物、有機金属化合物および/またはその
部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/または
その部分加水分解物をまとめて「有機金属化合物等」と
いう。)が好ましい。
【0044】上記酸性化合物としては、例えば、酢酸、
塩酸、硫酸、リン酸、アルキルチタン酸、p−トルエン
スルホン酸、フタル酸などを挙げることができ、好まし
くは、酢酸である。上記アルカリ性化合物としては、例
えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げる
ことができ、好ましくは、水酸化ナトリウムである。上
記塩化合物としては、例えば、ナフテン酸、オクチル
酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ
金属塩などを挙げることができる。
【0045】また、上記アミン化合物としては、例え
ば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェ
ニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノール
アミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリ
メトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシ
ラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・ト
リメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノ
プロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチ
ル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3
−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキル
アミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹
脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを挙げ
ることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリ
メトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシ
ラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・ト
リメトキシシランである。
【0046】また、上記有機金属化合物等としては、例
えば、下記一般式(7)で表される化合物(以下、「有
機金属化合物(1)」という。)、同一のスズ原子に結
合した炭素数1〜10のアルキル基を1〜2個有する4
価スズの有機金属化合物(以下、「有機スズ化合物」と
いう。)、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物
などを挙げることができる。 M(OR11(R12COCHCOR13・・・(7) 〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウム
を示し、R11およびR 12は、同一または異なって、
エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基、n−ペ
ンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニ
ル基などの炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R
13は、R11およびR12と同様の炭素数1〜6の1
価の炭化水素基のほか、メトキシ基、エトキシ基、n−
プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s
ec−ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ラウリルオ
キシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16のア
ルコキシル基を示し、rおよびsは0〜4の整数で、
(r+s)=(Mの原子価)である。〕
【0047】有機金属化合物(1)の具体例としては、 (イ)テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−
ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−
n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコ
ニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテー
ト)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトア
セテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセト
アセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセト
アセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合
物;
【0048】(ロ)テトラ−i−プロポキシチタニウ
ム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテー
ト)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチル
アセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス
(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合
物; (ハ)トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プ
ロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−
i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、
i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アル
ミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナー
ト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)
アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミ
ニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセ
トアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化
合物;などを挙げることができる。
【0049】これらの有機金属化合物(1)およびその
部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルア
セトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビ
ス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロ
ポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス
(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいは、
これらの化合物の部分加水分解物が好ましい。
【0050】また、有機スズ化合物の具体例としては、
(CSn(OCOC1123、(C
Sn(OCOCH=CHCOOCH
(CSn(OCOCH=CHCOOC
、(C17Sn(OCOC
17、(C17Sn(OCOC11
23、1(C17Sn(OCOCH=CH
COOCH、(C17Sn(OCOCH
=CHCOOC、(C17Sn(O
COCH=CHCOOC17、(C17
Sn(OCOCH=CHCOOC1633
(C17Sn(OCOCH=CHCOOC17
35、(C17Sn(OCOCH=CH
COOC1837、(C17Sn(OC
OCH=CHCOOC2041
【0051】 (C)Sn(OCOC1123、(C
)Sn(OCONa)などのカルボン酸型有機スズ
化合物;(CSn(SCHCOOC
17、(CSn(SCHCHCOO
17、(C17Sn(SCHCO
OC17、(C17Sn(SCH
COOC17、(C17Sn(S
CHCOOC1225、(C17Sn
(SCHCHCOOC1225、(C
)Sn(SCOCH=CHCOOC
17、(C17)Sn(SCOCH=CH
COOC17
【0052】 などのメルカプチド型有機スズ化合物; などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0053】(C)SnCl、(C
SnCl、(C17SnClなどのクロライド型有機スズ化合物;(C
nO、(C17SnOなどの有機スズオキサイ
ドや、これらの有機スズオキサイドとシリケート、マレ
イン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオク
チルなどのエステル化合物との反応生成物;などを挙げ
ることができる。(c)成分は、単独でまたは2種以上
を混合して使用することができ、また亜鉛化合物やその
他の反応遅延剤と混合して使用することもできる。
【0054】(c)成分は、組成物を調製する際に配合
してもよい。(c)成分の使用量は、有機金属化合物等
以外の場合、前記(a)成分を構成するオルガノシラン
(1)中に含まれるOR 1モルに対して、通常、0
〜10モル、好ましくは、0.001〜5モル、さらに
好ましくは、0.001〜2モルであり、有機金属化合
物等の場合、上記(a)成分を構成するオルガノシラン
(1)中に含まれるOR 1モルに対して、通常、0
〜10モル、好ましくは、0.001〜7モル、さらに
好ましくは、0.001〜5モルである。この場合、
(c)成分の使用量が10モル以内であれば、組成物の
保存安定性に優れるほか、強度に優れクラックが発生し
にくくなる傾向がある。
【0055】(a)〜(b)成分に、(c)成分を添加
する際に使用される溶媒としては、トルエン、キシレ
ン、メシチレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水
素、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環
族炭化水素、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラ
ン、メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテルなど
の群から選ばれた少なくとも1種の溶媒、またはこれら
溶媒と、重合体が析出しない程度に、アルコール、エー
テル、エステル、アミン、アミド、ケトン、脂肪族炭化
水素、ハロゲン化炭化水素などの群から選ばれた少なく
とも1種の溶媒が混合された混合溶媒が挙げられる。
【0056】上記溶媒中で、(a)成分、(b)成分
に、(c)成分を添加し、キャストできる粘度となるま
で架橋し、さらに、所定の形状に加工・成形したのち、
必要に応じて、加熱して二次架橋をすることができる。
(c)成分は、(a)成分と(b)成分との合計量10
0重量部に対して、好ましくは0.001〜30重量
部、より好ましくは0.005重量部〜20重量部、特
に好ましくは0.01〜10重量部である。本発明の組
成物の架橋を行なう際の温度は、通常、0〜300℃、
好ましくは40〜250℃、さらに好ましくは70〜2
20℃である。また、架橋を行なう際の時間は、触媒の
種類、量、反応温度により異なり、好ましくは10分〜
3日、さらに好ましくは30分から2日である。
【0057】また、本発明の組成物には、過酸化物、イ
オウ、ジスルフィド、ポリスルフィド化合物、ジオキシ
ム化合物、テトラスルフィドなどを含むシランカップリ
ング剤などの架橋剤を(a)成分と(b)成分との合計量
100重量部に対して、0.05〜5重量部添加し、架
橋体に変換することもでき、直接、光、電子線により架
橋体に変換することもできる。
【0058】さらに、本発明の組成物には、公知の酸化
防止剤、例えば2,6−ジ−tert-ブチル,4−メ
チルフェノール、4,4’−チオビス−(6−tert
-ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’
−メチレンビス(4−エチル−6−tert-ブチルフ
ェノール)、2,5−ジ−tert-ブチルヒドロキノ
ン、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−
ジ−tert-ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート、などのフェノール系、ヒドロキノン系酸化
防止剤;さらにトリス(4−メトキシ−3,5−ジフェ
ニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(2,4−ジ−tert-ブチルフェニ
ル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert-ブチ
ル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスフ
ァイト、ビス(2,4−ジ−tert-ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系
酸化防止剤を添加して、酸化安定性を向上させることが
できる。これらの酸化防止剤の添加量は、本発明の
(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して、
通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部
である。酸化防止剤の使用量が少なすぎる場合には耐久
性の改良効果が不十分であり、多すぎる場合には成形表
面がブリードしたり、透明性が低下する等の問題点が生
じ好ましくない。本発明の組成物には、紫外線吸収剤、
例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどを添加するこ
とによって安定化することができる。また、加工性を向
上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもでき
る。
【0059】本発明の組成物は、重合体成分である
(b)成分を主体とし、これに(a)成分の一部または
全部がシリル基を介して結合し、さらに場合により
(c)成分が加わった組成物である。(a)、(b)両
成分に含まれるシリル基が互いに結合し、さらに反応が
進むと(b)成分の環状オレフィン系共重合体が、
(a)成分によって架橋され、網目構造を形成し、溶剤
に溶け難くなり、Tgが高く、高耐熱性、低い線膨張係
数の透明樹脂が形成される。(c)成分は、架橋密度、
架橋反応速度に関係し、架橋後の透明樹脂の耐熱性や線
膨張係数に影響するので、(c)成分の種類と添加量
は、これらを考慮のうえ定められる。
【0060】本発明の組成物からなる透明樹脂は、線膨
張係数が好ましくは65(ppm/℃)以下、より好ま
しくは60(ppm/℃)以下である。65(ppm/
℃)を越えると、導光板の温度変化による変形が大とな
り、好ましくない場合がある。本発明の組成物からなる
透明樹脂は、Tgが好ましくは220〜400℃、より
好ましくは220〜350℃である。Tgは、動的粘弾
性で測定されるTanδの温度分散のピーク温度で求め
られる。(ここで貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”とし
たとき、Tanδ=E”/E’である。) Tgが22
0℃以上であれば、組成物から得られる透明樹脂は、耐
熱性が良好であり、熱変形が少ない。一方、Tgが40
0℃以下であれば、加工、架橋反応を行なう際に重合体
の熱分解が起こりにくいため、透明性の高い導光板を製
造することができる。また、本発明の透明樹脂は、シリ
ル基を有するためガラスとの親和性が大であり、石英ガ
ラスへの密着試験における剥離ブロックの割合が25ブ
ロック中、好ましくは5ブロック以下、より好ましくは
3ブロック以下、特に好ましくは1ブロック以下であ
る。
【0061】本発明の組成物からなる透明樹脂は、公知
の方法により導光板とすることができるが、本発明の環
状オレフィン系共重合体組成物を含む溶液をキャストす
る方法(溶液流延法)、あるいは、本発明の透明樹脂を
溶融成形する方法により行なうのが好ましい。キャスト
法による導光板の製造は、(a)成分のオルガノシラ
ン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシ
ランの縮合物の群から選ばれる少なくとも1種を溶解あ
るいは分散した液と、(b)成分の環状オレフィン系共
重合体溶液と、さらに必要に応じて(c)成分の溶液を
添加し、均一に混合してなる溶液を、所定の温度で所定
時間反応、あるいは熟成し、必要に応じてキャストに適
当な濃度に濃縮、あるいは希釈してから、平滑なフッ素
系樹脂板やガラス板に、T型ダイなどを用いて流延し、
または、所定形状の型に流延し、溶媒を蒸発除去し、必
要に応じてさらに加熱し、架橋反応させて行なわれる。
導光板の厚さは、特に限定されないが、0.1〜5mm
の範囲であることが好ましい。
【0062】本発明の導光板を用いた液晶表示装置は、
携帯電話、ディジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲ
ーションなどの車載用液晶ディスプレイ、液晶モニタ
ー、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、テレビジョ
ン、AV機器用ディスプレイなどに用いることができ
る。
【0063】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限
を受けるものではない。なお、実施例中の部および%
は、特に断らない限り重量部および重量%である。
【0064】分子量、屈折率、全光線透過率、ヘイズ、
ガラス転移温度、線膨張係数、吸水率、密着性は下記の
方法で測定した。 (1)重量平均分子量、数平均分子量:ウォーターズ
(WATERS)社製150C型ゲル浸透クロマトグラ
フィー(GPC)装置で東ソ−(株)製Hタイプカラム
を用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として、120℃
で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値
である。 (2)屈折率:ASTM−D542に準拠し、25℃に
おけるD線(589nm)の屈折率n 25 を測定し
た。 (3)全光線透過率:ASTM−D1003に準拠し、
本評価用試料の全光線透過率(%)を測定した。 (4)ヘイズ:JIS−K 7105に準拠し、本評価試料
のヘイズ値(%)を測定した。耐久性試験は次の2種お
こなった。(1)耐高温・高湿性;80℃、湿度90%
にて1,000時間放置後に、ヘイズ値を測定。(2)
耐溶剤性;室温でテトラヒドロフラン(THF)に浸漬
して1時間放置後にヘイズ値を測定。
【0065】(5)ガラス転移温度(Tg):本評価用
試料の一部を用い、動的粘弾性のTanδ(貯蔵弾性率
E’と損失弾性率E”との比E”/E’=Tanδ)の
ピーク温度で、Tgを測定した。動的粘弾性の測定は、
レオバイブロンDDV−01FP〔オリエンテック
(株)製〕を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が
4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μ
mのものを用いて行なった。 (6)吸水率:10cm×10cmの本評価用試料を2
3℃の水中に24時間浸漬させた後の重量変化により、
吸水率(%)を測定した。
【0066】(7)線膨張係数:TMA(Thermal Mech
anical Analysis)/SS6100〔セイコーインスツルメント
(株)製〕を用いて、試料(膜厚約100μm、幅約3
mm、長さ10cm以上)を、チャック間距離10mm
で固定し、室温から200℃程度まで、一旦昇温して残
留ひずみをとった後、室温から3℃/minで昇温し、
チャック間距離の伸びから80℃の線膨張係数(ppm
/℃)を求めた。
【0067】(8)密着性(剥離ブロック数):本評価
用試料上にアルミニウムを蒸着し、この蒸着膜に対し
て、カッターにより、1mm×1mmの碁盤目が10個
×10個形成されるように、切り込みを入れ、セロハン
テープによる剥離試験を行ない、25ブロック中におけ
る剥離したブロックの数を測定した。なお、石英ガラス
に対する密着性評価においては、本発明組成物を石英ガ
ラスに乾燥塗膜5〜10μmになるよう塗布し、90℃
で乾燥・硬化した後に上記同様のセロハンテープによる
剥離試験を行なった。剥離ブロック数は小であるほど密
着性は優れている。
【0068】実施例1 (1) (b)成分の合成:単量体として5−n−ヘキ
シル−2−ノルボルネン93.75ミリモル、2−ノル
ボルネン500ミリモル、5−トリエトキシシリル−2
−ノルボルネン31.25ミリモル、溶媒としてシクロ
ヘキサン500g、分子量調節剤(1−ヘキセン)3.
1ミリモルを、容量1リットルの反応器に窒素下で仕込
んだ。反応系を10℃にして、オクタン酸ニッケル〔N
i(オクトエート) 〕を0.25ミリモル、トリチ
ルトリ(ペンタフロロフェニル)ボレート〔PhC・
B(C 〕を0.5ミリモル、トリエチルアル
ミニウム1.0ミリモルを仕込み、重合を行なった。2
0℃で2時間重合を行ない、メタノールで重合を停止し
た。共重合体への転化率は85%であった。共重合体溶
液に乳酸6gを加えて、触媒成分と反応させた。共重合
体溶液を4リットルのイソプロパノールに入れて共重合
体を凝固し、未反応単量体と触媒残さを除去した。凝固
した共重合体を乾燥し、(b)成分(以下、「共重合体
P」という。)を得た。
【0069】共重合体Pの270MHz H−NMRに
よる(4ppmのエトキシリル基メチレン吸収、溶媒:
D化トルエン、TMS基準)分析で、5−トリエトキシ
シリル−2−ノルボルネンに由来する構造体の含有量は
4.8モル%であった。5−n−ヘキシル−2−ノルボ
ルネンに由来する構造体の含有量は、赤外分析の721
cm−1の特性吸収による検量線から14.0モル%で
あった。また、共重合体Pのポリスチレン換算の数平均
分子量は、220,000、重量平均分子量は350,
000であった。
【0070】(2)重合体組成物の製造:撹拌機、環流
冷却器を備えた反応器に、(b)成分として共重合体P
を65部、トルエン194部、テトラヒドロフラン19
4部を加えて、40℃で3時間攪拌して共重合体Pを溶
解させ、室温に冷却した後に、(a)成分としてメチル
トリメトキシシラン14部に、(c)成分としてジ−i
−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム1
部をトルエン7部に溶解したものを加えて混合した。こ
の混合溶液を撹拌しつつ50℃に昇温した後、これに、
水3部とテトラヒドロフラン28部の混合溶液を30分
間かけて滴下し、さらに、60℃で4時間反応させた。
次いで、反応後の混合溶液に、アセチルアセトン1部を
加えて、1時間撹拌してから室温に冷却し、さらに、
(c)成分としてジオクチルスズビス(オクチルマレー
ト)のイソブチルアルコール溶液(固形分濃度10%)
25部を加えて攪拌し、本発明の重合体組成物を得た。
この組成物を、テフロン(三井・デュポンフロロケミカ
ル(株)製)シート上にキャストし、90℃で17時
間、減圧下にして溶媒を除去し、厚さ80μmのフィル
ムを作製し、各種評価を行なった。評価結果を表1に示
す。
【0071】実施例2 (b)成分として、前記の共重合体Pを50部、トルエ
ン283部を加えて、40℃で3時間攪拌し、溶解さ
せ、室温に冷却した後に、(a)成分のシリケートオリ
ゴマーと(c)成分の有機スズ化合物とのキシレン溶液
(固形分濃度約15%、鐘淵化学(株)製 BT120
S)37部を混合した以外は、実施例1と同様にして重
合体組成物を製造した後、実施例1と同様にしてフィル
ムを作製し、各種評価を行なった。評価結果を表1に示
す。
【0072】比較例1 実施例1の(b)成分の合成にて、5−トリエトキシシ
リル−2−ノルボルネンを用いない以外は、実施例1と
同様に行ない、共重合体(以下、「共重合体Q」とい
う。)を得た。共重合体Qの5−n−ヘキシル−2−ノ
ルボルネンに由来する構造体の含有量は、14.9モル
%であった。また、ポリスチレン換算の数平均分子量は
230,000,重量平均分子量は380,000であ
った。共重合体P 65部に、トルエン194部、テト
ラヒドロフラン194部を加えて、40℃で3時間攪拌
して溶解させ、実施例1と同様にフィルムを作製して各
種評価を行なった。表1の結果より、屈折率、全光線透
過率、吸水率等は実施例に近い値であったが、テトラヒ
ドロフランに1時間浸漬後のヘイズは6.0%に上昇
し、耐溶剤性が劣ることが判明し、さらに、石英ガラス
への密着性は劣ったものであった。
【0073】比較例2 実施例1において(b)成分の共重合体Pを用いる代わ
りに共重合体Qを用いる他は、実施例1と同様に(a)
成分、(c)成分を混合し、実施例1と同様に処理して
重合体組成物を製造した。この組成物を用いて、実施例
1と同様にフィルムを作製して各種評価を行なった。表
1の結果より、全光線透過率が著しく劣るものであり、
透明性を必須とする導光板用途には適さないものであっ
た。
【0074】
【表1】
【0075】実施例3 実施例1の組成物を、テフロン(三井・デュポンフロロ
ケミカル(株)製)製導光板型上にキャストし、90℃
で50時間、減圧下にして溶媒を除去し、厚さ0.3m
mの導光板を成形した。得られた導光板は、傷の無い平
滑性にすぐれたものであった。この導光板の裏面に、酸
化チタンからなる白色顔料を全面に塗布して光反射層を
形成した。導光板の一方の側面に冷陰極管からなる光源
を置くと、輝度が良好でバックライトとしての使用に耐
えるものであった。この導光板について80℃、相対湿
度90%の条件下で1,000時間置くことによって耐
湿性を評価したところ、ソリなどの変形光反射層のはが
れがなく、ヘイズ値の変化は2.5%から2.7%への
増加にとどまり、信頼性の高いものであった。
【0076】
【発明の効果】本発明のオルガノシラン系化合物および
環状オレフィン系共重合体を含む環状オレフィン系共重
合体組成物からなる透明樹脂を用いた表示装置用導光板
は、光学透明性に優れ、高温・高湿下でのヘイズ値の増
加が少なく、耐湿性、耐溶剤性、寸法安定性、接着・密
着性等に優れているので、液晶表示装置の製造に好適に
使用でき、これら表示装置は、パソコン、テレビ、携帯
電話、ディジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲーシ
ョン、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプ
レイ、AV機器用ディスプレイ等に用いることができ
る。
フロントページの続き (72)発明者 丸山 洋一郎 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 2H038 AA55 BA06 2H091 FA23Z FB02 LA04 LA06 4J002 BK00X CE00X CP03W CP08W CP09W CP10W FD140 FD200 GQ00 GR00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)成分と(b)成分を含有する
    環状オレフィン系共重合体組成物からなる液晶表示装置
    用導光板。(a)成分は、下記一般式(1) (RSi(OR4−p・・・・・(1) (式中、Rは、2個存在するときは同一または異な
    り、炭素数1〜10の1価の有機基を示し、Rは、同
    一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素
    数1〜6のアシル基を示し、pは0〜2の整数であ
    る。)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの
    加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選
    ばれる少なくとも1種であり、 (b)成分は、加水分解性基および/または水酸基と結合
    したケイ素原子を有するシリル基を有する環状オレフィ
    ン系共重合体である。
  2. 【請求項2】 (b)成分は、下記一般式(2)で示さ
    れる繰り返し単位(b−1)と下記一般式(3)で示さ
    れる繰り返し単位(b−2)を含む環状オレフィン系共
    重合体である請求項1記載の液晶表示装置用導光板。 【化1】 〔式(2)中、A〜Aはそれぞれ独立して、水素原
    子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、
    アリール基、アルケニル基、ハロゲン原子、ハロゲン化
    炭化水素基、または−(CHXで表される極性基
    を示す。ここで、Xは−C(O)OR、−OC(O)
    であり、R〜Rは水素原子、炭素数1〜20の
    アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキ
    ル基およびこれらのハロゲン置換基、kは0〜3の整数
    を示す。また、A〜Aには、A とAまたはA
    とAで形成されるビニリデニル基、AとA、A
    とA またはAとA、AとAで形成されるイミ
    ド基も含まれる。lは0または1の整数である。〕 【化2】 〔式(3)中、B〜Bはそれぞれ独立して、水素原
    子、炭素数1〜20の炭化水素基、および−(CR
    Si(OR (3−m)、−(CR
    Si(R10)OSi(OR
    (3−m)、−C(O)O(CHSi(OR
    (3−m)で表されるアルコキシシリル基もしく
    はアリロキシシリル基またはこれらの加水分解残基を示
    し、B〜Bの少なくとも一つは、アルコキシシリル
    基もしくはアリロキシシリル基またはこれらの加水分解
    残基を含む。ここで、Rは1〜10のアルキル基また
    はアリール基を示し、R〜R10はそれぞれ独立し
    て、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示
    す。mは0〜3の整数、nは0〜5の整数、rは0また
    は1である。〕
  3. 【請求項3】 (a)成分が1〜90重量部、(b)成
    分が10〜99重量部(ただし、(a)+(b)=10
    0重量部)、並びに、(a)+(b)=100重量部に
    対して、さらに(c)成分として、酸性化合物、アルカ
    リ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物
    および/またはその部分加水分解物の群から選ばれる1
    種または2種以上を0.001〜30重量部含有する環
    状オレフィン系共重合体組成物からなることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の液晶表示装置用導光板。
  4. 【請求項4】 (a)成分、(b)成分および(c)成
    分を混合して含む溶液とし、キャストする工程を含むこ
    とを特徴とする製造方法により得られる請求項3記載の
    液晶表示装置用導光板。
  5. 【請求項5】 温度80℃、湿度90%で1,000時
    間保持後のヘイズ値が、5%以下であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置用導光
    板。
  6. 【請求項6】 線膨張係数が65(ppm/℃)以下、
    ガラス転移温度が220〜400℃、石英ガラスへの密
    着性試験における剥離ブロックの割合が25分の5以下
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
    の液晶表示装置用導光板。
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