JP2002277611A - レンズ及び光部品接合体 - Google Patents

レンズ及び光部品接合体

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JP2002277611A JP2001393631A JP2001393631A JP2002277611A JP 2002277611 A JP2002277611 A JP 2002277611A JP 2001393631 A JP2001393631 A JP 2001393631A JP 2001393631 A JP2001393631 A JP 2001393631A JP 2002277611 A JP2002277611 A JP 2002277611A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造や所望の光学的特性を得ることが容易
で、装置の小型化を図ることができ、しかもレンズと他
の光学素子の接合面間に侵入した接着剤による光の損失
を低減することが可能なレンズ及びこれを用いた光部品
接合体を提供する。 【解決手段】 レンズは、レンズ作用を奏する凸面を含
むレンズ面と、レンズ面に他の光学部品を接合するため
レンズ面の光路とならない部分に形成された接合部を備
え、この接合部は少なくとも凸面の頂点以上の高さに光
軸方向外側に突出している。光フィルタ等の他の光学素
子は、レンズの接合部に接着剤を用いて接合される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレンズ及び光部品接
合体に係り、特に、光フィルタ等の他の光学素子と接合
可能なレンズ及びこのようなレンズと他の光学素子が接
合された光部品接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信用技術に用いられる光合波分波
器、光等化器等の光フィルターモジュール、光アイソレ
ータ又は光サーキュレータ等の光モジュールにおいて
は、光のコリメート、収束又は拡大を行うための微小な
凸レンズと、光フィルタ等の他の光学素子が光学的に連
結された構造が用いられている。
【0003】このような光モジュールにおいて凸レンズ
と他の光学素子を光学的に連結させる場合、光の損失を
低減させるため、凸レンズと他の光学素子との相対的位
置を正確に調整して、それぞれをケース等の保持具に固
定するということが行われていた。しかし、この工程は
精度の高い位置調整が必要なるので、製造歩留まりを低
下させ、製造コストを増大させる要因となっていた。
【0004】このような問題に対処するため、光のコリ
メート等を行うためのレンズとして屈折率分布型レンズ
を用い、この屈折率分布型レンズと他の光学素子を接合
するということが行われている。屈折率分布型レンズは
屈折率分布によりレンズ作用を実現するため光が入射、
出射される端面を平坦に形成することができる。このた
め、この平坦に形成された端面に光学素子を密着した状
態で接合し、接合面の外周に接着剤を塗布して硬化させ
ることにより、レンズと他の光学素子との相対的位置を
正確に設定して接合、固定することが可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、そもそも屈折
率分布型レンズは屈折率分布を設計とおりに形成するこ
は容易ではない。従って、凸面を有さず屈折率分布のみ
によってレンズ作用を実現する通常の屈折率分布型レン
ズでは焦点距離等の光学的特性を所望のとおり得ること
が困難である。また、通常の屈折率分布型レンズでは、
レンズ作用を得るのに一定以上の長さが必要となるため
小型化に不利であるという問題もある。
【0006】また、屈折率分布型レンズと光学素子の接
合に用いられた硬化前の接着剤が毛細管現象により接合
面間に侵入することがある。さらに、屈折率分布型レン
ズの接合面に対して他の光学素子の接合面が傾き、これ
によって屈折率分布型レンズと光学素子の間に間隙が生
じ、この間隙に硬化前の接着剤が侵入する場合もある。
この接着剤が光路を含む接合面の中心部分まで達する
と、接着剤が光路を遮断して光の損失を増大させる。ま
た、使用環境下での温度変化により接合面間に侵入した
接着剤が膨張、収縮して、光学素子に位置ずれが生じた
り、また部品どうしの接触により応力が発生して、光の
損失を増大させる場合もある。
【0007】これを防止するためには、接着剤として粘
度の高いものを用いて接合面間への侵入を防止すること
が考えられるが、たとえこのような接着剤を用いたとし
ても侵入を完全に防止することは困難である。また、粘
度の高い接着剤は塗布量の制御が困難であり、接着剤を
塗布するためのディスペンサーが高価であるという問題
もある。さらに、そもそも光部品の接合では熱膨張性が
低い接着剤を用いる必要があるため、所望の粘度を有す
る接着剤の選択の幅が非常に狭い。
【0008】本発明は上述した問題点を解決するために
なされたものであり、製造や所望の光学的特性を得るこ
とが容易で、装置の小型化を図ることができ、しかもレ
ンズと他の光学素子の接合面間に侵入した接着剤による
光の損失を低減することが可能なレンズ及びこれを用い
た光部品接合体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のレンズは、レンズ作用を奏する凸面を含む
レンズ面と、前記レンズ面に他の光学部品を接合するた
め前記レンズ面の光路とならない部分に形成された接合
部を備えるように構成した。
【0010】また、本発明の光部品接合体は、上述した
レンズと、前記レンズに接合された光学素子とを備え、
前記光学素子は前記レンズの接合部と接着剤により接着
されているように構成した。本発明によれば、レンズ面
に形成された凸面によって光のコリメート、収束又は拡
大を行うことができるため、屈折率と凸面の曲率等を適
宜組み合わせることにより焦点距離等の光学的特性を自
由に設計することができる。従って、凸面の曲率を大き
く設定して焦点距離を短くすることにより、小型なレン
ズを提供することが可能になる。
【0011】また、レンズにフィルタ等の他の光学素子
を接合する場合、接合部を基準として光学素子の位置合
せを行うことができるため、特別な位置決め、固定工程
がなくともレンズと光学素子の相互位置を精度よく定め
ることができる。従って、位置精度が高く、光の損失の
少ない光部品接合体を提供することができる。
【0012】さらに、接合部はレンズ面の光路とならな
い部分に形成されているので、他の光学素子との接合に
接着剤を用いた場合でも、接着剤が凸面の光路まで達し
て光路を遮断することが防止される。従って、光の損失
の少ない光部品接合体を歩留まり良く提供することが可
能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1及び図2は本発明に係
るレンズの第1実施形態を示す。このレンズ10は円柱
状のロッド部12を有している。このロッド部12の一
方の端面は、光の反射を防止して光の入射効率を向上さ
せるために、ロッド部12の長手方向中心軸に垂直な面
と所定角度(例えば、8°)をなす傾斜面14とされて
いる。
【0014】また、ロッド部12の他方の端面は、光の
コリメート、収束又は拡大を行う凸面16aと、レンズ
10と他の光学素子を接合させるための接合部16bが
形成されたレンズ面16とされている。この凸面16a
としては球面又は非球面を用いることができるが、非球
面を用いることにより球面レンズ、屈折率分布型レンズ
に比べて収差を大幅に低減することができ、光ファイバ
等の導光手段との結合効率を増大させることが可能にな
る。このレンズ10の光軸はロッド部12の長手方向中
心軸と凸面16aの頂点を結ぶ線上に位置するように設
定されている。このような円柱状のレンズ10は、光軸
方向の長さが、レンズの直径よりも大きいのが好まし
い。このようにすることにより、設置した時に倒れずに
安定して自立することができると共に取扱いが容易とな
る。また、円柱状のレンズの直径を接続する光ファイバ
のキャピラリと同じ径にすれば、チューブ等の保持具内
への固定などがしやすくなる。
【0015】このレンズ10を集光レンズとして使用す
る場合、凸面16aから入射される平行光が傾斜面14
で焦点を結ぶ条件は、レンズ長即ちレンズ10の光軸と
なる傾斜面14の中心と凸面16aの中心間の距離(L
)、凸面の曲率(R)、屈折率(n)とすると、 R/L=(n−1)/n で与えられる。従って、レンズ10の長さをLと等し
いか又はわずかに短く設定すると、傾斜面14から出射
される光を、傾斜面14に接触しているか又は傾斜面1
4と微小間隔を介して配置された光ファイバ等の導光手
段に効率的に導入することが可能になる。具体的には、
レンズ10の軸方向の長さが、Loと同じか、好ましくは
3mm以内の範囲で短くするのが好ましい。あまり短く
しすぎると、収差の問題が発生する。わずかに小さいこ
とにより、例えば、光ファイバと突き合わせて調芯する
場合、微調整ができ、結合効率を高めることが可能にな
る。この凸面16aの有効径(D)はレンズの開口数
(NA)とレンズ長(L)から定められ、少なくともL
×NA以上に設定される。尚、このレンズ10をコリメ
ートレンズとして用いる場合、光は傾斜面14から入射
され、凸面16から平行光として出射される。
【0016】接合部16bは凸面16aを取り囲むよう
な円環形状を有しており、これによって、凸面16aと
接合部16bの間には円環状の溝部16cが形成され
る。この接合部16bは凸面16aの外周からロッド部
12の長手方向外側に突出しており、接合部16bの先
端面が凸面16aの頂点と同一平面上に位置するか、或
いは、接合部16bの先端面が凸面16aの頂点よりや
や外側に突出するように形成されている。この接合部1
6bの先端面はレンズの光軸と直交するような平坦面に
形成されている。接合部16bはロッド部12の半径方
向には突出せず、光軸方向(長手方向)にのみ突出して
いるのが好ましい。即ち、円柱状レンズ10の光軸方向
に渡って、その断面の直径が一定となっているのが好ま
しい。接合部16bがレンズの直径の外側方向に突出す
ると、プレス成形時に型構造が複雑になり、また、例え
ば、チューブ等の保持具内でのアライメント時に、外側
に出た突出部が障害になる恐れがある。接合部16b
は、レンズ面の光路とならない部分に形成されていれば
よいが、レンズ面の外周の全部又は一部に沿って形成さ
れているのが好ましい。このようにすると、プレス成形
で成形する場合に成形型の型構造が単純になると共に、
光学素子を接着する際、レンズの外周から接着剤等で接
着がしやすくなる。
【0017】このようなレンズ10は、例えば、石英ガ
ラス、ホウケイ酸ガラス、ランタン系ガラス、フリント
系ガラス、ニオブ系ガラス、バリウム系等のガラス、P
MMA、ポリカーボネート等のプラスチック等、光の波
長に対して透明な材料で一体的に形成することができ
る。本発明のレンズは、特に、複屈折及び熱膨張係数の
小さなガラスで形成することが好ましい。ガラスで形成
する場合、高温、高湿環境下においてガラスに白焼け、
青やけ等の劣化が生じることを防止するため、耐水性の
高いガラスを用いることが好ましい。
【0018】また、接合される他の光学素子の熱膨張係
数に等しいか極めて近い熱膨張係数を持つガラスで形成
することにより、レンズ10と光学素子の熱膨張による
寸法変化の差が少なくなり、熱サイクル、熱ショックな
どに対する信頼性を高めることができる。このレンズ1
0は、通常、屈折率分布が形成されていない均質な材料
で形成された凸レンズであるが、屈折率分布型レンズで
あってその収差を低減する目的で凸面が形成されたもの
を用いることも可能である。
【0019】次に、このレンズ10を用いた光部品接合
体について説明する。図3〜図5に示されるように、こ
の光部品接合体20はレンズ10と、このレンズ10に
接合された光フィルタ22とを備えている。この光フィ
ルタ22の一端面はレンズ10の接合部16bと密着し
た状態で接合されている。この光フィルタ22として
は、特定波長の光のみを透過し他の波長の光を反射する
波長選択フィルタや、光の強度が波長に対して一定でな
い場合これを一定に補正する光等化フィルタ又は供給さ
れた光のうち一定比率の光を透過し残りを反射して光を
分岐させる光分岐フィルタ等を用いることができる。こ
のような光フィルタとしては、例えば、高屈折率誘電体
膜と低屈折率誘電体膜とを交互に積層した誘電体多層膜
フィルタ等が用いられる。
【0020】このレンズ10と光フィルタ22の接合
は、図3に示されるように、接合部16bの先端面と光
フィルタ22の接合面の間に塗布された接着剤24によ
り行うことができる。また、図4に示されるように、接
合部16bと光フィルタ22の接合面の外周に塗布され
た接着剤24により行うことも可能である。この場合、
図5に示されるように、接合部16bにテーパー部16
dを形成して接合部16bと接着剤24との接触面積を
増加させることにより、接着強度を増大することが可能
になる。
【0021】このような接着剤24としては、レンズ1
0と光フィルタ22の接合面への侵入量を低減させると
共に、接合面間に侵入した接着剤24を溝部16cで滞
留させ易くするため粘度が高い接着剤、通常10000
mPa.s以上の粘度を有するものが用いられる。ま
た、接着剤24の硬化に伴う収縮による光フィルタの位
置ずれを防止するため、硬化収縮率の低い接着剤、通常
4%以下の硬化収縮率を有するものが用いられる。この
ような接着剤24としては、例えば、エポキシ系、アク
リレート系の紫外線硬化樹脂等を用いることができる。
【0022】本発明によれば、光フィルタ22をレンズ
10に接合する際に、レンズ10の接合部16bを基準
として位置合せをすることができるので、構成部品の位
置精度の高い光部品接合体20を提供することが可能に
なる。また、レンズ10の接合部16bは凸面16aの
頂点と同一平面上に位置するか、或いは凸面16aより
外側に突出するように形成されているため、光フィルタ
22をレンズ10に接合する際、光フィルタ22が凸面
16aに衝突して凸面16aを損なうことが無い。ま
た、レンズ10と光フィルタ22の接合に用いた接着剤
24が接合面間に侵入した場合、この接着剤24は接合
部16bと凸面16aの間の溝部16cに滞留し、光路
を含む凸面16aの中心部まで到達することがないの
で、光路が接着剤24によって遮断されることがない。
従って、製造が容易で、光の損失の少ない光部品接合体
を提供することが可能になる。
【0023】尚、本発明に係る光部品接合体において、
レンズ10に接合される光部品としては、レンズ10の
接合面16bに接合される平面を有するものであればよ
く、例えば、偏光板、光学結晶、屈折率分布型レンズ等
を用いることができる。
【0024】次に、本発明の他の実施の形態について説
明する。以下の説明においては上述した構成と同一のも
のについては同一の参照番号を付し、その詳細な説明は
省略する。図6及び図7は本発明のレンズの第2実施形
態を示す。
【0025】このレンズ30の凸面16aの外側には、
2個の接合部16bが凸面16aを介して相対向して形
成されており、これによって、凸面16aと接合部16
bの間には2本の溝部16cが平行に形成されている。
この接合部16bは、第1実施形態と同様、凸面16a
の外側からロッド部12の長手方向外側に突出してお
り、接合部16bの平坦な先端面が凸面16aの頂点と
同一平面上に位置するか、或いは、先端面が頂点よりや
や外側に突出するように形成されている。
【0026】このレンズ30を用いた光部品接合体で
は、レンズ30と光フィルタ22の接合は、第1実施例
と同様、接合部16bの先端面と光フィルタ22の接合
面の間に塗布された接着剤24又は接合部16bと光フ
ィルタ22の接合面の外周に塗布された接着剤24によ
り行うことができる。本実施形態によれば、第1実施形
態と同様、製造が容易で、光の損失の少ない光部品接合
体を提供することが可能になる。
【0027】図8〜図10は本発明のレンズの第3実施
形態を示す。このレンズ40の凸面16a外側の光路を
含まない部分には、3本の円柱状の接合部16bが等間
隔を配して形成されている。この接合部16bは、第1
実施形態と同様、凸面16aの外側からロッド部12の
長手方向外側に突出しており、接合面16bの平坦な先
端面が凸面16aの頂点と同一平面上に位置するか、或
いは、先端面が頂点よりやや外側に突出するように設定
されている。これによって、凸面16aと接合部16b
の間には空間が形成される。
【0028】このレンズを用いた光部品接合体50にお
いては、レンズ40と光フィルタ22の接合は、図11
に示されるように接合部16bの先端面と光フィルタ2
2の先端面の間に塗布された接着剤24、又は図12に
示されるように接合部16bと光フィルタ22の接合面
の外周に塗布された接着剤24により行うことができ
る。本発明によれば、第1実施形態と同様、製造が容易
で、光の損失の少ない光部品接合体を提供することが可
能になる。
【0029】次に、本発明のレンズの製造方法について
説明する。本発明に係るレンズはモールドオプティク
ス、即ち、軟化状態に加熱されたガラス素材(プリフォ
ーム)を成形型によって圧縮成形するガラスプレス成形
により一体的に成形することができる。この場合、成形
型としては成形されるレンズの形状に対応するキャビテ
ィを有するものが用いられ、通常、レンズ面と傾斜面は
同時に形成される。また、成形時に斜面を成形するので
はなく、プレス成形後に、研磨等の方法で斜面を形成し
てもよい。また、プラスチックを用いた場合には、一般
的な射出成形により成形することもできる。
【0030】以下、ガラスを用いて図1及び図2に示さ
れるレンズ10を製造する方法を例にとって説明する。
図13はプレス加工が施されるプリフォーム60を示
す。このプリフォーム60はガラスで形成された円柱状
の部材である。このプリフォーム60の凸面となる端面
には、成形されるレンズの凸面の形状精度を高めるた
め、レンズの凸面に近い曲面62が形成されている。こ
の曲面62は、例えば、面取り加工や研磨加工又はレー
ザ光等を用いて端面を溶融してガラスの表面張力による
自由曲面とすることにより形成することができる。ま
た、プリフォーム60の傾斜面となる端面には面取り加
工が施されることによりテーパ部64が形成されてい
る。なお、レンズ凸面の反対側に斜面を形成する場合に
は、プリフォームの斜面が形成される側の端面を曲面と
してもよい。このようにすると、両端面に曲面が形成さ
れたプリフォームとなる。斜面側の端面を曲面とするこ
とにより、成形時のプリフォームの変形量が少なくてす
み、精度よく斜め端面を形成することができる。
【0031】図14及び図15はプリフォーム60から
レンズ10をプレス加工するための成形型70を示す。
この成形型70は円筒状のキャビティ72aを有するス
リーブ72と、レンズ10の傾斜面14を形成するため
の上型74と、レンズ10のレンズ面16を形成するた
めの下型76とを備えている。上型74の成形面にはレ
ンズ10の傾斜面14を成形するための傾斜面成形面7
4aが形成されており、下型76の成形面にはレンズ1
0の凸面16aを形成するための凸面成形面76aとレ
ンズ10の接合部16bを形成するための接合部成形面
76bが形成されている。これによって、上型74及び
下型76をスリーブ72のキャビティ72aに挿入する
ことにより、成形されるレンズ10に形状に相当するキ
ャビティが形成されることになる。尚、このキャビティ
の内面には、通常、成形されたレンズの離型を容易にす
るための白金膜や炭素膜といった離型膜が形成される。
【0032】上述したプリフォーム60及び成形型70
により本発明のレンズ10を成形する場合、プリフォー
ム60をスリーブ72のキャビティ72aに挿入し、プ
リフォーム60をその軟化温度まで加熱する。この状態
でプリフォーム60を上型74及び下型76で圧縮する
と、プリフォーム60はキャビティに相当する形状に変
形される。その後、成形型70を冷却して成形物を離型
することにより、本発明に係るレンズ10を得ることが
できる。
【0033】尚、本発明は上述した実施例に限定される
ものではなく、適宜変更して実施することが可能であ
る。例えば、上述した実施形態では円柱状レンズが用い
られているが、本発明は平板状レンズに用いることも可
能である。この場合、レンズの成形に用いられるプリフ
ォームとしては、球形状のものが用いられる。また、本
発明は四角柱状等の多角柱状のレンズに用いることもで
きる。さらに、上述した実施形態では、凸面が形成され
ている端面の反対側端面は傾斜面とされているが、光路
と直交する平面としたり、凸面や凹面としてもよい。レ
ンズ面が形成される反対側の面を曲面とすると成形が容
易で、かつ反射戻り光も防ぐことができる。また、必要
に応じて、レンズ面となる凸面側及びレンズ面の反対側
の端面の両方に接合部を形成することができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。波長1550nmにおける屈折率が約1.702で
あるランタン系ガラス(ホーヤ株式会社製:品番LaF
81)を切断した後、研磨加工し、直径1.76mm、
長さ3.8mmの円柱を得た。この円柱の一端面を研磨
して曲率半径1.3mmの曲面に加工すると共に、他端
面を0.15mm面取り加工し、図13に示されるプリ
フォームを得た。
【0035】成形型としては、図14及び図15に示さ
れるような超硬材で形成されたガラス成形用型(日本タ
ングステン株式会社製、品番OM3)を用いた。この成
形型の下型には凸面成形面と接合部成形面が形成され、
上型にはレンズの光路に垂直な面に対して8°の角度を
なす傾斜面を形成するための傾斜面成形面が形状加工さ
れた。下型及び上型の成形面並びにスリーブの内面には
離型膜として白金膜を厚さ300nmに被覆した。
【0036】上述したプリフォームを成形型に仕込み、
成形型をプレス機にセットして窒素ガス中で550℃に
昇温し、荷重50kgで加圧した後、冷却して成形物を
取出した。その結果、図1及び図2に示される形状のレ
ンズを得た。このレンズの直径は1.798mm、凸面
の曲率半径は1.47mm、長さは光路上で3.32m
mだった。このレンズの焦点距離は2.09mmであ
り、レンズ面の方向から平行光を入射すると8°端面8
2より外側約150μmの光路上に像が結ばれた。
【0037】また、このレンズに光フィルタを接合して
光部品接合体を製造した。光フィルタとしては、中心波
長1550nmの光を透過し、その他の光を反射させる
誘電体多層膜フィルタ(サイズ1.4X1.4mm、厚
さ1.0mm)を用いた。このフィルタを上述したレン
ズの接合部に密着させ、その密着させた面の外側にエポ
キシ系紫外線硬化型樹脂を数箇所塗布し、紫外線を照射
して接着剤を硬化させて光部品接合体を得た。
【0038】このような光部品接合体を40個準備し、
この光部品接合体を光フィルタ側から光学顕微鏡で観察
し、レンズの光路を中心として直径600μmの範囲に
接着剤が侵入していないものを合格、この範囲に接着剤
が侵入しているものを不合格と判定した。その結果、3
8個が合格と判定され、95%という高い歩留まりが得
られた。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、レンズ面に形成された凸面がレンズ作用を有
するため、凸面を有さず屈折率分布のみによってレンズ
作用を奏する一般的な屈折率分布型レンズに比べ、焦点
距離等の光学的特性を自由に設計することができ、レン
ズの小型化を図ることが容易になる。
【0040】また、レンズにフィルタ等の他の光学素子
を接合する場合、接合部を基準として光学素子の位置合
せを行うことができるため、位置精度が高く、光の損失
の少ない光部品接合体を容易に製造することが可能にな
る。さらに、接合部と凸面との間に溝部が形成されるの
で、レンズと他の光学素子の接合面間に侵入した硬化前
の接着剤をこの溝部に滞留させることにより、接着剤が
光路となる凸面まで達して光路を遮断することが防止さ
れる。従って、光の損失の少ない光部品接合体を提供す
ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレンズの第1実施形態の概略を示
す断面図である。
【図2】本発明に係るレンズの第1実施形態の概略を示
す正面図である。
【図3】本発明に係るレンズの第1実施形態を用いた光
部品接合体の概略を示す断面図である。
【図4】本発明に係るレンズの第1実施形態を用いた光
部品接合体の他の例の概略を示す断面図である。
【図5】本発明に係るレンズの第1実施形態を用いた光
部品接合体の他の例の概略を示す断面図である。
【図6】本発明に係るレンズの第2実施形態の概略を示
す断面図である。
【図7】本発明に係るレンズの第2実施形態の概略を示
す正面図である。
【図8】本発明に係るレンズの第3実施形態の概略を示
す斜視図である。
【図9】本発明に係るレンズの第3実施形態の概略を示
す断面図である。
【図10】本発明に係るレンズの第3実施形態の概略を
示す正面図である。
【図11】本発明に係るレンズの第3実施形態を用いた
光部品接合体の概略を示す断面図である。
【図12】本発明に係るレンズの第3実施形態を用いた
光部品接合体の他の例の概略を示す断面図である。
【図13】本発明に係るレンズの第1実施形態を製造す
るためのプリフォームの概略を示す断面図である。
【図14】本発明に係るレンズの第1実施形態を製造す
るための成形型の概略を示す断面図である。
【図15】本発明に係るレンズの第1実施形態を製造す
るための成形型の概略を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
10 レンズ 12 ロッド部 14 傾斜面 16 レンズ面 16a 凸面 16b 接合部 16c 溝部 20 光部品接合体 22 光フィルタ 24 接着剤 30 レンズ 40 レンズ 50 光部品接合体 60 プリフォーム 70 成形型 72a キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲村 尚史 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内 (72)発明者 近野 光夫 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内 Fターム(参考) 2H043 AE02 AE24 2H044 AB21 AB23

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レンズ作用を奏する凸面を含むレンズ面
    と、 前記レンズ面に他の光学部品を接合するため前記レンズ
    面の光路とならない部分に形成された接合部を備えてい
    るレンズ。
  2. 【請求項2】 前記接合部は少なくとも前記凸面の頂点
    以上の高さに前記凸面に含まれる光軸方向外側に突出し
    ている請求項1記載のレンズ。
  3. 【請求項3】 前記接合部は前記凸面に含まれる光軸を
    取り囲むように形成されている請求項1記載のレンズ。
  4. 【請求項4】 前記接合部は前記凸面に含まれる光軸を
    介して対向するように2個形成されている請求項1記載
    のレンズ。
  5. 【請求項5】 前記接合部は前記凸面に含まれる光軸の
    周りに複数個形成されている請求項1記載のレンズ。
  6. 【請求項6】 プレス成形により一体成形された請求項
    1〜5のいずれか1項記載のレンズ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項記載のレン
    ズと、前記レンズに接合された光学素子とを備え、前記
    光学素子は前記レンズの接合部と接着剤により接着され
    ている光部品接合体。
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