JP3603748B2 - 車速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の速度を制御する車速制御装置に関し、例えば設定された目標車速で自動的に走行するように制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両がカーブ路を走行する際に、横加速度が或る値以上になると車両が横滑りするおそれがある。そのため、例えば特開平11−314537号公報に記載された従来の車速制御装置においては、所定の横加速度を設定し、実際の横加速度が上記の設定値を超えないように車速を制御するように構成している。そして上記のような横加速度による制限を加えた車速制御が終了した後は、所定の加速度で目標車速まで自車速を戻すように構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、曲線路にはカーブが1つしかない場合と連続する場合(例えばS字カーブ)とがあり、従来のように目標車速への復帰の際の設定加速度が一定であると、例えば、単一カーブの場合を想定して迅速な目標車速への収束を図るために設定加速度を大きくすると、連続したカーブでは加速が大き過ぎることがあり、逆に、いわゆるS字路のような連続したカーブを想定して緩やかに目標車速への収束を図るために設定加速度を小さくすると、単一カーブの場合には、加速が緩慢になり、運転者に違和感を与えてしまう、という問題があった。
【0004】
本発明は上記のごとき従来技術の問題を解決するためになされたものであり、連続カーブ路でも加速が過大にならず、また、単一カーブ路でも加速が緩慢になって運転者に違和感を与えるおそれのない車速制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明においては特許請求の範囲に記載するように構成している。すなわち、本発明においては車両がカーブ路を走行中か否かを判断し、カーブ路の走行が終了したと判断した後の車速制御の加速度を、カーブ路走行終了時の車速が小さいほど、またはカーブ路走行開始時から終了時までの車速の減速量(以下、「自車速の偏差」と記載)が大きいほど、小さくするように構成している。
【0006】
カーブ路終了時に車速が低いか、またはカーブ路走行開始時と終了時との自車速の偏差が大きい場合は、そのカーブ路の曲率半径が小さい(カーブがきつい)ために車速が落ち込んだと推定される。そしてカーブ路が連続している場合(例えばS字カーブ等)には上記のような状況になる可能性が大きい。そのため、カーブ路の走行が終了したと判断した後の車速制御の加速度を、カーブ路走行終了時の車速が小さいほど、またはカーブ路走行開始時と終了時との自車速の偏差が大きいほど、小さくすることにより、適切な加速制御を行って目標加速に収束することができる。
【0007】
具体的には、自車速が小さいと車速指令値変化量が小さくなる特性で設定するか、或いは、自車速の偏差が大きいと前記車速指令値変化量が小さくなる特性で設定する。このように、カーブ路終了時の車速が低いか、または自車速の偏差が大きい場合には、車速指令値の変化量を小さくして車速指令値による車速制御の加速度を小さくする。これにより、連続したカーブ(S字路)において、カーブを回る毎に大きな加速が行われることがなくなる。同様に、カーブ路終了時に車速が高いか、または自車速の偏差が小さい場合には、単一のカーブであると判断し、車速指令値の変化量を大きくする。これにより、単一のカーブ終了後には直ちに加速されるので、加速が緩慢になって運転者に違和感を与えるというおそれがなくなる。
なお、単なる自車速よりも、カーブ路走行開始時と終了時との自車速の偏差の方が、カーブのきつさがよく判るので、より適切な加速制御が可能になる。
【0008】
【発明の効果】
本発明においては、カーブ路終了時の車速、またはカーブ路走行開始時と終了時との自車速の偏差によってカーブ路の特性を推定することができるので、カーブ路終了時の車速が低いか、または自車速の偏差が大きい場合には、車速指令値の変化量を小さくして車速指令値による車速制御の加速度を小さくすることにより、連続したカーブ(S字路)において、カーブを回る毎に大きな加速が行われることがなくなる。またカーブ路終了時に車速が高いか、または自車速の偏差が小さい場合には、単一のカーブであると判断し、車速指令値の変化量を大きくすることにより、単一のカーブ終了後には直ちに加速されるので、加速が緩慢になって運転者に違和感を与えるというおそれがなくなる、という効果がられる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、車速制御装置の全体の構成について説明する。
図1は、本発明の車速制御装置の全体の構成を示すブロック図である。以下、図1における各ブロックの構成と動作を説明する。
まず、図示しないシステムスイッチをオンにすると装置全体の電源が投入され、待機状態となる。そしてこの状態においてセットスイッチ20がオンにされると制御が開始される。
車速制御部500(破線で囲んだ部分)は、マイクロコンピュータとその周辺部品から構成される。なお、車速制御部500内部のブロックはコンピュータの演算内容をブロックに別けて表示したものである。
【0010】
車速制御部500内において、車速指令値決定部510では、制御周期10ms毎に車速指令値VCOM(t)を算出する。なお、(t)を付した符号は時間的に変化する値であることを意味する。ただし、図面では(t)を省略して表示していることもある。
【0011】
車速指令最大値設定部520は、セットスイッチ20が押されたときの自車速VA(t)を車速指令最大値VSMAX(目標車速)として設定する。なお、自車速VA(t)は車速センサ10がタイヤの回転数から検出した自車両の実際の速度である。また、上記のようにセットスイッチ20によって車速指令最大値VSMAXが設定された後、コーストスイッチ30が1回押される毎に、車速指令最大値設定部520は、車速指令最大値VSMAXを5km/hずつ低い値に設定する。すなわち、n回押すとn×5km/h(押し続けた場合は押している時間をtとすると、例えばt/10ms×5km/h)だけ低い値に設定される。また、上記のようにセットスイッチ20によって車速指令最大値VSMAXが設定された後、アクセラレートスイッチ40が1回押される毎に、車速指令最大値設定部520は、車速指令最大値VSMAXを5km/hずつ高い値に設定する。すなわち、n回押すとn×5km/h(押し続けた場合は押している時間をtとすると、例えばt/10ms×5km/h)だけ高い値に設定される。
【0012】
横G車速補正量算出部580は、操舵角センサ100から出力されるハンドルの操舵角θ(t)と自車速VA(t)とを入力し、後述する車速指令値を横方向の加速度(以下、横Gと記す)に応じて補正するための車速補正量VSUB(t)を演算する。なお、横G車速補正量算出部580は、具体的には図2に示すように、操舵角信号ローパスフィルタ(以下、操舵角信号LPF部と記す)581、横G算出部582、車速補正量算出マップ583より構成される。
【0013】
まず、操舵角信号LPF部581は、自車速VA(t)と操舵角θ(t)を入力し、操舵角LPF値θLPF(t)を演算する。θLPFは以下の式で表される。
θLPF(t)=θ(t)/(TSTR・s+1)
ただし、sは微分演算子(以下の式でも同)
ここで、LPFの時定数TSTRは、TSTR=1/(2π・fc)
であらわされ、LPFのカットオフ周波数fcは、図3に示すような自車速VA(t)に対するカットオフ周波数fcのマップによって決定される。このマップは、高車速域ほどカットオフ周波数fcが低く設定されている。例えば50km/hに比べて100km/hの方が低い値をとる。
【0014】
横G算出部582は、操舵角LPF値θLPF(t)と自車速VA(t)を入力し、以下の式に従って横Gの値YG(t)を算出する。
YG(t)={VA(t)2・θLPF(t)}/{N・W・〔1+A・VA(t)2〕}
ただし、Wは車両のホイルベース、Nはステアリングギア比、Aはスタビリティファクタである。
【0015】
なお、上記の式は、操舵角から横Gを検出する場合を示したが、ヨーレイトセンサを使用してヨーレイトψ(t)にローパスフィルタを施して横Gを検出する場合は下記の式を用いればよい。
YG(t)=VA(t)・ψLPF
ψLPF=ψ(t)/(TYAW・s+1)
ただし、TYAWはローパスフィルタの時定数であり、自車速VA(t)が大きな値となるほど大きな値をとる。
【0016】
車速補正量算出マップ583は、横Gに応じて車速指令値を補正するための車速補正量VSUB(t)を算出する。車速補正量VSUB(t)は、横Gによって決まる補正係数に所定の車速指令値変化量制限値〔例えば0.021(km/10ms)=0.06G〕を乗じて算出する。なお、上記の車速指令値変化量制限値の値は、後記図6に示す車速指令値変化量ΔVCOM(t)の最大値に等しい。
VSUB(t)=補正係数×0.021(km/10ms)
後述するように、最終的に車速を制御する値となる車速指令値VCOM(t)を演算する際には、上記の車速補正量VSUB(t)を減算項として付加している。したがって車速補正量VSUB(t)の値が大きいほど、車速指令値VCO M(t)は制限されることになる。
【0017】
上記の補正係数は、図4に示すように横Gの値YG(t)が大きいほど大きくなる。これは、横Gが大きいほど車速指令値VCOM(t)の変化に大きな制限を設けるためである。ただし、図4に示すように横Gが0.1G以下の場合は、車速指令値の補正の必要がないと判断して補正係数をゼロとしている。また、横Gが0.3G以上となる場合は、通常の使用では発生しない値である上に、横G検出値が誤って大きくなった場合に補正量が過大となることを防ぐため、0.3G以上は補正係数を一定(例えば2)にしている。
【0018】
後記車速指令値決定部510で詳細を説明するように、前記のアクセラレートスイッチ40の操作によって目標車速が上昇した場合、すなわち、加速が要求された場合には、現在の自車速VA(t)に、車速指令値変化量ΔVCOM(t)を加算し、車速補正値VSUB(t)を減算することによって車速指令値VCOM(t)を算出している。したがって、車速指令値変化量ΔVCOM(t)が車速補正値VSUB(t)より大であれば加速し、小であれば減速することになる。そして前記のように車速補正値VSUB(t)は、車速指令値変化量制限値(車速指令値変化量の最大値)に図4に示すような補正係数を乗算して求めているので、例えば車速指令値変化量制限値=車速指令値変化量の場合には、補正係数が1のとき(図4の例ではYG(t)=0.2の場合)には加速分と減速分とが等しくなって現在の車速が維持される。つまり、この例では、横Gの値YG(t)が0.2より小の場合には加速され、大の場合には減速されることになる。また、前記のコーストスイッチ30の操作によって目標車速が低下した場合、すなわち、減速が要求された場合には、現在の自車速VA(t)から車速指令値変化量ΔVCOM(t)と車速補正値VSUB(t)とを減算することによって車速指令値VCOM(t)を算出している。したがってこの場合には常に減速することになるが、減速の程度は車速補正値VSUB(t)が大きいほど、すなわち横Gが大きいほど大きくなる。なお、車速指令値変化量制限値についての上記の値0.021(km/10ms)は、高速道路での使用を想定した値である。
【0019】
上述したように、車速補正値VSUB(t)は、横Gに応じた補正係数と車速指令値変化量制限値との積により求め、横Gが大きくなると減算項(車速補正値)の値が大きくなって横Gが大きくならないように車速が制御される。しかし、図2の操舵角信号LPF部581で説明したように、高車速域ほど、カットオフ周波数fcを低くしているので、LPFの時定数TSTRは大きくなり、操舵角LPF値θLPF(t)が小さくなって、横G算出部582で推定される横Gも小さくなり、その結果、車速補正量算出マップ583を介して得られる車速補正値VSUB(t)が小さくなるため、操舵角による車速指令値への補正(加速減少方向への補正)がかかりにくくなる。
【0020】
この点について詳述すると、操舵角に対する車両応答の固有振動数ωnSTRの特性は、以下の式で示される。
ωnSTR=(2W/VA)√〔Kf・Kr・(1+A・VA 2)/mV・I〕
ただし、Kf、Krは前後輪タイヤコーナリングパワー(1輪分)、Wはホイールベース、mVは車両質量、Aはスタビリティファクタ、Iは車両ヨー慣性モーメントである。
固有振動数ωnSTRの特性は、図5に示すように車速が上がるに従って固有振動数ωnSTRが低くなり、操舵角に対する車両応答性が悪くなるのに対し、車速が下がるに従って固有振動数ωnSTRが高くなり、操舵角に対する車両応答性が良くなることがわかる。つまり、高車速域ほど、操舵を行っても横Gが発生しにくく、また低車速域程、少しの操舵でも横Gが発生しやすくなる。そのため、図3に示したように高車速域程カットオフ周波数fcを低くすることで、応答性を遅くして操舵角による車速指令値に対する補正がかかりにくくしている。
次に本発明の要点である車速指令値変化量決定部590について説明する。 図1の車速指令値変化量決定部590は、自車速VA(t)と車速指令最大値VSMAXとの偏差の絶対値に基づき、図6に示すマップにより車速指令値変化量ΔVCOM(t)を算出する。このマップは、偏差の絶対値が或る範囲内(図6中の範囲B)では、車速制御中止判定部610で述べる加速度制限値αを超えない程度に、絶対値が大きいほど車速指令値変化量ΔVCOM(t)を大きくして、なるべく速やかに加速または減速する。そして偏差の絶対値が小さいほど加速度感が損なわれない程度に、車速指令値変化量ΔVCOM(t)を小さくして、車速指令最大値VSMAXをオーバーシュートしないようにしている。偏差の絶対値が大きい範囲(図6中の範囲A)では、加速度制限値αを超えない値で一定値(たとえば0.06G)とする。また、小さい範囲(図6中の範囲C)では一定値(たとえば0.03G)とする。
【0021】
さらに、車速指令値変化量決定部590では、前記の横G車速補正量算出部580から出力される車速補正値VSUB(t)をモニタしており、車速補正値VSUB(t)の値がゼロから一旦ゼロ以外になった後に再びゼロに戻った場合には、カーブ路の走行が終了したと判定するとともに、自車速VA(t)と車速指令最大値VSMAXが等しくなったかどうかを検出している。
そして、カーブ終了と判定された場合は、上述した自車速VA(t)と車速指令最大値VSMAXとの偏差の絶対値に基づいて図6を使用して車速指令値変化量ΔVCOM(t)を決定することに代えて、カーブが終了したと判定された時の自車速VA(t)から車速指令値変化量ΔVCOM(t)を決定する。その時の特性は図6と同様な傾向を示す特性を用いる。すなわち、図6の横軸を、|VA(t)―VSMAX|の代わりに、自車速VA(t)に変更したマップ(図示省略)を用い、自車速VA(t)が小さいほど車速指令値変化量ΔVCOM(t)は小さな値となるように設定された特性になっている。そして、この処理は、自車速VA(t)と車速指令最大値VSMAXが等しくなると終了する。
【0022】
なお、カーブが終了したと判定された時の実際の自車速VA(t)から車速指令値変化量ΔVCOM(t)を決定する上述した例に代えて、車速補正値VSUB(t)がゼロ以外の値になった場合に、カーブ路走行が開始された判定し、その時の自車速VA(start)を予め記憶しておき、かつカーブ路が終了したと判定されたときの自車速VA(end)との差ΔVA=VA(start)―VA(end)(すなわち車速指令値の補正による車速落ち込み量)の大きさから車速指令値変化量ΔVCOM(t)を決定しても良い。この時の特性は図6と逆の傾向を示す特性を用いる。すなわち、図6の横軸を、|VA(t)―VSMAX|の代わりに、車速差ΔVAに変更したマップ(図示省略)を用い、車速差ΔVAが大きいほど車速指令値変化量ΔVCOM(t)が小さな値をとるように設定されている。なお、この処理は、自車速VA(t)と車速指令最大値VSMAXが等しくなると終了する。
【0023】
カーブ路走行時には、横Gの値が過大にならないように車速指令値が補正されるので、一般に車速が低下する。そのため上記のように、カーブ路の走行が終了し、車速が落ち込んだ後は、カーブ路終了時の自車速VA(t)、またはカーブ路開始時と終了時(車速指令値の補正により車速が落ち込む前と後)の車速差ΔVAの大きさに応じて、車速指令値変化量ΔVCOM(t)を変更するように構成している。
【0024】
なお、カーブ路終了時に車速が低いか、または車速差ΔVAが大きい場合は、そのカーブ路の曲率半径が小さい(カーブがきつい)ために車速が落ち込んだと推定される。そしてカーブ路が連続している場合(例えばS字カーブ等)には上記のような状況になる可能性が大きい。そのため、カーブ路終了時の車速が低いか、または車速差ΔVAが大きい場合には、車速指令値変化量ΔVCOM(t)を小さくして車速指令値による車速制御の加速度を小さくする。これにより、連続したカーブ(S字路)において、カーブを回る毎に大きな加速が行われることがなくなる。同様に、カーブ路終了時に車速が高いか、または車速差ΔVAが小さい場合には、単一のカーブであると判断し、車速指令値変化量ΔVCOM(t)を大きくする。これにより、単一のカーブ終了後には直ちに加速されるので、加速が緩慢になって運転者に違和感を与えるというおそれがなくなる。
以上が本発明の要点の説明である。
【0025】
次に、図1の車速指令値決定部510は、自車速VA(t)、車速補正値VS UB(t)、車速指令値変化量ΔVCOM(t)および車速指令最大値VSMAXを入力し、以下のようにして車速指令値VCOM(t)を算出する。
(1)車速指令最大値VSMAXが自車速VA(t)より大きい場合、つまり、アクセラレートスイッチ40(またはリジュームスイッチ)の操作による加速要求があった場合
VCOM(t)=min〔VSMAX、VA(t)+ΔVCOM(t)−VSUB(t)〕
つまり、車速指令最大値VSMAXとVA(t)+ΔVCOM(t)−VSUB(t)とのうちの小さい方を選択して車速指令値VCOM(t)とする。
(2)VSMAXとVA(t)が等しい場合、つまり、一定車速を維持している場合
VCOM(t)=VSMAX−VSUB(t)
つまり、車速指令最大値VSMAXから車速補正値VSUB(t)を減算して車速指令値VCOM(t)とする。
(3)車速指令最大値VSMAXが自車速VA(t)より小さい場合、つまり、コーストスイッチ30の操作による減速要求があった場合
VCOM(t)=max(VSMAX、VA(t)−ΔVCOM(t)−VSUB)
つまり、車速指令最大値VSMAXとVA(t)−ΔVCOM(t)−VSUBとのうちの大きい方を選択して車速指令値VCOM(t)とする。
上記のようにして車速指令値VCOM(t)が決定され、これに応じて車速を制御する。
【0026】
次に、駆動トルク指令値算出部530は、車速指令値VCOM(t)と自車速VA(t)を入力し、以下に示すようにして駆動トルク指令値dFC(t)を演算する。なお、図7は駆動トルク指令値算出部530の構成の一例を示すブロック図である。
まず、車速指令値VCOM(t)を入力とし、自車速VA(t)を出力とした場合の伝達特性GV(s)は、下式で表すことができる。
GV(s)=1/(TV・s+1)・e(−Lv・s)
ただし、TVは1次遅れ時定数、LVはパワートレイン系の遅れによる無駄時間である。
【0027】
また、制御対象の車両モデルは、駆動トルク指令値dFC(t)を操作量とし、自車速VA(t)を制御量としてモデル化することによって、車両のパワートレインの挙動は下式に示す簡易線形モデルで表すことができる。
VA(t)=1/(mV・Rt・s)e(−Lv・s)・dFC(t)
ただし、Rtは、タイヤの有効回転半径、mVは車両質量である。
このように駆動トルク指令値dFC(t)を入力とし、自車速VA(t)を出力とする車両モデルは、1/sの形となるので積分特性を有することになる。
【0028】
なお、制御対象の特性にはパワートレイン系の遅れにより無駄時間LVも含まれ、かつ、使用するアクチュエータやエンジンによって無駄時間LVの値が変化する非線形特性が、後記のごとき近似ゼロイング手法による外乱推定器を用いることにより、駆動トルク指令値dFC(t)を入力とし、自車速VA(t)を出力とする車両モデルは、上記と同じ式で表すことができる。
【0029】
ここで、車速指令値VCOM(t)を入力とし、自車速VA(t)を出力とした場合の制御対象の応答特性を、予め定めた一次遅れTVと無駄時間LV要素をもつ伝達特性GV(s)の特性に一致させると、図7に示すようなC1(s)、C2(s)およびC3(s)を用いて、以下のように定めることができる。ただし、C1(s)、C2(s)は近似ゼロイング手法による外乱推定器を示し、外乱やモデル化誤差による影響を抑制するように働く補償器であり、C3(s)はモデルマッチング手法による補償器を示す。
補償器C1(s)=e(−Lv・s)/(TH・s+1)
補償器C2(s)=(mV・Rt・s)/(TH・s+1)
このとき、外乱推定値dV(t)は、
dV(t)=C2(s)・VA(t)−C1(s)・dFC(t)
となる。
【0030】
また、制御対象の無駄時間を無視して、規範モデルGV(s)を時定数TVの1次ローパスフィルタとすると、補償器C3(s)は次のような定数となる。
補償器C3(s)=mV・Rt/TV
以上のC1(s)、C2(s)、C3(s)の補償器により、駆動トルク指令値dFC(t)は次式によって算出される。
dFC(t)=C3(s)・{VCOM(t)−VA(t)}−{C2(s)・VA(t)−C1(s)・dFC(t)}
上記の駆動トルク指令値dFC(t)に基づいて駆動トルクを制御する。すなわち、図8に示すような予め計測されたエンジン非線形定常特性マップを用いて駆動トルク指令値dFC(t)に実駆動トルクdFA(t)を一致させるようなスロットル開度指令値を算出し、また、エンジンの負の駆動トルクでは足りない場合には変速機やブレーキで補うように分配する。このように、スロットル開度、変速機、ブレーキをコントロールすることにより、エンジン非線形定常特性を線形化することができる。
【0031】
なお、無段変速機70が、ロックアップ付き流体コンバータを有している場合には、無段変速機70のコントローラからロックアップ状態信号LUSを入力し、それによってアンロックアップ状態であると判断された場合には時定数TH(図7のC1(s)、C2(s)の分母に記載)を大きくする。これにより、車速制御フィードバック補正量(所望の応答特性を維持するためのフィードバックループの補正係数)が小さくなり、ロックアップ時に比べてアンロックアップ時に遅れる制御対象の応答特性に合わせることができ、ロックアップ時、アンロックアップ時ともに車速制御系の安定性が確保されるようになる。
【0032】
また、図7に示した駆動トルク指令値演算部530では、制御対象の伝達特性を補償するための補償器C1(s)および補償器C2(s)と設計者が定めた応答特性を達成するための補償器C3(s)で構成していたが、図12に示すように、設計者が定めた任意の応答特性になるように補償するための前置補償器CF(s)、設計者が定めた任意の応答特性を演算する規範モデル演算部CR(s)、および規範モデル演算部CR(s)の応答特性からのずれ量(目標車速−自車速)を補償するためのフィードバック補償器C3(s)’によって構成することもできる。
【0033】
前置補償器CF(s)は車速指令値VCOM(t)に対する実際の自車速VA(t)の伝達関数GV(s)を達成するために、下記の式で示すフィルタを用いて基準駆動トルク指令値dFC1(t)を演算する。
dFC1(t)=mV・RT・s・VCOM(t)/(TV・s+1)
規範モデル演算部CR(s)は、車速制御系の目標応答VT(t)を伝達関数GV(s)と車速指令値VCOM(t)から演算する。すなわち
VT(t)=GV(s)・VCOM(t)
である。
【0034】
フィードバック補償器C3(s)’は、目標応答VT(t)と実際の自車速VA(t)とに偏差が生じた場合に、この偏差をなくすように駆動トルク指令値補正量dV(t)’を演算する。すなわちdV(t)’は下記の式で示される。
dV(t)’=〔(KP・s+KI)/s〕〔VT(t)−VA(t)〕
ただし、KPはフィードバック補償器C3(s)’の比例制御ゲイン、KIはフィードバック補償器C3(s)’の積分制御ゲインである。なお、駆動トルク指令値補正量dV(t)’は前記図7で説明した外乱推定値dV(t)に相当する。
このとき、ロックアップ状態信号LUSによってアンロックアップ状態であると判断された場合には補正量dV(t)’が演算される。すなわち、
dV(t)’=〔(KP’・s+KI’)/s〕〔VT(t)−VA(t)〕
である。ただし、
KP’<KP
KI’<KI
であるため、フィードバックゲインは小さくなる。したがって、駆動トルク指令値dFC(t)は、基準駆動トルク指令値dFC1(t)と駆動トルク指令値補正量dV(t)’から、
dFC(t)=dFC1(t)+dV(t)’
と演算される。このようにロックアップ時に比べてアンロックアップ時にはフィードバックゲインを小さくしているため、駆動トルク指令値補正量の変化速度が小さくなり、ロックアップ時に比べてアンロックアップ時に遅れる制御対象の応答特性に合わせることができるので、ロックアップ時、アンロックアップ時ともに車速制御系の安定性が確保されるようになる。
【0035】
次に、図1のアクチュエータ駆動系について説明する。
変速指令値算出部540は、駆動トルク指令値dFC(t)、自車速VA(t)、コーストスイッチ30の出力およびアクセルペダルセンサ90の出力を入力し、以下のように変速指令値DRATIO(t)を演算して、無段変速機70へ出力する。
(1)コーストスイッチ30のオフ時
自車速VA(t)と駆動トルク指令値dFC(t)とに基づいて、図9に示すようなスロットル開度推定マップからスロットル開度推定値TVOESTIを算出する。次にスロットル開度推定値TVOESTIと自車速VA(t)とに基づいて、図10に示すようなCVT変速マップからエンジン回転数指令値NIN_COMを算出する。そして、変速指令値DRATIO(t)は、自車速VA(t)とエンジン回転数指令値NIN_COMより、下式から求める。
DRATIO(t)=NIN_COM・2π・Rt/〔60・VA(t)・Gf〕
ただし、Gfはファイナルギア比である。
【0036】
(2)コーストスイッチ30のオン時
コーストスイッチ30をオンにして車速指令最大値VSMAXを下げている場合は、変速指令値DRATIO(t)として前回の変速指令値DRATIO(t−1)を保持する。そのため、コーストスイッチ30を連続的にオンした場合でも、変速指令値はコーストスイッチ30をオフするまで前回値、つまりコーストスイッチ30のオン直前の値を保持するため、シフトダウンはされない。従って、設定車速を大きく下げた後にアクセラレートスイッチ40により設定車速を戻す場合、加速するためにスロットル開度は開く方向に制御されても、シフトダウンされていない状態ではエンジン回転数が急激に高くなることはなく、運転者に与える騒音の発生を防止できる。
【0037】
図1の実変速比算出部550は、エンジン回転センサ80がエンジンの点火信号から検出したエンジン回転数NE(t)と、自車速VA(t)とにより、下式に従って、実変速比RATIO(t)を算出する。
RATIO(t)=NE(t)/〔VA(t)・Gf・2π・Rt〕
図1のエンジントルク指令値算出部560は、駆動トルク指令値dFC(t)とRATIO(t)から、下式に従って、エンジントルク指令値TECOM(t)を算出する。
TECOM(t)=dFC(t)/〔Gf・RATIO(t)〕。
【0038】
図1の目標スロットル開度算出部570は、エンジントルク指令値TECOM(t)とエンジン回転数NE(t)に基づいて、図11に示すようなエンジン全性能マップより、目標スロットル開度TVOCOMを算出し、スロットルアクチュエータ60へ出力する。
【0039】
図1のブレーキ圧指令値算出部630は、エンジン回転数NE(t)に基づいて、図11に示すエンジン全性能マップからスロットル全閉時のエンジンブレーキトルクTECOM’を求め、エンジンブレーキトルクTECOM’とエンジントルク指令値TECOM(t)から次式によってブレーキ圧指令値REFPBRK(t)を算出し、ブレーキアクチュエータ50へ出力する。
REFPBRK(t)=(TECOM−TECOM’)・Gm・Gf/{4・(2・AB・RB・μB)}
ただし、Gmは自動変速機の変速比、ABはホイルシリンダ力(シリンダ圧×面積)、RBはディクスロータ有効半径、μBはパッド摩擦係数である。
【0040】
次に、車速制御の中断処理について説明する。
図1の車速制御中断判定部620は、アクセルペダルセンサ90で検出されたアクセル操作量APOを入力し、アクセル操作量APOと所定値とを比較する。この所定値は、目標スロットル開度算出部570から入力した目標スロットル開度TVOCOMに相当するアクセル操作量APO1、つまりその時点における自動制御された車速に相当したアクセル開度の値である。そして、アクセル操作量APOが上記の所定値より大きい場合、つまり、運転者がアクセルペダルを踏んだことにより、その時点におけるスロットルアクチュエータ60によるスロットル開度以上にスロットル開度が開かれた場合には、車速制御中断信号を出力する。
【0041】
そして、車速制御中断信号により、駆動トルク指令値演算部530および目標スロットル開度算出部570は、それまでの演算を初期化するとともに、無段変速機70は変速機コントローラにより定速走行変速マップから通常走行用変速マップへの切り替えを行う。つまり、自動制御による定速走行を中断して運転者のアクセル操作に対応した通常走行制御とする。
【0042】
無段変速機70は通常走行用変速マップと定速走行用変速マップを持ち、定速走行制御中断時には、車速制御装置から変速機に対して、定速走行用変速マップから通常走行用変速マップへの切替え指令を出力する。ここで、通常走行用変速マップは、例えば、加速時はシフトダウンが緩慢にならないように急峻な(応答性の良い)制御マップに、定速走行用変速マップはゆったり感が出せるように緩やかな制御マップにしておくことにより、定速走行から通常走行切替え時に運転者に違和感を与えないようにしている。
【0043】
また、車速制御中断判定部620は、アクセル操作量AP0が所定値未満に戻ったときに車速制御中断信号の出力を停止し、かつ、自車速VA(t)が車速指定最大値VSMAXよりも大きい場合には、減速要求を駆動トルク指令値算出部530に出力する。そして、駆動トルク指令値算出部530は、車速制御中断判定部620からの車速制御中断信号の出力が停止され、かつ減速要求を入力した場合には、演算した駆動力指令値dFC(t)を、スロットルで実現するように、目標スロットル開度算出部570で算出されたスロットル開度で減速制御されるが、スロットル全閉だけでは制動力が足りない場合は、スロットルと変速比で実現するように、降坂路、平坦路の別に関わらず、変速指令値算出部540から変速比指令値DRATIO(シフトダウン要求)を出力して、無段変速機70のシフトダウン制御を行い、制動力不足を補うように制御する。
【0044】
また、駆動(この場合は制動)力指令値dFC(t)が大きく、無段変速機のシフトダウンによる制動力でも上限にある場合には、平坦路では通常ブレーキにより制動力を補うが、降坂路では、駆動トルク指令値算出部530からブレーキ圧指令値算出部630へのブレーキ制御禁止信号BPを出力し、それによって降坂路でのブレーキ制御を禁止している。このように制御する理由は次のとおりである。すなわち、降坂路ではブレーキで減速を行うと連続してブレーキをかけることが必要になり、ブレーキフェード等の問題を生じるおそれがある。そのため、上記のように降坂路ではスロットル開度と無段変速機のシフトダウン制御による減速のみで必要な制動力を得るように制御することにより、ブレーキを用いずに制動するように構成している。
【0045】
以上のような方法により、運転者が一時的にアクセルペダルを踏んで加速することによって定速走行制御が中断した後、再び定速走行制御に復帰した場合においても、変速機のシフトダウンによって、スロットル開度全閉制御のみの減速度よりも大きな減速度を得られるようになるため、目標車速への収束時間を短くすることができる。また、無段変速機を使うことによって、長い下り坂でも変速ショックが発生することなく、スロットル開度全閉制御のみの減速度よりも大きく、かつ、車速指令値変化量ΔVCOMに基づいた駆動トルクを実現するようにスロットルおよび変速比が制御されるため、所定の減速度を保ったまま、スムーズに減速できるようになる。なお、通常の有段変速機ではシフトダウン時にショックが生じるので、従来は上記のように減速制御要求が大きい場合でもスロットル制御のみを行い、変速機のシフトダウン制御はしていなかった。しかし、無段変速機を用いればスムーズにシフトダウン出来るので、上記のごとき制御を行うことにより、スロットル開度全閉制御のみの減速度以上の大きな減速度で円滑に減速することができる
次に、車速制御の中止処理について説明する。
図1の駆動輪加速度算出部600は、自車速VA(t)を入力し、下式によって駆動輪加速度αOBS(t)を演算する。
αOBS(t)=〔KOBS・s/(TOBS・s2+s+KOBS)〕・VA(t)
ただし、KOBSは定数、TOBSは時定数である。
なお、上記の自車速VA(t)は、前記のようにタイヤ(駆動輪)の回転速度から算出した値であるから、この値自体が駆動輪の回転速度に対応した値であり、上記の駆動輪加速度αOBS(t)は駆動輪速度VA(t)から車速の変化量(駆動輪加速度)を求めた値になっている。
【0046】
そして車速制御中止判定部610は、駆動輪加速度演算部600で求めた駆動輪加速度αOBS(t)と所定の加速度制限値α(この加速度は車速の変化量に対応する値であり、例えば0.2G)とを比較し、駆動輪加速度αOBS(t)が加速度制限値αを超えた場合に、車速制御中止信号を出力する。この車速制御中止信号により、駆動トルク指令値算出部530および目標スロットル開度算出部570は、その演算を初期化する。なお、車速制御が一旦中止されると、セットスイッチ20を再度オンにするまで、車速制御は復帰しない。
【0047】
図1の装置は、車速指令値変化量決定部590で決定した車速指令値変化量ΔVCOMに基づいた車速指令値で車速を制御するシステムであるため、通常の状態では前記の車速指令値変化量制限値〔例えば0.06G=0.021(km/10ms)〕を超える車速変化は生じない。したがって駆動輪加速度αOBS(t)が上記の車速指令値変化量制限値に対応した値よりも大きい所定の加速度制限値α(例えば0.2G)を超えた場合というのは、駆動輪にスリップが発生した可能性が高い。このように駆動輪加速度αOBS(t)と予め定めた所定の加速度制限値αを比較することにより、スリップ発生を検出することができる。そのため、TCS(トラクションコントロールシステム)等のスリップ抑制装置等で加速度センサを別途設けたり、駆動輪と従動輪との回転数差を検出したりすることなく、通常の車速センサ(駆動輪の回転速度を検出するセンサ)からの出力で駆動輪加速度αOBSを求めることにより、スリップ判断と、制御の中止判断を行うことができる。また、車速指令値変化量ΔVCOMを大きくすることで目標車速への応答性を向上させることができる。なお、駆動輪加速度αOBS(t)と所定値との比較から定速走行制御中止を判断する代わりに、車速指令値変化量決定部590で演算している車速指令値変化量ΔVCOMと駆動輪加速度αOBS(t)との差が所定値以上になった場合に制御を中止させるようにしても良い。
【0048】
また、図1の車速指令値決定部510において、自身で演算した車速指令値VCOM(t)が、入力した自車速VA(t)よりも高く、かつ、減速方向に変化した場合(VSMAX<VAか否か)を判定する。そして、車速指令値VCOMを自車速VA(t)もしくはそれ以下の所定の速度VCOM(t)(例えば自車速から5km/hを引いた値)に設定するとともに、図7に示した駆動トルク指令値算出部530における、C2(s)・VA(t)−C1(s)・dFC(t)=dV(t)の出力をゼロにするように、C2(s)とC1(s)の積分器の初期値を自車速VA(t)とする。この結果C1(s)の出力もC2(s)の出力もVA(t)となり、結果として外乱推定値dV(t)は、ゼロとなる。
更に、上述の制御を行うタイミングとして、VCOM(t)の変化率であるΔVCOM(t)が所定値(0.06G)より減速側に大きかった場合とする。これにより、不要な初期化(VA(t)→VCOM(t)の初期化と積分器の初期化)が減少するので、減速ショックが少なくなる。
上記のように車速指令値(目標車速に到達するまでの時々刻々の制御指令値)が実車速よりも大きく、かつ、車速指令値の時間的変化が減速方向に変化した場合に、車速指令値を実車速もしくはそれ以下の所定の車速に変更することにより、迅速に目標車速に収束させることが出来る。また、前記の設定した実車速もしくはそれ以下の車速を用いて駆動トルク指令値算出部530を初期化することにより、制御の継続性を保つことができる。
【0049】
なお、運転者が設定した先行車との目標車間距離を保って走行するように、実車間距離を目標車間距離に一致させるように制御する車速制御装置においては、上記車速指令値が上記目標車間距離を保つように設定されるが、この場合には、実車間距離が所定値以下で、かつ、車速指令値変化量ΔVCOMが減速側に所定値(0.06G)より大きかった場合に、車速指令値VCOMの変更(VA→VCOM)と駆動トルク指令値算出部530(具体的にはその中の積分器)の初期化を行う。このように構成することにより、迅速に目標車間距離に収束させることが出来るので、先行車に近寄り過ぎるというおそれがなくなり、かつ、制御の継続性を保つことができる。また、これにより、不要な初期化(VA(t)→VCOM(t)の初期化と積分器の初期化)が減少するので、減速ショックが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車速制御装置の全体の構成を示すブロック図。
【図2】横G車速補正量算出部580の構成を示すブロック図。
【図3】自車速VAとローパスフィルタのカットオフ周波数fcと関係を示す特性図。
【図4】車速補正量VSUB(t)を計算するための補正係数と横Gの値YG(t)との関係を示す特性図。
【図5】固有振動数ωnSTRと自車速VAとの関係を示す特性図。
【図6】自車速VA(t)と車速指令最大値VSMAXとの偏差の絶対値と、車速指令値変化量ΔVCOM(t)との関係を示す特性図。
【図7】駆動トルク指令値演算部530の構成を示すブロック図。
【図8】エンジン非線形定常特性マップの一例を示す図。
【図9】スロットル開度推定マップの一例を示す図。
【図10】CVT変速マップの一例を示す図。
【図11】エンジン全性能マップの一例を示す図。
【図12】駆動トルク指令値演算部530の他の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
10…車速センサ 20…セットスイッチ
30…コーストスイッチ 40…アクセラレートスイッチ
50…ブレーキアクチュエータ 60…スロットルアクチュエータ
70…無段変速機 80…エンジン回転センサ
90…アクセルペダルセンサ 100…操舵角センサ
500…車速制御部 510…車速指令値決定部
520…車速指令最大値設定部 530…駆動トルク指令値算出部
540…変速指令値算出部 550…実変速比算出部
560…エンジントルク指令値算出部 570…目標スロットル開度算出部
580…横G車速補正量算出部 581…操舵角信号LPF部
582…横G算出部 583…車速補正量算出マップ
590…車速指令値変化量決定部 600…駆動輪加速度算出部
610…車速制御中止判定部 620…車速制御中断判定部
630…ブレーキ圧指令値算出部
VA(t)…自車速 VSMAX…車速指令最大値
θ(t)…操舵角 VSUB(t)…車速補正量
θLPF(t)…操舵角LPF値 VCOM(t)…車速指令値
ΔVCOM(t)…車速指令値変化量 dFC(t)…駆動トルク指令値
dV(t)…外乱推定値
dV(t)’…駆動トルク指令値補正量
dFA(t)…実駆動トルク CF(s)…前置補償器
CR(s)…規範モデル演算部
dFC1(t)…基準駆動トルク指令値
C1(s)、C2(s)、C3(s)…補償器
C3(s)’…フィードバック補償器
s…微分演算子 fc…LPFのカットオフ周波数
YG(t)…横Gの値 ψ…ヨーレイト
ωnSTR…操舵角に対する車両応答の固有振動数
αOBS(t)…駆動輪加速度
TVOESTI…スロットル開度推定値
TVOCOM…目標スロットル開度 APO…アクセル操作量
NIN_COM…エンジン回転数指令値
DRATIO(t)…変速指令値
TECOM(t)…エンジントルク指令値
TECOM’…エンジンブレーキトルク
REFPBRK(t)…ブレーキ圧指令値 BP…ブレーキ制御禁止信号
Claims (2)
- 車両の自車速を検出する車速検出手段と、
目標車速を設定する目標車速設定手段と、
前記自車速が前記目標車速となるように車両駆動系を制御する車速制御手段と、を備え、
前記車速制御手段は、カーブ路走行終了時の車速が小さいほど、またはカーブ路走行開始時から終了時までの車速の減速量が大きいほど、カーブ路走行後の車速制御の加速度を小さくするように構成したことを特徴とする車速制御装置。 - 前記車速制御手段は、横加速度が所定値以上になった時にカーブ路走行開始と判断し、その後、前記横加速度が所定値以下に戻ったときに、カーブ路走行終了と判断することを特徴とする請求項1に記載の車速制御装置。
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