JP2002276449A - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

車両用駆動力制御装置

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JP2002276449A
JP2002276449A JP2001071617A JP2001071617A JP2002276449A JP 2002276449 A JP2002276449 A JP 2002276449A JP 2001071617 A JP2001071617 A JP 2001071617A JP 2001071617 A JP2001071617 A JP 2001071617A JP 2002276449 A JP2002276449 A JP 2002276449A
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torque command
fuel cut
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JP2001071617A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Ashizawa
裕之 芦沢
Akira Higashimata
章 東又
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】燃料カットの作動−解除時における急激なトル
ク変動を緩和した車両用駆動力制御装置を提供する。 【解決手段】エンジン回転数指令値の演算用マップにオ
フセットを設けることにより、変速比指令値が最Hig
h(無段変速機では変速段は無いが、通常の自動変速機
の最も高い変速段に相当:変速比は最小の状態)になり
やすく設定されているため、減速→一定速では、変速比
指令値が最Highになるタイミングが早まるので、そ
れよりも遅れる実変速比が確実に最Highになってか
ら燃料カットが解除される。また加速→減速では、減速
によるダウンシフト開始が遅くなるので、実変速比がま
だ最High状態にある時点で燃料カットが行なわれ
る。このように燃料カットの作動−解除がトルク変動の
小さな最high時に行なわれるので、燃料カットの作
動−解除時におけるトルク変動を緩和できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両の駆動力制御装
置に関し、特に燃料カットの作動−解除時における急激
なトルク変動を緩和する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の駆動力制御装置としては、自動車
技術学会誌(vol.48,No.10,1994)の論
文「DBW制御アルゴリズム」が挙げられる。これは、
無段変速機付き車両において、必要な駆動力を実現する
エンジントルクとエンジン回転数(もしくは変速比)の
組み合わせから最適燃費を実現できる組み合わせを算出
して各々を制御するものである。具体的には、駆動力指
令値と車速から出力指令値を算出し、予め算出した最適
燃費運転線(エンジントルクとエンジン回転数の関係で
規定)と等出力線との交点を求めるものである。また、
従来の同様な装置としては、特開平11−78594号
公報に記載されたものがある。これは負の駆動力(エン
ジンが車両から駆動されている状態)を必要とする場
合、エンジントルク指令値およびエンジン回転数指令値
(もしくは変速比指令値)をエンジンブレーキ特性(ス
ロットル開度全閉、かつ燃料カット状態)と出力指令値
との交点より求めるものである。これにより負の駆動力
に対しても対応することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとき従来の駆
動力制御装置では、例えば減速から一定速に移行すると
いった走行モード(以下、走行モード1と記す)では、
変速比指令値が最High(無段変速機では変速段は無
いが、通常の自動変速機の最も高い変速段に相当:変速
比は最小の状態)に達すると同時に燃料カットが解除さ
れて燃料噴射が開始される。また、加速から減速といっ
た走行モード(以下、走行モード2と記す)では、燃料
カット作動とダウンシフト(変速比が最Highを離
脱)が同時に指令される。しかし、実際には、変速値指
令値と実変速比との間には変速機における応答遅れがあ
るため、走行モード1では、実際の変速比が最High
になる前に燃料カットが解除されて燃料噴射が始まるの
で、駆動軸に生じるトルク段差による突っ走り感が強く
なってしまうという問題点があった。
【0004】また、走行モード2では、上記と同様に変
速機における応答遅れにより、変速機がまず加速のため
のダウンシフトを行った後、一旦最Highに向かって
アップシフトしてから減速のため再度ダウンシフトする
ため、実際の変速比が最Highに達する前に燃料カッ
トが作動してしまうので、トルク段差による過減速感が
強くなってしまうという問題点があった。
【0005】本発明は上記のごとき従来技術の問題を解
決するためになされたものであり、燃料カットの作動−
解除時における急激なトルク変動を緩和した車両用駆動
力制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明においては、特許請求の範囲に記載するように
構成している。すなわち、請求項1に記載の発明におい
ては、駆動トルク指令値と自車の走行速度検出値とに基
づいて実測したエンジンブレーキ特性に所定のオフセッ
ト量(変速比指令値が最high状態になりやすくする
方向のオフセット)を付加した結果を用いてエンジント
ルク指令値と変速比指令値とを算出するように構成して
いる。
【0007】また、請求項2に記載の発明においては、
前記配分演算手段は、減速終了時には変速比指令値がも
っとも小さな変速比(最high)になるタイミングを
早くするように、かつ、減速開始時には減速のためのダ
ウンシフトが遅れるように、駆動トルク指令値と前記自
車の走行速度検出値とから実測したエンジンブレーキ特
性(スロットル開度全閉、かつ燃料カット状態)に所定
のオフセット量を付加した動作点の制動用エンジン回転
数指令値演算マップを用いてエンジン回転数指令値を演
算し、その結果を用いて前記エンジントルク指令値と前
記変速比指令値とを算出するように構成している。
【0008】また、請求項3に記載の発明においては、
燃料カット状態決定手段において燃料をカットするか否
かを決定する際に、変速比指令値と実変速比との過渡応
答時間分だけ遅らせて燃料カット状態を切り替えるよう
に構成している。
【0009】また、請求項4に記載の発明においては、
請求項3において、燃料をカットするか否かを決定する
際に前記エンジントルク指令値と比較するしきい値とし
て、燃料カットを作動させる判断時には、燃料カット作
動時で、かつスロットル全閉時におけるエンジントルク
の値(従来のしきい値)よりも小さな値であって、か
つ、変速比指令値に対する実変速比の応答遅れの大きさ
に逆に対応させた値(応答遅れが大きければより小さ
く、小さければ比較的大きな値)を用い、燃料カットを
解除させる判断時には、前記燃料カット作動時のしきい
値よりも大きな値であって、かつ、応答遅れの大きさに
正に対応させた値(応答遅れが大きければより大きく、
小さければ比較的小さな値)を用いるように構成してい
る。
【0010】また、請求項5に記載の発明においては、
請求項3において、燃料カット状態決定手段において、
燃料をカットするか否かを決定する際に、エンジントル
ク指令値の値が燃料カット作動条件または解除条件に相
当する値を所定時間継続した後に燃料カットの作動また
は解除を行なうように構成している。
【0011】また、請求項6に記載の発明においては、
燃料カット状態決定手段は、燃料カットの作動−解除を
行なう条件として、実変速比がもっとも小さな変速比
(最high)になっている条件を含むように構成して
いる。
【0012】
【発明の効果】請求項1および請求項2においては、エ
ンジン回転数指令値の演算用マップにオフセットを設け
ることにより、変速比指令値が最High状態になりや
すく設定されているため、減速→一定速の走行モードで
は、変速比指令値が最Highになるタイミングが早ま
るので、それよりも遅れる実変速比が確実に最High
になってから燃料カットが解除される。また、加速→減
速の走行モードでは、減速によるダウンシフト開始が遅
くなるので、実変速比がまだ最High状態にある時点
で燃料カットが行なわれる。このように、燃料カットの
作動−解除がトルク変動の小さな最high状態時に行
なわれるので、燃料カットの作動−解除時におけるトル
ク変動を緩和することができ、その結果、運転者に与え
る違和感を改善することができるという効果が得られ
る。
【0013】また、請求項3においては、燃料カット状
態決定手段において燃料をカットするか否かを決定する
際に、変速比指令値と実変速比との過渡応答時間分だけ
遅らせて燃料カット状態を切り替えることにより、実変
速比が最high状態時に燃料カットの作動−解除が行
なわれるので、請求項1と同様の効果が得られる。
【0014】また、請求項4においては、燃料カットの
しきい値を変更したことにより、また、請求項5におい
ては燃料カットの作動−解除の判断に遅れ時間を設けた
ことにより、請求項3の動作を実現することが出来る。
また、請求項6においては、実変速比がもっとも小さな
変速比(最high)になっている条件を燃料カットの
作動−解除の条件に用いることにより、燃料カットの作
動−解除が確実に最high状態時に行なわれるので、
請求項1〜請求項5と同様の効果が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、車速制御装置の全体の構成
について説明する。図1は、本発明の車速制御装置の全
体の構成を示すブロック図である。以下、図1における
各ブロックの構成と動作を説明する。まず、図示しない
システムスイッチをオンにすると装置全体の電源が投入
され、待機状態となる。そしてこの状態においてセット
スイッチ20がオンにされると制御が開始される。車速
制御部500(破線で囲んだ部分)は、マイクロコンピ
ュータとその周辺部品から構成される。なお、車速制御
部500内部のブロックはコンピュータの演算内容をブ
ロックに別けて表示したものである。
【0016】車速制御部500内において、車速指令値
決定部510では、制御周期10ms毎に車速指令値V
COM(t)を算出する。なお、(t)を付した符号は時
間的に変化する値であることを意味する。ただし、図面
では(t)を省略して表示していることもある。
【0017】車速指令最大値設定部520は、セットス
イッチ20が押されたときの自車速V(t)を車速指
令最大値VSMAX(目標車速)として設定する。な
お、自車速V(t)は車速センサ10がタイヤの回転
数から検出した自車両の実際の速度である。また、上記
のようにセットスイッチ20によって車速指令最大値V
SMAXが設定された後、コーストスイッチ30が1回
押される毎に、車速指令最大値設定部520は、車速指
令最大値VSMAXを5km/hずつ低い値に設定す
る。すなわち、n回押すとn×5km/h〔押し続けた
場合は押している時間をtとすると、例えばt(s)/
1(s)×5(km/h)〕だけ低い値に設定される。
また、上記のようにセットスイッチ20によって車速指
令最大値V MAXが設定された後、アクセラレートス
イッチ40が1回押される毎に、車速指令最大値設定部
520は、車速指令最大値VSMAXを5km/hずつ
高い値に設定する。すなわち、n回押すとn×5km/
h〔押し続けた場合は押している時間をtとすると、例
えばt(s)/1(s)×5(km/h)〕だけ高い値
に設定される。
【0018】次に、横G車速補正量算出部580は、操
舵角センサ100から出力されるハンドルの操舵角θ
(t)と自車速V(t)とを入力し、後述する車速指令
値を横方向の加速度(以下、横Gと記す)に応じて補正
するための車速補正量VSUB(t)を演算する。な
お、横G車速補正量算出部580は、具体的には図2に
示すように、操舵角信号ローパスフィルタ(以下、操舵
角信号LPF部と記す)581、横G算出部582、車
速補正量算出マップ583より構成される。
【0019】まず、操舵角信号LPF部581は、自車
速V(t)と操舵角θ(t)を入力し、操舵角LPF値
θLPF(t)を演算する。θLPFは以下の式で表さ
れる。 θLPF(t)=θ(t)/(TSTR・s+1) ただし、sは微分演算子(以下の式でも同) ここで、LPFの時定数TSTRは、TSTR=1/
(2π・fc)であらわされ、LPFのカットオフ周波
数fcは、図3に示すような自車速V(t)に対する
カットオフ周波数fcのマップによって決定される。こ
のマップは、高車速域ほどカットオフ周波数fcが低く
設定されている。例えば50km/hに比べて100k
m/hの方が低い値をとる。
【0020】横G算出部582は、操舵角LPF値θ
LPF(t)と自車速V(t)を入力し、以下の式に従
って横Gの値Y(t)を算出する。 Y(t)={V(t)・θLPF(t)}/{N・W・
〔1+A・V(t)〕} ただし、Wは車両のホイルベース、Nはステアリングギ
ア比、Aはスタビリティファクタである。
【0021】なお、上記の式は、操舵角から横Gを検出
する場合を示したが、ヨーレイトセンサを使用してヨー
レイトψ(t)にローパスフィルタを施して横Gを検出
する場合は下記の式を用いればよい。 Y(t)=V(t)・ψLPF ψLPF=ψ(t)/(TYAW・s+1) ただし、TYAWはローパスフィルタの時定数であり、
自車速V(t)が大きな値となるほど大きな値をと
る。
【0022】車速補正量算出マップ583は、横Gに応
じて車速指令値を補正するための車速補正量V
SUB(t)を算出する。車速補正量VSUB(t)は、
横Gによって決まる補正係数に所定の車速指令値変化量
制限値〔例えば0.021(km/h)/10(ms)
=0.06G〕を乗じて算出する。なお、上記の車速指
令値変化量制限値の値は後記図6に示す車速指令値変化
量ΔVCOM(t)の最大値に等しい。 VSUB(t)=補正係数×0.021(km/h)/1
0(ms) 後述するように、最終的に車速を制御する値となる車速
指令値VCOM(t)を演算する際には、上記の車速補
正量VSUB(t)を減算項として付加している。した
がって車速補正量VSUB(t)の値が大きいほど、車
速指令値VCO (t)は制限されることになる。
【0023】上記の補正係数は、図4に示すように横G
の値Y(t)が大きいほど大きくなる。これは、横G
が大きいほど車速指令値VCOM(t)の変化に大きな
制限を設けるためである。ただし、図4に示すように横
Gが0.1G以下の場合は、車速指令値の補正の必要が
ないと判断して補正係数をゼロとしている。また、横G
が0.3G以上となる場合は、通常の使用では発生しな
い値である上に、横G検出値が誤って大きくなった場合
に補正量が過大となることを防ぐため、0.3G以上は
補正係数を一定(例えば2)にしている。
【0024】後記車速指令値決定部510で詳細を説明
するように、前記のアクセラレートスイッチ40の操作
によって目標車速が上昇した場合、すなわち、加速が要
求された場合には、現在の自車速V(t)に、車速指
令値変化量ΔVCOM(t)を加算し、車速補正値V
SUB(t)を減算することによって車速指令値V
COM(t)を算出している。したがって、車速指令値
変化量ΔVCOM(t)が車速補正値VSUB(t)より
大であれば加速し、小であれば減速することになる。そ
して前記のように車速補正値VSUB(t)は、車速指
令値変化量制限値(車速指令値変化量の最大値)に図4
に示すような補正係数を乗算して求めているので、例え
ば車速指令値変化量制限値=車速指令値変化量の場合に
は、補正係数が1のとき(図4の例ではY(t)=0.
2の場合)には加速分と減速分とが等しくなって現在の
車速が維持される。つまり、この例では、横Gの値Y
(t)が0.2より小の場合には加速され、大の場合には
減速されることになる。また、前記のコーストスイッチ
30の操作によって目標車速が低下した場合、すなわ
ち、減速が要求された場合には、現在の自車速V
(t)から車速指令値変化量ΔV OM(t)と車速補
正値VSUB(t)とを減算することによって車速指令
値V OM(t)を算出している。したがってこの場合
には常に減速することになるが、減速の程度は車速補正
値VSUB(t)が大きいほど、すなわち横Gが大きい
ほど大きくなる。なお、車速指令値変化量制限値につい
ての上記の値0.021(km/h)/10(ms)
は、高速道路での使用を想定した値である。
【0025】上述したように、車速補正値V
SUB(t)は、横Gに応じた補正係数と車速指令値変
化量制限値との積により求め、横Gが大きくなると減算
項(車速補正値)の値が大きくなって横Gが大きくなら
ないように車速が制御される。しかし、図2の操舵角信
号LPF部581で説明したように、高車速域ほど、カ
ットオフ周波数fcを低くしているので、LPFの時定
数TSTRは大きくなり、操舵角LPF値θ
LPF(t)が小さくなって、横G算出部582で推定
される横Gも小さくなり、その結果、車速補正量算出マ
ップ583を介して得られる車速補正値VSUB(t)
が小さくなるため、操舵角による車速指令値への補正
(加速減少方向への補正)がかかりにくくなる。
【0026】この点について詳述すると、操舵角に対す
る車両応答の固有振動数ωnSTRの特性は、以下の式
で示される。 ωnSTR=(2W/V)√〔Kf・Kr・(1+A
・V )/m・I〕 ただし、Kf、Krは前後輪タイヤコーナリングパワー
(1輪分)、Wはホイールベース、mは車両質量、A
はスタビリティファクタ、Iは車両ヨー慣性モーメント
である。固有振動数ωnSTRの特性は、図5に示すよ
うに車速が上がるに従って固有振動数ωnSTRが低く
なり、操舵角に対する車両応答性が悪くなるのに対し、
車速が下がるに従って固有振動数ωnSTRが高くな
り、操舵角に対する車両応答性が良くなることがわか
る。つまり、高車速域ほど、操舵を行っても横Gが発生
しにくく、また低車速域程、少しの操舵でも横Gが発生
しやすくなる。そのため、図3に示したように高車速域
程カットオフ周波数fcを低くすることで、応答性を遅
くして操舵角による車速指令値に対する補正がかかりに
くくしている。
【0027】次に、図1の車速指令値変化量決定部59
0は、自車速V(t)と車速指令最大値VSMAX
の偏差の絶対値に基づき、図6に示すマップにより車速
指令値変化量ΔVCOM(t)を算出する。このマップ
は、偏差の絶対値が或る範囲内(図6中の範囲B)で
は、車速制御中止判定部610で述べる加速度制限値α
を超えない程度に、絶対値が大きいほど車速指令値変化
量ΔVCOM(t)を大きくして、なるべく速やかに加
速または減速する。そして偏差の絶対値が小さいほど加
速度感が損なわれない程度に、車速指令値変化量ΔV
COM(t)を小さくして、車速指令最大値VSMAX
をオーバーシュートしないようにしている。偏差の絶対
値が大きい範囲(図6中の範囲A)では、加速度制限値
αを超えない値で一定値(たとえば0.06G)とす
る。また、小さい範囲(図6中の範囲C)では一定値
(たとえば0.03G)とする。
【0028】さらに、車速指令値変化量決定部590で
は、前記の横G車速補正量算出部580から出力される
車速補正値VSUB(t)をモニタしており、車速補正
値V SUB(t)の値がゼロから一旦ゼロ以外になった
後に再びゼロに戻った場合には、カーブ路の走行が終了
したと判定するとともに、自車速V(t)と車速指令
最大値VSMAXが等しくなったかどうかを検出してい
る。そして、カーブ終了と判定された場合は、上述した
自車速V(t)と車速指令最大値VSMAXとの偏差
の絶対値に基づいて図6を使用して車速指令値変化量Δ
COM(t)を決定することに代えて、カーブが終了
したと判定された時の自車速V(t)から車速指令値
変化量ΔVCOM(t)を決定する。その時の特性は図
6と同様な傾向を示す特性を用いる。すなわち、図6の
横軸を、|V(t)―VSMAX|の代わりに、自車
速V(t)に変更したマップ(図示省略)を用い、自
車速V(t)が小さいほど車速指令値変化量ΔV
COM(t)は小さな値となるように設定された特性に
なっている。そして、この処理は、自車速V(t)と
車速指令最大値VSMAXが等しくなると終了する。
【0029】なお、カーブが終了したと判定された時の
実際の自車速V(t)から車速指令値変化量ΔV
COM(t)を決定する上述した例に代えて、車速補正
値VSU (t)がゼロ以外の値になった場合に、カー
ブ路走行が開始された判定し、その時の自車速V(sta
rt)を予め記憶しておき、かつカーブ路が終了したと判
定されたときの自車速V(end)との差ΔV=V(s
tart)―V(end)(すなわち車速指令値の補正による
車速落ち込み量)の大きさから車速指令値変化量ΔV
COM(t)を決定しても良い。この時の特性は図6と
逆の傾向を示す特性を用いる。すなわち、図6の横軸
を、|V(t)―VSMAX|の代わりに、車速差Δ
に変更したマップ(図示省略)を用い、車速差ΔV
が大きいほど車速指令値変化量ΔVCOM(t)が小
さな値をとるように設定されている。なお、この処理
は、自車速V(t)と車速指令最大値VSMAXが等
しくなると終了する。
【0030】カーブ路走行時には、横Gの値が過大にな
らないように車速指令値が補正されるので、一般に車速
が低下する。そのため上記のように、カーブ路の走行が
終了し、車速が落ち込んだ後は、カーブ路終了時の自車
速V(t)、またはカーブ路開始時と終了時(車速指
令値の補正により車速が落ち込む前と後)の車速差ΔV
の大きさに応じて、車速指令値変化量ΔV
COM(t)を変更するように構成している。
【0031】なお、カーブ路終了時に車速が低いか、ま
たは車速差ΔVが大きい場合は、そのカーブ路の曲率
半径が小さい(カーブがきつい)ために車速が落ち込ん
だと推定される。そしてカーブ路が連続している場合
(例えばS字カーブ等)には上記のような状況になる可
能性が大きい。そのため、カーブ路終了時の車速が低い
か、または車速差ΔVが大きい場合には、車速指令値
変化量ΔVCOM(t)を小さくして車速指令値による
車速制御の加速度を小さくする。これにより、連続した
カーブ(S字路)において、カーブを回る毎に大きな加
速が行われることがなくなる。同様に、カーブ路終了時
に車速が高いか、または車速差ΔVが小さい場合に
は、単一のカーブであると判断し、車速指令値変化量Δ
COM(t)を大きくする。これにより、単一のカー
ブ終了後には直ちに加速されるので、加速が緩慢になっ
て運転者に違和感を与えるというおそれがなくなる。
【0032】次に、図1の車速指令値決定部510は、
自車速V(t)、車速補正値V UB(t)、車速指令
値変化量ΔVCOM(t)および車速指令最大値V
SMAXを入力し、以下のようにして車速指令値V
COM(t)を算出する。 (1)車速指令最大値VSMAXが自車速V(t)よ
り大きい場合、つまり、アクセラレートスイッチ40
(またはリジュームスイッチ)の操作による加速要求が
あった場合 VCOM(t)=min〔VSMAX、V(t)+ΔV
COM(t)−VSUB(t)〕 つまり、車速指令最大値VSMAXとV(t)+ΔV
COM(t)−VSUB(t)とのうちの小さい方を選択
して車速指令値VCOM(t)とする。 (2)VSMAXとV(t)が等しい場合、つまり、
一定車速を維持している場合 VCOM(t)=VSMAX−VSUB(t) つまり、車速指令最大値VSMAXから車速補正値V
SUB(t)を減算して車速指令値VCOM(t)とす
る。 (3)車速指令最大値VSMAXが自車速V(t)よ
り小さい場合、つまり、コーストスイッチ30の操作に
よる減速要求があった場合 VCOM(t)=max〔VSMAX、V(t)−ΔV
COM(t)−VSUB(t)〕 つまり、車速指令最大値VSMAXとV(t)−ΔV
COM(t)−VSUB(t)とのうちの大きい方を選択
して車速指令値VCOM(t)とする。上記のようにし
て車速指令値VCOM(t)が決定され、これに応じて
車速を制御する。
【0033】次に、駆動トルク指令値算出部530は、
車速指令値VCOM(t)と自車速V(t)を入力し、
以下に示すようにして駆動トルク指令値dFC(t)を
演算する。なお、図7は駆動トルク指令値算出部530
の構成の一例を示すブロック図である。まず、車速指令
値VCOM(t)を入力とし、自車速V(t)を出力と
した場合の伝達特性G(s)は、下式で表すことがで
きる。 G(s)=1/(T・s+1)・e(−Lv・s) ただし、Tは1次遅れ時定数、Lはパワートレイン
系の遅れによる無駄時間である。
【0034】また、制御対象の車両モデルは、駆動トル
ク指令値dFC(t)を操作量とし、自車速V(t)を
制御量としてモデル化することによって、車両のパワー
トレインの挙動は下式に示す簡易線形モデルで表すこと
ができる。 V(t)=1/(m・Rt・s)e(−Lv・s)
FC(t) ただし、Rtは、タイヤの有効回転半径、mは車両質
量である。このように駆動トルク指令値dFC(t)を
入力とし、自車速V(t)を出力とする車両モデル
は、1/sの形となるので積分特性を有することにな
る。
【0035】なお、制御対象の特性にはパワートレイン
系の遅れにより無駄時間Lも含まれ、かつ、使用する
アクチュエータやエンジンによって無駄時間Lの値が
変化する非線形特性が、後記のごとき近似ゼロイング手
法による外乱推定器を用いることにより、駆動トルク指
令値dFC(t)を入力とし、自車速V(t)を出力と
する車両モデルは、上記と同じ式で表すことができる。
【0036】ここで、車速指令値VCOM(t)を入力
とし、自車速V(t)を出力とした場合の制御対象の
応答特性を、予め定めた一次遅れTと無駄時間L
素をもつ伝達特性G(s)の特性に一致させると、図
7に示すようなC(s)、C(s)およびC(s)
を用いて、以下のように定めることができる。ただし、
(s)、C(s)は近似ゼロイング手法による外乱
推定器を示し、外乱やモデル化誤差による影響を抑制す
るように働く補償器であり、C(s)はモデルマッチ
ング手法による補償器を示す。 補償器C(s)=e(−Lv・s)/(T・s+1) 補償器C(s)=(m・Rt・s)/(T・s+
1) このとき、外乱推定値d(t)は、 d(t)=C(s)・V(t)−C(s)・dFC
(t) となる。
【0037】また、制御対象の無駄時間を無視して、規
範モデルG(s)を時定数Tの1次ローパスフィル
タとすると、補償器C(s)は次のような定数とな
る。 補償器C(s)=m・Rt/T 以上のC(s)、C(s)、C(s)の補償器によ
り、駆動トルク指令値dFC(t)は次式によって算出
される。 dFC(t)=C(s)・{VCOM(t)−V
(t)}−{C(s)・V(t)−C(s)・d
FC(t)} 上記の駆動トルク指令値dFC(t)に基づいて駆動ト
ルクを制御する。すなわち、図8に示すような予め計測
されたエンジン非線形定常特性マップを用いて駆動トル
ク指令値dFC(t)に実駆動トルクdFA(t)を一致
させるようなスロットル開度指令値を算出し、また、エ
ンジンの負の駆動トルクでは足りない場合には変速機や
ブレーキで補うように分配する。このように、スロット
ル開度、変速機、ブレーキをコントロールすることによ
り、エンジン非線形定常特性を線形化することができ
る。
【0038】なお、無段変速機70が、ロックアップ付
き流体コンバータを有している場合には、無段変速機7
0のコントローラからロックアップ状態信号LUを入
力し、それによってアンロックアップ状態であると判断
された場合には時定数T(図7のC(s)、C
(s)の分母に記載)を大きくする。これにより、車
速制御フィードバック補正量(所望の応答特性を維持す
るためのフィードバックループの補正係数)が小さくな
り、ロックアップ時に比べてアンロックアップ時に遅れ
る制御対象の応答特性に合わせることができ、ロックア
ップ時、アンロックアップ時ともに車速制御系の安定性
が確保されるようになる。
【0039】また、図7に示した駆動トルク指令値演算
部530では、制御対象の伝達特性を補償するための補
償器C(s)および補償器C(s)と設計者が定めた
応答特性を達成するための補償器C(s)で構成して
いたが、図12に示すように、設計者が定めた任意の応
答特性になるように補償するための前置補償器C
(s)、設計者が定めた任意の応答特性を演算する規
範モデル演算部C(s)、および規範モデル演算部C
(s)の応答特性からのずれ量(目標車速−自車速)
を補償するためのフィードバック補償器C(s)’によ
って構成することもできる。
【0040】前置補償器C(s)は車速指令値V
COM(t)に対する実際の自車速V(t)の伝達関数
(s)を達成するために、下記の式で示すフィルタ
を用いて基準駆動トルク指令値dFC1(t)を演算す
る。 dFC1(t)=m・Rt・s・VCOM(t)/(T
・s+1) 規範モデル演算部C(s)は、車速制御系の目標応答
(t)を伝達関数G(s)と車速指令値V
COM(t)から演算する。すなわち V(t)=G(s)・VCOM(t) である。
【0041】フィードバック補償器C(s)’は、目標
応答V(t)と実際の自車速V(t)とに偏差が生じ
た場合に、この偏差をなくすように駆動トルク指令値補
正量d(t)’を演算する。すなわちd(t)’は下記
の式で示される。 d(t)’=〔(K・s+K)/s〕〔V(t)
−V(t)〕 ただし、Kはフィードバック補償器C(s)’の比
例制御ゲイン、Kはフィードバック補償器C
(s)’の積分制御ゲインである。なお、駆動トルク
指令値補正量d(t)’は前記図7で説明した外乱推定
値d(t)に相当する。このとき、ロックアップ状態
信号LUによってアンロックアップ状態であると判断
された場合には補正量d(t)’が演算される。すなわ
ち、 d(t)’=〔(K’・s+K’)/s〕〔V
(t)−V(t)〕 である。ただし、 K’<K ’<K であるため、フィードバックゲインは小さくなる。した
がって、駆動トルク指令値dFC(t)は、基準駆動ト
ルク指令値dFC1(t)と駆動トルク指令値補正量d
(t)’から、 dFC(t)=dFC1(t)+d(t)’ と演算される。このようにロックアップ時に比べてアン
ロックアップ時にはフィードバックゲインを小さくして
いるため、駆動トルク指令値補正量の変化速度が小さく
なり、ロックアップ時に比べてアンロックアップ時に遅
れる制御対象の応答特性に合わせることができるので、
ロックアップ時、アンロックアップ時ともに車速制御系
の安定性が確保されるようになる。
【0042】次に、アクチュエータ駆動系について説明
する。変速比指令値算出部540は、駆動トルク指令値
FC(t)、自車速V(t)、、車速制御中断信号、
コーストスイッチ30の出力およびアクセルペダルセン
サ90の出力を入力し、以下のように変速比指令値DR
ATIO(t)を演算して、無段変速機70へ出力す
る。ここで、コーストスイッチオフ状態とコーストスイ
ッチオン状態とに分けて、図13を用いて、変速比指令
値算出部540の詳細動作について説明する。図13は
図1内の変速比指令値算出部540と無段変速機70の
詳細内容を示すブロック図であり、変速比指令値算出部
540と無段変速機70以外の部分は、必要なブロック
のみを示している。
【0043】(1)コーストスイッチ30のオフ時 (1−1)駆動用エンジン回転数指令値演算 自車速V(t)と駆動トルク指令値dFC(t)を入力
として図9に示すような駆動用のスロットル開度推定マ
ップ541から一旦スロットル開度推定値TVO
ESTIを算出する。次に、切替スイッチ543では上
記で算出したスロットル開度推定値TVOESTIとア
クセルペダルセンサ90の出力APO(スロットル開度
に換算した値)を入力し、車速制御中断判定部620か
ら出力された車速制御中断信号が中断中となっている間
はアクセルペダルセンサ90の出力APOを、車速制御
中断信号が出力されていない(中断を中止)となってい
る間は、スロットル開度推定値TVOESTIをスロッ
トル開度として出力する。
【0044】さらに、切替スイッチ543を介して出力
されるスロットル開度と自車速V(t)とを入力し、
図10に示すような変速マップ544より求めたエンジ
ン回転数指令値NIN_COM_ACCに対して、回転
数LIMIT部545にて上限回転数制限処理(例え
ば、NIN_COM_ACC≦6400[rpm])を
施し、駆動用エンジン回転数指令値N
IN_COM_ACCを算出し、切替スイッチ547へ
出力する。
【0045】(1−2)制動用エンジン回転数指令値演
算 次に本発明の要点の一部である制動用エンジン回転数指
令値演算について説明する。前記駆動用のスロットル開
度推定マップ541とは別に、自車速V(t)と駆動
トルク指令値dFC(t)を入力として、スロットル全
閉時におけるエンジンブレーキ特性に所定のオフセット
量を考慮した制動用エンジン回転数指令値演算マップ5
42を用いてエンジン回転数指令値NIN COM
DECを演算する。具体的には、制動用エンジン回転数
指令値演算マップ542として、減速終了時には変速比
指令値が最highになるタイミングを早くするよう
に、かつ、減速開始時には減速のためのダウンシフトが
遅れるように、駆動トルク指令値D (t)と自車速
(t)から実測したエンジンブレーキ特性(スロッ
トル開度全閉、かつ燃料カット状態)に所定のオフセッ
ト量を付加した動作点のマップを用いる。このように所
定のオフセット量を施したマップを用いることにより、
減速終了時には早めに変速比指令値が最Highに到達
するようにし、減速開始時はダウンシフトのタイミング
を遅くすることができる。なお、後述する燃料カット状
態決定部640において、燃料をカットするか否かを決
定する際に、変速比指令値と実変速比との過渡応答時間
分だけ遅らせて燃料カット状態を切り替えるように構成
する場合には、上記オフセット量は付加しなくてもよ
い。勿論、両方の構成を併存させてもよい。
【0046】上記のようにして求めたエンジン回転数指
令値NIN_COM_DECに、回転数LIMIT部5
46にて上限回転数制限処理(例えば、N
IN_COM_D EC≦5000[rpm])を施し、
制動用エンジン回転数指令値NIN_CO M_DEC
算出し、切替スイッチ547へ出力する。
【0047】(1−3)変速比指令値演算 切替スイッチ547では駆動トルク指令値dFC(t)
の符号が正の場合には、駆動用エンジン回転数指令値N
IN_COM_ACCを、負の場合には、制動用エンジ
ン回転数指令値NIN_COM_DECを選択し、最終
エンジン回転数指令値NIN_COMとする。そして、
変速比指令値演算部548にて、自車速V(t)と最
終エンジン回転数指令値NIN_COMを入力として、
変速指令値DRATIO(t)を下式から求める。 DRATIO(t)=NIN_COM・2π・Rt/〔6
0・V(t)・Gf〕 ただし、Gfはファイナルギア比である。
【0048】(1−4)駆動トルク指令値dFC(t)
制動駆動切替時 ローパスフィルタ部549は、駆動トルク指令値dFC
(t)を入力し、駆動トルク指令値dFC(t)の符号が
正から負に切替わる場合と、負から正に切替わる場合と
もに、急激なトルク変動、すなわち変速制御実行時に変
速比の急変を防止するため、変速比指令値DRATIO
(t)に対して、下式に示すローパスフィルタ処理を行
う。
【0049】DRATIOLPF(t)=DRATIO
(t)/(Tnc・s+1) ただし、Tncはローパスフィルタの時定数(0〜0.3
5sec:Tnc可変)である。
【0050】ここで、 (A)駆動トルク指令値dFC(t)が正(駆動)から負
(制動)へ切替わった 場合 時定数Tncの切替え(0→0.35sec)を、下記
(B)の制動から駆動への切り替え時に比べて速く行
う。つまり、なるべく早くローパスフィルタの効果が効
きはじめるように530msの時間で時定数Tncを0
sec(ゼロ:ローパスフィルタを作動させていない状
態)から0.35secにする。
【0051】(B)駆動トルク指令値dFC(t)が負
(制動)から正(駆動)切替わった 場合 時定数Tncの切替え(0.35→0sec)をゆっく
り行う。つまり、ローパスフィルタの効果をなるべく長
く効かせるように、800msの時間をかけて時定数T
ncを0.35secから0sec(ゼロ:ローパスフ
ィルタを作動させない状態)にする。
【0052】このように、駆動トルク指令値d
FC(t)の正と負の符号切替り時には、ローパスフィ
ルタの時定数Tncを変更している。このように正(駆
動)では、ローパスフィルタの時定数を0としてローパ
スフィルタを効かさないようにし、負(制動)では、ロ
ーパスフィルタの時定数を0.35としてローパスフィ
ルタを効かせるようにしたのは、正(駆動)であれば、
スロットル開度によるトルク制御が限界に達した後に、
変速機よるトルク制御が行われることから、駆動トルク
指令値が大きく変化したとしても、スロットル制御側と
変速機側とで駆動トルクが分担されるため、変速機での
駆動トルクが大きくなることはないが、負(制動)で
は、スロットルが全閉になっている状態であるため、駆
動トルク指令値が大きく変化した場合は、変速機側でそ
の駆動トルクを分担しなければならず、変速ショックが
大きくなるのを防止するため、負(制動)では、ローパ
スフィルタを効かせるようにしている。したがって駆動
トルク指令値dFC(t)が正(駆動)から負(制動)
へ切替わる場合には、シフトダウンが行われるが、定速
走行中の無段変速機70の応答速度(後述の時定数T
CVT=0.5sec)では、応答速度が速すぎるた
め、エンジン回転数が急激に高くなる可能性があるが、
ローパスフィルタの効果を早く効き始めさせることによ
って、つまり変速比指令値DRATIO(t)に対する
応答速度をゆっくりさせることによって、エンジン回転
数の急上昇による騒音の発生を防ぐことが出来る。
【0053】また、駆動トルク指令値dFC(t)が負
(制動)から正(駆動)に切り替わる場合には、シフト
アップが行われるが、変速比指令値DRATIO(t)
が急激に変化しても、ローパスフィルタの効果が長く効
いているため、変速比指令値DRATIOLPF(t)
の変化を滑らかにできるので、変速ショックの発生を防
止することが出来る。
【0054】(2)コーストスイッチ30のオン時 コーストスイッチ30をオンにして車速指令最大値V
SMAXを下げている場合は、変速比指令値DRATI
O(t)として前回の変速比指令値DRATIO(t−
1)を保持する。そのため、コーストスイッチ30を連
続的にオンした場合でも、変速比指令値はコーストスイ
ッチ30をオフするまで前回値、つまりコーストスイッ
チ30のオン直前の値を保持するため、シフトダウンは
されない。したがって、設定車速を大きく下げた後にア
クセラレートスイッチ40により設定車速を戻す場合、
加速するためにスロットル開度は開く方向に制御されて
も、シフトダウンされていない状態ではエンジン回転数
が急激に高くなることはなく、運転者に与える騒音の発
生を防止できる。
【0055】図1の実変速比算出部550は、エンジン
回転センサ80がエンジンの点火信号から検出したエン
ジン回転数N(t)と、自車速V(t)とにより、下
式にしたがって、実変速比RATIO(t)を算出す
る。 RATIO(t)=N(t)/〔V(t)・Gf・2
π・Rt〕 図1のエンジントルク指令値算出部560は、駆動トル
ク指令値dFC(t)とRATIO(t)から、下式にし
たがって、エンジントルク指令値TECOM(t)を算
出する。 TECOM(t)=dFC(t)/〔Gf・RATIO
(t)〕。
【0056】次に、本発明の要点の一部である燃料カッ
ト状態決定部640について説明する。燃料カット状態
決定部640では、エンジントルク指令値TE
COM(t)から、以下の条件に基づき燃料カットを行
うか否かを判定する。 (1)非作動(解除)→作動 前回の演算結果が燃料カット非作動状態の場合、エンジ
ントルク指令値TE OM(t)が下記の式を満足して
いれば、燃料カット信号FC FLG=1として燃料カ
ットを行う。 TECOM(t)<TEFC ON ただし、TEFC ONは燃料カットを作動させる判断
を行なうしきい値であり、 TETVO >TEFC ON>TETVO −TE
OFS を満足し、かつ、変速比の過渡応答(変速比指令値に対
する実変速比の応答遅れ)を考慮した値に設定する。つ
まり、従来のしきい値(TETVO )よりは小さく
し、かつ、変速比指令値に対する実変速比の応答遅れの
大きさに逆に対応させた値(応答遅れが大きければより
小さく、小さければ比較的大きな値)を用いる。
【0057】なお、TETVO は、燃料カット作動
時で、かつ、スロットル全閉時におけるエンジントルク
(従来の燃料カット作動/解除のしきい値に相当する
値)であり、TEOFSは所定のオフセット量である。
【0058】(2)作動→解除 前回の演算結果が燃料カット作動状態にある場合、エン
ジントルク指令値TE COM(t)が下記の式を満足し
ていれば、燃料カット信号FC FLG=0として燃料
カットを解除する。 TECOM(t)>TEFC OFF ただし、TEFC OFFは、燃料カットを解除させる
判断を行なうしきい値であり、 TEFC OFF
TEFC ON を満足し、かつ、変速比の過渡応答を考
慮した値である。つまり、燃料カットのしきい値(TE
FC ON)よりは大きくし、かつ、応答遅れの大きさ
に正に対応させた値(応答遅れが大きければより大き
く、小さければ比較的小さな値)を用いる。上記のよう
に本実施例においては、燃料をカットするか否かを決定
する際にエンジントルク指令値と比較するしきい値とし
て、燃料カットを作動させる判断時には、燃料カット作
動時で、かつスロットル全閉時におけるエンジントルク
の値よりも小さな値であって、かつ、変速比指令値に対
する実変速比の応答遅れの大きさに逆に対応させた値を
用い、燃料カットを解除させる判断時には、前記燃料カ
ット作動時のしきい値よりも大きな値であって、かつ、
応答遅れの大きさに正に対応させた値を用いるように構
成している。
【0059】また、以下に示すような条件で燃料カット
を行うか否かを判定しても同様の効果を得ることができ
る。 (1)非作動(解除)→作動 前回の演算結果が燃料カット非作動状態の場合、エンジ
ントルク指令値TE OM(t)が下記の式を所定時間
F/Cのあいだ満足していれば、燃料カット信号FC
FLG=1として燃料カットを行う。 TECOM(t)<TETVO ただし、tF/Cは変速比の過渡応答を考慮した所定時
間である。
【0060】(2)作動→解除 前回の演算結果が燃料カット作動状態にある場合、エン
ジントルク指令値TE COM(t)が下記の式を所定時
間tF/Cのあいだ満足していれば、燃料カット信号F
C_FLG=0として燃料カットを解除する。 TECOM(t)>TETVO 上記のように、この実施例においては、燃料をカットす
るか否かを決定する際に、エンジントルク指令値の値が
燃料カット作動条件または解除条件に相当する値を所定
時間継続した後に燃料カットの作動または解除を行なう
ように構成している。
【0061】次に、図1の燃料制御装置650は、エン
ジントルク指令値TECOM(t)およびFC_FLG
(t)を入力し、エンジントルクがエンジントルク指令
値TECOM(t)を満足するように、燃料噴射量を演
算して燃料噴射弁(図示せず)を制御し、かつ、FC_
FLG(t)に応じて燃料カットの作動−解除を行う。
以上説明した燃料カット状態決定部640と、前記の制
動用エンジン回転数指令値演算マップ542を用いたこ
とによる効果を図16、図17を用いて説明する。図1
6は、減速→一定速→加速→減速といった走行パターン
を表わすタイムチャートであり、図17は各時間におけ
るエンジンの動作点を表わしている。まず、時点t
ら減速度が弱まり、一定速へ移行すると、駆動トルク指
令値が徐々に増加するため、変速比は最High(最も
高い変速段に相当:変速比は最小)へと向かってアップ
シフトを開始する。時点tで変速比指令値は最Hig
hへ到達し、さらに駆動トルク指令値が増加すると時点
において燃料カットが解除される。この際、従来は
変速比指令値が最Highになるのと燃料カット解除が
同時に行なわれるため、変速比指令値よりも遅れる実変
速比が最Highになる前に燃料カット解除が行なわれ
てしまうことになり、駆動力が急増してトルク段差によ
る突っ走り感が強くなってしまう。しかし、本発明にお
いては、前記のように燃料カットのしきい値が変速比の
過渡応答(変速比指令値に対する実変速比の応答遅れ)
を考慮した値に設定されており、或いは、制動用エンジ
ン回転数指令値演算マップ542において、変速比指令
値が早めに最Highにアップシフトするように修正さ
れているため、変速比指令値よりも遅れる実変速比が最
Highに到達してから燃料カットが解除されることに
なる。
【0062】時点tにおいて一定速→加速となり、駆
動トルク指令値はさらに増加するため、必要な駆動トル
クが得られるようにダウンシフトが開始される。時点t
を境に加速→減速に移行すると、駆動トルク指令値は
徐々に減少するため、変速比は一旦High側にアップ
シフトを開始し、さらに減少すると時点tにおいて燃
料カットが開始される。その際、前記のように燃料カッ
トが従来よりも変速比の過渡応答分だけ遅れて行われる
ように設定され、或いは、制動用エンジン回転数指令値
演算マップ542が減速のためのダウンシフトが遅れる
ように修正されているため、実変速比が最Highを保
持した状態で燃料カットが開始されることになる。さら
に駆動トルク指令値が減少し、時間tにおいてエンジ
ントルク指令値相当で(TETVO −TEOFS
以下になるとダウンシフトを開始し、時間tにおいて
必要とする駆動トルクが達成される。以上説明したよう
に、本発明においては、加速、減速する際の変速比が最
Highになっている状態で燃料カット作動−解除の切
り替えが行われる。したがって、燃料カットによって生
じる駆動軸トルクの段差を最小限に抑えることができ、
結果として運転性が改善される。
【0063】なお、上記の説明では、変速比指令値を用
いて制御を行なうため、変速比指令値と実変速比との応
答遅れが問題となった。したがって、変速比指令値の代
わりに実変速比を用いて燃料カット作動−解除の判断を
行なえば、応答遅れの影響を無くすことが出来る。具体
的には、燃料カット状態決定部640における前記燃料
カット作動−解除の判断において、図1の実変速比算出
部550で求めた実変速比が最highになっている条
件を含む(つまり実変速比が最highのときに燃料カ
ットの作動−解除を行なう)ように構成すればよい。
【0064】次に、図1の目標スロットル開度算出部5
70は、エンジントルク指令値TE COM(t)とエン
ジン回転数N(t)に基づいて、図11に示すような
エンジン全性能マップより、目標スロットル開度TVO
COMを算出し、スロットルコントローラ575へ出力
する。
【0065】スロットルコントローラ575は、目標ス
ロットル開度TVOCOM(t)を入力し、以下に示す
ようにして駆動信号指令値Duty(t)をスロットル
アクチュエータ60へ、スロットル開度相当値TVO
(t)を車速制御中断判定部620へ出力する。なお、
スロットル開度相当値TVO(t)は実際のスロットル
開度に相当する値であり、後述するようにモデルを用い
て演算した推定値である。
【0066】以下、スロットルコントローラ575を、
図14に示すスロットルコントローラ575のブロック
図を用いて説明する。制御対象であるスロットルアクチ
ュエータの制御モデルは、補償前駆動信号(Duty
比)指令値Duty_R(t)を操作量、スロットル開
度相当値TVO(t)を制御量としてモデル化すること
によって、下式に示す簡易線形モデルで表すことができ
る。 TVO(t)=(ka/s)・e−La・s・Duty_
R(t) ただし、ka:積分ゲイン(Duty100%時の開閉
速度)、La:無駄時間である。このように補償前駆動
信号(Duty比)指令値Duty_R(t)を入力と
し、スロットル開度相当値TVO(t)を出力とする制
御モデルは、1/sの形となるので積分特性を有するこ
とが分かる。
【0067】なお、制御対象の特性には、使用するアク
チュエータにより無駄時間Laが変わる非線形特性を有
するが、後述の近似ゼロイング手法による外乱推定器を
用いることにより、補償前駆動信号(Duty比)指令
値Duty_R(t)を入力とし、スロットル開度相当
値TVO(t)を出力とする制御モデルを、上式と同じ
式で表すことができる。
【0068】ここで、補償前駆動信号(Duty比)指
令値Duty_R(t)を入力とし、スロットル開度相
当値TVO(t)を出力とした場合の制御対象の応答特
性を、予め定めた一次遅れTaと無駄時間Laという要
素をもつ伝達特性Ga(s)の特性に一致させると、図
14に示すようなC(s)、C(s)及びC(s)
を用いて、以下のように定めることができる。ただし、
(s)、C(s)は近似ゼロイング手法による外乱
推定器を示し、外乱やモデル化誤差による影響を抑制す
るように働く補償器であり、C(s)はモデルマッチ
ング手法による補償器を示す。
【0069】 補償器C(s)=e−La・s/(Ta・s+1) 補償器C(s)=s/{ka・(Ta・s+1)} この時、外乱推定値dva(t)は、 dva(t)=C(s)・TVO(t)−C(s)・Dut
y_R(t) となる。
【0070】また、制御対象の無駄時間を無視して、規
範モデルを時定数Tbの一次ローパスフィルタとする
と、補償器C(s)は次に示すような定数となる。
【0071】補償器C(s)=1/(ka・Tb) 以上のC(s)、C(s)、C(s)の補償器によ
り、補償前駆動信号(Duty比)指令値Duty_R
(t)は次式によって算出される。 Duty_R(t)=C(s)・{TVOCOM(t)−
TVO(t)}−{C(s)・TVO(t)−C(s)・D
uty_R(t)} さらに、スロットルアクチュエータに負圧式アクチュエ
ータを用いた場合、負圧を作るバキュームモータのON
/OFF時やベントバルブ開閉時の摩擦など非線形要素
の影響を受け易いため、補償前駆動信号Duty比指令
値Duty_R(t)に対して図15に示すようなマッ
プを用いて非線形補償を施したバキューム(VAC)/
ベント(VENT)駆動信号Duty(t)をスロットル
アクチュエータ60に出力する。ここで補償前駆動信号
Duty比指令値Duty_R(t)からVAC/VE
NT駆動信号Duty(t)を算出する非線形補償マッ
プは、図15に示すようにDuty_R(t)≧0の場
合はVACモータ駆動信号を、Duty_R(t)<0
の場合はVENTバルブ駆動信号を出力する。
【0072】なお、負圧式アクチュエータは、負圧を動
力源として動作するものであり、そのための負圧はバキ
ュームモータを駆動して作ってもよいし、吸気管負圧を
用いることも出来る。なお、負圧式アクチュエータにお
いては、バキューム(VAC)のときはスロットルを開
き、ベント(VENT)のときはスロットルを閉じるよ
うに駆動する。
【0073】次に、図1のブレーキ圧指令値算出部63
0は、エンジン回転数N(t)に基づいて、図11に
示すエンジン全性能マップからスロットル全閉時のエン
ジンブレーキトルクTECOM’を求め、エンジンブレ
ーキトルクTECOM’とエンジントルク指令値TE
COM(t)から次式によってブレーキ圧指令値REF
PBRK(t)を算出し、ブレーキアクチュエータ50
へ出力する。 REFPBRK(t)=(TECOM−TECOM’)・
Gm・Gf/{4・(2・AB・RB・μB)} ただし、Gmは自動変速機の変速比、ABはホイルシリ
ンダ力(シリンダ圧×面積)、RBはディクスロータ有
効半径、μBはパッド摩擦係数である。
【0074】次に、車速制御の中断処理について説明す
る。図1の車速制御中断判定部620は、アクセルペダ
ルセンサ90で検出されたアクセル操作量APOを入力
し、アクセル操作量APOと所定値とを比較する。
【0075】この所定値は、スロットルアクチュエータ
の制御モデルを用いてスロットルコントローラ575に
て演算されたスロットル開度相当値TVO(t)であ
り、アクセル操作量APO(前記のようにスロットル開
度に換算した値)が、スロットル開度相当値TVO
(t)よりも大きくなった場合、つまり、運転者がアク
セルペダルを踏んだことによりスロットルアクチュエー
タ60によるスロットル開度以上にスロットルが開いた
場合には、車速制御中断信号を出力する。前記のよう
に、スロットル開度相当値TVO(t)は駆動信号から
スロットルアクチュエータの制御モデルを使って推定演
算したスロットル開度であるから、制御モデルに含まれ
るスロットルアクチュエータの応答特性(積分特性や無
駄時間)を考慮した現実のスロットル開度を得ることが
出来る。そして、この値を用いて定速走行制御中断の判
断(一時加速か否かの判断)を行うので、一時加速か否
かを精度良く判定することが出来、かつ、従来の所定値
以上の差を条件とした場合のように運転者による実際の
一時加速の判定が遅れるおそれもない。また、スロット
ルアクチュエータが負圧式アクチュエータである場合に
は、前記のように制御応答の遅れがより顕著(大きい)
であるため、本発明の効果がより大きい。
【0076】以上の制御に続いて、車速制御中断信号に
より、駆動トルク指令値演算部530、目標スロットル
開度算出部570は、それまでの演算を初期化する。
【0077】次に、図13に戻って、無段変速機70内
の構成を説明する。無段変速機70は、例えばいわゆる
CVT(Continuously Variable Transmission)であ
る。そして変速マップ73は自車速V(t)、アクセ
ル操作量APOを入力としてエンジン回転数指令値N
IN_COMを出力するものであり、車速コントローラ
500内の変速マップ544と同一特性のマップであ
る。
【0078】回転数LIMIT部74は、変速マップ7
3から出力されたエンジン回転数指令値NIN_COM
に対して、上限回転数制限処理(例えば、N
IN_COM_ DEC≦6400[rpm])を行い、
エンジン回転数指令値NIN_COMC VTを出力す
る。
【0079】変速比指令値演算部75は、自車速V
(t)とエンジン回転数指令値NIN _COMCVT
を入力して、下式によって変速指令値DRATIO
CVT(t)を求める。 DRATIOCVT(t)=NIN_COMCVT・2
π・Rt/(60・V(t)・Gf) 切替スイッチ71は、定速走行時に車速制御コントロー
ラ500から送られてくる変速比指令値DRATIO
LPF(t)と通常走行時に無段変速機70内で演算さ
れる変速比指令値DRATIOCVT(t)とを切替え
るものであり、この切替えは、図1のセットスイッチ2
0が押された際に車速指令最大値設定部520でセット
される車速制御中フラグ(セットスイッチ20が押され
たとき通常走行から定速走行に切替る)に応じて行われ
る。
【0080】ローパスフィルタ部72は、切替スイッチ
71で選択された変速比指令値と車速制御中フラグおよ
び車速制御中断判定部620から出力される車速制御中
断中信号を入力して、以下に示すように、走行状態に応
じてローパスフィルタの時定数を切替え、その結果の出
力信号をサーボ部76へ送って変速機を制御する。な
お、変速比指令値DRATIO(t)を入力とし、実変
速比を出力とした場合の変速比制御の伝達特性は、下式
のように、一次遅れ系の伝達特性Gr(s)で表すこと
ができる。 Gr(s)=1/(TCVT・s+1) ただし、TCVTは無段変速機70の変速時の応答特性
を決める時定数(所定範囲内の可変値)である。上記の
CVTが前記走行状態に応じて切替えられるローパス
フィルタの時定数に相当する。
【0081】切替の内容は次のとおりである。 (1)定速走行中、すなわち、車速指令最大値設定部5
20で判定される車速制御中フラグが制御中側で、か
つ、車速制御中断判定部620で判定される車速制御中
断フラグが中断中止側の場合。 この場合には或る決まった一定の緩やかな応答特性とし
たいため、無段変速機制御時定数TCVTを一定(例え
ばTCVT=0.5sec)に設定する。
【0082】(2)運転者が自らの操作で加速するた
め、アクセルペダルを踏み込み、車速制御が中断された
場合、すなわち、車速指令最大値設定部520で判定さ
れる車速制御中フラグが制御中側で、かつ、車速制御中
断判定部620で判定される車速制御中断フラグが中断
中止側から中断側へ切り替わった場合。 この場合は、加速のため無段変速機コントローラは一旦
急激にダウンシフト変速を行う。これは一般に、キック
ダウン変速と呼ばれ、その際、無段変速機制御時定数T
CVTを0.5secよりも速い0.2secに設定す
る。
【0083】(3)運転者が車速指令値最大値V
SMAXを越える自ら希望する車速まで加速し、車速制
御中断状態のまま、その車速で巡航した後、運転者によ
りアクセルペダルが戻された場合、すなわち、車速指令
最大値設定部520で判定される車速制御中フラグが制
御中側で、かつ、車速制御中断判定部620で判定され
る車速制御中断フラグが中断側で、かつ、アクセルペダ
ルが閉じる側に操作された場合。 この場合は、変速によるショックを防止するため、無段
変速機コントローラは無段変速機制御時定数TCVT
0.5secよりも遅い0.8secに設定する。
【0084】以上のように、無段変速機制御時定数T
CVTを走行状態に応じて切替えることにより、運転者
の感覚にあった変速特性を提供することができる。ま
た、変速機の動特性を決定する時定数TCVTを切り替
えることによって定速走行制御中断時と再開時における
応答性を向上させ、変速機の変速ショックを軽減するよ
うに構成しているので、変速制御マップが定速走行用の
1種だけで済むため、従来のように定速走行用と中断時
用(通常走行用)との2種を切り替えて使用するのに比
べて、メモリが少なくて済み、かつ、変速機用のマップ
と車速制御装置用のマップ544として同一特性のマッ
プを使用できるので、設計が容易になる。
【0085】また、車速制御中断判定部620は、アク
セル操作量AP0が所定値未満に戻ったときに車速制御
中断信号の出力を停止し、かつ、自車速V(t)が車
速指定最大値VSMAXよりも大きい場合には、減速要
求を駆動トルク指令値算出部530に出力する。そし
て、駆動トルク指令値算出部530は、車速制御中断判
定部620からの車速制御中断信号の出力が停止され、
かつ減速要求を入力した場合には、演算した駆動力指令
値dFC(t)を、スロットルで実現するように、目標
スロットル開度算出部570で算出されたスロットル開
度で減速制御されるが、スロットル全閉だけでは制動力
が足りない場合は、スロットルと変速比で実現するよう
に、降坂路、平坦路の別に関わらず、変速比指令値算出
部540から変速比指令値DRATIO(シフトダウン
要求)を出力して、無段変速機70のシフトダウン制御
を行い、制動力不足を補うように制御する。
【0086】また、駆動(この場合は制動)力指令値d
FC(t)が大きく、無段変速機のシフトダウンによる
制動力でも上限にある場合には、平坦路では通常ブレー
キにより制動力を補うが、降坂路では、駆動トルク指令
値算出部530からブレーキ圧指令値算出部630への
ブレーキ制御禁止信号Bを出力し、それによって降坂
路でのブレーキ制御を禁止している。このように制御す
る理由は次のとおりである。すなわち、降坂路ではブレ
ーキで減速を行うと連続してブレーキをかけることが必
要になり、ブレーキフェード等の問題を生じるおそれが
ある。そのため、上記のように降坂路ではスロットル開
度と無段変速機のシフトダウン制御による減速のみで必
要な制動力を得るように制御することにより、ブレーキ
を用いずに制動するように構成している。
【0087】以上のような方法により、運転者が一時的
にアクセルペダルを踏んで加速することによって定速走
行制御が中断した後、再び定速走行制御に復帰した場合
においても、変速機のシフトダウンによって、スロット
ル開度全閉制御のみの減速度よりも大きな減速度を得ら
れるようになるため、目標車速への収束時間を短くする
ことができる。また、無段変速機を使うことによって、
長い下り坂でも変速ショックが発生することなく、スロ
ットル開度全閉制御のみの減速度よりも大きく、かつ、
車速指令値変化量ΔVCOM(t)に基づいた駆動トル
クを実現するようにスロットルおよび変速比が制御され
るため、所定の減速度を保ったまま、スムーズに減速で
きるようになる。なお、通常の有段変速機ではシフトダ
ウン時にショックが生じるので、従来は上記のように減
速制御要求が大きい場合でもスロットル制御のみを行
い、変速機のシフトダウン制御はしていなかった。しか
し、無段変速機を用いればスムーズにシフトダウン出来
るので、上記のごとき制御を行うことにより、スロット
ル開度全閉制御のみの減速度以上の大きな減速度で円滑
に減速することができる。
【0088】次に、車速制御の中止処理について説明す
る。図1の駆動輪加速度算出部600は、自車速V
(t)を入力し、下式によって駆動輪加速度α
OBS(t)を演算する。 αOBS(t)=〔KOBS・s/(TOBS・s
s+KOBS)〕・V(t) ただし、KOBSは定数、TOBSは時定数である。な
お、上記の自車速V(t)は、前記のようにタイヤ
(駆動輪)の回転速度から算出した値であるから、この
値自体が駆動輪の回転速度に対応した値であり、上記の
駆動輪加速度αOBS(t)は駆動輪速度V(t)から
車速の変化量(駆動輪加速度)を求めた値になってい
る。
【0089】そして車速制御中止判定部610は、駆動
輪加速度演算部600で求めた駆動輪加速度α
OBS(t)と所定の加速度制限値α(この加速度は車
速の変化量に対応する値であり、例えば0.2G)とを
比較し、駆動輪加速度αOBS(t)が加速度制限値α
を超えた場合に、車速制御中止信号を出力する。この車
速制御中止信号により、駆動トルク指令値算出部530
および目標スロットル開度算出部570は、その演算を
初期化する。なお、車速制御が一旦中止されると、セッ
トスイッチ20を再度オンにするまで、車速制御は復帰
しない。
【0090】図1の装置は、車速指令値変化量決定部5
90で決定した車速指令値変化量ΔVCOM(t)に基
づいた車速指令値で車速を制御するシステムであるた
め、通常の状態では前記の車速指令値変化量制限値〔例
えば0.06G=0.021(km/h)/10(m
s)〕を超える車速変化は生じない。したがって駆動輪
加速度αOBS(t)が上記の車速指令値変化量制限値
に対応した値よりも大きい所定の加速度制限値α(例え
ば0.2G)を超えた場合というのは、駆動輪にスリッ
プが発生した可能性が高い。このように駆動輪加速度α
OBS(t)と予め定めた所定の加速度制限値αを比較
することにより、スリップ発生を検出することができ
る。そのため、TCS(トラクションコントロールシス
テム)等のスリップ抑制装置等で加速度センサを別途設
けたり、駆動輪と従動輪との回転数差を検出したりする
ことなく、通常の車速センサ(駆動輪の回転速度を検出
するセンサ)からの出力で駆動輪加速度αOBSを求め
ることにより、スリップ判断と、制御の中止判断を行う
ことができる。また、車速指令値変化量ΔV
COM(t)を大きくすることで目標車速への応答性を
向上させることができる。なお、駆動輪加速度αOBS
(t)と所定値との比較から定速走行制御中止を判断す
る代わりに、車速指令値変化量決定部590で演算して
いる車速指令値変化量ΔVCOM(t)と駆動輪加速度
αOBS(t)との差が所定値以上になった場合に制御
を中止させるようにしても良い。
【0091】また、図10の車速指令値決定部510に
おいて、自身で演算した車速指令値VCOM(t)が、
入力した自車速V(t)よりも高く、かつ、減速方向
に変化した場合(VSMAX<Vか否か)を判定す
る。そして、車速指令値VCOM(t)を自車速V
(t)もしくはそれ以下の所定の速度VCOM(t)
(例えば自車速から5km/hを引いた値)に設定する
とともに、図7に示した駆動トルク指令値算出部530
における、C(s)・V(t)−C(s)・d
FC(t)=d(t)の出力をゼロにするように、C
(s)とC(s)の積分器の初期値を自車速V(t)
とする。この結果C(s)の出力もC(s)の出力も
(t)となり、結果として外乱推定値d(t)は、
ゼロとなる。さらに、上述の制御を行うタイミングとし
て、VCOM(t)の変化率であるΔVCOM(t)が所
定値(0.06G)より減速側に大きかった場合とする。
これにより、不要な初期化(V(t)→VCOM(t)
の初期化と積分器の初期化)が減少するので、減速ショ
ックが少なくなる。上記のように車速指令値(目標車速
に到達するまでの時々刻々の制御指令値)が実車速より
も大きく、かつ、車速指令値の時間的変化が減速方向に
変化した場合に、車速指令値を実車速もしくはそれ以下
の所定の車速に変更することにより、迅速に目標車速に
収束させることが出来る。また、前記の設定した実車速
もしくはそれ以下の車速を用いて駆動トルク指令値算出
部530を初期化することにより、制御の継続性を保つ
ことができる。
【0092】なお、運転者が設定した先行車との目標車
間距離を保って走行するように、実車間距離を目標車間
距離に一致させるように制御する車速制御装置において
は、上記車速指令値が上記目標車間距離を保つように設
定されるが、この場合には、実車間距離が所定値以下
で、かつ、車速指令値変化量ΔVCOM(t)が減速側
に所定値(0.06G)より大きかった場合に、車速指
令値VCOM(t)の変更〔V(t)→V
COM(t)〕と駆動トルク指令値算出部530(具体
的にはその中の積分器)の初期化を行う。このように構
成することにより、迅速に目標車間距離に収束させるこ
とが出来るので、先行車に近寄り過ぎるというおそれが
なくなり、かつ、制御の継続性を保つことができる。ま
た、これにより、不要な初期化〔V(t)→ΔV
COM(t)の初期化と積分器の初期化)が減少するの
で、減速ショックが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車速制御装置の全体の構成を示すブロ
ック図。
【図2】横G車速補正量算出部580の構成を示すブロ
ック図。
【図3】自車速Vとローパスフィルタのカットオフ周
波数fcと関係を示す特性図。
【図4】車速補正量VSUB(t)を計算するための補
正係数と横Gの値Y(t)との関係を示す特性図。
【図5】固有振動数ωnSTRと自車速Vとの関係を
示す特性図。
【図6】自車速V(t)と車速指令最大値VSMAX
との偏差の絶対値と、車速指令値変化量ΔV
COM(t)との関係を示す特性図。
【図7】駆動トルク指令値演算部530の構成を示すブ
ロック図。
【図8】エンジン非線形定常特性マップの一例を示す
図。
【図9】スロットル開度推定マップの一例を示す図。
【図10】CVT変速マップの一例を示す図。
【図11】エンジン全性能マップの一例を示す図。
【図12】駆動トルク指令値演算部530の他の構成例
を示すブロック図。
【図13】変速比指令値算出部540と無段変速機70
の内容を示すブロック図。
【図14】スロットルコントローラ575の内容を示す
ブロック図。
【図15】バキューム(VAC)/ベント(VENT)駆
動信号Duty(t)を求める際に用いるマップ。
【図16】走行パターンを表わすタイムチャート。
【図17】各時間におけるエンジンの動作点を表わす特
性図。
【符号の説明】
10…車速センサ 20…セット
スイッチ 30…コーストスイッチ 40…アクセ
ラレートスイッチ 50…ブレーキアクチュエータ 60…スロッ
トルアクチュエータ 70…無段変速機 71…切替ス
イッチ 72…ローパスフィルタ部 73…変速マ
ップ 74…回転数LIMIT部 75…変速比
指令値演算部 76…サーボ部 80…エンジ
ン回転センサ 90…アクセルペダルセンサ 100…操舵角
センサ 500…車速制御部 510…車速
指令値決定部 520…車速指令最大値設定部 530…駆動
トルク指令値算出部 540…変速比指令値算出部 541…スロ
ットル開度推定マップ 542…制動用エンジン回転数指令値算出マップ 543…切替スイッチ 544…変速
マップ 545…回転数LIMIT部 546…回転
数LIMIT部 547…切替スイッチ 548…変速
比指令値演算部 549…ローパスフィルタ部 550…実変
速比算出部 560…エンジントルク指令値算出部 570…目標
スロットル開度算出部 575…スロットルコントローラ 580…横G
車速補正量算出部 581…操舵角信号LPF部 582…横G
算出部 583…車速補正量算出マップ 590…車速
指令値変化量決定部 600…駆動輪加速度算出部 610…車速
制御中止判定部 620…車速制御中断判定部 630…ブレ
ーキ圧指令値算出部 640…燃料カット状態決定部 650…燃料
制御装置 V(t)…自車速 VSMAX
…車速指令最大値 θ(t)…操舵角 V
SUB(t)…車速補正量 θLPF(t)…操舵角LPF値 V
COM(t)…車速指令値 ΔVCOM(t)…車速指令値変化量 d
FC(t)…駆動トルク指令値 d(t)…外乱推定値 d(t)’…駆動トルク指令値補正量 dFA(t)…実駆動トルク C(s)
…前置補償器 C(s)…規範モデル演算部 dFC1(t)…基準駆動トルク指令値 C(s)、C(s)、C(s)…補償器 C(s)’…フィードバック補償器 s…微分演算子 fc…LPF
のカットオフ周波数 Y(t)…横Gの値 ψ…ヨーレ
イト ωnSTR…操舵角に対する車両応答の固有振動数 αOBS(t)…駆動輪加速度 TVOESTI…スロットル開度推定値 TVOCOM…目標スロットル開度 APO…
アクセル操作量 NIN_COM…エンジン回転数指令値 DRATIO(t)…変速比指令値 TCVT…無
段変速機制御時定数 TECOM(t)…エンジントルク指令値 TECOM’…エンジンブレーキトルク FC
LG…燃料カットフラグ REFPBRK(t)…ブレーキ圧指令値 B…ブ
レーキ制御禁止信号
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 29/00 F02D 29/00 C H 35/00 362 35/00 362L 41/12 330 41/12 330J 330L Fターム(参考) 3G084 BA13 BA32 CA06 DA18 EA11 EB08 EB12 EC03 FA05 FA10 3G093 AA06 BA03 CA06 CB07 DA01 DA06 DB05 EA05 EB03 FA07 FA10 FA11 3G301 HA01 HA06 JA11 KA16 MA24 NB12 NC02 ND02 NE21 PE01A PF01Z PF03Z PF08A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】運転者の操作量および車両状態に基づいて
    駆動トルク指令値を算出する駆動トルク指令値算出手段
    と、 自車の走行速度を検出する自車速検出手段と、 エンジンブレーキ特性に基づいて前記駆動トルク指令値
    を達成するためのエンジントルク指令値と変速比指令値
    とを算出する配分演算手段と、 前記エンジントルク指令値に基づいてエンジンに噴射す
    る燃料をカットするか否かを決定する燃料カット状態決
    定手段と、 前記エンジントルク指令値と前記燃料カット状態決定手
    段の信号に基づいて前記エンジントルク指令値を達成す
    るようにエンジンに燃料供給を行ない、かつ、燃料カッ
    トを行なう燃料制御手段と、 前記変速比指令値を達成するために自動変速機を制御す
    る変速比制御手段と、を備え、 前記配分演算手段は、前記駆動トルク指令値と前記自車
    の走行速度検出値とに基づいて実測したエンジンブレー
    キ特性に所定のオフセット量を付加した結果を用いて前
    記エンジントルク指令値と前記変速比指令値とを算出す
    るものである、ことを特徴とする車両用駆動力制御装
    置。
  2. 【請求項2】前記配分演算手段は、減速終了時には変速
    比指令値がもっとも小さな変速比になるタイミングを早
    くするように、かつ、減速開始時には減速のためのダウ
    ンシフトが遅れるように、前記駆動トルク指令値と前記
    自車の走行速度検出値とから実測したエンジンブレーキ
    特性に所定のオフセット量を付加した動作点の制動用エ
    ンジン回転数指令値演算マップを用いてエンジン回転数
    指令値を演算し、その結果を用いて前記エンジントルク
    指令値と前記変速比指令値とを算出するものである、こ
    とを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動力制御装
    置。
  3. 【請求項3】運転者の操作量および車両状態に基づいて
    駆動トルク指令値を算出する駆動トルク指令値算出手段
    と、 自車の走行速度を検出する自車速検出手段と、 エンジンブレーキ特性に基づいて前記駆動トルク指令値
    を達成するためのエンジントルク指令値と変速比指令値
    とを算出する配分演算手段と、 前記エンジントルク指令値に基づいてエンジンに噴射す
    る燃料をカットするか否かを決定する燃料カット状態決
    定手段と、 前記エンジントルク指令値と前記燃料カット状態決定手
    段の信号に基づいて前記エンジントルク指令値を達成す
    るようにエンジンに燃料供給を行ない、かつ、燃料カッ
    トを行なう燃料制御手段と、 前記変速比指令値を達成するために自動変速機を制御す
    る変速比制御手段と、を備え、 前記燃料カット状態決定手段は、燃料をカットするか否
    かを決定する際に、前記変速比指令値と実変速比との過
    渡応答時間分だけ遅らせて燃料カット状態を切り替える
    ものであることを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  4. 【請求項4】前記燃料カット状態決定手段は、燃料をカ
    ットするか否かを決定する際に前記エンジントルク指令
    値と比較するしきい値として、燃料カットを作動させる
    判断時には、燃料カット作動時で、かつスロットル全閉
    時におけるエンジントルクの値よりも小さな値であっ
    て、かつ、変速比指令値に対する実変速比の応答遅れの
    大きさに逆に対応させた値を用い、燃料カットを解除さ
    せる判断時には、前記燃料カット作動時のしきい値より
    も大きな値であって、かつ、応答遅れの大きさに正に対
    応させた値を用いることを特徴とする請求項3に記載の
    車両用駆動力制御装置。
  5. 【請求項5】前記燃料カット状態決定手段は、燃料をカ
    ットするか否かを決定する際に、エンジントルク指令値
    の値が燃料カット作動条件または解除条件に相当する値
    を所定時間継続した後に燃料カットの作動または解除を
    行なうように構成したことを特徴とする請求項3に記載
    の車両用駆動力制御装置。
  6. 【請求項6】運転者の操作量および車両状態に基づいて
    駆動トルク指令値を算出する駆動トルク指令値算出手段
    と、 自車の走行速度を検出する自車速検出手段と、 エンジンブレーキ特性に基づいて前記駆動トルク指令値
    を達成するためのエンジントルク指令値と変速比指令値
    とを算出する配分演算手段と、 前記エンジントルク指令値に基づいてエンジンに噴射す
    る燃料をカットするか否かを決定する燃料カット状態決
    定手段と、 前記エンジントルク指令値と前記燃料カット状態決定手
    段の信号に基づいて前記エンジントルク指令値を達成す
    るようにエンジンに燃料供給を行ない、かつ、燃料カッ
    トを行なう燃料制御手段と、 前記変速比指令値を達成するために自動変速機を制御す
    る変速比制御手段と、を備え、 前記燃料カット状態決定手段は、燃料カットの作動−解
    除を行なう条件として、実変速比がもっとも小さな変速
    比になっている条件を含むことを特徴とする車両用駆動
    力制御装置。
JP2001071617A 2001-03-14 2001-03-14 車両用駆動力制御装置 Pending JP2002276449A (ja)

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