JP2002275572A - 金属粉成形素材とその再圧縮成形体及び圧縮成形体から得られる焼結体とその製造方法 - Google Patents

金属粉成形素材とその再圧縮成形体及び圧縮成形体から得られる焼結体とその製造方法

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JP2002275572A
JP2002275572A JP2001078319A JP2001078319A JP2002275572A JP 2002275572 A JP2002275572 A JP 2002275572A JP 2001078319 A JP2001078319 A JP 2001078319A JP 2001078319 A JP2001078319 A JP 2001078319A JP 2002275572 A JP2002275572 A JP 2002275572A
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graphite
molding
sintering
molding material
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JP2001078319A
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English (en)
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Mitsumasa Iijima
光正 飯島
Yasuo Hatai
康雄 幡井
Hiroyuki Yasuma
安間  裕之
Takayuki Matsumoto
高之 松本
Masashi Fujinaga
政志 藤長
Naomichi Nakamura
尚道 中村
Satoshi Uenosono
聡 上ノ薗
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JFE Steel Corp
Hitachi Unisia Automotive Ltd
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼結金属による機械的強度の高い機械部品を
得るために好適な、優れた変形能を有する金属粉成形素
材、その金属粉成形素材の再圧縮成形体及びその再圧縮
成形体から得られる焼結体並びにそれらの製造方法を提
供する。 【解決手段】 予備成形工程1で、鉄を主成分とする金
属粉7aに0.1%以上、0.3%未満の黒鉛7bを混
合してなる金属粉7を圧粉成形して、密度が7.3g/
cm3以上の予備成形体8を形成する。仮焼結工程2
で、予備成形体8を所定温度で仮焼結して、金属粉の粒
界に黒鉛が残留している状態の組織を有する金属粉成形
素材9を形成する。再圧縮工程3で、金属粉成形素材8
を再圧縮成形して再圧縮成形体10を得る。再焼結工程
4で再圧縮成形体10を再焼結して、焼結体11を得
る。熱処理工程5で、焼結体11に熱処理を施し、熱処
理した焼結体11を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼結金属よりも高
強度で、かつより複雑な形状の機械部品を冷間鍛造で一
体成形することが可能な金属粉成形素材、その金属粉成
形素材の再圧縮成形体及びその再圧縮成形体から得られ
る焼結体並びにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼結金属を得る工程の基本は、原料粉末
の混合−圧粉成形−焼結−後処理(熱処理等)である。
前記工程のみで製品が得られる場合もあるが、多くの場
合、各工程の間または後に、目的に応じて追加加工や各
種処理が施されている。
【0003】また焼結金属は、加工性や生産性がよいこ
とから、種々の機械部品、特に自動車部品などに多く使
用されているが、機械的強度が溶製材より劣るため、用
途の拡大を図るためには、さらに機械的強度を向上させ
る必要がある。
【0004】かかる問題を解決するため、例えば特開平
1−123005号公報には、焼結金属により機械的強
度の高い機械部品を得るために、混合した粉末を圧粉成
形して予備成形体を形成し、この予備成形体を仮焼結し
て成形素材を形成した後、この成形素材を再圧縮成形
(冷間鍛造)し、焼結(本焼結)する製造方法が開示さ
れている。
【0005】また特開平11−117002号公報に
は、鉄を主成分とする金属粉に0.3重量%以上の黒鉛
を混合してなる金属質粉を圧粉成形して得られた、密度
が7.3g/cm3以上の予備成形体を所定温度で仮焼
結してなり、金属粉の粒界に黒鉛が残留している状態の
組織を有することを特徴とする金属粉成形素材が開示さ
れている。
【0006】前者公報の製造方法は、成形素材の再圧縮
成形(冷間鍛造)工程を仮圧縮成形工程と本圧縮成形工
程とから構成してなり、成形素材の表面には液状潤滑剤
を塗布して仮圧縮成形した後、成形素材に負圧を作用さ
せて潤滑剤を吸引除去し、その後成形素材を本圧縮成形
するようにしたものである。
【0007】これによって、前記予備成形体の内部に残
留する潤滑剤が、予備成形体内部の微小空隙の圧潰消滅
を妨げてポーラス状となることを防止するため、製品の
密度を7.4〜7.5g/cm3に高めることができ、
従来に比較して機械的強度の高い製品が得られようにな
った。
【0008】また後者公報の金属粉成形素材は、金属粉
に添加する黒鉛の量を0.3%以上とすることにより、
成形素材を圧縮成形、再焼結して得られる機械部品の機
械的強度を鋳鍛造素材と同程度にまで高めることができ
るなどの効果を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし前者公報の製造
方法では、比較的複雑な形状の高強度機械部品を冷間鍛
造により成形することが可能になったが、さらに複雑な
形状の機械部品を一体成形する要求に対しては、対応に
限界があった。
【0010】また後者公報の金属粉成形素材では、成形
素材を圧縮成形、再焼結して得られる機械部品の機械的
強度を鋳鍛造素材と同程度にまで高めることができる半
面、成形素材の伸びが小さいため、薄肉な機械部品や、
複雑な形状の機械部品を冷間鍛造成形するには不向きで
あった。
【0011】本発明は前記従来の実情に鑑みなされたも
ので、従来の焼結金属よりも高強度で、かつより複雑な
形状の機械部品を冷間鍛造で一体成形することが可能な
金属粉成形素材、その金属粉成形素材の再圧縮成形体及
びその再圧縮成形体から得られる焼結体並びにそれらの
製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項1記載の発明は、鉄を主成分とする金属粉に0.
1%以上、0.3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を
圧粉成形して得られた、密度が7.3g/cm3以上の
予備成形体を所定温度で仮焼結してなり、金属粉の粒界
に黒鉛が残留している状態の組織を有する金属粉成形素
材を提供するものである。(なお本明細書において%は
質量百分率を示す。)
【0013】前記目的を達成するため請求項2記載の発
明は、鉄を主成分とする金属粉に0.1%以上、0.3
%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成形して、密
度が7.3g/cm3以上の予備成形体を得る予備成形
工程と、この成形工程で得られた予備成形体を所定温度
で仮焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留している状態
の組織を有する金属粉成形素材を得る仮焼結工程とから
金属粉成形素材を製造するようにしたものである。
【0014】前記目的を達成するため請求項3記載の発
明は、請求項2記載の製造方法において、前記予備成形
工程は、成形ダイスの成形空間内に充填した金属粉を上
パンチ及び下パンチで加圧してなり、前記成形ダイスの
成形空間が、上パンチが挿入される大径部と、下パンチ
が挿入される小径部と、これら大径部と小径部とを繋ぐ
テーパ部とを備え、前記上パンチ及び下パンチの一方ま
たは両方が、成形ダイスの成形空間に臨む端面の外周端
部に、成形空間の容積を増大させる切欠きを形成したも
のである。
【0015】前記目的を達成するため請求項4記載の発
明は、請求項2または4記載の製造方法において、前記
焼結工程の仮焼結温度を、800〜1000℃としたも
のである。
【0016】前記目的を達成するため請求項5記載の発
明は、鉄を主成分とする金属粉に0.1%以上、0.3
%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成形して得ら
れた、密度が7.3g/cm3以上の予備成形体を所定
温度で仮焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留している
状態の組織を有する金属粉成形素材を形成し、前記金属
粉成形素材を再圧縮成形して再圧縮成形体としたもので
ある。
【0017】前記目的を達成するため請求項6記載の発
明は、鉄を主成分とする金属粉に0.1%以上、0.3
%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成形して、密
度が7.3g/cm3以上の予備成形体を得る予備成形
工程と、この予備成形工程で得られた予備成形体を所定
温度で仮焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留している
状態の組織を有する金属粉成形素材を得る仮焼結工程
と、この仮焼結工程で得られた金属粉成形素材を再圧縮
成形する再圧縮工程とから再圧縮成形体を製造したもの
である。
【0018】前記目的を達成するため請求項7記載の発
明は、前記予備成形工程は、成形ダイスの成形空間内に
充填した金属粉を上パンチ及び下パンチで加圧して形成
されてなり、前記成形ダイスの成形空間が、上パンチが
挿入される大径部と、下パンチが挿入される小径部と、
これら大径部と小径部とをつなぐテーパ部とを備え、前
記上パンチ及び下パンチの一方または両方が、成形ダイ
スの成形空間に臨む端面の外周端部に、成形空間の容積
を増大させる切欠きを形成したものである。
【0019】前記目的を達成するため請求項8記載の発
明は、請求項6または7記載の製造方法において、前記
仮焼結工程の仮焼結温度を、800〜1000℃にした
ものである。
【0020】前記目的を達成するため請求項9記載の発
明は、鉄を主成分とする金属粉に0.1%以上、0.3
%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成形して、得
られた密度が7.3g/cm3以上の予備成形体を所定
温度で仮焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留している
状態の組織を有する金属粉成形素材を形成し、前記金属
粉成形素材を再圧縮成形して再圧縮成形体を形成し、更
に、前記再圧縮成形体を所定温度で再焼結してなり、金
属粉及びその粒界に所定の割合で黒鉛が拡散及び残留し
ている状態の組織を有する焼結体としたものである。
【0021】前記目的を達成するため請求項10記載の
発明は、鉄を主成分とする金属粉に0.1%以上、0.
3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成形して、
密度が7.3g/cm3以上の予備成形体を得る予備成
形工程と、この予備成形工程で得られた予備成形体を所
定温度で仮焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留してい
る状態の組織を有する金属粉成形素材を得る仮焼結工程
と、この仮焼結工程で得られた金属粉成形素材を再圧縮
成形して再圧縮成形体を得る再圧縮工程と、この再圧縮
工程で得られた再圧縮成形体を再焼結する再焼結工程と
から焼結体を得るようにしたものである。
【0022】前記目的を達成するため請求項11記載の
発明は、請求項10記載の製造方法において、前記予備
成形工程は、成形ダイスの成形空間内に充填した金属粉
を上パンチ及び下パンチで加圧して形成されてなり、前
記成形ダイスの成形空間が、上パンチが挿入される大径
部と、下パンチが挿入される小径部と、これら大径部と
小径部とをつなぐテーパ部とを備え、前記上パンチ及び
下パンチの一方または両方が、成形ダイスの成形空間に
臨む端面の外周端部に、成形空間の容積を増大させる切
欠きを形成したものである。
【0023】前記目的を達成するため請求項12記載の
発明は、請求項10または11記載の製造方法におい
て、前記仮焼結工程の仮焼結温度を、800〜1000
℃としたものである。
【0024】前記目的を達成するため請求項13記載の
発明は、請求項10〜12のいずれかに記載の製造方法
において、前記再焼結工程の再焼結温度を、700〜1
300℃としたものである。
【0025】前記目的を達成するため請求項14記載の
発明は、鉄を主成分とする金属粉に0.1%以上、0.
3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成形して得
られた、密度が7.3g/cm3以上の予備成形体を所
定温度で仮焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留してい
る状態の組織を有する金属粉成形素材を形成し、前記金
属粉成形素材を再圧縮成形して再圧縮成形体を形成し、
更に、前記再圧縮成形体を所定温度で再焼結して、金属
粉及びその粒界に所定の割合で黒鉛が拡散及び残留して
いる状態の組織を有する焼結体を形成し、前記焼結体に
熱処理が施されてなる焼結体を得るようにしたものであ
る。
【0026】前記目的を達成するため請求項15記載の
発明は、鉄を主成分とする金属粉に0.1%以上、0.
3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成形して、
密度が7.3g/cm3以上の予備成形体を得る予備成
形工程と、この予備成形工程で得られた予備成形体を所
定温度で仮焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留してい
る状態の組織を有する金属粉成形素材を得る仮焼結工程
と、この仮焼結工程で得られた金属粉成形素材を再圧縮
成形して再圧縮成形体を得る再圧縮工程と、この再圧縮
工程で得られた再圧縮成形体を再焼結して、焼結体を得
る再焼結工程と、この再焼結工程で得られた焼結体を熱
処理する熱処理工程と、から焼結体を製造するようにし
たものである。
【0027】前記目的を達成するため請求項16記載の
発明は、請求項15記載の製造方法において、前記予備
成形工程は、成形ダイスの成形空間内に充填した金属粉
を上パンチ及び下パンチで加圧して形成されてなり、前
記成形ダイスの成形空間が、上パンチが挿入される大径
部と、下パンチが挿入される小径部と、これら大径部と
小径部とをつなぐテーパ部とを備え、前記上パンチ及び
下パンチの一方または両方が、成形ダイスの成形空間に
臨む端面の外周端部に、成形空間の容積を増大させる切
欠きを形成したものである。
【0028】前記目的を達成するため請求項17記載の
発明は、請求項15または16記載の製造方法におい
て、前記仮焼結工程の仮焼結温度を、800〜1000
℃としたものである。
【0029】前記目的を達成するため請求項18記載の
発明は、請求項15〜17のいずれかに記載の製造方法
において、前記再焼結工程の再焼結温度を、700〜1
300℃としたものである。
【0030】前記請求項1に記載の発明によれば、金属
粉成形素材(以下単に成形素材という)は、金属粉を圧
粉成形して得られる予備成形体を、さらに所定温度で仮
焼結することにより得ることができる。
【0031】また前記金属粉は、鉄を主成分とする金属
粉に0.1%以上、0.3%未満の黒鉛を混合して形成
される。前記金属粉に添加する黒鉛の量を0.3%未満
とすることによって成形素材の伸びが増すため、成形素
材を再圧縮成形する際、特に冷間鍛造する際、割れや表
面の肌荒れ等の欠陥が生じにくくなると共に、得られた
冷間成形品は内部応力が小さいため、冷間成形後のスプ
リングバック量が小さくなる上、その後の再焼結工程や
熱処理工程においても冷間成形品の寸法変化量が少なく
なり、これによって薄肉の機械部品や、複雑な形状の機
械部品の冷間鍛造成形に最適な成形素材となる。
【0032】さらに前記予備成形体の密度を7.3g/
cm3以上とし、前記予備成形体の密度を7.3g/c
3以上とすることによって、この予備成形体を仮焼結
して得られる成形素材の伸びを大きく、かつ硬さを低く
することができる。
【0033】前記密度が7.3g/cm3以上の予備成
形体を仮焼結して得られる成形素材の組織は、金属粉の
粒界に黒鉛が残留している組織となり、これは前記金属
粉の結晶内部に炭素が殆ど拡散しておらず、少なくとも
結晶粒界に黒鉛が析出していない状態を呈している。具
体的には、前記金属粉の組織は全体がフェライト組織か
或いは黒鉛の近傍にパーライトが析出した組織を呈して
いるため、前記成形素材は伸びが大きく、かつ硬さが低
い性質を及び優れた変形能を有するようになる。
【0034】加えて、鉄を主成分とする密度が7.3g
/cm3以上の予備成形体では、金属粉の粒子間の空隙
が連続せずに孤立した状態となっており、これによって
仮焼結後の伸びが大きい成形素材が得られるようにな
る。
【0035】即ち、前記金属粉の粒子間の空隙が連続し
ている場合には、仮焼結時の炉内の雰囲気ガスが予備成
形体の内部に侵入して浸炭が促進されることになるが、
本発明の予備成形体では空隙が孤立しているから、これ
が有利に防止されることによって、大きな伸びが得られ
ることになる。このことは、前記成形素材の伸びは、予
備成形体の密度を7.3g/cm3以上とすることによ
り、予備成形体を仮焼結するときに炭素の拡散が殆ど生
じないことから、黒鉛の量の影響を殆ど受けることがな
いと共に、炭素の拡散が殆ど生じないことから、仮焼結
して得られる成形素材の硬さも低く抑えられることにな
る。
【0036】また、前記仮焼結によって金属粉の粒子同
士の接触面における表面拡散または溶融による焼結が広
範囲に亘って生じることにより、大きな伸びが得られる
と共に、焼結金属による機械的強度の高く、かつ複雑な
形状の機械部品を得るのに好適な所定量の黒鉛が含ま
れ、かつ伸びが大きく、硬さも低い優れた性質及び変形
能を有する成形素材が得られるようになる。
【0037】請求項2記載の発明によれば、予備成形体
は予備成形工程によって得られ、成形素材は予備成形工
程で得られた予備成形体を焼結工程で仮焼結することに
より得られ、前記予備成形工程で圧粉成形する金属粉
は、鉄を主成分とする金属粉体に0.1%以上、0.3
%未満の黒鉛を混合して形成されている。また前記金属
粉に添加する黒鉛の量を0.1%以上、0.3%未満と
することによって成形素材の伸びが増すため、成形素材
を再圧縮成形する際、特に冷間鍛造する際、割れや表面
の肌荒れ等の欠陥が生じにくくなると共に、得られた冷
間成形品は内部応力が小さいため、冷間成形後のスプリ
ングバック量が小さくなる上、その後の再焼結工程や熱
処理工程においても冷間成形品の寸法変化量が少なくな
り、これによって薄肉の機械部品や、複雑な形状の機械
部品の冷間鍛造成形に最適な成形素材が得られる。
【0038】前記予備成形体の密度を7.3g/cm3
以上とすることによって、この予備成形体を焼結工程で
仮焼結して得られる成形素材の伸びが大きく、かつ硬さ
が低くなる。
【0039】密度が7.3g/cm3以上の予備成形体
を焼結工程で仮焼結することによって、金属粉の粒界に
黒鉛が残留している組織をもった成形素材が得られると
共に、該成形素材は、金属粉の結晶内部に炭素が殆ど拡
散しておらず、少なくとも結晶粒界に黒鉛が析出してい
ない状態となる。具体的には、前記金属粉の組織は全体
がフェライト組織か或いは黒鉛の近傍にパーライトが析
出した組織を呈して、前記焼結工程で仮焼結された成形
素材は伸びが大きく、かつ硬さが低い優れた性質及び変
形能を有ている。
【0040】加えて、前記密度が7.3g/cm3以上
の予備成形体では、金属粉の粒子間の空隙が連続せず、
孤立した状態となっているため、該予備成形体を仮焼結
することにより仮焼結後の伸びが大きい成形素材が得ら
れるようになる。
【0041】即ち、前記金属粉の粒子間の空隙が連続し
ている場合には、仮焼結時の炉内の雰囲気ガスが予備成
形体の内部に侵入して浸炭が促進されることになるが、
本発明の予備成形体では空隙が孤立しているから、これ
が有利に防止されることによって、大きな伸びが得られ
ることになる。このことは、前記成形素材の伸びは、予
備成形体の密度を7.3g/cm3以上とすることによ
り、予備成形体を仮焼結するときに炭素の拡散が殆ど生
じないため、黒鉛の量の影響を殆ど受けず、また炭素の
拡散が殆ど生じないことから、仮焼結して得られる成形
素材の硬さも低く抑えられることができると共に、前記
焼結工程の仮焼結によって金属粉の粒子同士の接触面に
おける表面拡散または溶融による焼結が広範囲に亘って
生じることにより、大きな伸びが得られるようになる。
【0042】前記予備成形体の予備成形工程は、請求項
3記載の発明にあっては、成形ダイスの成形空間内に充
填した金属粉を上パンチ及び下パンチで加圧して行う
が、この場合前記予備成形体は全体として7.3g/c
3以上の高密度となり、予備成形体と成形ダイスとの
摩擦が大きくなるけれども、上パンチ及び下パンチの一
方または両方に設けた切欠き部分で、予備成形体の密度
が局部的に低密度となって摩擦が低下することになり、
これによって前記予備成形体は成形ダイスの成形空間に
形成されたテーパー部の作用と相俟って、成形ダイスか
ら容易に離型され、密度が7.3g/cm3以上の予備
成形体が容易に得られるようになる。
【0043】前記仮焼結工程の仮焼結温度を、請求項4
記載の発明にあっては、800〜1000℃の範囲とし
ており、これによって前記金属粉の粒界に黒鉛が残留し
ている状態の組織となるため、伸びが10%以上で、硬
さがHRB60以下の優れた変形能を有する成形素材が
得られるようになる。
【0044】従って請求項2記載の発明によれば、焼結
金属による機械的強度の高い機械部品を得るために好適
な、所定量の黒鉛が含まれ、伸びが大きく、かつ硬さが
低い性質を有し、優れた変形能を有する成形素材の製造
方法が提供できる。
【0045】また請求項3記載の発明によれば、密度が
7.3g/cm3以上の予備成形体が容易に得られるよ
うになる。
【0046】請求項4記載の発明によれば、前記金属粉
の粒界に黒鉛が残留している状態の組織を有すると共
に、伸びが10%以上で、硬さがHRB60以下となる
ため、従来に比較して優れた変形能を有する成形素材が
得られるようになる。
【0047】請求項5記載の発明は、金属粉を圧粉成形
して得られる予備成形体を、所定温度で仮焼結すると共
に、得られた金属粉成形素材(成形素材)を再圧縮成形
するようにしたもので、前記金属粉に添加する黒鉛の量
を0.1%以上、0.3%未満とすることによって成形
素材の伸びが増すため、成形素材を再圧縮成形する際、
特に冷間鍛造する際、割れや表面の肌荒れ等の欠陥が生
じにくくなる。また得られた冷間成形品は内部応力が小
さいため、冷間成形後のスプリングバック量が小さくな
る上、その後の再焼結工程や熱処理工程においても冷間
成形品の寸法変化量が少なくなり、これによって薄肉の
機械部品や、複雑な形状の機械部品の冷間鍛造成形に最
適な成形素材が得られる。
【0048】前記予備成形体の密度は7.3g/cm3
以上とされる。前記予備成形体の密度を7.3g/cm
3以上とすることによって、この予備成形体を仮焼結し
て得られる成形素材の伸びが大きく、かつ硬さが低くな
る。
【0049】前記密度が7.3g/cm3以上の予備成
形体を仮焼結して得られる成形素材の組織は、金属粉の
粒界に黒鉛が残留している組織となり、これは前記金属
粉の結晶内部に炭素が殆ど拡散しておらず、少なくとも
黒鉛が結晶粒内にすべて拡散して固溶されたり、炭化物
を形成しない状態を呈している。
【0050】具体的には、前記金属粉の組織は全体がフ
ェライト組織か或いは黒鉛の近傍にパーライトが析出し
た組織を呈しており、このため前記成形素材は伸びが大
きく、かつ硬さが低い性質を有し、優れた変形能を有す
る再圧縮成形体が得られるようになる。
【0051】加えて、前記密度が7.3g/cm3以上
の予備成形体では、金属粉の粒子間の空隙が連続せずに
孤立した状態となっており、これによって仮焼結後の伸
びが大きい成形素材が得られる。
【0052】即ち、前記金属粉の粒子間の空隙が連続し
ている場合には、仮焼結時に炉内の雰囲気ガスが予備成
形体の内部に侵入することに加えて、内部の黒鉛から発
生するガスが周囲に拡散して浸炭が促進されることにな
るが、本発明の予備成形体では空隙が孤立しているか
ら、これが有利に防止されることによって、大きな伸び
が得られることになる。このことは、前記成形素材の伸
びは、予備成形体の密度を7.3g/cm3以上とする
ことにより、予備成形体を仮焼結するときに炭素の拡散
が殆ど生じないことになるから、黒鉛の量の影響を殆ど
受けないと共に、炭素の拡散が殆ど生じないから、仮焼
結して得られる成形素材の硬さも低く抑えられることに
なる。
【0053】また、前記仮焼結によって、金属粉の粒子
同士の接触面における表面拡散または溶融による焼結が
広範囲に亘って生じることにより、大きな伸びが得られ
ると共に、前記予備成形体を仮焼結して得られる成形素
材の再圧縮成形は、好ましくは常温状態において行われ
るが、前記成形素材は優れた変形能を有するため、容易
に再圧縮成形が可能になる上、前記再圧縮成形の成形荷
重が小さくでき、しかも寸法精度が高い再圧縮成形体が
得られるようになる。
【0054】また前記再圧縮成形体は、再圧縮成形によ
って成形素材の金属粒子が大きく変形して扁平化した形
状の組織になるが、この成形素材の組織は金属粉の粒界
に黒鉛が残留した状態であるから、被切削性や潤滑性に
優れたものとなる。
【0055】従って請求項5記載の発明によれば、焼結
金属による機械的強度の高い機械部品を得るために好適
で、かつ優れた変形能を有する金属粉成形素材の再圧縮
成形体が得られるようになる。
【0056】請求項6記載の発明において、前記予備成
形体は予備成形工程によって得られ、成形素材は予備成
形体を仮焼結工程で仮焼結して得られ、再圧縮成形体は
成形素材を再圧縮工程で再圧縮成形して得られる。
【0057】即ち、前記予備成形工程で圧粉成形する金
属粉は、鉄を主成分とする金属粉に0.1%以上、0.
3%未満の黒鉛を混合して形成されているが、前記金属
粉に添加する黒鉛の量を0.1%以上、0.3%未満と
することによって成形素材の伸びが増すため、成形素材
を再圧縮成形する際、特に冷間鍛造する際、割れや表面
の肌荒れ等の欠陥が生じにくくなると共に、得られた冷
間成形品は内部応力が小さいため、冷間成形後のスプリ
ングバック量が小さくなる上、その後の再焼結工程や熱
処理工程においても冷間成形品の寸法変化量が少なくな
り、これによって薄肉の機械部品や、複雑な形状の機械
部品の冷間鍛造成形に最適な成形素材が得られる。
【0058】また前記予備成形体の密度を7.3g/c
3以上とすることによって、この予備成形体を仮焼結
工程で仮焼結して得られる成形素材の伸びが大きく、か
つ硬さが低くなる。
【0059】前記密度が7.3g/cm3以上の予備成
形体を仮焼結工程で仮焼結して得られる成形素材の組織
は、金属粉の粒界に黒鉛が残留している組織となり、こ
れは前記金属粉の結晶内部に炭素が殆ど拡散しておら
ず、少なくとも黒鉛が結晶粒内にすべて拡散して固溶さ
れたり、炭化物を形成しない状態を呈している。具体的
には、前記金属粉の組織は全体がフェライト組織か或い
は黒鉛の近傍にパーライトが析出した組織を呈している
ため、前記成形素材は伸びが大きく、かつ硬さが低い性
質を有し、優れた変形能を有するようになる。
【0060】加えて、前記密度が7.3g/cm3以上
の予備成形体では、金属粉の粒子間の空隙が連続せず、
孤立した状態となっており、これによって、仮焼結工程
での仮焼結後の伸びが大きい成形素材が得られるように
なる。
【0061】即ち、前記金属粉の粒子間の空隙が連続し
ている場合には、仮焼結時に炉内の雰囲気ガスが予備成
形体の内部に侵入することに加えて、内部の黒鉛から発
生するガスが周囲に拡散して浸炭が促進されることにな
るが、本発明の予備成形体では空隙が孤立していること
から、これが有利に防止されることによって、大きな伸
びが得られることになる。このことは、前記成形素材の
伸びは、予備成形体の密度を7.3g/cm3以上とす
ることにより、予備成形体を仮焼結するときに炭素の拡
散が殆ど生じないことになるから、黒鉛の量の影響を殆
ど受けることがないと共に、炭素の拡散が殆ど生じない
ことから、仮焼結して得られる成形素材の硬さも低く抑
えられることになる。
【0062】また、前記仮焼結工程の仮焼結によって、
金属粉の粒子同士の接触面における表面拡散または溶融
による焼結が広範囲に亘って生じることにより、大きな
伸びが得られるようになる。
【0063】請求項7記載の発明にあっては、前記予備
成形体の予備成形工程は、成形ダイスの成形空間内に充
填した金属粉を上パンチ及び下パンチで加圧して行う
が、この際前記予備成形体は全体として7.3g/cm
3以上の高密度となり、予備成形体と成形ダイスとの摩
擦が大きくなるが、上パンチ及び下パンチの一方または
両方に設けた切欠き部分で、予備成形体の密度が局部的
に低密度となって摩擦が低下することになり、これによ
って前記予備成形体は成形ダイスの成形空間に形成され
たテーパー部の作用と相俟って、成形ダイスから容易に
離型され、密度が7.3g/cm3以上の予備成形体が
得られるようになる。
【0064】請求項8記載の発明にあっては、前記仮焼
結工程の仮焼結温度は、800〜1000℃の範囲とし
ており、これによって前記金属粉の粒界に黒鉛が残留し
ている状態の組織を有し、伸びが10%以上で、硬さが
HRB60以下の優れた変形能を有する成形素材が得ら
れるようになる。
【0065】前記再圧縮工程は、好ましくは常温状態に
おいて行われるが、前記成形素材は優れた変形能を有す
るため、容易に再圧縮成形が可能な上、前記再圧縮成形
の成形荷重が小さくでき、しかも寸法精度が高い再圧縮
成形体が得られると共に、前記再圧縮成形体は、再圧縮
成形によって成形素材の金属粒子が大きく変形して扁平
化した形状の組織になるが、この成形素材の組織は金属
粉の粒界に黒鉛が残留した状態であるから、被切削性や
潤滑性に優れたものとなる。
【0066】従って請求項6記載の発明によれば、焼結
金属による機械的強度の高い機械部品を得るために好適
な、優れた変形能を有する金属粉成形素材の再圧縮成形
体の製造方法が得られるようになる。
【0067】また、請求項7記載の発明によれば、密度
が7.3g/cm3以上の予備成形体が容易に得られる
と共に、請求項8記載の発明によれば、前記金属粉の粒
界に黒鉛が残留している状態の組織を有し、伸びが10
%以上で、硬さがHRB60以下となり、より優れた変
形能を有する成形素材が得られるようになる。
【0068】請求項9記載の発明における焼結体は、再
圧縮成形体を所定温度で再焼結し、得られた前記再圧縮
成形体は金属粉成形素材を再圧縮成形して得られ、金属
粉成形素材は、金属粉を圧粉成形して得られる予備成形
体を、所定温度で仮焼結することにより得られる。
【0069】前記金属粉は、鉄を主成分とする金属粉に
0.1%以上、0.3%未満の黒鉛を混合して形成され
ているが、前記金属粉に添加する黒鉛の量を0.1%以
上、0.3%未満とすることによって成形素材の伸びが
増すため、成形素材を再圧縮成形する際、特に冷間鍛造
する際、割れや表面の肌荒れ等の欠陥が生じにくくなる
と共に、得られた冷間成形品は内部応力が小さいため、
冷間成形後のスプリングバック量が小さくなる上、その
後の再焼結工程や熱処理工程においても冷間成形品の寸
法変化量が少なくなり、これによって薄肉の機械部品
や、複雑な形状の機械部品の冷間鍛造成形に最適な成形
素材が得られる。
【0070】また前記予備成形体の密度は7.3g/c
3以上とし、前記予備成形体の密度を7.3g/cm3
以上とすることによって、この予備成形体を仮焼結して
得られる成形素材の伸びが大きく、かつ硬さが低くな
る。
【0071】前記密度が7.3g/cm3以上の予備成
形体を仮焼結して得られる成形素材の組織は、金属粉の
粒界に黒鉛が残留している状態の組織となり、これは前
記金属粉の結晶内部に炭素が殆ど拡散しておらず、少な
くとも黒鉛が結晶粒内にすべて拡散して固溶されたり、
炭化物を形成しない状態を呈している。具体的には、前
記金属粉の組織は全体がフェライト組織か或いは黒鉛の
近傍にパーライトが析出した組織を呈しているため、前
記成形素材は伸びが大きく、かつ硬さが低い性質を有
し、優れた変形能を有するようになる。
【0072】加えて、前記密度が7.3g/cm3以上
の予備成形体では、金属粉の粒子間の空隙が連続せず、
孤立した状態となっており、これによって仮焼結後の伸
びが大きい成形素材が得られる。
【0073】即ち、前記金属粉の粒子間の空隙が連続し
ている場合には、仮焼結時に炉内の雰囲気ガスが予備成
形体の内部に侵入することに加えて、内部の黒鉛から発
生するガスが周囲に拡散して浸炭が促進されることにな
るが、本発明の予備成形体では空隙が孤立しているか
ら、これが有利に防止されることによって、大きな伸び
が得られることになる。このことは、前記成形素材の伸
びは、予備成形体の密度を7.3g/cm3以上とする
ことにより、予備成形体を仮焼結するときに炭素の拡散
が殆ど生じないことから、黒鉛の量の影響を殆ど受ける
ことがないと共に、炭素の拡散が殆ど生じないことか
ら、仮焼結して得られる成形素材の硬さも低く抑えられ
ることになる。
【0074】また、前記仮焼結によって、金属粉の粒子
同士の接触面における表面拡散または溶融による焼結が
広範囲に亘って生じることにより、大きな伸びが得られ
ると共に、前記予備成形体を仮焼結して得られる成形素
材の再圧縮成形は、好ましくは常温状態において行われ
るが、この場合前記成形素材は優れた変形能を有するた
め、容易に再圧縮成形が可能になる上、再圧縮成形の成
形荷重が小さくでき、しかも寸法精度が高い再圧縮成形
体が得られるようになる。
【0075】前記再圧縮成形体を再焼結することによっ
て得られた焼結体は、金属粉の粒界に存在した黒鉛がフ
ェライト地に拡散(固溶または炭化物を成形)した状態
の組織と、金属粉のフェライトまたはパーライト組織に
所定の割合で黒鉛が拡散及び残留している状態の組織と
なる。この場合の所定の割合とは、黒鉛の残留量が零の
場合も含まれるものであると共に、前記黒鉛の残留率は
再焼結温度によって変化し、再焼結温度が高いほど黒鉛
の残留率が少なくなり、これによって前記焼結体は所定
の強度等の機械的性質が得られるようになる。
【0076】従って請求項9記載の発明によれば、焼結
金属による機械的強度の高い機械部品を得るために好適
な、優れた変形能を有する金属粉成形素材の再圧縮成形
体を再焼結した焼結体が得られるようになる。
【0077】請求項10記載の発明において、前記予備
成形体は予備成形工程によって得られ、成形素材は予備
成形体を仮焼結工程で仮焼結して得られ、再圧縮成形体
は成形素材を再圧縮工程で再圧縮成形して得られ、焼結
体は再圧縮成形体を再焼結して得られる。
【0078】前記予備成形工程で圧粉成形する金属粉
は、鉄を主成分とする金属粉に0.1%以上、0.3%
未満の黒鉛を混合して形成されているが、前記金属粉に
添加する黒鉛の量を0.1%以上、0.3%未満とする
ことによって成形素材の伸びが増すため、成形素材を再
圧縮成形する際、特に冷間鍛造する際、割れや表面の肌
荒れ等の欠陥が生じにくくなると共に、得られた冷間成
形品は内部応力が小さいため、冷間成形後のスプリング
バック量が小さくなる上、その後の再焼結工程や熱処理
工程においても冷間成形品の寸法変化量が少なくなり、
これによって薄肉の機械部品や、複雑な形状の機械部品
の冷間鍛造成形に最適な成形素材が得られる。
【0079】また前記予備成形工程で形成される予備成
形体の密度は7.3g/cm3以上とし、前記予備成形
体の密度を7.3g/cm3以上とすることによって、
この予備成形体を仮焼結工程で仮焼結して得られる成形
素材の伸びが大きく、かつ硬さが低くなる。
【0080】前記密度が7.3g/cm3以上の予備成
形体を仮焼結工程で仮焼結して得られる成形素材の組織
は、金属粉の粒界に黒鉛が残留している組織となり、こ
れは前記金属粉の結晶内部に炭素が殆ど拡散しておら
ず、少なくとも黒鉛が結晶粒内にすべて拡散して固溶さ
れたり、炭化物を形成しない状態を呈している。具体的
には、前記金属粉の組織は全体がフェライト組織か或い
は黒鉛の近傍にパーライトが析出した組織を呈している
ため、前記成形素材は伸びが大きく、かつ硬さが低い性
質を有し、優れた変形能を有するようになる。
【0081】加えて、前記密度が7.3g/cm3以上
の予備成形体では、金属粉の粒子間の空隙が連続せず、
孤立した状態となっており、これによって仮焼結工程で
の仮焼結後の伸びが大きい成形素材が得られる。
【0082】即ち、前記金属粉の粒子間の空隙が連続し
ている場合には、仮焼結時に炉内の雰囲気ガスが予備成
形体の内部に侵入することに加えて、内部の黒鉛から発
生するガスが周囲に拡散して浸炭が促進されることにな
るが、本発明の予備成形体では空隙が孤立しているか
ら、これが有利に防止されることによって、大きな伸び
が得られることになる。このことは、前記成形素材の伸
びは、予備成形体の密度を7.3g/cm3以上とする
ことにより、予備成形体を仮焼結するときに炭素の拡散
が殆ど生じないことになるから、黒鉛の量の影響を殆ど
受けることがないと共に、炭素の拡散が殆ど生じないこ
とから、仮焼結して得られる成形素材の硬さも低く抑え
られることになる。
【0083】また、前記仮焼結工程の仮焼結によって、
金属粉の粒子同士の接触面における表面拡散または溶融
による焼結が広範囲に亘って生じることにより、大きな
伸びが得られると共に、前記予備成形体の予備成形工程
は、請求項11記載の発明にあっては、成形ダイスの成
形空間内に充填した金属粉を上パンチ及び下パンチで加
圧して行うが、この際前記予備成形体は全体として7.
3g/cm3以上の高密度となり、予備成形体と成形ダ
イスとの摩擦が大きくなるが、上パンチ及び下パンチの
一方または両方に設けた切欠き部分で、予備成形体の密
度が局部的に低密度となって摩擦が低下することにな
り、これによって前記予備成形体は成形ダイスの成形空
間に形成されたテーパー部の作用と相俟って、成形ダイ
スから容易に離型され、密度が7.3g/cm3以上の
予備成形体が得られるようになる。
【0084】請求項12記載の発明にあっては、前記仮
焼結工程の仮焼結温度は、800〜1000℃の範囲と
しており、これによって前記金属粉の粒界に黒鉛が残留
している状態の組織を有し、伸びが10%以上で、硬さ
がHRB60以下の、優れた変形能を有する成形素材が
得られるようになる。
【0085】前記再圧縮工程は、好ましくは常温状態に
おいて行われるが、前記成形素材は優れた変形能を有す
るため、容易に再圧縮成形が可能な上、前記再圧縮成形
の成形荷重が小さくでき、しかも寸法精度が高い再圧縮
成形体が得られると共に、前記再焼結工程で再圧縮成形
体を再焼結することによって得られた焼結体は、金属粉
の粒界に存在した黒鉛がフェライト地に拡散(固溶また
は炭化物を成形)した状態の組織と、金属粉のフェライ
トまたはパーライト組織に所定の割合で黒鉛が拡散及び
残留している状態の組織となっている。この場合の所定
の割合とは、黒鉛の残留量が零の場合も含まれると共
に、前記焼結体における黒鉛の残留率は再焼結温度によ
って変化し、再焼結温度が高いほど黒鉛の残留率が少な
くなり、これによって前記焼結体は所定の強度等の機械
的性質が得られるようになる。
【0086】請求項13記載の発明によれば、前記再焼
結工程の再焼結温度は、700〜1300℃としてお
り、これによって前記再焼結温度の低温域では黒鉛の拡
散が少なく黒鉛の残存率が多い状態の焼結体が得られ、
再焼結温度の高温域では多くの黒鉛が拡散して残存率が
少なく、かつ結晶の再成長が小さく最も強度の大きい状
態の焼結体が得られるようになる。
【0087】従って請求項10記載の発明によれば、焼
結金属による機械的強度の高い機械部品を得るために好
適な、優れた変形能を有する金属粉成形素材の再圧縮成
形体を再焼結してなる焼結体の製造方法が得られるよう
になると共に、請求項11記載の発明によれば、密度が
7.3g/cm3以上の予備成形体が容易に得られ、ま
た請求項12記載の発明によれば、前記金属粉の粒界に
黒鉛が残留している状態の組織を有し、伸びが10%以
上で、硬さがHRB60以下となり、より優れた変形能
を有する成形素材が得られるようになる。
【0088】さらに請求項13記載の発明によれば、前
記再焼結温度に応じて、黒鉛の拡散が少なく黒鉛の残存
率が多い状態の焼結体及び、多くの黒鉛が拡散して残存
率が少なく、かつ結晶の再成長が小さく最も強度の大き
い状態の焼結体が得られる。請求項14記載の発明にお
いて、本発明の焼結体は、再圧縮成形体を所定温度で再
焼結してなる焼結体に熱処理を施して得られ、前記再圧
縮成形体は金属粉成形素材を再圧縮成形して得られ、金
属粉成形素材は、金属粉を圧粉成形して得られる予備成
形体を、所定温度で仮焼結して得られる。
【0089】前記金属粉は、鉄を主成分とする金属粉に
0.1%以上、0.3%未満の黒鉛を混合して形成され
ており、前記金属粉に添加する黒鉛の量を0.1%以
上、0.3%未満とすることによって成形素材の伸びが
増すため、成形素材を再圧縮成形する際、特に冷間鍛造
する際、割れや表面の肌荒れ等の欠陥が生じにくくなる
と共に、得られた冷間成形品は内部応力が小さいため、
冷間成形後のスプリングバック量が小さくなる上、その
後の再焼結工程や熱処理工程においても冷間成形品の寸
法変化量が少なくなり、これによって薄肉の機械部品
や、複雑な形状の機械部品の冷間鍛造成形に最適な成形
素材が得られる。
【0090】また前記予備成形体の密度は7.3g/c
3以上とし、前記予備成形体の密度を7.3g/cm3
以上とすることによって、この予備成形体を仮焼結して
得られる成形素材の伸びが大きく、かつ硬さが低くな
る。
【0091】前記密度が7.3g/cm3以上の予備成
形体を仮焼結して得られる成形素材の組織は、金属粉の
粒界に黒鉛が残留している状態の組織となり、これは前
記金属粉の結晶内部に炭素が殆ど拡散しておらず、少な
くとも黒鉛が結晶粒内にすべて拡散して固溶されたり、
炭化物を形成しない状態となる。具体的には、前記金属
粉の組織は全体がフェライト組織か或いは黒鉛に近傍に
パーライトが析出した組織を呈しており、このため前記
成形素材は伸びが大きく、かつ硬さが低い性質を有し、
優れた変形能を有するようになる。
【0092】加えて、前記密度が7.3g/cm3以上
の予備成形体では、金属粉の粒子間の空隙が連続せず、
孤立した状態となっており、これによって、仮焼結後の
伸びが大きい成形素材が得られる。
【0093】即ち、前記金属粉の粒子間の空隙が連続し
ている場合には、仮焼結時に炉内の雰囲気ガスが予備成
形体の内部に侵入することに加えて、内部の黒鉛から発
生するガスが周囲に拡散して浸炭が促進されるが、本発
明の予備成形体では空隙が孤立していることにより、こ
れが有利に防止されることによって、大きな伸びが得ら
れることになる。このことは、前記成形素材の伸びは、
予備成形体の密度を7.3g/cm3以上とすることに
より、予備成形体を仮焼結するときに炭素の拡散が殆ど
生じないことから、黒鉛の量の影響を殆ど受けることが
ないと共に、炭素の拡散が殆ど生じないことから、仮焼
結して得られる成形素材の硬さも低く抑えられることに
なる。
【0094】また、前記仮焼結によって、金属粉の粒子
同士の接触面における表面拡散または溶融による焼結が
広範囲に亘って生じることにより、大きな伸びが得られ
ると共に、前記予備成形体を仮焼結して得られる成形素
材の再圧縮成形は、好ましくは常温状態において行われ
るが、この場合前記成形素材は優れた変形能を有するか
ら、容易に再圧縮成形が可能になる。
【0095】前記再圧縮成形体を再焼結することによっ
て焼結体が得られ、この焼結体は、金属粉の粒界に存在
した黒鉛がフェライト地に拡散(固溶または炭化物を成
形)した状態の組織と、金属粉はフェライトまたはパー
ライト組織に所定の割合で黒鉛が拡散及び残留している
状態の組織となる。この場合に所定の割合とは、黒鉛の
残留量が零の場合も含まれると共に、前記焼結体におけ
る黒鉛の残留率は再焼結温度によって変化し、再焼結温
度が高いほど黒鉛の残留率が少なくなり、これによって
前記焼結体は所定の強度等の機械的性質が得られるよう
になる。
【0096】前記再圧縮成形体を所定温度で再焼結して
なる焼結体に熱処理が施されるが、前記熱処理は、高周
波焼き入れ、浸炭焼入れ、窒化等の各種処理、及びそれ
らを組合せて実施されるもので、前記再圧縮成形体を所
定温度で再焼結してなる焼結体は、再圧縮成形によって
空隙が無く高密度となっていることから、熱処理による
炭素の拡散は表面から内部に行くにしたがって少なくな
る。このため、前記熱処理を施した焼結体は、表面近傍
では硬さが増し、内部は靭性を有することになり、全体
として優れた機械的性質を有するものになる。
【0097】従って請求項14記載の発明によれば、焼
結金属による機械的強度の高い機械部品を得るために好
適な、優れた変形能を有する金属粉成形素材の再圧縮成
形体を再焼結してなる焼結体に、熱処理を施した焼結体
が得られるようになる。
【0098】請求項15記載の発明によれば、前記予備
成形体は予備成形工程によって得られ、成形素材は予備
成形体を仮焼結工程で仮焼結して得られる。また再圧縮
成形体は成形素材を再圧縮工程で再圧縮成形して得ら
れ、焼結体は再圧縮成形体を再焼結して得られる。そし
てこの焼結体は熱処理が施されていると共に、前記予備
成形工程で圧粉成形する金属粉は、鉄を主成分とする金
属粉に0.1%以上、0.3%未満の黒鉛を混合して形
成されており、前記金属粉に添加する黒鉛の量を0.1
%以上、0.3%未満とすることによって成形素材の伸
びが増すため、成形素材を再圧縮成形する際、特に冷間
鍛造する際、割れや表面の肌荒れ等の欠陥が生じにくく
なると共に、得られた冷間成形品は内部応力が小さいた
め、冷間成形後のスプリングバック量が小さくなる上、
その後の再焼結工程や熱処理工程においても冷間成形品
の寸法変化量が少なくなり、これによって薄肉の機械部
品や、複雑な形状の機械部品の冷間鍛造成形に最適な成
形素材が得られる。
【0099】また前記成形工程で形成される予備成形体
の密度は7.3g/cm3以上とし、前記予備成形体の
密度を7.3g/cm3以上とすることによって、この
予備成形体を仮焼結工程で仮焼結して得られる成形素材
の伸びが大きく、かつ硬さが低くなる。
【0100】前記密度が7.3g/cm3以上の予備成
形体を仮焼結工程で仮焼結して得られる成形素材の組織
は、金属粉の粒界に黒鉛が残留している組織となってお
り、これは前記金属粉の結晶内部に炭素が殆ど拡散して
おらず、少なくとも黒鉛が結晶粒内にすべて拡散して固
溶されたり、炭化物を形成しない状態になる。具体的に
は、前記金属粉の組織は全体がフェライト組織か或いは
黒鉛に近傍にパーライトが析出した組織を呈しており、
このため前記成形素材は伸びが大きく、かつ硬さが低い
性質を有し、優れた変形能を有するようになる。
【0101】加えて、前記密度が7.3g/cm3以上
の予備成形体では、金属粉の粒子間の空隙が連続せず、
孤立した状態となっており、これによって仮焼結工程で
の仮焼結後の伸びが大きい成形素材が得られる。
【0102】即ち、前記金属粉の粒子間の空隙が連続し
ている場合には、仮焼結時に炉内の雰囲気ガスが予備成
形体の内部に侵入することに加えて、内部の黒鉛から発
生するガスが周囲に拡散して浸炭が促進されることにな
るが、本発明の予備成形体では空隙が孤立しているか
ら、これが有利に防止されることによって、大きな伸び
が得られることになる。このことは、前記成形素材の伸
びは、予備成形体の密度を7.3g/cm3以上とする
ことにより、予備成形体を仮焼結するときに炭素の拡散
が殆ど生じないことになるから、黒鉛の量の影響を殆ど
受けることがないと共に、炭素の拡散が殆ど生じないこ
とから、仮焼結して得られる成形素材の硬さも低く抑え
られることになる。
【0103】また、前記仮焼結工程の仮焼結によって、
金属粉の粒子同士の接触面における表面拡散または溶融
による焼結が広範囲に亘って生じることにより、大きな
伸びが得られると共に、前記予備成形体の予備成形工程
は、請求項16記載の発明にあっては、成形ダイスの成
形空間内に充填した金属粉を上パンチ及び下パンチで加
圧して行うが、この際前記予備成形体は全体として7.
3g/cm3以上の高密度となり、予備成形体と成形ダ
イスとの摩擦が大きくなるが、上パンチ及び下パンチの
一方または両方に設けた切欠き部分で、予備成形体の密
度が局部的に低密度となって摩擦が低下することにな
り、これによって前記予備成形体は成形ダイスの成形空
間に形成されたテーパー部の作用と相俟って、成形ダイ
スから容易に離型され、密度が7.3g/cm3以上の
予備成形体が得られるようになる。
【0104】請求項17記載の発明にあっては、前記仮
焼結工程の仮焼結温度は、800〜1000℃の範囲と
しており、これによって前記金属粉の粒界に黒鉛が残留
している状態の組織を有し、伸びが10%以上で、硬さ
がHRB60以下の優れた変形能を有する成形素材が得
られるようになる。
【0105】前記再圧縮工程は、好ましくは常温状態に
おいて行われるが、前記成形素材は優れた変形能を有す
るため、容易に再圧縮成形が可能な上、前記再圧縮成形
の成形荷重が小さくでき、しかも寸法精度が高い再圧縮
成形体が得られるようになり、前記再焼結工程で再圧縮
成形体を再焼結することによって焼結体が得られる。こ
の焼結体は、金属粉の粒界に存在した黒鉛がフェライト
地に拡散(固溶または炭化物を成形)し、金属粉はフェ
ライトまたはパーライト組織に所定の割合で黒鉛が拡散
及び残留している状態の組織となる。この場合に所定の
割合とは、黒鉛の残留量が零の場合も含まれると共に、
前記焼結体における黒鉛の残留率は再焼結温度によって
変化し、再焼結温度が高いほど黒鉛の残留率が少なくな
り、これによって、前記焼結体は所定の強度等の機械的
性質が得られるようになる。
【0106】請求項18記載の発明によれば、前記再焼
結工程の再焼結温度は、700〜1300℃の範囲とし
ており、これによって前記再焼結温度の低温域では黒鉛
の拡散が少なく黒鉛の残存率多い状態の焼結体が得ら
れ、再焼結温度の高温域では多くの黒鉛が拡散して残存
率が少なく、かつ結晶の再成長が小さく、最も強度の大
きな状態の焼結体が得られるようになる。
【0107】前記再圧縮成形体を所定温度で再焼結して
なる焼結体に熱処理が施される。前記熱処理は、高周波
焼き入れ、浸炭焼入れ、窒化等の各種処理、及びそれら
を組合せて実施しており、前記再圧縮成形体を所定温度
で再焼結してなる焼結体は、再圧縮成形によって空隙が
無く高密度の組織となっているから、熱処理による炭素
の拡散は表面から内部に行くにしたがって少なくなる。
このため、前記熱処理を施した焼結体は、表面近傍では
硬さが増し、内部は靭性を有することになり、全体とし
て優れた機械的性質を有することになる。
【0108】従って請求項15記載の発明によれば、焼
結金属による機械的強度の高い機械部品を得るために好
適で、優れた変形能を有する金属粉成形素材の再圧縮成
形体を再焼結してなる焼結体に、熱処理を施した焼結体
の製造方法が得られる。
【0109】また、請求項16記載の発明によれば、密
度が7.3g/cm3以上の予備成形体が容易に得られ
るようになる。
【0110】また、請求項17記載の発明によれば、前
記金属粉の粒界に黒鉛が残留している状態の組織を有
し、伸びが10%以上で、硬さがHRB60以下とな
り、より優れた変形能を有する成形素材が得られると共
に、請求項18記載の発明によれば、前記再焼結温度に
応じて、黒鉛の拡散が少なく黒鉛の残存率多い状態の焼
結体及び、多くの黒鉛が拡散して残存率が少なく、かつ
結晶の再成長が小さく、最も強度の大きな状態の焼結体
が得られるようになる。
【0111】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて詳述する。
【0112】図1は本発明の実施の形態を示す、金属粉
成形素材の再圧縮成形体及びその再圧縮成形体から得ら
れる焼結体の製造工程説明図、図2は予備成形体の製造
工程を、成形ダイスの成形空間内に金属粉を充填した状
態(a)、金属粉を上パンチ及び下パンチで加圧した状
態(b)、加圧完了後予備成形体の取出しのために成形
ダイスを下降させ始めた状態(c)、予備成形体を取り
出す状態(d)で示す説明図、図3は黒鉛を0.1%、
0.2%、0.3%混合した金属粉から形成した予備成
形体を800℃で仮焼結して得られた成形素材の密度と
伸びとの関係を、データ(a)、及びグラフ(b)で示
す図面、図4は成形素材の組織を示す図面、図5は密度
が7.3g/cm3の成形素材について、黒鉛量と仮焼
結温度とを変化させた場合の伸びの変化を、データ
(a)、及びグラフ(b)で示す図面、図6は密度が
7.5g/cm3の成形素材について、黒鉛量と仮焼結
温度とを変化させた場合の伸びの変化を、データ
(a)、及びグラフ(b)で示す図面、図7は密度が
7.3g/cm3の成形素材について、黒鉛量と仮焼結
温度とを変化させた場合の硬さの変化を、データ
(a)、及びグラフ(b)で示す図面、図8は密度が
7.5g/cm3の成形素材について、黒鉛量と仮焼結
温度とを変化させた場合の硬さの変化を、データ
(a)、及びグラフ(b)で示す図面、図9は粒径が2
0μmの黒鉛を0.2%混合した金属粉から形成した、
密度が7.3g/cm3及び7.5g/cm3の成形素材
について、仮焼結温度と降伏応力との関係を、データ
(a)、及びグラフ(b)で示す図面、図10は粒径が
5μmの黒鉛を0.2%混合した金属粉から形成した、
密度が7.3g/cm3及び7.5g/cm3の成形素材
について、再焼結温度と引張強度との関係を、データ
(a)、及びグラフ(b)で示す図面、図11は再圧縮
成形体の組織を、再圧縮成形が軽度の場合(a)、更に
再圧縮成形した場合(b)で示す図面、図12は焼結体
の組織を示す図面、図13は再焼結温度を変化させた場
合の黒鉛残留率の変化を、データ(a)、及びグラフ
(b)で示す図面、図14は再焼結温度を変化させた場
合の硬さの変化を、データ(a)、及びグラフ(b)で
示す図面、図15は再焼結温度を変化させた場合の引張
強度の変化を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す
図面、図16は再焼結温度を変化して得られた焼結体を
所定条件で熱処理した場合の再焼結温度と引張強度との
関係を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面、
図17は所定の条件で熱処理した熱処理体の表面からの
距離と硬さとの関係を、データ(a)、及びグラフ
(b)で示す図面である。図18は金属粉成形素材のカ
ーボン量と成形限界の関係を示す線図、図19は金属粉
成形素材の成形試験を説明する図であり、(a)は成形
前、(b)は成形後の断面図を示す説明図である。
【0113】図において1は予備成形工程、2は仮焼結
工程、3は再圧縮工程、4は再焼結工程、5は熱処理工
程である。
【0114】前記予備成形工程1では金属粉7を圧粉成
形して予備成形体8が得られ、仮焼結工程2では予備成
形体8を仮焼結して成形素材9が得られ、再圧縮工程3
では成形素材9を再圧縮成形して再圧縮成形体10が得
られる。また、前記再焼結工程4では再圧縮成形体10
を再焼結して焼結体11が得られ、熱処理工程5では焼
結体11に熱処理が施される。
【0115】先ず、前記予備成形工程1は、金属粉7を
圧粉成形して予備成形体8を得る工程で、この実施の形
態においては、図2(a)〜(d)に示すように、金属
粉7を成形ダイス14の成形空間15内に充填し、上パ
ンチ16及び下パンチ17で加圧され、これによって予
備成形体8が得られる。この場合に、前記金属粉7及び
成形ダイス14は常温状態にある。
【0116】詳しくは、前記金属粉7は鉄を主成分とす
る金属粉7aに0.1%以上0.3%未満の黒鉛7bを
混合して形成される。前記金属粉7aに添加する黒鉛7
bの量を0.1%以上0.3%未満とすることによっ
て、成形素材9を再圧縮成形して得られる再圧縮成形体
10や、この再圧縮成形体10を再焼結して得られる焼
結体11の機械的強度を、鋳鍛造材と同程度に高めるこ
とができるようになる。
【0117】前記金属粉7が充填される成形ダイス14
の成形空間(キャビティ)15は、上パンチ16が挿入
される大径部19と、下パンチ17が挿入される小径部
20と、これら大径部19と小径部20とを繋ぐテーパ
部21とより形成されている。
【0118】前記成形ダイス14の成形空間15内に挿
入される上パンチ16及び下パンチ17の一方または両
方、この実施の形態においては上パンチ16には、成形
ダイス14の成形空間15に臨む端面22の外周端部
に、成形空間15の容積を増大させる切欠き23が形成
してあり、この切欠き23は、この実施の形態において
断面が鉤形で環状に形成してある。
【0119】24は前記成形ダイス14の成形空間15
内に挿入されるコアで、このコア24によって、成形空
間15内で形成される予備成形体8は略円筒状に形成さ
れることになる。
【0120】前記予備成形工程1は、先ず成形ダイス1
4の成形空間15内に鉄を主成分とする金属粉7aに
0.1%以上0.3%未満の黒鉛7bを混合してなる金
属粉7を充填する(図2(a)参照)。
【0121】次に、前記成形ダイス14の成形空間15
内に上パンチ16及び下パンチ17を挿入して金属粉7
を加圧する。詳しくは、前記上パンチ16が成形空間1
5の大径部19内に挿入され、下パンチ17が成形空間
15の小径部20内に挿入されて加圧される。このと
き、前記切欠き23が形成された上パンチ16は大径部
19内で停止するようになっている(図2(b)参
照)。
【0122】前記金属粉7が加圧されて圧粉成形された
後、上パンチ16を後退(上昇)させると共に、成形ダ
イス14を下降させ(図2(c)参照)、圧粉成形され
た予備成形体8を成形空間15内から取出す(図2
(d)参照)。
【0123】ところで、一般に金属粉を圧粉成形する場
合には、圧粉成形品の密度が高くなるに連れて、圧粉成
形品と成形型との間の摩擦が増大することや、圧粉成形
品のスプリングバック等によって、成形型内から圧粉成
形品を取出すことが困難であり、このため高密度の圧粉
成形品を得ることが困難とされているが、前記成形工程
1においてはこれを有利に解決してる。
【0124】即ち、前記成形ダイス14の成形空間15
はテーパ部21を備えているから、このテーパ部21が
所謂抜き勾配となって、圧粉成形された予備成形体8の
取出しが容易に行えると共に,前記上パンチ16には、
成形ダイス14の成形空間15に望む端面22の外周端
部に、成形空間15の容積を拡大させる切欠き23が形
成してあることから、この切欠き23の部分で局部的に
予備成形体8の密度が低くなり、これによって予備成形
体8と成形ダイス14との間の摩擦や、予備成形体8の
スプリングバック等が低く抑えられるため、予備成形体
8の取出しが容易になり、その結果前記密度が7.3g
/cm3以上の予備成形体8を容易に得ることができる
ようになる。
【0125】前記予備成形体8の密度を7.3g/cm
3以上とすることによって、この予備成形体8を仮焼結
工程2で仮焼結して得られるところの成形素材9(後に
詳述する)の伸びを大きくすることができる。即ち、図
3に示すように、前記予備成形体8の密度を7.3g/
cm3以上とすることによって、成形素材9の伸びを1
0%以上とすることができるものである。
【0126】次に、前記成形工程1で得られた予備成形
体8を仮焼結工程2で仮焼結する。これによって、図4
に示すように、金属粉7aの粒界に黒鉛7bが残留して
いる状態の組織を持った成形素材9が得られるようにな
り、前記金属粉7aの粒界に黒鉛7bの全部が残留して
いる場合には、金属粉7aの組織は全体がフェライト
(F)組織であり、黒鉛7bの一部が残留している場合
には、金属粉7aの組織は、フェライト地に、黒鉛7b
の近傍にパーライト(P)が析出した組織を呈し、少な
くとも前記黒鉛7bが結晶粒内にすべて拡散して固溶さ
れたり、炭化物を形成した状態の組織とはなっていない
ため、前記成形素材9は伸びが大きく、かつ硬さが低い
性質を有し、優れた変形能を有することになる。
【0127】加えて、前記密度が7.3g/cm3以上
の予備成形体8では金属粉7aの粒子間の空隙が連続せ
ず、孤立した状態となっており、これによって、仮焼結
後に伸びが大きな成形素材9が得られる。即ち、前記金
属粉7aの粒子間の空隙が連続している場合には、仮焼
結に炉内の雰囲気ガスが空隙を介して予備成形体8の内
部に深く侵入することに加えて、内部の黒鉛から発生す
るガスが周囲に拡散して浸炭が促進されることになるけ
れども、本発明の予備成形体8では、空隙が孤立してい
るから、これが有利に防止されることによって大きな伸
びが得られる。
【0128】このことは、前記成形素材9の伸びは、予
備成形体の密度を7.3g/cm3以上とすることによ
り、黒鉛7bの量の影響を殆ど受けないことを示してお
り、前記予備成形体8を仮焼結するときに、炭素の拡散
が殆ど生じない上、前記予備成形体8を仮焼結するとき
に炭素の拡散が殆ど生じないことから、仮焼結して得ら
れる成形素材9の硬さも低く抑えられることになる。
【0129】また、前記焼結工程2によって、金属粉7
aの粒子同士の接触面における表面拡散または溶融によ
る焼結が広範囲に亘って生じることにより、成形素材で
は、大きな伸び、好ましくは10%以上の伸びが得られ
ることになる。
【0130】前記仮焼結工程2の仮焼結温度は、好まし
くは800〜1000℃の温度が選択される。前記仮焼
結工程2の仮焼結温度を800〜1000℃とすること
により、この仮焼結工程2を経て得られる成形素材9を
再圧縮成形して再圧縮成形体10を得る場合に、この再
圧縮成形での変形抵抗を小さくして成形加工を容易にす
るために、成形素材9に優れた変形能が付与される。
【0131】即ち、図5及び図6に示すように、前記予
備成形体8を800〜1000℃の温度で仮焼結するこ
とによって、伸びが10%以上の成形素材9が得られ
る。また、図7及び図8に示すように、800〜100
0℃で仮焼結することによって、硬さがHRB60以下
の成形素材9が得られる。前記成形素材9のHRB60
以下の硬さは、炭素量が0.2%程度の低炭素鋼を焼鈍
して得られる硬さよりも軟らかいものである。
【0132】また、前記成形素材9の降伏応力は、図9
及び図10に示すように、仮焼結温度が800〜100
0℃の範囲において203〜209MPa(密度7.3
g/cm3の場合)、219〜232MPa(密度7.
5g/cm3の場合)となり、この値は、炭素量が0.
2%程度の低炭素鋼の降伏応力よりも小さな値となる。
【0133】次に、前記仮焼結工程2で得られた成形素
材9を再圧縮工程3で再圧縮成形して、再圧縮成形体1
0を得る。前記成形素材9の再圧縮成形は、好ましくは
常温状態において行われるが、この場合前記成形素材9
は優れた変形能を有することから、容易に再圧縮成形で
きる上、スケールの発生もなく、これによって前記再圧
縮成形の成形荷重が小さく、寸法精度が高い再圧縮成形
体10が得られるようになる。
【0134】前記再圧縮成形体10は、金属粉7aの粒
界に黒鉛7bが残留している組織を持っており、図11
に示すように再圧縮成形の程度に応じて、金属粉7aの
粒子が扁平化した形状になっている。即ち、軽度の再圧
縮成形では金属粉7aの粒子がやや扁平化して粒子間の
空隙の多くが無くなった組織となっており(図11
(a)参照)、更に再圧縮成形されることによって、金
属粉7aの粒子は大きく扁平化し、粒子間の空隙が略無
くなった組織となっている(図11(b)参照)。
【0135】前記再圧縮成形体10は、成形素材9の金
属粉7aの粒子が大きく変形して扁平化した形状の組織
になっているが、この成形素材9の組織は金属粉7aの
粒界に黒鉛7bが残留した状態であるから、被切削性や
潤滑性に優れたものとなる。
【0136】したがって本発明では、焼結金属による機
械的強度の高い機械部品を得るために好適な、優れた変
形能を有する成形素材(金属粉成形素材)9及びこの成
形素材9の再圧縮成形体10並びにそれらの製造方法が
得られる。
【0137】また、前記予備成形工程1の成形ダイス1
4にテーパ部21を形成すると共に、上パンチ16に切
欠き23を形成したことにより、密度が7.3g/cm
3以上の予備成形体8を容易に成形することができると
共に、前記仮焼結工程2の仮焼結温度を800〜100
0℃とすることにより、金属粉7aの粒界に黒鉛7bが
残留している状態の組織となり、これによって伸びが1
0%以上で、硬さがHRB60以下となるため、より優
れた変形能を有する成形素材9が得られるようになる。
【0138】次に、前記再圧縮工程3で得られた再圧縮
成形体10を、再焼結工程4で再焼結することにより得
られた焼結体11は、図12に示すように金属粉7aの
粒界に存在した黒鉛7bがフェライト地に拡散(固溶ま
たは炭化物を形成)した状態の組織と、金属粉7aのフ
ェライトまたはパーライト組織に所定の割合で黒鉛7b
が拡散及び残留している状態の組織となる。なおこの場
合、前記黒鉛7bの残留量が零の場合もあり得る。
【0139】前記焼結体11における黒鉛7bの残留率
は再焼結温度によって変化し、再焼結温度が高いほど黒
鉛7bの残留率が少なくなり(図13参照)、これによ
って前記焼結体11は所定の強度等の機械的性質が選択
できるようになる。
【0140】前記再焼結工程4の再焼結温度は、好まし
くは700〜1300℃が選択され、これによって前記
再焼結温度の低温領域では黒鉛7bの拡散が少なく、黒
鉛7bの残存率が多い状態の焼結体11が得られると共
に、再焼結温度の高温域では多くの黒鉛7bが拡散して
残存率が少なく、かつ結晶の再成長が小さいため、最も
強度の大きい状態の焼結体11が得られるようになる。
【0141】詳しくは、図14及び図15に示すよう
に、再焼結温度が700〜1000℃の比較的低温の場
合には、再圧縮工程3で生じた加工硬化の回復が生じる
が、黒鉛7bの拡散が進行し始めると共に、軽度の再焼
結により結晶粒の微細な組織が得られるので、強度が大
きく、かつ硬さも増す。なお前記再圧縮工程3での再圧
縮成形の形状によっては、加工硬化の回復の程度が大き
く、緩やかに軟化した後、1000℃近くで再び硬化す
る場合もある。
【0142】また、前記再焼結温度が1000〜130
0℃の比較的高温である場合には、黒鉛7bの残留率が
少なくなり、黒鉛7bがフェライト地に拡散(固溶また
は炭化物を形成)するので、更に強度が増し、硬さも増
すが、前記再焼結温度が1100℃を超えると、脱炭量
の増加に伴う総炭素量の減少や、結晶粒の再成長による
強度及び硬さの低下する傾向が現れ始め、1300℃を
超えると、結晶粒の過剰成長による粗大な組織が発生す
るので、強度、硬さ共に大きく低下してくる。このた
め、前記再焼結温度は、700〜1300℃の範囲とす
るのが望ましく、安定した組織を得るには900〜12
00℃の範囲とするのが最も好ましいものである。
【0143】従って焼結金属による機械的強度の高い機
械部品を得るために好適な、優れた変形能を有する成形
素材(金属粉成形素材)9の再圧縮成形体10を再焼結
してなる焼結体11及びその製造方法が得られると共
に、前記再焼結工程の再焼結温度を700〜1300℃
としたことにより、この再焼結温度を選択することによ
って、黒鉛7bの拡散が少なく黒鉛7bの残存率が多い
状態の焼結体11及び、多くの黒鉛7bが拡散して残存
率が少なく、かつ結晶の再成長が小さく最も強度の大き
い状態の焼結体11が得られるようになる。
【0144】次に前記熱処理工程5で、焼結体11に熱
処理が施されるが、前記熱処理工程5による熱処理は、
高周波焼入れ、浸炭焼入れ、窒化等の各種処理、及びそ
れらを組合せて実施され、これによって前記熱処理した
焼結体11は、過飽和に黒鉛7bを固溶し、または微細
な炭化物や窒化物が析出して硬化層が形成され、優れた
機械的性質が付与される。
【0145】詳しくは、図16に示すように、熱処理し
た焼結体11は硬化層の形成により、再焼結した状態の
焼結体11よりも大きな引張強度が得られる。また、前
記再圧縮成形体10を所定温度で再焼結してなる焼結体
11は、再圧縮工程3の再圧縮成形によって空隙が無く
高密度の組織となっているから、炭素の拡散は表面から
内部に行くにしたがって少なくなり、このため前記熱処
理を施した焼結体11は、図17に示すように、表面近
傍では硬さが増し、内部は靭性を有することなり、全体
として優れた機械的性質を有することになる。
【0146】一方図18は、成形素材中に含まれるカー
ボン量と成形限界の関係を示す線図で、予めカーボン含
有量を変えた成形素材9を複数種類用意して次のような
成形試験を行った結果を線図にしたものである。
【0147】試験に使用した成形素材9は、材質が純鉄
系材料KIP301Aで、図19の(イ)に示すように
外径が30mm、厚さが13mmの円柱形となってお
り、この成形素材9をベルト式加熱炉により900℃で
60分間加熱した後、ステアリン酸系水溶性潤滑剤にど
ぶ漬けして潤滑処理し、これをプレス能力が例えば40
0トンの鍛造プレスを使用して断面減少率80%で後方
押出し冷間鍛造することにより、図19の(ロ)に示す
成形品を成形した。
【0148】そして成形素材9のカーボン含有量と成形
限界の関係を調査するため、成形品のスカート部の付根
aにシワやクラックが発生した時点の底厚(追い込み量
で検出)を評価して、各n=10の測定データをプロッ
トし、図18に示す線図を作成した。
【0149】得られた図18に示す線図で明らかなよう
に、カーボン含有量が0.3%を超えると成形性が低下
して、成形品のスカート部にシワやクラックが発生した
ため、カーボンの含有量を0.1%以上、0.3%未満
の範囲とした。
【0150】これによって薄肉の機械部品や、複雑な形
状の機械部品の冷間鍛造成形に最適な成形素材が得られ
るようになる。
【0151】以上、実施の形態を図面に基づいて説明し
たが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものでは
なく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、前記予備成形体8は、金属粉7及び成形型を所
定温度に加熱して、金属粉7の降伏点を低下させた状態
で行う、所謂温間成形によって形成するようにしてもよ
い。
【0152】また、前記予備成形工程1において、上パ
ンチ16に、成形空間15の容積を拡大させる切欠き2
3を形成した実施の形態について述べたが、この切欠き
23は下パンチ17に設けてもよく、また、上パンチ1
6及び下パンチ17の両方に設けてもよい。
【0153】
【発明の効果】本発明は以上詳述したように、詳細に説
明したように、金属粉に添加する黒鉛の量を0.1%以
上、0.3%未満とすることによって成形素材の伸びが
増すため、成形素材を再圧縮成形する際、特に冷間鍛造
する際、割れや表面の肌荒れ等の欠陥が生じにくくなる
と共に、得られた冷間成形品は内部応力が小さいため、
冷間成形後のスプリングバック量が小さくなる上、その
後の再焼結工程や熱処理工程においても冷間成形品の寸
法変化量が少なくなり、これによって薄肉の機械部品
や、複雑な形状の機械部品の冷間鍛造成形に最適な成形
素材が安価に得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す、金属粉成形素材、
その金属粉成形素材の再圧縮成形体及びその再圧縮成形
体から得られる焼結体の製造工程説明図である。
【図2】予備成形体の製造工程を、成形ダイスの成形空
間内に金属粉を充填した状態(a)、金属粉を上パンチ
及び下パンチで加圧した状態(b)、加圧完了後予備成
形体の取出しのために成形ダイスを下降させ始めた状態
(c)、予備成形体を取り出す状態(d)で示す説明図
である。
【図3】黒鉛を0.1%、0.2%、0.3%混合した
金属粉から形成した予備成形体を800℃で仮焼結して
得られた成形素材の密度と伸びとの関係を、データ
(a)、及びグラフ(b)で示す図面である。
【図4】成形素材の組織を示す図面である。
【図5】密度が7.3g/cm3の成形素材について、
黒鉛量と仮焼結温度とを変化させた場合の伸びの変化
を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面であ
る。
【図6】密度が7.5g/cm3の成形素材について、
黒鉛量と仮焼結温度とを変化させた場合の伸びの変化
を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面であ
る。
【図7】密度が7.3g/cm3の成形素材について、
黒鉛量と仮焼結温度とを変化させた場合の硬さの変化
を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面であ
る。
【図8】密度が7.5g/cm3の成形素材について、
黒鉛量と仮焼結温度とを変化させた場合の硬さの変化
を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面であ
る。
【図9】粒径が20μmの黒鉛を0.2%混合した金属
粉から形成した、密度が7.3g/cm3及び7.5g
/cm3の成形素材について、仮焼結温度と降伏応力と
の関係を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面
である。
【図10】粒径が5μmの黒鉛を0.2%混合した金属
粉から形成した、密度が7.3g/cm3及び7.5g
/cm3の成形素材について、仮焼結温度と降伏応力と
の関係を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面
である。
【図11】再圧縮成形体の組織を、再圧縮成形が軽度の
場合(a)、更に再圧縮成形した場合(b)で示す図面
である。
【図12】焼結体の組織を示す図面である。
【図13】再焼結温度を変化させた場合の黒鉛残留率の
変化を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面で
ある。
【図14】再焼結温度を変化させた場合の引張強度の変
化を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面であ
る。
【図15】再焼結温度を変化させた場合の硬さの変化
を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面であ
る。
【図16】再焼結温度を変化して得られた焼結体を所定
条件で熱処理した場合の再焼結温度と引張強度との関係
を、データ(a)、及びグラフ(b)で示す図面であ
る。
【図17】所定の条件で熱処理した熱処理体の表面から
の距離と硬さとの関係を、データ(a)、及びグラフ
(b)で示す図面である。
【図18】本発明の実施の形態になる金属粉成形素材の
カーボン量と成形限界の関係を示す線図である。
【図19】(イ)は本発明の実施の形態になる金属粉成
形素材の成形前を示す説明図である。(ロ)は本発明の
実施の形態になる金属粉成形素材の成形後を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 予備成形工程 2 仮焼結工程 3 再圧縮工程 4 再焼結工程 5 熱処理工程 7 金属粉 7a 金属粉 7b 黒鉛 8 予備成形体 9 成形素材(金属粉成形素材) 10 再圧縮成形体 11 焼結体 14 成形ダイス 15 成形空間 16 上パンチ 17 下パンチ 19 大経部 20 小経部 21 テーパ部 22 端面 23 切欠き 24 コア F フェライト P パーライト a スカート部の付値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22F 3/24 B22F 3/24 D C22C 38/00 304 C22C 38/00 304 (72)発明者 幡井 康雄 神奈川県厚木市恩名1370番地 株式会社ユ ニシアジェックス内 (72)発明者 安間 裕之 神奈川県厚木市恩名1370番地 株式会社ユ ニシアジェックス内 (72)発明者 松本 高之 神奈川県厚木市恩名1370番地 株式会社ユ ニシアジェックス内 (72)発明者 藤長 政志 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 中村 尚道 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 上ノ薗 聡 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K018 AA28 AB07 AC01 CA02 CA15 EA53 FA01 KA62

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄を主成分とする金属粉に0.1%以
    上、0.3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成
    形して得られた、密度が7.3g/cm3以上の予備成
    形体を所定温度で仮焼結してなり、 金属粉の粒界に黒鉛が残留している状態の組織を有する
    ことを特徴とする、金属粉成形素材。
  2. 【請求項2】 鉄を主成分とする金属粉に0.1%以
    上、0.3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成
    形して、密度が7.3g/cm3以上の予備成形体を得
    る予備成形工程と、 この予備成形工程で得られた予備成形体を所定温度で仮
    焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留している状態の組
    織を有する金属粉成形素材を得る仮焼結工程と、からな
    ることを特徴とする、金属粉成形素材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記予備成形工程は、成形ダイスの成形
    空間内に充填した金属粉を上パンチ及び下パンチで加圧
    してなり、 前記成形ダイスの成形空間が、上パンチが挿入される大
    径部と、下パンチが挿入される小径部と、これら大径部
    と小径部とを繋ぐテーパ部とを備え、 前記上パンチ及び下パンチの一方または両方が、成形ダ
    イスの成形空間に臨む端面の外周端部に、成形空間の容
    積を増大させる切欠きを備えてなることを特徴とする、
    請求項2記載の金属粉成形素材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記仮焼結工程の仮焼結温度は、800
    〜1000℃であることを特徴とする、請求項2または
    3記載の金属粉成形素材の製造方法。
  5. 【請求項5】 鉄を主成分とする金属粉に0.1%以
    上、0.3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成
    形して得られた、密度が7.3g/cm3以上の予備成
    形体を所定温度で仮焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残
    留している状態の組織を有する金属粉成形素材を形成
    し、 前記金属粉成形素材を再圧縮成形してなることを特徴と
    する、再圧縮成形体。
  6. 【請求項6】 鉄を主成分とする金属粉に0.1%以
    上、0.3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成
    形して、密度が7.3g/cm3以上の予備成形体を得
    る予備成形工程と、 この予備成形工程で得られた予備成形体を所定温度で仮
    焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留している状態の組
    織を有する金属粉成形素材を得る仮焼結工程と、この仮
    焼結工程で得られた金属粉成形素材を再圧縮成形する再
    圧縮工程とからなることを特徴とする、再圧縮成形体の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記予備成形工程は、成形ダイスの成形
    空間内に充填した金属粉を上パンチ及び下パンチで加圧
    して形成してなり、 前記成形ダイスの成形空間が、上パンチが挿入される大
    径部と、下パンチが挿入される小径部と、これら大径部
    と小径部とをつなぐテーパ部とを備え、 前記上パンチ及び下パンチの一方または両方が、成形ダ
    イスの成形空間に臨む端面の外周端部に、成形空間の容
    積を増大させる切欠きを備えていることを特徴とする、
    請求項6記載の再圧縮成形体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記仮焼結工程の仮焼結温度は、800
    〜1000℃であることを特徴とする、請求項6または
    7記載の再圧縮成形体の製造方法。
  9. 【請求項9】 鉄を主成分とする金属粉に0.1%以
    上、0.3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成
    形して得られた、密度が7.3g/cm3以上の予備成
    形体を所定温度で仮焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残
    留している状態の組織を有する金属粉成形素材を形成
    し、 前記金属粉成形素材を再圧縮成形して再圧縮成形体を形
    成し、 更に、前記再圧縮成形体を所定温度で再焼結してなり、 金属粉及びその粒界に所定の割合で黒鉛が拡散及び残留
    している状態の組織を有することを特徴とする、焼結
    体。
  10. 【請求項10】 鉄を主成分とする金属粉に0.1%以
    上、0.3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成
    形して、密度が7.3g/cm3以上の予備成形体を得
    る予備成形工程と、 この予備成形工程で得られた予備成形体を所定温度で仮
    焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留している状態の組
    織を有する金属粉成形素材を得る仮焼結工程と、この仮
    焼結工程で得られた金属粉成形素材を再圧縮成形して再
    圧縮成形体を得る再圧縮工程と、 この再圧縮工程で得られた再圧縮成形体を再焼結する再
    焼結工程と、からなることを特徴とする、焼結体の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 前記予備成形工程は、成形ダイスの成
    形空間内に充填した金属粉を上パンチ及び下パンチで加
    圧して形成されてなり、 前記成形ダイスの成形空間が、上パンチが挿入される大
    径部と、下パンチが挿入される小径部と、これら大径部
    と小径部とをつなぐテーパ部とを備え、 前記上パンチ及び下パンチの一方または両方が、成形ダ
    イスの成形空間に臨む端面の外周端部に、成形空間の容
    積を増大させる切欠きを備えていることを特徴とする、
    請求項10記載の焼結体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記仮焼結工程の仮焼結温度は、80
    0〜1000℃であることを特徴とする、請求項10ま
    たは11記載の焼結体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記再焼結工程の再焼結温度は、70
    0〜1300℃であることを特徴とする、請求項10〜
    12のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
  14. 【請求項14】 鉄を主成分とする金属粉に0.1%以
    上、0.3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成
    形して得られた、密度が7.3g/cm3以上の予備成
    形体を所定温度で仮焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残
    留している状態の組織を有する金属粉成形素材を形成
    し、 前記金属粉成形素材を再圧縮成形して再圧縮成形体を形
    成し、 更に、前記再圧縮成形体を所定温度で再焼結して、金属
    粉及びその粒界に所定の割合で黒鉛が拡散及び残留して
    いる状態の組織を有する焼結体を形成し、 前記焼結体に熱処理が施されてなることを特徴とする、
    焼結体。
  15. 【請求項15】 鉄を主成分とする金属粉に0.1%以
    上、0.3%未満の黒鉛を混合してなる金属粉を圧粉成
    形して、密度が7.3g/cm3以上の予備成形体を得
    る予備成形工程と、 この予備成形工程で得られた予備成形体を所定温度で仮
    焼結して、金属粉の粒界に黒鉛が残留している状態の組
    織を有する金属粉成形素材を得る仮焼結工程と、この仮
    焼結工程で得られた金属粉成形素材を再圧縮成形して再
    圧縮成形体を得る再圧縮工程と、 この再圧縮工程で得られた再圧縮成形体を再焼結して、
    焼結体を得る再焼結工程と、 この再焼結工程で得られた焼結体を熱処理する熱処理工
    程と、からなることを特徴とする、焼結体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記予備成形工程は、成形ダイスの成
    形空間内に充填した金属粉を上パンチ及び下パンチで加
    圧して形成されてなり、 前記成形ダイスの成形空間が、上パンチが挿入される大
    径部と、下パンチが挿入される小径部と、これら大径部
    と小径部とをつなぐテーパ部とを備え、 前記上パンチ及び下パンチの一方または両方が、成形ダ
    イスの成形空間に臨む端面の外周端部に、成形空間の容
    積を増大させる切欠きを備えていることを特徴とする、
    請求項15記載の焼結体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記仮焼結工程の仮焼結温度は、80
    0〜1000℃であることを特徴とする、請求項15ま
    たは16記載の焼結体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記再焼結工程の再焼結温度は、70
    0〜1300℃であることを特徴とする、請求項15〜
    17のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004270012A (ja) * 2003-03-11 2004-09-30 Jfe Steel Kk 鉄基焼結体の製造方法および焼結用圧縮成形体
JP2009167489A (ja) * 2008-01-18 2009-07-30 Hitachi Powdered Metals Co Ltd 寸法精度に優れた焼結部品の製造方法

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