JP2002275637A - エンジンパーツおよびその製造方法 - Google Patents

エンジンパーツおよびその製造方法

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JP2002275637A
JP2002275637A JP2001082708A JP2001082708A JP2002275637A JP 2002275637 A JP2002275637 A JP 2002275637A JP 2001082708 A JP2001082708 A JP 2001082708A JP 2001082708 A JP2001082708 A JP 2001082708A JP 2002275637 A JP2002275637 A JP 2002275637A
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Tetsuya Otsuki
哲也 大槻
Tae Yanagihara
妙 柳原
Yoshiaki Sakashita
好顕 阪下
Terubumi Sato
光史 佐藤
Riichi Nishide
利一 西出
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Nagase and Co Ltd
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Nagase Chemtex Corp
Nagase and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンパーツの摩耗を防止しかつ優れた耐
熱性を有するエンジンパーツおよびその製造方法を提供
すること。 【解決手段】 耐摩耗性に優れるエンジンパーツおよび
その製造方法が開示されている。本発明のエンジンパー
ツは、基材パーツの表面に、ジルコニウム膜を有する、
エンジンパーツであって、該薄膜が、ジルコニウム化合
物、アミノポリカルボン酸、アミンおよび溶媒を含有す
るジルコニア膜形成プレカーサー組成物由来の膜であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジンパーツおよ
びその製造方法に関し、より詳細には、耐熱性および耐
摩耗性に優れるエンジンパーツおよびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車、オートバイ、スクーター、ディ
ーゼル機関車などの交通手段ならびにチェーンソー、送
風機、およびライントリマーのような動力工具には内燃
機関が使用されている。このような内燃機関は、ガソリ
ン、軽油、アルコール、天然ガスなどの燃料を燃焼させ
ることにより動力を得ることができる。特に自動車など
の交通手段においては、近年、より低燃費で高速および
/または高出力を達成し得るガソリンエンジン、ディー
ゼルエンジン、アルコールエンジンおよび天然ガスの開
発がそれぞれ行われている。
【0003】これらエンジンは、各シリンダにおける燃
焼効率を高め、損失なく動力へと変換する必要がある。
そのため、エンジンを構成する種々の部材には、より適
切な燃焼を行うための構造的改良が施されると同時に、
他の部材との摩擦を極力低減させる必要があった。
【0004】例えば、エンジンを構成するエンジンパー
ツの1種であるピストンは、シリンダ内を往復運動す
る。このとき、ピストンとシリンダ内壁との間には摩擦
が生じる。この摩擦は、ピストンおよびシリンダの内壁
が摩耗する問題を生じる。
【0005】上記摩耗および高温化の問題は、エンジン
自体に種々の悪影響を及ぼす。例えば、摩耗は、シリン
ダとピストンとの間に形成される燃焼室の気密性を損さ
わせる原因となり燃焼効率を低下させる恐れがある。
【0006】このようにエンジン内の摩耗は他の部分で
も起こり得る。例としては、ピストンリングおよびOリ
ングなどのエンジンパーツが挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題の
解決を課題とするものであり、その目的とするところは
エンジンパーツの摩耗を防止しかつ優れた耐熱性を有す
るエンジンパーツおよびその製造方法を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材パーツの
表面に、ジルコニア膜を有する、エンジンパーツであっ
て、該薄膜が、ジルコニウム化合物、アミノポリカルボ
ン酸、アミンおよび溶媒を含有するジルコニア膜形成プ
レカーサー組成物由来の膜である、エンジンパーツであ
る。
【0009】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ウム化合物は、ジルコニウムアルコキシド、四塩化ジル
コニウム、およびオキシ塩化ジルコニウムからなる群よ
り選択される少なくとも1種のジルコニウム化合物であ
る。
【0010】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ウムアルコキシドは、テトラメトキシジルコニウム、テ
トラエトキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウ
ム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラプロポ
キシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニ
ウムおよびテトラ−t−ブトキシジルコニウムからなる
群より選択される少なくとも1つの化学種である。
【0011】1つの実施形態においては、上記基材パー
ツは、ピストン基材、ピストンリング基材、ピストンピ
ン基材、シリンダ基材、ブッシュ基材、Oリング基材、
インテークマニホールド基材、ウォーターパッセージ基
材およびバルブガイド基材からなる群より選択される。
【0012】本発明はまた、 基材パーツの表面に、ジ
ルコニア膜を有する、エンジンパーツの製造方法であっ
て、 基材パーツ表面に、ジルコニア膜形成プレカーサ
ー組成物を付与する工程;および該プレカーサー溶液が
付与された基材パーツを焼成する工程;を包含する、方
法である。
【0013】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ア膜形成プレカーサー組成物は、ジルコニウム化合物、
アミノポリカルボン酸、アミンおよび溶媒から調製され
た溶液である。
【0014】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ウム化合物は、ジルコニウムアルコキシドおよび四塩化
ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムからなる群より
選択される少なくとも1種のジルコニウム化合物であ
る。
【0015】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ウムアルコキシドは、テトラメトキシジルコニウム、テ
トラエトキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウ
ム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラプロポ
キシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニ
ウムおよびテトラ−t−ブトキシジルコニウムからなる
群より選択される少なくとも1つの化学種である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0017】本発明のエンジンパーツは、基材パーツの
表面に、ジルコニア膜を有する。ここで、基材パーツの
表面とは、内表面および外表面を包含していう。
【0018】本発明に用いられる基材パーツは、当該分
野一般において使用される材料からなる。このような材
料は、特に限定されないが、例としては、オーステナイ
ト鋼、FC特殊鋳鉄、ダグタイル鋳鉄などの鋳鉄、およ
びアルミ合金、マグネシウム合金などの合金を包含す
る。本発明に用いられる基材パーツの例としては、ピス
トン用の部材(ピストン基材)、ピストンリング用の部
材(ピストンリング基材)、ピストンピン用の部材(ピ
ストンピン基材)、シリンダ用の部材(シリンダ基
材)、ブッシュ用の部材(ブッシュ基材)、Oリング用
の部材(Oリング基材)、インテークマニホールド用の
部材(インテークマニホールド基材)、ウォーターパッ
セージ用の部材(ウォーターパッセージ基材)およびバ
ルブガイド用の部材(バルブガイド基材)が挙げられ
る。
【0019】本発明において形成される上記ジルコニア
膜の厚みは、特に限定されないが、好ましくは10nm
〜300nm、より好ましくは40nm〜140nmで
ある。ジルコニア膜の厚みが10nmを下回ると、得ら
れるエンジンパーツは、充分な耐摩耗性を奏しない恐れ
がある。他方、ジルコニア膜の厚みが300nmを上回
ると、エンジンパーツ自体の製造コストが上昇するのみ
である。
【0020】本発明のエンジンパーツは、以下のように
して製造される。
【0021】まず、上記基材パーツの表面にジルコニア
膜形成プレカーサー組成物が付与される。このジルコニ
ア膜形成プレカーサー組成物は、主に、ジルコニウム化
合物、アミノポリカルボン酸、アミンおよび溶媒から調
製される。
【0022】本発明に用いられるジルコニウム化合物の
例としては、ジルコニウムアルコキシド、四塩化ジルコ
ニウムおよびオキシ塩化ジルコニウムが挙げられる。こ
のジルコニウムアルコキシドの例としては、テトラメト
キシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テト
ラブトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコ
ニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラ−se
c−ブトキシジルコニウムおよびテトラ−t−ブトキシ
ジルコニウム、ならびにこれらの組合わせが挙げられ
る。本発明においては、基材パーツに対して腐食性を奏
する恐れのある塩素成分を含まない方が望ましいという
理由から、ジルコニウム化合物としてジルコニウムアル
コキシドを使用することが好ましい。
【0023】アミノポリカルボン酸の例としては、エチ
レンジアミン四酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢
酸、1,2−プロパンジアミン四酢酸、N−ヒドロキシ
エチルエチレンジアミン三酢酸、N,N’−ジヒドロキ
シエチルエチレンジアミン二酢酸、2−ヒドロキシ−
1,3−プロパンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラ
ミン六酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三
酢酸、イミノ二酢酸、カルボキシエチルイミノ二酢酸、
ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、アラニン−N,N−二
酢酸、アスパラギン酸−N,N−二酢酸およびグルタミ
ン酸−N,N−二酢酸、ならびにこれらの塩が挙げられ
る。上記アミノポリカルボン酸を1種またはそれ以上を
組み合わせて使用してもよい。
【0024】本発明において、ジルコニア膜形成プレカ
ーサー組成物に使用されるアミンの例としては、脂肪族
アミン、芳香族アミンおよびこれらの組合わせが挙げら
れる。脂肪族アミンの例としては、炭素数が12以下の
アルキル基を有する一級または二級アミンが挙げられ
る。脂肪族アミンにおいてアルキル基の炭素数が12を
上回る場合は、アミン中の有機成分が多くなり、緻密な
ジルコニア膜を形成することが困難になる恐れがある。
【0025】上記脂肪族アミンの例としては、エチルア
ミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブ
チルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−t−ブチ
ルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミ
ン、アミルアミン、ジアミルアミン、イソプロピルアミ
ン、ジイソプロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソ
ブチルアミン、イソアミルアミン、ジイソアミルアミ
ン、エチル−n−ブチルアミン、エチル−n−プロピル
アミン、エチルイソプロピルアミン、イソプロピル−n
−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、n−ヘキシ
ルアミン、ジヘキシルアミンおよびn−オクチルアミ
ン、ならびにこれらの組合わせが挙げられる。
【0026】上記芳香族アミンの例としては、ピリジ
ン、4−メチルピリジン、4−アミノピリジンおよび4
−ジメチルアミノピリジンのようなピリジン誘導体;ベ
ンジルアミンおよびN,N−ジメチルベンジルアミンの
ようなベンジルアミン誘導体;N,N−ジメチルアニリ
ンおよびN,N−ジメチル−p−トルイジンのようなア
ニリン誘導体;ならびにこれらの組合わせが挙げられ
る。
【0027】本発明において、ジルコニア膜形成プレカ
ーサー組成物に使用される溶媒としては、特に限定され
ないが、低沸点でかつ極性を有する溶媒が好ましい。さ
らに、上記プレカーサー(ジルコニウム錯体)として主
に金属アルコキシドを使用しているため、溶解性を向上
させる点から、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状また
は分岐鎖状の低級アルコールを用いることが好ましい。
このような低級アルコールの例としては、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n
−ブタノール、イソブタノールおよびt−ブタノールが
挙げられる。必要に応じて、これら低級アルコールと混
和する他の溶媒(水、アセトンなど)を混合して使用し
てもよい。
【0028】上記ジルコニア膜形成プレカーサーに使用
されるジルコニウム化合物、アミノポリカルボン酸およ
びアミンの組成比は、基材パーツに形成されるジルコニ
ア膜の厚み、その製膜条件等によって変化するため、一
概に限定されない。
【0029】他方、ジルコニア膜形成プレカーサー組成
物に使用されるジルコニウム化合物、アミノポリカルボ
ン酸およびアミンの組成比の一例としては、上記ジルコ
ニウム化合物10重量部に対し、3重量部〜25重量部
のアミノポリカルボン酸、および1重量部〜20重量部
のアミンが挙げられる。溶媒の量は、上記ジルコニア化
合物、アミノポリカルボン酸およびアミンの混合物が溶
解し得る範囲の量で当業者により適切に選択され得る。
【0030】ジルコニア膜形成プレカーサー組成物は、
必要に応じて、過酸化水素、過塩素酸、オゾンなどの酸
化剤を含有していてもよい。このような酸化剤を含有す
ることにより、ジルコニア膜形成プレカーサー組成物自
体の保存安定性が向上する。組成物中の酸化剤の含有量
は特に限定されず、当業者によって適切に選択され得
る。
【0031】本発明に用いられるジルコニア膜形成プレ
カーサー組成物の調製にあたっては、まず少量の水また
は適切な他の溶媒中に上記アミノポリカルボン酸を溶解
もしくは分散させ、次いでジルコニウム化合物が添加さ
れる。この反応により、ジルコニウム化合物中のジルコ
ニウムとアミノポリカルボン酸が錯体を形成して、ジル
コニウム錯体を含有する反応液が得られる。次いで、こ
の反応液から濃縮、析出等の操作を経て、ジルコニウム
錯体を得る。この様にして得たジルコニウム錯体を前記
溶媒中に加え、さらに必要に応じてアミン類および酸化
剤が添加される。このようにして本発明に用いられるジ
ルコニア膜形成プレカーサー組成物が調製される。ま
た、ジルコニウム化合物とアミノポリカルボン酸とアミ
ン類、酸化剤を前記溶媒中で反応させることにより一工
程でジルコニア膜形成プレカーサー組成物を調製しても
良い。なお、上記ジルコニア膜形成プレカーサー組成物
の調製においては、調製時の反応を促進させるために、
必要に応じて各成分の混合が加熱下にて行われる。この
ような加熱における温度などの条件は当業者によって適
切に選択され得る。
【0032】基材パーツ表面へのジルコニア膜形成プレ
カーサー組成物の付与は、スプレー、刷毛またはローラ
ーのような手段を用いた塗布、ジルコニア膜形成プレカ
ーサー組成物を含有する浴中への基材パーツの浸漬、の
いずれで行われてもよい。好ましくは、スプレーまたは
塗布のいずれかが選択される。
【0033】本発明においては、上記ジルコニア膜形成
プレカーサー組成物の付与後、当該プレカーサー組成物
が付与された基材パーツは焼成される。
【0034】焼成は、当該分野において一般的に使用さ
れる電気炉などの加熱手段に加えて、携帯加熱手段で行
うことができるが、エンジンパーツの大きさにとらわれ
ずに焼成できる携帯加熱手段の方がより簡便なため推奨
できる。携帯手段の例としては、ガスバーナーおよび石
油バーナーのようなバーナー類、ならびにヒートガンが
挙げられる。焼成に使用される温度は、好ましくは45
0℃と850℃との間であり、より好ましくは450℃
と600℃との間であり、最も好ましくは450℃と5
50℃との間である。この温度は、例えば、基材パーツ
表面に白金抵抗温度計を配置することにより連続的また
は定期的に測定される。さらに焼成における時間は、基
材パーツの大きさなどの条件により、必ずしも限定され
ないが、好ましくは2分〜60分、より好ましくは5分
〜30分である。
【0035】上記焼成を行うことにより、基材パーツ表
面に付与されたジルコニア膜形成プレカーサー組成物
は、ジルコニアでなる緻密な薄膜を形成する。
【0036】このようにして、優れた表面硬度ならびに
耐摩耗性を有する本発明のエンジンパーツが製造され
る。
【0037】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは
ない。
【0038】<製造例1:ジルコニア膜形成プレカーサ
ー組成物の調製>100mLの四つ口フラスコに、エタ
ノール53.03gおよびニトリロ三酢酸4.65gを
仕込み、室温で攪拌しながらジルコニウム−n−ブトキ
シド(純度87%)10.74gを滴下した。この混合
溶液に、ブチルアミン3.56gを滴下し、1時間還流
した。次いで、この混合溶液を40℃まで冷却し、30
%の過酸化水素水3.04gを滴下して、還流下で1時
間攪拌することにより、赤橙色の透明溶液を得た。この
橙色の透明溶液をジルコニア膜形成プレカーサー組成物
とした。このジルコニア膜形成プレカーサー組成物につ
いて、室温で一日保管後の状態(保存安定性)を評価し
た。 ○:室温で一日保管後、沈殿を生じなかった。 ×:室温で一日保管後、沈殿を生じた。
【0039】<比較製造例1:ゾルゲル法ジルコニアゾ
ルの製造>100mL四ツ口フラスコにエタノール8
0.09gを入れ、攪拌しながらジルコニウム−n−ブ
トキシド(87%)8.35gを滴下した後、60%硝
酸0.52gとイオン交換水0.39gとの混合物を室
温で滴下した。そして、室温で2時間かき混ぜることに
よりジルコニアゾルを得た。この溶液を室温で1日保管
すると乳白色溶液となり、3日後には沈殿が生じた。
【0040】<実施例1>10cm×10cm(厚み2
mm)のステンレス製プレート(基材)上に、製造例1
で調製されたジルコニア膜形成プレカーサー組成物をス
ピンコート法で塗布し、毎分10℃の昇温速度で100
℃から550℃まで昇温し、550℃で30分間焼成し
た。これにより基材がジルコニア膜でコートされたプレ
ート部材を得た。この部材を、以下の項目について評価
した。
【0041】(1)耐摩耗性試験:基材上の薄膜の耐摩
耗性をテーバー式摩耗試験により評価した。摩耗輪はテ
ーバー式のNo.CS−10Fを使用し、各摩耗輪の供
試体にかかる力は、4.90Nとした。表1に示す各回
転数における膜の外観を目視で評価した。 ○:膜が残存している。 △:50%以上膜が剥離している。 ×:膜が完全に剥離している。
【0042】上記評価の結果をまとめて、表1に示す。
【0043】<比較例1>上記で調製したジルコニアプ
レカーサー組成物(製造例1)の代わりに、ジルコニア
ゾル(比較製造例1)を用いたこと以外は、実施例1と
同様にしてプレート部材を作成した。得られたプレート
部材についての評価結果をまとめて表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、耐摩耗性試験の
結果、実施例1のプレート部材は充分な耐摩耗性を有す
ることがわかる。これに対して、比較例1のゾルゲル法
により作製した薄膜を有する部材は、耐摩耗性に欠ける
ことがわかる。
【0046】<実施例2>ステンレス製プレートの代わ
りに、自動車エンジン用の、アルミ合金製のピストン基
材を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてピストン
を製造する。
【0047】このピストンについて、実施例1と同様の
条件で耐摩耗性試験を行い、得られる結果より、このピ
ストンが優れた耐摩耗性を有することが示される。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、内燃機関内のエンジン
パーツ同士の摩耗を防止することができる。本発明のエ
ンジンパーツはまた、ジルコニア膜により優れた耐熱性
も奏する。このことにより、エンジンパーツ自体の耐久
性が著しく向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02M 35/104 F02M 35/10 102N (72)発明者 柳原 妙 兵庫県伊丹市千僧5丁目41番地 帝国化学 産業株式会社伊丹工場内 (72)発明者 阪下 好顕 兵庫県伊丹市千僧5丁目41番地 帝国化学 産業株式会社伊丹工場内 (72)発明者 佐藤 光史 東京都八王子市別所2−29 エストラーセ 長池4−501 (72)発明者 西出 利一 福島県郡山市本町2丁目21番5号 ファー ストパレスIII307号 Fターム(参考) 3G024 AA22 FA06 GA18 4K022 AA02 AA48 BA33 DA06 DB01 DB24 EA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材パーツの表面に、ジルコニア膜を有
    する、エンジンパーツであって、 該薄膜が、ジルコニウム化合物、アミノポリカルボン
    酸、アミンおよび溶媒を含有するジルコニア膜形成プレ
    カーサー組成物由来の膜である、エンジンパーツ。
  2. 【請求項2】 前記ジルコニウム化合物が、ジルコニウ
    ムアルコキシド、四塩化ジルコニウム、およびオキシ塩
    化ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも1
    種のジルコニウム化合物である、請求項1に記載のエン
    ジンパーツ。
  3. 【請求項3】 前記ジルコニウムアルコキシドが、テト
    ラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウ
    ム、テトラブトキシジルコニウム、テトライソプロポキ
    シジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テト
    ラ−sec−ブトキシジルコニウムおよびテトラ−t−
    ブトキシジルコニウムからなる群より選択される少なく
    とも1つの化学種である、請求項2に記載のエンジンパ
    ーツ。
  4. 【請求項4】 前記基材パーツが、ピストン基材、ピス
    トンリング基材、ピストンピン基材、シリンダ基材、ブ
    ッシュ基材、Oリング基材、インテークマニホールド基
    材、ウォーターパッセージ基材およびバルブガイド基材
    からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれかに
    記載のエンジンパーツ。
  5. 【請求項5】 基材パーツの表面に、ジルコニア膜を有
    する、エンジンパーツの製造方法であって、 基材パーツ表面に、ジルコニア膜形成プレカーサー組成
    物を付与する工程;および該プレカーサー溶液が付与さ
    れた基材パーツを焼成する工程;を包含する、方法。
  6. 【請求項6】 前記ジルコニア膜形成プレカーサー組成
    物が、ジルコニウム化合物、アミノポリカルボン酸、ア
    ミンおよび溶媒から調製された溶液である、請求項5に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記ジルコニウム化合物が、ジルコニウ
    ムアルコキシドおよび四塩化ジルコニウム、オキシ塩化
    ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも1種
    のジルコニウム化合物である、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記ジルコニウムアルコキシドが、テト
    ラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウ
    ム、テトラブトキシジルコニウム、テトライソプロポキ
    シジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テト
    ラ−sec−ブトキシジルコニウムおよびテトラ−t−
    ブトキシジルコニウムからなる群より選択される少なく
    とも1つの化学種である、請求項7に記載の方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006087114A3 (de) * 2005-02-15 2008-09-12 Ks Kolbenschmidt Gmbh Schutzschicht gegen heissgaskorrosion im verbrennungsraum einer brennkraftmaschine

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WO2006087114A3 (de) * 2005-02-15 2008-09-12 Ks Kolbenschmidt Gmbh Schutzschicht gegen heissgaskorrosion im verbrennungsraum einer brennkraftmaschine

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