JP2002277337A - 差圧・圧力センサ - Google Patents

差圧・圧力センサ

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JP2002277337A
JP2002277337A JP2001082210A JP2001082210A JP2002277337A JP 2002277337 A JP2002277337 A JP 2002277337A JP 2001082210 A JP2001082210 A JP 2001082210A JP 2001082210 A JP2001082210 A JP 2001082210A JP 2002277337 A JP2002277337 A JP 2002277337A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静圧検出用のゲージを最適位置に設けること
により、感度が静圧に対して高く、差圧に対して低く、
クロストークを低減する。 【解決手段】 センサチップ2の中央部にダイアフラム
3を形成し、ダイアフラム3の表面周縁部に差圧または
圧力検出用のゲージ6a〜6dを設ける。センサチップ
2の厚肉部2aの裏面を台座4に接合する。台座4に段
差部10を形成し、センサチップ2の厚肉部2aを、台
座4に接合される接合部13Aと、非接触部13とす
る。静圧検出用のゲージ15a〜15dを非接合部13
のセンサチップ表面に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、差圧または圧力を
検出する差圧・圧力センサに関し、さらに詳しくは静圧
を検出し、その検出信号によって差圧または圧力信号を
補正することにより、差圧または圧力をより高精度に検
出し得るようにした複合機能型の差圧・圧力センサに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、差圧または圧力を検出する差圧・
圧力センサとしては、Siダイアフラムを使用したもの
が知られている。このSiダイアフラム型差圧・圧力セ
ンサは、半導体結晶からなる基板の表面に不純物を拡散
させるかまたはイオン打ち込み技術によりピエゾ抵抗領
域として作用するゲージ(拡散抵抗)を形成するととも
に、Alの蒸着等によりリードを形成し、裏面の一部を
エッチングによって除去することにより厚さ数μm〜数
百μm程度の起歪部、すなわちダイアフラムを形成して
構成したものである。測定に際しては、ダイアフラムの
表裏面に測定圧力をそれぞれ加えると、その差圧に応じ
てダイアフラム内に生じる応力が変化するので、ゲージ
の比抵抗が変化し、この時の抵抗変化に伴う出力電圧を
検出することにより差圧または圧力を測定することがで
きる。
【0003】このような差圧・圧力センサは従来から種
々提案されているが、工業用においては静圧の高い状態
で差圧・圧力を検出しなければならないことが多く、セ
ンサチップ上のゲージ配置によっては、静圧の影響が差
圧・圧力に影響したり、反対に差圧・圧力が静圧に影響
し、出力のゼロ点がシフトするという問題があった。こ
のような影響をクロストークと呼んでいる。
【0004】図5および図6に、クロストークの影響を
抑え出力のゼロ点シフトを小さくし得るようにした差圧
・圧力センサ(特開平9−304206号公報)の従来
例を示す。この差圧・圧力センサ1は、結晶面方位が
(100)面のp型単結晶Siからなる正方形のセンサ
チップ2を有している。センサチップ2は、表面中央部
に形成された正方形のダイアフラム3と、センサチップ
2の外周部を形成し前記ダイアフラム3を取り囲む厚肉
部2aとからなり、裏面中央にはダイアフラム3の形成
によって正方形の凹陥部5が形成され、厚肉部2aが台
座4に接合されている。
【0005】前記ダイアフラム3は、その対角線a,a
がセンサチップ2の対角線b,bと直交するようにセン
サチップ2に対して略45°傾いた状態で形成され、表
面の周縁部付近にはピエゾ領域として作用し差圧または
圧力を検出する4つの差圧または圧力検出用のゲージ6
a〜6dがセンサチップ2の対角線b,b上に位置する
ように形成されている。また、これらのゲージ6a〜6
dは、センサチップ2の結晶面方位(100)において
ピエゾ抵抗係数が最大となる<110>の結晶軸方向に
形成されている。このようなゲージ6a〜6dは、拡散
またはイオン打ち込み法によって形成され、図示しない
リードによってホイールストーンブリッジに結線されて
おり、ダイアフラム3の表裏面に測定圧力P1,P2が
それぞれ印加されると、その変形に伴い各ゲージ6a〜
6dの比抵抗が変化し、測定圧力P1 ,P2 の差圧信号
を差動的に出力する。
【0006】このときのゲージ6a〜6dの抵抗変化率
は、次式によって表される。 ΔR/R=π44(σr−σθ)/2 ・・・・・(1) ただし、π44はピエゾ抵抗係数、σrはダイアフラムの
辺に垂直な応力、σθはダイアフラムの辺に平行な応力
である。
【0007】前記台座4は、センサチップ2と熱膨張係
数が近似したパイレックス(登録商標)ガラス、セラミ
ックス等によって形成され、中央には前記センサチップ
2の裏面側に形成した凹陥部5を介してダイアフラム3
の裏面側に測定圧力P1 を導く貫通孔7が形成されてい
る。
【0008】ここで、ダイアフラム3の両面にかかる測
定圧力P1 ,P2 の差が零であっても静圧や温度が変化
した場合、材料の相違および形状により上記(1)式に
おけるσr−σθの差が零にならず出力を発生させるた
め、ゼロ点がシフトするという問題が生じる。この場
合、センサチップ2が円形でかつ円形のダイアフラムを
有する場合は、ダイアフラムがセンサチップの軸線に関
して対称性を有するため何等問題ないが、正方形の場合
は軸対称性が失われるため、静圧または温度変化により
σr≠σθとなり、ゲージ6a〜6dの抵抗値が変化す
る。すなわち、センサチップ2と台座4の接合面はダイ
アフラム3の変形に関係し、正方形のセンサチップ2に
対し正方形のダイアフラム3を互いに対角線が直交する
ように略45°傾けて形成した場合、センサチップ2の
接合面のうち対角線b方向の接合面の長さが長く、その
ため厚肉部2aの裏面全体を接合した場合は、ダイアフ
ラム3の辺に垂直な応力σrがダイアフラム3の辺に平
行な応力σθより大きくなる。その結果として、ゼロ点
シフトが発生し、差圧を高い精度で検出することができ
なくなる。
【0009】そこで、この差圧・圧力センサ1は、応力
を緩和しクロストークを少なくするためにセンサチップ
2の厚肉部2aの裏面の一部のみを台座4に接合してい
る。すなわち、厚肉部2aの裏面の一部に段差部10を
形成し、この段差部10が形成されている部分を台座4
から離間させることにより非接合部13とし、段差部1
0が形成されていない部分を台座4に接合することによ
り接合部13Aとしている。段差部10の形成箇所は、
センサチップ2の裏面の各角部で、非接合部13が接合
部13Aより外側に位置している。非接合部13の大き
さは、ゲージ6a〜6dに生じるダイアフラム3の辺に
垂直な方向の応力σrとダイアフラム3の辺に平行な方
向の応力σθが等しくなるように形成されている。言い
換えれば、非接合部13の長さAと接合部13Aの長さ
Bとの比A/Bを最適化することにより、σr=σθと
し、静圧や温度によるゼロ点シフトを最小になるように
している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の差圧・
圧力センサ1は、厚肉部2aの裏面の一部に非接合部1
3を形成し、この非接合部13の長さAと接合部13A
の長さBとの比A/Bを最適化することによりσr=σ
θとし、静圧や温度によるゼロ点シフトを最小になるよ
うにしている。しかしながら、実際にはσrとσθを完
全に等しくすることはきわめて難しいため、静圧検出用
のゲージを同一チップ上に設け、その検出信号により差
圧または圧力検出用ゲージの検出信号を補正することに
より、差圧または圧力をより高精度に測定することが一
般的に行われている。この静圧検出用ゲージの特性とし
ては、静圧に高い感度をもつ、差圧に対して感度が
低いことが要求される。ところが、この静圧検出用ゲー
ジは通常ダイアフラム上に設けられているので静圧に対
して感度が低く、また差圧等から受けるクロストークも
大きく、差圧または圧力信号を高い精度で補正すること
ができないという問題があった。
【0011】そこで、本発明者等は非接合部13の有無
と、静圧検出用ゲージの位置との関係について種々検討
し、試作品を製作して実験を行った結果、静圧に対する
感度を上げる方法については、非接合部13の長さAと
接合部13Aの長さBとの比A/Bを調整することで発
生応力のピークが変化し、この現象を利用することで静
圧検出用ゲージを高感度化することができることを見出
した。
【0012】一方、差圧に対する感度を低減する方法に
ついては、非接合部13を設けない場合と非接合部13
を設けた場合における静圧による発生応力と、差圧によ
る発生応力を測定した。図7はその発生応力を示す図
で、曲線I は差圧による発生応力、曲線IIは非接合部1
3を設けない場合の静圧3による発生応力、曲線III は
非接合部13を設けた場合の静圧Iによる発生応力をそ
れぞれ示す。この図から明らかなように、非接合部13
を設けると、設けない場合に比べて発生応力IIIに高い
区間Xが存在する。これは、すなわち区間X内にあれば
非接合部13を設けない場合に比べて高い静圧感度をも
つことを意味している。
【0013】差圧による発生応力I は、ダイアフラム3
の外縁21において急峻なピークとなる。2つの発生応
力I ,III を比較すると、非接合部13を設けない場合
における静圧3による応力IIの区間X内のピークに比較
した応力低下と、差圧による影響の緩和の比は、区間X
内で一致しておらず、差圧による応力I と静圧1による
応力III の比が最小になるポイントを算出することがで
きる。したがって、静圧検出用のゲージを、センサチッ
プ2の厚肉部2aの発生応力III の区間X内で、かつ非
接合部13上の表面に設けると、静圧の感度を差圧に比
べて大きくとれ、上記要件、を満足することが判明
した。特に、その位置の一部で静圧による発生応力III
のピークをもつことが判っているので、ここに静圧セン
サを配置すればきわめてクロストークの少ない静圧を測
定することが可能となる。
【0014】本発明は上記した従来の問題および実験結
果に基づいてなされたもので、その目的とするところ
は、静圧検出用のゲージを最適位置に設けることによ
り、感度が静圧に対して高く、差圧に対して低く、クロ
ストークを低減し得、検出精度を向上させるようにした
差圧・圧力センサを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に第1の発明は、センサチップの中央部にダイアフラム
を有し、このダイアフラムに差圧または圧力検出用のゲ
ージを設け、前記ダイアフラムを取り囲む厚肉部の裏面
側を台座に接合した差圧・圧力センサにおいて、前記セ
ンサチップと前記台座との接合部の中間位置から外側に
かけて非接合部を設けるとともに、静圧検出用のゲージ
を前記非接合部のセンサチップ表面に設けたものであ
る。
【0016】第2の発明は、センサチップの中央部にダ
イアフラムを有し、このダイアフラムの周縁部に差圧ま
たは圧力検出用のゲージを設け、前記ダイアフラムを取
り囲む厚肉部の裏面側を台座に接合した差圧・圧力セン
サにおいて、前記センサチップと前記台座との接合部の
中間位置から外側にかけて非接合部を設けるとともに、
静圧検出用のゲージを前記非接合部のセンサチップ表面
に設けたものである。
【0017】第3の発明は、センサチップの中央部にダ
イアフラムを有し、このダイアフラムの中心部に差圧ま
たは圧力検出用のゲージを設け、前記ダイアフラムを取
り囲む厚肉部の裏面側を台座に接合した差圧・圧力セン
サにおいて、前記センサチップと前記台座との接合部の
中間位置から外側にかけて非接合部を設けるとともに、
静圧検出用のゲージを前記非接合部のセンサチップ表面
に設けたものである。
【0018】第4の発明は、センサチップの中央部にダ
イアフラムを有し、このダイアフラムの表面周縁部に差
圧または圧力検出用のゲージを設け、前記ダイアフラム
を取り囲む厚肉部の裏面側を台座に接合した差圧・圧力
センサにおいて、前記センサチップと前記台座との接合
部の中間位置から外側にかけて非接合部を設けるととも
に、静圧検出用のゲージを前記非接合部のセンサチップ
表面に設けたものである。
【0019】第5の発明は、センサチップの中央部にダ
イアフラムを有し、このダイアフラムの表面中心部に差
圧または圧力検出用のゲージを設け、前記ダイアフラム
を取り囲む厚肉部の裏面側を台座に接合した差圧・圧力
センサにおいて、前記センサチップと前記台座との接合
部の中間位置から外側にかけて非接合部を設けるととも
に、静圧検出用のゲージを前記非接合部のセンサチップ
表面に設けたものである。
【0020】このような発明において、センサチップの
厚肉部と基台との間に非接合部を設けると、設けない場
合に比べて静圧による発生応力に高い区間ができる。こ
の区間の応力は接合部の外側縁付近をピークとして接合
部からダイアフラムの中心および非接合部に向かうにし
たがって徐々に減少する。差圧による発生応力は、ダイ
アフラムの縁部をピークとして急激に減少する。静圧に
よる発生応力と差圧による発生応力の差が大きい位置
は、前記高い区間と一致している。したがって、静圧検
出用のゲージを前記区間内でかつ非接合部のセンサチッ
プ表面に設けると、感度が静圧に対しては高く、差圧に
対しては低くなり、クロストークを低減することができ
る。
【0021】静圧による発生応力の高い区間は、接合部
と非接合部にわたっているため、非接合部のセンサチッ
プ表面に設けられる静圧検出用のゲージは、その一部が
接合部のセンサチップ表面にまで延在するものであって
もよい。ただし、ダイアフラムの縁部近づくにしたがっ
て差圧による発生応力が大きくなり、反対に静圧による
発生応力が小さくなるため、ダイヤフラムの縁部に近寄
らないように接合部に延在する部分の長さを非接合部に
設けられる部分の長さより短くすることが望ましい。
【0022】多角形のダイアフラムを有する多角形のセ
ンサチップにおいては、センサチップの軸線に関して軸
対称性を示さないため、台座をセンサチップの裏面全体
に接合した場合、差圧または圧力検出用のゲージを形成
した位置における応力は、ダイアフラムの中心方向に向
かう応力σrがこれと垂直な方向の応力σθより大き
く、σr>σθとなる。台座とセンサチップとの接合部
を少なくしていくと、逆にダイアフラムの中心方向に対
して垂直な方向の応力σθが大きくなり、σr<σθと
なる。そこで、センサチップと台座との間に非接合部を
設け、非接合部の長さと接合部の長さとの比を最適化す
るとσrとσθを略等しくすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の
形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る差
圧・圧力センサの一実施の形態を示す平面図、図2は図
1のII−II線断面図である。なお、従来技術の欄で示し
た構成部材等と同一のものについては同一符号をもって
示し、その説明を適宜省略する。これらの図において、
全体を符号30で示す差圧・圧力センサは、結晶面方位
が(100)面のp型単結晶Siからなる正方形のセン
サチップ2を有している。
【0024】前記センサチップ2は、表面中央部に形成
された正方形のダイアフラム3と、センサチップ2の外
周部を形成し前記ダイアフラム3を取り囲む厚肉部2a
とからなり、裏面中央にはダイアフラム3の形成によっ
て正方形の凹陥部5が形成され、厚肉部2aが台座4に
陽極接合されている。台座4は、パイレックスガラス、
セラミックス等によってセンサチップ2と略同一の大き
さを有する角柱体に形成されている。
【0025】前記ダイアフラム3は、その対角線a,a
がセンサチップ2の対角線b,bと直交するようにセン
サチップ2に対して略45°傾いた状態で形成され、表
面の周縁部付近にはピエゾ領域として作用し差圧または
圧力を検出する4つの差圧または圧力検出用のゲージ6
a〜6dがセンサチップ2の対角線b,b上に位置する
ように形成されている。また、これらのゲージ6a〜6
dは、センサチップ2の結晶面方位(100)において
ピエゾ抵抗係数が最大となる<110>の結晶軸方向に
形成されている。
【0026】前記センサチップ2の厚肉部2aは、裏面
の一部のみが台座4の表面に接合され、残りの部分が台
座4に接合されないことにより、非接合部13と接合部
13Aとからなり、非接合部13が接合部13Aより外
側で厚肉部2aの各角部に位置し、接合部13Aが外形
八角形の枠状でダイアフラム3を取り囲んでいる。
【0027】この場合、本実施の形態においては、台座
4の表面で前記各非接合部13に対応する角部に段差部
14を形成することにより、厚肉部2aの各角部を台座
4から離間させて非接合部13とした例を示している
が、これに限らず図5および図6に示した従来構造と同
様に、厚肉部2aの裏面側に形成した段差部10によっ
て非接合部13を設けてもよいことは勿論である。
【0028】前記センサチップ2と台座4の接合面はダ
イアフラム3の変形に関係し、正方形のセンサチップ2
に対し正方形のダイアフラム3を互いに対角線が直交す
るように45°傾けて形成した場合、センサチップ2の
接合面のうち対角線方向の接合面の長さが長く、そのた
め厚肉部2aの裏面全体を接合するとダイアフラム3の
辺に垂直な応力σrがダイアフラム3の辺に平行な応力
σθより大きくなる。そこで、非接合部13を設け、そ
の長さAと接合部13Aの長さBとの比A/Bを最適化
することにより、応力σrと応力σθを略等しくするこ
とができる。
【0029】さらに、前記センサチップ2の表面で前記
非接合部13に対応する厚肉部2aの表面には、静圧を
検出しその検出信号によって前記差圧または圧力検出用
ゲージ6a〜6dの検出信号を補正する4つの静圧検出
用のゲージ15a〜15dが設けられている。これらの
静圧検出用ゲージ15a〜15dは、センサチップ2の
対角線b,b上で各角部に位置するように設けられてい
る。また、センサチップ2の結晶面方位(100)にお
いてピエゾ抵抗係数が最大となる<110>の結晶軸方
向に長く形成されている。このような静圧検出用ゲージ
6a〜6dは、差圧または圧力検出用ゲージ6a〜6d
と同様に拡散またはイオン打ち込み法によって形成さ
れ、図示しないリードによってホイールストーンブリッ
ジに結線されており、静圧による非接合部13の変形に
伴い比抵抗が変化することにより静圧を検出し、その検
出信号によって差圧または圧力検出用センサ6a〜6d
の検出信号を補正する。
【0030】図7はセンサチップ2に発生する応力を示
す図である。曲線I は差圧による発生応力、曲線IIは非
接合部13を設けない場合の静圧3による発生応力、曲
線III は非接合部13を設けた場合の静圧Iによる発生
応力をそれぞれ示す。静圧検出用のゲージ15a〜15
dは、非接合部13の表面でダイアフラム3の中心から
D1 離れた位置に設けられている。
【0031】この図から明らかなように、非接合部13
を設けると、設けない場合に比べて静圧による発生応力
III に高い区間Xが生じる。この区間Xにおける応力は
接合部13Aの外縁20付近をピークとして接合部13
Aからダイアフラム3の中心および非接合部1方向に遠
ざかるにしたがって減少する。差圧による発生応力III
は、ダイアフラム3の外縁21をピークとして急激に減
少する。静圧1による発生応力III と差圧による発生応
力I の差が大きい位置は、前記高い区間Xと一致してい
る。したがって、静圧検出用ゲージ15a〜15dを前
記区間X内でかつ非接合部13のセンサチップ2表面に
設けると、静圧に対しては感度が高く、差圧に対しては
感度が低く、クロストークを低減することができ、差圧
または圧力検出用ゲージ6a〜6dによる検出信号を高
精度に補正することができる。
【0032】静圧による発生応力III の高い区間Xは、
図7に示すように接合部13Aと非接合部13の両部に
またがっているため、静圧検出用ゲージ15a〜15d
を、その一部が接合部13Aのセンサチップ2表面にま
で延在するものであってもよい。ただし、接合部13A
では差圧による発生応力I がダイアフラム3の外縁21
に向かうにしたがい大きくなり、反対に静圧による発生
応力III が小さくなり、両発生応力I,III の差が小さ
くなるため、接合部13Aに延在する部分の長さは非接
合部13に設けられる部分の長さより短いことがことが
望ましい。
【0033】図3は本発明の他の実施の形態を示す平面
図、図4は図3のIV−IV線断面図である。この実施
の形態は、結晶面方位が(100)面のp型単結晶Si
からなる正方形のセンサチップ2の表面中央部に四角形
のダイアフラム3を、その対角線がセンサチップ2の対
角線と一致するように形成し、センサチップ2の厚肉部
2aを台座4の上面に接合して差圧・圧力センサ40を
構成した例を示す。
【0034】前記台座4は、図において左右両側縁部に
段差41がそれぞれ形成されており、これによりセンサ
チップ2の厚肉部2aの両側縁部を、台座2の表面に接
合される接合部13Aと、台座4に接合されない非接合
部13としている。
【0035】前記ダイアフラム3の表面外周縁部で各辺
の中央位置には、ピエゾ領域として作用し差圧または圧
力を検出する4つの差圧または圧力検出用ゲージ6a〜
6dが形成されている。これらのゲージ6a〜6dは、
センサチップ2の結晶面方位(100)においてピエゾ
抵抗係数が最大となる<110>の結晶軸方向に長く形
成されている。前記厚肉部2aの表面には、4個の静圧
検出用ゲージ15a〜15dが、ダイアフラム3を挟ん
でその両側に2つずつ位置するように形成されている。
これらの静圧検出用ゲージ15a〜15dは、接合部1
3Aと非接合部13の境界線45上に位置するように形
成されている。また、静圧検出用ゲージ15aと15
b、および15cと15dは、それぞれ互いに直交する
ように90°向きを異ならせて形成されている。さら
に、静圧検出用ゲージ15aと15c、および15bと
15dは、それぞれ互いに直交するように90°向きを
異ならせて形成されている。
【0036】このような構造においても、非接合部13
の長さAと接合部13Aの長さBとの比A/Bを最適化
し、静圧検出用ゲージ15a〜15dを接合部13Aと
非接合部13の境界線45上に位置するように厚肉部2
aの表面に形成すると、上記した実施の形態と同様に静
圧に対しては感度が高く、差圧に対しては感度が低く、
クロストークを低減することができ、差圧または圧力を
高精度に検出することができる。
【0037】なお、本発明は上記した実施の形態に特定
されるものではなく、本発明を逸脱しない限り種々の変
更が可能であり、例えばダイアフラムの表面(裏面)中
心部に差圧または圧力検出用のゲージを設けるてもよ
い。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る差圧・
圧力センサは、センサチップと台座との接合部の中間位
置から外側にかけて非接合部を設けるとともに、静圧検
出用のゲージを前記非接合部のセンサチップ表面に設け
たので、静圧に対しては感度が高く、差圧に対しては感
度が低く、クロストークを低減することができる。した
がって、ゼロ点シフトが生じず、差圧または圧力信号を
補正することにより、差圧または圧力を高精度に検出す
ることができ、センサの検出精度を向上させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る差圧・圧力センサの一実施の形
態を示す平面図である。
【図2】 図1のII−II線断面図である。
【図3】 本発明の他の実施の形態を示す平面図であ
る。
【図4】 図3のIV−IV線断面図である。
【図5】 差圧・圧力センサの従来例を示す平面図であ
る。
【図6】 図5のVI−VI線断面図である。
【図7】 発生応力を示す図である。
【符号の説明】
1…差圧・圧力センサ、2…センサチップ、3…ダイア
フラム、4…基台、5…凹陥部、6,6a〜6d…差圧
または圧力検出用のゲージ、10…段差部、13…非接
合部、13A…接合部、15a〜15d…静圧検出用の
ゲージ。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センサチップの中央部にダイアフラムを
    有し、このダイアフラムに差圧または圧力検出用のゲー
    ジを設け、前記ダイアフラムを取り囲む厚肉部の裏面側
    を台座に接合した差圧・圧力センサにおいて、 前記センサチップと前記台座との接合部の中間位置から
    外側にかけて非接合部を設けるとともに、静圧検出用の
    ゲージを前記非接合部のセンサチップ表面に設けたこと
    を特徴とする差圧・圧力センサ。
  2. 【請求項2】 センサチップの中央部にダイアフラムを
    有し、このダイアフラムの周縁部に差圧または圧力検出
    用のゲージを設け、前記ダイアフラムを取り囲む厚肉部
    の裏面側を台座に接合した差圧・圧力センサにおいて、 前記センサチップと前記台座との接合部の中間位置から
    外側にかけて非接合部を設けるとともに、静圧検出用の
    ゲージを前記非接合部のセンサチップ表面に設けたこと
    を特徴とする差圧・圧力センサ。
  3. 【請求項3】 センサチップの中央部にダイアフラムを
    有し、このダイアフラムの中心部に差圧または圧力検出
    用のゲージを設け、前記ダイアフラムを取り囲む厚肉部
    の裏面側を台座に接合した差圧・圧力センサにおいて、 前記センサチップと前記台座との接合部の中間位置から
    外側にかけて非接合部を設けるとともに、静圧検出用の
    ゲージを前記非接合部のセンサチップ表面に設けたこと
    を特徴とする差圧・圧力センサ。
  4. 【請求項4】 センサチップの中央部にダイアフラムを
    有し、このダイアフラムの表面周縁部に差圧または圧力
    検出用のゲージを設け、前記ダイアフラムを取り囲む厚
    肉部の裏面側を台座に接合した差圧・圧力センサにおい
    て、 前記センサチップと前記台座との接合部の中間位置から
    外側にかけて非接合部を設けるとともに、静圧検出用の
    ゲージを前記非接合部のセンサチップ表面に設けたこと
    を特徴とする差圧・圧力センサ。
  5. 【請求項5】 センサチップの中央部にダイアフラムを
    有し、このダイアフラムの表面中心部に差圧または圧力
    検出用のゲージを設け、前記ダイアフラムを取り囲む厚
    肉部の裏面側を台座に接合した差圧・圧力センサにおい
    て、 前記センサチップと前記台座との接合部の中間位置から
    外側にかけて非接合部を設けるとともに、静圧検出用の
    ゲージを前記非接合部のセンサチップ表面に設けたこと
    を特徴とする差圧・圧力センサ。
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